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特許7079153アルゴンプラズマ凝固用のマルチストリーム器具ヘッドを備える器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】アルゴンプラズマ凝固用のマルチストリーム器具ヘッドを備える器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/04 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
A61B18/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018109166
(22)【出願日】2018-06-07
(65)【公開番号】P2018202176
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】17174743.9
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】アヒム・ブロドベック
(72)【発明者】
【氏名】シャルロッテ・ヘルベルグ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ステーブラー
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-543355(JP,A)
【文献】特開昭62-028084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00-18/18
A61N 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド(17)を備える電気外科器具(13)であって、
前記ヘッド(17)は、チャネル(22)の、ガスを充填可能な内腔(23)と、前記ヘッド(17)から離れてガスの一次ストリーム(37)を形成するように前記内腔(23)に接続される第1開口部(25)と、前記一次ストリーム(37)の隣に、または、前記一次ストリーム(37)の周りに少なくとも一部周辺的に、ガスの二次ストリーム(38、39)を形成するように前記内腔(23)に接続される、少なくとも1つの第2開口部(26、27)とを有し、
前記ヘッド(17)には、電極(61)が配置され
前記電極(61)は、前記一次ストリーム(37)が、前記電極(61)を通り過ぎて流れるように前記ヘッド(17)に配置される
電気外科器具(13)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)は、前記第1開口部(25)から後退して配置される
請求項1に記載の電気外科器具(13)。
【請求項3】
前記チャネル(22)は、前記第1開口部(25)に接続される一次ストリームチャネル部(33)を有し、
前記一次ストリームチャネル部(33)の流れの断面は、前記第1開口部(25)の手前で前記第1開口部(25)の方向に向かって減少する
請求項1または2に記載の電気外科器具(13)。
【請求項4】
前記チャネル(22)は、前記第1開口部(25)に接続される一次ストリームチャネル部(33)を有し、
前記一次ストリームチャネル部(33)の入口(34)は、前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)と面一で終端となる、または前記一次ストリームチャネル部(33)の前記入口(34)は、前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)から近位に後退して配置される
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項5】
複数の前記第1開口部(25)の開口領域(42)は、前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)の開口領域(45a、45b)より大きい
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項6】
前記第1開口部(25)の開口幅(51)は、前記開口幅(51)に対して直交に測定された、前記第1開口部(25)の開口高さ(52)より大きい
請求項1~5のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項7】
前記第2開口部(26、27)は、腎臓状、アーチ状、または鎌状の形状である
請求項1~6のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項8】
前記チャネル(22)は、前記第1開口部(25)に接続される一次ストリームチャネル部(33)を有し、
前記一次ストリームチャネル部(33)の隣に、または前記一次ストリームチャネル部(33)を取り囲んで、前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)に接続される二次ストリームチャネル部(84、85)が配置される
請求項1~7のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項9】
前記二次ストリームチャネル部(84、85)の流れの断面は、前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)の手前で前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)の方向に向かって減少する
請求項8に記載の電気外科器具(13)。
【請求項10】
前記チャネル(22)は、前記第1開口部(25)に接続される一次ストリームチャネル部(33)を有し、
前記一次ストリームチャネル部(33)の入口(34)は、分割縁部(86)を有する
請求項1~9のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項11】
前記電気外科器具(13)は、単極式器具である
請求項1~10のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項12】
前記電極(61)の遠位端(63)は、ガスの流れ方向(40)に見て、前記少なくとも1つの第2開口部(26、27)の下流に配置される
請求項1~11のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項13】
前記電極(61)は、小板状、へら状、針状、またはナイフ状の形状である
請求項1~12のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の電気外科器具(13)のための器具ヘッド(17)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルゴンプラズマ凝固用の器具に関する。
【背景技術】
【0002】
単極式(モノポーラ)アルゴンプラズマ凝固法(APC)では、器具の遠位端を、治療する生体組織に近づけ、イオン化されたアルゴンガスを、電極と器具の遠位端と生体組織の面との間で点火させることによって、プラズマビームが形成される。プラズマビームを使用することによって、器具の遠位端と生体組織とが接触することなく、生体組織に対して熱的効果を発生させることが可能である。特に、これによって生体組織を失活させる、または止血を行うことが可能である。点火距離は、効果的なプラズマ燃焼を行うために、器具を生体組織の方まで動かす必要がある距離を示す。
【0003】
点火距離を大きくすることは、距離が遠い場合であっても、プラズマを確実に点火させるために望ましいことである。例えば、作業領域における流体および水分などによって、点火距離を減少させる影響を受ける場合においても、点火距離を大きくする必要がある。機器の遠位端と生体組織との距離が変更された場合でさえも、点火距離を大きくすることによって、連続的に治療を行うことができる。これによって、使用中に生体組織からの距離および局所的な点火条件を大幅に変動させることができるため、広面積の生体組織面に対してAPC治療を連続的に行う場合に、特に利点となる。点火距離が大きな器具であれば、生体組織の異なる部分を治療する間に、生体組織に対して新たな位置に頻繁に変える必要はない。なぜならば、点火距離が大きな器具であれば、その器具の大きな領域内で使用可能な複数の位置において、生体組織に対してプラズマを点火させるための条件が存在するからである。生体組織の大きな距離にわたって器具を導く場合、広面積の生体組織の領域を同時にプラズマで治療することができる。さらに、治療する生体組織から器具の遠位端までの距離を大きくすることによって、例えば、内視鏡の遠位端にある画像伝送装置によって、工程中に治療が行われる生体組織上における器具のユーザの視野が向上する。内視鏡または内視鏡の内部に器具を実装してもよい。
【0004】
既知の器具では、生体組織からの点火距離は、湿った、または濡れた環境下で使用する場合と比較して、乾燥した環境下において器具を使用すると著しく減少する。そのため、点火のために、治療する生体組織に器具を近づけなければならない。その結果、生体組織に対する器具の位置をより頻繁に変える必要があるため、器具で治療を行う単位時間当たりの生体組織面(表面仕事量)が減少することがある。そうすると、治療に要する時間は、それに対応して増加する。さらに、器具によって生じた陰影によって、治療領域における視界が制限され、はっきりと見えないことがある。さらに、距離が近い場合には、器具の先端が生体組織で汚染される確率が高くなる。
【0005】
独国特許出願公開第102005021304号明細書から、アルゴンプラズマ凝固用内視鏡手術装置が既知であり、当該装置は、内視鏡に挿入可能なワーキングアセンブリを備え、電極が内部に配置され、不活性ガスを組織に供給することができる第1チャネルを有する。ワーキングアセンブリは、第2チャネルも有する。第2チャネルは、高周波(RF)ストリームの活性化の前、および実際のAPC治療の間に、例えば、酸素、一酸化炭素などの可燃性ガスを手術領域から追い出す、または遠ざけておくことを目的として、手術領域にアルゴンガスを供給するために配置される。
【0006】
J. Winterらのプレゼンテーション、“Challenges and solutions on the way to a deployable plasma endoscope”、the 6th International Conference on Plasma Medicine(ICPM 6)、2016年9月4日~9日、Bratislava、Slovakiaにて、内視鏡のプラズマ療法用の装置が紹介された。ヘリウムのコアストリームおよび空気のシェルストリームを生成する器具が記載されている。これは、プラズマが生成される間に、腔に不活性ガスが蓄積されることによる欠点を回避するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102005021304号明細書
【非特許文献】
【0008】
【文献】J. Winterらのプレゼンテーション、“Challenges and solutions on the way to a deployable plasma endoscope”、the 6th International Conference on Plasma Medicine(ICPM 6)、2016年9月4日~9日、Bratislava、Slovakia
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、大きな点火距離で生体組織の電気外科治療のための器具を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、請求項1に記載の電気外科器具で達成することができる。
【0011】
本発明に係る電気外科器具は、特に不活性ガス、例えばアルゴンのガスで充填することができる、チャネルと連携されている内腔を有するヘッドを備える。さらに、ヘッドは、内腔に接続される少なくとも1つの第1開口部を有し、内腔は、器具の遠位端から離れて器具の端部の外側に、器具の遠位端の前、またはその遠位端の隣にガスの一次ストリーム(一次ガスストリーム)を形成するために配置され、一次ストリームの周りで、一次ストリームの隣、または、少なくとも周辺の一部を被覆するようにガスの二次ストリーム(二次ガスストリーム)を形成するように、同じ内腔に接続される1以上の第2開口部を有する。ヘッドには、電極が配置される。電極は、内腔がガスで充填されるときに、一次ストリームのガスが、電極を通り過ぎて流れるようにヘッドに配置されることが好ましい。電極は、チャネルの、第1開口部に隣接するチャネル部に配置され、第1開口部内で終端となることが好ましい。
【0012】
内腔に、特に不活性ガス、例えばアルゴンのガスが充填される場合、ガスは、内腔を通って、一方では第1開口部に、他方では第2開口部に流れ、これらの開口部の外に流れる。そのため、同じガスが、これらの開口部を通って内腔の外に流れる。電極を利用することによって、第1開口部の前の生体組織を治療するためのプラズマに点火することができる。
【0013】
器具は、二次ストリームが、一次ストリームと器具ヘッドの環境の領域との間に、好ましくは少なくとも部分的に周辺的に、一次ストリームの周りに形成されるように設計されている。この領域には、例えば、湿度の高いガス、例えば湿度の高い空気、湿度の高い不活性ガス、またはその混合物、エアゾールおよび/または流体が含まれてもよい。そのため、一次ストリームと環境の領域との間に流れる二次ストリームによって、一次ストリームが流れる方向に対して横切るように、一次ストリームが、環境の領域から分離される。この分離は、一次ストリームの周りで少なくとも部分的に周辺的に生じることが好ましい。
【0014】
一次ストリームの隣に、または一次ストリームの周りに少なくとも一部周辺的に二次ストリームを形成することにより、一方では、二次ストリームによって一次ストリームが安定化され、他方では、二次ストリームによって、汚染、水分、または流体の液滴が運び去られるか、第1開口部から吹き飛ばすことができると考えられる。いかなる場合も、本発明に係る器具は、大きな点火距離を有する。
【0015】
本発明に係る器具は、切開外科的処置、および内視鏡による処置にも適している。特に、後者の場合において、器具の使用中に、器具ヘッドの周りで、器具の遠位端に水分または流体が付着するリスク、および通常湿っている環境によるリスクが増える。
【0016】
器具のヘッドにおいて、同じ内腔によって第1開口部および第2開口部が提供されるということから、2つの別個のチャネルを器具の端部の方に動かす必要はない。正確に言えば、ガス供給装置のガス供給ラインの近位端と内腔との間で分岐されていない1つのチャネルを有する1つのガスラインは、ガスを内腔内に提供するために用いられる。このことから、器具を内視鏡に固定する、または内視鏡の作業チャネルに導く場合に、内視鏡での使用に特に適している細いヘッドを備える、細い器具を設計することが可能になる。
【0017】
本発明に係る器具は、以下に記載する1以上の特徴、または図面に示される1以上の特徴によって、さらに発展させることができる。
【0018】
第2開口部が第1開口部から後退して配置された場合、有益であることが分かった。第2開口部が第1開口部に対して後退している場合、器具ヘッドの外側に流れる二次ストリームを形成するために、後退して配置された第2開口部と第1開口部との間に距離が置かれ、当該二次ストリームは、第1開口部を通り過ぎて第1開口部の隣に側方に流れ、それによって、水分および液滴は、第1開口部の周りの器具ヘッドの領域から二次ストリームによって特に効果的に除去することができる。
【0019】
チャネルは、第1開口部と隣り合って接続される一次ストリームチャネル部を有してもよく、当該一次ストリームチャネル部は、電極が配置されるチャネル部のサブセクションを形成する。一次ストリームチャネル部は、第1開口部を内腔に接続するために、第1開口部と内腔との間に配置される。器具ヘッドにガスが充填されれば、ガスは、内腔から出て一次ストリームチャネル部を通った後、第1開口部の外に出る。一実施の形態において、一次ストリームチャネル部の流れの断面は、第1開口部の手前で第1開口部の方向に向かって先細になってもよい。第1開口部の手前から第1開口部の方向に向かって減少する流れの断面によって、一次ストリームが加速される。
【0020】
一次ストリームチャネル部の隣の器具ヘッドにおいて、または一次ストリームチャネル部の周りに少なくとも部分的に周辺的に、第2開口部を内腔に接続するために、第2開口部が隣り合うように接続された、チャネルの少なくとも1つの二次ストリームチャネル部が形成されることが好ましい。二次ストリームチャネル部によって、二次ストリームチャネル部を通って流れるガスストリームを導く、配向する、かつ/または加速させることが可能である。
【0021】
内腔に接続された一次ストリームチャネル部の入口は、第2開口部に対して近位に、および/または一次ストリームチャネル部を通る流れ方向に逆らう方向に後退させてもよい。その結果、1以上の二次ストリームチャネル部が、一次ストリームチャネル部の隣にまたは、一次ストリームチャネル部の周りに少なくとも一部周辺的に形成されてもよい。さらに、入口の位置を後退させることにより、内腔を通って流れるガスストリームの分離の位置は、第2開口部から排出される位置、および第1開口部から排出される位置から分離される。
【0022】
一次ストリームチャネル部の入口は、一次ストリームチャネル部を介してガスストリームを一次ストリームに分割し、第2開口部を介して二次ストリームに分割する、分割縁部を有してもよい。分割縁部は、例えば、ナイフ状の形状であってもよい。
【0023】
第1開口部は、対称の丸い形状、特に円形状であってもよい。第1開口部の開口幅は、開口幅に対して直交に測定された第1開口部の開口高さより大きいことが好ましい。第2開口部は、第1開口部の開口幅に沿って器具ヘッドの側面に配置されることが好ましい。例えば、第1開口部は平坦化するか、丸くしてもよい。例えば、第1開口部は楕円形であってもよい。第1開口部は、スリットまで平坦化されてもよい。第1開口部は、扇形の一次ストリームを生成する形状を有することが好ましい。
【0024】
第2開口部は、腎臓状、アーチ状、鎌状またはスリット状の形状を有することが好ましい。第2開口部は、一次ストリームを取り囲む二次ストリームを、少なくとも周辺の一部に沿って生成するように配置され、第1開口部および一次ストリームチャネル部の周りにそれぞれ、例えば、腎臓状、アーチ状、鎌状、または湾曲スリット状の形状を有することが好ましい。
【0025】
流れの方向において、器具のヘッドの第2開口部の下流に、第2開口部を超えて突出する部分が配置されてもよい。その結果、第2開口部から出る二次ストリームは、突出部と一次ストリームとの間に流れる。例えば、突出部は、ヘッドの一部であってもよく、または、器具に実装される部分、すなわち、機器とは別個の部分であってもよい。突出部によって、第2開口部から出る二次ストリームが長い間、側方に広がるようにするため、器具の点火距離を大きくすることに寄与することができる。
【0026】
器具は、一次ストリームの隣に、または一次ストリームの周りに、第1開口部で測定された一次ストリームの流速よりも第1開口部で測定された流速が大きい二次ストリームを形成するように、配置されることが好ましい。これは、例えば、二次ストリームを加速させることによって、および/またはヘッド部分の内部における一次ストリームのガスの流速を減少させる要素を配置することにより、達成することができる。
【0027】
第2開口部の上流における二次ストリームチャネル部の流れの断面は、第2開口部の方向に向かって、先細になってもよい。第2開口部に流れる方向に向かって減少する二次ストリームチャネル部の流れの断面積により、第2開口部の方向に向かって、二次ストリームチャネル部を通って流れる二次ストリームのガスを、第2開口部から排出される前に加速させることができる。例えば、二次ストリームを加速させるために、器具は、一次ストリームの第1開口部で測定される流速よりも、第1開口部で測定される流速が大きい二次ストリームを形成するように配置されてもよい。
【0028】
上述のように、器具は以下のように設計されている。内腔にガスが充填されているとき、第1開口部に付着する流体の液滴は、二次ストリームによって第1開口部から吹き飛ばされ、かつ/または、一次ストリームおよび/または二次ストリームによって取り上げられて運び去られる。これは、第1開口部または第2開口部を介して排出される前に、一次ストリームおよび/または二次ストリームのガスを加速させることによって、達成し得る。その代わりに、またはそれに加えて、器具ヘッドの表面は、第1開口部では疎水性を有することが好ましい。例えば、疎水性コーティングにより、器具ヘッドを通って流れるガスの量が少なくても、二次ストリームおよび/または一次ストリームによって第1開口部から流体をよりよく吹き飛ばすことができる。
【0029】
器具ヘッドは、一次ストリームにおいて、二次ストリームに導くように構成されることが好ましい。そうするために、二次ストリームチャネル部のガイド面および/または突出部は、一次ストリームの流れ方向に対して、0度より大きく90度未満の鋭角を形成するように構成されてもよい。
【0030】
電極は、プラズマが形成される電極の端部が第1開口部と位置合わせされるように、第1開口部に配置されてもよい。そうでない場合には、例えば、電極は、器具ヘッドにおいて端部を近位に後退して第1開口部に配置されてもよい。電極は、第1開口部の手前に配置されてもよい。そうすると、内腔にガスが充填されているとき、ガスは、第1開口部から排出される前に、まず、電極の端部を通り過ぎて内腔から外に流れる。例えば、電極は、電極の対向する側面の周りにガスが流れるように、ガスを内腔から出て第1開口部まで、さらに第1開口部の外に導くガスの流路に配置されてもよい。
【0031】
電気外科器具は、小板状、へら状、針状、および/またはナイフ状の形状の電極を備えることが好ましい。そのような設計によれば、ガスストリームへの障害を最小限にする。電極は器具ヘッド、例えば一次ストリームチャネル部において実装されてもよい。なぜなら、器具ヘッドのチャネル、例えば一次ストリームチャネル部と比較して、電極の幅が大きいことによって、チャネルに電極を配置する際、電極の弾性変形により、チャネルの内側の壁面に対して、電極の対向する側面が突っ張られることで電極が支えられるからである。
【0032】
高周波電力が電極に印加されるときに、電極の端部にプラズマが形成され、当該端部は、流れの方向において、第2開口部の下流に配置されることが好ましい。これによって、第2開口部を介して電極の端部からスパーク破壊が生じる確率は減少することができる。第2開口部を通る電極の近位端の前でスパーク破壊が生じる確率を最小限にするために、流れの方向に見て、プラズマ側ではない(プラズマと反対側の)電極の端部は、第2開口部より後方の位置に配置されることが好ましい。
【0033】
本発明に係る電気外科器具は、単極式器具であることが好ましい。このような器具では、高周波発振器から電極までの電気回路は、高周波発振器に患者に取り付けられた中性極によって患者の生体組織内のプラズマを介して閉じられ、高周波発振器に戻る。これとは対照的に、双極式(バイポーラ)器具は、フィードバック電極を備え、プラズマの中およびプラズマの外からフィードバック電極への電極の電気回路は閉じられている。
【0034】
さらに、ここで説明した電気外科器具のためのヘッドを開示する。器具ヘッドは、ガス供給ラインとは別個の部分であってもよく、この部分をガス供給ラインに接続して器具を製造することができる。
【0035】
本発明に係る器具の好ましい特徴を、さらに以下に記載し、図面に示された実施の形態を参照して説明する。これらの特徴を交換可能に組み合わせてもよい。
【0036】
図面は、以下を概略的に例示的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、人体の内腔において、本発明の一例に係る器具を含む、本発明に係るシステムの実施の形態の一例の詳細を示す部分断面図である。
図2a図2aは、本発明に係る器具の実施の形態の一例における断面の詳細を示す長手方向の断面図である。
図2b図2bは、図2aの器具の正面図である。
図2c図2cは、ガイド部を備える図2aの器具の詳細を示す長手方向の断面図である。
図3a図3aは、実施の形態の別の例における、本発明に係る器具の詳細を示す図である。
図3b図3bは、図3aの本発明に係る器具の正面図である。
図4図4は、本発明に係る器具の断面の別の詳細を示す長手方向の断面図である。
図5図5は、本発明に係る器具の実施の形態の別の例における断面の詳細を示す長手方向の断面図である。
図6図6は、図5における実施の形態の一例の詳細を示す図である。
図7a図7aは、本発明に係る器具ヘッドの側面図である。
図7b図7aにおける器具ヘッドを備える本発明に係る器具を示す図である。
図8a図8aは、本発明に係る器具の実施の形態における電極構成の一例を示す図である。
図8b図8bは、本発明に係る器具の実施の形態における電極構成の一例を示す図である。
図8c図8cは、本発明に係る器具の実施の形態における電極構成の一例を示す図である。
図9a図9aは、本発明に係る器具の実施の形態の一例を示す図である。
図9b図9bは、本発明に係る器具の実施の形態の一例を示す図である。
図10図10は、本発明に係る器具ヘッドの実施の形態の一例を示す図である。
図11図11は、本発明に係る器具の実施の形態の一例の第2開口部の配置例を示す図である。
図12図12は、本発明に係る器具の実施の形態の一例の第2開口部の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、内視鏡11と、発明性を有する電気外科器具13のガス供給ライン12を備える発明性を有する装置10を、器具13の側面図にて示しており、当該ガス供給ラインは、内視鏡11のワーキングチャネルを通って患者の身体の腔14に伸びる。または、発明性を有する器具13は、例えば、外側の内視鏡11に導かれてもよい。内視鏡11は、一例として、図1に示しており、長手方向の長さの方向15に対して曲がる遠位端16を備える。内視鏡11のワーキングチャネルから突出する器具13のヘッド(器具ヘッド、プローブヘッド)17は、器具13の遠位端部分を形成する。器具13は、図1にも示すガス供給ユニット(ガス供給ライン)18、および高周波発振器19に接続される。
【0039】
図2aは、電気外科器具13およびそのヘッド17の詳細を示す長手方向の断面図である(図2bにおける縦断線A-Aにおける長手方向の断面を示す)。図2bは、器具ヘッド17の外側から器具ヘッド17の正面21を見た、図2aの器具ヘッド17の正面図を示す。器具13は、ガス供給ライン18に接続されるチャネル22を有する。チャネル22は、器具ヘッド17内で内腔23(空隙)と連携しており、内腔23は、正面21の中央領域24に設けられる第1開口部25、ならびに中央領域24の周囲にある正面21の周辺領域28、29に配置される、2つの第2開口部26、27と流体連結される。図示された実施の形態の一例において、2つの開口部26、27は、器具ヘッド17の対向する側面30、31に設けられる。図2aおよび図2bで示されている実施の形態の一例において、第1開口部25および第2開口部26、27は、器具ヘッドの正面21に位置するが、その代わりに、第1開口部25、第2開口部26、27は、器具ヘッド17の側面32に設けられてもよい。
【0040】
内腔23および第1開口部25の間には、器具ヘッド17の中央の一次ストリームチャネル部33が配置され、当該部分は、内腔23を第1開口部25に流体連結する。
【0041】
第2開口部26、27は、それぞれ、一次ストリームチャネル部33における入口34の側方に、入口34の対向する側面に配置される。
【0042】
第2開口部26、27および第1開口部25は、第1開口部25から流れ出る一次ストリーム37の隣の、2つの対向する側面に二次ストリーム38、39が形成されるように、配置される。
【0043】
図示されたように、第2開口部26、27が、第1開口部25から近位に後退され、内腔23を通る流れ方向40に逆らって配置される場合、流れ方向40に見て、第1開口部25と、第2開口部26、27との間に、距離xが形成される。第2開口部26、27を近位に後退させたことによって、第2開口部26、27から距離xに対応する流路を移動してきたガスの二次ストリーム38、39が第1開口部25の隣に形成される。第2開口部26、27は、第1開口部25と比較して、流れ方向40に逆らって、かつ第1開口部25を基準としてそれぞれ同じ距離xで配置されることが好ましい。例えば、距離xは、5ミリメートル以下であってもよく、好ましくは2ミリメートル以下である。実施の形態の一例において、距離xは、例えば、1.2ミリメートルであってもよい。
【0044】
流れ方向40は、ガスが近位端41から器具ヘッド17内に満たされる場合に、内腔23を通ってガスが流れる方向であり、当該ガスは、内腔23を通って流れ方向40に沿って、第1開口部25および第2開口部26、27に流れる。
【0045】
開口領域42を通って第1開口部25からガスが流れ出て、開口領域42は、器具ヘッド17におけるチャネル22の壁44の端縁43、ここでは、一次ストリームチャネル部33の壁44の端縁43によって画定される。第1開口部25の開口領域42は、一次ストリームチャネル部33を通る一次ストリームの流れ方向40に対して直角の方向に延在することが好ましい。第2開口部26、27の開口領域45a、45bは、それぞれ、切り欠きの外縁部46a、46bによって画定される。これによって、チャネル22の壁44内に器具ヘッド17を貫通する開口部26、27が形成される。図示されているように、第2開口部26、27の各々の開口領域45a、45bは、流れ方向40に対して、第1開口部25の方に傾斜して配向されている。器具ヘッド17の周辺に配置された、第2開口部26、27の開口領域45a、45bは、器具13の正面21の器具ヘッド17の外側の空間内と対面している。
【0046】
図2bから推測することができるように、実施の形態の一例の第1開口部25は、平坦な丸形である。それは、一次ストリーム37の流れ方向に対して直角に測定される第1寸法における長さが、第1寸法に対して直角に延在する第2寸法において、一次ストリーム37の流れ方向に対して直角に測定された長さより長くなる一次ストリーム37の形成がしやすくするようにするためである。そのために、第1開口部25の開口幅51は、開口幅51に対して直角に測定される開口高さ52より長い。第1開口部25は、楕円形であることが好ましい。または、第1開口部25は、例えば、矩形、円形、または正方形であってもよい。扇状のガスストリームを生成するためのスリットノズルを形成するために、第1開口部25は、スリットまで平坦化してもよい。例えば、第1開口部25の開口幅51は、0より長く、ガス供給ライン12に相当してもよい管の直径の最大2.5倍までの寸法を有してもよい。例えば、第1開口部25の開口高さ52は、0ミリメートルより高く、かつ管の直径の最大2.5倍の高さでもよい。第1開口部の開口幅51は、例えば、最小3ミリメートルから最大4ミリメートルまでであってもよい。第1開口部25の開口高さ52は、例えば、最小0.7ミリメートルから最大2ミリメートルであってもよい。
【0047】
平面の断面を有する電極がヘッド17に配置される場合、第2開口部26、27は、断面の領域に対して対称的に配置されることが好ましい。第2開口部26、27は、それぞれ、一次ストリームチャネル部33の入口34の周囲に対称的に配置されることが好ましい。図示されているように、第1開口部25の対向する側面53、54を流れる二次ストリーム38、39が形成され、当該対向する側面53、54(長側面53、54)が第1開口部25の開口幅51に沿って延在するように、第2開口部26、27が配置されることが好ましい。例えば、二次ストリーム38、39が一部一次ストリーム37の周辺を囲み、かつ第1開口部25の長側面53、54を通り過ぎて、第1開口部25の対向する長側面53、54の側壁領域上に流れるように、腎臓状、アーチ状、鎌状、または湾曲スリット状の形状である第2開口部26、27が、一次ストリームチャネル部33の周囲、例えばその入口34、または第1開口部25に配置される場合、水分および/または流体が第1開口部25の長側面53、54上の側壁領域から吹き飛ばされる、または吹き払われることができる。
【0048】
図示されるように、第2開口部26、27の開口幅55は、第1開口部25の開口幅51より小さくてもよい。例えば、第2開口部26、27の開口幅55は、それぞれ、0より大きく、かつガス供給ライン12を形成してもよい管の直径の最大2.5倍の寸法以下であってもよい。例えば、第2開口部26、27の開口高さ56は、それぞれ、0より大きく、かつ管の直径の最大1.25倍の寸法以下であってもよい。第2開口部26、27の開口幅55は、例えば、最小1.5ミリメートルから最大3.5ミリメートルであってもよい。開口部26、27に対して直角に測定した開口部26、27の開口高さ56は、例えば、最小0.1ミリメートルから最大0.5ミリメートルであってもよい。
【0049】
第2開口部26、27の開口幅55の寸法、および/または、第2開口部26、27の開口高さ56の寸法は、同じであることが好ましい。第2開口部26、27の開口領域の容積は、同じであることが好ましい。図示された実施の形態の一例において、第1開口部25の開口面積は、第2開口部26、27を組み合わせた開口面積より小さい。または、第1開口部25の開口面積が、第2の開口部26、27の組み合わせた開口領域の開口面積より大きくてもよく、もしくは、第1開口部25の開口領域が、第2開口部26、27を組み合わせた開口領域と同じであってもよい。
【0050】
電線(ダイライン、供給ライン)60がチャネル22および内腔23を貫通して延在し、電線60は、一次ストリームチャネル部33に実装されることが好ましい電極61に接続される。ダイライン60は、高周波交流電圧を生成するために高周波発振器19に接続される。これによって、電極61に高周波電力を継続的にまたは律動的に供給し、かつ器具13の電極61および生体組織62の間で、例えばアルゴンプラズマなどのプラズマを生成するためである。図示されている実施の形態において、器具13は一つの電極61を備える。または、第1開口部25において、または第1開口部25の前の器具ヘッド17内部に2つ以上の電極61が配置されてもよい(図示せず)。例えば、組み合わせた一次ストリーム37を生成するために、少なくとも2つの電極が、第1開口部25に隣接している1つのチャネル部33に配置されてもよく、および/または少なくとも2つの第1開口部25が器具ヘッド17に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つの電極61が、第1開口部25の前の複数のチャネル部に配置されてもよい。
【0051】
電極61は、中央になるように、または少なくとも一部が一次ストリームチャネル部33内に配置されることが好ましい。例えば、図示されるように、電極61の遠位端63は第1開口部25と面一であってもよく、または、第1開口部25から突出するか、もしくは一次ストリームチャネル部33の内部に配置されてもよい。
【0052】
電極61の近位端64は、図示されているように、例えば、電極61の近位端64が、流れ方向40に見て一次ストリームチャネル部33において入口34の下流になるように、一次ストリームチャネル部33内部の、一次ストリームチャネル部33における入口34の下流に配置されてもよい。または、第2開口部26、27が流れ方向40に見て電極の近位端64の下流に配置されるように、近位端64は、2つの開口部26、27の間または第2開口部26、27の前に配置されてもよい。電極61の近位端64は、内腔23内の全域にわたって延在してもよい。
【0053】
図示されているように、電極61は、一次ストリームチャネル部33内に配置され、電極61の側縁部65から反対側の側縁部66まで測定される幅で、第1開口部25の開口幅51に沿って延在するように配向されることが好ましい。図示されているように、電極61は、器具ヘッド17内に配置され、第2開口部26、27の開口幅55によって境界が定められた二次ストリーム38、39の横方向の長さに沿った幅で延在するように配向されることが好ましい。
【0054】
電極61は、小板状、へら状、針状またはナイフ状の形状が好ましい。電極61は、先細形状の遠位端を有してもよい。
【0055】
電極61は器具ヘッドに固定されることが好ましく、例えば、一次ストリームチャネル部33および/または内腔23が、チャネル22の内部、例えば、一次ストリームチャネル部33および/または内腔23の側壁面に対向する対向側面が突っ張られる部分において、電極61の小板状、へら状またはナイフ状の形状の部分を、電極61の部分の超過寸法に基づき、チャネル22の部分の内部寸法と比較する。これは、図8bおよび図8cに例示される。図8bおよび図8cは、図8aの横断線C-Cにおける器具ヘッド17の一部断面図を示す。図8bは、先細形状の遠位端を有する小板形の電極61を示す。図8cは、針状形状の遠位部分および電極61を実装するための小板形の近位部分を有する電極を示す。
【0056】
内腔23から側方の第2開口部26、27までの流路は、乱ガスストリームを防止するために電極がないことが好ましい。
【0057】
チャネル22は、ガス供給ユニット18によって提供される、例えば不活性ガス、特にアルゴンを、チャネル22を通ってチャネル22の内腔23の中、さらに開口部25、26、27まで導くように配置される。ここでは、ガスが、二次ストリーム38、39を介して一次ストリーム37に伴う、および/または、少なくとも周辺方向に少なくとも一部包囲するようにするために、当該ガスは、一次ストリーム37として第1開口部25から外に流れ、一次ストリーム37の隣および/または一次ストリーム37周りの少なくとも一部周辺的に、器具ヘッド17から離れるように流れる周辺二次ストリーム38、39として第2開口部26、27から外に流れる。
【0058】
一次ストリームチャネル部33のストリームの流れの断面は、第1開口部25の方向に向かって先細になる。一次ストリームチャネル部33の流れ横断領域の容積が、それに従って流れ方向40に減少する限りは、一次ストリームチャネル部33において、ガスが第1開口部25から排出される前に、第1開口部25の方向に一次ストリームチャネル部33を介して流れるガスが加速される。
【0059】
本発明に係る装置10は、以下のように動作する。
【0060】
プラズマ69(図1)を点火させるために、ユーザは、治療を行う生体組織62の付近に器具ヘッド17を動かし、ガス供給ユニット18を起動する。それによって、ガスが器具ヘッド17の内腔23の中へ、入口70から流れ方向40にチャネル22を通って流れる。例えば、ガス供給ユニット18は、毎分0.3リットル以上、かつ毎分5リットル以下のガスストリーム、例えば、毎分1.5リットルのガスストリームを内腔23に供給するように配置されてもよい。供給されたガスは、内腔23を通って流れ方向40に流れ、その後、点火用電極61を通り過ぎて動かされる中央の一次ストリーム37と、ガスの1つまたは複数の二次ストリーム38、39とに器具ヘッド17において分割され、当該ストリームは、一次ストリーム37の隣の対向する側面に流れ、少なくとも一部周辺的に器具ヘッド17から離れるように流れ出る。二次ストリーム38、39および一次ストリーム37は、同じガスからなる。なぜならば、これらに対応する第1開口部25および第2開口部26、27が、器具ヘッド17の内部に配置された内腔23に設けられるからである。
【0061】
一次ストリームチャネル部33が先細になっていることにより一次ストリーム37が加速される限り、一次ストリーム37の静圧は減少する。ノズルを形成する、集束する壁を有する一次ストリームチャネル部33を用いれば、二次ストリーム38、39のガスに対して一次ストリーム37のガスを加速させることは可能である。その結果、第1開口部25において、一次ストリーム37は、2つの対向する側面の二次ストリーム38、39より大きな流速となる。したがって、本発明に係る器具13を用いることによって、1つの作動媒体(ガス)のみを使用することによって、器具ヘッド17から離れるガスストリーム37、38、39の2段速度分布を達成することは可能である。速度分布は、例えば、第1開口部25上の第1開口部25のレベルで測定することができる。圧力勾配により、二次ストリーム38、39は一次ストリーム37に向かって引き寄せられる。
【0062】
二次ストリーム38、39は、一次ストリームチャネル部33のチャネル壁75の外側に流れ、第1開口部25を通り過ぎて外側に流れる。第1開口部25の端に集まった水分または流体は、吹き飛ばされる、または一次ストリーム37および第1開口部25の周りで器具ヘッド17の領域をかすめることが好ましい二次ストリーム38、39によって拾い上げられる。この場合、エアゾールが生成されることが可能で、そのエアゾールは、一次ストリーム37および二次ストリーム38、39によってそれぞれ運び去られる。そのため、除去された水分または流体によって、点火距離が損なわれることはない。
【0063】
第1開口部25が生体組織62の十分近くに配置される場合、高周波発振器19によって電極61の高周波供給を作動させることによって、一次ストリーム37において、電極61と生体組織62との間にプラズマを点火させる点火火花を生じさせることが可能である。その際、プラズマは、一次ストリーム37のガスのイオン化により、概ね一次ストリーム37の領域に生じる。一次ストリーム37における二次ストリーム38、39の領域もイオン化することができる。さらに遠くの外側に流れるガスは、形成された中央のプラズマストリーム37に関係なくイオン化されないまま存在することができる。その結果、第2開口部26、27によって、プラズマストリーム37の隣に、またはプラズマストリーム37の周りに少なくとも一部周辺的に、イオン化されていないガスの流れを生成することができる。
【0064】
プラズマ点火を成功させるために、器具ヘッド17の正面21の第1開口部25は、生体組織62に向かって少なくとも点火距離78まで移動させなければならない。通常、点火距離78は、数ミリメータである。点火距離78が大きいことが望ましい。なぜなら、点火距離78が小さい場合、例えば、一方では、生体組織62と接触することにより、器具ヘッド17が汚染されるというリスクが高まり、またもう一方では、プラズマ69で同時に治療を行う生体組織領域は、比較的小さくなる。
【0065】
本発明に係る器具13において、一次ストリーム37が横断方向に拡張すること、および器具ヘッド17の第1開口部25から出た後に、不活性でない、湿っている周囲の媒体と混合されることは、二次ストリーム38、39によって、減少すると考えられる。二次ストリーム38、39は、一次ストリーム37の隣に流れ出ることによって少なくとも一部周辺的に一次ストリーム37を包囲することが好ましい。その結果、一次ストリーム37の作動ガス濃度は、二次ストリーム38、39を提供しない器具13と比較して、緩やかに減少する。また第2開口部26、27からの二次ストリーム38、39のガス粒子が一次ストリーム37上に移動することができると考えられる。さらに、第1開口部25のレベルで測定される二次ストリームの流速よりも、第1開口部25のレベルで測定される流速が大きい一次ストリーム37が形成されることにより、一次ストリーム37が安定化され、それによって点火距離77が拡大されると考えられる。いかなる場合も、本発明に係る器具13は、例えば、患者の身体の腔14に存在し得る、湿っている環境においてさえも、より大きな点火距離78が得られる。
【0066】
図2cは、第1開口部25の上に突出することが好ましいガイド部80を備える図2a、2bによる実施の形態を示し、当該ガイド部は、器具ヘッド17の遠位端に取り付けられている管要素として構成されている。
【0067】
管形のガイド部80の代わりに、またはこれに追加して、例えば、舌状のガイド部80を器具ヘッドの第2開口部26、27にそれぞれ1つずつ配置してもよい。当該ガイド部80(図示せず)は、二次ストリーム38、39の流れ方向に第2開口部26、27を超えて突出している。プローブヘッド17側ではないガイド部80の端部は、ガイド部80は第1開口部25を超えて突き出ないように、第1開口部25の前で終了してもよい。舌状のガイド部80は、例えば、外側方向に内腔23を画定する壁82が第2開口部26、27を超えて突出した部分であってもよい。
【0068】
ガイド部80は、第2開口部26、27から流れ出る二次ストリーム38、39が、それぞれ、ガイド部80と一次ストリーム37と一次ストリームチャネル部33との間に流れることができるように設計かつ配置される。突出したガイド部80は、周囲の媒体に対して、二次ストリーム38、39を画定し、点火距離78の増加に寄与するように、二次ストリーム38、39のガスが一次ストリーム37から離れて外側に拡張することを遅らせるように配置される。そうするために、ガイド部80は、放射状に内側に面するガイド壁面83を有し、それに沿って二次ストリーム38、39が流れている。
【0069】
図3aは、本発明に係る器具13のヘッド17の実施の形態の変形例における長手方向の断面(図3bにおける縦断線B-Bにおける長手方向の断面)を詳細に示す図である。図3bは、図3aにおける器具の正面図である。図3aから分かるように、内腔23と第1開口部25との間に配置され、内腔23を第1開口部25に接続する一次ストリームチャネル部33の入口34は、第2開口部26、27に対して、内腔23を通るガスの流れ方向40に逆らう方向に後退させて配置される。一次ストリームチャネル部33と、内腔23を含む壁部を有する、器具ヘッド17の壁82との間で、第2開口部26、27の手前に、一次ストリームチャネル部33の隣の器具ヘッド17の周辺領域28、29において、二次ストリームチャネル部84、85がそれぞれ1つずつ形成される。互いに分離される二次ストリームチャネル部84、85は、対応する第2開口部26、27とそれぞれ隣接する。例えば、二次ストリームチャネル部84、85は、腎臓状、アーチ状、または鎌状の断面形状であってもよい。二次ストリームチャネル部84、85には、電極がないことが好ましい。特に、第2開口部26、27には、電極は配置されない。一次ストリームチャネル部33は、二次ストリームチャネル部84、85を通って流れるガスおよびプローブヘッド17の外側の媒体から、一次ストリームチャネル部33を通るガスを分離し、当該ガスが第1開口部25を通って排出されるまで、一次ストリームチャネル部33の入口34の手前から第1開口部25まで、側方に分離することが好ましい。そのため、一次ストリームチャネル部33を画定する一次ストリームチャネル部33のチャネル壁には、一次ストリームチャネル部33の入口34と、第1開口部25まで間に開口部がないことが好ましい。上記に代えて、または、上記に追加して、いずれの二次ストリームチャネル部84、85においても、二次ストリームチャネル部84、85を通って流れるガスを側方に分離するために、二次ストリームチャネル部84、85を画定する二次ストリームチャネル部84、85のチャネル壁には、二次ストリームチャネル部84、85における入口から第2開口部26、27までの間で開口部がないことが好ましい。
【0070】
したがって、器具ヘッド17は、器具ヘッド17の内部の内腔23を通るガスを、一次ストリームチャネル部33を介して少なくとも1つの中央の一次ストリーム37と、二次ストリームチャネル部84、85において、器具ヘッド17内の一次ストリームチャネル部33の長手方向の対向する側面を介して2つの周辺の二次ストリーム38、39とに分割するように構成される。二次ストリームチャネル部84、85は、一次ストリームチャネル部33の隣に設けられ、図示されているように、少なくとも部分的に周辺的に一次ストリームチャネル部33を取り囲む。
【0071】
そのため、器具ヘッド17は、一次ストリーム37へのガスストリームと、二次ストリーム38、39とを分割する位置が、流れ方向40に逆らって第2開口部26、27に対して後退させた位置となるように構成される。
【0072】
内腔23を介してストリームを分割することは、一次ストリームチャネル部33の入口34における器具ヘッド17内部の分割縁部86によって達成される。当該分割縁部は、流れ方向40に逆らってナイフ状に先細になるように構成されることが好ましい。
【0073】
二次ストリームチャネル部84、85は、第2開口部26、27から排出される前に二次ストリーム38、39を導くように配置される。図3aに示される実施の形態の一例を参照すると、二次ストリームチャネル部84、85の流れの断面は、分割の位置から、それぞれの第2開口部26、27まで一定である。例えば、二次ストリームチャネル部84、85はそれぞれ、0ミリメートルより長く、最大で30ミリメートルまでの長さを有してもよい。特に、0ミリメートルより長く、最大で10ミリメートルまでの長さであり、0ミリメートルより長く、最大で5ミリメートルまでの長さが好ましい。
【0074】
分割縁部86は、流れ方向40に逆らってチャネル22内に向かって器具ヘッド17内で延在する、(舌状であってもよい)分割突出部(図示せず)に配置されてもよい。当該突出部は、一次ストリームチャネル部33および/または二次ストリームチャネル部84、85に追加して、またはこれらの代わりに、器具ヘッド17に配置される。当該分割突出部は、器具ヘッド17の内部において、一次ストリーム37と二次ストリーム38、39との間に配置される。上記分割縁部86は、分割突出部に設けられてもよい。
【0075】
図3a、3bによる実施の形態の一例において、図3a、3bによる実施の形態の一例に記載されているように、一次ストリームチャネル部33は、一次ストリームチャネル部33の流れの断面積が、内腔23から出て第1開口部25に向かって流れ方向40に減少するように構成され、それによって一次ストリームチャネル部33でガスが加速するように構成される。
【0076】
図3a、3bから明らかなように、第2開口部26、27および二次ストリームチャネル部84、85は、一次ストリームチャネル部33をアーチ形に、一部周辺的に囲む。図3a、3bによる実施の形態の一例において、第1開口部25は、円形である。第2開口部26、27を画定する外形は、円弧の形状である。そこから離れて、第1開口部25は、平坦な多角形、または平坦な円形、例えば、楕円形であってもよい。第2開口部26、27および二次ストリームチャネル部84、85は、それぞれ、一次ストリームチャネル部33を一部周辺的に囲むために円弧状の外形から(断面において)離れた形状を有してもよい。第2開口部26、27の開口領域45a、45bは平面であり、二次ストリームチャネル部84、85の外縁部46a、46bによって各々画定される。図3aによる実施の形態において、第2開口部26、27の開口領域45a、45bは、第1開口部25の開口面42と同様に、器具ヘッド17側ではない基本的に同じ方向を向いている。それ以外は、図1図2a、図2bによる実施の形態に関する記載は、図3a、図3bによる実施の形態に同様に適用される。
【0077】
器具ヘッド17は、一次ストリーム37の隣にまたは一次ストリーム37の周りに1以上の二次ストリーム38、39を生じさせるように構成され、第1開口部25において測定される二次ストリーム38、39が、第1開口部25において測定される一次ストリーム37より大きな流速を示すことが好ましい。これを達成するために、器具ヘッド17は、例えば、二次ストリーム38、39のガスを加速させるように、および/または一次ストリーム37のガスの速度を減少させるように配置されてもよい。一次ストリームのガスの速度を減少させるために、例えば、一次ストリームのガス流路において、器具17の内部に、網(スクリーン)および/または1以上の刃などの要素を配置することができる。器具ヘッド17を利用することによって、作動媒体(ガス)を1つのみ使用することで、器具ヘッド17から離れるガスストリーム37、38、39の2段速度分布を達成することができる。その結果、圧力勾配が一次ストリーム37と二次ストリーム38、39との間に存在してもよい。それによって、一次ストリーム37が二次ストリーム38または二次ストリーム39に引き寄せられることができる。
【0078】
図4は、器具ヘッド17を有する、本発明に係る器具13の実施の形態の一例の詳細を示す。図3aによる実施の形態の変形例において、二次ストリームチャネル部84、85の流れの断面積は、二次ストリームチャネル部84、85の入口87の手前で、第2開口部26、27に向かって流れの方向40に減少する。その結果、内腔23から二次ストリームチャネル部84、85を通って第2開口部26、27まで流れるガスは、二次ストリームチャネル部84、85において加速される。図示された実施の形態において、一次ストリームチャネル部33の流れの断面は、一次ストリームチャネル部33の入口34から第1開口部25まで一定であることが好ましい。ガスが第1開口部25および第2開口部26、27をそれぞれ通る前にガスを加速するために、二次ストリームチャネル部84、85の流れの断面積と同様に、一次ストリームチャネル部33の流れの断面積も、開口部25、26の方向に向かって減少するように変更することも可能である。例えば、二次ストリームチャネル部84、85でガスを加速させるために、器具ヘッド17を、二次ストリーム38、39の第1開口部での流速が、一次ストリーム37の第1開口部での流速より大きくなるように構成することができる。
【0079】
それ以外は、図4の記載は、図3aにも同様に適用される。図4による実施の形態の一例の正面図を、図3bに示す。
【0080】
図5は、器具ヘッド17を有する、本発明に係る器具13の実施の形態の変形例の詳細を示す長手方向の断面図である。本実施の形態において、二次ストリームチャネル部84、85は、2つの開口部26、27から出る二次ストリーム38の流れ方向を示す破線88によって示されるように、一次ストリームチャネル部33において、一次ストリームにおける一次ストリームの両側、および/または、一次ストリームチャネル部33の外側の第1開口部25の下流に二次ストリームを導くように、構成される。流れ方向は、二次ストリームチャネル部84、85を画定する二次ストリームチャネル部84、85の壁面の配置によって生じる。二次ストリームチャネル部84、85は、二次ストリーム38、39が第1開口部25の開口縁部に位置合わせされるように配向して配置することができる。よって、二次ストリーム38、39の大量のガスが、第1開口部の開口縁部をかすめて通ることができる。
【0081】
図5による実施の形態において、内腔23を画定する器具ヘッド17の壁部89a、89bは、内腔23の流れの断面積が開口部25、26、27に向かう方向に減少するように集束する。開口部25、26、27に向かう方向に、内腔23の流れの断面積が減少することにより、内腔23を通って流れるガスは、一次ストリーム37、および二次ストリーム38、39に分割される前に既に加速されている。
【0082】
それ以外は、本実施の形態の記載は、図3a、3bにも同様に適用される。
【0083】
図6は、図5による実施の形態に対応する、疎水性の壁面を有する器具13の詳細を示す。図1図4の実施の形態の壁面は、これらに対応する疎水性の壁面を有してもよい。
【0084】
第1開口部25および/または第2開口部26、27の器具ヘッド17の面が疎水性である場合、二次ストリーム38、39および/または一次ストリーム37によって、水分を含む流体を第1開口部25からおよび/または第2開口部26、27から遠方に吹き飛ばす、または運び去ることができるという利点がある。第1開口部25の内側を画定する壁面90、および/または第2開口部26、27の内側を画定する壁面91が疎水性である場合、各第1開口部25および第2開口部26、27に水分または流体が集まり、これらを詰まらせるというリスクが最小限になる。
【0085】
一次ストリームチャネル部33、および二次ストリームチャネル部84、85に水分が集まってそれらを詰まらせるリスクを最小限にするために、一次ストリームチャネル部33および/または二次ストリームチャネル部84、85の内側に隣接する壁面92、93が疎水性であることが好ましい。
【0086】
壁面90~93は、例えば、疎水性コーティングによって疎水性にしてもよい。疎水性の壁面90~93は、PTFEからなってもよいし、またはPTFEコーティングされてもよい。プローブヘッド17は、好ましくは疎水性面を有するセラミックからなる。
【0087】
図7aは、本発明に係る器具ヘッド17の外形を示しており、例えば、当該器具ヘッドは、セラミックからなり、ガスの供給のために器具ヘッド17をガス供給ユニット18接続されるガス供給ライン12とは別個の部分となっている。図7bは、図7aによる器具ヘッド17を示し、当該器具ヘッドは、器具13のガス供給ライン12に接続されている。ガス供給ライン12は、例えば、管またはフレキシブルパイプであってもよい。この場合、この例によれば、器具ヘッド17は供給ライン12の遠位端94に保持される。
【0088】
器具ヘッド17がガス供給ライン12とは別個の部分である代わりに、器具ヘッド17は、ガス供給ライン12の遠位端94における部分であってもよい。例えば、本発明に係る器具ヘッド17は、以下のようにして得られる。例えば管またはフレキシブルパイプなどの、ライン12のシースの端部が、ライン12の長手方向の長さに対して横切るように対向する側面において、当該シースによって画定される内腔まで放射状にノッチを備えるようにし、ライン12の端部のセクションを、一方側のノッチと、他方側のライン12の端部と間で圧縮することによって平坦化させる。この場合、第2開口部26、27はノッチ上で開口している。ラインの端部における開口が、電極を挿入可能な第1開口部25を形成する。例えば図7aおよび図7bによる器具ヘッド17の設計は、上述した設計と同じであってもよいが、ヘッド17はセラミックからなってもよい。
【0089】
図9bは、本発明に係る器具ヘッド17による長手方向の断面図である(図9aの縦断線C-Cにおける断面図であり、電極61および供給ライン60は図示されていない)。一次ストリームチャネル部33の最も狭い地点での流れの断面積A、および二次ストリームチャネル部84、85の最も狭い地点での流れの断面積Aも図示されている。一次ストリームチャネル部33の複数の最も狭い地点の流れの断面積Aの和と、二次ストリームチャネル部84、85の最も狭い複数の地点における流れの断面積Aの和との比は、最大3対1から最小1対3までが好適である。一次ストリームチャネル部33の最も狭い複数の地点の流れの断面積Aの和は、二次ストリームチャネル部84、85の最も狭い複数の地点の流れの断面積Aの和より大きいことが好ましい。二次ストリームチャネル部84、85および/または一次ストリームチャネル部33は、チャネル部において流れるガスが音速に達するように構成することが可能である。
【0090】
図10は、発明性を有する器具13の器具ヘッド17の実施の形態を長手方向の断面図で示す。電極61および供給ライン60は図示されていない。図示されているように、一次ストリームチャネル部33の壁は、一次ストリームチャネル部33の壁の長手方向の断面(器具ヘッド17を通る中央の流れ方向40に沿った長手方向の断面)が滴状形状を有する場合、2つの横断領域が生じるように構成される。一次ストリームチャネル部33は、長手方向の各横断領域の流れ方向に対して横切るように測定された寸法が、一次ストリームチャネル部33の丸みを帯びた近位端(入口34)から第1開口部25の方向に始めは増加し、長手方向の断面が一次ストリームチャネル部33の遠位端に向かって先細になるように、寸法が下流で先細に減少するように構成される。本発明に係る器具ヘッド17の一次ストリームチャネル部33が、流れ方向40に対して横切るように測定された長手方向の横断領域の寸法が、一次ストリームチャネル部33の遠位端に向かって減少して長手方向の断面が先細になるように構成される場合、水分を第1開口部25から特に効果的に吹き飛ばすことができる。
【0091】
図11および図12は、一次ストリームチャネル部33の周囲の周辺にそれぞれ配置される、複数の第2開口部26a~26dおよび26a~26cをそれぞれ有する器具ヘッド17の実施の形態を正面から示す図である。図11では、本発明に係る器具ヘッド17の第2開口部の配置は、電極の幅および長さに沿って延在する平面に対して対称であってもよい。図12は、この代替案を示し、第2開口部26a~26cの配置は、電極平面に対して対称ではない。
【0092】
電気外科治療用の新たな器具13について説明する。器具13は器具ヘッド17を備える。器具ヘッド17は、ガスを充填することができる内腔23により搬送体を形成する。内腔23は、器具ヘッド17において、少なくとも1つの第1開口部25と少なくとも1つの第2開口部26、27とに接続され、内腔23がガスで充填されているとき、ガスは、これらの開口部から器具ヘッド17の外に出る。ガスの一次ストリーム37は、第1開口部25を通って、生体組織62の方向に向かって器具ヘッド17の外に出る。第2開口部26、27は、第1開口部25に対して、二次ストリーム38、39が第2開口部26、27から出て、二次ストリームが一次ストリーム37の隣に流れる、および/または、任意選択で追加の第2開口部26、27から追加の二次ストリーム38、39が、器具ヘッド17から離れて、少なくとも一部周辺的に一次ストリーム37を取り囲むように配置される。二次ストリーム38、39は、一次ストリーム37を包囲することが好ましい。器具ヘッド17の内部から第1開口部25の外に出るガスの流路において、第1開口部25と治療する生体組織62との間でプラズマを点火させるための電極61が配置される。一次ストリーム37に伴うように配置された二次ストリーム38、39により、治療する生体組織62からの相対的な距離78が大きい位置に器具13がある場合であっても、プラズマの点火は成功する。本発明に係る器具によって、一次ストリーム37が第1開口部25から出るコアストリームとして形成され、二次ストリーム38、39が第2開口部26、27から出る、包囲ストリームとして形成される場合、プラズマの点火は、生体組織62と器具13との間の距離が比較的大きくても成功する。一次ストリーム(コアストリーム)37および二次ストリーム(包囲ストリーム)38、39は、同じ内腔23によって供給されるため、これらのストリームは同じガスからなる。
【符号の説明】
【0093】
10 装置
11 内視鏡
12 ガス供給ライン
13 器具
14 身体の腔(内腔)
15 長手方向の長さの方向
16 内視鏡の遠位端
17 ヘッド
18 ガス供給ユニット
19 高周波発振器
21 正面
22 チャネル
23 内腔
24 中央領域
25 第1開口部
26、26a、26b、26c、26d 第2開口部
27 第2開口部
28 周辺領域
29 周辺領域
30 器具ヘッドの側面
31 器具ヘッドの側面
32 側面
33 一次ストリームチャネル部
34 入口
37 一次ストリーム/プラズマの流れ
38 二次ストリーム
39 二次ストリーム
40 流れ方向
41 近位端
42 開口領域
43 端縁
44 壁
45a、45b 開口領域
46a、46b 外縁部
51 開口幅
52 開口高さ
53 側面
54 側面
55 開口幅
56 開口高さ
60 電線
61 電極
62 生体組織
63 電極の遠位端
64 電極の近位端
65 縁部
66 縁部
69 プラズマ
70 入口
75 チャネル壁
78 距離/点火距離
80 ガイド部
82 壁
82a、82b 壁部
83 ガイド壁面
84 二次ストリームチャネル部
85 二次ストリームチャネル部
86 分割縁部
87 入口
88 破線
89a、89b 壁部
90~93 壁面
94 ガス供給ラインの遠位端
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図9a
図9b
図10
図11
図12