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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】光拡散光ファイバ用照明システム
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20220525BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220525BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220525BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220525BHJP
【FI】
F21V8/00 210
F21V5/04
F21Y115:10
F21Y115:30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019555200
(86)(22)【出願日】2018-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-11
(86)【国際出願番号】 US2018026820
(87)【国際公開番号】W WO2018191220
(87)【国際公開日】2018-10-18
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】62/484,098
(32)【優先日】2017-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ログノフ,ステファン ルヴォヴィッチ
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-526268(JP,A)
【文献】特開2016-195043(JP,A)
【文献】特開2017-010700(JP,A)
【文献】特開平5-027146(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0288231(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 8/00
F21V 5/04
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システムにおいて、
光拡散光ファイバと、
光源を有する光出射装置と
を含み、
前記光拡散光ファイバは、第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部、コア、前記コアを囲むクラッディング、外面、並びに、該コア、前記クラッディング、または、該コアおよび該クラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含むものであり、
前記複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を前記光拡散光ファイバの前記外面に向けて散乱させて、前記導かれた光の一部を、該外面を通して、該光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものであり、
前記光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有し、
前記光出射装置は、前記光拡散光ファイバの前記開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有し、
前記光出射装置は、該光出射装置の前記光源によって発せられた光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の端面を、前記端面に直交しない入射角θで照らすように、該端面に光学的に結合されたものであり、
前記光拡散光ファイバは、
前記入射角θが、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内であることと、
前記光拡散光ファイバの前記拡散長は、該光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面から、該拡散長の約5%の距離で延伸する平衡結合長を含むものであることと
の1つまたは両方を有するものであるシステム。
【請求項2】
前記入射角θは、sin-1NALDF-sin-1NAに略等しいものである、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記入射角θは、約5°から約30°である、請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面は、角度のついた端面であるか、または、直角な端面である、請求項1から3のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記光出射装置は、前記光源と前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面との間に配置されて光学的にそれらに結合されたレンズを、更に含むものである、請求項1から4のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記光出射装置は、前記光源と前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面との間に配置されて光学的にそれらに結合された光伝送ファイバを、更に含むものである、請求項1から5のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記光出射装置の前記光源によって発せられ光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面を、入射角θで照らした場合、前記入射角θは、該端面で、約1.5dB以下の結合損失を生じるものある、請求項1から6のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を前記光拡散光ファイバの前記外面に向けて散乱させて、前記導かれた光の一部を、該外面を通して、該光拡散光ファイバの前記拡散長に沿って拡散させて、散乱により生じた約50dB/km以上の減衰を生じるように構成されたものである、請求項1から7のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記光拡散光ファイバは、前記コアおよび前記クラッディングを囲む散乱層を含み、
前記散乱層は、散乱材料を含み、更に、40と120度の間の全視野角について、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差が、前記最大散乱照明強度の50%未満となるように構成されたものである、請求項1から8のいずれか1項に記載の照明システム。
【請求項10】
照明システムの形成方法において、
光出射装置の光源によって発せられ光を、光拡散光ファイバの第1の端部の端面に、第1の入射角θi1で向ける工程であって、
前記光拡散光ファイバは、前記第1の端部、該第1の端部の反対側の第2の端部、コア、前記コアを囲むクラッディング、外面、並びに、該コア、前記クラッディング、または、該コアおよび該クラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含むものであり、
前記複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を前記光拡散光ファイバの前記外面に向けて散乱させて、前記導かれた光の一部を、該外面を通して、該光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものであり、
前記光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有し、
前記光出射装置は、前記光拡散光ファイバの前記開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有し、
前記第1の入射角θi1は、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面に直交せず、
前記光拡散光ファイバは、
前記入射角θが、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内であることと、
前記光拡散光ファイバの前記拡散長は、該光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面から、該拡散長の約5%の距離で延伸する平衡結合長を含むものであることと
の1つまたは両方を有するものである工程と、
前記光出射装置と前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面との相対的な角度位置を、該光出射装置の前記光源によって発せられた光が、該光拡散光ファイバの該第1の端部の該端面に、該端面に直交せず、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内である第2の入射角θi2で向けられるように、変化させる工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2017年4月11日出願の米国仮特許出願第62/484,098号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、照明システムに関する。より詳しくは、本開示は、照明光を提供する光拡散光ファイバを含む照明システムに関する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の主題によれば、照明システムは、光拡散光ファイバと、光源を有する光出射装置とを含む。光拡散光ファイバは、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、コア、コアを囲むクラッディング、外面、並びに、コア、クラッディング、または、コアおよびクラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含む。複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を光拡散光ファイバの外面に向けて散乱させて、導かれた光の一部を、外面を通して、光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものである。光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有する。光出射装置は、光拡散光ファイバの開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有する。更に、光出射装置は、光出射装置の光源によって発せられた光が、光拡散光ファイバの第1の端部の端面を、端面に直交せず、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内の入射角θで照らすように、端面に光学的に結合されたものである。
【0004】
本開示の他の実施形態によれば、方法は、光出射装置の光源によって発せられ光を、光拡散光ファイバの第1の端部の端面に、第1の入射角θi1で向ける工程を含む。光拡散光ファイバは、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、コア、コアを囲むクラッディング、外面、並びに、コア、クラッディング、または、コアおよびクラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含むものである。複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を光拡散光ファイバの外面に向けて散乱させて、導かれた光の一部を、外面を通して、光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものである。光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有する。光出射装置は、光拡散光ファイバの開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有する。更に、第1の入射角θi1は、光拡散光ファイバの第1の端部の端面に直交せず、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内である。方法は、光出射装置と光拡散光ファイバの第1の端部の端面との相対的な角度位置を、光出射装置の光源によって発せられた光が、光拡散光ファイバの第1の端部の端面に、端面に直交せず、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内である第2の入射角θi2で向けられるように、変化させる工程も含む。
【0005】
本開示の更に他の実施形態によれば、照明システムは、光拡散光ファイバと、光源を有する光出射装置とを含む。光拡散光ファイバは、第1の端部、第1の端部の反対側の第2の端部、コア、コアを囲むクラッディング、外面、並びに、コア、クラッディング、または、コアおよびクラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含む。複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を光拡散光ファイバの外面に向けて散乱させて、導かれた光の一部を、外面を通して、光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものである。光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有する。光出射装置は、光拡散光ファイバの開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有する。更に、光出射装置は、光出射装置の光源によって発せられた光が、光拡散光ファイバの第1の端部の端面を、端面に直交しな入射角θで照らすように、端面に光学的に結合されたものである。更に、光拡散光ファイバの拡散長は、光拡散光ファイバの第1の端部の端面から、拡散長の約5%の距離で延伸する平衡結合長を含むものである。
【0006】
本開示の概念を、主に、光拡散光ファイバを含む照明システムを参照して記載するが、この概念は、任意の照明システムに利用しうることを企図している。
【0007】
以下の本開示の具体的な実施形態の詳細な記載は、類似の構造物を類似の参照番号で示した以下の図面と共に読まれる場合に、最も理解されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】光源およびレンズを有する光出射装置、並びに、光拡散光ファイバを有する本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による照明システムを示す概略図である。
図1B】光源および光伝送ファイバを有する光出射装置、並びに、光拡散光ファイバを有する本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による照明システムを示す概略図である。
図1C】本明細書に示し、記載した1つ以上の実施形態による図1A、1Bの照明システムの光拡散光ファイバの第1の端部を示す概略図である。
図2A】光源およびレンズを有する光出射装置、並びに、光拡散光ファイバを有する本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による照明システムを示す概略図である。
図2B】光源および光伝送ファイバを有する光出射装置、並びに、光拡散光ファイバを有する本明細書に示し記載した1つ以上の実施形態による照明システムを示す概略図である。
図2C】本明細書に示し、記載した1つ以上の実施形態による図2A、2Bの照明システムの光拡散光ファイバの第1の端部を示す概略図である。
図3】本明細書に示し、記載した1つ以上の実施形態による光拡散光ファイバに沿って伝播する光の強度を示すグラフである。
図4A】本明細書に示し、記載した1つ以上の実施形態による光拡散光ファイバの断面を概略的に示している。
図4B】本明細書に示し、記載した1つ以上の実施形態による光拡散光ファイバの他の断面を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、図1A~4Bを参照すると、照明システム100は、光源142を含む光出射装置140に光学的に結合された光拡散光ファイバ110を含む。光拡散光ファイバ110は、第1の端部112、第1の端部112と反対側の第2の端部114、コア120、コア120を囲むクラッディング122、外面128、並びに、コア120、クラッディング122、または、コア120とクラッディング122の両方の中に配置された複数のナノサイズ構造物125を含む。複数のナノサイズ構造物125は、導かれた光(例えば、光出射装置140によって出射されて、光拡散光ファイバ110に沿って伝播する光)を、光拡散光ファイバ110の外面128に向けて散乱させて、導かれた光の一部を、外面128を通って、光拡散光ファイバ110の拡散長に沿って拡散させるように構成される。
【0010】
本明細書で用いるように、「拡散長」は、光拡散光ファイバ110の第1の端部112(または、入射光を受光する任意の端部)から、導かれた光の90%が光拡散光ファイバ110から拡散した光拡散光ファイバ110の長さに沿った位置まで延伸する光拡散光ファイバ110の長さである。本明細書で用いるように、「光拡散」という用語は、光散乱が、光拡散光ファイバ110の長さの少なくとも一部に沿って、実質的に空間的に連続していること、つまり、離散(例えば、点状)散乱に関連したものなどの跳び、または、不連続部が実質的にないことを意味する。したがって、本開示に示すような実質的に連続した発光、または、実質的に連続した光散乱の概念を、空間的連続性と称する。
【0011】
更に、図1A~4Bを参照すると、光拡散光ファイバ110は、開口数NALDFを有し、光出射装置140は、光拡散光ファイバ110の開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有する。本明細書で用いるように、光出射装置140の有効開口数NAは、光出射装置140からの光出射を特徴付ける開口数である。例えば、光出射装置140の有効開口数NAは、光源142の開口数NAでありうる。更に、光出射装置140が、光源142と光拡散光ファイバ110の第1の端部112との間に配置された更なる光学要素を含む実施形態において、有効開口数NAは、これらの更なる光学要素によって変化されうる。
【0012】
理論に縛られることを意図しないが、光出射装置140の有効開口数NAが、光拡散光ファイバ110の開口数NALDFより小さい場合、次に、光拡散光ファイバ110に入射する光は、「平衡結合長」を通り抜けた後に、光拡散光ファイバ110のモード内容を満たすようになる。本明細書で用いるように、「平衡結合長」は、光拡散光ファイバのうち、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’から、光拡散光ファイバ110に沿って伝播する光が静的モード分布を有する拡散長に沿った位置まで延伸する部分である。この初期静的モード分布位置は、平衡結合長の最後の位置である。理論によって制限されることを意図しないが、静的モード分布の間、光拡散光ファイバ110に沿って伝播する光の全モードが、平衡状態である。更に、光拡散光ファイバ110のモード内容を完全に満たすには、ある程度の距離が必要なので(例えば、平衡結合長)、光拡散光ファイバ110の最初の部分での輝度(つまり、光拡散光ファイバ110によって提供された照明光)は、拡散を通したモード間の光の再分配により、ファイバ長が長くなっても、すぐには低下しない。
【0013】
理論によって制限されることを意図しないが、むしろ、光拡散光ファイバ110の拡散長に沿って伝播する導かれた光は、平衡結合長の最後でピーク強度に達する。平衡結合長の最後を越えると、光拡散光ファイバ110の拡散長に沿って伝播する光の強度は、光拡散光ファイバ110の外面128を通り抜ける光の拡散により、指数関数的に減衰する。光拡散光ファイバ110の拡散長に沿って伝播する導かれた光の量は減衰するが、光拡散光ファイバ110の外面128から拡散長に沿って拡散する光量は略一定で、均一な照明光を提供する。本明細書で用いるように、「均一な照明光」とは、光拡散光ファイバ110の長さに沿って、光拡散光ファイバ110から出射される光の強度が、特定の距離に亘って、25%より大きく変化しない照明光のことを称する。
【0014】
更に、平衡結合長を短くすることによって、光拡散光ファイバ110の第1の端部112により近くで、ピーク強度に達し、均一な照明光を出射する光拡散光ファイバ110の長さを最大にしうる。理論によって制限されることを意図しないが、光出射装置140の有効開口数NAが、光拡散光ファイバ110の開口数NALDFより小さい場合には、光出射装置140によって出射された光が端面116、116’を端面116、116’に直交しない入射角θで照らすように、光出射装置140と光拡散光ファイバ110の第1の端部112を互いに位置合わせすることによって、平衡結合長を短くしうる。いくつかの実施形態において、図1A~1Cに示すように、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’は、直角(例えば、垂直)端面116であり、更に、第1の端部112の垂直な端面116を、光源142によって発せられた光の経路を表す光伝播路111に対して、端面116、116’で、ある角度となるように配置することによって、入射角θが形成される。他の実施形態において、図2A~2Cに示すように、第1の端部112の端面116、116’は、角度のついた端面116’であり、光拡散光ファイバ110が、角度のついた端面116’で光伝播路111と平行な場合でさえ、入射角θは、形成されうる。
【0015】
入射角θは、光拡散光ファイバ110の開口数NALDFと光出射装置140の有効開口数NAとの相対的な関係に関係する。例えば、入射角θは、sin-1NALDF-sin-1NAの約10°以内、例えば、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、1°以内などでありうる。いくつかの実施形態において、入射角θは、sin-1NALDF-sin-1NAに略等しくてもよい。限定するものではない例として、入射角θは、約5°から約25°、例えば、約10°から約25°、10°から約20°、15°から約25°、5°から約15°、12°から約16°、5°から約25°などでありうる。1つの限定するものではない例として、光拡散光ファイバ110の開口数NALDFは、0.53を含み、光出射装置140の有効開口数NAは、0.25を含み、したがって、sin-1NALDF-sin-1NAは、約17.5°でありうる。本明細書に記載の光拡散光ファイバ110の例は、例えば、約0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.53などの約0.25から約0.55、例えば、約0.25から約0.53の開口数NALDFを含み、本明細書に記載の光出射装置140の例は、約0.12、0.15、0.2、0.25などの約0.1から約0.3、例えば、約0.12から約0.3の有効開口数NAを有しうる。
【0016】
ここで図3を参照すると、グラフ10は、光拡散光ファイバ110の長さに沿った位置で、光拡散光ファイバ110の外面128で拡散した光の強度をグラフで示しており、図3に示したゼロ「0」長さ位置は、第1の端部112の端面116、116’(または、その代わりに、光が入射する光拡散光ファイバ110の端部)である。図3の線14、線16は、光が端面116、116’を端面116、116’に略直交して照らす実施形態において、光拡散光ファイバ110の長さに沿った位置で、光拡散光ファイバ110の外面128で拡散した光の強度を、グラフで示している。例えば、線14は、光源142を含むが、介在する光学要素を含まない光出射装置140によって出射された光が、端面116、116’を、端面116、116’に直交する角度で照らした場合に、外面128で拡散した光の強度をグラフで示し、線16は、光源142および光伝送ファイバを含む光出射装置140によって出射された光が、端面116、116’を、端面116、116’に直交する角度で照らした場合に、外面128で拡散した光の強度をグラフで示している。更に、線12は、光出射装置140によって出射された光が端面116、116’を入射角θで照らした場合に、光拡散光ファイバ110の長さに沿った位置で、光拡散光ファイバ110の外面128で拡散した光の強度をグラフで示している。図3に示すように、線12は、線14、線16のいずれよりも、第1の端部112の端面116、116’に近い(例えば、よりゼロ長さ位置に近い)位置でピーク強度18に達しているので、端面116、116’を入射角θで照らすことによって、平衡結合距離は最小になる。
【0017】
動作において、光出射装置140の光源142によって発せられた光が、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’を、入射角θで照らした場合、平衡結合長は、拡散長の約15%以下の距離、例えば、拡散長の約10%以下、拡散長の約5%以下、拡散長の約3%以下などの距離、例えば、拡散長の約1%から約10%、拡散長の約2%から約5%など、拡散長の約0.5%から約15%などの距離を有しうる。更に、光出射装置140の光源142によって発せられた光が、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’を、入射角θで照らした場合、入射角θは、端面116、116’で、約3dB以下、例えば、約2dB以下、1.5dB以下、1dB以下、0.5dB以下、0.2dB以下、0.1dB以下などの結合損失を生じる。
【0018】
図1A~2Cを再び参照すると、光出射装置140の光源142によって発せられた光が、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’を照らして、光拡散光ファイバ110に入射しうるように、光出射装置140は、光拡散光ファイバ110の第1の端部112に光学的に結合されている。光源142は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオードなどを含みうる。例えば、光源142は、マルチモードレーザダイオード、シングルモードレーザダイオード、SiPレーザダイオード、VCSELレーザダイオード、または、他の種類の半導体レーザダイオードを含みうる。更に、光源142は、200nmから2000nmの波長範囲の光を生成するように構成されうる。
【0019】
光出射装置140は、図1A、2Aに示したように、光源142に光学的に結合されたレンズ144を、更に含みうる。この実施形態において、光拡散光ファイバ110は、レンズ144に光学的に結合され、レンズ144は、開口数NAを有する。レンズ144は、光源142と光拡散光ファイバ110の第1の端部112との間に配置されて光学的にそれらに結合されて、レンズ144が、光源142によって発せられた光を光拡散光ファイバ110の端面116、116’に合焦するようにしうる。更に、レンズ144が、光源142と光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’との間に配置され、それらに光学的に結合された場合は、光出射装置の有効開口数NAは、レンズ144の開口数NAである。
【0020】
光出射装置140は、図1B、2Bに示したように、光源142に光学的に結合された光伝送ファイバ146も含みうる。光伝送ファイバ146は、光ファイバカプラを用いて、または、光拡散光ファイバ110の第1の端部112を光伝送ファイバ146の隣接した端部に接合することによって、光拡散光ファイバ110に光学的に結合されうる。光伝送ファイバ146は、開口数NDELを有する。光伝送ファイバ146は、送信ファイバ、または、光増幅を行うファイバ(例えば、コア内に利得媒体を含むファイバ)を含みうる。光伝送ファイバ146は、その長さに沿って、低い光損失を生じ、光源142によって発せられた光が、光伝送ファイバ146を通り抜けて、光拡散光ファイバ110に十分な強度で入射して光拡散光ファイバ110を照らすように構成される。更に、光伝送ファイバ146は、光源142が、光拡散光ファイバ110から空間的に分離されて配置されるのを可能にする。いくつかの実施形態において、光伝送ファイバ146が、光源142と光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’との間に配置され、それらに光学的に結合され、更に、光伝送ファイバ146の開口数NDELが光源142の開口数NAより小さい場合には、光出射装置140の有効開口数NAは、光伝送ファイバ146の開口数NDELである。他の実施形態において、光伝送ファイバ146が、光源142と光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’との間に配置され、それらに光学的に結合された場合、光出射装置140の有効開口数NAは、光伝送ファイバ146の開口数NDEL、光源142の開口数NA、または、それらの間の開口数でありうる。
【0021】
いくつかの実施形態において、光源142と光拡散光ファイバの第1の端部の端面との間に介在する光学要素がなく、したがって、光出射装置の有効開口数NAは、光源の開口数NAである。図1A、1B、2A、2Bには、単一の光出射装置140を示しているが、他の実施形態において、照明システム100は、更なる光出射装置、例えば、光拡散光ファイバ110の第2の端部114に光学的に結合された第2の光出射装置を含みうる。更に、図1A~2Cにおいて、単一の光拡散光ファイバ110を示しているが、任意の数の光拡散光ファイバ110を企図していると理解すべきである。
【0022】
動作において、光源142によって発せられた光は、光拡散光ファイバ110によって、周囲の環境に散乱されるので、光源142は、光拡散光ファイバ110から離れた位置に配置されうる。したがって、光源142によって生成された熱は、光源を離れ、光源142および光拡散光ファイバ110の両方から離れた位置に伝達されうる。したがって、光拡散光ファイバ110の温度は、周囲の環境の温度と略同様なままで、照明ユニットは、熱的に「低温の」照明ユニットと記載しうる。更に、光拡散光ファイバ110と光源142が空間的に分離されることで、照明システム100に更なる設計柔軟性を与えうる。
【0023】
ここで、図4A、4Bを参照すると、コア120、コア120を囲むクラッディング122、外面128、および、複数のナノサイズ構造物125を含む光拡散光ファイバ110の実施形態の断面図を示している。コア120は、例えば、シリカ、ゲルマニウム添加シリカ、フッ素添加シリカなどのガラスコア、または、低屈折率ポリマーなどのポリマーコアでありうる。クラッディング122は、例えば、純シリカ、F添加シリカ、または、F(フッ素)/B(ホウ素)共添加シリカなどのガラスクラッディング、または、ポリマークラッディングでありうる。いくつかの実施形態において、コア120、クラッディング122、または、それらの両方が、アップドーパントまたはダウンドーパントを含みうる。本明細書で用いるように、「アップドーパント」とは、添加されていない純シリカと比べて屈折率を上昇させる傾向を有するドーパントであり、「ダウンドーパント」とは、添加されていない純シリカと比べて屈折率を低下させる傾向を有するドーパントである。更に、光拡散光ファイバ110は、例えば、約100m、75m、50m、40m、30m、20m、10m、9m、8m、7m、6m、5m、4m、3m、2m、1m、0.75m、0.5m、0.25m、0.15m、または、0.1mなど、約0.15mから約100mの長さ(例えば、第1の端部112と第2の端部114の間の長さ)を有しうる。
【0024】
更に、図4A、4Bを参照すると、ナノサイズ構造物125は、気体が充填された空隙部、セラミック材料などの散乱粒子、および、ドーパントなどの散乱構造物を含む。ナノサイズ構造物125は、(図4A、4Bに示すように)コア120全体に現れるか、または、コア120とクラッディング122の界面(例えば、コア‐クラッディング境界部)近くに現れるか、または、コア120内の環状リング内に現れうる。ランダムに配列されたランダムな大きさの(「ランダムな空気線」または「ナノ構造物」または「ナノサイズ構造物」とも称される)空隙部を有する光拡散光ファイバのいくつかの例が、米国特許第7,450,806号明細書、並びに、米国特許出願第12/950,045号、第13/097,208号、および、第13/269,055号の各明細書に記載されており、それらは、参照により、全体として本明細書に組み込まれる。その代わりに、光拡散光ファイバ110は、「粗くした」コア120を有しうるもので、その場合には、コア‐クラッディング境界部でのコア120の表面の不規則性が、光を散乱させる。他の種類の光拡散光ファイバも利用しうる。動作において、光拡散光ファイバ110は、照明光の波長(例えば、発せられた放射光の波長)において、例えば、約100dB/kmから約60000dB/kmなど約50dB/km以上の減衰を散乱により生じうる(つまり、コア内の散乱粒子の吸収によるものではなく、光拡散光ファイバ110の外面128を通って失われた光による減衰)。
【0025】
ナノサイズ構造物125が、気体が充填された空隙部を含む実施形態において、気体が充填された空隙部は、ランダムに、または、規則的パターンで配列されて、更に、光拡散光ファイバ110の長さに平行に延びるか、または、らせん状で(つまり、光拡散光ファイバ110の長軸に沿って回転する形態で)あってもよい。更に、光拡散光ファイバ110は、ファイバの断面において、例えば、50より多い、100より多い、または、200より多い空隙部など、気体が充填された多数の空隙部を含みうる。気体が充填された空隙部は、例えば、SO、Kr、Ar、CO、N、O、または、それらの混合物を含みうる。しかしながら、任意の気体が存在するかどうかに関わらず、複数のナノサイズ構造物125を含むコア120、クラッディング122、または、コア-クラッディング境界部の領域の平均屈折率は、空隙部があることで低下する。更に、空隙部などの複数のナノサイズ構造物125は、コア120、クラッディング122、または、コア-クラッディング境界部に、ランダムに、または、非周期的に配置されうるが、他の実施形態において、空隙部は、周期的に配置されうる。
【0026】
気体が充填された空隙部などの空隙部(または、他の散乱粒子)の断面の大きさ(例えば、直径)は、約10nmから約10μmで、長さは、約1μmから約50mまで様々でありうる。いくつかの実施形態において、空隙部(または、他の散乱粒子)の断面の大きさは、約10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、120nm、140nm、160nm、180nm、200nm、250nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、または、10μmである。いくつかの実施形態において、空隙部の長さは、約1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1000μm、5mm、10mm、50mm、100mm、500mm、1m、5m、10m、20m、または、50mである。
【0027】
更に、図4A、4Bを参照すると、光拡散光ファイバ110は、被膜部、被覆部などの1つ以上の追加の層を、更に含みうる。例えば、図4A、4Bに示したように、光拡散光ファイバ110は、第1の被膜層130および散乱層132を含みうる。第1の被膜層130は、機械的な取り扱いを容易にするために、コア120およびクラッディング122を囲むポリマー膜などの実質的に清澄な層を含みうる。更に、散乱層132は、コア120、クラッディング122、更に、いくつかの実施形態では、第1の被膜層130を囲むように配置されうる。散乱層132は、基材(例えば、ポリマー)、および、基材内に配置された散乱材料を含みうる。動作において、散乱層132は、広い角度範囲(例えば、40°から120°、30°から130°、または、15°から150°)に亘る角度で、均一な散乱を容易にしうる。例えば、光拡散光ファイバ110は、散乱により、略均一な照明光を提供するように構成され、したがって、40度と120度の間の全視野角について、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度の差は、最大散乱照明強度の50%未満となる。
【0028】
いくつかの実施形態において、散乱材料は、散乱層132内に副層を含みうる。例えば、いくつかの実施形態において、副層は、約1μmから約5μmの厚さを有しうる。他の実施形態において、粒子副層の厚さ、および/または、散乱層132内の散乱材料(例えば、散乱粒子)の濃度を、光拡散光ファイバ110の軸長に沿って変化させて、光拡散光ファイバ110から散乱した光の強度変化を、大きい角度(つまり、約15度より大きい角度)で、より均一にしうる。例えば、40度から120度の間の全視野角についての角度照明光は、最大照明光の50%以内であり、いくつかの実施形態においては、30%以内である。いくつかの実施形態において、40度から120度の全視野角についての角度照明光は、最大照明光の30%以内であり、いくつかの実施形態においては、25%以内である。
【0029】
いくつかの実施形態において、散乱層132内の散乱材料は、散乱層132の基材(例えば、ベースポリマー)から0.05より大きい屈折率の差を有する任意の散乱材料でありうる(例えば、基材と散乱材料の屈折率の差は0.05より大きい)。いくつかの実施形態において、基材と散乱材料の屈折率の差は、少なくとも0.1である。つまり、散乱材料の屈折率は、少なくとも0.1、散乱層132の基材(例えば、ポリマー、または、他の母材)の屈折率より高くてもよい。散乱材料は、固体粒子(例えば、有機または無機固体粒子)、液滴、気泡でありうる。固体有機粒子の例は、顔料、ポリマー、または、基材中に粉末として組み込みうる任意の有機材料を含む。更に、散乱粒子は、その場で、結晶化および/または相分離を介して、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン、シンジオタクチックポリスチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリケトン、および、凝固中にウレタン官能基が配向され結晶化するポリウレタンから生成されうる。例えば、散乱層132になる材料が硬化または凝集する間に、光散乱部位として機能する結晶が形成されうる。更に、散乱層132が硬化および/または凝集される時に、散乱層の材料(例えば、基材および散乱材料)は、不混和性により相分離を生じ、光を散乱させる小滴または粒子を形成し、したがって、散乱部位を形成しうる。これらの例は、限定するものではないが、スチレン‐ブタジエン‐スチレン ブロック コポリマー、ポリスチレン中のポリメタクリル酸メチル、および、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレンである。
【0030】
散乱材料が無機材料の場合には、散乱粒子は、例えば、顔料、酸化物、または、無機充填材でありうる。有機散乱粒子と無機散乱粒子の両方は、固体を砕いて生成されるか、または、(例えば、乳化重合またはゾルゲルから)最初から小さい粒子を含みうる。いくつかの実施形態において、固体散乱粒子は、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン、酸化セリウム、酸化スズ、および、酸化アンチモンなどの無機酸化物である。粉ガラス、セラミック、または、ガラス-セラミックも、散乱粒子として用いうる。粉末ケイ酸塩、若しくは、石英、タルク、ムライト、菫青石、粘土、かすみ石閃長岩、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、硫酸バリウム、ケイ灰石、雲母、長石、葉蝋石、珪藻岩、真珠岩、および、クリストバル石などの無機充填材も、散乱層132で散乱粒子として用いて、均一な角度照明強度の拡散光を提供しうる。
【0031】
散乱材料が散乱粒子を含む実施形態において、散乱層132内の散乱粒子の断面の大きさは、0.1λから10λを含みうるもので、但し、λは、光拡散光ファイバ110を通って伝播する光の波長である。いくつかの実施形態において、散乱粒子の断面の大きさは、0.2λより大きく、かつ、5λより小さく、例えば、0.5λと2λの間である。散乱粒子の量は、約0.005質量%から約70質量%の間で変化させうるもので、例えば、0.01質量%から60質量%、0.02質量%から50質量%などでありうる。概して、散乱層132が薄いほど、より多量の散乱粒子が散乱層132内に存在すべきである。
【0032】
ここで、図4Bを参照すると、散乱せずに導かれた光が、光拡散光ファイバ110に沿って、光出射装置140から、矢印10の示す方向に伝播する。散乱した光は、光拡散光ファイバ110から、矢印12の示す方向に散乱角θで出射するのが示されおり、散乱角θは、光拡散光ファイバ110に沿って伝播する導かれた光の伝播方向10と、散乱光が光拡散光ファイバ110から出射する時の散乱光の方向12との角度差である。いくつかの実施形態において、散乱角θが、15°と150°の間、または、30°と130°の間の時のスペクトルの強度は、ピーク波長で測定したものと比べて、±50%以内、±30%以内、±25%以内、±20%以内、±15%以内、±10%以内、または、±5%以内である。いくつかの実施形態において、散乱角θが、30°から130°以内、または、40°から120°以内の全角度の場合のスペクトルの強度は、ピーク波長で測定したものと比べて、少なくとも±50%以内、例えば、±30%以内、±25%以内、±20%以内、±15%以内、±10%以内、または、±5%以内である。したがって、光拡散光ファイバ110は、散乱により、均一な照明光を提供するように構成され、したがって、少なくとも40度と110度の間の全視野角、例えば、40度と120度の間の全視野角について、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度の差が、最大散乱照明強度の50%未満となる。いくつかの実施形態によれば、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度の差は、最大散乱照明強度の30%より大きくない。
【0033】
更に、図4A、4Bを参照すると、光拡散光ファイバ110は、550nmの波長において、散乱により生じた約0.2dB/mの減衰損失を有しうる。例えば、いくつかの実施形態において、散乱により生じた減衰損失(空気線などのナノサイズ構造物125により生じた減衰損失)は、550nmで、約0.5dB/m、0.6dB/m、0.7dB/m、0.8dB/m、0.9dB/m、1dB/m、1.2dB/m、1.4dB/m、1.6dB/m、1.8dB/m、2.0dB/m、2.5dB/m、3.0dB/m、3.5dB/m、4dB/m、5dB/m、6dB/m、7dB/m、8dB/m、9dB/m、10dB/m、20dB/m、30dB/m、40dB/m、または、50dB/mより大きいことがありうる。いくつかの実施形態において、光拡散光ファイバ110の平均散乱損失は、50dB/kmより大きく、散乱損失は、光拡散光ファイバ110の任意の所定ファイバ部分に亘って、20%より大きく変化しない(つまり、散乱損失は、平均散乱損失の±20%以内、例えば、±15%以内、または、±10%以内である)。いくつかの実施形態において、光拡散光ファイバ110の平均散乱損失は、50dB/kmより大きく、散乱損失は、約0.2mから約50m、例えば、0.5m、1m、2m、5m、10m、15m、20m、25m、30m、35m、40m、45mなどの光拡散光ファイバ110の任意の所定ファイバ部分に亘って、20%より大きく変化しない(つまり、散乱損失は、平均散乱損失の±20%以内、例えば、±15%以内、または、±10%以内である)。
【0034】
図1A~4Bを再び参照すると、光拡散光ファイバ110内に形成される平衡結合長の調整方法は、光出射装置140の光源142によって発せられた光を、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’に、端面116、116’に直交しない第1の入射角θi1で向ける工程を含む。例えば、第1の入射角θi1は、sin-1NALDF-sin-1NAから約10°以内、例えば、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、1°以内などでありうる。更に、第1の入射角θi1は、約5°から約25°、例えば、約10°から約25°、10°から約20°、15°から約25°、5°から約15°、12°から約16°、5°から約25°などでありうる。
【0035】
方法は、次に、光出射装置140と光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’との相対的な角度位置を変化させて、光出射装置140の光源142によって発せられた光を光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’に第2の入射角θi2で向ける工程を含む。第2の入射角θi2は、第1の入射角θi1と異なるが、これも、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’には、直交しない。更に、第2の入射角θi2は、sin-1NALDF-sin-1NAから約10°以内、例えば、9°、8°、7°、6°、5°、4°、3°、2°、1°以内などでありうる。更に、第2の入射角θi2は、約5°から約25°、例えば、約10°から約25°、10°から約20°、15°から約25°、5°から約15°、12°から約16°、5°から約25°などでありうる。光出射装置140と光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’との相対的な角度位置を変化させる工程は、光出射装置140の1つ以上の光学要素の位置を変える(例えば、移動する)工程、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の位置を変える(例えば、移動する)工程、または、それらの組合せを含みうる。
【0036】
更に、図1A~4Bを参照すると、光出射装置140の光源142によって発せられた光を、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’に第1の入射角θi1で向ける場合、平衡結合長は第1の平衡結合長を含み、光出射装置140の光源142によって発せられた光を、光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’に第2の入射角θi2で向ける場合、平衡結合長は、第1の平衡結合長より短い第2の平衡結合長を含む。例えば、光出射装置14と光拡散光ファイバ110の第1の端部112の端面116、116’との相対的な角度位置を変化させることで、平衡結合長を短くしうる。更に、いくつかの実施形態において、第2の入射角θi2は、sin-1NALDF-sin-1NAに、第1の入射角θi1より近い角度を有しうる。
【0037】
本発明の技術を記載、画定するために、本明細書において、変数は、パラメータまたは他の変数の「関数」であると記載しても、排他的に、その変数が、列挙したパラメータまたは変数の関数であると示すことを意図していない。そうではなく、本明細書において、列挙したパラメータの「関数」である変数を記載した場合には、開放的なことを意図し、したがって、変数は、単一のパラメータまたは複数のパラメータの関数でありうる。
【0038】
本明細書において、「少なくとも1つの」構成要素、要素などと記載した場合に、その代わりに原文の英語で不定冠詞を用いても、それが、単一の構成要素、要素などに限定されるという解釈に用いられるべきではない。
【0039】
本明細書において、本開示の構成要素を特定の態様で「構成して」、特定の物性または機能を特定の態様で実現したと記載した場合には、その記載は、意図した使用法の記載ではなく、構造的記載である。より具体的には、本明細書において、構成要素が「構成される」態様を記載したが、それは、構成要素の存在する物理的状態を表したものであり、したがって、構成要素の構造的特徴を明確に記載したものであると捉えられるべきである。
【0040】
本発明の技術を記載、画定するために、本明細書において、「略」および「約」という用語を用いて、任意の量的比較、値、測定値、または、他の表現に起因する内在する程度の不確かさを表している。本明細書で、「略」および「約」という用語を、本件の主題の基本的機能を変えることなく、量的表現の記載から変動しうる程度を表すにも用いている。
【0041】
本開示の主題を、詳細に、具体的な実施形態を参照して記載したが、本明細書に開示の様々な詳細事項は、特定の要素が添付の各図面に示された場合でも、本明細書に記載の様々な実施形態に不可欠な構成要素に関するものであることを意味すると捉えられるべきではない。更に、限定するものではないが、添付の請求項で画定された実施形態を含む本開示の範囲を逸脱することなく、変更および変形が可能なことが明らかだろう。より具体的には、本明細書において、本開示のいくつかの態様を、好ましい、または、特に有利であると特定したが、本開示は、これらの態様に限定されないことを企図している。
【0042】
以下の1つ以上の請求項は、「であり」などの用語を、移行句として用いている。本発明の技術を画定するために、この用語は、請求項において、開放的移行句として、構造の一連の特徴事項を記載するのに用いており、より一般的に開放的前提部で用いられる「含む」という用語と同様に解釈されるべきである。
【0043】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0044】
実施形態1
照明システムにおいて、
光拡散光ファイバと、
光源を有する光出射装置と
を含み、
前記光拡散光ファイバは、第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部、コア、前記コアを囲むクラッディング、外面、並びに、該コア、前記クラッディング、または、該コアおよび該クラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含むものであり、
前記複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を前記光拡散光ファイバの前記外面に向けて散乱させて、前記導かれた光の一部を、該外面を通して、該光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものであり、
前記光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有し、
前記光出射装置は、前記光拡散光ファイバの前記開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有し、
前記光出射装置は、該光出射装置の前記光源によって発せられた光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の端面を、前記端面に直交せず、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内の入射角θで照らすように、該端面に光学的に結合されたものであるシステム。
【0045】
実施形態2
前記入射角θは、sin-1NALDF-sin-1NAに略等しいものである、実施形態1に記載の照明システム。
【0046】
実施形態3
前記入射角θは、約5°から約30°である、実施形態1に記載の照明システム。
【0047】
実施形態4
前記入射角θは、約15°から約25°である、実施形態1に記載の照明システム。
【0048】
実施形態5
前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面は、角度のついた端面である、実施形態1に記載の照明システム。
【0049】
実施形態6
前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面は、直角な端面である、実施形態1に記載の照明システム。
【0050】
実施形態7
前記光出射装置は、前記光源と前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面との間に配置されて光学的にそれらに結合されたレンズを、更に含むものである、実施形態1に記載の照明システム。
【0051】
実施形態8
前記光出射装置は、前記光源と前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面との間に配置されて光学的にそれらに結合された光伝送ファイバを、更に含むものである、実施形態1に記載の照明システム。
【0052】
実施形態9
前記光出射装置の前記光源によって発せられ光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面を、入射角θで照らした場合、前記入射角θは、該端面で、約1.5dB以下の結合損失を生じるものある、実施形態1に記載の照明システム。
【0053】
実施形態10
前記光出射装置の前記光源によって発せられ光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面を、入射角θで照らした場合、前記入射角θは、該端面で、約1dB以下の結合損失を生じるものある、実施形態1に記載の照明システム。
【0054】
実施形態11
前記光拡散光ファイバの前記拡散長は、該光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面から、該拡散長の約2%から約5%の距離で延伸する平衡結合長を含むものである、実施形態1に記載の照明システム。
【0055】
実施形態12
前記複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を前記光拡散光ファイバの前記外面に向けて散乱させて、前記導かれた光の一部を、該外面を通して、該光拡散光ファイバの前記拡散長に沿って拡散させて、散乱により生じた約50dB/km以上の減衰を生じるように構成されたものである、実施形態1に記載の照明システム。
【0056】
実施形態13
前記光拡散光ファイバは、前記コアおよび前記クラッディングを囲む散乱層を含み、
前記散乱層は、散乱材料を含み、更に、40と120度の間の全視野角について、最小散乱照明強度と最大散乱照明強度との差が、前記最大散乱照明強度の50%未満となるように構成されたものである、実施形態1に記載の照明システム。
【0057】
実施形態14
前記複数のナノサイズ構造物は、気体が充填された空隙部を含むものである、実施形態1に記載の照明システム。
【0058】
実施形態15
方法において、
光出射装置の光源によって発せられ光を、光拡散光ファイバの第1の端部の端面に、第1の入射角θi1で向ける工程であって、
前記光拡散光ファイバは、前記第1の端部、該第1の端部の反対側の第2の端部、コア、前記コアを囲むクラッディング、外面、並びに、該コア、前記クラッディング、または、該コアおよび該クラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含むものであり、
前記複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を前記光拡散光ファイバの前記外面に向けて散乱させて、前記導かれた光の一部を、該外面を通して、該光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものであり、
前記光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有し、
前記光出射装置は、前記光拡散光ファイバの前記開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有し、
前記第1の入射角θi1は、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面に直交せず、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内である工程と、
前記光出射装置と前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面との相対的な角度位置を、該光出射装置の前記光源によって発せられた光が、該光拡散光ファイバの該第1の端部の該端面に、該端面に直交せず、sin-1NALDF-sin-1NAから約5°以内である第2の入射角θi2で向けられるように、変化させる工程と、
を含む方法。
【0059】
実施形態16
前記光拡散光ファイバの前記拡散長は、該光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面から延伸する平衡結合長を含むものであり、
前記光出射装置の前記光源によって発せられ光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面に、前記第1の入射角θi1で向けられた場合、前記平衡結合長は、第1の平衡結合長を含むものであり、
前記光出射装置の前記光源によって発せられ光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面に、前記第2の入射角θi2で向けられた場合、前記平衡結合長は、前記第1の平衡結合長より短い第2の平衡結合長を含むものである、実施形態15に記載の方法。
【0060】
実施形態17
前記第2の入射角θi2は、約15°から約25°である、実施形態15に記載の方法。
【0061】
実施形態18
照明システムにおいて、
光拡散光ファイバと、
光源を有する光出射装置と
を含み、
前記光拡散光ファイバは、第1の端部、前記第1の端部の反対側の第2の端部、コア、前記コアを囲むクラッディング、外面、並びに、該コア、前記クラッディング、または、該コアおよび該クラッディングの両方の中に位置する複数のナノサイズ構造物を含むものであり、
前記複数のナノサイズ構造物は、導かれた光を前記光拡散光ファイバの前記外面に向けて散乱させて、前記導かれた光の一部を、該外面を通して、該光拡散光ファイバの拡散長に沿って拡散させるように構成されたものであり、
前記光拡散光ファイバは、開口数NALDFを有し、
前記光出射装置は、前記光拡散光ファイバの前記開口数NALDFより小さい有効開口数NAを有し、
前記光出射装置は、該光出射装置の前記光源によって発せられた光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の端面を、前記端面に直交しな入射角θで照らすように、該端面に光学的に結合されたものであり、
前記光拡散光ファイバの前記拡散長は、該光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面から、該拡散長の約5%の距離で延伸する平衡結合長を含むものであるシステム。
【0062】
実施形態19
前記入射角θは、約15°から約25°である、実施形態18に記載の照明システム。
【0063】
実施形態20
前記光出射装置の前記光源によって発せられた光が、前記光拡散光ファイバの前記第1の端部の前記端面を、前記入射角θで照らした場合、該入射角θは、該端面で、約1.5dB以下の結合損失を生じるものである、実施形態18に記載の照明システム。
【符号の説明】
【0064】
100 照明システム
110 光拡散光ファイバ
112 第1の端部
116 端面
120 コア
122 クラッディング
125 ナノサイズ構造物
128 外面
130 第1の被膜層
132 散乱層
140 光出射装置
142 光源
144 レンズ
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B