(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】コンピュータ
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20220525BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220525BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
G06F1/20 B
H05K7/20 B
H05K7/20 P
H05K7/20 H
H01L23/46 Z
(21)【出願番号】P 2021195049
(22)【出願日】2021-12-01
【審査請求日】2021-12-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521525206
【氏名又は名称】ARD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】市川 琢也
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-043490(JP,A)
【文献】特開2005-122503(JP,A)
【文献】特開2020-035438(JP,A)
【文献】米国特許第08050029(US,B1)
【文献】特開2002-261482(JP,A)
【文献】特開2005-129812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/20
H05K7/20
H01L23/467;23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に
おいて該筐体の一面に寄せて設置された電子部品と、
前記筐体の内部に設置され、内部を通る冷却媒によって前記電子部品を冷却する冷却器と、
前記筐体の内部に
おいて前記電子部品の空気流通方向上流側に設置され、前記冷却器との間を循環する前記冷却媒から熱を逃がす放熱器と、
前記放熱器
の空気流通方向下流側に該放熱器に重ねて配置され、
前記筐体における前記一面側から該一面に対向する他面側へ向けて前記放熱器を通る空気の流れを形成する放熱器ファンと、
前記放熱器の空気流通方向上流側に位置して該放熱器に対向配置され、前記放熱器と前記筐体の一面との間へ向けて空気を送る冷却ファンと、を備え、
前記放熱器および前記放熱器ファンが、前記筐体の一面に対して、
空気流通方向上流側から下流側へ向かうにつれて下方傾斜する姿勢で配置されている
ことを特徴とするコンピュータ。
【請求項2】
前記放熱器の空気流通方向上流側における前記放熱器から外れた位置に配置され、前記放熱器の空気流通方向下流側へ前記放熱器を介さない経路で空気を送る別の冷却ファンを備えている請求項1記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記冷却ファンの風量を、前記放熱器ファンの風量よりも大きく設定可能である請求項1または2記載のコンピュータ。
【請求項4】
前記電子部品および前記電子部品と別の電子部品が取り付けられたボードが、前記筐体の内部において前記放熱器の空気流通方向下流側に位置して、該筐体の一面に寄せて配置され、
前記別の電子部品を冷却する補助冷却ファンが、前記別の電子部品に
おける前記筐体の他面側に重ねて配置されている請求項1~3の何れか一項に記載のコンピュータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンピュータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータは、中央演算処理装置(CPU)などの発熱する電子部品を備えている。このような電子部品が高温になると、コンピュータの処理速度に悪影響を与えることから、電子部品に冷却ファンを付設して、電子部品を冷却している。
【0003】
コンピュータの冷却システムとしては、前述した空冷式とは別に、水冷式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。水冷式の冷却システムは、CPUに取り付けられた冷却器と、冷却器とチューブで接続された放熱器と、冷却器および放熱器の間に水を循環させるポンプを備えている。水冷式の冷却システムは、冷却器を通る水によってCPUを冷却し、ファンによって空気と熱交換する放熱器で水から熱を逃がす構成となっており、空冷式と比べて冷却能力が高いメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コンピュータは、処理能力の向上が常に求められていることから、電子部品に加わる負荷が大きくなっており、このため、電子部品を適切に冷却することが要求されている。そこで、水冷式の冷却システムの冷却能力を向上するため、放熱器を大きくすると、これに伴って筐体が大きくなるなどの問題が生じる。
【0006】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、冷却効率に優れた冷却システムを備えたコンピュータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本開示に係るコンピュータは、
筐体と、
前記筐体の内部に設置された電子部品と、
前記筐体の内部に設置され、内部を通る冷却媒によって前記電子部品を冷却する冷却器と、
前記筐体の内部に設置され、前記冷却器との間を循環する前記冷却媒から熱を逃がす放熱器と、
前記放熱器に重ねて配置され、前記放熱器を冷やす放熱器ファンと、を備え、
前記放熱器および前記放熱器ファンが、前記筐体の一面に対して、斜めに傾けた姿勢で配置されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコンピュータによれば、電子部品の冷却効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例に係るコンピュータの内部を示す平面図である。
【
図2】実施例のコンピュータの内部を示す側面図である。
【
図5】実施例のコンピュータを示す右側面図である。
【
図6】実施例のコンピュータにおいて、温度測定位置を示す説明図である。
【
図7】比較例のコンピュータにおいて、温度測定位置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係るコンピュータにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。コンピュータとしては、クラスターコンピュータを構成する計算サーバなどのサーバやファイルサーバやメールサーバなどのサーバ類、スーパーコンピュータ、パーソナルコンピュータなどが対象である。なお、実施例では、クラスターコンピュータを構成する複数の計算サーバのうちの1つを、コンピュータとして例示している。
【実施例】
【0011】
図1および
図2に示すように、実施例に係るコンピュータ10は、筐体12と、筐体12の内部に設置された電子部品としてのプロセッサ14と、筐体12の内部に設置され、プロセッサ14を冷却する冷却システムとを備えている。冷却システムは、水等の冷却媒によってプロセッサ14を冷却する所謂水冷式のシステムである。また、実施例のコンピュータ10は、筐体12の内部に空気の流れ(エアフロー)を形成するファンF1,F2,F3を備えている。実施例のコンピュータ10は、サーバラック等の設置棚に設置されて、同様のコンピュータ10同士を上下に複数台重ねた状態で使用される。
【0012】
(筐体)
図1~
図5に示すように、筐体12は、前後上下左右が金属等の板18a,18b,18c,18d,18eで構成された矩形状の箱であり、実施例の筐体12は、左右や前後と比べて上下寸法が小さい扁平形状である。実施例の筐体12は、左右の横板18c,18cの間に渡して配置された内板18fによって、内部スペースが前後2つに区分されている。実施例において、筐体12における前側スペースには、例えば、ハードディスクなどのドライブなどが設置されて、筐体12における後側スペースには、プロセッサ14等の電子部品や冷却システムや電源ユニットなどが設置される。
【0013】
筐体12には、空気が流通可能な通気口20a,20b,20cが設けられている。実施例の筐体12は、前板18aに設けられた前通気口20a(
図3)と、後板18bに設けられた後通気口20b(
図4)と、右横板18cに設けられた横通気口20c(
図5)とを備えている。ここで、実施例の筐体12では、前通気口20aから空気を主に導入して、後通気口20bや横通気口20cから空気を主に排出している。
【0014】
(電子部品)
図1および
図2に示すように、コンピュータ10は、CPUやGPUなどのプロセッサ14や、メモリ16などの多数の電子部品を備えている。コンピュータ10は、前述のプロセッサ14やメモリ16が取り付けられたマザーボード(ボード)22を備え、必要に応じてグラフィックボードやネットワークボードやその他のボードが設置される。実施例のマザーボード22は、下板18eに取り付けられ、下板18eに取り付けたスペーサねじなどによって下板18eと若干間隔をあけて配置されるが、筐体12の内部において下側(下板18e側)に寄せて配置されている。なお、プロセッサ14およびメモリ16は、マザーボード22の上面に取り付けられている。
【0015】
(冷却システム)
図1および
図2に示すように、実施例の冷却システムは、プロセッサ14を冷やす冷却器26と、図示しないチューブを介して冷却器26に接続している放熱器28と、放熱器28を冷やす放熱器ファンF1とを備えている。実施例の冷却システムは、冷却器26に内蔵したポンプ(図示せず)によって、冷却媒が冷却器26と放熱器28との間で循環するようになっている。なお、冷却媒としては、水や、エチレングリコールなどの不凍液や、これらの組み合わせを用いることができる。なお、冷却システムの構成機器としては、汎用品を用いることが可能である。
【0016】
(冷却器)
冷却器26は、プロセッサ14の上に重ねて設置され、直接またはヒートシンクを介してプロセッサ14と熱的に接続されている。冷却器26は、内部を通る冷却媒との熱交換によって、コンピュータ10に設けられる電子部品の中で比較的発熱量が大きいプロセッサ14を冷却するようになっている。
【0017】
(放熱器)
放熱器28は、内部を通る冷却媒を空気と熱交換させることで冷却媒から熱を逃がすラジエーターであり、おおよその外形が扁平なブロック形状(平板形状)である。
図1に示すように、放熱器28は、マザーボード22と内板18fとの間に配置されている。また、放熱器28は、下板18e(筐体12の一面)に対して、斜めに傾けた姿勢で配置されている。放熱器28は、放熱器28の中で最も大きな面を下板18eに沿わせて配置したり、最も大きな面を下板18eに対して垂直に立てたりするのではなく、放熱器28の中で最も大きな面が下板18eに対して傾くにように立てて配置されている。実施例の放熱器28は、放熱器28の中で最も大きい面を構成する長辺が、左右方向に沿うように配置され、放熱器28の中で最も大きい面を構成する短辺が、後から前へ向かうにつれて上方傾斜するように配置されている。すなわち、放熱器28は、筐体12内におけるエアフローの上流側となる前側に、放熱器28の傾斜した下面が臨み、下面から空気が通るようになっている。
【0018】
放熱器28の下面と下板18eとがなす放熱器28の設置角度α(
図2参照)は、5°以上に設定することが好ましく、10°以上に設定することがより好ましく、15°以上に設定することが更に好ましい。なお、実施例の放熱器28の設置角度αは、15°である。このような設置角度αとすると、放熱器28に空気を通し易くなるので、冷却効率を向上することができる。また、放熱器28の設置角度αは、45°より小さくすることが好ましい。このような設置角度αとすると、放熱器28の上下寸法をコンパクトにできる。
【0019】
(放熱器ファン)
図2に示すように、放熱器ファンF1は、放熱器28の上側(筐体12の一面側と反対面)に配置されている。放熱器用ファンF1は、放熱器28において最も大きな面の上側に配置されて、該大きな面と直交する方向へ空気の流れを作り出すようになっている。放熱器ファンF1は、下板18eに対して傾けて配置された放熱器28に沿って配置されて、放熱器28と同様に下板18eに対して傾けて配置されている。放熱器ファンF1としては、例えば、矩形状のフレームの内側に、羽根が配置された軸流ファンを用いることができ、羽根の軸が、前から後へ向かうにつれて上方傾斜するように斜めに配置されている。実施例の放熱器ファンF1は、放熱器28の下側から上側に向けて斜めに通る空気の流れを形成する。実施例では、放熱器28の上に左右方向に並べて2基の放熱器ファンF1,F1が設置されている。
【0020】
(冷却ファン)
筐体12の内板18fには、冷却ファンF2が設置されている。実施例のコンピュータ10は、冷却ファンF2によって吸気・排気に関する大まかなエアフローを形成している。冷却ファンF2は、放熱器28に対向する位置(作り出した空気の流れが放熱器28に当たる位置)に配置することが好ましく、実施例では、放熱器28の前側に左右に並べて複数(3基)の冷却ファンF2が配置されている。また、実施例では、放熱器28の前側から外れた位置にも冷却ファンF2が配置されている。冷却ファンF2としては、例えば、矩形状のフレームの内側に、羽根が配置された軸流ファンを用いることができ、羽根の軸が、前後方向に延びるように配置されている。そして、実施例の冷却ファンF2は、前から後へ向けて空気を送り出すようになっている。
【0021】
(補助冷却ファン)
図1に示すように、冷却器26で冷却されるプロセッサ14と別の電子部品であるメモリ16に重ねて補助冷却ファンF3を配置してもよい。補助冷却ファンF3としては、例えば、矩形状のフレームの内側に、羽根が配置された軸流ファンを用いることができ、羽根の軸が、上下方向に延びるように配置されている。そして、実施例の補助冷却ファンF3は、上から下へ向けて空気を送り出すようになっている。
【0022】
冷却ファンF2の風量を多くなるように設定することが好ましい。風量は、羽根の回転数を例えば5000回転程度の高回転で駆動することで多くすることが可能である。このとき、冷却ファンF2の風量を、放熱器ファンF1や補助冷却ファンF3よりも多く設定することが好ましい。実施例のコンピュータ10は、排気を主に担う後通気口20bなどに排気用のファンが設けられてないので、プロセッサ14等が設置された筐体12における後側スペースが外部と比べて圧力が高い正圧状態になる。このため、内部に埃を吸い込み難くなると共に後通気口20b等から排気し易いが、吸気が行いづらくなる。従って、冷却ファンF2の風量を多くして、吸気をフォローするとよい。
【0023】
(空気の流れの説明)
図1および
図2において、エアフローを矢印で示している。なお、エアフローの上下位置を特に区別する場合、筐体12の上部におけるエアフローを一点鎖線の矢印で示し、筐体12の下部におけるエアフローを破線の矢印で示す。
【0024】
図1および
図2に示すように、実施例のコンピュータ10は、内板に設けられた冷却ファンF2によって、前板18aの前通気口20aおよび横板18cにおける前側の横通気口20cから空気を取り込む。放熱器28の前側にある冷却ファンF2によって、空気が放熱器28に向けて送られ、空気が、放熱器ファンF1によって放熱器28を下から上に向けて斜めに通る。このように、放熱器28が斜めに配置されていても、これに合わせて放熱器ファンF1によって空気が放熱器28を斜めに通るので、放熱器28を通る空気と放熱器28を通る冷却媒との間で熱交換が効率よく行われる。これにより、プロセッサ14が効率よく冷却される。しかも、実施例の放熱器28において、放熱器28の中で一番大きい面を空気が通るので、冷却効率を向上できる。また、放熱器28には、放熱器28の前側に配置された冷却ファンF2によって下板18eとの間に積極的に空気が供給されるので、冷却効率を向上できる。放熱器28を通った空気は、下板18eと反対側の上板18dに沿って後側へ流れ、横板18cにおける後側の横通気口20cから外部に排出されると共に、プロセッサ14やメモリ16の上側を通って後板18bの後通気口20bから外部に排出される。このように、放熱器28と熱交換した空気を、プロセッサ14やメモリ16から離れた上部に流すことができる。また、放熱器28から外れた位置に配置された冷却ファンF2によって、放熱器28の横側から回り込んで、マザーボード22側に空気が流れて、後板18bの後通気口20bから外部に排出される。補助冷却ファンF3によってメモリ16に向けて上から空気が送られることで、メモリ16が冷やされ、メモリ16を冷やした空気は、横板18cにおける後側の横通気口20cや、後板18bの後通気口20bから外部に排出される。
【0025】
コンピュータ10は、プロセッサ14を冷却する冷却システムとして水冷式を採用しているので、空冷式と比べてプロセッサ14の冷却効率を大幅に向上できる。このようにプロセッサ14が適切に冷却されることで、プロセッサ14の処理速度を向上できると共に、コンピュータ10の稼働を安定させることができる。
【0026】
仮に放熱器28を下板18eに沿わせて寝かせた姿勢にすると、放熱器28の配置に要する上下スペースを小さくできるが、前後スペースが大きくなる。また、仮に放熱器28を下板18eに対して垂直に立てた姿勢にすると、放熱器28の配置に要する前後スペースを小さくできるが、上下スペースが大きくなる。実施例のコンピュータ10は、放熱器28および放熱器ファンF1を斜めに傾けて配置することで、筐体12内のスペースを有効利用して、放熱器28の配置に要する前後スペースおよび上下スペースを小さくできる。これにより、水冷式の冷却システムとすることで空冷式と比較して放熱器28および放熱器ファンF1が機器として増えても、筐体12の大型化を回避できると共に、筐体12に設置される他の機器とのスペースの取り合いに関する問題の発生を抑えることができる。更に、コンピュータ10は、放熱器28を傾けて配置することで、これまで筐体12の上下スペースなどの制約によって設置できなかった大型の放熱器28を設置できるから、筐体12の大きさを変えることなく、冷却システムによるプロセッサ14の冷却効率を向上できる。
【0027】
コンピュータ10は、放熱器28だけでなく放熱器ファンF1も放熱器28と同様に斜めに配置しているので、放熱器ファンF1によって放熱器28を適切に冷やすことができる。これにより、冷却システムによるプロセッサ14の冷却効率を向上できる。
【0028】
コンピュータ10は、放熱器28と熱交換した空気を、放熱器ファンF1によって上板18d側へ向けて案内している。放熱器28と熱交換した空気を、放熱器28の後側へ直線的に流さないことで、放熱器28の後側に配置されたプロセッサ14やメモリ16などの電子部品に、空気が当たるまでの経路を長くすることができる。また、プロセッサ14やメモリ16などの電子部品が、下板18e側に配置されているので、放熱器28と熱交換した空気をプロセッサ14やメモリの上側を通して後通気口20bから排気できる。更に、実施例において、放熱器28とプロセッサ14との間に横通気口20cがあるので、ここからも排気される。このようにすることで、放熱器28と熱交換した空気がプロセッサ14等に短い距離で当たることによる熱影響を抑制でき、プロセッサ14等の冷却効率を向上できる。
【0029】
コンピュータ10は、放熱器28における放熱器ファンF1が重なる面と反対側の下面に向けて、空気を送る冷却ファンF2を備えているので、冷却ファンF2によって放熱器28に対して空気を送ることができる。これにより、放熱器28における冷却媒の冷却効率を向上して、プロセッサ14の冷却効率を向上できる。ここで、冷却ファンF2が放熱器28の下面に対して向かい合う位置に配置されているので、放熱器28を適切に冷却できる。
【0030】
コンピュータ10は、メモリ14の上側に重ねて配置された補助冷却ファンF3によって、メモリ16に向けて空気を送ることで、メモリ16の温度上昇を防止できるから、処理速度を向上できる。
【0031】
実施例のコンピュータ10について、
図6に示す位置P1~P5に温度センサを設置し、稼働時の各位置P1~P5およびプロセッサ(CPU)14の温度を測定した。また、実施例の冷却システムに代えて、プロセッサ14の上に空冷ファンF4を設置した空冷式の冷却システムを用いた比較例のコンピュータ30についても、
図7に示す位置P1~P5に温度センサを設置し、稼働時の各位置P1~P5およびプロセッサ(CPU)14の温度を測定した。なお、比較例のコンピュータ30は、実施例と同様に冷却ファンF2を備えているが、補助冷却ファンF3が設けられていない。実施例および比較例は、ファンの回転数設定が表1の通りであり、ハイパースレッドがオフの設定である。計算中は、Linpackによるベンチマークテストを実行しており、計算開始から表1に示す時間経過後に、各位置P1~P5およびプロセッサ(CPU)14の温度を測定している。なお、環境温度は、コンピュータ10,30の周囲の温度(室温)である。その結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
表1に示すように、実施例のコンピュータ10によれば、空冷式の比較例と比べて、プロセッサ14の昇温を大幅に抑えることができる。比較例のコンピュータ30は、空冷ファンF4の回転数を高くしても、実施例のコンピュータ10のようなプロセッサ14の冷却効果が得られていない。
【符号の説明】
【0034】
10 コンピュータ,12 筐体,14 プロセッサ(電子部品),
16 メモリ(別の電子部品),26 冷却器,28 放熱器,F1 放熱器ファン,
F2 冷却ファン,F3 補助冷却ファン
【要約】
【課題】電子部品の冷却効率を向上する。
【解決手段】コンピュータ10は、筐体12と、筐体12の内部に設置されたプロセッサ等の電子部品14と、筐体12の内部に設置され、電子部品14を冷却する冷却システムとを備えている。冷却システムは、内部を通る冷却媒によって電子部品14を冷却する冷却器26と、冷却器26との間を循環する冷却媒から熱を逃がす放熱器28と、放熱器28に重ねて配置され、放熱器28を冷やす放熱器ファンF1とを備えている。放熱器28および放熱器ファンF1が、筐体12の例えば下面に対して、斜めに傾けた姿勢で配置されている。
【選択図】
図1