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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】表示基板、表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20220525BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220525BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220525BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220525BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220525BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220525BHJP
   C08F 12/00 20060101ALI20220525BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20220525BHJP
   C08F 18/00 20060101ALI20220525BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20220525BHJP
   C08G 18/81 20060101ALI20220525BHJP
   H05B 33/22 20060101ALN20220525BHJP
【FI】
G09F9/00 338
H05B33/02
H05B33/10
H01L27/32
H05B33/14 A
G09F9/30 310
C08F12/00 510
C08F20/00 510
C08F18/00 510
C08G63/183
C08G18/81
H05B33/22 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018558407
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 CN2018080484
(87)【国際公開番号】W WO2019041793
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-12-02
(31)【優先権主張番号】201710755090.9
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ダイ、 チン
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-047898(JP,A)
【文献】特開2003-309369(JP,A)
【文献】特開2004-186668(JP,A)
【文献】特開2008-077912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0240888(US,A1)
【文献】国際公開第2009/104643(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H05B 33/02
H05B 33/10
H01L 27/32
H01L 51/50
G09F 9/30
C08F 12/00
C08F 20/00
C08F 18/00
C08G 63/183
C08G 18/81
H05B 33/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板を製造する方法であって、
ベース基板上に、少なくとも一つの凹部を含むパターン層を形成するステップと、
第1平坦化層を形成するステップと
を含み、
前記第1平坦化層を形成するステップは、
少なくとも前記凹部内に予備重合溶液を形成するステップと、
前記凹部内の予備重合溶液を重合させて前記第1平坦化層を形成するステップと
を含
少なくとも前記凹部内に予備重合溶液を形成するステップは、
前記パターン層上に第1予備重合溶液を塗布するステップと、
前記第1予備重合溶液を前記少なくとも一つの凹部へ後退させるステップと
を含み、
少なくとも前記凹部内に予備重合溶液を形成するステップは、
前記第1予備重合溶液上に第2予備重合溶液を塗布するステップを更に含み、
前記第1予備重合溶液は、第1単量体を含み、前記第2予備重合溶液は、第2単量体を含み、
前記第1単量体及び前記第2単量体のうち、一方はイソシアネート含有単量体であり、もう一方はヒドロキシル基含有単量体である、表示基板を製造する方法。
【請求項2】
前記第1予備重合溶液を前記少なくとも一つの凹部へ後退させるステップは、
前記第1予備重合溶液を部分的に蒸発させて、蒸発後の第1予備重合溶液の液体表面が実質的に前記凹部の最上縁より高くないようにするステップを含む、請求項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項3】
前記第1予備重合溶液の粘度は、50センチポアズ未満である、請求項又はに記載の表示基板を製造する方法。
【請求項4】
蒸発後の第1予備重合溶液の体積は、蒸発前の第1予備重合溶液の体積の10~30%である、請求項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項5】
蒸発後の第1予備重合溶液の体積は、前記凹部の体積の30~50%である、請求項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項6】
前記第1予備重合溶液は、前記第1単量体と、開始剤とを含み、蒸発後の第1予備重合溶液内の開始剤の質量濃度は、0.5wt%以下である、請求項のいずれか1項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項7】
前記凹部内の予備重合溶液を重合させて前記第1平坦化層を形成するステップは、
前記開始剤の誘発の下で前記第1予備重合溶液の第1単量体を重合させて、前記第1平坦化層を形成するステップを含む、請求項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項8】
少なくとも前記凹部内に予備重合溶液を形成するステップは、前記第1予備重合溶液及び前記第2予備重合溶液に超音波を印加するステップを更に含む、請求項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項9】
前記第1予備重合溶液及び/又は前記第2予備重合溶液は、光学活性材料を含む、請求項1又は8に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項10】
前記第1予備重合溶液は、開始剤を含み、蒸発後の第1予備重合溶液内の開始剤の質量濃度は、0.5wt%以下である、請求項1、8、及び9のいずれか1項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項11】
前記開始剤は、アゾ開始剤又はペルオキシ開始剤である、請求項10に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項12】
前記凹部内の予備重合溶液を重合させて前記第1平坦化層を形成するステップは、
前記第1予備重合溶液の第1単量体と前記第2予備重合溶液の第2単量体とを共重合させて前記第1平坦化層を形成するステップを含む、請求項1、9、10及び11のいずれか1項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項13】
前記第1平坦化層を形成後に、
前記凹部外の第1予備重合溶液及び/又は第2予備重合溶液を除去するステップを更に含む、請求項1及び8~12のいずれか1項に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項14】
前記第1平坦化層上に第2平坦化層を形成するステップを更に含む、請求項1に記載の表示基板を製造する方法。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の方法により製造される表示パネル。
【請求項16】
請求項15に記載の表示パネルを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年8月29日に中国特許庁に提出された中国特許出願201710755090.9の優先権を主張し、その全ての内容が援用により本出願に取り込まれる。
【0002】
本発明は、表示技術に関し、より具体的には、表示基板、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機電子薄膜装置は、一般的にトランジスタ回路と、発光デバイス(例えば、OLED)と、感光デバイスとを含む。ミクロ的な観点から言えば、これらの部品又はデバイスは、通常多層の無機(例えば、各種金属、半導体、絶縁媒体等)及び有機薄膜から形成される。更に、これらの膜はパターニングされ、線状、ブロック状、ストリップ状を呈することができる。該パターニングされた膜同士は重なり合う。しかしながら、異なる領域において重なる膜層の数が異なり、異なる領域において膜層厚さの差異が生じ、ムラが発生する。
【発明の概要】
【0004】
従って、本開示の一例は、表示基板を製造する方法である。前記表示基板を製造する方法は、ベース基板上にパターン層を形成するステップと、第1平坦化層を形成するステップとを含むことができる。前記パターン層は、少なくとも一つの凹部を含むことができる。前記第1平坦化層を形成するステップは、少なくとも前記凹部内に予備重合溶液を形成するステップと、前記凹部内の予備重合溶液を重合させて前記第1平坦化層を形成するステップとを含むことができる。
【0005】
一実施例において、少なくとも前記凹部内に予備重合溶液を形成するステップは、前記パターン層上に第1予備重合溶液を塗布するステップと、前記第1予備重合溶液を前記少なくとも一つの凹部へ後退させるステップとを含むことができる。前記第1予備重合溶液を前記少なくとも一つの凹部へ後退させるステップは、前記第1予備重合溶液を部分的に蒸発させて、蒸発後の第1予備重合溶液の液体表面が実質的に前記凹部の最上縁より高くならないようにするステップを含むことができる。前記第1予備重合溶液の粘度は、50センチポアズ未満であってもよい。蒸発後の第1予備重合溶液の体積は、蒸発前の第1予備重合溶液の体積の10~30%であってもよい。蒸発後の第1予備重合溶液の体積は、前記凹部の体積の30~50%であってもよい。前記第1予備重合溶液は、第1単量体と、開始剤とを含むことができ、蒸発後の第1予備重合溶液内の開始剤の質量濃度は、0.5wt%以下であってよい。前記凹部内の予備重合溶液を重合させて前記第1平坦化層を形成するステップは、前記開始剤による誘発の下で前記第1予備重合溶液の第1単量体を重合させて、前記第1平坦化層を形成するステップを含むことができる。
【0006】
少なくとも前記凹部内に予備重合溶液を形成するステップは、前記第1予備重合溶液上に第2予備重合溶液を塗布するステップを更に含むことができる。前記第1予備重合溶液及び前記第2予備重合溶液に超音波を印加することができる。前記第1予備重合溶液は、第1単量体を含み、前記第2予備重合溶液は、第2単量体を含むことができる。前記第1予備重合溶液及び/又は前記第2予備重合溶液は、光学活性材料を含むことができる。前記第1単量体及び前記第2単量体のうち、一方はイソシアネート含有単量体であってもよく、もう一方はヒドロキシル基含有単量体であってもよい。前記第1予備重合溶液は、開始剤を含むことができ、蒸発後の第1予備重合溶液内の開始剤の質量濃度は、0.5wt%以下であってもよい。前記開始剤は、アゾ開始剤又はペルオキシ開始剤であってもよい。前記凹部内の予備重合溶液を重合させて前記第1平坦化層を形成するステップは、前記第1予備重合溶液の第1単量体と前記第2予備重合溶液の第2単量体とを共重合させて前記第1平坦化層を形成するステップを含むことができる。
【0007】
前記方法は、前記第1平坦化層を形成後に、前記凹部外の第1予備重合溶液及び/又は第2予備重合溶液を除去するステップを更に含むことができる。前記方法は、前記第1平坦化層上に第2平坦化層を形成するステップを更に含むことができる。
【0008】
本開示の別の例は、本開示の一実施例に係る方法により製造される表示パネルであってよい。本開示の別の実施例は、本開示の一実施例に係る表示パネルを含む表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明と見なされる主題は、本明細書の終わりにある請求項において特に明示され且つ明確に請求される。本発明の前述の及びそれ以外の目的、特徴並びに利点は、添付図面と併せて下記詳細な記述により明らかになる。図面は以下のとおりである。
【0010】
図1】従来の表示基板の模式的な構造図である。
【0011】
図2】本開示の一実施例に係る表示基板の模式的な構造図である。
【0012】
図3a】本開示の一実施例に係る表示基板の第1平坦化層を製造する工程の模式図を示す。
図3b】本開示の一実施例に係る表示基板の第1平坦化層を製造する工程の模式図を示す。
図3c】本開示の一実施例に係る表示基板の第1平坦化層を製造する工程の模式図を示す。
図3d】本開示の一実施例に係る表示基板の第1平坦化層を製造する工程の模式図を示す。
【0013】
図4a】本開示の一実施例に係る表示基板の第1平坦化層を製造する工程の模式図を示す。
図4b】本開示の一実施例に係る表示基板の第1平坦化層を製造する工程の模式図を示す。
図4c】本開示の一実施例に係る表示基板の第1平坦化層を製造する工程の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当業者が本開示の技術方案をより良く理解できるように、以下では、添付図面及び実施例を参照しながら本開示を更に詳細に説明する。本開示の説明全般にわたって、図1~4cを参照する。図面を参照する時、全般にわたって示される同様の構造及び要素は、同様の参照番号で表す。
【0015】
本明細書において、用語「第1」、「第2」等は接頭辞として付加することができる。しかし、これらの接頭辞は、用語を区別するためだけに付加されたものであり、順序や優劣などの特別な意味は持たない。
【0016】
図1は、従来の表示基板の模式的な構造図である。図1に示すように、ベース基板300上に第1パターン層100が設置されている。第1パターン層100上に第2パターン層200が設置されている。図1において、基板の最高点は、該二つのパターン層の重なり合う部分にあり、前記基板の最高点とベース基板300が所在する平面との段差をa1で示す。回路構造又はトランジスタ素子(即ち、上記のパターン層)の製作が完了した後、平坦化層400を形成して、後続の処理工程を容易にする。
【0017】
図1に示すように、パターン層の段差a1が大きすぎる場合、単一層のフォトレジストの塗布は、平坦化の要求をほとんど満たすことができない。或いは、フォトレジストは、ある程度の平坦度に達するほど十分に厚い必要があり、これは後続の処理工程に対して更なる困難を引き起こす。有機エレクトロルミネセントデバイス(OLED)のような一部の機能デバイスにとって、機能層の厚さは通常薄く、一般的に20~100nmの範囲にあり、従って、下地基材の表面平坦度に対する要求は非常に高い。表面の不均一さは、発光輝度に反映され、発光のばらつきをもたらす。
【0018】
本開示の一例は、表示基板を製造する方法を提供する。図2及び図3a~3dに示すように、前記表示基板を製造する方法は、下記の工程を含む。
【0019】
工程11で、ベース基板300上にパターン層を形成する。前記パターン層は、少なくとも一つの凹部105を含む。
【0020】
一実施例において、前記パターン層は、第1パターン層100と、第2パターン層200とを含むことができ、第1パターン層100と第2パターン層200は、順次ベース基板300上に形成される。
【0021】
工程12で、前記パターン層上に第1平坦化層500を形成する。一実施例において、少なくとも前記凹部に予備重合溶液を形成する。その後、前記凹部内の予備重合溶液を重合させて第1平坦化層を形成する。
【0022】
一実施例において、図3aに示すように、前記パターン層(即ち、第2パターン層200)上に少なくとも第1予備重合溶液501を塗布し、加熱下で重合反応により重合体を形成して、第1平坦化層500を形成する。一実施例において、図3a及び図3cに示すように、前記パターン層上に第1予備重合溶液501と第2予備重合溶液502とを順次塗布して、第1予備重合溶液501と第2予備重合溶液502とを混合させる。工程12は、具体的に下記の工程を含むことができる。
【0023】
工程121で、図3aに示すように、第2パターン層200上に第1予備重合溶液501を塗布する。具体的には、第1予備重合溶液501は、重合体を生成するための第1単量体を含む。
【0024】
工程122で、図3cに示すように、第1予備重合溶液501上に第2予備重合溶液502を塗布する。一実施例において、第2予備重合溶液502を塗布後、第2予備重合溶液502は第1予備重合溶液501と混合する。第1予備重合溶液501と第2予備重合溶液502の混合効果を向上させるため、第1予備重合溶液501と第2重合溶液溶液502の混合中に、該混合溶液に超音波を印加するのが好ましい。別の実施例において、重合反応中に第1予備重合溶液501と第2予備重合溶液502の混合溶液に超音波が印加される。
【0025】
一実施例において、平坦化層上でフォトリソグラフィ処理(例えば、露光及び現像)を行ってパターンを形成する必要があるため、第1予備重合溶液501及び/又は第2予備重合溶液502は、光学活性材料を含有する。前記光学活性材料は、アジドキノン感光性基又はポリケイ皮酸感光性基を含むことができる。
【0026】
工程123で、図3dに示すように、加熱下で重合反応により重合体を形成して、第1平坦化層500を形成する。具体的には、重合反応の時間及び温度といった条件を制御することで、重合度を制御することができる。
【0027】
一実施例において、第1予備重合溶液501及び/又は第2予備重合溶液502は、触媒又は開始剤を含有する。第1予備重合溶液501の第1単量体と、第2予備重合溶液502の第2単量体は、触媒又は開始剤の作用の下で共重合し、第1平坦化層500を形成する重合体を形成する。一実施例において、前記第1単量体及び前記第2単量体のうち、一方はイソシアネート含有単量体であり、もう一方はヒドロキシル基含有単量体である。一実施例において、前記開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ開始剤又はジベンゾイルペルオキシド等のペルオキシ開始剤から選択できる。
【0028】
一実施例において、前記方法は、第2予備重合溶液502を塗布する(即ち、工程122)前に、下記の工程を更に含むことができる。
【0029】
工程121で、第1予備重合溶液501を部分的に蒸発させて、蒸発後の第1予備重合溶液501の液面が最上層のパターン層(即ち、第2パターン層200)の上面より低くなるようにする。即ち、前記第1予備重合溶液を凹部105へ後退させる。
【0030】
一実施例において、図3bに示すように、第1予備重合溶液501を塗布後、第2予備重合溶液502を塗工する前に、第1予備重合溶液501を部分的に蒸発させる。減圧下で蒸発させることにより、第1予備重合溶液501の溶剤の一部を除去することができる。蒸発後の第1予備重合溶液501は、セルフレベリング性により表示基板の低地域に流れ込む。前記低地域は、前記パターン層の異なる部分間の領域である。先ず蒸発により第1予備重合溶液501を減らすことで、前記第1予備重合溶液が前記低地域又は凹部に残って、「選択的に」第2予備重合溶液502と重合されて前平坦化の効果を達成する。
【0031】
一実施例において、第1予備重合溶液501の良好なレベリング性を確保するために、適切な溶剤の選択及び濃度の制御により第1予備重合溶液501を低い粘度に維持することができる。第1予備重合溶液501の粘度は、好ましくは、50センチポアズ未満であり、より好ましくは、40センチポアズ未満である。
【0032】
タイプの異なる溶剤の蒸発速度に応じて、蒸発時間を制御することで、第1予備重合溶液501の残量を制御することができる。一実施例において、蒸発後の第1予備重合溶液501の液体表面の高さは、前記パターン層の高さ(即ち、第1パターン層100と第2パターン層200の高さの和)a1を超えない。続いて、第1予備重合溶液501は、低地域における重合反応のみに関与し、初めに、表示基板表面の異なる区画の段差を低減する。一実施例において、蒸発後の第1予備重合溶液501の体積は、蒸発前の第1予備重合溶液の体積の10~30%である。
【0033】
第1予備重合溶液501を部分的に蒸発させることで、第1予備重合溶液501のセルフレベリング効果が改善され、第1予備重合溶液501は、表示基板の表面に均一に分布でき、従って、平坦化効果がより優れる。該第1予備重合溶液501は、各種の複雑なパターンの低くて粗い界面に適用できる。なお、第1予備重合溶液501の流れはパターンの形状によって制限されないため、広い適用範囲を有する。なお、蒸発時間を制御することで第1予備重合溶液501の残量を制御することも可能であり、従って、第1平坦化層500の平坦化効果を柔軟に制御することができる。
【0034】
第1予備重合溶液501が触媒又は開始剤を含有する場合、触媒又は開始剤の濃度は、非常に低くなる傾向がある。一実施例において、第1予備重合溶液501の溶剤を蒸発させた後、触媒又は開始剤の濃度は、0.5wt%以下である。
【0035】
一実施例において、前記方法は、前記重合体を形成した(即ち、工程123)後、下記の工程を更に含むことができる。
【0036】
工程124で、未重合の又は重合が不十分な第1予備重合溶液501又は第2予備重合溶液502を除去する。一実施例において、重合反応が完了した後、溶剤洗浄方法により凹部105外にある重合が不十分な余剰の第1予備重合溶液501又は第2予備重合溶液502を除去して、第1平坦化層500を得る。
【0037】
工程13で、第1平坦化層500上に第2平坦化層600を形成する。一実施例において、形成された第1平坦化層500上に、スピン・コーティング又はドクターブレード・コーティングにより、第2平坦化層材料を塗布し、その後、架橋、硬化、ポストベーキング等の処理により、第2平坦化層600を得る。第2平坦化層の材料は、重合した第1平坦化層、即ち、生成した重合体の材料と同一又は異なっていてよい。
【0038】
上記の工程11~13から分かるように、本開示の一実施例において、2回に分けて2つの平坦化層を形成し、二段平坦化構造を含む表示基板を得る。第1平坦化層500を形成後、表示基板表面の異なる区画の段差を効果的に低減することができ、これにより、第2平坦化層600を製造する時、処理の難易度が低減する。一実施例において、2つの平坦化層を形成する処理の後、表示基板表面の異なる区画の最大段差を20nm未満に減少でき、平坦化層上に形成された機能デバイスが正常に作動することを保証する。
【0039】
一実施例において、第1予備重合溶液501内の第1単量体は、エチレングリコールのようなグリコールを含むことができる。第1予備重合溶液501は、触媒を含有し、該触媒は、塩化アルミニウム、塩化錫等のようなルイス酸であってよい。第2予備重合溶液502は、例えば、テレフタル酸、テレフタル酸クロライド等のジカルボン酸、二塩基酸塩化物等を含むことができる。一実施例において、第1予備重合溶液501と第2予備重合溶液502とは、260~290℃の反応温度で共重合反応を行い、100~200の重合度を有するポリエチレンテレフタレート(通称:PET)を形成する。
【0040】
本開示の別の例は、表示基板を製造する方法を提供する。実施例2の調製法と実施例1の調製法との違いは、実施例2における第1予備重合溶液501及び第2予備重合溶液502は、自己重合反応を行うことである。
【0041】
一実施例において、工程123で、第2予備重合溶液502は、開始剤である。第1予備重合溶液501の第1単量体は、第2予備重合溶液502により誘発されて自己重合反応を行い、重合体を生成する。別の実施例において、第1予備重合溶液501が開始剤であってよく、第2予備重合溶液502の第2単量体は、第1予備重合溶液501の誘発下で自己重合して重合体を生成する。
【0042】
一実施例において、第1予備重合溶液501は、開始剤を含む。工程121で、蒸発後の第1予備重合溶液501内の開始剤の質量濃度は、0.5%以下である。
【0043】
一実施例において、開始剤は、アゾ開始剤又はペルオキシ開始剤である。自己重合を行う予備重合単量体は、スチレン、メタクリル酸メチル又はアクリロニトリルであってよいできる。
【0044】
実施例2における調製法の他の工程は、実施例1における工程と同一であり、その詳細はここで繰り返し説明しないことにする。
【0045】
一実施例において、第1予備重合溶液501は、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル又はジベンゾイルペルオキシドを含有するトルエン溶液であってよい。第2予備重合溶液502は、スチレン、メタクリル酸メチル等を含むトルエン溶液から選択できる。この場合、第2予備重合溶液502内のスチレン単量体又はメタクリル酸メチル単量体は、第1予備重合溶液501により誘発されて反応温度40~80℃の自己重合反応を行い、ポリスチレン(通称:PS)又はポリメチルメタクリレート(通称:PMMA)を生成することができる。該重合体の分子量は、100000乃至数百万のオーダーに達することができる。
【0046】
本開示の別の例は、表示基板を製造する方法を提供する。実施例3の調製法と実施例1及び実施例2の調製法との違いは、実施例3においては、第1予備重合溶液501のみが塗布され、即ち、第2予備重合溶液502は塗布されないことである。第1予備重合溶液501は、塊状重合を行う。
【0047】
一実施例において、図4a及び4bに示すように、第1平坦化層を製造する工程は、具体的に下記の工程を含む。
【0048】
工程21で、図4aに示すように、パターン層(即ち第2パターン層200)上に第1予備重合溶液501を塗布する。
【0049】
一実施例において、第1予備重合溶液501は、第1単量体の溶液であり、第1予備重合溶液501は、開始剤を含有する。前記第1単量体は、スチレン、メタクリル酸メチル又はアクリロニトリルであってよい。前記開始剤は、アゾ開始剤又はペルオキシ開始剤であってよい。第1予備重合溶液501は、光学活性材料を更に含有することができる。
【0050】
工程22で、図4cに示すように、加熱下で、第1予備重合溶液501の第1単量体は、前記開始剤による誘発の下で塊状重合を行い、第1平坦化層500を形成する重合体を形成する。
【0051】
一実施例において、前記方法は、塊状重合が発生する(即ち、工程22)前に、下記の工程を更に含むことができる。
【0052】
工程21で、第1予備重合溶液501を部分的に蒸発させて、蒸発後の第1予備重合溶液501の液体表面の高さが最上層のパターン層の上面より高くならないようにする。
【0053】
一実施例において、図4bに示すように、第1予備重合溶液501を塗布後、塊状重合が発生する前に、第1予備重合溶液501を部分的に蒸発させる。減圧下で蒸発させることにより、第1予備重合溶液501の溶剤の一部を除去することができる。蒸発後の第1予備重合溶液501は、セルフレベリング性により表示基板の低地域に流れ込む。
【0054】
一実施例において、第1予備重合溶液501の良好なレベリング性を確保するために、適切な溶剤の選択及び濃度の制御により第1予備重合溶液501を低い粘度に維持することができる。好ましくは、第1予備重合溶液501の粘度は、50センチポアズ未満である。
【0055】
タイプの異なる溶剤の蒸発速度に応じて、蒸発時間を制御することで、第1予備重合溶液501の残量を制御することができる。一実施例において、蒸発後の第1予備重合溶液501の液体表面の高さは、前記パターン層の高さ(即ち、第1パターン層100と第2パターン層200の高さの和)a1を超えない。続いて、第1予備重合溶液501は、低地域における重合反応のみに関与し、初めに、表示基板表面における異なるセクションの段差を低減する。一実施例において、蒸発後の第1予備重合溶液501の体積は、蒸発前の第1予備重合溶液の体積の10~30%である。
【0056】
第1予備重合溶液501を部分的に蒸発させることで、第1予備重合溶液501のセルフレベリング効果が改善され、第1予備重合溶液501が表示基板の表面に均一に分布でき、従って、平坦化効果がより優れる。第1予備重合溶液は、各種の複雑なパターンの低くて粗い界面に適用できる。なお、第1予備重合溶液501の流れはパターンの形状によって制限されないため、広い適用範囲を有する。なお、蒸発時間を制御することで第1予備重合溶液501の残量を制御することも可能であり、従って、第1平坦化層500の平坦化効果を柔軟に制御することができる。
【0057】
一実施例において、第1予備重合溶液501の溶剤を蒸発させた後、開始剤の濃度は0.5wt%以下である。
【0058】
一実施例において、前記方法は、重合体を製造した(即ち、工程22)後に、重合が不十分な第1予備重合溶液501を除去する工程を更に含むことができる。
【0059】
一実施例において、第1予備重合溶液501内の第1単量体は、スチレン、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル等であってよい。前記開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル又はジベンゾイルペルオキシドであってよい。第1予備重合溶液501内の第1単量体は、前記開始剤により誘発されて反応温度40~80℃の塊状重合反応を行い、ポリスチレン(PS)、PMMA又はポリ酢酸ビニル(通称:PVAc)を生成することができる。該重合体の分子量は、数万乃至数十万のオーダーに達することができる。
【0060】
本開示の別の例は、本開示の一実施例に係る方法により調製できる表示基板を提供する。一実施例において、図2に示すように、前記表示基板は、ベース基板300と、ベース基板300上に形成されたパターン層と、第1平坦化層500と、第2平坦化層600とを含む。第1平坦化層500は、前記パターン層上に形成され、第2平坦化層600は、第1平坦化層500上に形成される。
【0061】
一実施例において、第1平坦化層500及び/又は第2平坦化層600の材料は、光学活性材料を含有する。
【0062】
本開示の一実施例において、2回に分けて2つの平坦化層をそれぞれ形成し、二段平坦化構造を含む表示基板を得る。第1平坦化層500を形成後、表示基板表面の異なる区画の段差を効果的に低減することができ、これにより、第2平坦化層600を製造する時に処理の難易度を低減させ、平坦化効果を改善する。一実施例において、2つの平坦化層を形成する処理の後に、表示基板表面の異なる区画間の最大段差を20nm未満に低減でき、平坦化層上に形成された機能デバイスが正常に作動することを保証する。
【0063】
本開示の別の例は、本開示の一実施例に係る表示基板を含む表示装置を提供する。
【0064】
一実施例において、表示基板の表面には、良好なセルフレベリング性を持つ予備重合溶液が少なくとも一つ塗布される。減圧下で蒸発させることにより余剰な溶剤を除去する。残りの予備重合溶液は、表示基板の低地域のみに残り、その後、一定の外的条件下で重合する。該反応により生成した重合体は、低地域内に堆積されて第1平坦化層を形成し、これにより、初期段差を減少できる。その後、従来の方法を用いて前記第1平坦化層上に第2平坦化層を形成し、最終的に表示基面の平坦度を改善する。
【0065】
以上、本開示の様々な実施形態の記述を説明の目的で提示したが、網羅的であること又は開示された実施例に限定することを意図したものではない。当業者にとっては、記述された実施例の範囲及び精神から逸脱することなく、多様な変更及び変形は明らかであろう。本文中で使用された用語は、実施例の原理、実用又は市場で見られる技術に対する技術改善を最適に解釈するか、或いは、本分野の他の当業者が本文に開示される実施例を理解できるようにするために選ばれたものである。
【符号の説明】
【0066】
100 第1パターン層
200 第2パターン層
300 ベース基板
400 平坦化層
500 第1平坦化層
600 第2平坦化層
501 第1予備重合溶液
502 第2予備重合溶液
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c