(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】駐車管理システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20220525BHJP
【FI】
G07B15/00 Z
(21)【出願番号】P 2018013354
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】松本 嵩寛
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-003393(JP,A)
【文献】特開平10-198892(JP,A)
【文献】特開2012-133429(JP,A)
【文献】登録実用新案第3168323(JP,U)
【文献】特開2012-203833(JP,A)
【文献】特開2017-045384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車室をまとめて撮像可能に設置される撮像部と、
前記撮像部において取得された撮像データ
の領域分けにより、1つの車室を分割した分割車室ごとに駐車した車両の画像データを抽出する画像処理部と、
前記画像処理部で
の抽出
により分割車室ごとに識別された車両の画像データ
として読み取った車番情報に基づいて
車両を
特定してロックレス式で管理する車両管理部と
を備える、駐車管理システム。
【請求項2】
前記撮像部は、並列する2つの車室の境界に1つ設けられ、当該2つの車室をまとめて撮像可能に設置されている、請求項1に記載の駐車管理システム。
【請求項3】
前記撮像部は、複数あり、並列する2つの車室に対して1つずつ設置されている、請求項2に記載の駐車管理システム。
【請求項4】
前記撮像部は、複数あり、1つの車室の両端に前記撮像部を1つずつ配置させて、当該1つの車室を重畳して撮像する、請求項2に記載の駐車管理システム。
【請求項5】
前記画像処理部は、
1つの自動車用車室を分割した分割車室ごとに駐車した
二輪車又は三輪バイクを特定する画像データ
として形状データを抽出し、
前記車両管理部は、分割車室ごとに識別された車両を管理する、請求項1~4のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【請求項6】
前記車両管理部は、料金精算処理を行う精算機である、請求項1~5のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【請求項7】
前記車両管理部は、識別された車両が予め登録した車両であるかを確認する登録車両確認部である、請求項1~5のいずれか一項に記載の駐車管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック板に代えて、カメラやセンサー等を設置することで駐車場の管理を行うロックレス式の駐車管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コインパーキング等の駐車場における管理について、昇降可能なロック板を各車室に設けるものが従来から知られているが、ロック板に代えて、例えばカメラを車室ポールに設置して管理を行うものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記のような方式では、1つの車室ごとに1つのカメラを設置しているため、コストアップの問題がある。また、カメラが破損すると、破損したカメラに対応する車室の監視が行えなくなるといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、ロック板に代えてカメラ等の撮像部を設けることで駐車車両を管理する駐車場において、目的に応じて多様な構成で駐車場を管理できる駐車管理システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための駐車管理システムは、複数の車室をまとめて撮像可能に設置される撮像部と、撮像部において取得された撮像データを領域分けして、各車室に駐車した車両の画像データを抽出する画像処理部と、画像処理部で抽出された車両の画像データに基づいて識別された車両を管理する車両管理部とを備える。
【0007】
上記駐車管理システムでは、1つの撮像部によって複数の車室を撮像するとともに、画像処理部において、抽出された画像データに基づいて各車室の状況を把握できるので、例えば1つの車室ごとに撮像部を設けるような場合に比べて撮像部の台数を減らした態様としたり、1つの車室を複数の撮像部で重畳的に監視して仮に1つの撮像部が破損しても監視を続けられる態様としたりできる。すなわち、目的に応じて多様な構成で駐車場を管理できる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、撮像部は、並列する2つの車室の境界に1つ設けられ、当該2つの車室をまとめて撮像可能に設置されている。この場合、1つの撮像部で2つの車室を撮像できることで、駐車場全体における撮像部の台数削減や、一の撮像部の破損時における他の撮像部によるバックアップ撮像が可能になる。
【0009】
本発明の別の側面では、撮像部は、複数あり、並列する2つの車室に対して1つずつ設置されている。この場合、2つの車室に対して1つずつ撮像部を設置することで、1つの車室ごとに1つの撮像部を設ける場合に比べて撮像部の台数を減らすことができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、撮像部は、複数あり、1つの車室の両端に撮像部を1つずつ配置させて、当該1つの車室を重畳して撮像する。この場合、1つの車室を重畳して撮像することで、例えば一の撮像部の破損時における他の撮像部によるバックアップ撮像が可能になる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、画像処理部は、撮像部において取得された撮像データの領域分けにより、1つの自動車用車室を分割した分割車室ごとに駐車した車両の画像データを抽出し、車両管理部は、分割車室ごとに識別された車両を管理する。この場合、1つの自動車用車室を分割して二輪等の駐車を可能にする分割車室について監視できる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、車両管理部は、料金精算処理を行う精算機である。この場合、駐車管理情報に基づく精算処理を行うことができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、車両管理部は、識別された車両が予め登録した車両であるかを確認する登録車両確認部である。この場合、予め登録されている情報に基づく駐車管理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る駐車管理システムの一例について説明するための概念図である。
【
図2】駐車管理システムにおける各車室の管理の様子について説明するための概念図である。
【
図3】(A)は、1つのカメラによって撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図であり、(B)は、各カメラからの情報に基づく駐車状況についてデータ表の一例である。
【
図4】第2実施形態に係る駐車管理システムの一例における各車室の管理の様子について説明するための概念図である。
【
図5】(A)は、1つ目のカメラによって撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図であり、(B)及び(C)は、2つ目のカメラ及び3つ目のカメラによってそれぞれ撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図であり、(D)は、各カメラからの情報に基づく駐車状況についてデータ表の一例である。
【
図6】第3実施形態に係る駐車管理システムの一例における各車室の管理の様子について説明するための概念図である。
【
図7】(A)は、1つ目のカメラによって撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図であり、(B)は、2つ目のカメラによって撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図であり、(C)は、各カメラからの情報に基づく駐車状況についてデータ表の一例である。
【
図8】第4実施形態に係る駐車管理システムの一例について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1実施形態〕
以下、
図1等を参照して、第1実施形態に係る駐車管理システムについて一例を説明する。
図1は、本実施形態に係る駐車管理システム100を備えた駐車場について説明する概念図である。また、
図2は、駐車管理システム100における各車室VIの管理の様子について説明するための概念図であり、
図1のうち一部の車室VI1~VI4とその周辺の様子を示している。なお、本実施形態では、各車室VIは、四輪車用の車室すなわち自動車用車室であるものとして説明する。
【0016】
図1に示すように、駐車管理システム100は、駐車場全体の統括制御を行う統括部として機能する車両管理部50と、複数の車室VI,VI…に対して設けられた複数の撮像部10,10…とを備える。なお、本実施形態における駐車場については、典型的な一例としては、屋外に設けられる駐車場が考えられ、この場合、各撮像部10や、車両管理部50も、屋外に設置される。
【0017】
図1に示すように、駐車管理システム100のうち、車両管理部50は、駐車場全体の統括制御を行うための主要部である主制御部51と、各撮像部10からの画像情報を、駐車管理を行うための監視情報として受け付ける監視情報受付部52と、監視情報受付部52で受け付けた画像情報について監視情報として利用可能にするために画処理をする画像処理部53と、駐車管理に関する各種情報を含む各種情報を格納する記憶部54と、利用者に対する表示動作や利用者による入力操作の受付等をするためのインターフェース部55とを備える。
【0018】
主制御部51は、CPU等で構成され、監視情報受付部52や画像処理部53、記憶部54等の各部と接続し、各部から送信される情報を受け付けて各種処理をして駐車管理のために必要な情報を抽出するとともに、処理結果に応じて各部へ各種指令信号を送信することで、監視処理部51aとして機能する。すなわち、主制御部51は、車両管理部50の主要部である。
【0019】
監視情報受付部52は、図示のように、複数の撮像部10,10…とそれぞれ接続されるべく配線されており、各撮像部10からの撮像データ等、各種データを受け付ける。
【0020】
画像処理部53は、GPU等で構成され、監視情報受付部52を介して受け取った各撮像部10からの撮像データについて逐一画像処理し、駐車状況を知るために必要な解析処理を行う。
【0021】
記憶部54は、ストレージデバイス等で構成され、各種データや、主制御部51等における各種処理において必要な各種プログラムを格納する。
【0022】
インターフェース部55は、例えば駐車場の利用者に対して必要な情報を提供したり、あるいは、利用者による操作入力等を受け付けたりすることを可能とするための各部で構成されている。
【0023】
また、図示の例では、車両管理部50を構成する各部は、一連の精算処理を行う精算機を構成するものの一部として設けられている。すなわち、車両管理部50は、料金精算処理を行う精算機としても機能する。このため、例えば主制御部51は、駐車管理情報を利用して精算処理を併せて行う精算処理部51bとしても機能する。また、例えばインターフェース部55は、利用者による料金支払いを可能とするための料金挿入部や領収書発行部等の各部を構成要素として備える。
【0024】
次に、駐車管理システム100のうち、複数の撮像部10,10…は、複数の車室VI,VI…に対して設けられている。ここでの一例では、各車室VIは、
図1及び
図2に例示するように、Z1方向に一列に並ぶものとし、各撮像部10は、車室VIの並ぶZ1方向に沿って、2つの車室VI,VIにつき1つの割合で配置されている。すなわち、各撮像部10は、複数の車室VI,VI…に対して1つおきで、あるいは1つ飛ばしで、配置されている。
【0025】
図2に示すように、各撮像部10は、例えばCMOSセンサー等で構成され撮像を行う撮像部10の主要部であるカメラ11と、カメラ11を支持する支柱部材であるポール12とで構成されている。カメラ11やポール12は、設置位置に対応する車室VIにおける車両の有無や、駐車している車両の車番等の様子が撮像可能となるように設けられている。
【0026】
ここでは、
図1及び
図2に例示するように、1つの撮像部10は、並列する、すなわち隣り合う2つの車室VI,VIの境界BDの位置に設けられることで、2つの車室VI,VIをまとめて1つのカメラ11で撮像可能になるように設置されている。言い換えると、カメラ11は、撮像対象とすべき2つの車室VI,VIの双方が撮像範囲内に入るように、高さや向きを調整されている、さらには画角について定められている。以上のように、駐車管理システム100は、2つの車室VI,VIに対して1つずつ撮像部10を設置することで、従来のように、1つの車室ごとに1つの撮像部を設けた場合に比べて、カメラの台数を減らしつつも、各車室にVI,VIに駐車した車両の様子を的確に捉える状態を維持できる。
【0027】
以下、
図2等を参照して、駐車管理システム100における駐車管理のための各種処理について説明する。
【0028】
ここでは、
図2に一例を示すように、複数の車室VI,VI…と、複数の撮像部10,10…とについて、並列する第1車室VI1と第2車室VI2との境界BD1に第1撮像部10aが設置され、並列する第3車室VI3と第4車室VI4との境界BD2に第2撮像部10bが設置されているものとする。すなわち、第1撮像部10aは、第1車室VI1と第2車室VI2とを撮像し、第2撮像部10bは、第3車室VI3と第4車室VI4とを撮像する。
【0029】
この場合、
図3(A)に例示するように、第1撮像部10aのカメラ11aによって撮像される画像G1は、向かって右側に第1車室VI1についての画像部分である車室1画像G11を含み、向かって左側に第2車室VI2についての画像部分である車室2画像G12を含むものとなっている。なお、同様であるので図示を省略するが、
図2のうち、第2撮像部10bのカメラ11bによって撮像される画像は、向かって右側に第3車室VI3についての画像部分を含み、向かって左側に第4車室VI4についての画像部分を含むものとなる。駐車場に設置される各撮像部10は、常時撮像を行って上記のような各画像としての撮像データを取得し、車両管理部50に対してデータ送信を行う。
【0030】
車両管理部50のうち、画像処理部53は、上記のような第1撮像部10a、第2撮像部10b等での撮像により取得された撮像データについて処理を行うことで、
図3(B)に例示するような駐車管理用のデータの作成を可能とすべく各種画処理をしている。具体的には、まず、上記の場合、各カメラ11の設置位置が対応する各車室VIに対して所定位置で固定されていることから、取得される各画像中における各車室の範囲さらには、駐車される車の停止位置として想定される範囲が、例えばピクセル単位で予め分かっている。したがって、画像処理部53において、取得した撮像データから、例えば車両の外形等を抽出処理についての既知の各画像処理方法を適用して、画像中において撮像データを領域分けして各車室に駐車した車両の画像データを抽出できる。具体的には、画像処理部53は、撮像対象である2つの車室あるいはその駐車可能領域に対応する画像領域について、車両の形状となる部分が画像を抽出可能であるか否かにより車両の有無をそれぞれ確認するとともに、車両の画像が捉えられた場合にはナンバープレートの位置を併せて特定し、当該箇所から車番情報を取得する。以上のようにして、例えば
図3(B)に示すような各車室ごとにおける車両の有無のデータが作成されることになる。なお、ナンバープレート等の車両を特定するための車両情報を取得可能とすることで、ロックレス式の駐車場における料金未払いでの出庫に対する抑制が期待される。
【0031】
以下、車両管理部50におけるデータ取得の一連の処理について簡単に説明する。まず、車両管理部50のうち、監視情報受付部52において、第1撮像部10a等の各撮像部10からの撮像データを受け取ると、主制御部51は、監視処理部51aとして、上述した各種画像処理を画像処理部53に行わせる。画像処理部53での処理により車両の有無や車番といった各種情報を取得すると、監視処理部51aは、当該各種情報を、記憶部54の所定領域に格納する。つまり、
図3(B)に示すような車両に関するデータが記憶される。
【0032】
監視処理部51aとしての車両管理部50は、以上のようにして作成されたデータに基づき、各車両の駐車時間の計測等駐車管理に必要な各種処理を行う。つまり、画像処理部53で抽出された車両の画像データに基づいて識別された車両を管理する。また、車両管理部50は、精算処理部51bとして、上記のような駐車管理データを利用することで、精算処理を併せて行う。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る駐車管理システム100では、1つの撮像部10によって2つの車室VI,VI、すなわち複数の車室を撮像するとともに、画像処理部53において、抽出された画像データに基づいて各車室VIの状況を把握できることで、目的に応じて多様な構成で駐車場を管理できる。本実施形態では、特に、1つの車室ごとに1つの撮像部を設ける場合に比べて、撮像部の台数を減らした態様にできる。
【0034】
なお、上記の例では、画像処理部53を精算機としても機能する車両管理部50側に設けているが、これに限らず、例えば、各撮像部10において画像処理部を設ける構成としてもよい。すなわち、必要な画像処理までを各撮像部10で行い、処理結果である車両の画像データ、あるいはこれをさらに解析して車室ごとの車両に関して取得したデータを監視情報として、車両管理部50の監視情報受付部52に送信するものとしてもよい。
【0035】
また、上記では、常時撮像を行って撮像データの送信を行うものとしているが、これに限らず、例えば各車室における車室の有無を監視すべく適切な箇所に赤外センサーを設けたり、車室の地中にループコイルを埋設したりする構成としてもよい。この場合、これらにより、各車室での車両の入庫や出庫が確認された場合にのみ撮像部10による撮像を行うようにしてもよい。
【0036】
また、以上のようなロックレス式の駐車場においては、事前登録制とし、車両管理部50において、取得した車番等の車両情報から識別された車両が予め登録した車両であるかを確認する登録車両確認部として機能するようにすることも考えられる。事前登録制とすることで、例えば上記のような精算処理を行うべく精算機を設ける構成とせずに、クレジット決済等の各種決済を可能とし、料金の未払いをさらに抑制するようにする、といったことが考えられる。なお、事前登録による決済については、種々の態様が考えられるが、インターネット決済を行う一例について、
図8を参照して後述する。
【0037】
〔第2実施形態〕
以下、
図4及び
図5を参照して、第2実施形態に係る駐車管理システムについて一例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の駐車管理システムの変形例であり、複数の撮像部の配置の違いと、配置に伴う監視態様の違いを除いて、第1実施形態の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明については省略する。特に、車両管理部等を含むシステム全体の構成については、図示や説明を省略する。
【0038】
図4は、本実施形態に係る駐車管理システムの一例における各車室の管理の様子について説明するための概念図であり、
図2に対応する図である。また、
図5(A)~5(C)は、
図3(A)に対応する図であり、例えば、
図5(A)は、
図4に示す各撮像部10を構成するカメラ11のうち、1つ目のカメラ11aによって撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図であり、
図5(B)及び5(C)は、2つ目のカメラ11b及び3つ目のカメラ11cによってそれぞれ撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図である。また、
図5(D)は、各カメラ11からの情報に基づく駐車状況についてデータ表の一例であり、
図3(B)に対応する図である。
【0039】
以下、
図4を参照して、本実施形態に係る駐車管理システムにおける複数の撮像部10,10…の配置について説明する。
【0040】
図示のように、本実施形態では、複数の車室VI,VI…が配列されるZ1方向に沿って、1つの車室VIの両端に撮像部10が1つずつ配置されるような構成となっている。より具体的には、一列に隣接する車室VIの両端で形成される境界BDごとに、撮像部10を1つずつ設けている。なお、ここでは、図示のように、車室VIのうち、最も端にある車室VI1については、隣接する車室が存在しない側の端についても境界BDとして捉えるものとする。
【0041】
この場合において、各撮像部10は、設置個所である各境界BDにおいて隣り合う2つの領域についてそれぞれ撮像可能となっている。例えば、
図4において、最も端の境界BDである境界BD1の位置に設置される第1撮像部10aは、カメラ11aによって、
図5(A)のような画像G1を撮像する。具体的には、
図5(A)において、画像G1は、向かって右側の領域には車室のない領域が撮像されており、向かって左側のみに第1車室VI1についての画像部分である車室1画像G11を含むものとなっている。
【0042】
一方、
図4において、第1車室VI1と第2車室VI2との境界BD2の位置に設置される第2撮像部10bは、カメラ11bによって、
図5(B)のような画像G2を撮像する。具体的には、
図5(B)において、画像G2は、向かって右側に第1車室VI1についての画像部分である車室1画像G21を含み、向かって左側に第2車室VI2についての画像部分である車室2画像G22を含むものとなっている。
【0043】
同様に、
図4において、第2車室VI2と第3車室VI3との境界BD3の位置に設置される第3撮像部10cは、カメラ11cによって、
図5(C)のような画像G3を撮像する。具体的には、
図5(C)において、画像G3は、向かって右側に第2車室VI2についての画像部分である車室2画像G32を含み、向かって左側に第3車室VI3についての画像部分である車室3画像G33を含むものとなっている。
【0044】
以下、同様の構成が繰り返されている。この結果、車両管理部50は、画像処理部53での処理に基づき、例えば
図5(D)に示されるようなデータの取得が可能となっている。すなわち、第1撮像部10aであるカメラ1によって第1車室VI1である車室1についてのデータが取得され、第2撮像部10bであるカメラ2によって第1車室VI1である車室1及び第2車室VI2である車室2についてのデータが取得されている。すなわち、車室1については、カメラ1とカメラ2との双方で重複してデータが取られており、これらのデータは一致する。同様に、第3撮像部10cであるカメラ3によって第2車室VI2である車室2及び第3車室VI3である車室3についてのデータが取得されている。すなわち、車室2については、カメラ2とカメラ3との双方で重複してデータが取られており、これらのデータは一致する。
【0045】
以上のように、本実施形態では、複数の撮像部10,10…の配置を、1つの車室VIに対して、その両端に位置する一対の撮像部10,10によって重畳して撮像をするようなものとしている。例えば上記の場合、第1車室VI1は、両端に位置する第1撮像部10aと第2撮像部10bとによって重畳して撮像される構成となっている。同様に、第2車室VI2は、両端に位置する第2撮像部10bと第3撮像部10cとによって重畳して撮像される。これにより、例えば仮に、第1撮像部10aが破損あるいは故障等により使用不能となっても、第2撮像部10bによって第1車室VI1の画像データ取得ができる。また、例えば仮に、第2撮像部10bが破損あるいは故障等により使用不能となっても、第1撮像部10aによって第1車室VI1の画像データ取得ができ、第3撮像部10cによって第3車室VI3の画像データ取得ができる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る駐車管理システムにおいても、1つの撮像部10によって2つの車室VI,VI、すなわち複数の車室を撮像するとともに、画像処理部53において、抽出された画像データに基づいて各車室VIの状況を把握できることで、目的に応じて多様な構成で駐車場を管理できる。本実施形態では、特に、1つの車室VIを複数の撮像部10,10で重畳的に監視することで、仮に1つの撮像部10が破損しても他の撮像部10バックアップできるようにして、監視を続けられる態様にできる。
【0047】
〔第3実施形態〕
以下、
図6及び
図7を参照して、第3実施形態に係る駐車管理システムについて一例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の駐車管理システムの変形例であり、複数の撮像部により撮像された画像領域の分割のさせ方と、分割のさせ方に伴う車両の判定処理を除いて、第1実施形態の場合と同様であるので、各構成の詳しい説明については省略する。特に、車両管理部等を含むシステム全体の構成については、図示や説明を省略する。
【0048】
図6は、本実施形態に係る駐車管理システムの一例における各車室の管理の様子について説明するための概念図であり、
図2に対応する図である。また、
図7(A)及び7(B)は、
図3(A)に対応する図であり、例えば、
図7(A)は、
図6に示す各撮像部10を構成するカメラ11のうち、1つ目のカメラ11aによって撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図であり、
図7(B)は、2つ目のカメラ11bによって撮像される車室の範囲について概念的に示す画像図である。また、
図7(C)は、各カメラ11からの情報に基づく駐車状況についてデータ表の一例であり、
図3(B)に対応する図である。
【0049】
ここで、本実施形態では、自動車用車室である各車室VIを分割して二輪車用の分割車室として利用可能としている。このため、車両管理部50(
図1参照)において、分割車室ごとに識別された車両すなわち二輪車等までも含めた車両の管理が可能となっている。
図6に示す例では、各車室VIについてさらに分割車室であるA分室とB分室とに分割可能となっており、各車室VIは、分割せずに1台の自動車用車室として利用される場合と、A分室とB分室とに分割して1台の二輪用車室として利用される場合とがあるものとする。なお、図示のように、ここではさらに、分割せずに1台の自動車用車室として利用される場合において、三輪バイク(トライク)の駐車も許容しているものとする。
【0050】
以下、
図6を参照して、本実施形態に係る駐車管理システムにおける複数の撮像部10,10…の配置について説明する。
【0051】
本実施形態の場合も、
図2に一例を示した場合と同様に、並列する第1車室VI1と第2車室VI2との境界BD1に第1撮像部10aが設置され、並列する第3車室VI3と第4車室VI4との境界BD2に第2撮像部10bが設置されている。そして、第1撮像部10aは、第1車室VI1と第2車室VI2とを撮像し、第2撮像部10bは、第3車室VI3と第4車室VI4とを撮像する。
【0052】
図6に示す一例では、第1車室VI1及び第2車室VI2については、自動車(四輪車)がそれぞれ駐車した状態となっている。一方、第3車室VI3については、分割された2つの分割車室として利用される状態となっており、2つの分割車室の一方のみに二輪車が駐車した状態となっており、第4車室VI4については、三輪バイク(トライク)が駐車した状態となっている。
【0053】
車両管理部50は、上記のうち第3車室VI3のような分割車室ごとに識別されるべき車両の管理をも可能とするため、画像処理部53において、各撮像部10において取得された撮像データの領域分けを行い、当該領域分けにより、1つの自動車用車室を分割した分割車室ごとに駐車した車両の画像データを抽出するようにしている。
【0054】
図6のような場合、まず、
図7(A)に例示するように、第1撮像部10aのカメラ11aによって撮像される画像G1は、向かって右側に第1車室VI1についての画像部分である車室1画像G11を含み、向かって左側に第2車室VI2についての画像部分である車室2画像G12を含むものとなっている。車両管理部50は、画像処理部53での画像解析の処理に基づき、上記のような領域分けをし、各車室VI1,VI2において1台ずつ自動車が駐車されていることを把握する。
【0055】
一方、
図7(B)に例示するように、第2撮像部10bのカメラ11bによって撮像される画像G2は、向かって右側に第3車室VI3についての画像部分である車室3画像G23を含み、向かって左側に第4車室VI4についての画像部分である車室4画像G24を含むものとなっているが、このうち、第3車室VI3については、分割車室VI3Aと、分割車室VI3Bとにさらに分けられることになる。すなわち、画像G2において、車室3画像G23は、右側の車室3A画像G23Aと左側の車室3B画像G23Bとを含むものとなっている。車両管理部50は、画像処理部53での画像解析の処理に基づき、上記のような領域分けをし、第3車室VI3のうち、分割車室VI3Aには車両が無く、分割車室VI3Bには二輪車が1台駐車されていることを把握し、第4車室VI4には三輪バイク(トライク)が1台駐車されていることを把握する。
【0056】
なお、以上の結果、例えば
図7(C)に示されるようなデータの取得をすることが考えられる。
図7(C)に示すようなデータ取得については、例えば、各車室についての分割の有無についての判断がなされた上で、分割車室を含む各車室について車両の有無が判定されるとともに、車番情報が読み取られるようにする。この際、二輪車や三輪バイク(トライク)については、ナンバープレートがカメラ11側に存在しない可能性がある。これに対応すべく、例えば、二輪車や三輪バイク(トライク)については、車両全体の画像データ等の車両を特定するための形状データを併せて取得するようにする。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る駐車管理システムにおいても、1つの撮像部10によって2つの車室VI,VI、すなわち複数の車室を撮像するとともに、画像処理部53において、抽出された画像データに基づいて各車室VIの状況を把握できることで、目的に応じて多様な構成で駐車場を管理できる。本実施形態では、特に、各車室がさらに分割される場合も考慮して管理を行うようにしている。すなわち、二輪等の駐車を可能にする分割車室についての監視を可能にしている。
【0058】
〔第4実施形態〕
以下、
図8を参照して、第4実施形態に係る駐車管理システムについて一例を説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態の駐車管理システムの変形例である。本実施形態では、インターネット回線を通じた決済処理が可能となっている点において、他の実施形態と異なっている。
【0059】
図8は、本実施形態に係る駐車管理システムの一例について説明するための概念図であり、
図1に対応する図である。本実施形態に係る駐車管理システム500は、駐車場内に設置されている車両管理部250及び複数の撮像部10,10…のほか、駐車場の利用者が携帯するスマートフォン等の通信端末200と、通信回線上での決済を可能とするための決済サーバ60と、駐車場の利用状況を管理する中央管理局CMとで構成されている。ここでは、一例として、利用者の通信端末200により、ネットワーク回線INを介して決済サーバ60と通信することでオンライン決済が可能になっているものとする。このため、決済サーバ60は、ネットワーク回線INを介して車両管理部250や中央管理局CMから車両管理部250での駐車料金の決済許可に必要な情報の取得が可能になっているものとする。なお、これに対応すべく、車両管理部250は、インターネット回線通信部251を備えるものとする。
【0060】
また、ここではさらに、中央管理局CMにより、例えば複数ある駐車場を一括管理しているものとする。すなわち、複数ある駐車場についてそれぞれ車両管理部250が設けられており、各車両管理部250からの情報をまとめて中央管理局CMにおいて一括管理されている。
【0061】
上記構成の場合、例えば通信端末200を利用して予め利用者の車両情報の登録を受け付け、受け付けた情報を、中央管理局CMで一括管理する、あるいは、車両管理部250において駐車場ごとに個別に管理することで、決済サーバ60を利用したオンライン決済が可能になる。つまり、利用者の通信端末200と車両の車番情報とを紐付けておくことにより、車両管理部250は、車両の入庫時に、識別された車両が予め登録した車両であるかを確認する登録車両確認部として機能し、車両の出庫時に、識別された車両の車番情報を駐車料金等の情報とともに決済サーバ60に送信することで、決済サーバ60によるオンライン決済を自動で行い、精算結果を通信端末200により利用者へ通知する、といった態様とすることが可能になる。これにより、出庫時の精算処理を円滑に行うようにする、といったことが考えられる。
【0062】
なお、以上の場合、精算処理については、車両管理部250における現金を利用した決済についても選択可能としてもよいが、例えば事前登録を前提としておくことで、専ら通信端末200と決済サーバ60との間においてなされるオンライン決済により精算をする態様としてもよい。この場合、車両管理部250は、精算処理のために必要な情報の決済サーバ60への送信のみを行い、自身による精算処理を省略することができる。
【0063】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0064】
まず、上記では、屋外に設置することを前提としているが、これに限らず、屋内設置の場合においても合用の構成とすることができる。また、上記では、料金課金制のいわゆるコインパーキングのような駐車場での利用態様として説明しているが、課金制でない駐車場においての管理に本願を適用することも考えられる。例えば集合住宅向けの駐車場において、事前登録者以外の駐車の有無を監視するために本願を利用すること等が考えられる。
【0065】
また、例えば、各実施形態で説明した事項を1つの駐車場内において組み合わせて利用することも考えられる。
【符号の説明】
【0066】
10,10a,10b,10c…撮像部、11,11a,11b,11c…カメラ、12…ポール、50…車両管理部、51…主制御部、51a…監視処理部、51b…精算処理部、52…監視情報受付部、53…画像処理部、54…記憶部、55…インターフェース部、60…決済サーバ、100…駐車管理システム、200…通信端末、250…車両管理部、251…インターネット回線通信部、500…駐車管理システム、BD,BD1-BD3…境界、CM…中央管理局、G1,G3,G2,G11,G12,G21,G22,G23,G23A,G23B,G24,G32,G33…画像、IN…ネットワーク回線、VI,VI1-VI4…車室、VI3A,VI3B…分割車室