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特許7079255ハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/00 20160101AFI20220525BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20220525BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20220525BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20220525BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20220525BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20220525BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20220525BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220525BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20220525BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20220525BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20220525BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20220525BHJP
【FI】
B60W20/00 900
B60W20/13 ZHV
B60W10/26 900
B60W20/12
B60W10/06 900
F02D29/02 L
B60W30/18
G01C21/26 A
B60L50/16
B60L50/61
B60L58/13
B60L58/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019536312
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 FR2017053742
(87)【国際公開番号】W WO2018127645
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-11-20
(31)【優先権主張番号】1750109
(32)【優先日】2017-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】13-15 Quai Alphonse Le Gallo 92100 Boulogne-Billancourt,France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ウラバ, アブダル-シャリル
(72)【発明者】
【氏名】ガイド, アテフ
(72)【発明者】
【氏名】クォスト, ベンジャマン
(72)【発明者】
【氏名】デノー, ティエリー
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02857271(EP,A2)
【文献】特開2003-235106(JP,A)
【文献】特開2011-073611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167642(US,A1)
【文献】特開2009-063555(JP,A)
【文献】特開2008-247317(JP,A)
【文献】特開2014-061881(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02995859(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 10/30
B60W 20/00 - 20/50
F02D 29/02
B60W 30/18
G01C 21/26
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を供給される内燃機関、およびトラクションバッテリによって供給される電気エンジンを備えるハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法であって、
a)通ることになるルートをナビゲーションシステムによって入手することと、
b)前記ルートを連続的なセクション(T )に分割することと、
c)前記セクション(T )の特性を示す属性(FC、SC、SL、TS、RG、LL、NL、SMS)を各セクション(T )に対して入手することと、
d)前記セクション(T )のそれぞれに対して、前記セクション(T )の属性(FC、SC、SL、TS、RG、LL、NL、SMS)を考慮して、前記セクション(T )にわたる前記ハイブリッド車の燃料消費値(CC)を前記ハイブリッド車の電気エネルギー消費値(ΔSOE)にリンクさせる関係(CE )を、前記燃料消費値(CC)を前記電気エネルギー消費値(ΔSOE)とリンクさせる複数の所定の関係(CE )の中から選択することと、
e)最適点(P )の全てが、前記ルート全体にわたって前記トラクションバッテリの老朽化を最小化し、前記ルートの終点において前記トラクションバッテリの放電を最大化するように、選択された前記関係(CE )のそれぞれにおいて前記トラクションバッテリの健康状態(SOH)を保持するための前記最適点(P )を判断することと、
f)前記最適点(P )の座標の関数として、前記ルート全体に沿って、前記ハイブリッド車の燃料消費および電流消費を管理するための設定値を構築することと
を行うステップを実行し、
ステップe)において、各セクション(T )に対して選択された前記関係(CE )のそれぞれにおける前記最適点(P )の前記判断が、前記トラクションバッテリの前記健康状態(SOH)を保持するための保持関係(r pre )によって重み付けされた、前記セクション(T )全体にわたる燃料消費に依存し、
前記保持関係(rpre、活性化関数(fact)と重み関数(fpond)の積に依存し、前記最適点(P)の前記判断において前記保持関係(rpre)の影響を最小化するように、踏破されることになる残りの距離が、前記ハイブリッド車の最大電気航続距離(AER)に基づいて判断される第1の閾値より小さいときに、前記活性化関数(fact)の値が最小にな
前記活性化関数(f act )は、最終目的地までの距離(RT)に依存し、
前記重み関数(f pond )は、前記トラクションバッテリの充電状態の平均値と前記トラクションバッテリの最適充電範囲の中央値との間の偏差に依存する、
ハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項2】
燃料を供給される内燃機関、およびトラクションバッテリによって供給される電気エンジンを備えるハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法であって、
a)通ることになるルートをナビゲーションシステムによって入手することと、
b)前記ルートを連続的なセクション(T )に分割することと、
c)前記セクション(T )の特性を示す属性(FC、SC、SL、TS、RG、LL、NL、SMS)を各セクション(T )に対して入手することと、
d)前記セクション(T )のそれぞれに対して、前記セクション(T )の属性(FC、SC、SL、TS、RG、LL、NL、SMS)を考慮して、前記セクション(T )にわたる前記ハイブリッド車の燃料消費値(CC)を前記ハイブリッド車の電気エネルギー消費値(ΔSOE)にリンクさせる関係(CE )を、前記燃料消費値(CC)を前記電気エネルギー消費値(ΔSOE)とリンクさせる複数の所定の関係(CE )の中から選択することと、
e)最適点(P )の全てが、前記ルート全体にわたって前記トラクションバッテリの老朽化を最小化し、前記ルートの終点において前記トラクションバッテリの放電を最大化するように、選択された前記関係(CE )のそれぞれにおいて前記トラクションバッテリの健康状態(SOH)を保持するための前記最適点(P )を判断することと、
f)前記最適点(P )の座標の関数として、前記ルート全体に沿って、前記ハイブリッド車の燃料消費および電流消費を管理するための設定値を構築することと
を行うステップを実行し、
ステップe)において、各セクション(T )に対して選択された前記関係(CE )のそれぞれにおける前記最適点(P )の前記判断が、前記トラクションバッテリの前記健康状態(SOH)を保持するための保持関係(r pre )によって重み付けされた、前記セクション(T )全体にわたる燃料消費に依存し、
前記保持関係(rpre、活性化関数(fact)と重み関数(fpond)の積に依存し、前記最適点(P の前記判断において前記保持関係(rpre)の影響を最小化するように、前記トラクションバッテリのエネルギー状態(SOE)が、前記トラクションバッテリの最適使用範囲[SOEmin’;SOEmax’]外にあるときに前記重み関数(fpond)の値が最小にな
前記活性化関数(f act )は、最終目的地までの距離(RT)に依存し、
前記重み関数(f pond )は、前記トラクションバッテリの充電状態の平均値と前記トラクションバッテリの最適充電範囲の中央値との間の偏差に依存する、
ハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項3】
前記活性化関数(f act )は、前記距離(RT)が長いほど大きくなるような関数であり、
前記重み関数(f pond )は、前記偏差が小さいほど大きくなるような関数である、
請求項1または2に記載のハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項4】
前記保持関係(rpre)の値、前記トラクションバッテリのエネルギー状態(SOE)が、最適使用範囲[SOEmin’;SOEmax’]内にあるときに減少する、請求項1から3のいずれか一項に記載のハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項5】
前記保持関係(rpre)の値は最終目的地に到着するために踏破されることになる距離が増加するときに減少する、請求項1から4のいずれか一項に記載のハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項6】
前記活性化関数(factの値は最終目的地に到着するために踏破されることになる距離が減少するときに最大になる、請求項1から5のいずれか一項に記載のハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項7】
前記重み関数(fpondの値は、前記トラクションバッテリのエネルギー状態(SOE)が、前記トラクションバッテリの最適使用範囲[SOEmin’;SOEmax’]の中央にあるときに最大になる、請求項1から6のいずれか一項に記載のハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項8】
前記重み関数(fpond、前記トラクションバッテリの最適使用範囲[SOEmin’;SOEmax’]の10%を超える範囲にわたって最大値を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【請求項9】
前記トラクションバッテリの最適使用範囲[SOEmin’;SOEmax’、60%から80%の間である、請求項1から8のいずれか一項に記載のハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、再充電可能なハイブリッド車に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、燃料を供給される内燃機関、およびトラクションバッテリによって供給される電気エンジンを備えるハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法に関する。
【0003】
本発明は、長い電気航続距離(autonomy)を有するハイブリッド車における、つまり車の電気エンジンだけを使用して10キロメートルを超える距離を進むことができる車における、著しい長所に適用される。
【背景技術】
【0004】
再充電可能なハイブリッド車は、内燃機関および燃料タンクを備える従来の熱トラクションチェーン、ならびに、特に電源タップから充電されることが可能な、電気エンジンおよびトラクションバッテリを備える電気トラクションチェーンを含む。
【0005】
このようなハイブリッド車は、ハイブリッド車の電気トラクションチェーンによって単独で、またはハイブリッド車の熱トラクションチェーンによって単独で、そうでなければ車のハイブリッドモードの動作に対応する、ハイブリッド車の電気トラクションチェーンと熱トラクションチェーンの2つによって同時に、運転されることが可能である。ただ1つのトラクションチェーン、または同時に両方のトラクションチェーンを使用するための選択は、エネルギー管理システム(EMS:energy menagement system)によって行われる。
【0006】
車の将来のルートが未知であるという事実により、トラクションチェーンのどれか一方を使用するために現在実行される方策は、最小エネルギーレベルに達するまで、ルートの出発点においてトラクションバッテリを放電することによって計画的に出発すること、およびその後、熱トラクションチェーンを使用することに本質がある。このようにして、運転者が短いルートを通るとき、また運転者が規則的に、トラクションバッテリを再充電するオプションを有するとき、運転者は、電気トラクションチェーンをできるだけ使用し、このことにより、車の汚染排出物を低減させる。
【0007】
したがって、エネルギー管理システムは、ルートの性質および地形を考慮せずにトラクションバッテリを完全に放電することを優先することを伴う、「放電維持(discharge-hold)」方策として知られるものを実行する。したがって、「放電維持」方策は、極端になり、前記バッテリの性能を早期に変化しやすくする可能性のある、トラクションバッテリへの負担を伴う。
【0008】
具体的には、トラクションバッテリは、バッテリの本来の特性によって異なる規定のエネルギー状態(SOE:state of energy)の範囲にわたって動作することを意図している。例えば、電気自動車およびハイブリッド車において最も一般的に使用されるバッテリであるリチウムイオンバッテリに関して、この動作範囲は、一般に、エネルギー状態の範囲の15%から95%の間にある。これは、バッテリの使用可能容量と耐用期間との間の妥協を引き出すことによって定義される。温度、長期間にわたる高い電流の強さ、過電圧、不足電圧、等など、バッテリの性能を劣化させ、バッテリの容量を低減させる多くの要因がある。
【0009】
この点に関しては、文献FR2995859が、トラクションバッテリの老朽化を抑えるためのエネルギー管理システムを開示している。この目的のために、本文献は、バッテリが老朽化したときにハイブリッドモードにおけるバッテリの使用範囲を拡大するエネルギー管理システムを提案している。
【発明の概要】
【0010】
しかし、本解決策には、車によって踏破されることになる距離とは無関係に適用されるという欠点がある。このように、車は、ルート全体をハイブリッドモードで動かされることが可能であり、その一方で、トラクションバッテリの航続距離は、ガソリンを消費することなくルート全体を車が通ることを可能にしてきた。
【0011】
別の欠点において、最適使用範囲は予め事前定義され、ルート上の走行プロフィールを考慮していない。したがってエネルギー管理システムは、走行条件がトラクションバッテリの使用に好都合ではないとき、トラクションバッテリの早期の老朽化をもたらす充電設定値または放電設定値を課すことができる。
【0012】
従来技術からの上述の欠点を矯正するために、本発明は、導入において明らかにされたような、ハイブリッド車のエネルギー消費を最適化するための方法を提案し、方法は、
a)通ることになるルートをナビゲーションシステムによって入手することと、
b)前記ルートを連続的なセクションに分割することと、
c)前記セクションの特性を表現する属性を各セクションに対して入手することと、
d)前記セクションのそれぞれに対して、また前記セクションの属性を考慮して、セクションにわたるハイブリッド自動車の燃料消費をハイブリッド自動車の電気エネルギー消費にリンクさせる関係を、燃料消費値を電気エネルギー消費値とリンクさせる複数の所定の関係の中から選択することと、
e)最適点の全てが、ルート全体にわたってトラクションバッテリの老朽化を最小化し、前記ルートの終点においてトラクションバッテリの放電を最大化するように、選択された関係のそれぞれにおいてトラクションバッテリの健康状態を保持するための最適点を判断することと、
f)前記最適点の座標の関数として、ルート全体に沿って、自動車の燃料消費および電流消費を管理するための設定値を構築することと
を行うステップを含む。
【0013】
したがって、本発明によって、ハイブリッド車によって通られるルートにわたってトラクションバッテリの老朽化を最適に低減するように、電気エンジンがある程度使用されるべき時期、または内燃機関がある程度使用されるべき時期を判断することが可能である。より具体的には、本発明は、ルートの性質および地形を考慮して、最適かつ制限された動作範囲におけるトラクションバッテリの使用を優先することを可能にする。トラクションバッテリは、したがって、トラクションバッテリの健康状態をより尊重する条件で、つまり高すぎることも低すぎることもない電流の強さを電圧が加えることを可能にする電圧範囲で、使用される。都合のよいことに、本発明は、したがって、トラクションバッテリの耐用期間を増加させることを可能にし、したがって、トラクションバッテリの早期置換を回避することによってハイブリッド自動車のメンテナンス費用を抑える。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、ステップe)において、各セクションに対して選択された関係のそれぞれにおける最適点の判断は、トラクションバッテリの健康状態を保持するための保持関係によって重み付けされた、セクション全体にわたる燃料消費に依存する。言い換えると、重み付け関係は、トラクションバッテリがトラクションバッテリの最適使用範囲にあるときに電気エンジンの動作を優先することを可能にする。対照的に、トラクションバッテリの充電が、この最適な充電状態より低いか高いとき、重み付け関係は、トラクションバッテリに対する、電気エンジンによって及ぼされる負担を低減するように、熱燃焼機関の使用を優先する。それでも、重み付け関係は、トラクションバッテリの最適使用範囲外でのトラクションバッテリの使用を妨げないということに留意されたい。
【0015】
本発明による、トラクションバッテリの健康状態を保持するための方法の、他の有利かつ非限定的な特徴は以下のようなものである。
- 保持関係の値は、ルートの中で、トラクションバッテリの最適使用範囲におけるトラクションバッテリの使用を管理設定値が優先するように、トラクションバッテリのエネルギー状態が最適使用範囲内にあるときに減少する。
- 保持関係の値は、目的地まで踏破されることになる距離が増加するときに減少し、好ましくは車の最大電気航続距離が減少し、目的地に到着するために車が踏破することになる残りの距離より小さいときに、管理設定値は、ルートの終点においてトラクションバッテリを放電するように、電気エンジンの使用を優先する。
- 保持関係は、活性化関数と重み関数の積に依存し、活性化関数の値は、選択された関係のそれぞれにおけるトラクションバッテリの健康状態を保持するための最適点の判断において保持関係の影響を最小化するように、例えば目的地に到着するために車が踏破することになる残りの距離の2倍より、車の最大電気航続距離が小さくなり得るときに最小になる。
- 保持関係は、活性化関数と重み関数の積に依存し、重み関数の値は、最適点の判断において保持関係の影響を最小化するように、トラクションバッテリのエネルギー状態が、トラクションバッテリの最適使用範囲外にあるときに最小になり、保持関係は、値1に至るのが好ましい。
- 活性化関数の値は、目的地に到着するために踏破されることになる距離が減少するときに最大になり、好ましくは、活性化関数の値は、ルートの終点においてトラクションバッテリの完全な放電を可能にするように、目的地に到着するために車が踏破することになる残りの距離の8倍より、車の最大電気航続距離が小さいときに最大になる。
- 活性化関数は、車によって踏破されることになる残りの距離より、ハイブリッド車の最大電気航続距離が小さいときに最大になることが可能である。
- 活性化関数は、2倍より大きいこと、また好ましくは、車の最大電気航続距離の6倍より大きいことが可能である。
- 活性化関数の値は、活性化関数の最小値と活性化関数の最大値との間で線形的に変化する。
- 重み関数の値は、電気エンジンのトラクションバッテリが、トラクションバッテリの最適使用範囲で動作しているときに、管理設定値が電気エンジンの使用を優先するように、トラクションバッテリのエネルギー状態が、トラクションバッテリの最適使用範囲の中央にあるときに最大になる。
- 重み関数の値は、トラクションバッテリの最適使用範囲の中央の両側で対称的に変化する。
- 例えば、重み関数は、トラクションバッテリの最適使用範囲の10%を超える範囲にわたる、好ましくは、50%を超える範囲にわたる、最大値を有することができる。
- トラクションバッテリの最適使用範囲は、トラクションバッテリの最大充電の60%から80%の間である。
- 保持関係は、保持関係の値の変化の大きさを制御するように、最大重み値を含む。
- 最大重み値は、好ましくは、定数であり、0.1から1の間である。
- 保持関係は、活性化関数、重み関数、および最大重み値の積に比例する。
【0016】
非限定的な例として示される添付の図面に関連して後に続く説明は、本発明が何から成り立っているか、またどのように実行され得るかということを理解するのを容易にするであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車が通らなければならないルートのセクションの特性を表現する属性の値を示すテーブルである。
図2】通ることになるルートのセクションの特性を表現する基準曲線のパラメータを示すテーブルである。
図3】テスト走行において入手された固有消費曲線の分布を示すグラフである。
図4】複数の基準曲線を示すグラフである。
図5図4の基準曲線のどれか一方と関連付けられたセクションの確率を、このセクションに割り当てられた各属性値と関連付けるテーブルである。
図6】車の補助デバイスの電気消費を考慮して、基準曲線に対して行われることになる補正を示すグラフである。
図7】対応するルートのセクションの傾斜を考慮して、基準曲線に対して行われることになる補正を示すグラフである。
図8】最適化アルゴリズムを使用して最適な進路を探すためのアルゴリズムの計算ステップの例を示すグラフである。
図9】本発明による活性化関数の形式の例を示すグラフである。
図10】本発明による重み関数の形式の2つの例を示すグラフである。
図11】本発明による方法(曲線A)を使用するトラクションバッテリの最大電気航続距離、および放電維持方法(曲線B)を使用するトラクションバッテリの最大電気航続距離より長いルート上における、トラクションバッテリのエネルギー状態の変化の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
自動車は従来、動力伝達経路、車体部分、および客室部分を特に支えるシャシを含む。
【0019】
再充電可能なハイブリッド車において、動力伝達経路は、熱トラクションチェーンおよび電気トラクションチェーンを含む。
【0020】
熱トラクションチェーンは、燃料タンク、およびタンクから燃料を供給される内燃機関を特に含む。
【0021】
電気トラクションチェーンは、電気トラクションチェーンとしては、トラクションバッテリ、およびトラクションバッテリによって電流を供給される1つまたは複数の電気エンジンを含む。
【0022】
自動車は、この場合、例えば、家庭用の電力供給網で、または他の任意の電力供給網で、トラクションバッテリが現地で充電されることを可能にする電力ソケットも含む。
【0023】
自動車は、トラクションバッテリによって電流を供給される電気デバイスとしてここで定義される補助デバイスも含む。
【0024】
これらの補助デバイスの中でも、空調モータ、パワーウィンドウモータ、またはその他に、地理位置情報およびナビゲーションシステムについて言及されることがある。
【0025】
この地理位置情報およびナビゲーションシステムは従来、自動車の地理位置情報に基づく(geolocated)位置に関する信号を受信するためのアンテナ、国または地域の地図を格納するためのメモリ、およびこの地図上に車の位置を図示するための画面を含む。
【0026】
この場合、この画面が、この画面に情報を運転者が入力することを可能にするタッチスクリーンであるケースが考慮される。これは、当然、異なる画面であることが可能である。
【0027】
最後に、地理位置情報およびナビゲーションシステムは、運転者によって入力された情報、システムのメモリに格納された地図、および自動車の位置を考慮して、通ることになるルートを計算するためのコントローラを含む。
【0028】
自動車1は、上述の2つのトラクションチェーン(特に電気エンジンによって、および内燃機関によって作り出される動力)を特に制御するために、この場合コンピュータと呼ばれる、電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)をさらに備える。
【0029】
本発明の背景において、このコンピュータは、2つのトラクションチェーンが情報を通信できるように、地理位置情報およびナビゲーションシステムのコントローラに接続される。
【0030】
この場合、2つのトラクションチェーンは、車のユニット間通信のメインネットワークによって(典型的にはCANバスによって)相互に接続される。
【0031】
コンピュータは、プロセッサおよび(以下にメモリと呼ばれる)ストレージユニットを備える。
【0032】
このメモリは、下記で説明される方法の背景において使用されるデータを格納する。
【0033】
このメモリは、(本開示の残りの中で説明されることになる)図5に示されているタイプのテーブルを特に格納する。
【0034】
このメモリは、コンピュータが以下で説明される方法を実行することをプロセッサによる命令の実行が可能にする命令を含むコンピュータプログラムから形成されたコンピュータアプリケーションも格納する。
【0035】
導入として、以下で説明される方法に関する、本開示において使用されるいくつかの概念についての定義がここで行われる。
【0036】
用語「ルート」は、したがって、到着位置に到達するために自動車が出発位置から通らなければならない経路であると定義されることが可能である。
【0037】
この到着位置は、ルートの目的地であり、車に装備される電力ソケットを介してトラクションバッテリを再充電するための充電位置を装備されると考えられることになる。
【0038】
各ルートは、「隣接セグメント」に、また「隣接セクション」に分割されることが可能である。
【0039】
セグメントの概念は、地理位置情報およびナビゲーションシステムに装備されるコントローラによってネイティブに使用されることになる。
【0040】
実際には、各セグメントは、例えば2つの交差点の間に延びるルートの一部に対応することが可能である。最短ルートまたは最速ルートを定義するために、コントローラは、したがって、ルートが通り過ぎるはずの道路のセグメントを判断することになる。
【0041】
セクションの概念は異なる。セクションの概念は、本開示の残りにおいて詳細に説明されることになる。簡素化のために、ルートの各セクションは、道路の特徴が実質的に変化しないルートの一部に対応する。例として、ルートは、したがって、セクションのそれぞれに対して認められた最大制限速度が一定の、いくつかのセクションに分割されることが可能である。
【0042】
これらのセクションは、ここで「属性」と呼ばれるパラメータによって特性を表現される。各セクションの特性を表現するための属性の例は以下のようなものである。
【0043】
第1の属性は「道路カテゴリFC」になる。地理位置情報およびナビゲーションシステムに装備されるコントローラは、一般に、このタイプのカテゴリを使用して様々なタイプの道路を区別する。この場合、このカテゴリは、例えば1から6の間の整数値をとることが可能である。1に等しい属性は、高速道路に対応することが可能であり、2に等しい属性は、幹線道路に対応することが可能である、等。
【0044】
第2の属性は、度で表現されるか、百分率として表現される、セクションの「傾斜RG」になる。
【0045】
第3、第4、第5、および第6の属性は、セクション上を進む車の特有の速度と関係することになる。
【0046】
第3の属性は、セクションの「速度カテゴリSC」になる。地理位置情報およびナビゲーションシステムに装備されるコントローラは、一般に、このタイプのカテゴリも使用して、様々なタイプの道路を区別する。この場合、このカテゴリは、例えば1から6の間の整数値をとることができる。1に等しい属性は、(120km/hより速い)非常に高速な道路(high-speed road)に対応することが可能であり、2に等しい属性は、(100km/hから120km/hの間の)高速な道路に対応することが可能である、等。
【0047】
第4の属性は、セクションにわたる「認められた制限速度SL」になる。
【0048】
第5の属性は、セクションにわたって観察される「平均速度SMS」になる(この値は、各道路上で行われる統計学的測定から生じる)。
【0049】
第6の属性は、セクションにわたって観察される「瞬間速度TS」になる(この値は、リアルタイムのトラフィック状態に関する情報システムから生じる)。
【0050】
第7の属性は、セクションの「長さLL」になる。
【0051】
第8の属性は、セクションの「平均曲率半径LC」になる。
【0052】
第9の属性は、車によって通られる進行方向におけるセクションの「車線数NL」になる。
【0053】
以下の開示において、これらの9つの属性が、ルートの各セクションの特性を表現するために使用される。
【0054】
1つの変形形態として、ルートの各セクションは、より少ない数またはより大きい数の属性によって特性を表現されることが可能である。
【0055】
トラクションバッテリのエネルギー状態(SOE)は、このトラクションバッテリ内の残りのエネルギーの特性を表現するためのパラメータであると、さらに定義されることになる。1つの変形形態として、バッテリの充電状態SOC(state of charge)などの別のパラメータ、または同じタイプの他の任意のパラメータ(バッテリの内部抵抗、バッテリの端子間電圧、等)が使用されることが可能である。
【0056】
次に、トラクションバッテリの充電または放電ΔSOEは、2つの別々の時間において考慮される2つのエネルギー状態の間の相違に等しいとみなされることになる。
【0057】
次に、検討中のセクション上にある車の「固有消費曲線」は、トラクションバッテリの充電値または放電値ΔSOEを、車の各燃料消費値CCと関連付ける曲線であると定義される。具体的には、所与のセクションにわたって、車の燃料消費CCがどのようなものであるかを(踏破されるキロメートルあたりのリットルで)、またトラクションバッテリの充電または放電ΔSOEがどのようなものであるかを(キロメートルあたりのワット時で)推定することが可能である。ある程度電気トラクションチェーンが、またはある程度熱トラクションチェーンが、車を運転するために使用されるかどうかに応じて、これらの2つの値が変化することになるので、これらの2つの値は曲線によってリンクされることになる。
【0058】
膨大な数の固有消費曲線が存在するので、「基準曲線」は、特性がよくわかり、各固有消費曲線を概算することを可能にすることになる、特定の固有消費曲線であると、結論として定義される。言い換えると、本開示の残りにおいて、より明らかになるように、固有消費曲線ではなく、むしろ基準曲線(固有消費曲線の最近似値を形成することになる曲線)が、各ルートセクションと関連付けられることになる。
【0059】
地理位置情報およびナビゲーションシステムのコントローラによって、ならびに車のコンピュータによって一緒に実行される方法は、車の燃料消費および電流消費を管理するための設定値を計算するための方法である。
【0060】
この方法は、より具体的には、トラクションバッテリの健康状態を最適に保持するように、所定のルート上で、電気トラクションチェーンおよび熱トラクションチェーンが、どのように使用されるはずであるかを判断することに本質がある。
【0061】
本発明の1つの特に有利な特徴によれば、方法は、以下の主な6つのステップを含む。
- 通ることになるルートを入手すること
- 前記ルートを連続的な隣接セクションTに分割すること
- 本セクションTの特性を表現する属性FC、SC、SL、TS、RG、LL、NL、SMSを各セクションTに対して入手すること
- セクションにわたるハイブリッド自動車の各燃料消費値CCを、トラクションバッテリの充電値または放電値ΔSOEとリンクさせる(ここで基準曲線CEと呼ばれる)関係を、本セクションTの属性FC、SC、SL、TS、RG、LL、NL、SMSを考慮して、セクションTのそれぞれに対して判断すること
- トラクションバッテリの健康状態SOH(state of health)を最適に保持するため、および前記ルートの終点においてトラクションバッテリの完全な放電を実現するために、各基準曲線CEの最適点Pを判断すること、ならびに
- 前記最適点Pの座標の関数としてエネルギー管理設定値を構築すること
【0062】
バッテリの耐用期間の全体を通して、バッテリは、使用中に起こる不可逆の化学変化により、徐々に悪化する傾向がある性能を示すということがこの時点で思い出されよう。この悪化は、バッテリが新しい状態において提供することができた能力と比較して、バッテリが固有の能力を提供することができることを定義する「健康状態SOH」と呼ばれる指標を使用して数量化される。よく知られているように、この健康状態SOHは、バッテリの内部抵抗との、また(充電状態における)バッテリの端子間電圧との、非常に高い相関関係を示す。
【0063】
これらの6つの連続的なステップは、本開示の残りにおいて説明される。
【0064】
第1のステップは、自動車が通ることになるルートを入手することに本質がある。
【0065】
このステップは、地理位置情報およびナビゲーションシステムに組み込まれているコントローラによって行われることが可能である。
【0066】
このステップは、その後、従来の手法で実行される。
【0067】
したがって、運転者が地理位置情報およびナビゲーションシステムのタッチスクリーンを使用して到着位置を定義すると、このシステムのコントローラは、特に運転者によって選択された行路パラメータ(最速ルート、最短ルート、等)に応じて、通ることになるルートを計算する。
【0068】
この段階において、方法は、地理位置情報およびナビゲーションシステムによって定義されたルートとは異なるルートを車が通るとすぐにリセットされなければならないということがわかる。
【0069】
1つの変形形態として、この第1のステップは、様々に行われることが可能である。
【0070】
したがって、タッチスクリーン上に運転者が到着位置を入力することを不要にすることが可能になる。この目的のために、コントローラは、運転者の所定の手順を検出すること、およびこのことから到着位置を自動的に推定することができる。
【0071】
例えば、運転者が毎日、同じルートを通って仕事に行くとき、このルートは、地理位置情報およびナビゲーションシステムのタッチスクリーン上で運転者がいずれの情報も入力せずに、自動的に入手されることが可能である。
【0072】
この第1のステップの終わりに、地理位置情報およびナビゲーションシステムに組み込まれているコントローラは、その後、思い出されるように、それぞれが2つの交差点の間に延びる、複数の隣接セグメントから形成される車のルートを知る。
【0073】
第2のステップは、ルートをセクションTに分割することに本質がある。
【0074】
ルートをセグメントではなくセクションに再分割する恩恵は、まず第1に、ルートの下位区分の数を低減させるということである。具体的には、2つの連続的なセグメントの属性が同一であるということがよくある。これらの2つの連続的なセグメントが、別々に処理されることになると、計算時間が不必要に増大されるであろう。全く同一のセクション内の同一セグメントを組み合わせることによって、計算時間を低減させることが可能になる。
【0075】
別の恩恵は、全く同一のセグメントにわたる道路の特徴が実質的に変化してよいということである(セグメントの1つの部分が、傾斜のない道路に対応することが可能であり、このセグメントの別の部分が、傾斜の大きい道路に対応することが可能である)。この場合、セクションのそれぞれにわたって道路の特徴が同質なままであるセクションにルートを分割することが望まれる。
【0076】
各セクションTは、ルートの全長にわたって変化しない少なくとも1つの属性をもっているルートの一部であると、ここで定義されることになる。
【0077】
この属性は、傾斜RGおよび/または速度カテゴリSCおよび/または道路カテゴリFCからなることが可能である。
【0078】
この場合、このステップは、地理位置情報およびナビゲーションシステムに組み込まれているコントローラによって実行されることになる。この目的のために、コントローラは、上述の3つの属性(RG、SC、FC)が一定である最長のセクションTにルートを分割することになる。
【0079】
この第2のステップの終わりに、コントローラは、このように、N個のセクションを定義した。
【0080】
第3のステップは、各セクションTの属性を入手することに本質がある。
【0081】
属性のうちの1つが、検討中のセクションにわたって可変であるとき、これは、考慮されることになるセクション全体にわたるこの属性の平均値である。
【0082】
実際には、この第3のステップは以下のように行われる。
【0083】
まず第1に、地理位置情報およびナビゲーションシステムに組み込まれているコントローラは、新しいルートが計算されたことをコンピュータに通知する。コンピュータは、次に、例えば図1に示されたタイプのテーブルの形で、各セクションの属性の送付をリクエストする。
【0084】
コントローラは、次に、各セクションの属性を以下のように入手する。
【0085】
コントローラは、特にセクションの長さLLといった1つの部分を計算する。
【0086】
コントローラは、特に、道路カテゴリFC、傾斜RG、速度カテゴリSC、認められた制限速度SL、平均速度SMS、平均曲率半径LC、および車線数NLといった属性の別の部分を、地理位置情報およびナビゲーションシステムのメモリから読み込む。
【0087】
特に瞬間速度TSといった、これらの属性の最後の部分は、別のデバイスによってコントローラに通信され、これは、リアルタイムのトラフィック状態に関する情報システムによってコントローラに通信される。
【0088】
コントローラは、次に、CANバスを介してこの情報の全てを車のメインコンピュータに送信する。
【0089】
最初の3つのステップを行うために車のメインコンピュータではなく地理位置情報およびナビゲーションシステムに組み込まれているコントローラを使用する長所は、CANバスによってコンピュータに送信されることになる情報量を低減させるということである。具体的には、同じ属性をもつルートの隣接セグメントを統合することによって、送信されるデータの大きさが低減され、このことにより、CANバスによるデータ送信の速度を上げる。
【0090】
情報を受け取ると、コンピュータは以下のステップを実行する。
【0091】
第4のステップは、次に、セグメントTのそれぞれに対して、コンピュータのメモリに格納された基準曲線CEの中から、検討中のセクションTにわたる車のエネルギー消費(燃料消費および電流消費)の最適な推定を可能にするものを判断することに本質がある。
【0092】
このステップは、次に、属性の観点からの各セクションの特性表示からエネルギーコストの観点からの特性表示に移ることを可能にする。
【0093】
本例示的実施形態のこの第4のステップの中で、コンピュータは、コンピュータのメモリに格納された、図5において示されたテーブルTABを使用することになる。
【0094】
図5に示されているように、このテーブルTABは、それぞれが属性の値に(または値の間隔に)対応する行を有する。このテーブルTABは、それぞれが基準曲線CEのうちの1つに対応する列を有する。図示された例において、コンピュータのメモリがM個の基準曲線CEを格納するということが考慮されることになり、ここで、Mは、この場合、11に等しい。
【0095】
図5において、テーブルTABのセルが収めることになる値は車の特徴に依存することになるので、テーブルTABのセルは空のままである。
【0096】
実際には、このテーブルTABは、これらのセルのそれぞれにおける値とともにコンピュータのメモリに格納されることになる。
【0097】
これらの値は、基準曲線CEのどれか一方に対応する各属性値の確率に対応する(0から1の間の)確率値になる。
【0098】
例として、セクションTの道路カテゴリFCが2に等しい値を有する場合、基準曲線CE1によってエネルギーコストの観点から正しく特性を表現されるこのセクションの確率がaに等しくなるということ、基準曲線CE2によってエネルギーコストの観点から正しく特性を表現されるこのセクションの確率がaに等しくなるということ、等が、テーブルから読み取られることが可能である。
【0099】
傾斜RGおよび長さLLの値は、このテーブルTABにおいて意図的に使用されていないということがわかるであろう。
【0100】
この段階において、コンピュータは、次に、検討中のセクションTの各属性の値に対応する各確率値に注目することができる。
【0101】
図示された例において、この中で、属性FCが2に等しいということ、属性SCが6に等しいということ、属性SLが30に等しいということ、属性NLが2に等しいということ、属性SMSが60から80の間であるということ、および属性TSが40から60の間であるということが考慮され、コンピュータは、aからa11、bからb11、cからc11、dからd11、eからe11、およびfからf11を示す値に注目する。
【0102】
コンピュータは、次に、11個の基準曲線CEのそれぞれによってエネルギーコストの観点から正しく特性を表現される検討中のセクションTの確率の合計を計算する。
【0103】
図示された例において、コンピュータは、この目的のために、aからf、および次にaからf、等を示す値を合計する。
【0104】
最後に、コンピュータは、11個の合計のうちのどれが、最高の結果をもたらすかを判断する。
【0105】
コンピュータは、次に、この高確率の合計が関連付けられる基準曲線CEが、エネルギーコストの観点からセクションTの特性を最もよく表現するものであると考える。
【0106】
コンピュータは、次に、この基準曲線CEの特性を表現するパラメータ値をコンピュータのメモリから入手することができる。
【0107】
本開示のこの段階において、より具体的に関心のある可能性のあるものは、これらの基準曲線が得られ、モデル化される方式である。
【0108】
各車両モデルに対して(または各エンジンモデルに対して、または自動車モデルの各セットに対して、またはエンジンモデルの各セットに対して)、様々な地理位置情報に基づく道路セクションにおいて多くのテスト走行(またはテスト走行のシミュレーション)を行う必要がある。
【0109】
これらのテスト走行は、属性が知られている様々なセクションにおける車の燃料消費および電流消費を判断するのを可能にする。この目的のために、車は、各セクションにわたって何回か移動させられ、電気エンジンによって毎回提供されるトラクションの比率を増加させる。
【0110】
その後、各セクションに対する固有消費曲線SCCを生成することが可能である。これらの固有消費曲線は、図4に示された曲線のタイプのものである。
【0111】
電気エネルギーが多く使用されればされるほど(つまりΔSOE<0)、電気トラクションチェーンを排他的に使用する走行において、0に到達するまで、ますます燃料消費が落ちるということが、これらの曲線のそれぞれにおいて観察されることがある。対照的に、熱燃焼機関を介してバッテリを再充電する必要があればあるほど(ΔSOE>0)、ますます燃料消費が増加する。最後に、各固有消費曲線SCCは、補助デバイスからの電気消費なく、水平の道路(傾斜のない道路)における走行の局面に対する、車の平均エネルギー消費を説明するということが思い出されるであろう。
【0112】
これらのテスト走行は、テストされるセクションと同数の固有消費曲線SCCを見つけるのを可能にする。
【0113】
各固有消費曲線SCCは、トラクションバッテリの充電および放電の変化ΔSOEが、最小閾値ΔSOEminと最大閾値ΔSOEmaxとの間に抑えられる、2次多項式によってモデル化されることが可能であり、多項式は、以下のように書かれることが可能である。
ここでΨ、Ψ、Ψは、多項式の係数である。
【0114】
図4における曲線によって示されるように、このモデルを簡素化するために、2つの係数Ψ、Ψが、1つの曲線から別の曲線まで同一であるということが推定されることが可能である。最小閾値ΔSOEminは、多項式の3つの係数に依存するということも観察されることがある。したがって、係数Ψおよび最大閾値SOEmaxだけが変化する。したがって、各固有消費曲線SCCの特性を表現するのを可能にするのはこれらの2つの値である。
【0115】
図3は、これらの2つの変数ΨおよびΔSOEmaxに座標が対応する点を1つの例を通じて示す。図3は、行われたテスト走行中に得られた固有消費曲線SCCの分布を示す。これらの点が11個の別々のゾーンに分散しているということがここで考慮される。各ゾーンは、次に、ゾーンの重心によって定義される。
【0116】
したがって、上述されたように、本方法において、検討中のセクションに正確に対応する固有消費曲線は入手されず、むしろ変数ΨおよびΔSOEmaxが、これらの11個のゾーンのうちの1つの重心に対応する11個の基準曲線のうちの1つが考慮される。
【0117】
方法のこの段階において、各セクションTは、次に、図2によって示されるように、上述のパラメータΨ、Ψ、Ψ、ΔSOEmin、ΔSOEmaxによって、また各セクションTの長さLLによって、また各セクションの傾斜RGによって、定義される。
【0118】
上述されたように、選択されるエネルギー曲線CEは、セクションTの傾斜、または補助デバイス(空調モータ等)の電流消費を考慮しない。
【0119】
各セクションTの傾斜を考慮するために、傾斜RGの関数として各基準曲線CEを補正するステップが提供される。
【0120】
図7において明確に示されているように、この補正ステップは、単純に、傾斜RGに依存する値によって、セクションTと関連付けられる基準曲線CEを上向きまたは下向き(つまり不変の充電または放電ΔSOE)にシフトさせることに本質がある。
【0121】
具体的には、検討中の道路セクションが坂を上がるとき、燃料消費が、最初に予測された燃料消費より多くなるということが理解される。対照的に、検討中の道路セクションが坂を下るとき、燃料消費は、最初に予測された燃料消費より少なくなる。
【0122】
さらに、制動フェーズ中には、坂を上がるときよりも坂を下るときに多くの電気エネルギーを回復させることが可能になる。
【0123】
実際には、補正ステップは、以下の公式を使用してパラメータΨを補正することに本質があることになる。
Ψ’=Ψ+K.RG [2]
ここで、Kは、検討中の車両モデルおよび車両モデルの特徴に依存する値における係数である(例として、K=0.01327l.km-1が、ここで考慮されることが可能である)。
【0124】
補助デバイスの電流消費を考慮するために、これらの補助デバイスによって消費される電力Pauxの関数として各基準曲線CEを補正する第2のステップが提供される。
【0125】
検討中の電力値Pauxは、計算時に測定されることが可能な値であるということがここでわかるであろう。この方法において、したがって、消費電力はルートの中で実質的に一定のままになるということが想定される。(例えば空調が入れられたために)長期間にわたるこの電力の大きい変化をコンピュータが一度でも検出すると、新しい電力値Pauxを考慮するように、このステップにおける方法を再開するようにプログラムされることが可能である。
【0126】
より具体的には、方法は、計算における検討中の電力と、測定された電力との間の相違が、閾値(例えば5分間)より大きい期間にわたって、閾値(例えば10%)より大きいままである場合、この第2の補正ステップにリセットされることが可能である。
【0127】
図6において明確に示されるように、第2の補正ステップは、単純に、電力Pauxに依存する値によって、セクションTと関連付けられた基準曲線CEを、左に(つまり一定の燃料消費で)シフトさせることに本質がある。
【0128】
具体的には、電気デバイスが使用されるとき、バッテリの充電は予測されるよりも遅くなり、このバッテリの放電は予測されるよりも速くなるということが理解される。
【0129】
実際には、補正ステップは、以下の公式から計算される値EAUXによって基準曲線CEをシフトさせることに本質があることになる。
ここで、
は、セクションにわたる平均速度を(km/hで)表す。この値は、この値がトラフィックの速度の値に、または統計学的平均速度に、または認められた制限速度に等しくなるということを推定することによって、地理位置情報およびナビゲーションシステムによって直接的に供給されることが可能である。
【0130】
本発明は、特に、ハイブリッド車の最終目的地に到達するのに必要な全エネルギーが、トラクションバッテリに収められた電気エネルギーよりはるかに大きいときに、トラクションバッテリの老朽化を抑えることができるエネルギー管理システム(EMS)を提案することを目的とする。この場合、最終目的地に到達するのに必要なエネルギーの大部分は熱であり、トラクションバッテリは、このエネルギーのごく一部を節約することを可能にする。小さいエネルギーの節約を考慮すると、したがって、最適な使用条件でトラクションバッテリの使用を奨励することによってトラクションバッテリの健康状態(SOH)を保持することが好ましい。
【0131】
具体的には、トラクションバッテリによってもたらされる全く同一の供給電圧に対して、トラクションバッテリが生成する電流の値は、トラクションバッテリの充電状態(SOC)に応じて変化する。したがって、トラクションバッテリによって生成された電流の値は、トラクションバッテリの充電がそれぞれ高いか低いとき、非常に低いか、そうでなければ非常に高い可能性がある。これらの精密なケースにおいて、バッテリの構成要素は、過度に遅いダイナミクス、または過度に速いダイナミクスの影響下にあり、バッテリの構成要素の早期の消耗を引き起こす。この早期の老朽化現象を防ぐために、バッテリ製造業者は、トラクションバッテリの使用中の、最小充電状態値(SOEmin、例えば10%の充電)と、最大充電状態値(SOEmax、例えば90%の充電)との間の、トラクションバッテリの充電のための最小閾値(SOEmin’、例えば60%の充電)と、最大閾値(SOEmax’、例えば80%の充電)との間の、バッテリの使用最適値の範囲を推奨する。
【0132】
本発明は、車の最終目的地においてトラクションバッテリの完全な放電を同時に行う一方で、ハイブリッド車のルートの中で、トラクションバッテリの使用最適値の範囲で、またできるかぎり長く、トラクションバッテリの動作を奨励することを具体的に目的とする。用語「完全な放電」は、バッテリの充電が、休止している充電値より低くなることを意味すると理解される。例として、この休止している充電値は、トラクションバッテリの全体の充電のうちの、トラクションバッテリの容量の10%より小さいか、または5%より小さいことが可能である。休止している充電値は、好ましくは、バッテリの空のストレージの最適の状態に関するバッテリの製造業者の推奨に対応する。
【0133】
本発明は、したがって、ハイブリッド車のエネルギー管理システムを最適化すること、車によって踏破される各セクションに対するトラクションバッテリの使用最適値の範囲[SOEmin’,SOEmax’]でのトラクションバッテリの使用を奨励すること、および車のルートの終点におけるトラクションバッテリの完全な放電、のためのアルゴリズムを使用することを提案する。
【0134】
最適化アルゴリズムは、思い出されるように、ルートの各セクションに対して選択された各基準曲線CEの最適点Pを判断することに本質がある、上述の方法の第5のステップにおいてコンピュータによって実行される。
【0135】
より具体的には、最適化アルゴリズムは、まず第1に、エネルギー消費が、ルート全体にわたってできるだけ低くなるように、エネルギーコスト関数fの値を、踏破されることになる各セクションの出発点において、最小化することを目的とする。
【0136】
このエネルギーコスト関数fは、新しいセクションiに到達するために車によって消費されたエネルギーと、セクションNに対応する最終目的地に到達するために使用されることになるエネルギーの推定との合計に対応する。
【0137】
より具体的には、エネルギーコスト関数fは、以下のように定義される。
f(d,SOE)=g(d,SOE)+h(d(i,N),SOE(i,N)) [4]
ここで、
- 関数g(d,SOE)は、(ルートの出発点に対応する)最初のノードからノードiに到達して、前のノードの全てを通るように、距離dを踏破するための全体的なエネルギーコストSOEを表し、
- 関数h(d(i,N),SOE(i,N))は、ノードiから(最終目的地に対応する)最終ノードNに到達するために、残りの距離d(i,N)を踏破するための残りのエネルギーコストSOE(i,N)の推定を表す。
【0138】
各セクションiの出発点における関数fの値の計算は、したがって、以下のように定義された関数g(d,SOE)および関数h(d(i,N),SOE(i,N))の値を計算することを含む。
および
ここで、
- lは、セクションiの長さであり、
- ΔSOE(i-1,i)は、ノードiの前のセクションにわたるトラクションバッテリの充電状態の変化であり、

は、ノードiの前のセクションにわたるハイブリッド車の燃料消費である。
【0139】
本発明についての読者の理解を容易にするために、図8は、コンピュータによるエネルギーコスト関数fの値の計算の例を示す。より具体的には、図8において、ハイブリッド車のルートは、文字Tによって表されたハイブリッド車の最終目的地まで、N個のセクションに分割される。各セクションは、横座標軸上にプロットされた特定の距離lによって特性を表現される。縦座標軸は、ルートに沿ったトラクションバッテリの充電状態(SOE)を示す。本例において、ハイブリッド車は、ハイブリッド車の行路の第2のセクション(i=2)に近づく。次に、コンピュータは、トラクションバッテリの充電状態の変化に従って、関数hの値を変化させることによって、より具体的には、ルートの最終目的地に到達するのに必要な燃料消費の値を変化させることによって、エネルギーコストの関数fの値を計算する。本例において、関数hの5つの値が計算され、第1および第2のセクションの境界を示す軸上に、図8においてプロットされる関数fの5つの値を得ることを可能にする。当然、コンピュータは、より大きい数、またはより小さい数の関数fの値の計算を行うことができる。
【0140】
注意として、本発明は、特に、車の最終目的地に到達するのに必要なエネルギーが、トラクションバッテリ内の利用可能な電気エネルギーよりはるかに大きいときに、トラクションバッテリの老朽化を抑えることを目的とする。この目的のために、本発明は、トラクションバッテリの健康状態(SOH)を保持するための保持値(rpre)で、方程式[5]および方程式[6]において使用される燃料消費値に重みを付けることを提案する。
【0141】
この重み付けの目的は、全体的に、ルート全体にわたる車のエネルギー消費に依存するだけでなく、ルートが長く、電気トラクションチェーンからの寄与が無視できるほどのものになるとき、バッテリに及ぼされる負担、および負担がバッテリを老朽化させることになるようなものである負担が、抑えられたままであるように、ルートの各ノードが選ばれる局面を作り出すことである。
【0142】
燃料消費値は、以下のように、より具体的に重み付けされる。
ここで、
- ΔSOE(x,y)は、ノードxとノードyによって境界を示されたセクションにおける、進んだキロメートルあたりのトラクションバッテリの充電状態の変化を表し、

は、ノードxとノードyの間のトラクションバッテリの充電状態の平均値を表し、
- Rは、ノードxと最終ノードNとの間の距離を表し、

は、ノードiに対して上記の方程式[1]において定義されたような関数を表す。
【0143】
保持関係(rpre)は、以下のパラメータに依存する。
ここで、
- fact(R)は、活性化関数を表し、ここで、Rは、ハイブリッド車の最終目的地に到達するために、ハイブリッド車によって踏破されることになる距離であり、

は、重み関数を表し、
- SOErecは、トラクションバッテリの使用最適値の推奨範囲の中央値を表し、ここで、
であり、
- pmaxは、最大重み値を表す。
【0144】
特に、トラクションバッテリの使用最適値の範囲は、バッテリのタイプ、およびバッテリの製造業者の推奨に依存する。例として、トラクションバッテリのこの使用最適値の範囲は、バッテリの最大電気充電の60%から80%の間にあることが可能である。当然、これらの値は、使用されるバッテリの固有の特性に応じて変化することが可能である。
【0145】
活性化関数factは、自動車の最終目的地に到達する前に自動車が踏破しなければならない距離Rに依存する。活性化関数は、車の最終目的地から依然として遠い距離に車があるときの燃料消費値mfcにかなりの重み付け(つまりかなりの重み)を適用すること、および、その後、車の目的地に車が到着するとバッテリの完全な放電を可能にするようにこの重みを低減させること、を可能にすることを目的とする。
【0146】
この目的のために、以下の距離の閾値が定義されることが可能である。
- Rminは、これより小さい距離には重み付けが適用されない最小距離を表し(ffac(R)=0、ここでR<Rmin)、例として、Rminの値は、キロメートルで、車の最大電気航続距離(lAER)の2倍に対応することが可能であり、
- Rmaxは、この距離を超えると重み付けの100%が適用される距離を表し(ffac(R)=1、ここでR>Rmax)、例として、Rmaxの値は、キロメートルで、車の最大電気航続距離(AER)の6倍に対応することが可能である。
【0147】
重み関数は、図9に示されたように、値RminとRmaxの間で線形的に変化することが可能であるということに留意されたい。当然、他の変化のプロフィールが可能である。
【0148】
重み関数fponは、第1に、ノードxとノードyの間のトラクションバッテリの充電状態の平均値に依存し、第2に、トラクションバッテリの最適使用範囲における推奨SOE間隔の中央値を表す値SOErecに依存する。この重み関数は、したがって、エネルギー状態SOEが、できるだけ長く最適使用範囲のままである(できるだけ長く車がルートの到着地点から離れている)局面を作り出すことを目的とする。例として、重み関数は、図10に示されたトレース(I)およびトレース(II)のどれか一方を再現するように定義されることが可能である。当然、他のトレースプロフィールが可能である。
【0149】
最大重み値pmaxは、最適使用範囲にあるエネルギー状態SOEのノードの最大限の重み付けを定義する。例として、最大重み値は、最適使用範囲にあるノードの10%を奨励するように、0.1に等しいことが可能である。
【0150】
上述の重み付け関係の使用は、したがって、トラクションバッテリの充電状態が、ルートの中で、できるだけトラクションバッテリの使用最適値の範囲内にあるように、トラクションバッテリを放電または再充電すること、およびルートの終点においてトラクションバッテリの完全な放電を保証すること、を可能にする燃料消費に対応する値を最適化アルゴリズムが、その後、優先するように、エネルギーコスト関数fの計算値を修正することを可能にする。したがって、本例において、関数fの値は、例えば図8における値3に対応するトラクションバッテリの最適使用範囲の間隔の中央で関数fの計算値ができるだけ低くなるように、重み付け関係によって最小化される。
【0151】
最適化アルゴリズムによって判断された関数fの最小値に応じて、コンピュータは、トラクションバッテリの使用最適値の範囲でトラクションバッテリの使用を奨励することを可能にする、セクションTと関連付けられた基準曲線CE上の最適点(P)をこの最小値から推定する。
【0152】
上述の方法の第6のステップにおいて、(基準曲線CEの最適点を通る)最適経路が見つかると、コンピュータは、最適点Pの座標の関数としてエネルギー管理設定値を構築する。このエネルギー管理設定値は、その後、進路を監視するために、コンピュータによってルートの中で使用される。
【0153】
非常に多くの方法が、このような監視が行われることを可能にする。1つの例は、出願人によって出願された特許出願FR2988674に、または他には、文献WO2013150206およびWO2014001707に特に明確に示されている。
【0154】
図11は、ハイブリッド車が30kmの最大電気航続距離lAERを有するシナリオによる、高速道路上のおよそ800kmのルートに対する、本発明によるエネルギー管理設定値の例を示す。曲線Aは、曲線Bによって示された本発明によるエネルギー管理設定値と比較した、従来技術から知られている放電維持方策を使用するエネルギー管理設定値を示す。この例において、本発明は、600%よりも多く、トラクションバッテリがトラクションバッテリの最適使用範囲で動作する距離を増加させることを可能にし、この距離は、10kmから600kmまで変化する。さらに、本発明は、ルートの終点においてトラクションバッテリの完全な放電を保証することを可能にし、このことにより、車の電位の使用を最大化し、燃料消費を低減させることを可能にする。
【0155】
本発明は、説明され、示された実施形態に少しも限定されないが、当業者は、本発明の精神に従って本発明に何らかの変化を加える方法を知るであろう。
【0156】
特に、基準曲線のパラメータΨ、Ψ、Ψ、ΔSOEmin、ΔSOEmaxを格納するのではなく、各基準曲線の形の特性を全体的に表現する点をコンピュータが格納することが可能である。次に、地図作成に対する参照が行われる。
【0157】
本発明の別の変形形態によれば、地理位置情報およびナビゲーションシステムが、ルートのセクションの属性の値を知らない場合、以下を行うことが可能である。
- 確率の合計の計算がこの属性に割り当てられた確率の値を考慮しないこと
- または計算が未知の値を所定の値で置き替えること
【0158】
結論として、本発明は、ハイブリッド自動車の燃料消費および電流消費を管理するための設定値を計算するための斬新な方法を提案し、トラクションバッテリの最大電気航続距離より大きいルートの中でトラクションバッテリの老朽化を低減させ、一方で、ハイブリッド車の最終目的地にハイブリッド車が到着するときにトラクションバッテリが放電されることを保証する。言い換えると、本発明は、バッテリの最適動作状態でバッテリが動作していないときの燃料消費計算に不利益をもたらすが、車が目的地に到着するときに、バッテリのエネルギー状態が推奨最小閾値に到達することを同時に保証する、重み関数を含む最適化アルゴリズムを提案する。
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