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特許7079198黒色感光性樹脂組成物及びそれから調製される黒色カラムスペーサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】黒色感光性樹脂組成物及びそれから調製される黒色カラムスペーサ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/033 20060101AFI20220525BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220525BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20220525BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20220525BHJP
   C08F 2/48 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/004 505
G03F7/027 515
G03F7/004 501
G02F1/1339 500
C08F2/48
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018533178
(86)(22)【出願日】2016-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-21
(86)【国際出願番号】 KR2016013396
(87)【国際公開番号】W WO2017126795
(87)【国際公開日】2017-07-27
【審査請求日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2016-0006040
(32)【優先日】2016-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0154303
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509266480
【氏名又は名称】ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ・コリア・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ク・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ソク-ボン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ウン・キム
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-518978(JP,A)
【文献】特開2011-048064(JP,A)
【文献】特開2014-235376(JP,A)
【文献】国際公開第2015/046178(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/006669(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004 - 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒色感光性樹脂組成物であって、
(A)アクリルコポリマーと、
(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物と、
(C)(A)及び(B)とは異なるエポキシ化合物と、
(D)光重合性化合物と、
(E)光開始剤と、
(F)黒色着色剤と、を含み、
前記エポキシ化合物(C)が、エポキシ基及び不飽和二重結合を有するモノマーから誘導される構造単位を有するホモポリマーまたはコポリマーである、黒色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
黒色感光性樹脂組成物であって、
(A)アクリルコポリマーと、
(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物と、
(C)(A)及び(B)とは異なるエポキシ化合物と、
(D)光重合性化合物と、
(E)光開始剤と、
(F)黒色着色剤と、を含み、
前記アクリルコポリマー(A)は、前記黒色感光性樹脂組成物の総重量(固形分に基づく)を基準に10~40重量%の量で含まれ、前記エポキシ樹脂またはそれから誘導される前記化合物(B)は、前記黒色感光性樹脂組成物の総重量(固形分に基づく)を基準に10~40重量%の量で含まれ、
前記アクリルコポリマー(A):前記エポキシ樹脂またはそれから誘導される前記化合物(B)の重量比は、40~80:60~20であり、
前記エポキシ樹脂またはそれから誘導される前記化合物(B)は、カルド(cardo)骨格構造を有する、黒色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
黒色感光性樹脂組成物であって、
(A)アクリルコポリマーと、
(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物と、
(C)(A)及び(B)とは異なるエポキシ化合物と、
(D)光重合性化合物と、
(E)光開始剤と、
(F)黒色着色剤と、を含み、
前記黒色着色剤(F)は、前記黒色感光性樹脂組成物の総重量(固形分に基づく)に基づいて10~60重量%の量で含まれ、
前記エポキシ樹脂またはそれから誘導される前記化合物(B)は、カルド(cardo)骨格構造を有する、黒色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記黒色着色剤(F)が、前記着色剤の総重量(固形分に基づく)を基準に90重量%以上の黒色無機着色剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記黒色着色剤(F)が、前記黒色感光性樹脂組成物の総重量(固形分に基づく)に基づいて10~60重量%の量で含まれる、請求項1又は2に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記黒色着色剤(F)が、前記着色剤の総重量(固形分に基づく)を基準に0~10重量%の黒色有機着色剤を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記エポキシ樹脂またはそれから誘導される前記化合物(B)が、カルド(cardo)骨格構造を有する、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記黒色感光性樹脂組成物は、前記黒色感光性樹脂組成物が1μmの厚さを有するフィルムに硬化されるとき、0.5~2.5の光学密度を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒色感光性樹脂組成物及びそれから調製される黒色カラムスペーサ、特に液晶ディスプレイ(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイのパネルで使用される、スペーサ、遮光部品等の形成のための材料として適切である黒色感光性樹脂組成物、ならびに硬化フィルム、特にそれから調製される黒色カラムスペーサ(BCS)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCDの液晶セル内に、感光性樹脂組成物を使用して形成されたスペーサが、上部透明基板と下部透明基板との間に一定の距離を維持するために用いられている。2つの透明基板の間の一定の間隙に注入された液晶材料に印加される電圧によって駆動される電子光学装置であるLCDでは、2つの透明基板間の間隙を均一に維持することが非常に重要である。透明基板間の間隙が一定でない場合、それに印加される電圧ならびにこの領域を貫通する光の透過率が変動し得、空間的に不均一な輝度という欠陥をもたらす。サイズの大きなLCDパネルに対する最近の需要によれば、2つの透明基板の間に一定の間隙を維持することがなお一層重要である。
【0003】
スペーサは、感光性樹脂組成物を基板の上にコーティングすること、及びコーティングされた基板を、マスクを使用して紫外線等に露光することによって形成することができ、続いてその現像を行う。近年、スペーサに遮光材料を使用する努力がなされており、それに応じて、種々の着色感光性樹脂組成物が精力的に開発されている。
【0004】
これに関して、黒色カラムスペーサを形成するための様々な黒色感光性樹脂組成物が開示されている(日本公開第2001/154206号、韓国特許第10/0814660号、及び韓国公開第2000/0035753号を参照されたい)。
【0005】
高い遮光特性を付与するために、樹脂組成物に添加される顔料の含有量を増加させる必要がある。しかしながら、そのような場合、基板への低下した接着性、表面粗さ、及び段差特性を有する硬化フィルムが形成され得る。韓国特許第10/0814660号は、良好な遮光特性及び低い誘電率を有する黒色有機顔料の使用方法を開示する。しかしながら、黒色有機顔料が使用されるとき、高い光学密度を達成するために、カーボンブラックと比較して大量の黒色有機顔料が必要とされる。
【0006】
したがって、段差を有する黒色カラムスペーサにおいて特に必要とされる、LCDまたはOLEDディスプレイにおける硬化フィルムの接着性、段差特性、表面粗さ、及び遮光特性を含む全ての特性を満たす黒色感光性樹脂組成物に関する研究が切望されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、良好な接着性、表面粗さ、及び高い遮光特性(光学密度)を満たす硬化フィルム、特に良好な段差特性を有する黒色カラムスペーサを生成することができる、黒色感光性樹脂組成物、ならびにそれから調製される硬化フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、(A)アクリルコポリマー、(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物、(C)(A)及び(B)とは異なるエポキシ化合物、(D)光重合性化合物、(E)光開始剤、ならびに(F)黒色着色剤を含む、黒色感光性樹脂組成物が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、良好な接着性、良好な段差特性、良好な表面粗さ、及び高い遮光特性(光学密度)を呈する硬化フィルムを形成することができ、液晶ディスプレイ(LCD)または有機光発光ダイオード(OLED)ディスプレイの硬化フィルム、特に黒色カラムスペーサの形成に効果的に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実験例1において形成された主カラムスペーサ(主CS)及びサブカラムスペーサ(サブCS)の各形状及び段差(ステップ)を示す概略図である。
図2】実験例1において使用される、100%フルトーン(F/T)カラムスペーサパターンのマスク及び30%ハーフトーン(H/T)カラムスペーサパターンのマスクの各々を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による黒色感光性樹脂組成物は、(A)アクリルコポリマー、(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物、(C)(A)及び(B)とは異なるエポキシ化合物、(D)光重合性化合物、(E)光開始剤、ならびに(F)黒色着色剤を含んでよく、所望される場合、(G)溶媒、及び(H)界面活性剤、及び/または(I)シランカップリング剤を添加剤としてさらに含んでもよい。
【0012】
以下、本発明の構成成分が詳細に説明される。
【0013】
本発明において、(メタ)アクリルは、アクリル及び/またはメタクリルを意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/またはメタクリレートを意味する。
【0014】
(A)アクリルコポリマー
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、ランダムコポリマーであり得るアクリルコポリマーを含み得る。
【0015】
本発明のコポリマーは、(A-1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される構造単位、及び(A-2)芳香族環を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位を含み、追加として、(A-3)構造単位(A-1)及び(A-2)とは異なるエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位を含み得る。
【0016】
コポリマーは、現像工程中に所望の現像性を達成するためのアルカリ可溶性樹脂であり、コーティング後にフィルムを形成するための基本的支持体及び最終パターンを達成するための構造の両方として機能し得る。
【0017】
(A-1)エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される構造単位
本発明において、構造単位(A-1)は、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの組み合わせから誘導される。エチレン性不飽和カルボン酸またはエチレン性不飽和カルボン酸無水物は、分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を有する重合性不飽和モノマーである。
【0018】
エチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和カルボン酸無水物の特定の例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、及び桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、及びメサコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びその無水物;三価以上の不飽和ポリカルボン酸及びそれらの無水物;ならびにモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]コハク酸塩、及びモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタル酸塩などの二価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステルを挙げることができる。
【0019】
上で例示した化合物から誘導される構造単位は、コポリマー単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせとして含まれてもよい。
【0020】
構造単位(A-1)の量は、現像性を容易に維持するために、コポリマーを構成する構造単位の総モル数に基づいて5~65モル%、好ましくは10~50モル%であり得る。
【0021】
(A-2)芳香環を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
本発明において、構造単位(A-2)は、芳香族環を含有するエチレン性不飽和化合物から誘導される。
【0022】
芳香族環を含有するエチレン性不飽和化合物の特定の例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート;スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、及びオクチルスチレンなどのアルキル置換基を含有するスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、及びヨードスチレンなどのハロゲンを有するスチレン;メトキシスチレン、エトキシスチレン、及びプロポキシスチレンなどのアルコキシ置換基を有するスチレン;4-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン;ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0023】
上で例示した化合物から誘導される構造単位は、コポリマー単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせとして含まれてもよい。
【0024】
上記の中で、スチレン化合物は、重合特性を考慮して好ましい。
【0025】
構造単位(A-2)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モル数に基づいて、耐化学性を考慮して2~70モル%、好ましくは5~60モル%であり得る。
【0026】
(A-3)構造単位(A-1)及び(A-2)とは異なるエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位
本発明のコポリマーは、構造単位(A-1)及び(A-2)に加えて、構造単位(A-1)及び(A-2)とは異なるエチレン性不飽和化合物から誘導される構造単位(A-3)をさらに含み得る。
【0027】
構造単位(A-1)及び(A-2)とは異なるエチレン性不飽和化合物の特定の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカルバゾール、及びN-ビニルモルホリンなどのN-ビニル基を含有する第3級アミン;ビニルメチルエーテル及びビニルエチルエーテルなどの不飽和エーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、及び2-メチルアリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を含有するエチレン性不飽和化合物;ならびにN-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、及びN-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミドを挙げることができる。
【0028】
上で例示した化合物から誘導される構造単位は、コポリマー単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせとして含まれてもよい。
【0029】
特に、構造単位(A-3)は、エポキシ基及び/または不飽和イミドを含有するエチレン性不飽和化合物から誘導されることができ、好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、及び/またはN-置換マレイミドが、共重合特性の改善及び絶縁フィルムの強度を考慮して使用され得る。
【0030】
構造単位(A-3)の量は、コポリマーを構成する構造単位の総モル数に基づいて10~80モル%、好ましくは20~75モル%であり得る。この量範囲内で、黒色感光性樹脂組成物の貯蔵安定性が維持され得、保持速度が改善され得る。
【0031】
構造単位(A-1)~(A-3)を有するコポリマーの例としては、(メタ)アクリル酸/スチレンコポリマー、(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレートコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレートコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/メチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-シクロヘキシルマレイミドコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/n-ブチル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル/N-フェニルマレイミドコポリマー、(メタ)アクリル酸/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレート/N-フェニルマレイミドコポリマー等を挙げることができる。
【0032】
1種以上のコポリマーが、黒色感光性樹脂組成物に含まれてもよい。
【0033】
黒色感光性樹脂組成物全体中のコポリマーの量は、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)黒色感光性樹脂組成物の総重量に基づいて5~60重量%、好ましくは7~50重量%、より好ましくは10~40重量%であり得る。この範囲内で、組成物は、現像後の良好なプロファイル及び改善された耐化学性を有するコーティングフィルムを生成する。
【0034】
ポリスチレンを標準としてこのように調製されたコポリマーの重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC、テトラヒドロフランを溶離液として使用する)によって決定されるとき、3,000~50,000、好ましくは5,000~40,000の範囲であり得る。この範囲内で、組成物は、良好な基板への接着性、物理的/化学的特性、及び粘度を有する。
【0035】
コポリマーは、分子量調整剤、ラジカル重合開始剤、溶媒、及び構造単位(A-1)~(A-3)を提供するそれぞれの化合物を装填すること、窒素を導入すること、ならびに混合物を緩速撹拌で重合に供することによって調製され得る。
【0036】
分子量調整剤は、ブチルメルカプタン及びオクチルメルカプタンなどのメルカプタン化合物、またはα-メチルスチレン二量体であってもよいが、これらに限定されない。
【0037】
ラジカル重合開始剤は、2,2′-アゾビスイソブチロニトリル、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシ吉草酸塩、ならびに1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンであり得るが、これらに限定されない。ラジカル重合開始剤は、単独で、またはその2つ以上の混合物として使用されてもよい。
【0038】
また、溶媒は、コポリマーの調製において一般に使用される任意の溶媒であり得、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸塩(PGMEA)を含み得る。
【0039】
(B)エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物を含む。好ましくは、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物は、カド(cado)骨格構造を有し得る。エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物は、ポリスチレンを標準としてゲル浸透クロマトグラフィによって決定されるとき、3,000~18,000、好ましくは5,000~10,000の重量平均分子量を有し得る。この範囲内で、樹脂組成物は、良好な段差特性及び良好な現像後のパターンプロファイルを有するコーティングフィルムを生成する。
【0040】
特に、カド骨格構造を有するエポキシ樹脂は、以下の式1によって表され得、
【0041】
【化1】
【0042】
式1中、
Xは、各々独立して、
【0043】
【化2】
【0044】
であり、
は、各々独立して、C1-10アルキレン、C3-20シクロアルキレン、またはC1-10アルキレンオキシであり、
~Rは、各々独立して、H、C1-10アルキル、C1-10アルコキシ、C2-10アルケニル、またはC6-14アリールであり、
は、H、メチル、エチル、CHCHCl-、CHCHOH-、CH=CHCH-、またはフェニルであり、
nは、0~10の整数である。
【0045】
1~10アルキレンの特定の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、t-ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、t-ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、イソオクチレン、t-オクチレン、2-エチルへキシレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレン等を挙げることができる。
【0046】
3-20シクロアルキレンの特定の例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、デカリニレン、アダマンチレン等を挙げることができる。
【0047】
1-10アルキレンオキシの特定の例としては、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、ブチレンオキシ、sec-ブチレンオキシ、t-ブチレンオキシ、ペンチレンオキシ、ヘキシレンオキシ、ヘプチレンオキシ、オクチレンオキシ、2-エチル-ヘキシレンオキシ等を挙げることができる。
【0048】
1-10アルキルの特定の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、t-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、t-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル等を挙げることができる。
【0049】
1-10アルコキシの特定の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブチルオキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチクルオキシ、2-エチル-ヘキシルオキシ等を含み得る。
【0050】
2-10アルケニルの特定の例としては、ビニル、アリル、ブテニル、プロペニル等を挙げることができる。
【0051】
6-14アリールの特定の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等を挙げることができる。
【0052】
好ましい実施例では、カルド(cardo)骨格構造を有するエポキシ樹脂は、以下の合成経路を介して調製され得、
【0053】
【化3】
【0054】
反応スキーム1において、
Halは、ハロゲンであり、X、R、R、及びLは、式1で定義されるものと同じである。
【0055】
カド骨格構造を有するエポキシ樹脂から誘導される化合物は、カド骨格構造を有するエポキシ樹脂を不飽和塩基酸と反応させて、エポキシ付加物を生成し、次いでエポキシ付加物を多塩基酸無水物と反応させることによって、またはこのように得られた生成物を単官能性もしくは多官能性エポキシ化合物とさらに反応させることによって得られる化合物であり得る。
【0056】
不飽和塩基酸は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等を含む周知の酸を使用することができる。
【0057】
多塩基酸無水物は、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物等を含む周知の化合物を使用し得る。
【0058】
単官能性または多官能性エポキシ化合物は、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールZグリシジルエーテル等を含む周知の化合物を使用し得る。
【0059】
好ましい実施例では、カルド骨格構造を有するエポキシ樹脂から誘導される化合物は、以下の合成経路を介して調製され得、
【0060】
【化4】
【0061】
反応スキーム2において、
は、各々独立して、H、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基、C2-10アルケニル基、またはC6-14アリール基であり、
10及びR11は、各々独立して、飽和または不飽和C脂肪族環またはベンゼン環であり、
nは、1~10の整数であり、
X、R、R、及びLは、式1で定義されるものと同じである。
【0062】
カド骨格構造を有するエポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物が使用される場合、カド骨格構造は、硬化生成物と基板との間の接着性、耐アルカリ性、加工性、強度等を改善することができ、また未硬化の部品を現像によって除去した後に微細パターンからより正確な画像を生成することができる。
【0063】
エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物の量は、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)黒色感光性樹脂組成物の総重量に基づいて5~50重量%、好ましくは7~40重量%、より好ましくは10~35重量%であり得る。この範囲内で、解像度及び耐化学性が改善され得、パターン間の所望のマージン幅(許容される幅)に対して一定の段差を有するパターン形状を維持するパターンプロファイルが有利に達成され得る。
【0064】
上述のように、本発明の黒色感光性樹脂組成物は、黒色感光性樹脂組成物の総重量(固形分に基づく)に基づいて10~40重量%のアクリルコポリマー(A)を含み得、黒色感光性樹脂組成物の総重量(固形分に基づく)に基づいて10~40重量%のエポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物(B)を含み得る。この場合、アクリルコポリマー(A):エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物(B)の重量比は、40~80:60~20、特に40~75:60~25であり得る。
【0065】
(C)(A)及び(B)とは異なるエポキシ化合物
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、(A)及び(B)以外のエポキシ化合物を含み、かかるエポキシ化合物は、エポキシ基及び不飽和二重結合を有するモノマーから誘導される構造単位を有するホモポリマーまたはコポリマーであり得る。
【0066】
エポキシ基及び不飽和二重結合を有するモノマーの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、4,5-エポキシペンチル(メタ)アクリレート、5,6-エポキシヘキシル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、2,3-エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、α-エチルグリシジルアクリレート、α-n-プロピルグリシジルアクリレート、α-n-ブチルグリシジルアクリレート、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルベンジル)アクリルアミド、N-(4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3,5-ジメチルフェニルプロピル)アクリルアミド、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、またはそれらの混合物、好ましくはグリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、または3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0067】
エポキシ基及び不飽和二重結合を有するモノマーと共重合可能な他のモノマーは、不飽和カルボン酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、メチル-α-ヒドロキシメチルアクリレート、エチル-α-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピル-α-ヒドロキシメチルアクリレート、ブチル-α-ヒドロキシメチルアクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチエングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート;不飽和イミド、例えばマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、及びN-シクロヘキシルマレイミド、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート;スチレン;アルキル置換基を含有するスチレン、例えばメチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、及びオクチルスチレン;ハロゲンを有するスチレン、例えばフルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、及びヨードスチレン;アルコキシ置換基を有するスチレン、例えばメトキシスチレン、エトキシスチレン、及びプロポキシスチレン;4-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、アセチルスチレン;ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ビニルフェノール、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、及びp-ビニルベンジルメチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つを含む。
【0068】
本発明で使用されるエポキシ化合物は、従来の方法によって合成され得る。
【0069】
一方、エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの混合物は、エポキシ基及び不飽和二重結合を有するモノマーから誘導される(コ)ポリマーに添加されてもよく、また重合されて側鎖にエポキシ基及び二重結合を有するコポリマーを生成することができる。
【0070】
エチレン性不飽和カルボン酸、エチレン性不飽和カルボン酸無水物、またはそれらの混合物は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、及び桂皮酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、及びメサコン酸などの不飽和ジカルボン酸及びその無水物;三価以上の不飽和ポリカルボン酸及びそれらの無水物;ならびにモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]コハク酸塩、及びモノ[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]フタル酸塩などの二価以上のポリカルボン酸のモノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステルからなる群から選択される少なくとも1つであり得る。
【0071】
側鎖にエポキシ基及び二重結合を有するコポリマーは、保持速度を考慮して好ましい。
【0072】
エポキシ化合物の量は、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)感光性樹脂組成物の総重量に基づいて0.1~10重量%、好ましくは0.1~5重量%であり得る。この範囲内で、現像後の接着性またはNMP溶媒に浸漬した後の接着性が改善され得る。
【0073】
エポキシ化合物の重量平均分子量(エポキシ基及び不飽和二重結合を有するモノマーから誘導される(コ)ポリマー)は、ポリスチレンを標準としてゲル浸透クロマトグラフィによって決定されるとき、1,000~9,000、好ましくは1,000~7,000、より好ましくは2,000~5,000の範囲内であり得る。重量平均分子量により、接着性が改善され得、良好な耐化学性が達成され得る。
【0074】
(D)光重合性化合物
本発明の光重合性化合物は、光開始剤の機能によって重合され得る化合物であり、黒色感光性樹脂組成物で一般に使用される、多官能性モノマー、オリゴマー、またはポリマーを含み得る。
【0075】
より具体的には、光重合性化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有するアクリル酸またはメタクリル酸の単官能性または多官能性エステル化合物を含み得る。少なくとも2つの官能基を有する多官能性化合物は、耐化学性を考慮して好ましい場合がある。
【0076】
光重合性化合物は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びコハク酸のモノエステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びコハク酸のモノエステル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネート(ペンタエリスリトールトリアクリレート及びヘキサメチレンジイソシアネートの反応生成物)、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択され得るが、それに限定されない。
【0077】
光重合性化合物の量は、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)黒色感光性樹脂組成物の総重量を基準に1~50重量%、好ましくは5~40重量%であり得る。この範囲内で、樹脂組成物は、現像中に底部のスカムなどのパターンプロファイルの欠陥を生じさせることなく、容易にパターンを形成する。
【0078】
(E)光重合開始剤
本発明で使用される光重合開始剤は、任意の既知の重合開始剤であり得る。
【0079】
光重合開始剤は、アセトフェノン化合物、非イミダゾール化合物、トリアジン化合物、オニウム化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、ジケトン化合物、α-ジケトン化合物、多核キノン化合物、チオキサンテン化合物、ジアゾ化合物、イミドスルホン酸塩化合物、オキシム化合物、カルバゾール化合物、ホウ酸スルホニウム化合物、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0080】
高感度のために、韓国特許公開第2004/0007700号、同第2005/0084149号、同第2008/0083650号、同第2008/0080208号、同第2007/0044062号、同第2007/0091110号、同第2007/0044753号、同第2009/0009991号、同第2009/0093933号、同第2010/0097658号、同第2011/0059525号、同第2011/0091742号、同第2011/0026467号、及び同第2011/0015683号、ならびに国際公開第WO2010/102502号、及び同第WO2010/133077号に開示されている1つ以上のオキシム化合物が好ましい。高感度及び解像度のために、OXE-01(BASF Co.Ltd.)、OXE-02(BASF Co.Ltd.)、OXE-03(BASF Co.Ltd.)、N-1919(ADEKA Co.Ltd.)、NCI-930(ADEKA Co.Ltd.)、及びNCI-831(ADEKA Co.Ltd.)などの市販の光重合開始剤が好ましい。
【0081】
光重合開始剤は、感光性樹脂組成物の全固形分(溶媒を除く)に基づいて0.01~15重量%、好ましくは0.1~10重量%の量で含まれ得る。この範囲内で、露光による硬化は十分に達成され得、良好な弾性回復率を有するカラムスペーサが製造され得る。
【0082】
(F)黒色着色剤
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、遮光特性を付与するための黒色着色剤を含む。
【0083】
本発明で使用される黒色着色剤は、黒色無機着色剤、黒色有機着色剤、またはそれらの混合物であってもよい。
【0084】
黒色無機着色剤及び黒色有機着色剤は、任意の既知の材料であってもよく、例えば色指数(The Society of Dyers and Colourists印刷版)によって顔料として分類される任意の化合物を含んでよく、任意の既知の染料が含まれ得る。加えて、青色などの有彩色を有する任意の着色剤は、黒色着色剤に加えて任意選択で含まれ得る。
【0085】
黒色無機着色剤の特定の例としては、カーボンブラック、チタンブラック、Cu-Fe-Mn系酸化物、及び合成鉄ブラックなどの金属酸化物を挙げることができる。それらの中で、カーボンブラックは、パターン特性及び耐化学性を考慮して好ましい。
【0086】
加えて、黒色有機着色剤の特定の例としては、アニリンブラック、ラクタムブラック、ペリレンブラック等を挙げることができる。それらの中で、ラクタムブラック(例えば、BASFの黒色582)は、好ましくは光学密度、誘電性等を考慮して使用され得る。
【0087】
黒色着色剤は、着色剤の総重量(固形分に基づく)を基準に90重量%以上の黒色無機着色剤を含み得、追加として、0~10重量%の黒色有機着色剤を含み得る。この範囲内で、可視及び赤外領域における光の漏出を防止することができる高い光学密度が有利に達成され得る。
【0088】
黒色着色剤の量は、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)黒色感光性樹脂組成物の総重量に基づいて10~60重量%、20~50重量%、20~45重量%、25~50重量%、または25~45重量%であり得る。
【0089】
この範囲内で、光の漏出を防止することができる高い光学密度が有利に達成され得る。
【0090】
特に、本発明の黒色感光性樹脂組成物が、1μmの厚さを有するフィルムに硬化されるとき、0.5~2.5、好ましくは0.8~2.0、より好ましくは1.0~2.3、より好ましくは1.0~2.0の光学密度が達成され得る。この範囲内で、光漏出の防止は、効果的に達成され得る。
【0091】
一方、本発明の黒色感光性樹脂組成物中に黒色分散剤を分散させるために、分散剤が使用され得る。かかる分散剤は、着色剤の任意の既知の分散剤であり得る。
【0092】
分散剤の特定の例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を挙げることができる。市販の分散剤としては、BYK Co.Ltd.のDisperbyk-182、-183、-184、-185、-2000、-2150、-2155、-2163、-2164等を挙げることができる。これらの材料は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせとして使用されてもよい。分散剤は、事前に着色剤の表面を処理する方法によって着色剤に添加することによって使用され得るか、または黒色感光性樹脂組成物を調製するプロセス中に着色剤と一緒に添加することによって使用され得る。
【0093】
加えて、黒色着色剤を結合剤と混合した後、混合物は、黒色感光性樹脂組成物の調製に使用され得る。かかる結合剤は、上述のコポリマー(A)、既知のコポリマー、またはそれらの混合物であってもよい。
【0094】
したがって、本発明で使用される着色剤は、その着色剤を分散剤、結合剤、溶媒等と混合することによって得られる着色剤ミルベースの形態で黒色感光性樹脂組成物に添加され得る。
【0095】
(G)溶媒
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、好ましくは、上記の成分を溶媒と混合する液体組成物として調製され得る。溶媒が黒色感光性樹脂組成物の成分との相溶性を有するが、反応性を有しない限り、溶媒は、黒色感光性樹脂組成物中で使用される任意の既知の溶媒であり得る。
【0096】
かかる溶媒の例としては、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート;エチル2-ヒドロキシプロピオネートなどのエステル;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのジエチレングリコール;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート;及び3-メトキシブチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテートを挙げることができる。溶媒は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせとして使用されてもよい。
【0097】
溶媒の量は特に限定されず、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)組成物の各成分の総濃度が、最終黒色感光性樹脂組成物の被覆性及び安定性を考慮して5~70重量%、好ましくは10~55重量%であり得るような量であり得る。
【0098】
(H)界面活性剤
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、所望される場合、その被覆性を強化し、欠陥の生成を防止するために界面活性剤をさらに含み得る。
【0099】
界面活性剤の種類は特に限定されないが、フッ素系界面活性剤、ケイ素系界面活性剤等が好ましい。
【0100】
市販のケイ素系界面活性剤としては、Dow Corning Toray Siliconにより製造されたDC3PA、DC7PA、SH11PA、SH21PA、及びSH8400、GE Toshiba Siliconにより製造されたTSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4446、TSF-4460、及びTSF-4452、ならびにBYKにより製造されたBYK-333、BYK 307、BYK 3560、BYK UV 3535、BYK 361N、BYK 354、及びBYK 399を挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で、またはそれらの2つ以上の組み合わせで使用されてもよい。市販のフッ素系界面活性剤としては、Dai Nippon Ink Kagaku Kogyo(DIC)により製造されたMegaface F-470、F-471、F-475、F-482、F-489、F-563、RS-55等を挙げることができる。それらの中で、BYKのBYK 333及びBYK 307、DICのF-563、ならびにDai Nippon Ink Kagaku KogyoのMegaface RS-55が使用され得る。
【0101】
界面活性剤の量は、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)黒色感光性樹脂組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%であり得る。この量範囲内で、黒色感光性樹脂組成物は容易にコーティングされ得る。
【0102】
(I)シランカップリング剤
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、所望される場合、カルボキシル、(メタ)アクリロイル、イソシアネート、アミノ、メルカプト、ビニル、エポキシ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される反応性置換基を含有するシランカップリング剤を、基板へのコーティングの接着性を改善するための接着補助剤として追加で含み得る。
【0103】
シランカップリング剤の種類は特に限定されず、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、フェニルアミノトリメトキシシラン、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0104】
耐化学性を維持し、良好な基板へのコーティングの接着性を有し得る、イソシアネート基を含有するγ-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(例えば、Shin-Etsuにより製造されたKBE-9007)またはフェニルアミノトリメトキシシランが好ましい。
【0105】
シランカップリング剤の量は、溶媒を除く(すなわち、固形分に基づく)黒色感光性樹脂組成物の総重量に基づいて0.01~10重量%、好ましくは0.05~5重量%であり得る。この量範囲内で、黒色感光性樹脂組成物の接着性がさらに改善され得る。
【0106】
加えて、本発明の黒色感光性樹脂組成物は、組成物の物理的特性が悪影響を受けない限り、抗酸化剤及び安定剤などの他の添加剤をさらに含み得る。
【0107】
本発明の黒色感光性樹脂組成物が、大量の黒色着色剤(顔料)を含む場合であっても、それから調製された硬化フィルムは、良好な接着性、段差、表面粗さ、及び遮光特性を示す。
【0108】
黒色感光性樹脂組成物の調製方法
本発明による上述の成分を含む黒色感光性樹脂組成物は、従来の方法によって調製することができ、その実施形態は、以下の通りである。
【0109】
第1に、黒色着色剤を、事前に溶媒と混合し、次いで所望の平均粒径の黒色着色剤が得られるまでビーズミル等を使用して分散させる。そのような場合、必要に応じて、界面活性剤が使用されてもよく、コポリマーの一部または全体が混合されてもよい。分散液に、残りのコポリマー、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物、エポキシ化合物、光重合化合物、及び光開始剤が添加され、所望される場合、界面活性剤及びシランカップリング剤などの添加剤が添加されるか、または追加の溶媒を混合してある特定の濃度を達成する。混合物を十分に撹拌して、本発明の黒色感光性樹脂組成物を生成する。
【0110】
黒色カラムスペーサ
本発明は、黒色感光性樹脂組成物を使用して形成された黒色カラムスペーサ(BCS)を提供する。黒色カラムスペーサパターンの実施形態を図1に示す。
【0111】
黒カラムスペーサは、コーティングフィルムを形成するステップ、露光するステップ、現像するステップ、及び加熱するステップを介して製造され得る。
【0112】
コーティングフィルムの形成ステップにおいて、本発明による黒色感光性樹脂組成物は、スピンまたはスリットコーティング方法、ロールコーティング方法、スクリーン印刷方法、アプリケータ方法等によって、例えば、前処理された基板上に1~25μmの厚さでコーティングされ、次いで70℃~100℃の温度で1~10分間予備硬化して溶媒を除去し、コーティングフィルムを形成する。
【0113】
このように得られたコーティングフィルムにおいてパターンを形成するために、ある特定の形状を有するマスクが配設され、200~500nmの活性化ビームが照射される。段差を有する黒色カラムスペーサを製造するために、異なる光透過率を有するパターンを有するマスクを使用して、主カラムスペーサ及びサブカラムスペーサを同時に達成することができる。照射に使用される光源として、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザー等を使用することができ、必要に応じてX線及び電子ビーム等が使用され得る。露光強度は、組成物中の各成分の種類及び混合比、ならびに乾燥フィルムの厚さにより変動し、高圧水銀ランプの場合、500mJ/cm以下(365nmの波長で)であり得る。
【0114】
露光ステップの後、不要な部分は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化テトラメチルアンモニウムなどのアルカリ水溶液を現像液として使用して溶解及び除去し、露光部分のみを維持してパターンを形成する。現像によって得られた画像パターンを室温に冷却した後、パターンを、180℃~250℃の温度で10~60分間、熱気コンベンションオーブン型乾燥炉内でポストベークして所望の最終パターンを得る。
【0115】
良好な物理的特性により、このように製造された黒色カラムスペーサは、LCD、OLEDディスプレイ等の電子部品として有用であり得る。LCD、OLEDディスプレイ等は、本発明のスペーサに加えて、当業者に周知の部品を含み得る。つまり、本発明の黒色カラムスペーサが適用され得るLCD、OLEDディスプレイ等は、本発明により包含され得る。
【0116】
発明の形態
以下、本発明を次の実施例を参照して詳細に説明する。しかしながら、実施例は、本発明をさらに例証することが意図され、その範囲がそれに限定されるものではない。
【0117】
以下の調製例では、重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定される。
【0118】
調製例1:アクリルコポリマー(A)の調製
還流コンデンサ及び撹拌機を備えた500mLの丸底フラスコに、51モル%のN-フェニルマレイミド、4モル%のスチレン、10モル%の4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、及び35モル%のメタクリル酸を含有する100gのモノマーの混合物、溶媒としての300gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ならびにラジカル重合開始剤としての2gの2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を添加し、続いて温度を70℃に上昇させ、5時間撹拌して31%の固形分を有するコポリマーを生成した。このように得られたコポリマーの酸価は、100mgKOH/gであり、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定される重量平均分子量は、20,000であった。
【0119】
調製例2:カルド骨格構造を有するエポキシ樹脂から誘導される化合物(B)の調製
【0120】
【化5】
【0121】
ステップ(1):9,9-ビス[4-(グリシジルオキシ)フェニル]フルオレンの調製
3,000mLの3首丸底フラスコに、200gのトルエン、125.4gの4,4′-(9-フルオレニデン)ジフェノール、及び78.6gのエピクロロヒドリンを添加し、撹拌しながら40℃に加熱して溶液を得た。0.1386gのt-ブチルアンモニウム臭化物及び50% NaOH水溶液(3等量)を容器中で混合し、混合物を、得られた溶液に撹拌しながらゆっくりと添加した。
【0122】
このように得られた反応混合物を、90℃に1時間加熱して、4,4′-(9-フルオレニリデン)ジフェノールを完全に除去し、これはHPLCまたはTLCによって確認された。反応混合物を30℃に冷却し、400mLのジクロロメタン及び300mLの1N HClを撹拌しながらそれに添加した。次いで、有機層を分離し、300mLの蒸留水で2回または3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸留してジクロロメタンを除去した。ジクロロメタン及びメタノールの混合物を使用して、合成物を再結晶化し、表題化合物であるエポキシ樹脂化合物を得た。
【0123】
ステップ(2):(((9H-フルオレン-9,9-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(2-ヒドロキシプロパン-3,1-ジイル)ジアクリレート(CAS No.143182-97-2)の調製
1,000mLの3首フラスコに、115gのステップ(1)で得られた化合物、50mgの塩化テトラメチルアンモニウム、50mgの2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール、及び35gのアクリル酸を添加した。混合物を、25mL/分の流量で送風しながら90~100℃に加熱し、120℃にさらに加熱して溶液を得た。得られた溶液を、その酸価が1.0mgKOH/g未満に下がるまで約12時間撹拌し、次いで室温に冷却した。300mLのジクロロメタン及び300mLの蒸留水を、撹拌しながら反応混合物に添加した。次いで、有機層を分離し、300mLの蒸留水で2回または3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で蒸留してジクロロメタンを除去し、それにより表題化合物をもたらした。
【0124】
ステップ(3):カルド骨格構造を有するエポキシ樹脂から誘導される化合物の調製
PGMEA中のステップ(2)において得られた化合物を、1,000mLの3首フラスコに入れ、1,2,4,5-ベンゼネテトラカルボン酸二無水物(0.75当量)、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物(0.5当量)、及びトリフェニルホスフィン(0.01等量)をそれにさらに添加した。反応混合物を、撹拌しながら2時間、120~130℃に加熱し、次いで80~90℃に冷却し、続いて6時間撹拌した。室温に冷却した後、6,000の重量平均分子量(Mw)を有するポリマーの溶液(49重量%の固形分)及び107mgKOH/g(固形分に基づく)の酸価を得た。
【0125】
調製例3:エポキシ化合物(C)-(C-1)の調製
撹拌機、温度計、窒素ガス置換装置、及び還流コンデンサを備えたフラスコに、450gのPGMEAを溶媒として添加し、150gの3,4-エポキシクロヘキシルメチルメタクリレート、及び3gの2,2′-アゾビスイソブチロニトリルをそれに添加した。この反応を30分間実施し、窒素置換を行った。分離され得るフラスコを油浴中に浸漬し、重合を行うために反応温度を80℃に維持しながら5時間撹拌した。このように得られた固体の濃度は、22重量%であり、5,500の重量平均分子量を有する化合物が得られた。
【0126】
調製例4:エポキシ化合物(C)-(C-2)の調製
撹拌機、温度計、窒素ガス置換装置、及び還流コンデンサを備えたフラスコに、450gのPGMEAを溶媒として添加し、150gのグリシジルメタクリレート、及び3gの2,2′-アゾビスイソブチロニトリルをそれに添加した。この反応を30分間実施し、窒素置換を行った。分離され得るフラスコを油浴中に浸漬し、重合を行うために反応温度を80℃に維持しながら5時間撹拌した。このように得られた固体の濃度は、22重量%であり、4,000の重量平均分子量を有する化合物が得られた。
【0127】
調製例5:エポキシ化合物(C)-(C-3)の調製
撹拌機、温度計、窒素ガス置換装置、及び還流コンデンサを備えたフラスコに、450gのPGMEAを溶媒として添加し、150gの4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、及び3gの2,2′-アゾビスイソブチロニトリルをそれに添加した。この反応を30分間実施し、窒素置換を行った。分離され得るフラスコを油浴中に浸漬し、重合を行うために反応温度を80℃に維持しながら5時間撹拌した。このように得られた固体の濃度は、22重量%であり、7,000の重量平均分子量を有する化合物が得られた。
【0128】
調製例6:無機着色分散液(F-1)(無機黒色分散液)の調製
着色分散液(F-1)は、Tokushiki Co.から供給され、以下の方法によって調製された。
【0129】
12,000~20,000g/molの重量平均分子量、及び80~150mgKOH/gの酸価を有する8gのアクリルコポリマー溶液(Tokushiki Co.)、100~140mgKOH/gのアミン価を有する8gのアクリルポリマー分散液(Tokushiki Co.)、無機黒色としての80gのカーボンブラック、ならびに溶媒としての384gのPGMEAを、25℃で6時間、ペイントシェーカーを使用して分散させた。分散は、0.3mmのジルコニアビーズを使用して実施した。分散が終了した後、ビーズ及び分散溶液を、フィルターを使用して分離して、23重量%の固形分を有する着色分散液を調製した。
【0130】
調製例7:有機着色分散液(F-2)(有機黒色分散液)の調製
着色分散液(F-2)は、Tokushiki Co.から供給され、以下の方法によって調製された。
【0131】
12,000~20,000g/molの重量平均分子量、及び80~150mgKOH/gの酸価を有する8gのアクリルコポリマー溶液(Tokushiki Co.)、100~140mgKOH/gのアミン価を有する8gのアクリルポリマー分散液(Tokushiki Co.)、有機黒色としての80gのラクタムブラック(黒色582、BASF)、ならびに溶媒としての384gのPGMEAを、25℃で6時間、ペイントシェーカーを使用して分散させた。分散は、0.3mmのジルコニアビーズを使用して実施した。分散が終了した後、ビーズ及び分散溶液を、フィルターを使用して分離して、23重量%の固形分を有する着色分散液を調製した。
【0132】
実施例1
4g(固形分)の調製例1で調製されたコポリマーとしてのコポリマー(A)、2.8g(固形分)の調製例2で調製されたエポキシ樹脂から誘導される化合物(B)、4.9gの光重合化合物(D)としてのDPHA(Nippon Kayaku)、0.2gの光重合開始剤(E)としてのオキシム光開始剤(OXE-03、BASF)、0.2gのトリアジン開始剤(T-Y、Pharmasynthese)、0.2g(固形分)の調製例3で調製されたエポキシ化合物(C-1)、及び6.7g(固形分)の調製例6で調製された着色分散液(F-1)を、81gの溶媒としてのPGMEA(G)中で従来の方法によって混合し、続いて5時間撹拌して黒色感光性樹脂組成物を調製した。
【0133】
実施例2~7及び比較例1~3
黒色感光性樹脂組成物を、以下の表1に列挙される各成分の種類及び/または量を変化させることを除いて、実施例1に記載されるものと同じ手順を実施することによって調製した。
【0134】
【表1】
【0135】
実験例1:黒色感光性樹脂組成物から製造された硬化フィルムの物理的特性の測定
実施例で調製された黒色感光性樹脂組成物及び比較例の各々を、スピンコーターを使用してガラス基板上にコーティングし、100℃で100秒間プレベークしてコーティングフィルムを形成した。このように製造されたコーティングフィルム上で、100%フルトーン(F/T)カラムスペーサ(CS)のパターンマスク及び30%のハーフトーン(H/T)カラムスペーサ(CS)のパターンマスクがそれぞれ適用され、365nmの波長を有する光を、硬化フィルムとマスクとの間に150μmの間隙を設け、42mJ/cmの強度で照射した。破断点(BP)時間を確認した後、コーティングフィルムを、0.04重量%の水酸化カリウムを有する希釈水溶液を使用して23℃で15秒間現像し、純粋な水で1分間洗浄した。このように形成されたパターンを、230℃で30分間オーブン内でポストベークして、硬化フィルムを得た。
【0136】
(1)被覆性の評価
3gの黒色感光性樹脂組成物を滴下し、10cm×10cmのサイズを有するガラス基板上にスピンコーティングして、被覆性を評価した。ベナールセルまたは干渉ストライプを含まない均一のコーティングフィルムを、良好(○)として評価した。
【0137】
(2)黒色カラムスペーサの厚さの測定
上記の硬化フィルムの製造方法に従って主カラムスペーサ(主CS)及びサブカラムスペーサ(サブCS)を得た後(図1を参照)、厚さA及び厚さBの各々を、段差測定装置(SNU(SIS-2000)、SNU Precision)を使用して測定した。厚さの差A-Bが0.3~0.5μmである場合、良好な段差特性が予想され得る。
【0138】
(3)接着性の評価
硬化フィルムの製造方法に従い、20μmの直径を有する30% H/Tパターンマスクを使用して一定ドットパターンを再現するための露光強度が得られ、現像可能なパターンを確認した。ドットパターンが10μm以下の最小パターンサイズを有し、パターンを100%のN-メチルピロリドン(NMP)溶液中に80℃で10分間浸漬した後に剥離されなかった場合、接着性を〇として評価した。一方で、ドットパターンが10μm超のサイズを有していたか、またはパターンをNMP溶液中に80℃で10分間浸漬した後に剥離された場合、接着性を×として評価した。
【0139】
(4)ブラックマトリクスの表面特性の評価
硬化フィルムの製造方法に従って主CS及びサブCSを形成した後、各表面を走査電子顕微鏡(SEM、S-4300、Hitachi)を使用して観察した。表面粒子が凝集されることが見出された場合、表面特性を不良(×)として評価し、表面粒子が滑らかであると見出された場合、表面特性を良好(○)として評価した。
【0140】
(5)光学密度の測定
硬化フィルムの製造を、マスクを使用することなく実施して、ポストベーク後に3.0μmの厚さを有する硬化フィルムを形成した。硬化フィルムに関して、550nmでの透過率を、光学密度システム(361T、Xlite)を使用して測定し、1μmの厚さに対する光学密度を得た。
【0141】
【表2】
【0142】
表2に示されるように、実施例1~7の黒色感光性樹脂組成物から製造された硬化フィルム(主CS及びサブCS)は、良好な被覆性、段差、基板への接着性、表面粗さ、及び光学密度を有していた。
【0143】
特に、実施例の硬化フィルムは、0.3~0.5μmの段差、及び良好な表面粗さ、被覆性、及び接着性を示した。したがって、パターン形成特性及び現像性の両方が良好であった。
【0144】
反対に、コポリマー、エポキシ樹脂またはそれから誘導される化合物、及びエポキシ化合物のうちのいずれか1つを含有しない比較例1~3の感光性樹脂組成物から製造された硬化フィルムは、不十分な表面粗さを有していた。
【0145】
さらに、比較例1及び2は、低い段差特性を有し、比較例3は、基板への低い接着性を呈した。
【0146】
したがって、本発明による黒色感光性樹脂組成物は、LCD及びOLEDディスプレイなどの様々な電子デバイスにおいて黒色カラムスペーサとして効果的に使用され得る。
図1
図2