(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】照明システム、開閉機構及び開閉式照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20220525BHJP
F21V 21/30 20060101ALI20220525BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20220525BHJP
E04F 19/08 20060101ALI20220525BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220525BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21S8/02 420
F21V21/30 300
E04B9/00 J
E04F19/08 101A
E04F19/08 101H
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018002061
(22)【出願日】2018-01-10
【審査請求日】2020-03-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日 平成29年10月4日~6日 展示会名 LEDZ Pro. vol.2 新商品発表会 展示会の場所 東京ショールーム 東京都新宿区若葉1-4-1 株式会社遠藤照明 ENDO東京ビル
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 誠
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-014406(JP,A)
【文献】特開2015-230867(JP,A)
【文献】中国実用新案第205917955(CN,U)
【文献】特開2010-275747(JP,A)
【文献】特許第0109641(JP,C1)
【文献】特開平02-257506(JP,A)
【文献】特開2003-197024(JP,A)
【文献】実開昭57-103614(JP,U)
【文献】実開昭59-099307(JP,U)
【文献】特開2010-160531(JP,A)
【文献】特開2008-277105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 21/30
E04B 9/00
E04F 19/08
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面の開口に設置された複数の外枠と、前記外枠に対して開閉が可能な開閉式照明器具本体が少なくとも1つ設置された照明システムであって、
前記開閉式照明器具は、複数のLED素子が間隔をあけて配置されたLED基板、及び輝度ムラがほとんど生じない程度に前記LED基板から前記LED素子の間隔以上に離した距離に設置された拡散板を備え、前記開口をほぼ覆う面積の面光源であり、
前記開閉式照明器具本体と前記外枠は、前記開閉式照明器具本体又は前記外枠が備える回転軸及び軸受けによって連結可能であるとともに、前記開閉式照明器具本体又は前記外枠が備えるロックによって前記開閉式照明器具本体が前記外枠に支持された閉状態とすることが可能であり、
前記開閉式照明器具本体は、前記閉状態、前記ロックを外すことにより前記回転軸を軸として前記外枠に吊り下げられた開状態、及び前記回転軸を外枠から取り外すことにより前記開閉式照明器具本体を前記外枠から取り外した分離状態をとることが可能であり、
前記開口は、前記開状態及び前記分離状態において、人が天井裏を覗いたり天井裏に人が入るための点検口として使用可能である
照明システム。
【請求項2】
前記開閉式照明器具本体が設置されない前記外枠に、板又は固定式照明器具本体が設置される請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記開口は、格子状以外の配置がなされた、請求項1に記載の照明システム。
【請求項4】
前記開閉式照明器具本体は、点検口兼用のものと及び点検口兼用でないものを含み、前記閉状態において、点検口兼用のものと点検口兼用でないものは、前記ロックの外観により識別可能となっている、請求項1に記載の照明システム。
【請求項5】
前記照明システムは、前記設置面に透光性シートが貼られ、
前記開閉式照明器具本体の拡散板には、前記設置面に貼られた透光性シートと同じ素材の透光性シートが貼られている、請求項1から4のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記透光性シートは、布地の外観を備えた透光性シートである、請求項5に記載の照明システム。
【請求項7】
外枠と内枠を備え、前記内枠が前記外枠に吊り下げられた開状態及び前記外枠と前記内枠を閉じた閉状態をとることが可能な開口の開閉機構であって、
前記外枠に回転軸受け、前記内枠に回転軸を備え、前記回転軸は前記回転軸受けに挿入される方向に弾性力が加わっており、
前記開閉機構はさらに前記内枠に支持された前記回転軸を前記内枠側に押えるための押さえ板を備え、前記押さえ板は前記閉状態において前記外枠と前記内枠の間に収まり、
前記開状態において前記押さえ板を前記内枠側に押さえることにより、前記回転軸が前記回転軸受けから外れ、前記内枠を前記外枠から外すことが可能な、開口の開閉機構。
【請求項8】
前記押さえ板は、前記弾性力を備える、請求項7に記載の開口の開閉機構。
【請求項9】
開口の外枠と開閉式照明器具本体の内枠を備え、前記内枠が前記外枠に吊り下げられた開状態及び前記外枠と前記内枠を閉じた閉状態をとることが可能な開閉式照明器具であって、
前記外枠に回転軸受け、前記内枠に回転軸を備え、前記回転軸は前記回転軸受けに挿入される方向に弾性力が加わってお
り、
前記開閉式照明器具本体はさらに前記内枠に支持された前記回転軸を前記内枠側に押えるための押さえ板を備え、
前記押さえ板は前記閉状態において前記外枠と前記内枠の間に収まり、
前記開状態において前記押さえ板を前記内枠側に押さえることにより、前記回転軸が前記回転軸受けから外れ、前記内枠を前記外枠から外すことが可能な、開閉式照明器具。
【請求項10】
開口の外枠と開閉式照明器具本体の内枠を備え、開状態及び閉状態にすることが可能な開閉式照明器具であって、
前記外枠に回転軸受け、前記内枠に回転軸を備え、
前記外枠における前記回転軸受けより内辺に近い位置に、前記開状態において前記回転軸を前記回転軸受けから外して仮固定するためのくぼみが前記回転軸受けとは別に設けられている、開閉式照明器具。
【請求項11】
前記回転軸は、前記開閉式照明器具本体の内辺と外辺の間隔を100%として、内辺から10%以上50%以下の範囲に設けられている、請求項9又は10に記載の開閉式照明器具。
【請求項12】
前記開閉式照明器具本体の上面であって前記回転軸より内辺に近い位置に、電源が備えられている、請求項9から11のいずれか一項に記載の開閉式照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムと、この照明システムに適した開閉機能付天井埋込型照明器具(開閉式照明器具)に関する。
【背景技術】
【0002】
天井には照明器具、空調機器、無線中継器、換気口、スピーカー、監視カメラなどの機器・設備に加えて、天井裏を人が覗いたり天井裏に人が入るための点検口が配置される場合がある。このような多数の天井設置機器や点検口により、天井が煩雑になり美観が損なわれている場合がある。そこで、蛍光灯器具と点検口を組合せた点検口照明として美観を向上させた例として、例えば特許文献1に記載のものがあるが、既存の蛍光灯器具と点検口との組み合わせでは厚さ・重量が大きく、点検口として容易に開閉し人の出入りができるという機能が阻害されるため、ほとんど実用化されていなかった。
【0003】
近年、従来型照明に比べて軽量・薄型なLED(Light Emitting Diode)を用いて、点検口とLED照明器具を組み合わせる提案がなされている。例えば特許文献2では、蓋体を導光体型LED照明とし、外枠の一側縁部に回転自在に連結した点検口照明が開示されている。特許文献3には、浴室点検用蓋にLED照明機能をもたせ浴室点検用蓋を押し上げてずらすことにより開口するものが開示されている。
【0004】
関連する技術であるシステム天井として、例えば特許文献4に、あらかじめ天井に略格子状にバーを備え、その中のいくつかの格子内に、LEDパネルや有機ELパネル等の略正方形の光源パネルを備えたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-258449号公報
【文献】特開2010-275747号公報
【文献】特開2015-148106号公報
【文献】特開2008-282782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、点検口照明という個別の器具の提案はあったが、天井全体の美観を考えた照明システムの提案は見当たらない。そこで、本発明の課題は、照明器具や点検口を配置しても煩雑にならず、美観に優れた天井を実現することである。あるいは、点検口として使用可能な開閉式照明器具の配置の変更が容易であり、美観に優れた天井を実現することである。さらには、照明器具や点検口の存在自体を感じさせにくい、美観に優れた天井を実現することである。
【0007】
また、本発明の課題は、開閉式照明器具として、安全に開閉及び着脱ができることである。具体的な例としては、従来の点検口照明に比べて、開閉時に支える重さを低減させた開閉式照明器具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明は、天井面、壁面又は床面などの設置面の開口に設置された複数の外枠と、前記外枠に対して開閉が可能な開閉式照明器具本体が少なくとも1つ設置された照明システムであって、前記開口は、点検口として使用可能な大きさであり、前記開閉式照明器具は、複数のLED素子が間隔をあけて配置されたLED基板、及び輝度ムラがほとんど生じない程度に前記LED基板から前記LED素子の間隔以上に離した距離に設置された拡散板を備え、前記開口をほぼ覆う面積の面光源であり、前記開閉式照明器具本体と前記外枠は、前記開閉式照明器具本体又は前記外枠が備える回転軸及び軸受けによって連結可能であるとともに、前記開閉式照明器具本体又は前記外枠が備えるロックによって前記開閉式照明器具本体が前記外枠に支持された閉状態とすることが可能であり、前記開閉式照明器具本体は、前記閉状態、前記ロックを外すことにより前記回転軸を軸として前記外枠に吊り下げられた開状態、及び前記回転軸を外枠から取り外すことにより前記開閉式照明器具本体を前記外枠から取り外した分離状態をとることが可能であり、前記開口は、前記開状態及び前記分離状態において、人が天井裏を覗いたり天井裏に人が入るための点検口として使用可能である、照明システムである。
【0009】
また、好ましくは、前記開閉式照明器具本体が設置されない前記外枠に、板又は固定式照明器具本体が設置される照明システムである。
【0010】
また、好ましくは、前記開口は、格子状以外の配置がなされた、照明システムである。
【0011】
また、好ましくは、前記開閉式照明器具本体は、点検口兼用のものと及び点検口兼用でないものを含み、前記閉状態において、点検口兼用のものと点検口兼用でないものは前記ロックの外観により識別可能となっている、照明システムである。
【0012】
また、好ましくは、前記設置面に透光性シートが貼られ、前記開閉式照明器具本体の拡散板には、前記設置面に貼られた透光性シートと同じ素材の透光性シートが貼られている、照明システムである。
【0013】
また、好ましくは、前記透光性シートは、布地の外観を備えた透光性シートである照明システムである。
【0014】
また、好ましくは、前記透光性シートは、不燃性シートである照明システムである。
【0015】
また、本発明は、外枠と内枠を備え、前記内枠が前記外枠に吊り下げられた開状態及び前記外枠と前記内枠を閉じた閉状態をとることが可能な開口の開閉機構であって、前記外枠に回転軸受け、前記内枠に回転軸を備え、前記回転軸は前記回転軸受けに挿入される方向に弾性力が加わっており、前記開閉機構はさらに前記内枠に支持された前記回転軸を前記内枠側に押えるための押さえ板を備え、前記押さえ板は前記閉状態において前記外枠と前記内枠の間に収まり、前記開状態において前記押さえ板を前記内枠側に押さえることにより、前記回転軸が前記回転軸受けから外れ、前記内枠を前記外枠から外すことが可能な、開口の開閉機構である。
【0016】
好ましくは、前記押さえ板は、前記弾性力を備える、開口の開閉機構である。
【0017】
また、本発明は、開口の外枠と開閉式照明器具本体の内枠を備え、前記内枠が前記外枠に吊り下げられた開状態及び前記外枠と前記内枠を閉じた閉状態をとることが可能な開閉式照明器具であって、前記外枠に回転軸受け、前記内枠に回転軸を備え、前記回転軸は前記回転軸受けに挿入される方向に弾性力が加わっており、前記開閉式照明器具本体はさらに前記内枠に支持された押さえ板を備え、前記押さえ板は前記閉状態において前記外枠と前記内枠の間に収まり、前記開状態において前記押さえ板を前記内枠側に押さえることにより、前記回転軸が前記回転軸受けから外れ、前記内枠を前記外枠から外すことが可能な、開閉式照明器具である。
【0018】
また、好ましくは、前記回転軸は、前記開閉式照明器具本体の内辺と外辺の間隔を100%として、内辺から10%以上50%以下の範囲に設けられている、開閉式照明器具である。
【0019】
また、本発明は、好ましくは、前記開閉式照明器具本体の上面であって前記回転軸より内辺に近い位置に、電源が備えられている、開閉式照明器具である。
【0020】
本発明は、開口の外枠と開閉式照明器具本体の内枠を備えた開閉式照明器具であって、前記外枠に回転軸受け、前記内枠に回転軸を備え、前記外枠における前記回転軸受けより内辺に近い位置に、前記開状態において前記回転軸を前記回転軸受けから外して仮固定するためのくぼみが前記回転軸受けとは別に設けられている。
【0021】
好ましくは、前記回転軸は、前記開閉式照明器具本体の内辺と外辺の間隔を100%として、内辺から10%以上50%以下の範囲に設けられている。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、照明器具や点検口等を配置しても煩雑にならず、美観に優れた天井を実現することができる。
【0023】
また、本発明により、照明器具や点検口の存在自体を感じさせにくい、美観に優れた天井を実現することができる。
【0024】
また、本発明により、取り外しが容易な開閉機構を実現することができる。
【0025】
また、本発明により、開閉式照明器具として、安全に着脱できる。
【0026】
また、本発明により、開閉式照明器具を開閉する際に支える重さを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】開閉式照明器具の天井での配置を示す模式図。
【
図2】開閉式照明器具の天井での格子状以外の任意の配置を示す模式図。
【
図3】照明器具の表面に天井と同じ透光性シートを貼り付けた照明システムの消灯時天井模式図。
【
図4】照明器具の表面に天井と同じ透光性シートを貼り付けた照明システムの点灯時天井模式図。
【
図5】一実施形態の開閉式照明器具を天井に設置した上面図。
【
図6】一実施形態の開閉式照明器具を天井に設置した断面図。
【
図7】一実施形態の開閉式照明器具本体の開口を開いた状態の側面図及び閉じた状態の上面拡大図。
【
図8】他の実施形態の開閉式照明器具を天井に設置した上面図。
【
図9】他の実施形態の開閉式照明器具の開閉を説明するための側面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<天井に開閉式照明器具を配置した天井システムの実施形態>
図1は開閉式照明器具の天井での配置を示す模式図である。最初に天井310に複数の開口314をあけておき、四角形の外枠122(後述)を設置する。その開口に開閉式照明器具本体312、固定式照明器具本体311又は板313のいずれかを設置する。開閉式照明器具本体312のいくつかを図に示すように開状態にすることにより、照明器具の設置・交換が容易となるとともに、適宜点検口兼用とすることが可能なため、別途天井に煩雑な点検口を設けないことが可能な照明システムを実現できる。そのため、例えば空調機器の増設などのために点検口を増設する必要が生じた場合、点検口を増設する工事を行うことなく、固定式照明器具本体311を開閉式照明器具本体312に置き換えることにより新たな点検口として機能させることができる。なお、開閉式照明器具本体とは、ロック機構を外すと外枠に一部が支持されて吊り下げられた開状態を取ることのできる器具であり、固定式照明器具本体とは、外枠との分離・固定が可能であるが、外枠に一部が支持されて吊り下げられた開状態がない器具である。
【0029】
開閉式照明器具本体312の具体的な構造は、後述する開閉式照明器具本体123又は223に記載する。開閉式照明器具本体123側に回転軸、開口314の外枠122に回転軸受けが備えられ、回転軸が回転軸受けに挿入される。
【0030】
固定式照明器具本体311としては、例えば特許文献4に記載の光源ユニットのような正方形の板型の照明器具を、開口部の外枠122に載せ、固定すればよい。
【0031】
点検口を兼用しない場合であっても、開閉式照明器具本体312を設置し、設置及び交換以外の場合は開閉せずに使用してもよい。そのような開閉式照明器具本体312を不用意に開閉させないために、点検口兼用の開閉式照明器具本体と点検口兼用でない開閉式照明器具本体を識別可能とすることが望ましい。具体的には、後述するロック136の色・形・位置・数などを点検口兼用の開閉式照明器具本体312のものと変えたり、点検口兼用でない開閉式照明器具のロック136が簡単にロック解除できないようにするとよい。
【0032】
開口314には、開閉式照明器具本体312、固定式照明器具本体311以外の天井設置器具を設置してもよい。例えば空調機器、換気口を設置してもよく、板313にスプリンクラー、ガス警報器、スピーカー、無線中継器、監視カメラ等を取り付けて設置してもよい。板313に取り付けた機器は、板313を天井310から取り外すことにより容易にメンテナンスすることができる。開口314に、照明器具と兼用でない通常の点検口を設置してもよい。
【0033】
複数の外枠122は独立しており連結していない。そのため
図2に示すように、開口の配置は格子状以外の任意の配置とすることができる。例えば部屋の形状が四角形でない場合に、開口314Aのように、適宜配置位置を格子位置からずらすことができる。開口314Bのように、暗くなりがちな隅部に寄せることにより、部屋の照度を均一化することもできる。
【0034】
なお、このような開口を配置した照明システムは、天井面以外に壁面、床面などの設置面であっても適用可能である。
【0035】
<照明器具と天井の表面に同じ透光性シートを貼り付けた天井システムの実施形態>
図3に、照明器具の表面に天井に貼り付けたのと同じ透光性シートを貼り付けた照明システムの、消灯時天井模式図を示す。
【0036】
天井410、固定式照明器具本体411、開閉式照明器具本体412のすべてに、同じ布地の外観を備えた透光性シート415を貼り付けている。透光性シートとしては、照明の観点からは光透過性の高い素材が好ましく、例えばリリカラ株式会社製の不燃性壁紙LY-14791を用いることができる。布地状の透光性シートは、縦糸と横糸を織った本物の布地でなく、例えば布地、木目その他の模様のプリントをしたシートであってもよい。なお
図3では布地状の透光性シートのイメージを図示するために、布目を実際よりはるかに粗く表示している。
【0037】
図4に、この照明システムの点灯時天井模式図を示す。
図3と比較して、消灯時にほとんど見えなかった固定式照明器具本体411、開閉式照明器具本体412が点灯時に突然見えるため、意外性のある建築環境を提供できる。これら照明器具の消灯時に照明器具の存在をほぼ消すことができるため、インテリア的に優れた照明システムを提供できる。
【0038】
なお、このような照明システムは、天井面以外に壁面、床面などの設置面であっても適用可能である。照明器具は、固定式照明器具だけであっても開閉式照明器具だけであってもよい。
【0039】
<電源付開閉式照明器具の実施形態>
図5は、開閉式照明器具の一例を天井に設置した上面図、
図6はその断面図である。
【0040】
開閉式照明器具120は、外枠122と開閉式照明器具本体123からなる。開口となる外枠122の内寸は45cm角だが、30cm角、60cm角など建築で通常用いられるサイズとしてもよい。
【0041】
外枠122は、照明器具の重量あるいは点検する人の体重を支持するため、一般に、天井板110の補強材である野縁Mバー113、取付用チャンネル112と、チャンネルキャッチ119などを用いて固定される。
【0042】
開閉式照明器具の万が一の落下を防止するため、落下防止ワイヤ128を、内枠124と天井側の部材(例えば取付用チャンネル112)の間に、例えば内枠124に落下防止ワイヤ128を通したスプリングフック127をひっかけて設置することが好ましい。
【0043】
開閉式照明器具本体123は、LED基板134にLED素子132を約3cm間隔で縦・横に配置し、LED基板134から3cm程度離した距離に高光透過性アクリルからなる拡散板130を設置したものである。このようにLED素子間隔に対して拡散板をある程度離すことにより、拡散板上にLEDの輝度ムラ(粒々感)がほとんど生じないようになる。また、LED素子132の正面に拡散板がある直下型面光源の構造のため、導光板型より効率に優れる。器具重量を例えば2kg程度と軽量化するため、鉄板でなくアルミニウム板、マグネシウム合金などの軽量金属を用いることが望ましい。全光束は天井高さに応じて5500lmから14000lm程度とし、調光できることが好ましい。色温度はオフィスでの使用では5000K程度が好適だが、さらに例えば2500Kから5000Kに調色できるとよい。
【0044】
開閉式照明器具本体123側に回転軸150を設け、外枠122側の回転軸受け160に挿入することにより、開閉式照明器具本体123は回転可能に外枠122に支持される。
【0045】
開閉式照明器具本体123側のスライド式ロック136を固定側にスライドして、外枠122側がロック136により開閉式照明器具本体123を支持する状態とする。なお、ロック136としては回転式のものや、外枠側に備えられたものがあり、適宜置き換えてもよい。
【0046】
開閉式照明器具本体123のロック近傍を手で支え、ロックを外すと、開閉式照明器具本体123の重さが手にかかり、ゆっくりと降ろすと開閉式照明器具本体123が回転軸150を軸に回転して開状態となる。開閉式照明器具本体123は板状の点検口と比べて重量があるため、支持する人に負担となるが、支持する重さである開方向回転力138を弱めるために、回転軸よりも右側に重量物である電源140を設置している。ここでは内枠幅44cmに対し、回転軸を図の内枠左端から7cmの位置に設置し、それよりも左側に電源140を設置している。これにより、電源140が閉方向回転力139を与えるバランスウエイトとして働き、ロックを外した時に支える重さが軽くなる。
【0047】
電灯線144を開閉式照明器具本体123の横側(回転軸のある辺)より端子台142に配線する。端子台142はほぼ回転軸150上にあると、回転により電灯線144が引っ張られないため好ましいが、回転軸150より少し奥側に配置してもよく、その場合わずかではあるが支える重さを緩和する。電源140によって変換されたLED駆動電力は、LED駆動用コード145を介してLED基板134に供給される。
【0048】
開閉式照明器具本体123の落下防止のため、内枠124の右辺から、野縁Mバー113又は野縁受けなどの天井構造材に落下防止ワイヤを通すことが好ましい。
【0049】
<取付バネを用いた開閉機構の実施形態>
開口を構成する外枠122と開閉式照明器具本体123の内枠124を外し、開口を開いたときの状態の側面図を
図7(a)に示す。回転軸150を押えるための押さえ板152が内枠の外側(両側)にあり、それぞれを両手で内側に押えることによって回転軸150が回転軸受け160から外れ、開閉式照明器具本体123を外枠122から安全に外すことが可能である。
【0050】
外枠122と内枠124を閉じた状態の回転軸150、回転軸受け160周辺の上面拡大図を
図7(b)に示す。バネ154は回転軸150が回転軸受け160側に挿入されるように弾性力で押している。ヒンジ156によって支持された押さえ板152を手で押すことにより、バネ154が圧縮され、回転軸150を回転軸受け160から外すことが可能である。
【0051】
なお、独立したバネ154を用いずに、押さえ板152自体が回転軸150とつながり外枠122側に向かう弾性を備えていてもよい。
【0052】
回転軸受け160は、一方向に長い穴としているが、円形状であってもよい。もともと点検口用の回転軸受けには、点検口を取り外す際、開口に対して左右の長い穴の両端を用いることにより取り外せるものがある。本器具では、回転軸が伸縮可能なため、長い穴でなく円形状の穴であっても取り外しが可能となる。
【0053】
この天井開口の開閉機構は、内枠124によって支持されるものが開閉式照明器具本体123でなくてもよく、例えば内枠が板を支える構造の一般的な点検口にも適用できる。内枠は独立した構造でなく、開閉式照明器具の一部であってもよい。
【0054】
<電源別置型開閉式照明器具の実施形態>
開閉式照明器具220(外枠222と開閉式照明器具本体223よりなる)を天井へ設置した状態の上面図である
図8において、電源240が本体側でなく、天井側に設置されている。天井板210には、野縁Sバー211、補強野縁212があるが、ここでは一例として電源240を補強野縁212の上に設置している。電灯線244から電力が電源240に入力され、直流化された電力がLED駆動用コード245を介して開閉式照明器具本体223に供給される。LED駆動用コード245の途中には、出力コネクタ246と入力コネクタ247があるため、開閉式照明器具本体223を取り外す際にコードが容易に分離可能である。
【0055】
内枠224には回転軸250、外枠222には回転軸受け260が設けられ、回転軸250が回転軸受け260に挿入可能になっている。
【0056】
LED駆動用コード245は、ほぼ回転軸250と回転軸受け260の上を通るように配置されている。そのため、開閉式照明器具本体223を開閉した場合でも、コードの移動が最小限に抑えられ、引っ張られることがない。
【0057】
開閉式照明器具本体223の開閉を説明するための側面図を
図9に示す。従来の点検口では、点検口の回転軸は内辺224Cの近傍に設けられていた。それに対し、開閉式照明器具本体223は、回転軸250を内枠の辺の中心近くに設けている。図に示すように、内枠の幅(内辺224Cと外辺224Wの間隔)を100%として、回転軸の位置Xを内辺224Cから10%と50%の範囲内、より好ましくは20%以上あるいは40%以下の範囲内とした。これにより、開方向回転力238と閉方向回転力239がある程度相殺するため、開閉式照明器具本体223を取り外す前の支える重さが軽くなり、作業者が、重量のある開閉式照明器具を開ける際の安全性が向上する。この方式は、電源を開閉式照明器具本体の上に搭載した先の例(開閉式照明器具本体120)にも適用できる。
【0058】
開閉式照明器具本体223を外枠222から外す場合、まずロック226を外し、
図9に示した開状態Pとする。次に出力コネクタ246と入力コネクタ247を外し、押さえ板252(押さえ板152と同じ構造のもの)を押して回転軸250を回転軸受け260から外せばよい。
【0059】
開閉式照明器具本体223を外枠222から外さず簡単に天井裏を覗くこともできる。まず開状態Pとした後、出力コネクタ246と入力コネクタ247を外すことなく、押さえ板252を押して回転軸250を回転軸受け260から外し、外枠222の上に載せて図の左方向にすべらせ、回転軸250を仮固定するためのくぼみ261に入れ、開状態Qとする。これにより人が天井裏を覗いたり天井裏に入ったりするための十分なスペースが確保できる。くぼみ261は回転軸の位置Xより内辺224Cに近い位置、好ましくは内辺224Cから内枠の幅の20%以内の位置としたが、10%以内としてもよい。なおくぼみ261がなくても開状態Qとすることは可能である。
【0060】
なお、開閉式照明器具本体223は回転軸250を縮めるための押さえ板252がないタイプであってもよく、回転軸250の長さが固定のものであってもよい。
【0061】
ここでは「内枠」という独立した構造があるとして説明したが、特に独立した内枠がなく開閉式照明器具本体と一体化されている場合も、開閉式照明器具本体の外側を「内枠」とみなして同じことが言える。
【0062】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0063】
110 天井板
112 取付用チャンネル
113 野縁Mバー
119 チャンネルキャッチ
120 開閉式照明器具
122 外枠
123 開閉式照明器具本体
124 内枠
127 スプリングフック
128 落下防止ワイヤ
130 拡散板
132 LED素子
134 LED基板
136 ロック
138 開方向回転力
139 閉方向回転力
140 電源
142 端子台
144 電灯線
145 LED駆動用コード
150 回転軸
152 押さえ板
154 バネ
156 ヒンジ
210 天井板
211 野縁Sバー
212 補強野縁
220 開閉式照明器具
222 外枠
223 開閉式照明器具本体
224 内枠
224C 内辺
224W 外辺
226 ロック
238 開方向回転力
239 閉方向回転力
240 電源
244 電灯線
245 LED駆動用コード
246 出力コネクタ
247 入力コネクタ
250 回転軸
252 押さえ板
310 天井
311 固定式照明器具本体
312 開閉式照明器具本体
313 板
314、314A、314B 開口
410 天井
411 固定式照明器具本体
412 開閉式照明器具本体
415 透光性シート