(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】オブジェクト上に画像を印刷するための位置を特定し、オブジェクト上に画像を印刷するようプリントヘッドを動作させるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220525BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J3/407
(21)【出願番号】P 2018206512
(22)【出願日】2018-11-01
【審査請求日】2021-10-27
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】カルロス・エム・テレーロ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・エイ・アイリザリー
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブ・アール・マッカーシー
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-202491(JP,A)
【文献】特開2017-209984(JP,A)
【文献】特開2019-001156(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 3/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷システムであって、
複数のプリントヘッドであって、前記複数のプリントヘッド内の各プリントヘッドが、マーキング材料を吐出するように構成される、プリントヘッドと、
第1の端部と第2の端部とを有する部材であって、前記複数のプリントヘッドが、前記部材の反対で、前記部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置付けられている、複数のプリントヘッドと、
オブジェクトを保持し、前記部材の前記第1の端部と前記第2の端部との間で前記部材に沿って移動するように構成されたホルダと、
前記ホルダに動作可能に接続され、前記部材に沿って前記ホルダを移動させて、前記オブジェクトが前記プリントヘッドを通過し、前記複数のプリントヘッド内の前記プリントヘッドからマーキング材料を受け取ることを可能にする、第1のアクチュエータと、
前記ホルダに動作可能に接続され、前記部材に対して垂直に、かつ前記部材に対して平行な平面内で前記ホルダを移動させることを可能にする、第2のアクチュエータと、
前記部材の前記第1の端部と前記複数のプリントヘッドとの間に位置付けられた撮像装置であって、前記撮像装置が、前記撮像装置に対向する前記オブジェクトの一部の一連の画像を生成するように構成される、撮像装置と、
前記部材の前記第1の端部と前記複数のプリントヘッドとの間に位置付けられた画像プロジェクタであって、前記画像プロジェクタが、前記撮像装置に対向する前記オブジェクトの部分に画像を位置させるように構成される、画像プロジェクタと、
前記撮像装置に動作可能に接続され、前記撮像装置からの前記一連の画像を受信するユーザインターフェースであって、前記ユーザインターフェースが、オペレータが前記第1のアクチュエータ及び前記第2のアクチュエータを動作させて、前記撮像装置に対向するX-Y平面内での前記オブジェクトの位置を調整することを可能にするように構成される、ユーザインターフェースと、
前記複数のプリントヘッド、前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、前記
撮像装置、前記画像プロジェクタ、及び前記ユーザインターフェースに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記第1のアクチュエータを、前記ホルダ及び前記オブジェクトを前記部材の前記第1の端
部と前記第2の端
部との間で前記部材に沿って動かすように動作させ、前記画像プロジェクタを、前記オブジェク
トの前記一部の上に画像を形成するように動作させ、前記撮像装置を、前記オブジェクト上に前記画像の前記一連の画像を生成するように動作させ、前記ユーザインターフェースから、印刷のために選択された印刷画像に対する前記オブジェクトの前記位置を示す信号を受信し、前記ユーザインターフェースから、前記オブジェクト上の前記画像の歪曲を特定するデータを受信し、前記複数のプリントヘッドの前記プリントヘッド内部のイジェクタを、前記画像プロジェクタからの前記画像の前記歪曲を特定する前記データを参照して、動作させ、前記オブジェクト上に着色剤で画像を形成するように構成される、コントローラと、を備える、印刷システム。
【請求項2】
前記撮像装置が、一連のビデオ画像を前記ユーザインターフェースに配信するために、前記ユーザインターフェースに動作可能に接続されたカメラである、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記画像プロジェクタが、前記オブジェクト上に赤外材料を吐出し、前記赤外材料で前記オブジェクト上に前記画像を形成するように構成された前記複数のプリントヘッド内のプリントヘッドであり、
前記カメラが、赤外線撮像用に構成される、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記画像プロジェクタが、前記オブジェクトが前記カメラの視界とともにある間、前記オブジェクト上に光画像を向けることを可能にするように位置付けられた光プロジェクタである、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
UV領域内の光を放出して、前記複数のプリントヘッド内の前記プリントヘッドのうちの少なくとも1つから吐出されたUV硬化性マーキング材料を硬化させるように構成された紫外線(UV)ランプをさらに含み、
前記コントローラが、前記UVランプに動作可能に接続され、前記コントローラが、前記UVランプを動作させて、前記プリントヘッドのうちの少なくとも1つによって前記オブジェクト上に吐出されたUVインクを硬化するようにさらに構成される、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記アクチュエータを、前記ホルダ及び前記オブジェクトを前記カメラに対向して維持するように動作させ、前記オブジェクトの一部が前記画像に対して選択されることを可能にし、前記第1のアクチュエータを、前記オブジェクトの前記選択された部分を、赤外材料を吐出している前記プリントヘッドに対向して移動させるように動作させ、前記プリントヘッドを、前記オブジェクトの前記選択された部分上に前記赤外材料を吐出するように動作させ、前記第1のアクチュエータを、前記オブジェクトの前記部分を前記撮像装置の反対側に移動させ、前記赤外材料画像の前記撮像装置によって生成された前記一連の画像が、前記ユーザインターフェースに送られることを可能にするように動作させるようにさらに構成される、請求項3に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記ユーザインターフェースが、前記画像
の前記歪曲を、樽形歪曲、ピンクッション歪曲、陣笠型歪曲、及びキーストーン歪曲のうちの1つとして識別するデータとして、前記画像
の前記歪曲を識別するデータを生成するように構成される、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記ホルダに動作可能に接続された第3のアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記撮像装置と前記オブジェクトとの間に延在するZ軸を中心として前記オブジェクトを回転させるように構成される、第3のアクチュエータをさらに含み、
前記ユーザインターフェースが、第3のアクチュエータに動作可能に接続され、前記オブジェクトをZ軸を中心として回転させる制御装置を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、3次元(3D)オブジェクト上に印刷するためのシステムに関し、より具体的には、非生産環境のオブジェクト上に画像を印刷するシステムに関する。
【0002】
商業用物品の印刷は、通常、物品の製造中に行われる。例えば、ボール表皮には、ボールが完成して膨張される前に、パターンまたはロゴが印刷される。その結果、非製造施設、例えば潜在的な製品顧客が複数の専門チームまたは大学チームをサポートする領域内の配送サイトまたは小売店等は、当該領域において追従する様々なチームのロゴを擁する製品の在庫を維持する必要がある。異なるロゴごとに正確な数の製品を注文し、在庫を維持することが問題になる可能性がある。
【0003】
非生産アウトレットにおいてこれらの問題に対処する1つの方法は、印刷されていないバージョンの製品を保管し、流通サイトや小売店でパターンやロゴを印刷することである。個々のオブジェクトを印刷するために、ダイレクトツーオブジェクト(DTO)プリンタとして知られているプリンタが開発されてきた。これらのプリンタを既知の印刷技術、例えば2次元(2D)媒体印刷技術で動作させ、3次元オブジェクト上に画像コンテンツを付与することは、複雑な結果を生み出す。オブジェクトの表面が比較的平坦である限り、画像は許容可能である。しかし、例えばマグ、水筒、ペン等の多くの製品は、湾曲面を有しており、このことは、逆に印刷画像の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
ダイレクトツーオブジェクト印刷に関連する課題は、例えば、大きくかつ変化する空隙全体にインク滴を吐出させることと、オブジェクト及びオブジェクト上の画像のための位置を特定することと、画像をオブジェクトに位置合わせすることと、印刷用オブジェクトを保持して方向付けすること戸を含む。印刷されることができるオブジェクトの形状とサイズが多数あることから、プリントヘッドの面が印刷面を基準としてどこにあるかを正確に判断するロバストな方法を開発することは困難である。言い換えれば、オブジェクト表面を基準にしてプリントヘッドの正確な距離及び向きを精密に決定することに加えて、プリントヘッド内の作動させるために適切なイジェクタを識別して、オブジェクト上に画像の中心を合わせることは、簡単な作業ではない。
【0005】
これらの問題は、画像を位置合わせし、イジェクタの動作時間を計測するための基準点として使用されることができる、画定された縁を有していないオブジェクトに起因して悪化する。オブジェクトホルダは、画像に最もよく合致する向きにおける部分には存在し得ず、画像の印刷のために選択されたオブジェクト上の領域は、不規則であり、印刷画像が歪むことがある。したがって、多種多様な程度の表面うねり及び特徴を有する多種多様な製品のために高品質の画像を生成する印刷プロセス制御システムが有益であろう。
【0006】
新しいダイレクトツーオブジェクト(DTO)印刷システムは、オブジェクトに印刷する前に、オブジェクトの一領域に画像を位置合わせすることを可能にする。本システムは、複数のプリントヘッドであって、複数のプリントヘッド内の各プリントヘッドが、マーキング材料を吐出するように構成される、プリントヘッドと、第1の端部と第2の端部とを有する部材であって、複数のプリントヘッドが、部材の反対で、部材の第1の端部と第2の端部との間に位置付けられている、複数のプリントヘッドと、オブジェクトを保持し、部材の第1の端部と第2の端部との間で部材に沿って移動するように構成されたホルダと、ホルダに動作可能に接続され、部材に沿ってホルダを移動させて、オブジェクトがプリントヘッドを通過し、複数のプリントヘッド内のプリントヘッドからマーキング材料を受け取ることを可能にする、第1のアクチュエータと、ホルダに動作可能に接続され、部材に対して垂直に、かつ部材に対して平行な平面内でホルダを移動させることを可能にする、第2のアクチュエータと、部材の第1の端部と複数のプリントヘッドとの間に位置付けられた撮像装置であって、撮像装置が、撮像装置に対向するオブジェクトの一部の一連の画像を生成するように構成される、撮像装置と、部材の第1の端部と複数のプリントヘッドとの間に位置付けられた画像プロジェクタであって、画像プロジェクタが、撮像装置に対向するオブジェクトの部分に画像を位置させるように構成される、画像プロジェクタと、撮像装置に動作可能に接続され、撮像装置からの一連の画像を受信するユーザインターフェースであって、ユーザインターフェースが、オペレータが第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを動作させて、撮像装置に対向するX-Y平面内でのオブジェクトの位置を調整することを可能にするように構成される、ユーザインターフェースと、複数のプリントヘッド、第1のアクチュエータ、第2のアクチュエータ、画像形成装置、画像プロジェクタ、及びユーザインターフェースに動作可能に接続されたコントローラと、を含む。コントローラは、第1のアクチュエータを、ホルダ及びオブジェクトを部材の第1の端と第2の端との間で部材に沿って動かすように動作させ、画像プロジェクタを、オブジェクの一部の上に画像を形成するように動作させ、撮像装置を、オブジェクト上に画像の一連の画像を生成するように動作させ、ユーザインターフェースから、印刷画像に対するオブジェクトの位置が印刷のために選択されたことを示す信号を受信し、ユーザインターフェースから、オブジェクト上の画像の歪曲を特定するデータを受信し、複数のプリントヘッドのプリントヘッド内部のイジェクタを、画像プロジェクタからの画像の歪曲を特定するデータを参照して、動作させ、オブジェクト上に着色剤で画像を形成するように構成される。
【0007】
印刷前にオブジェクトの表面の一部に画像を位置合わせする印刷システムの前述の態様及び他の特徴は、添付の図面に関連して、以下の記述において説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】オブジェクトホルダの表面の一部に画像を位置合わせし、表面のその部分に画像を印刷するためにプリンタ内のプリントヘッドの動作を調整するように構成された印刷システムの側面図の概略図である。
【
図2】画像プロジェクタとしてプリントヘッドの1つを使用する、
図1に示すシステムの実施形態を示す。
【
図3】オブジェクトを移動させ、印刷のためにオブジェクト上の位置を選択するためのユーザインターフェースの使用を示す。
【
図4】画像プロジェクタ用の光プロジェクタを使用する、
図1に示すシステムの実施形態を示す。
【
図5】
図2のシステムを動作させるプロセスのフロー図である。
【
図6】
図4のシステムを動作させるプロセスのフロー図である。
【
図7A】固定プリントヘッドのアレイを通過したオブジェクトホルダ上にオブジェクトを供給する直立した従来技術の印刷システムを示し、
【
図7B】固定プリントヘッドから見た
図7Aのオブジェクトホルダの図である。
【
図8】
図7のシステムによって印刷された画像の既知の歪曲を示す。
【
図9A】
図7の従来技術のシステムにおける、オブジェクトの曲率の増加とともにプリントヘッドと対象との間の距離が増大する問題を描画し、
【0009】
本実施形態の一般的な理解のために、図面について申し述べる。図面において、同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を示すために使用されている。
【0010】
図7Aは、ホルダ108が部材116上を移動させて固定プリントヘッドのアレイ112を通過したときに、ホルダ108に取り付けられたオブジェクト104の表面を印刷するように構成された、従来技術のプリントシステム100を示す。本書で使用される場合、用語「固定プリントヘッド」は、保持具で留め付けられたオブジェクトの印刷全体を通して、オブジェクトホルダの平面と平行に維持されるフェースプレートを有するプリンタ内のプリントヘッドを指す。アレイ112内の1つ以上のプリントヘッド118が紫外線(UV)インクを吐出すると、コントローラ124は、UVランプ120を作動させてUVインクを硬化させる。コントローラ124はまた、オブジェクトがホルダ内に取り付けられた後、アクチュエータ128を動作させてホルダ108を移動させるように構成される。コントローラ124は、アレイ112内のプリントヘッド118を動作させ、マーキング材料をオブジェクト104の表面に吐出するように構成される。
図7Bは、プリントヘッドアレイ112に面しているときのホルダ108及びオブジェクト104を描画する。ラッチ132は、ホルダ108を部材116に取り付ける。従来技術のプリンタ100の使用によって生じ得る画像歪曲が、
図8に示されている。これらの歪曲は、樽形歪曲、ピンクッション歪曲、陣笠型歪曲、及びキーストーン歪曲として知られる。
【0011】
従来技術のプリンタ100で生じる別の問題が、
図9Aに示されている。この図は、プリントヘッドと、プリントヘッド118によって吐出される液滴の着弾位置との間の距離が、ヘッドシリンダ間隙として示される、プリントヘッドとプリントヘッドに最も近いオブジェクトの部分との間の間隙と、曲率間隙と称される、ヘッドシリンダ間隙における接線からオブジェクトの曲率上の位置までの間隙との和であることを示す。図に示すように、ヘッドシリンダ間隙は一定のままであるが、オブジェクトの表面がプリントヘッド118から離れると、曲率間隙が増加する。
図9Bのグラフは、印刷位置が印刷ヘッド118に最も近いオブジェクトの部分からさらに除去されると、印刷ヘッド118と液滴の着弾位置との間の距離が増加することを示している。この距離の増加は、プリントヘッドに最も近いオブジェクトの部分からさらに離れた位置の液滴がさらに移動し、したがって、オブジェクトは部材116上を移動するためにより多くの時間を有することを意味する。このように、同時に吐出される液滴は、オブジェクトを横切る直線を形成するのではなく、むしろ
図9Cに示すような湾曲し歪曲した画像を形成する。
【0012】
オブジェクトの不規則な表面上に印刷されたインク画像の歪曲に対処するために、
図1に示すプリンタ200が開発されている。プリンタ200は、先に説明したように、アレイ112内の固定プリントヘッド118、UVランプ120、部材116、及びオブジェクト104のためのホルダ108を含む。プリンタ200はまた、ユーザインターフェース232、画像プロジェクタ236、及び撮像装置240を含む。画像プロジェクタ236は、以下でより十分に説明する方法で、オブジェクトの表面の一部に印刷される画像を投影し、画像化装置240は、表面部分上に画像の一連の視覚画像を生成する。一連の視覚画像は、ユーザインターフェース232上に表示され、そのためオペレータは、その画像がオブジェクト上でどのように見えるかを確認することができる。ユーザインターフェース232上の調整制御を使用して、オペレータは、アクチュエータ128を動作させて、オブジェクトの垂直またはY位置を調整し、投影されている画像を表面上にシフトさせることができる。プリンタ200はまた、別のアクチュエータ242を含み、これは、ホルダ108に動作可能に接続される。ホルダ108は、アクチュエータ242をスライドさせてホルダをY方向に直交する方向に移動させるように構成され、Y方向と同じ平面にもまた存在する。この方向は、本書ではX方向または水平方向で示される。このように、オペレータは、画像プロジェクタ236及び撮像装置240に対向する部材116に平行なX-Y平面内のオブジェクトの表面部分の位置を調整することができる。別のアクチュエータ246は、ホルダ108のオブジェクトグリッパを回転させて、プリントヘッド118の平面と撮像装置240との間で、ホルダ108の平面まで延在するZ軸を中心としてオブジェクト104を回転させるように構成される。オペレータは、ユーザインターフェース制御を介してこのアクチュエータを動作させ、画像の位置をさらに調整することができる。さらに、オペレータは、
図8に関して上述した歪曲のうちの1つとして歪曲を識別するユーザインターフェースを用いて、オブジェクト上の画像のあらゆる歪曲を観察し、コード等のデータを入力することができる。コントローラ224は、画像位置合わせのために動作するイジェクタを選択し、プリントヘッド118のイジェクタの吐出タイミングを歪曲識別データを参照して調整して、オペレータによって検出された歪曲を減衰させるように構成される。一度オペレータがオブジェクト表面上の画像の位置決めを終了し、もしあれば画像の歪曲が識別された場合、プリンタ200は、印刷のためにホルダ108及びオブジェクト104をプリントヘッド118を通過させる準備ができている。
【0013】
図2に示すプリンタ200´では、プリントヘッドアレイ内の最も低いプリントヘッドが、赤外線撮像装置によってのみ視認されることができるインクを吐出するように構成されている。本実施形態では、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、オブジェクトの一部分を撮像装置240に対向させて位置付けし、それによって、オブジェクト表面の一部の一連の画像が、ユーザインターフェースのディスプレイに送信されるでき、オペレータは、アクチュエータ128、242、及び246を、
図3に示すようなユーザインターフェース上の調整制御によって操作し、オブジェクトを印刷のための適切な位置に位置付けるようにすることができる。いったんオペレータがオブジェクト上の画像の位置を選択すると、コントローラ224は、ホルダ108及びオブジェクト104を、赤外線インク吐出プリントヘッドに対向する位置に移動させ、プリントヘッドを動作させて、オブジェクト表面上に画像を赤外線インクで印刷する。印刷された画像は、有色マーキング材料によってオブジェクト上に印刷される画像の複製である必要はないが、そうであることもできる。しかし、より頻繁には、画像は、印刷される領域の外形及び領域の起伏または突起によって引き起こされ得るあらゆる歪曲を識別する基準群またはその他の適切なテストパターンである。そして、コントローラ224は、アクチュエータ128を作動させて、ホルダ108及びオブジェクト104を撮像装置240に対向する位置に戻す。ここで、赤外線撮像装置240は、この印刷された画像の一連の画像をユーザインターフェースのディスプレイに生成し、それによって、オペレータは、オブジェクト表面の選択された部分が画像に適応することができることを判定することができ、加えて、オペレータが画像のあらゆる歪曲を識別することを可能にするいったん、もしあれば歪曲識別データが入力されると、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、オペレータがユーザインターフェースによって生成した、オブジェクトが印刷の準備ができていることを示す信号に応答して、ホルダ108及びオブジェクト104を移動させて、印刷のためにプリントヘッド118を通過させる。
【0014】
図4に示すプリンタ200´´では、画像投影装置336は、光画像プロジェクタであり、これは、撮像装置240の視野内のオブジェクトの表面に光画像を提供する。本実施形態では、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、オブジェクトの一部分を撮像装置240に対向させて位置付けし、それによって、オブジェクト表面の一部に投射された画像の一連の画像が、ユーザインターフェースユーザインターフェース232のディスプレイに送信されるでき、オペレータは、アクチュエータを、
図3に示すようなユーザインターフェース上の調整制御によって操作し、オブジェクトを印刷のための適切な位置に位置付けるようにすることができる。さらに、オペレータは、視認している画像シーケンス内の画像のあらゆる歪曲を識別することができる。いったん、もしあれば歪曲識別データが入力されると、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、オペレータがユーザインターフェースによって生成した、オブジェクトが印刷の準備ができていることを示す信号に応答して、ホルダ108及びオブジェクト104を移動させて、印刷のためにプリントヘッド118を通過させる。赤外線インクの実施形態の場合のように、光画像は、オブジェクトに印刷される画像の複製である必要はないが、そうであることもできる。しかし、より頻繁には、画像は、印刷される領域の輪郭及び領域の起伏または突起によって引き起こされ得るあらゆる歪曲を識別する基準点のグループまたはその他の適切なテストパターンである。光信号は、プロジェクタとオブジェクトとの間の間隙の上には滴下されないため、発射信号の調整は経験的に判断され、プリンタ内の較正パラメータとして記憶されるか、またはテストパターンが基板上に印刷され、コントローラによって分析されて、プリントヘッドのイジェクタからのインク滴垂下を決定する。
【0015】
図2及び
図4の実施形態では、撮像装置240は、ホルダ108内のオブジェクト104上の画像のビデオ画像データを生成するように構成されたカメラ240として図示されている。図中ではカメラが示されているが、撮像装置は、光をオブジェクトに向け、反射光を受信する複数の光エミッタ及び光検出器であることができ、それによって、検出器は、画像データを、検出器によって受信された光強度に対応する電信信号として生成するようにされる。本書で使用される場合、「撮像装置」は、撮像装置に対向するオブジェクトの表面の一部を示す1つ以上の信号を生成するように構成された任意の装置を意味する。図中では、カメラは、30フレーム/秒以上のフレームレートでカラー画像をキャプチャするように構成され、各フレームは1024画素×1024画素の解像度を有する。ビデオデータは、既知のフォーマット、例えばaviまたはwmvでキャプチャされ、既知のフォーマット、例えばPNG、jpeg等を有する画像データファイルに変換される。画像データは、オペレータが画像の位置を検証し、画像内に存在し得るあらゆる歪曲を検出することを可能にするために、表示のためにユーザインターフェース232に提供される。
【0016】
プリンタ200´を動作させるためのプロセス500が
図5に示され、プリンタ200´´を動作させるためのプロセス600が
図6に示される。プロセスの説明において、プロセスが何らかのタスクまたは機能を行っているという記述は、コントローラまたはプロセッサに動作可能に接続された非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、データを操作するかまたはプリンタ内の1つ以上のコンポーネントを動作させて、該タスクまたは機能を行う、プログラムされた命令を実行しているコントローラまたは汎用プロセッサを指す。上述したコントローラ224は、そのようなコントローラまたはプロセッサであることができる。代替的に、コントローラは、2つ以上のプロセッサ及び関連付けられた回路及び構成要素とともに組み込まれることができ、その各々が、本明細書で説明された1つ以上のタスクまたは機能を形成するように構成される。加えて、本方法のステップは、図に示される順序または処理が記述された順序にかかわらず、任意の実行可能な時間順に実行されてもよい。
【0017】
プロセス500は、ホルダ108内に固定されたオブジェクト104で始まる(ブロック504)。コントローラは、ホルダ108に動作可能に接続されたアクチュエータ128を動作させて、撮像装置240に対向してオブジェクト及びホルダを移動させ、コントローラは、撮像装置を動作させて、コントローラがユーザインターフェースに送信するオブジェクトの一連の画像を生成する(ブロック508)。ユーザインターフェースの位置調整制御を使用して、オペレータは、X-Y平面内のオブジェクトを平行移動させ、Z軸を中心としてオブジェクトを回転させて、画像の印刷のためにオブジェクトの適切な部分を選択する(ブロック512)。画像位置が選択されたというユーザインターフェースからの信号に応答して、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、赤外線インクを吐出するプリントヘッド118に対向するオブジェクト上の選択された位置に移動させる(ブロック516)。プリントヘッドは、コントローラによって、赤外線インクを使用してオブジェクトの選択された部分に画像を形成するように動作する(ブロック520)。次に、コントローラ324は、アクチュエータ128を動作させて、ホルダ108及びオブジェクト104を撮像装置240に対向する位置に戻し(ブロック524)、撮像装置を動作させて、ユーザインターフェースのディスプレイに送信される、オブジェクト上の赤外線インク画像の一連の画像を生成する(ブロック528)。オペレータは、画像を視認して、オブジェクトの位置及び向きに追加の変更を加える必要があるかどうかを判定し、必要であれば、画像歪曲の識別を入力する(ブロック532)。オブジェクトが印刷の準備ができていることを示すオペレータに応答して(ブロック536)、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、ホルダ108及びオブジェクト104を移動させて、オブジェクト上に可視着色剤を吐出するプリントヘッド118を通過させて、画像を形成する(ブロック540)。印刷が終了すると(ブロック544)、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、ホルダ108及びオブジェクト104を、オブジェクトをホルダから取り外すことができる開始位置に戻す(ブロック548)。
【0018】
プロセス600は、ホルダ108内に固定されたオブジェクト104で始まる(ブロック604)。コントローラは、ホルダ108に動作可能に接続されたアクチュエータ128を動作させて、光プロジェクタ336に対向してオブジェクト及びホルダを移動させ、コントローラは光プロジェクタを動作させて、光画像をオブジェクト上に投影し、一方で撮像装置240は、コントローラがユーザインターフェースに送信するオブジェクトの一連の画像を生成する(ブロック608)。ユーザインターフェースの位置調整制御を使用して、オペレータは、X-Y平面内のオブジェクトを平行移動させ、Z軸を中心としてオブジェクトを回転させて、画像の印刷のためにオブジェクトの適切な部分を選択し、観察された任意の歪曲に対する識別コードを入力する(ブロック612)。オペレータが、ユーザインターフェースを使用して、オブジェクトが印刷の準備ができていることを示すことに応答して(ブロック616)、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、ホルダ108及びオブジェクト104を移動させ、オブジェクト上に可視着色剤を吐出するプリントヘッド118を通過して移動させて、画像を形成する(ブロック620)。印刷が終了すると(ブロック624)、コントローラ224は、アクチュエータ128を動作させて、ホルダ108及びオブジェクト104を、オブジェクトをホルダから取り外すことができる開始位置に戻す(ブロック626)。