IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社遠藤照明の特許一覧

<>
  • 特許-配線ダクト取付型ディスプレイ 図1
  • 特許-配線ダクト取付型ディスプレイ 図2
  • 特許-配線ダクト取付型ディスプレイ 図3
  • 特許-配線ダクト取付型ディスプレイ 図4
  • 特許-配線ダクト取付型ディスプレイ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】配線ダクト取付型ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220525BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G09F9/00 312
G09F9/00 347Z
H05K5/02 E
H05K5/02 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018089539
(22)【出願日】2018-05-07
(65)【公開番号】P2019197091
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-03-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示日:平成30年2月14日-16日、展示会名:スーパーマーケットトレードショー、公開者:イーシームズ株式会社、株式会社遠藤照明
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】松村 輝久
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-032033(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0092318(US,A1)
【文献】特開2016-192289(JP,A)
【文献】特開2007-279397(JP,A)
【文献】特開2004-123002(JP,A)
【文献】特開平06-334943(JP,A)
【文献】特開2015-088454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部の上に取付ベースを一体として備えた筐体と、前記取付ベースの上面に設けられた複数の取付部を備え、前記複数の取付部が配線ダクトに固定可能なディスプレイであって、
前記複数の取付部の少なくとも一つは前記ディスプレイに給電可能であり、
前記筐体上面又はその外側に設けられた振動制限材を備え、
前記ディスプレイは、前記取付部が前記配線ダクトに固定された状態において、前記振制限材の先端が天井に接触するように、または前記ディスプレイの振動時に前記振制限材の先端が前記天井に接触する程度の隙間を有している、
配線ダクト取付型ディスプレイ。
【請求項2】
筐体と、筐体上面に設けられた少なくとも3カ所の取付部を備え、第1の配線ダクト及び第2の配線ダクトによって固定されるディスプレイであって、
前記3カ所以上の取付部のうち少なくとも2カ所は前記第1の配線ダクトに取付可能であり、
他の少なくとも1カ所の取付部は前記第2の配線ダクトに取付可能である、
配線ダクト取付型ディスプレイ。
【請求項3】
表示部の上に取付ベースを一体として備えた筐体と、前記取付ベースの上面に設けられた複数の取付部を備え、前記複数の取付部が配線ダクトに固定可能なディスプレイであって、
前記複数の取付部の少なくとも一つは前記ディスプレイに給電可能であり、
前記取付部の少なくとも一つは、取付状態と非取付状態を切り替えるためのレバーを備え、
前記レバーの先端部は、前記取付ベース以外の前記筐体の上面の境界線より内側にある
配線ダクト取付型ディスプレイ。
【請求項4】
前記取付ベースの上面は段差部を備え、
前記レバーの先端部の位置により、前記取付状態及び前記非取付状態を区別可能である、
請求項3に記載の配線ダクト取付型ディスプレイ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線ダクト(ダクトレール、ライティングレール(登録商標)、ライティングダクト、スライドコンセント等とも呼ばれる)に着脱可能なLEDビジョン、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイなどのディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具用として開発された配線ダクトは、天井などに取り付けられ、照明器具を吊り下げて固定すると共に給電することが可能である。さらに、配線ダクトは線状なので、設置器具の位置を線方向に沿って動かすことができるという利便性を備えている。
【0003】
配線ダクトの機能は、照明器具以外の電気器具においても活用可能性がある。特許文献1には、薄型映像表示装置本体を、照明用配線ダクトに接続する例が示されている。薄型映像表示装置は、支持部材(支持棒)を介して支持部材の一旦に設けたプラグを照明用配線ダクトに機械的に固定されると共に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-279397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、比較的重量物であるLEDビジョン(点状LEDのマトリクスからなるディスプレイ)の店舗内での設置場所として、店舗に既に設置されている配線ダクトに吊り下げて取り付けることが、床に設置場所をとらずにディスプレイを設置でき有用であると考えた。しかしながら、LEDビジョンの重量が、サイズにもよるが例えば5kg以上と重く、LEDビジョンの設置場所が、場合によっては通行人の頭上になることから、万が一にも落下しないよう検討を行った。
【0006】
特許文献1に記載の薄型映像表示装置は、一本の支持部材により固定されており、一本の支持部材は1カ所で配線ダクトに固定されている。このようなアーム支持構造のため、薄型映像表示装置を見やすい方向に傾けることが可能であるといったメリットがある。しかし、例えば地震・強風などによる振動に対して大きく揺れる恐れがあり、そのような揺れによって直ちに装置が落下しないとしても、固定部の変形などの故障が生じ得る。
【0007】
本発明は、配線ダクトへの固定の安定性に優れた表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、表示部の上に取付ベースを一体として備えた筐体と、前記取付ベースの上面に設けられた複数の取付部を備え、前記複数の取付部が配線ダクトに固定可能なディスプレイであって、前記複数の取付部の少なくとも一つは前記ディスプレイに給電可能であり、前記筐体上面に設けられた振動制限材を備え、前記ディスプレイは、前記取付部が前記配線ダクトに固定された状態において、前記振制限材の先端が天井に接触するように、または前記ディスプレイの振動時に前記振制限材の先端が前記天井に接触する程度の隙間を有している、配線ダクト取付型ディスプレイである。
【0010】
また、本発明は、筐体と、筐体上面に設けられた少なくとも3カ所の取付部を備え、第1の配線ダクト及び第2の配線ダクトによって固定されるディスプレイであって、前記3カ所以上の取付部のうち少なくとも2カ所は前記第1の配線ダクトに取付可能であり、他の少なくとも1カ所の取付部は前記第2の配線ダクトに取付可能である、配線ダクト取付型ディスプレイである。
【0011】
発明表示部の上に取付ベースを一体として備えた筐体と、前記取付ベースの上面に設けられた複数の取付部を備え、前記複数の取付部が配線ダクトに固定可能なディスプレイであって、前記複数の取付部の少なくとも一つは前記ディスプレイに給電可能であり、前記取付部の少なくとも一つは、取付状態と非取付状態を切り替えるためのレバーを備え、前記レバーの先端部は、前記取付ベース以外の前記筐体の上面の境界線より内側にある。
【0012】
また、本発明において、前記取付ベースの上面は段差部を備え、前記レバーの先端部の位置により、前記取付状態及び前記非取付状態を区別可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるディスプレイは、配線ダクトに吊り下げ固定可能であって、振動・風圧などがあっても安定に取付可能なため、高所に安全に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係るディスプレイの正面図・側面図・上面図。
図2】同ディスプレイの上面拡大図。
図3】配線ダクトの断面図。
図4】本発明の実施形態2に係るディスプレイの正面図・側面図・上面図。
図5】本発明の実施形態3に係るディスプレイの正面図・側面図・上面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
<ディスプレイ>
本実施形態に係るディスプレイ50の正面図、側面図、上面図をそれぞれ図1(a)、(b)、(c)に示す。ディスプレイ50はLEDビジョンであって、本体部55と、電源ケース60と、取付ベース70とが1つの筐体90として一体的に構成され、取付ベースの上面に第1取付部71、第2取付部72、第3取付部73が設けられている。一体型の筐体90の上面にある複数の取付部で配線ダクト20に取り付けてディスプレイ50を吊り下げ固定することにより、ディスプレイ50は地震による振動・強風による風圧などの過酷な環境下における設置安全性を保つことができる。
【0016】
<電源ケース>
電源ケース60には、配線ダクトから給電されたAC電力を本体部55に用いるDC電力に変換する電源等が収容されている。電源ケース60は金属もしくは各種樹脂等からなる。電源ケース60には、映像信号をディスプレイの表示信号に変換するための駆動回路も収納することができる。なお、電源及び駆動回路の設置位置としては、電源ケース60の他、表示部の裏面側など別の場所であってもよく、その場合には電源ケース60を省略することができる。
【0017】
<取付部>
図2は、ディスプレイ50の上面拡大図である。取付ベース70の上面には一段高くなった段差部75があり、その上に第1取付部71、第2取付部72及び第3取付部73を備える。ただし各取付部のレバー71L、72L、73Lは段差部75の上面より下側に設けられている。レバー71L、72L、73Lの操作によって、一部の角が丸みをおびた略長方形の係止板71H、72H、73Hが回転するようになっている。係止板71H、72H、73Hの短辺の長さは後述する配線ダクトのレール開口21の幅より短く、係止板71H、72H、73Hの長辺の長さは、レール開口21の幅より長い。図2に図示の状態は取付状態であり、この状態から各レバーを90°時計まわりに回すことにより非取付状態になる。取付状態・非取付状態を取付作業者にわかりやすくするため、段差部75の高さ(例えば3mm)はレバー71L、72L、73Lの厚さ(例えば2mm)より若干厚めに設定され、レバー71L、72L、73Lの可動範囲が段差部75の左エッジ部75L及び右エッジ部75Rで規定される。レバー71L、72L、73Lが左エッジ部75Lに当たる状態が非取付状態(レバー73L(O)として図示)、右エッジ部75Rに当たる状態が取付状態と明確に区別することができる。なお、取付状態においてレバー71L、72L、73Lの先端部が電源ケース60の上面の境界線より内側にあるため、ディスプレイ50を見上げた視認者にとってレバー71L、72L、73Lが見えず、デザイン的にすっきりするという利点がある。
【0018】
第1取付部71は、配線ダクト20から電源ケース60への給電機構である回転電極71Eを有している。第2取付部72及び第3取付部73は給電機構を備えず、係止板71H、72H、73Hによる固定機能のみを有する。
【0019】
<配線ダクト>
配線ダクト20は略矩形状であり、断面図である図3に示すように、図の奥行方向に開口しているレール開口21と、係止受け22と、給電部23と、天面24とを備えている。天面24は、配線ダクト20が設置される際に、天井面に接する部分である。
【0020】
係止受け22の上面に、第1取付部71の係止板71Hが合わさることにより、第1取付部71が係止される。その際、給電部23に第1取付部71の回転電極71Eが接触することにより、ディスプレイ50への給電がなされる。
【0021】
配線ダクト20は一般には天井に固定されるが、天井から宙吊りされた細長い部材であるレースウエイ等に固定されていてもよい。
【0022】
<実施形態2>
本実施形態は、図4に示すように、実施形態1の電源ケース60の上面の四カ所に、振動制限材81、82、83、84を加えたものである。振動制限材の先端は、ディスプレイが配線ダクトに吊り下げ固定された状態において天井30に接触するか、わずかに(例えば1mm程度)すきまがありディスプレイの振動時に天井に接触する程度である。振動制限材における天井との接触部分の材料はゴム等の弾性材が好ましいが、これに限られない。
【0023】
ディスプレイ50に振動が加わり斜めに傾いたとき、振動制限材81、82、83、84の少なくとも1カ所の先端が天井30に当たり、ディスプレイ50がさらに斜めに傾くのを防ぐことができる。そのためディスプレイ50がLEDディスプレイなど重量物であっても、配線ダクト20に安全に係止することができる。
【0024】
振動制限材の設置位置は電源ケース60の上面の四隅としたが、これに限られない。例えば配線ダクト20の両側にあたる振動制限材81と84の2カ所だけでも振動を抑制する効果はある。また振動制限材は、電源ケース60の上面を天井に投影した領域の外側に張り出していてもよく、その方が振動制限の効果が高まる。
【0025】
なお、本実施形態に記載の振動制限材を備えた構造は、表示部が取付ベース側の筐体とは独立し、表示部が1本または2本の棒状の支持部材により取付ベース側の筐体に支持され、取付ベース側の筐体が配線ダクトに取り付けられる構造にも適用することができる。
【0026】
<実施形態3>
本実施形態のディスプレイ150の正面図、側面図、上面図をそれぞれ図5(a)、(b)、(c)に示す。ディスプレイ150はLEDビジョンであって、本体部155と、電源ケース160と、4カ所の取付ベース170が筐体190として一体的に構成され、取付ベース上に設けられた第1取付部171、第2取付部172、第3取付部173、第4取付部174とを備える。本体部155は電源ケース160から鉛直方向より例えば5度から30度の範囲で(より好ましくは10度以上、又は20度以下の範囲で)傾けているため、ディスプレイを天井近くに設置しても下から見やすくなっている。
【0027】
給電は第1取付部171だけで行っている。第2取付部172、第3取付部173、第4取付部174は固定のために用いられる。
【0028】
第1取付部171と第3取付部173が配線ダクト120、第2取付部172と第4取付部174が配線ダクト121に固定されている。このように2本のレールに4カ所(3カ所でもよい)で固定されているため、ディスプレイ150は左右方向だけでなく前後方向の振動等に対しても強く吊り下げ固定される。取付ベースとレールの関係は、例えば第1取付部171、第2取付部172が一方の配線ダクト、第3取付部173と第4取付部174が他の配線ダクトに取り付けられても良い。なお、配線ダクト120に2カ所、配線ダクト121に1カ所取付けされていれば、取付部分の配置が三角形をなすため、振動の方向によらず安定して固定することができる。
【0029】
また、1本の配線ダクトに係止可能な最大荷重は、例えば配線ダクト1mあたり器具の総重量18kgまでだが、天井の強度や配線ダクトの設置状況によっては耐荷重3kg程度となる。本実施形態のように、ディスプレイを2本の配線ダクトに固定することにより、保持可能な最大荷重が2倍になり、1本の配線ダクトの最大荷重を超える重さのディスプレイを設置することができる。
【0030】
なお、本実施形態に記載の複数の配線ダクトへの取付構造は、表示部と取付ベースが分離し、表示部が1本または2本の棒状の支持部材により取付ベース側の筐体に支持されるディスプレイにおいて、取付ベース側の筐体が複数の取付部によって複数の配線ダクトに取り付けられる構造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
50、150 ディスプレイ
55、155 本体部
60、160 電源ケース
70、170 取付ベース
71、171 第1取付部
72、172 第2取付部
73、173 第3取付部
174 第4取付部
71E 回転電極
71H、72H、73H 係止板
71L、72L、73L レバー
75 段差部
75L 左エッジ部
75R 右エッジ部
81、82、83、84 振動制限材
90、190 筐体
20、120、121 配線ダクト
21 レール開口
22 係止受け
23 給電部
24 天面
30 天井
図1
図2
図3
図4
図5