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▶ 田中精密工業株式会社の特許一覧

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  • 特許-播種装置 図1
  • 特許-播種装置 図2
  • 特許-播種装置 図3
  • 特許-播種装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】播種装置
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/04 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
A01C7/04 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018012269
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2019129711
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390023032
【氏名又は名称】田中精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095740
【弁理士】
【氏名又は名称】開口 宗昭
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 英一
(72)【発明者】
【氏名】井波 弘樹
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-067104(JP,A)
【文献】特開2000-304900(JP,A)
【文献】特開2016-163570(JP,A)
【文献】特開昭60-094006(JP,A)
【文献】米国特許第04627190(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】

栽培地に開けられた複数の孔の中に播種するための播種装置であって、 接種アームと、前記接種アームに種を吸着させるための吸着手段と、前記接種アームに吸着させる種を収納する種供給手段とよりなり、加振手段が付設された前記種供給手段はトレイ状に形成され、そのトレイ状底面には複数の突起部が設けられ、また前記吸着手段の種吸引部は負圧が加えられる吸引孔が開口する種吸引面を有し、この種吸引面が前記トレイ底面と対向するように前記種吸引部が配置され、前記吸引孔の孔径は播種する対象となる種が通過不能な径に設定されるとともに係る吸引孔は播種数である所要数形成され、前記加振手段によって加えられる振動に伴う前記種の跳躍が前記突起部によって促進され、適度な分散、高さとなったところに前記吸着手段を配置する事で、一の吸引孔に複数の種が固まって吸着されることを防止可能にされたことを特徴とする播種装置。
【請求項2】
前記種吸引面と前記トレイ底面とが実質的に平行となるように配置される請求項1記載の播種装置。
【請求項3】
前記栽培地に差し渡された接種アームを有し、前記吸着手段は前記接種アームに沿って移動自在にされると共に前記栽培地が前記接種アームと交差する方向に移動自在にされる請求項1または請求項2記載の播種装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は育苗を行う栽培地へ種を供給する播種装置に関し、特に、栽培地の播種孔に所要数の種を確実に蒔くことのできる、水耕栽培等に使用して好適な播種装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には吸引ノズルに種子が吸着するのに必要な時間を短縮でき、播種作業能率の向上図ることを目的とし、吸引ノズルを種子ホッパの底部に向けてノズル挿入口を介して出入自在に突入させ、上下反転自在に回動させる種子ホッパ底部近くの種子を吸引ノズルに吸着させると共に、種子ホッパのノズル挿入口に対向する底部に空気噴出孔を形成し、種子ホッパの底部近くにノズル挿入口から吸引ノズルを挿入し、かつ反転回動させる種子ホッパ底部の空気噴出孔から空気を噴出させるから、種子ホッパ内の種子残量に関係なく吸引ノズルに種子を速やかに吸着させ得ると共に、種子の粒形状または重さの相違によって浮遊力が不均一に作用しても、種子ホッパ底部の狭少空間に吸引ノズルと空気噴出孔を対向させ、粒形状または重さが異なったり不均一な種子を吸引ノズルに高い吸着精度で速やかに吸着させ得るとした真空式播種装置が開示された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3108895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された播種装置では、吸引ノズルに吸引される種の個数は所要数に制御できないという問題がある。
しかも種子ホッパ底部の狭少空間に吸引ノズルと空気噴出孔を対向させるという精密技術が必要であり、そのためのコスト増を避けることができない。
さらに播種の対象となる種のサイズを正確に分別する能力がなく、結果として別工程でサイズの異なる多数の種を予め分別する必要があり、その様な事前処理を行うこと自体生産性を低下させる要因となる。
【0005】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑み、所要数の種を効率よく確実に栽培地の播種孔に蒔くことのできる播種装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明の播種装置は、栽培地に開けられた複数の孔の中に播種するための播種装置であって、 接種アームと、前記接種アームに種を吸着させるための吸着手段と、前記接種アームに吸着させる種を収納する種供給手段とよりなり、加振手段が付設された前記種供給手段はトレイ状に形成され、そのトレイ状底面には複数の突起部が設けられ、また前記吸着手段の種吸引部は負圧が加えられる吸引孔が開口する種吸引面を有し、この種吸引面が前記トレイ底面と対向するように前記種吸引部が配置され、前記吸引孔の孔径は播種する対象となる種が通過不能な径に設定されるとともに係る吸引孔は播種数である所要数形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の播種装置によれば、所要数の種を効率よく確実に栽培地の播種孔に蒔くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る播種装置の全体構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係る播種装置の他の全体構成図である。
図3】本発明の実施の形態に係る播種装置の部分拡大図である。
図4】本発明の他の実施の形態に係る播種装置の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。まず、図1図2を参照して、本発明の全体構成を説明する。
【0010】
図1図2に示されるように、種搬送ベース1上に配置される栽培地2に設けられた複数の孔3の中に播種するための播種装置4は、 接種アーム5と、接種アーム5に種を吸着させるための吸着手段と、接種アーム5に吸着させる種を収納する種供給手段6とを備える。
接種アーム5は電動アクチュエータ7によって移動される旋回アクチュエータ8で駆動される旋回アーム9を備える。
図3に示す様に接種アーム5に種を吸着させるための吸着手段11へ種を供給する種供給手段である種収納容器12には本実施の形態では種収納容器12を加振器本体13とコイル14によって支持する態様の加振手段が付設される。この種収納容器12はトレイ状に形成され、そのトレイ底面12aには複数の突起部12bが設けられる。また吸着手段11の種吸引部15は吸引孔16が開口する種吸引面15aを有し、この種吸引面15aがトレイ底面12aと対向して種吸引部15が配置される。
吸引孔16の孔径の穴径とピッチは種の大きさに応じて設定され、具体的には播種する対象となる種17が通過不能な径に設定されるとともに係る吸引孔16は1回の播種動作で播種する所要数、たとえば本実施の形態では3個形成される。
種吸引面15aとトレイ底面12aとが実質的に平行となるように配置されることによって3個の吸引孔16からバランス良く種17が吸引される。
【0011】
播種の対象となる種17は同一品種であってもそのサイズは均一ではない。しかし栽培地2の予め設定された孔3には可能な限り均一な種17を選別して播種する必要がある。
本実施の形態の播種装置4では吸引孔16に係止される種17だけが播種の対象となるのでその限りにおいて均一な種17を播種することができる。
【0012】
また以上の本発明の播種装置4ではトレイ底面12aには複数の突起部12bが設けられ、その結果加振手段によって加えられる振動に伴う種17の跳躍が突起部12bにより促進され、適度な分散、高さとなったところに吸着手段11を配置する事で、一の吸引孔16に複数の種が固まって吸着されることを防止することができる。
その結果、単一の吸引孔16に複数の種17が吸着されて所要数、たとえば本実施の形態では3個を超える4個が吸着されることが防止される。これに対し突起部12bが設けられない場合には、跳躍が促進されず、単一の吸引孔16に複数の種17が吸着されて、所要数、たとえば本実施の形態では3個を超える4個が吸着手段11に吸着されることが生じ、効率よく正確な播種を行うことができなくなる。
【0013】
また以上の本発明の播種装置4ではトレイ底面12aには複数の突起部12bが設けられ、その結果加振手段によって加えられる振動に伴う種17の跳躍が促進され、その結果多少、種17の形や大きさが異なっても吸着手段11に所要数を吸着でき、事前にコーティングして球形にしたコート種子ではなくても播種が可能となり、その点で生産性を向上することができる。
【0014】
図4は本発明の他の実施の形態の播種装置4を示す。
本実施の形態の播種装置4では、栽培地2に差し渡して固定される接種アーム18が設けられ、矢印Aで示すように栽培地2が移動し、かつ吸着手段11が接種アーム18に沿って矢印Bで示すように移動して、所要の孔3に対する播種が行われる。吸着手段11に対しては先の実施の形態と同様に種収納容器10から効率よく所要数の種が供給される。
【符号の説明】
【0015】
4・・・播種装置、16・・・種、10・・・種収納容器、13・・・コイル、14・・・種吸引部、5・・・接種アーム、3・・・孔。
図1
図2
図3
図4