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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】段ボール箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20220525BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
B65D5/52 K
B65D5/54 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018123846
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020001764
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】荻野 大介
(72)【発明者】
【氏名】横山 拓己
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110446(JP,A)
【文献】登録実用新案第3079649(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203289(JP,U)
【文献】特開2017-222385(JP,A)
【文献】特開2005-059914(JP,A)
【文献】米国特許第04058206(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52-5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面、底面、一対の第一側面及び一対の第二側面とを備えた、商品包装用の段ボール箱であって、
該段ボール箱から商品陳列販売用のトレイを形成するための破断線又は該段ボール箱に商品取り出し用の開口部を形成するための破断線の少なくとも一部として、前記第一側面に、水平方向に沿って第一側面破断線が備えられ、
前記第一側面破断線は、水平方向に平行な複数の直線状切込線と、前記直線状切込線どうしの間ごとに配置された複数の非直線状切込線とが備えられ、
前記非直線状切込線は、その両端部が、前記直線状切込線の配置された高さよりも前記底面側に位置するように構成され
複数の前記直線状切込線からなる列が水平方向に沿って一列のみ備えられ、
前記第一側面破断線は、前記直線状切込線の前記水平方向に沿った長さが、前記非直線状切込線の前記水平方向に沿った長さよりも短いように構成されている段ボール箱。
【請求項2】
前記非直線状切込線は、前記両端部の間に位置する頂部が、前記直線状切込線の配置された高さよりも前記天面側に位置するように構成されている請求項1に記載の段ボール箱。
【請求項3】
前記直線状切込線の前記水平方向に沿った長さと、前記直線状切込線と前記非直線状切込線との間のつなぎ部の前記水平方向に沿った長さとが同じ、又は前記直線状切込線の前記水平方向に沿った長さが、前記直線状切込線と前記非直線状切込線との間のつなぎ部の前記水平方向に沿った長さよりも長い請求項1又は2に記載の段ボール箱。
【請求項4】
前記非直線状切込線は、天面に向けて凸状に配置された円弧状切込線である請求項1からのいずれか一項に記載の段ボール箱。
【請求項5】
前記直線状切込線と前記非直線状切込線は、全切線である請求項1からのいずれか一項に記載の段ボール箱。
【請求項6】
前記第二側面は、前記天面に連なる一対の上方外フラップと、前記第一側面に連なる一対の内フラップ対と、前記底面に連なる一対の下方外フラップとから構成され、
前記天面に該天面を横断する天面破断線が備えられ、
前記上方外フラップに、該上方外フラップを縦断する上方外フラップ破断線が備えられ、
前記内フラップに、該内フラップを横断する内フラップ破断線が備えられ、
前記第一側面破断線は、前記第一側面の水平方向の両端に備えられた一対の第一側面破断導入線の間に配置され
前記内フラップ破断線は、前記第一側面破断導入線と連なっている請求項1からのいずれか一項に記載の段ボール箱。
【請求項7】
前記第一側面破断線は、前記下方外フラップの上縁より高い位置に備えられている請求項に記載の段ボール箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天面、底面、一対の第一側面及び一対の第二側面とを備えた、商品包装用の段ボール箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商品包装用の箱として、表ライナと裏ライナとの間に波形に成形された中芯を挟んで構成される段ボールシートから構成されている段ボール箱が広く使用されている。
【0003】
特許文献1には、天面、底面、一対の長側面及び一対の短側面のうち、一対の長側面及び一対の短側面に、ミシン目状の全切線から構成された破断可能線が設けられており、該破断可能線を破断することによって、破断可能線より下の部分が商品陳列販売用のトレイとして使用可能に構成された段ボール箱が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、陳列販売時に積み重ねが可能なように、天面及び長側面の一部に、ミシン目状の全切線から構成された破断誘導線が設けられており、該破断誘導線を破断することによって、陳列販売における商品取り出し用の開口部が形成可能に構成された段ボール箱が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-95137号公報
【文献】特開2016-190645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
いずれの段ボール箱も、トレイや開口部の形成時に、上述の破断可能線や破断誘導線から逸れて破断したり、逸れないにしても表層の剥がれが破断の進行に伴って拡大したりして、見栄えが悪化する虞があった。
【0007】
破断可能線や破断誘導線のミシン目のピッチを細かくすると、ミシン目を構成する全切線どうしの間のつなぎ部が短くなり、したがって応力集中が発生する全切線の両端部どうしが近接することになるため、破断可能線や破断誘導線から逸れた破断や、表層の剥がれは抑制しやすくなる。しかし、全切線の両端部どうしが同じ高さ位置において近接することにより、破断可能線や破断誘導線における強度が低下することから、商品を包装した搬送時の衝撃などにより破断してしまう虞があった。
【0008】
本発明は、上述したような問題点を解決するためのものであり、第一側面破断線における強度を確保しながらも、第一側面破断線を破断させた際に残される部分の見栄えの悪化が抑制された段ボール箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するための、本発明に係る段ボール箱の特徴構成は、天面、底面、一対の第一側面及び一対の第二側面とを備えた、商品包装用の段ボール箱であって、該段ボール箱から商品陳列販売用のトレイを形成するための破断線又は該段ボール箱に商品取り出し用の開口部を形成するための破断線の少なくとも一部として、前記第一側面に、水平方向に沿って第一側面破断線が備えられ、前記第一側面破断線は、水平方向に平行な複数の直線状切込線と、前記直線状切込線どうしの間ごとに配置された複数の非直線状切込線とが備えられ、前記非直線状切込線は、その両端部が、前記直線状切込線の配置された高さよりも前記底面側に位置するように構成され、複数の前記直線状切込線からなる列が水平方向に沿って一列のみ備えられ、前記第一側面破断線は、前記直線状切込線の前記水平方向に沿った長さが、前記非直線状切込線の前記水平方向に沿った長さよりも短いように構成されている点にある。
【0010】
発明者らは鋭意研究の結果、応力集中が発生する直線状切込線の端部と、直線状切込線の端部とが、高さ方向において異なる位置に配置されているときに、第一側面破断線が同じ高さに配置された直線状切込線のみから構成される場合に比べて、つなぎ部の強度を確保することができるという知見を得た。そして、第一側面破断線の破断時においては、直線状切込線の端部から斜め下に向けた破断や表層の剥がれを、非直線状切込線の端部によって遮ることができることも見出した。このような知見に基づいて、上述のように構成することにより、第一側面破断線における強度を確保しながらも、第一側面破断線から逸れた破断や表層の剥がれの拡大を防ぐことができるので見栄えの悪化を抑制することができるようになった。また、発明者らは鋭意研究の結果、直線状切込線の、第一側面の水平方向に沿った長さが、非直線状切込線の、第一側面の水平方向に沿った長さより短いほうが、長いときよりも、第一側面の破断前における強度をより確保することができるという知見を得た。
【0011】
なお、非直線状とは、円弧形状、台形形状、山形形状、これらを組み合わせた形状等が例示でき、その際、各形状は、該破断線の正面視において、左右対称であってもよいし、非対称であってもよい。つなぎ部の強度の確保の観点からは、非直線状切込線の端部は、直線状切込線の端部に対して角度を有することが好ましい。
【0012】
本発明においては、前記非直線状切込線は、前記両端部の間に位置する頂部が、前記直線状切込線の配置された高さよりも前記天面側に位置するように構成されていると好適である。
【0013】
上述の構成によると、直線状切込線は、非直線状切込線の頂部と端部との間に位置することによって、直線状切込線からの破断が、例えば、斜め上に伸びても、斜め下に伸びても非直線状切込線につながりやすいので、第一側面破断線から逸れた破断や表層の剥がれの拡大を防ぐことができる。また、第一側面破断線の破断により形成されるトレイないし開口部の縁部には、非直線状切込線によって少なくとも一部が形作られた切断面が、つなぎ部を破断させることによって形成される破断面よりも高い位置において並ぶことになる。したがって、該縁部の見栄えがよい。なお、頂部とは、非直線状切込線のうち最も天面側に位置する部分をいう。
【0014】
本発明においては、前記直線状切込線の前記水平方向に沿った長さと、前記直線状切込線と前記非直線状切込線との間のつなぎ部の前記水平方向に沿った長さとが同じ、又は前記直線状切込線の前記水平方向に沿った長さが、前記直線状切込線と前記非直線状切込線との間のつなぎ部の前記水平方向に沿った長さよりも長いと好適である。
【0015】
上述の構成によると、第一側面の破断前における強度を確保しつつ、破断させやすくすることができる。
【0016】
本発明においては、前記非直線状切込線は、天面に向けて凸状に配置された円弧状切込線であると好適である。
【0017】
非直線状切込線が、矩形や台形などの角部を有する形状から構成された切込線であると、該角部に応力が集中し、そこから望ましくない方向に破断や表層の剥がれが発生する虞がある。これに対して、上述の構成によると、応力が円弧状切込線の一部に集中しないため、上述のような虞がない。また、第一側面破断線において破断した後に、破断により形成される縁部には、円弧形状が並ぶことになり見栄えがよい。さらに、第一側面破断線を破断することによって形成されるトレイや開口部を介して、段ボール箱に包装された商品を取り出す際に、手や商品が縁部に引っかかる虞もない。なお、円弧状とは、必ずしも正円の一部の弧形状である必要はなく、楕円、長円等の一部の弧形状であってもよい。
【0018】
本発明においては、前記直線状切込線と前記非直線状切込線は、全切線であると好適である。
【0019】
上述の構成によると、第一側面破断線の破断により形成される縁部には、全切線から構成された直線状切込線及び非直線状切込線によって形作られた切断面が、つなぎ部を破断させることによって形成される破断面の間に並ぶことになるため見栄えがよい。
【0020】
本発明においては、前記第二側面は、前記天面に連なる一対の上方外フラップと、前記第一側面に連なる一対の内フラップ対と、前記底面に連なる一対の下方外フラップとから構成され、前記天面に該天面を横断する天面破断線が備えられ、前記上方外フラップに、該上方外フラップを縦断する上方外フラップ破断線が備えられ、前記内フラップに、該内フラップを横断する内フラップ破断線が備えられ、前記第一側面破断線は、前記第一側面の水平方向の両端に備えられた一対の第一側面破断導入線の間に配置され、前記内フラップ破断線は、前記第一側面破断導入線と連なっていると好適である。
【0021】
上述の構成によると、段ボール箱から、内フラップ破断線、第一側面破断導入線及び第一側面破断線において破断させることによって、トレイを形成することができる。その際、第一側面において、少なくとも第一側面破断線が配置されていた部分より下面の見栄えの悪化が抑制される。
【0022】
本発明においては、前記第一側面破断線は、前記下方外フラップの上縁より高い位置に備えられていると好適である。
【0023】
上述の構成によると、第一側面は、下方外フラップの上縁より高い位置に備えられた第一側面破断線において破断されるため、トレイとしての強度が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る段ボール箱を構成するボックスブランクの説明図
図2】本発明に係る段ボール箱の斜視図
図3】第一側面に備えられた第一側面破断線の説明図
図4】段ボール箱の開封中の斜視図
図5】段ボール箱の開封後の斜視図
図6】別実施形態に係る第一側面破断線の説明図
図7】別実施形態に係る第一側面破断線の説明図
図8】別実施形態に係る第一側面破断線の説明図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明に係る段ボール箱1(図2参照)を組み立てることができるボックスブランク10が示されている。図1において、ボックスブランク10は、図2に示された段ボール箱1を組み立てたときに内面となる面が示されている。図1に示す面の裏面、つまり段ボール箱1の表面となる面には、段ボール箱1に包装される商品の商標や宣伝、商品管理や物流管理のためのバーコードなどが印刷されている。なお、図5を除き包装される商品は図示が省略されている。
【0026】
ボックスブランク10は、表ライナと裏ライナとの間に波形に成形された中芯を挟んで構成される段ボールシート11から構成され、図2に示された段ボール箱1の天面2を構成する天面部12、前面3を構成する前面部13、底面4を構成する底面部14及び後面5を構成する後面部15が各間に罫線を介してこの順に備えられている。後面部15に、天面部12と後面部15とを接合する継ぎ代16が罫線を介して備えられている。継ぎ代16は、後面部15側ではなく、天面部12側に備えられていてもよい。なお、前や後の文言は、図2の左下側から段ボール箱1を見たときの手前側と奥側とを区別するための表現にすぎない。本実施形態における前面3及び後面5が、本発明に係る一対の第一側面である。したがって、本明細書においては前面や後面は、それぞれ第一側面と読み替えることができる。
【0027】
天面部12の側縁に罫線を介して一対の上方外フラップ17,17が備えられ、前面部13の側縁に罫線を介して一対の前方内フラップ18,18が備えられ、底面部14の側縁に罫線を介して一対の下方外フラップ19,19が備えられ、後面部15の側縁に罫線を介して一対の後方内フラップ20,20が備えられている。前方内フラップ18,18及び後方内フラップ20,20が、本発明に係る内フラップである。
【0028】
上述のように構成された、ボックスブランク10の底面部14の上に商品を配置し、前面部13、後面部15を立ち上げ、天面部12と後面部15とを継ぎ代16において、例えば接着剤によって接合することによって、天面2、前面3、底面4及び後面5が構成される。そして、上方外フラップ17と、前方内フラップ18や後方内フラップ20との重なる面、及び、下方外フラップ19と、前方内フラップ18や後方内フラップ20との重なる面を、例えば接着剤によって接合することによって、段ボール箱1の一対の第二側面6が構成され、図2に示された段ボール箱1となる。
【0029】
段ボール箱1はいわゆるショートフラップであり、上方外フラップ17の下縁と下方外フラップ19の上縁とが離間しており、前方内フラップ18の後縁と後方内フラップ20の前縁とが離間していることから、段ボール箱1の第二側面6の中央には開口7が形成される。したがって、段ボール箱1は、これに包装される商品を開口7を介して容易に確認することができる。
【0030】
段ボール箱1の寸法は、包装される商品の大きさ、重量、個数に応じて決定される。本実施形態における段ボール箱1は、内寸法が幅402mm、奥行き268mm、高さ224mmであり、外寸法が幅414mm、奥行き274mm、高さ230mmである。使用する段ボールシート11は、例えばB段の両面段ボールであり、表ライナ/中芯/裏ライナは、白C210/強化120/K170である。ただし、段ボールシート11の構成については上記のものに限定されず、他の構成であってもよい。本実施形態においては段ボール箱1には、商品として24本の525mlのPETボトル入り飲料Pを包装することができる(図5参照)。なお、段ボール箱1は、包装される商品に応じた寸法を有していれば良く、したがって第一側面の横幅が第二側面の横幅より広い必要はない。例えば、第一側面と第二側面とが同じ横幅を有していてもよし、第一側面の横幅が第二側面の横幅よりも狭くてもよい。
【0031】
図1に示すように、ボックスブランク10は、天面部12に天面破断線21が備えられ、前面部13に前面破断線22及び前面破断導入線23が備えられ、後面部15に後面破断線24及び後面破断導入線25が備えられ、上方外フラップ17に上方外フラップ破断線26が備えられ、前方内フラップ18に前方内フラップ破断線27が備えられ、後方内フラップ20に後方内フラップ破断線28が備えられている。天面部12の中央には、天面破断線21を跨ぐように指入部9を形成するための指入破断線29が備えられている。
上方外フラップ17の中央には、取手部8を形成するための取手破断線30が備えられている。
【0032】
天面破断線21は、天面部12を概して斜めに横断するように配置されている。天面破断線21は、この天面破断線21によって二分された天面部12の面積が等しくなる位置に備えられている。
【0033】
前面破断線22は、前面部13のうち中央よりも底面部14側に寄った位置、好ましくは段ボール箱1を組み立てたときに、高さ方向中央以下かつ下方外フラップ19の上縁と同じ高さ以上の位置を概して水平に横断するように配置されている。前面破断導入線23は、前面破断線22の両端部から天面部12側へ傾斜するように配置されている。
【0034】
後面破断線24は、後面部15のうち中央よりも底面部14側に寄った位置、好ましくは段ボール箱1を組み立てたときに、高さ方向中央以下かつ下方外フラップ19の上縁と同じ高さ以上の位置を概して水平に横断するように配置されている。後面破断導入線25は、後面破断線24の両端部から継ぎ代16側へ傾斜するように配置されている。
【0035】
前面破断線22及び後面破断線24が、本発明に係る第一側面破断線であり、前面破断導入線23及び後面破断導入線25が、本発明に係る第一側面破断導入線である。
【0036】
上方外フラップ破断線26は、段ボール箱1を組み立てたときに、上端が天面破断線21に連なり、下端が上方外フラップ17の中心線に対して約10度、前方内フラップ18側又は後方内フラップ20側へ傾斜し、一方の上方外フラップ17において、その終端が前方内フラップ18の後縁と重なる位置に備えられ、他方の上方外フラップ17において、その終端が、後方内フラップ20の前縁と重なる位置に備えられている。
【0037】
上方外フラップ破断線26は、前方内フラップ18や後方内フラップ20とを接合した箇所を避けて配置されている。上方外フラップ17の幅方向中央に取手部8を設けた際に、上方外フラップ破断線26が取手部8を避けることができるため、取手部8における強度の低下の虞もない。
【0038】
前方内フラップ破断線27は、一端が前面破断導入線23に連なり、他端が前方内フラップ18の側縁において、段ボール箱1を組み立てたときに下方外フラップ19の上縁と重なる位置の近傍、好ましくは同じ高さに設けられた切欠き31に連なるように斜めに配置されている。なお、前方内フラップ破断線27と前面破断導入線23とは、本実施形態のように前面部13と前方内フラップ18との稜において間接的に連なる場合に限らず、全切線を介して直接的に連なる構成であってもよい。
【0039】
後方内フラップ破断線28は、一端が後面破断導入線25に連なり、他端が後方内フラップ20の側縁において、段ボール箱1を組み立てたときに下方外フラップ19の上縁と重なる位置の近傍、好ましくは同じ高さに設けられた切欠き32に連なるように斜めに配置されている。なお、後方内フラップ破断線28と後面破断導入線25とは、本実施形態のように後面部15と後方内フラップ20との稜において間接的に連なる場合に限らず、全切線を介して直接的に連なる構成であってもよい。
【0040】
図1から看取できるように、前面破断線22、前面破断導入線23、前方内フラップ破断線27及び切欠き31と、後面破断線24、後面破断導入線25、後方内フラップ破断線28及び切欠き32とは、それぞれ底面部14に対して対称となる位置に備えられる。
【0041】
次に、各破断線について詳述する。
天面破断線21は、段ボールシート11の表裏を貫通する長さ8mmの全切線が8mmピッチで連続した主線部と、各全切線に破断を誘導する二本の誘導線部とが備えられた、Y字状の切れ込みから構成されている。両誘導線部のうち、一方は主線部を構成する全切線に連続した長さ5mm程度の全切線であり、他方は1mm程度離間した長さ5mm程度の全切線であり、両誘導線部は、主線部を構成する全切線に対してそれぞれ20度の傾きをもつ。なお、全切線とは、段ボールシート11を構成する表ライナ、中芯、及び裏ライナが切断された切込線である。以下同様である。
【0042】
図3に示すように、前面破断線22は、水平方向に平行な複数の直線状切込線22aと、直線状切込線22aどうしの間ごとに配置された複数の非直線状切込線22bとを備えて構成されている。直線状切込線22a及び非直線状切込線22bは、段ボールシート11の表裏を貫通する全切線から構成されている。なお、後面破断線24は、前面破断線22と同様に構成されているため説明を省略する。
【0043】
非直線状切込線22bは、本実施形態においては、天面部12(図1参照)に向けて凸状に配置された円弧状切込線から構成されている。
【0044】
直線状切込線22aは、水平方向に沿った長さは約5mmである。非直線状切込線22bは、半径約24mmの円の一部であって、水平方向に沿った円弧幅は約25mmであり、円弧高さは約3.5mmである。直線状切込線22aと非直線状切込線22bとは、水平方向に沿って約4.5mm離間している。非直線状切込線22bは、その両端部が、直線状切込線22aの配置された高さよりも約2mmだけ底面部14(図1参照)側に位置し、前記両端部の間に位置する頂部が、直線状切込線22aの配置された高さよりも約1.5mmだけ天面部12(図1参照)側に位置するように構成されている。
【0045】
前面破断導入線23は、前方内フラップ破断線27と、前面破断線22のうち両端の直線状切込線22aへと破断が導かれるような複数の全切線23a,23b,23c,23dから構成されている。なお、前面破断導入線23を構成する全切線は図示のものに限らない。後面破断導入線25は、前面破断導入線23と同様に構成されているため説明を省略する。
【0046】
上方外フラップ破断線26は、段ボールシート11の表裏を貫通する長さ8mmの全切線が8mmピッチで連続した主線部と、各全切線に破断を誘導する誘導線部とが備えられた、くの字状の切れ込みから構成されている。該誘導線部は、該主線部を構成する全切線に連続した、半径10mmで、長さ6mm程度の円弧状の全切線である。上方外フラップ破断線26は、その終端が上方外フラップ17の側縁まで至っておらず、前記下端は該主線部を構成する全切線に対して10度の傾きをもち、かつ、該側縁から15mm離間した箇所で終了している。なお、上方外フラップ破断線26は、その終端が上方外フラップ17の側縁まで至るように備えられてもよい。
【0047】
前方内フラップ破断線27及び後方内フラップ破断線28は、段ボールシート11の表裏を貫通する長さ5mmの全切線が7mmピッチで連続した主線部と、各全切線に破断を誘導する誘導線とが備えられた、くの字状の切れ込みから構成されている。該誘導線部は、該主線部を構成する全切線に連続した、半径5mmで、長さ3mm程度の円弧状の全切線である。
【0048】
切欠き31,32は、側縁に対して幅15mm程度、深さ20mm程度のくさび形状をしている。
【0049】
指入破断線29は、適当なミシン目状の切り込みによって、長さ75mm程度、幅40mm程度の指入部9を形成可能に構成されている。指入部9から両手の指先をしっかりと挿し入れて、天面2をしっかり掴むことができるため段ボール箱1の開封性がよい。
【0050】
取手破断線30は、適当なミシン目状の切り込みによって、幅70mm程度、高さ30mm程度の取手部8としての開口を形成可能に構成されている。
【0051】
これら各破断線を構成する切れ込みの長さやピッチの具体的な数値は、本実施形態における段ボールシート11の場合に好適な一例であって、段ボールシート11の構成に応じ、段ボール箱1としての強度を十分に確保しながらも、開封の際に良好に破断できるように適宜設定される。
【0052】
図1に示されるボックスブランク10から、図2に示す段ボール箱1が組み立てられる。段ボール箱1は、PETボトル入り飲料Pを包装した状態で、メーカーから出荷され、酒屋やスーパーマーケット等に配送される。そして、酒屋やスーパーマーケット等の店頭で陳列される。
【0053】
この段ボール箱1を開封する際には、まず、指入破断線29を破断し指入部9に両手の指先を挿し入れて天面2を掴み、天面破断線21を破断させることにより天面2を前後に切り開く。次いで天面破断線21に連なる上方外フラップ破断線26を破断させる。これにより上方外フラップ17を前後に切り開くことができる。
【0054】
図4に示すように、前方内フラップ破断線27は、天面2及び上方外フラップ17を前後に切り開くときの動作によって、前方破断誘導端である切欠き31を起点として前方内フラップ破断線27が破断される。
【0055】
同様に、後方内フラップ破断線28は、天面2及び上方外フラップ17を前後に切り開くときの動作によって、後方破断誘導端である切欠き32を起点として後方内フラップ破断線28が破断される。
【0056】
前方に分割された天面2及び上方外フラップ17を前上方に引き上げることによって、前方内フラップ破断線27に連なる前面破断導入線23及び前面破断線22が破断され、前面3が上下に切り開かれる。その際、直線状切込線22aの端部から、例えば、斜め下に向けた破断や表層の剥がれを、非直線状切込線22bの端部によって遮ることができる。つまり、前面破断線22から逸れた破断や表層の剥がれの拡大を防ぐことができるので見栄えの悪化を抑制することができる。
【0057】
同様に、後方に分割された天面2及び上方外フラップ17を後上方に引き上げることによって、後方内フラップ破断線28に連なる後面破断導入線25及び後面破断線24が破断され、後面5が上下に切り開かれる。その際の、後面破断線24も前面破断線22と同様に、前面破断線22から逸れた破断や表層の剥がれの拡大を防ぐことができるので見栄えの悪化を抑制することができる。
【0058】
このように、各破断線において、断続的に形成された切れ込み間の段ボールシート11が次々と破断されることにより、前面破断線22、前面破断導入線23、後面破断線24、後面破断導入線25、前方内フラップ破断線27及び後方内フラップ破断線28の上方を取り外すことができ、図5に示すように、残った部分がそのまま商品、すなわちPETボトル入り飲料Pの陳列販売用のトレイ33となる。
【0059】
上述した実施形態においては、前面破断線22のうち、非直線状切込線22bが円弧状切込線であったが、これに限らない。なお、後面破断線24も同様である。非直線状切込線22bは、例えば図6に示すように、その両端部が、直線状切込線22aの配置された高さよりも底面部14(図1参照)側に位置し、前記両端部の間に位置する頂部が、直線状切込線22aの配置された高さと同じ高さに位置するように構成された台形状切込線であってもよい。
【0060】
上述した実施形態においては、前面破断線22のうち、非直線状切込線22bが、その両端部が、直線状切込線22aの配置された高さよりも底面部14(図1参照)側に位置し、前記両端部の間に位置する頂部が、直線状切込線22aの配置された高さよりも天面部12(図1参照)側に位置するように構成されていたが、これに限らない。
【0061】
非直線状切込線22bは、例えば図7に示すように、その両端部が、直線状切込線22aの配置された高さよりも底面部14(図1参照)側に位置し、前記両端部の間に位置する頂部が、直線状切込線22aの配置された高さと同じ高さに位置するように構成された円弧状切込線から構成されていてもよい。
【0062】
この場合も、非直線状切込線22bは円弧状切込線でなくてもよい。すなわち、非直線状切込線22bは、図8に示すように、その両端部が、直線状切込線22aの配置された高さよりも底面部14(図1参照)側に位置し、前記両端部の間に位置する頂部が、直線状切込線22aの配置された高さと同じ高さに位置するように構成された台形状切込線から構成されていてもよい。
【0063】
さらに、非直線状切込線22bは、円弧形状、台形形状、山形形状、これらを組み合わせた形状等からなる切込線であってもよい。その際、各形状は、該切込線の正面視において、左右対称であってもよいし、非対称であってもよい。
【0064】
上述したいずれの実施形態においても、各切込線は全切線から構成されていたが、これに限らない。切込線は、例えば、半切線やライナーカットであってもよい。なお、半切線とは、段ボールシート11を構成する表ライナ又は裏ライナの一方及び中芯は切断されるが、裏ライナ又は表ライナの他方は切断されていない切込線である。また、ライナーカットとは、段ボールシート11を構成する表ライナ又は裏ライナの一方は切断されるが、中芯及び裏ライナ又は表ライナの他方は切断されていない切込線である。
【0065】
上述した実施形態では、天面2に備えられた天面破断線21が、天面2を概して斜めに横断するように配置されている場合について説明した。しかし、天面破断線21は、上述の構成に限らない。例えば、天面破断線21は天面2の前後方向中央を横断するように、すなわち、天面2と前面3との稜と平行に備えられていてもよい。このとき、上方外フラップ破断線26は、両第二側面6において前方内フラップ18の後縁と後方内フラップ20の前縁との中間に備えられることとなる。破断する長さ、力の伝わり方、力のかかり方の違いによって、天面破断線21が、天面2に斜めに配置されている場合に比べて、容易に破断させることができる。
【0066】
また、天面破断線21は、この天面破断線21によって二分された天面2の面積が等しくなる位置に備えられていなくてもよい。例えば、天面破断線21は、天面部12の中心から上方外フラップ17に至るにつれて、例えば、後面5側へと傾斜し、両方の上方外フラップ17において、その終端が後方内フラップ20の前縁と重なる位置に備えられている上方外フラップ破断線26に連なっていてもよい。
【0067】
つまり、天面破断線21は、天面2を横断するように備えられていればよく、これに伴って、上方外フラップ破断線26は、少なくともその終端が、第二側面6において前方内フラップ18と後方内フラップ20とが向かい合う縁と重なる位置どうしの間に備えられていればよい。
【0068】
なお、天面2と上方外フラップ17との稜において、天面破断線21及び上方外フラップ破断線26を連ねる切込線は、天面部12と上方外フラップ17との罫線において、必ずしも天面2における部分が天面破断線21の配置方向に沿い、上方外フラップ17における部分が上方外フラップ破断線26に沿うように備えられていなくてもよい。切込線は、例えば天面部12と上方外フラップ17との罫線において、天面破断線21の配置方向や上方外フラップ破断線26の配置方向に角度をもって配置されていてもよい。
【0069】
上述したいずれの実施形態においても、前方内フラップ破断線27及び後方内フラップ破断線28に、切欠き31,32が備えられていたが、これら切欠き31,32は備えられていなくてもよい。また、前方内フラップ破断線27及び後方内フラップ破断線28は必ずしも備えられていなくてもよい。
【0070】
上述した実施形態においては、前面破断線22や後面破断線24である第一側面破断線が、段ボール箱1からトレイ33を形成するための破断線である場合について説明したが、これに限らない。第一側面破断線は、該段ボール箱1に商品取り出し用の開口部を形成するための破断線であってもよい。
【0071】
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、当該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲において適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 :段ボール箱
2 :天面
3 :前面(第一側面)
4 :底面
5 :後面(第一側面)
6 :第二側面
11 :段ボールシート
17 :上方外フラップ
18 :前方内フラップ(内フラップ)
19 :下方外フラップ
20 :後方内フラップ(内フラップ)
21 :天面破断線
22 :前面破断線(第一側面破断線)
22a :直線状切込線
22b :非直線状切込線
23 :前面破断導入線(第一側面破断導入線)
24 :後面破断線(第一側面破断線)
25 :後面破断導入線(第一側面破断導入線)
26 :上方外フラップ破断線
27 :前方内フラップ破断線
28 :後方内フラップ破断線
31 :切欠き(前方破断誘導端)
32 :切欠き(後方破断誘導端)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8