(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】移動式間仕切り構造
(51)【国際特許分類】
E05D 15/00 20060101AFI20220525BHJP
E04B 2/82 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
E05D15/00 F
E05D15/00 B
E04B2/82 501A
(21)【出願番号】P 2020011274
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2020-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】521218755
【氏名又は名称】FIRSTKRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100199107
【氏名又は名称】加藤 拓司
(72)【発明者】
【氏名】永田 修一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丈章
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-150066(JP,U)
【文献】特開2009-97238(JP,A)
【文献】特開平10-280783(JP,A)
【文献】特開2007-247150(JP,A)
【文献】特開2008-208683(JP,A)
【文献】特開2019-35317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 13/00
15/00-15/58
E06B 1/00-1/70
3/04-3/46
E04B 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鴨居に取り付けられるレールと、
前記レールに対して移動することが可能な上側移動部と敷居に対して移動することが可能な下側移動部と移動壁とを有する移動仕切り部と、
鴨居に取り付けられる上側固定部と、
敷居に取り付けられる下側固定部と、
前記上側固定部と固定されるとともに前記下側固定部と固定される固定仕切り部と、
を有し、
前記固定仕切り部は2つあり、一の前記固定仕切り部は前記移動仕切り部より一の空間側に配置され、他の前記固定仕切り部は前記移動仕切り部より他の空間側に配置され、
前記移動仕切り部および前記固定仕切り部を鴨居と敷居との間に取り付けた状態では、
前記移動仕切り部が配置された方の空間の側から前記移動仕切り部が荷重を受けた際、前記固定仕切り部によって前記移動仕切り部が支えられるように前記移動仕切り部と前記固定仕切り部とが
前記移動仕切り部の移動方向において少なくとも部分的に重なっている、
一の空間と他の空間とを仕切る移動式間仕切り構造。
【請求項2】
前記上側移動部は溝であり、
前記レールは前記溝と摺動可能に係合する板状体である、
請求項1に記載の移動式間仕切り構造。
【請求項3】
前記溝は前記移動壁に形成されたものである、
請求項2に記載の移動式間仕切り構造。
【請求項4】
前記移動壁と前記固定仕切り部の左右方向の寸法は同じである、
請求項1から請求項3に記載の移動式間仕切り構造。
【請求項5】
前記レールの材質は樹脂である、
請求項1から請求項4に記載の移動式間仕切り構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鴨居と敷居との間に取り付けられ、空間を仕切る移動式間仕切り構造に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式間仕切り構造は、各種の形態のものが提案されている。
例えば特許文献1には、大部屋を小部屋に区画したり開放したりといった間取りの変更が簡単にできる移動式間仕切装置として、移動パネルをガイドレールに沿って移動案内して整列させ、所定の位置においてリフト機構により転動輪を浮上させて移動規制させるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リフト機構は、特許文献1に記載のように圧縮コイルばねや支軸をはじめとする様々な部材が必要であり、コストが嵩むという問題があった。
【0005】
本開示は、上記の事情を背景になされたものであって、その解決課題は、施工が容易であるとともに、単純かつ安価な移動式間仕切り構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の移動式間仕切り構造は、鴨居に取り付けられるレールと、前記レールに対して移動することが可能な上側移動部と敷居に対して移動することが可能な下側移動部と移動壁とを有する移動仕切り部と、鴨居に取り付けられる上側固定部と、敷居に取り付けられる下側固定部と、前記上側固定部と固定されるとともに前記下側固定部と固定される固定仕切り部と、を有し、前記固定仕切り部は2つあり、一の前記固定仕切り部は前記移動仕切り部より一の空間側に配置され、他の前記固定仕切り部は前記移動仕切り部より他の空間側に配置され、前記移動仕切り部および前記固定仕切り部を鴨居と敷居との間に取り付けた状態では、前記移動仕切り部が配置された方の空間の側から前記移動仕切り部が荷重を受けた際、前記固定仕切り部によって前記移動仕切り部が支えられるように前記移動仕切り部と前記固定仕切り部とが前記移動仕切り部の移動方向において少なくとも部分的に重なっている、一の空間と他の空間とを仕切る移動式間仕切り構造である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、移動式間仕切り構造を、単純な構造で安価に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る移動式間仕切り構造の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す移動式間仕切り構造の側面方向の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す移動式間仕切り構造の正面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す移動式間仕切り構造の平面方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
本開示の移動式間仕切り構造は、
(1)鴨居に取り付けられるレールと、前記レールに対して移動することが可能な上側移動部と敷居に対して移動することが可能な下側移動部と移動壁とを有する移動仕切り部と、鴨居に取り付けられる上側固定部と、
敷居に取り付けられる下側固定部と、前記上側固定部と固定されるとともに前記下側固定部と固定される固定仕切り部と、を有し、前記移動仕切り部および前記固定仕切り部を鴨居と敷居との間に取り付けた状態では、前記移動仕切り部の移動方向において前記移動仕切り部と前記固定仕切り部とが少なくとも部分的に重なっている、一の空間と他の空間とを仕切る移動式間仕切り構造である。
【0010】
本開示の移動式間仕切り構造によれば、移動仕切り部としては、鴨居にレールを設け、移動壁には鴨居および敷居のそれぞれに対して移動可能な上側移動部と下側移動部を設けるだけの簡素な構造となっている。固定仕切り部としては、鴨居および敷居のそれぞれに固定仕切り部を固定する上側固定部および下側固定部を設けるだけの簡素な構造となっている。
【0011】
移動仕切り部および前記固定仕切り部を鴨居と敷居との間に取り付けた状態では、移動仕切り部の移動方向において移動仕切り部と固定仕切り部とが少なくとも部分的に重なっている。万が一、移動仕切り部が配置された方の空間の側から移動仕切り部が荷重を受けた際には、その重なった部分において、鴨居および敷居に固定された固定仕切り部によって移動仕切り部が支えられるため、簡素な構造で移動仕切り部を鴨居および敷居から外れにくくすることができる。
【0012】
(2)前記上側移動部は溝であり、前記レールは前記溝と摺動可能に係合する板状体であることが好ましい。これにより、溝と板状体を摺動させるという簡素な構造で移動仕切り部の上側を構成することができる。
【0013】
(3)前記溝は前記移動壁に形成されたものであることが好ましい。これにより、別部材を取り付ける等によることなく移動壁に溝を形成する加工をするという簡素な構造で移動仕切り部の上側を構成することができる。
【0014】
(4)前記移動壁と前記固定仕切り部の上下方向の寸法は同じであることが好ましい。これにより、移動式間仕切りを配置する空間に移動壁と固定仕切り部を配置する前の工程において移動壁と固定仕切り部を準備することを簡易にすることができる。
【0015】
(5)前記移動壁と前記固定仕切り部の左右方向の寸法は同じであることが好ましい。これにより、移動式間仕切りを配置する空間に移動壁と固定仕切り部を配置する前の工程において移動壁と固定仕切り部を準備することを簡易にすることができる。
【0016】
(6)前記レールの材質は樹脂であることが好ましい。樹脂は一般的に金属等と比べて加工が容易なので、移動式間仕切りを配置する工程における鴨居へのレールの取り付けと、その前の工程においても、レールを準備することを簡易にすることができる。
【0017】
(7)前記固定仕切り部は2つあり、一の前記固定仕切り部は前記移動仕切り部より一の空間側に配置され、他の前記固定仕切り部は前記移動仕切り部より他の空間側に配置されていることが好ましい。これにより、移動仕切り部および前記固定仕切り部を鴨居と敷居との間に取り付けた状態では、万が一、移動仕切り部が荷重を受けた際には、その荷重がどちらの空間の側からのものであっても、鴨居および敷居に固定された固定仕切り部によって移動仕切り部が支えられ、簡素な構造で移動仕切り部を鴨居および敷居から、より外れにくくすることができる。
【0018】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の移動式間仕切り構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお本開示は、この例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態について、
図1から
図4を参照しつつ説明する。移動式間仕切り構造は、鴨居に取り付けられるレール1と、前記レール1に対して移動することが可能な上側移動部2と敷居に対して移動することが可能な下側移動部3と移動壁4とを有する移動仕切り部5と、鴨居に取り付けられる上側固定部6と、敷居に取り付けられる下側固定部7と、前記上側固定部6および前記下側固定部7と固定される固定仕切り部8と、を含んで構成されている。以下の説明において、上方とは、
図3中の上方、下方とは、
図3中の下方を言い、移動仕切り部5の移動方向とは、
図3中の左右方向を言うものとする。
【0020】
<レール1>
レール1は、塩化ビニル(PVC)等の合成樹脂を押出成形等で形成したものや、ステンレス等の金属をプレス成形等で形成したもので、断面L字状の板状体11である。このレール1は、図示しないネジや釘、粘着テープ等により、鴨居の溝に固定されている。
【0021】
<上側移動部2>
上側移動部2は、
図2に示すように、溝21で構成され、後述の移動壁4の上部に配置されている。溝21の深さは、レール1と係合する長さと同じか、もしくは溝21と係合する長さより深く形成されている。移動壁の寸法の製造ばらつきや間仕切りを配置する部位のゆがみや経年劣化などにも対応できるようになっている。
【0022】
上側移動部2は、レール1と摺動することで左右方向には移動可能である一方、
図3の紙面奥行き方向にはレール1と係合することによってレール1に対して容易に移動できないようになっている。
【0023】
<下側移動部3>
下側移動部3は、
図2に示すように、後述の移動壁4の下部に配置されている。下側移動部3の底部の幅は、敷居の溝の幅と同じか、もしくは敷居の溝の幅より狭くなされている。
【0024】
下側移動部3の底部は、敷居の溝と摺動することで左右方向には移動可能である一方、
図3の紙面奥行き方向には敷居の溝と係合することで敷居の溝に対して容易に移動できないようになっている。
【0025】
<移動壁4>
移動壁4は、少なくとも外枠の部分は木質材料や樹脂などにより構成されている。外枠に貼り付けられる面の部分は木質材料や樹脂、樹脂を含侵させたパルプを主とする板やシートで構成されており、金属材料や無垢の木材で構成される壁状の部材に比べて軽量であり、襖や障子に比べて耐久性がある。移動壁4の上部には前述の溝21が、外枠を削ることにより、または外枠に別部材を取り付けることにより形成されている。
<移動仕切り部5>
【0026】
移動仕切り部5は、前述の上側移動部2と下側移動部3と移動壁4を含んで構成されている。
<上側固定部6および下側固定部7>
【0027】
上側固定部6および下側固定部7は、L字状の金属製であって、鴨居および敷居に対して、図示しないネジや釘で固定されている。
<固定仕切り部8>
【0028】
固定仕切り部8は、その上部が上側固定部6に対して、その下部が下側固定部7に対して、図示しないネジや釘で固定される。これにより、固定仕切り部8は、鴨居および敷居に対して、左右方向にも、
図3の紙面奥行き方向にも固定されている。
【0029】
固定仕切り部8と移動仕切り部5とは、鴨居と敷居の間にこれらを取り付けた状態で、左右方向において少なくとも部分的に重なるような寸法とされている。
【0030】
固定仕切り部8は、
図4に示すように、その上下方向の寸法は、移動壁4の上下方向の寸法と同じとされており、その左右方向の寸法は、移動壁4の左右方向の寸法と同じとされている。移動間仕切り構造を配置する前の、固定仕切り部8と移動壁4を準備する工程において、同じ種類の部材を元に加工を施す等により固定仕切り部8と移動壁4としている。
【0031】
移動仕切り部5は、
図4に示すように、左右方向と直交する方向において一の固定仕切り部8と他の固定仕切り部8により挟まれた状体で配置されている。
【0032】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本開示は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本開示と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 レール
11 板状体
2 上側移動部
21 溝
3 下側移動部
4 移動壁
5 移動仕切り部
6 上側固定部
7 下側固定部
8 固定仕切り部