(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】パッチパネル
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20220525BHJP
G02B 6/38 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G02B6/46
G02B6/38
(21)【出願番号】P 2017251241
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】391005581
【氏名又は名称】三和電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069213
【氏名又は名称】平田 功
(72)【発明者】
【氏名】石嶺 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正規
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-507659(JP,A)
【文献】特開2015-102765(JP,A)
【文献】特開2000-331739(JP,A)
【文献】特開2005-078033(JP,A)
【文献】特開2004-361893(JP,A)
【文献】特開2004-037782(JP,A)
【文献】特開昭61-053606(JP,A)
【文献】特表昭61-501945(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0025683(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/02
G02B 6/24- 6/255
G02B 6/36- 6/40
G02B 6/46- 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光通信用のSCアダプタやLCアダプタを含む各種のアダプタを複数のポートに実装する複数のアダプタ取付枠をパネル本体の前面側から複数の窓孔を介して挿着可能に形成したパッチパネルであって、前記パネル本体の両サイドから後方へ向けて突設したパネル側フレームの後端側にて横架した後部支持板と、前記複数のアダプタ取付枠に実装された各アダプタに接続されているプラグのケーブルを束ねて保持するよう前記後部支持板の両端側に設けられたパネル側ケーブル保持部と、前記各アダプタ取付枠の両サイドから後方へ向けて突設した取付枠側フレームの後端側に横架した取付枠側ケーブル保持部とを備え
、
前記パネル側ケーブル保持部は、複数のポートに対応した全てのケーブルを結束した結束バンドを引っ掛けて保持するよう平面視略T字状の突起部分を残して切欠した係架溝によって形成され、前記係架溝は、前記結束したケーブルをパネル側ケーブル保持部の後方側又は側方側のいずれかに引き出されるよう前記平面視略T字状の突起部分が前方及び側方に向けられた状態となって形成されてなることを特徴とするパッチパネル。
【請求項2】
前記パネル側フレームには、前記後部支持板の取付位置を前後にスライドしてケーブルの曲げ位置が変えられるように固定可能としたスライド調整用長孔を備えたことを特徴とする請求項1記載のパッチパネル。
【請求項3】
前記スライド調整用長孔には、ネジを係止させるための複数の係止溝が形成されており、前記後部支持板をスライド調整用長孔に沿ってスライドさせ、後部支持板の端部に形成されたネジ孔を複数の係止溝のいずれかに宛がってから当該係止溝から前記ネジ孔に向けてネジを捻じ込み固定するものとしたことを特徴とする請求項
2記載のパッチパネル。
【請求項4】
前記取付枠側ケーブル保持部は、前記取付枠側フレームの後端側にて横架したタップ板と、ケーブルをタップ板に固定する複数のホルダ駒部材とからなり、各ホルダ駒部材には、当該ホルダ駒部材がタップ板に係止されて回転が防止されるよう回転防止突起を備えたことを特徴とする請求項1記載のパッチパネル。
【請求項5】
前記ホルダ駒部材は、その上面にタップ板に捻じ込むネジを挿入するためのネジ挿通孔が貫設され、ホルダ駒部材の下面には複数のケーブルを上方側から保持するための下向き円弧状の複数のケーブル押圧溝が形成されてなることを特徴とする請求項
4記載のパッチパネル。
【請求項6】
前記アダプタ取付枠は、6ポート仕様のポート枠であり、6ポートのケーブル毎、パネル本体から前面に引出せる収脱構造となっていることを特徴とする請求項1記載のパッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報配線システムにおいて、光通信用のSCアダプタやLCアダプタ等を含む各種のアダプタを実装するパッチパネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや工場等において、音声信号、LAN等のディジタル信号、画像信号といった様々な情報を伝達するために、ツイストペアケーブルを用いた情報配線システムが広く用いられている。このような情報配線システムでは、オフィスのレイアウト変更等の理由により情報配線の変更が必要となる場合に備えて、パッチパネルと称するネットワークの配線作業を支援するための中継端子盤が用いられている。
【0003】
具体的には、特許文献1に示す電話用のモジュラアダプタを実装するパッチパネルが公知である。このパッチパネルは、モジュラプラグが着脱自在に接続される6個のモジュラアダプタを一列に並べて保持する取付枠を4個の一列に並べて(モジュラアダプタが合計24個)パネル本体に取り付けられ、このパネル本体はラック等の被固定部位に上下段に取り付けられることで構成されている。
【0004】
このパネル本体の下縁からは背面側に突出する略コ字状の電線固定片がパネル本体と連続一体に形成されている。電線固定片は、中央片と、その両端部をそれぞれパネル本体に連結する連結片とで構成され、中央片及び連結片にはモジュラジャックに結線された電線を結束するための結束バンドを挿通する挿通孔が中央片及び連結片に夫々穿設され、所望の方向にケーブルを引き出すことができるようになっている。
【0005】
また、従来では、
図16に示すように、アダプタQを6ポート毎に適宜組み合わせて合計24個となって実装したアダプタ取付枠101をパネル本体102の前面側から挿着可能にしてなるパッチパネルPを形成し、パネル本体102の背面両端側から後方に向けて突設したサイドフレーム104の後端側にて横架したタップ板105に、2本のケーブルKを1組として各固定する複数のホルダ駒部材106を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した特許文献1による取付枠は、電話用モジュラアダプタの6ポート(6個)を一度にまとめてパネルに取り付けるためのものであり、情報配線システムにおける電気又は光通信用のSCアダプタやLCアダプタを取り付けるものではない。
【0008】
また、前記した特許文献1では、パネル本体の電線固定片の中央片においては、モジュラジャックに結線された電線を結束するための結束バンドを挿通する複数の挿通孔が等間隔となって穿設されているため、全ての電線の曲げ位置を適宜変えつつ電線固定片の両端部側からまとめて引き出すことができないことから、パネル本体の後部側において簾状の如く等間隔毎に垂れ下がった電線同士が乱雑に交叉して互いに絡まってしまい、例えばオフィスのレイアウト変更等の理由による情報配線の変更や保守作業等が非常に煩雑なものとなる虞がある。
【0009】
さらに、
図16に示す従来のパッチパネルPでは、サイドフレーム104の後端側にて横架したタップ板105に対する回転防止用の突起がホルダ駒部材106には無いため、2本1組のケーブルKを保持するホルダ駒部材106をタップ板105に固定する際に当該ホルダ駒部材106がタップ板105上で回転し、ケーブルK自体に過度な張力や屈曲を生じることにより、通信機能にダメージを与えてしまう虞があるとともに、前記ホルダ駒部材106がタップ板105上でバラバラに向いてしまうため、ケーブルKのセット作業に手間と時間が掛かってしまうという問題点がある。
【0010】
しかも、
図16に示す従来のパッチパネルPでは、タップ板105の後方側には、ケーブルKを結束バンドで束ねて保持する部分が無いため、タップ板105の後部から簾状の如く垂れ下がったケーブルK同士が乱雑に交叉して互いに絡まってしまう虞がある。
【0011】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、複数のアダプタ取付枠に実装された各アダプタに接続されているプラグの全てのケーブルの曲げ位置を適宜変えつつパネル本体の両端部側で保持した状態で全てのケーブルを引き出し結束バンドで束ねることでパネル本体の後部側においてケーブル同士が乱雑に交叉して互いに絡まってしまうのを未然に防止でき、またアダプタ取付枠のタップ板にケーブルを保持するホルダ駒部材を固定する際に当該ホルダ駒部材がタップ板上で回転し、ケーブル自体に過度な張力や屈曲を生じてしまうのを未然に防止できるとともに、ケーブルのセット作業を効率的に行えるようにしたパッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、光通信用のSCアダプタやLCアダプタを含む各種のアダプタを複数のポートに実装する複数のアダプタ取付枠をパネル本体の前面側から複数の窓孔を介して挿着可能に形成したパッチパネルであって、前記パネル本体の両サイドから後方へ向けて突設したパネル側フレームの後端側にて横架した後部支持板と、前記複数のアダプタ取付枠に実装された各アダプタに接続されているプラグのケーブルを束ねて保持するよう前記後部支持板の両端側に設けられたパネル側ケーブル保持部と、前記各アダプタ取付枠の両サイドから後方へ向けて突設した取付枠側フレームの後端側に横架した取付枠側ケーブル保持部とを備え、前記パネル側ケーブル保持部は、複数のポートに対応した全てのケーブルを結束した結束バンドを引っ掛けて保持するよう平面視略T字状の突起部分を残して切欠した係架溝によって形成され、前記係架溝は、前記結束したケーブルをパネル側ケーブル保持部の後方側又は側方側のいずれかに引き出されるよう前記平面視略T字状の突起部分が前方及び側方に向けられた状態となって形成されてなることを特徴とする。
【0013】
前記パネル側ケーブル保持部は、複数のポートに対応した全てのケーブルを結束した結束バンドを引っ掛けて保持するよう前方及び側方に互いに90度の角度で向けられた状態となって配置された環状突起によって形成されてなることを特徴とする。
【0014】
前記パネル側フレームには、前記後部支持板の取付位置を前後にスライドしてケーブルの曲げ位置が変えられるように固定可能としたスライド調整用長孔を備えたことを特徴とする。
【0015】
前記スライド調整用長孔には、ネジを係止させるための複数の係止溝が形成されており、前記後部支持板をスライド調整用長孔に沿ってスライドさせ、後部支持板の端部に形成されたネジ孔を複数の係止溝のいずれかに宛がってから当該係止溝から前記ネジ孔に向けてネジを捻じ込み固定するものとしたことを特徴とする。
【0016】
前記取付枠側ケーブル保持部は、前記取付枠側フレームの後端側にて横架したタップ板と、ケーブルをタップ板に固定する複数のホルダ駒部材とからなり、各ホルダ駒部材には、当該ホルダ駒部材がタップ板に係止されて回転が防止されるよう回転防止突起を備えたことを特徴とする。
【0017】
前記ホルダ駒部材は、その上面にタップ板に捻じ込むネジを挿入するためのネジ挿通孔が貫設され、ホルダ駒部材の下面には複数のケーブルを上方側から保持するための下向き円弧状の複数のケーブル押圧溝が形成されてなることを特徴とする。
【0018】
前記アダプタ取付枠は、6ポート仕様のポート枠であり、6ポートのケーブル毎、パネル本体から前面に引出せる収脱構造となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数のアダプタ取付枠に実装された各アダプタに接続されているプラグの全てのケーブルの曲げ位置を適宜変えつつパネル本体の両端部側で保持した状態で全てのケーブルを引き出し結束バンドで束ねることでパネル本体の後部側においてケーブル同士が乱雑に交叉して互いに絡まってしまうのを未然に防止でき、またアダプタ取付枠のタップ板にケーブルを保持するホルダ駒部材を固定する際に当該ホルダ駒部材がタップ板上で回転し、ケーブル自体に過度な張力や屈曲を生じてしまうのを未然に防止できるとともに、ケーブルのセット作業が効率的に行える。
【0020】
すなわち、本発明にあっては、光通信用のSCアダプタやLCアダプタを含む各種のアダプタを複数のポートに実装する複数のアダプタ取付枠をパネル本体の前面側から複数の窓孔を介して挿着可能に形成したパッチパネルであって、前記パネル本体の両サイドから後方へ向けて突設したパネル側フレームの後端側にて横架した後部支持板と、前記複数のアダプタ取付枠に実装された各アダプタに接続されているプラグのケーブルを束ねて保持するよう前記後部支持板の両端側に設けられたパネル側ケーブル保持部と、前記各アダプタ取付枠の両サイドから後方へ向けて突設した取付枠側フレームの後端側にて横架した取付枠側ケーブル保持部とを備えたので、パネル側ケーブル保持部は、パネル本体の後部側においてケーブル同士が乱雑に交叉して互いに絡まってしまうのを未然に防止でき、また取付枠側ケーブル保持部のホルダ駒部材がタップ板上で回転することによるケーブル自体の過度な張力や屈曲の発生を未然に防止することができる。
【0021】
前記パネル側ケーブル保持部は、複数のポートに対応した全てのケーブルを結束した結束バンドを引っ掛けて保持するよう平面視略T字状の突起部分を残して切欠した係架溝によって形成されてなるので、パネル側ケーブル保持部の係架溝に、全てのケーブルを結束した結束バンドを引っ掛けることで、全てのケーブルをまとめて引き出すことができ、パネル本体の後部側においてケーブル同士が乱雑に交叉して互いに絡まってしまうのを確実に防止することができるとともに、ケーブルのセット作業を効率的に行える。
【0022】
前記係架溝は、前記結束したケーブルをパネル側ケーブル保持部の後方側又は側方側のいずれかに引き出されるよう前記平面視略T字状の突起部分が前方及び側方に向けられた状態となって形成されてなるので、パネル側ケーブル保持部から後方又は側方へケーブルをまとめて容易に引き出すことができる。
【0023】
前記パネル側ケーブル保持部は、複数のポートに対応した全てのケーブルを結束した結束バンドを引っ掛けて保持するよう前方及び側方に互いに90度の角度で向けられた状態となって配置された環状突起によって形成されてなるので、結束バンドを介しての全てのケーブルの保持がいっそう確実に行える。
【0024】
前記パネル側フレームには、前記後部支持板の取付位置を前後にスライドしてケーブルの曲げ位置が変えられるよう固定可能なスライド調整用長孔を備えたので、スライド調整用長孔に沿って後部支持板の取付位置を変えることで、全てのケーブルの曲げ位置を容易に変えることができ、後部支持板の両端側に設けられたパネル側ケーブル保持部への前記結束バンドの取り付けが、他の上段あるいは下段に位置するケーブルに邪魔されることなく容易に行える。
【0025】
前記スライド調整用長孔には、ネジを係止させるための複数の係止溝が形成されており、前記後部支持板をスライド調整用長孔に沿ってスライドさせ、後部支持板の端部に形成されたネジ孔を複数の係止溝のいずれかに宛がってから係止溝からネジ孔に向けてネジを捻じ込み固定するものとしたので、スライド調整用長孔に沿っての後部支持板の取付位置を複数段階(例えば3段階等)で変えることが可能となり、ケーブルに対する結束バンドによる結束作業が支障となることがないように後部支持板を最適位置に設置することができる。
【0026】
前記取付枠側ケーブル保持部は、前記取付枠側フレームの後端側にて横架したタップ板と、ケーブルをタップ板に固定する複数のホルダ駒部材とからなり、各ホルダ駒部材には、当該ホルダ駒部材がタップ板に係止されて回転が防止されるよう回転防止突起を備えたので、アダプタ取付枠のタップ板にケーブルを保持するホルダ駒部材をネジ止め固定する際に当該ホルダ駒部材がタップ板上で回転してしまうのを未然に防止でき、これによりケーブル自体に過度な張力や屈曲を生じてしまうのを確実に防止することができるとともにケーブルのセット作業が効率よく行える。
【0027】
前記ホルダ駒部材は、その上面にタップ板に捻じ込むネジを挿入するためのネジ挿通孔が貫設され、ホルダ駒部材の下面には複数のケーブルを上方側から保持するための下向き円弧状の複数のケーブル押圧溝が形成されてなるので、タップ板に対するケーブルの固定が容易で且つ確実に行える。
【0028】
前記アダプタ取付枠は、6ポート仕様のポート枠であり、6ポートのケーブル毎、パネル本体から前面に引出せる収脱構造としたので、例えばオフィスのレイアウト変更等の理由による情報配線の変更や保守作業等がスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明を実施するための一形態におけるパッチパネルの全体構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明のパッチパネルを構成するパネル本体の平面図である。
【
図4】同じくパネル本体を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【
図6】パネル本体のパネル側フレームのスライド調整用長孔に沿って後部支持板の取付位置を3段階に変える状態を説明する平面図である。
【
図7】取付枠側ケーブル保持部のタップ板に取り付けられるホルダ駒部材の一例を示すもので、(a)は背面図、(b)は平面図、(c)は正面図、(d)は底面図、(e)は右側面図、(f)は左側面図である。
【
図8】本発明のパッチパネルを構成するアダプタ取付枠を示し、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図9】同じくアダプタ取付枠を示し、(a)はアダプタを装着しない状態の正面図、(b)はアダプタを装着した状態の背面図、(c)はアダプタを装着した状態の右側面図である。
【
図10】アダプタを装着しない状態のアダプタ取付枠を示す斜視図である。
【
図11】同じくアダプタを装着しない状態のアダプタ取付枠を示すもので、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図12】取付枠側ケーブル保持部のタップ板に1個のホルダ駒部材が取り付けられた状態を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は
図11(a)のA-A断面図である。
【
図13】パネル側ケーブル保持部の係架溝にケーブルの結束バンドを取り付けて、結束したケーブルをパネル側ケーブル保持部の後方側及び側方側へ引出した状態の平面図である。
【
図14】パネル側ケーブル保持部の環状突起にケーブルの結束バンドを取り付けた変形例の要部を示すもので、(a)は結束したケーブルをパネル側ケーブル保持部の後方側及び側方側へ引き出した状態の平面図、(b)は環状突起の要部を示す正面図である。
【
図15】本発明のパッチパネルをラック等の被固定部位に多段状態(3段)取り付けられた状態を概略的に示す右側面図である。
【
図16】従来例におけるパッチパネルの全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明に係るパッチパネルの実施の一形態を詳細に説明する。
<パッチパネルの外観構成>
本実施形態におけるパッチパネルは、
図1および
図8に示すように、プラグRが着脱自在に接続される光通信用のLCアダプタやSCアダプタ等を含む各種のアダプタQを6ポートとなって前面に露出した状態で保持する例えば4個のアダプタ取付枠1を備えている。
【0031】
これらアダプタ取付枠1を横一列に並べ、アダプタQに差し込まれるプラグRの接続ポートが合計24個となるようにパネル本体2の横長矩形状の4個の窓孔3それぞれに取り付けられる。このようにアダプタ取付枠1は、6ポート仕様のポート枠であり、6ポートのケーブルK毎、パネル本体2から前面に引出せる収脱構造となっている。尚、このパネル本体2は後述する
図15に示すように、ラックL等の被固定部位LAに例えば上下3段となって取り付けられる。
【0032】
<パネル本体の構成>
前記パネル本体2は、
図1乃至
図6に示すように、その前面が略矩形状でその両サイドから後方へ向けてパネル側フレーム4が各突設されていることで平面視略コ字形枠状に形成されている。また、前記したように、このパネル本体2の前面には長さ方向に沿って横長矩形状の4個の窓孔3が並設され、各窓孔3は、後述する例えば6ポート仕様のアダプタ取付枠1が横一列となった状態で塞がれる。さらに、パネル本体2の前面の長手方向における両端部は、当該パネル本体2をラックL等の被固定部位LAに固定するための取付ネジ(図示せず)を挿通する一対の取付用長孔2Bがそれぞれ穿設された支持板部2Aとなっている。
【0033】
図1、
図4(c)、
図5、
図15に示すように、前記パネル本体2のパネル側フレーム4には、後部支持板5が前後スライド可能となって横架されている。すなわち、このパネル側フレーム4の後端側には、前記後部支持板5の取付位置を前後にスライドしてネジNで固定可能としたスライド調整用長孔10が形成してある。
【0034】
前記スライド調整用長孔10には、その両端と途中の等間隔2箇所との合計4箇所にネジNを係止させるための円弧状の係止溝10Aが下向きに形成されており、前記後部支持板5を適宜前後にスライドさせ、その両端に形成された前後一対のネジ孔(図示せず)を各係止溝10Aのいずれか2つに宛がってから当該係止溝10Aからネジ孔に向けてネジNが捻じ込まれて固定される。
【0035】
而して、
図6に示すように、前記後部支持板5をパネル側フレーム4のスライド調整用長孔10に沿って前後位置が例えば3段階(係止溝10Aが等間隔に合計4個を設けた場合)に調整でき、当該後部支持板5の取付位置の前後スライド調整にてケーブルKの曲げ位置が複数段変えられるものとなっている。なお、本発明は、図示例の如く3段階固定に限定されることはなく、パネル側フレーム4の長さに応じて、4段階固定またはそれ以上であっても良い。
【0036】
図1、
図3、
図5、
図6に示すように、前記後部支持板5の両端側には、前記複数のアダプタ取付枠1に実装された各アダプタQに接続されているプラグRのケーブルKを束ねた結束バンドVを保持するためのパネル側ケーブル保持部6が形成されている。このパネル側ケーブル保持部6は、平面視略T字状の突起部分を残して切欠した係架溝9によって形成され、複数のポートに対応した全てのケーブルKを結束した結束バンドVを引っ掛けて保持するものとなっている。
【0037】
また、
図1、
図3、
図5、
図6に示すように、前記係架溝9は、前記平面視略T字状の突起部分が前方及び側方に互いに90度の角度で向けられた状態となって連設して形成され、前記結束したケーブルKをパネル側ケーブル保持部6の後方側又は側方側のいずれかの方向に引き出せるようにしている(
図2、
図13参照)。
【0038】
<アダプタ取付枠の構成>
図1、
図2、
図8、
図9、
図10、
図11、
図12に示すように、前記アダプタ取付枠1は、その両サイドから後方へ向けて取付枠側フレーム7が突設されていることで平面視略コ字形枠状に形成されている。この取付枠側フレーム7の後端側には、後述するホルダ駒部材12によって一対のケーブルKを過度な張力や屈曲を生じせずに確実に直線状となって保持するための取付枠側ケーブル保持部8が横架されている。
【0039】
具体的には、前記取付枠側ケーブル保持部8は、前記取付枠側フレーム7の後端側にて横架したタップ板11と、2本のケーブルKを1組としてタップ板11に各固定するための複数のホルダ駒部材12とからなる。
【0040】
すなわち、これらホルダ駒部材12は、
図7(a)~
図7(f)に示すように、略矩形ブロック状に形成され、その下面には複数(図示では左右一対)のケーブルKを上方側から保持するための下向き円弧状の複数(図示では左右一対)のケーブル押圧溝15a、15bが形成されている。
【0041】
また、前記各ホルダ駒部材12の上面中央には、ネジNを挿入するネジ挿通孔14が貫設されており、該ネジ挿通孔14を前記タップ板11のネジ孔(ネジ溝)に宛がってネジ挿通孔14からネジNを捻じ込むことでタップ板11に各ホルダ駒部材12が固定されるものとなっている。
【0042】
さらに、前記各ホルダ駒部材12の前側面中央(後側面中央でも可)には回転防止突起13が当該ホルダ駒部材12の下面より下方に若干突出した状態となって付設されており、例えば2本1組のケーブルKを保持した状態でホルダ駒部材12をタップ板11にネジ止め固定する際に当該ホルダ駒部材12の下方突出部13aがタップ板11前端に係止され、これによって前記ホルダ駒部材12がタップ板11上で回転してしまうのを防止している(
図8参照)。
【0043】
<パネル本体に対するアダプタ取付枠の脱着構造>
複数のアダプタ取付枠1は、パネル本体2の前面側から複数の窓孔3を介して挿入される。
図1、
図8(b)、
図9(a)、
図9(b)、
図10、
図11(b)、
図12(a)、
図12(a)、
図12(b)に示すように、前記アダプタ取付枠1の下縁端中央には、手指の例えば親指腹部側を上方に向けて若干差し込めることができる程度、あるいはマイナスドライバ等の工具を差し込める程度の縦横幅に十分な広さを有する略台形状の切欠部16が形成されている。
【0044】
そして、
図8(b)、
図9(a)、
図9(b)、
図11(b)、
図12(a)、
図12(b)に示すように、前記アダプタ取付枠1の下縁端内側には、切欠部16の内側を跨ぐようにして、弾性を有する横長板状の被係止部17が、その両端がアダプタ取付枠1に固定された状態で横架されている。
【0045】
さらに、前記被係止部17の下面には係止爪(図示省略)が形成されており、パネル本体2の各窓孔3の下側開口縁に当該係止爪を当接させた状態で前記アダプタ取付枠1の下部を押し込むことで、前記被係止部17の中央部が上方に撓曲しつつ各窓孔3の下側開口縁に各係止爪が係止するものとしてある。
【0046】
また、前記アダプタ取付枠1の下縁中央に形成された切欠部16を介して前記被係止部17の中央部を手指の例えば親指腹部側で上方に撓ませるか、あるいは前記切欠部16にマイナスドライバ等の工具Dを差し込んで被係止部17の中央部を上方に撓ませるか、等することでパネル本体2の窓孔3の下側開口縁による係止爪の係止が解除され、当該窓孔3からアダプタ取付枠1を取り外せる収脱構造としてある。
【0047】
<パネル側ケーブル保持部の変形例>
図14は、ケーブルKの結束バンドVを保持するための前記したパネル側ケーブル保持部6の変形例を示すものである。本変形例では、上記した平面視略T字状の突起部分を残して切欠した係架溝9に替わって、環状突起18によるパネル側ケーブル保持部6を形成している。これら環状突起18の孔部分は、前方及び側方に互いに90度の角度で向けられた状態となって配置され、複数のケーブルKを結束した結束バンドVをいずれか一方の環状突起18に巻回させて、パネル側ケーブル保持部6の後方側又は側方側のいずれかの方向に引き出せるようにしてある。
【0048】
次に、以上のように構成された形態についてのパッチパネルの使用の一例について説明する。
まず、
図1に示すように、前記アダプタ取付枠1の後方に延びる矩形筒状の開口枠に後方側からアダプタQを挿入し、アダプタ取付枠1の前面にアダプタQの差込口が露出した状態となるようにする。同時に、プラグRをアダプタQ後方の嵌合部に装着する。
【0049】
前記ホルダ駒部材12下面のケーブル押圧溝15a、15bに左右一対のケーブルKを各嵌合し、そのネジ挿通孔14をタップ板11のネジ孔(ネジ溝)に宛がって当該ネジ挿通孔14からネジNを捻じ込むことで、左右一対のケーブルKは挟持された状態となって前記タップ板11に前記ホルダ駒部材12が固定される。このとき、前記ホルダ駒部材12の前側面中央(後側面中央でも可)の回転防止突起13がタップ板11の前縁に係止され、ホルダ駒部材12はタップ板11上での回転が阻止された状態となる。
【0050】
前記パネル本体2の窓孔3の下側開口縁にアダプタ取付枠1の下部を押し込めば、前記被係止部17の中央部が上方に撓曲されて窓孔3の下側開口縁に係止爪が係止される。次いで、前記パネル本体2の窓孔3の上側開口縁に前記アダプタ取付枠1の上部を係止させることによって当該アダプタ取付枠1は前記パネル本体2の窓孔3に装着され、各窓孔3は例えば6ポート仕様の4個のアダプタ取付枠1が横一列となった状態で塞がれる。
【0051】
図2に示すように、前記後部支持板5をパネル側フレーム4のスライド調整用長孔10に沿って適宜前後方向にスライドさせ、当該後部支持板5の両端に形成された前後一対のネジ孔(図示せず)を前記スライド調整用長孔10の係止溝10Aのいずれか2つに宛がってから係止溝10Aからネジ孔に向けてネジNが捻じ込み固定する。このとき、
図6に示すように、前記後部支持板5を前記パネル側フレーム4のスライド調整用長孔10に沿って前後位置が複数段階(図示では3段階)に調整でき、当該後部支持板5の取付位置の前後スライド調整にてケーブルKの前後曲げ位置が任意に変えられる。
【0052】
次いで、
図2、
図13に示すように、前記パネル側ケーブル保持部6の係架溝9に、複数のポートに対応した全てのケーブルKを結束した結束バンドVを引っ掛けて保持する。このとき、
図6及び
図13に示すように、前記係架溝9は、前記平面視略T字状の突起部分が前方及び側方に互いに90度の角度で向けられた状態となって形成されていることから、前記結束したケーブルKをパネル側ケーブル保持部6の後方側又は側方側のいずれかの方向に引き出せるものとなる。
【0053】
例えば、
図2に示すように、6ポート枠による左側2個のアダプタ取付枠1から後方に引き出されている合計12本のケーブルKは結束バンドVで束ねられ、左側のパネル側ケーブル保持部6の平面視略T字状の突起部分が前方に向いている係架溝9に結束バンドVを引っ掛けることによってケーブルKの束は後方側に引き出される。
【0054】
また、
図2に示すように、6ポート枠による右側2個のアダプタ取付枠1から後方に引き出されている合計12本のケーブルKは結束バンドVで束ねられ、右側のパネル側ケーブル保持部6の平面視略T字状の突起部分が側方に向いている係架溝9に結束バンドVを引っ掛けることによってケーブルKの束は側方側に引き出される。
【0055】
なお、上記した環状突起18による変形例の場合も上記本実施形態と同様の作用効果がある。
【0056】
図15に示すように、上記構成によるパッチパネルPは、上記した支持板部2Aの取付用長孔2Bを介して、ラックL等の被固定部位LAにネジNを捻じ込み固定させる等により複数段例えば上下3段となって取り付けられる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態においては、複数のアダプタ取付枠1に実装された各アダプタQに接続されているプラグRの全てのケーブルKの曲げ位置を適宜変えつつ結束バンドVで束ねてからパネル本体1の両端部側で保持され、全てのケーブルKを束ねられた状態のままで後方へ向けて引き出し可能にする。これによりパネル本体1の後部側においてケーブルK同士が乱雑に交叉して互いに絡まってしまうのを未然に防止することができる。また、ホルダ駒部材12をネジ止め固定する際に当該ホルダ駒部材12がタップ板11上で回転してしまうことでケーブルK自体に過度な張力や屈曲を生じてしまうのを未然に防止できるとともに、ケーブルKのセット作業を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0058】
P パッチパネル
Q アダプタ
R プラグ
K ケーブル
N ネジ
L ラック
LA 被固定部位
1 アダプタ取付枠
2 パネル本体
2A 支持板部
2B 取付用長孔
3 窓孔
4 パネル側フレーム
5 後部支持板
6 パネル側ケーブル保持部
7 取付枠側フレーム
8 取付枠側ケーブル保持部
9 係架溝
10 スライド調整用長孔
10A 係止溝
11 タップ板
12 ホルダ駒部材
13 回転防止突起
13a 下方突出部
14 ネジ挿通孔
15a、15b ケーブル押圧溝
16 切欠部
17 被係止部
18 環状突起
101 アダプタ取付枠
102 パネル本体
104 サイドフレーム
105 タップ板
106 ホルダ駒部材