(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】磁気トリガーロック機構
(51)【国際特許分類】
E05B 47/00 20060101AFI20220525BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20220525BHJP
E05C 1/16 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
E05B47/00 A
E05B65/06 C
E05C1/16 A
(21)【出願番号】P 2019566270
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(86)【国際出願番号】 US2018035651
(87)【国際公開番号】W WO2018223027
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-03-05
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515235827
【氏名又は名称】インターロック ユーエスエー、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100213746
【氏名又は名称】川成 渉
(72)【発明者】
【氏名】ミンター、ピーター ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スタドラ―、ダグラス
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-299750(JP,A)
【文献】特開平11-101044(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第2713267(FR,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3101205(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
E05C 1/08
E05C 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸長位置と後退位置の間で変位自在
で、通常伸長位置に向かって付勢されるボルトであって、ボルトは第一の部品に取り付けられ、第一の部品と第二の部品が相互に対して所定の位置にあり、ボルトが伸長されると第二の部品と相互係脱自在となるボルトと、
ボルトを後退位置で掛止めるように配置される磁気的に開閉自在なラッチ機構であって、
直線的に移動自在なトリガーハウジング内に配置される第一の磁石を含み、ボルトの動きに対して非通常の方向のバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間において移動するように取り付けられる
ラッチ部分を有するラッチ機構と、
第一の部品が第二の部品との関係で所定位置にあるときに、ラッチ機構をラッチ解除位置に変位するように配置される第二の磁石とを含
み、
第一の磁石と第二の磁石との磁気伝達の結果としてボルトの長手方向軸に対して平行な軸に沿ってトリガーハウジングが移動すると、ボルトを伸長位置に変位させるためにラッチ部分が付勢されたラッチ係合位置からラッチ解除位置に移動する、 二つの比較的移動自在な部品を相互係合するための磁気トリガ
ーロック機構
【請求項2】
第一の部品が第二の部品との関係で所定位置にあるときに、第一の磁石と第二の磁石が磁気の反発によりラッチ機構をラッチ解除位置に変位させるように配置される、請求項1に記載のロック機構
【請求項3】
磁気的に開閉自在なラッチ機構はトリガ
ーハウジングと連通するロックシャトルを含み
、ロックシャトルはバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間をラッチ機構が移動するときに、トリガ
ーハウジングの移動に対して垂直方向に移動するように適合される、請求項1に記載のロック機構
【請求項4】
トリガ
ーハウジングはロックシャトルの傾斜面と嵌合するための少なくとも一つの傾斜面を含み、第一の部品が第二の部品との関係で所定の位置にあり、第一の磁石と第二の磁石がラッチ機構をラッチ解除位置に変位させるように配置されると、トリガ
ーハウジングおよびロックシャトルの前記嵌合傾斜面はトリガ
ーハウジングの垂直移動をロックシャトルの水平移動に変換する、請求項3に記載のロック機構
【請求項5】
ロックシャトルは突起を備え、ボルトはラッチ機構がバイアスラッチ係合位置にあるときロックシャトルの突起を受容するための開口部を備える、請求項3に記載のロック機構。
【請求項6】
第一部品がドアまたは窓パネルであり、第二部品が前記ドアまたは窓パネルに関連したフレ
ームである、請求項1に記載のロック機構。
【請求項7】
第二の磁石が前記フレ
ームの凹部内に少なくとも部分的に配置される、請求項6に記載のロック機構。
【請求項8】
ボルトと係合するボルトキャリア内に配置されるスプリングによってボルトが通常伸長位置に向かって付勢される、請求項1に記載のロック機構。
【請求項9】
外ハウジングがその内表面に溝を備え、ボルトが伸長位置および後退位置の間を移動すると、前記ボルトが溝内において垂直方向に移動することを更に含む、請求項1に記載のロック機構。
【請求項10】
関連したフレ
ームに対して移動自在なドアまたは窓パネルと、
伸長位置と後退位置の間で変位自在
で、通常伸長位置に向かって付勢されるボルトであって、ボルトはドアまたは窓パネルに取り付けられ、ドアまたは窓パネルとフレ
ームとが相互に対して所定の位置にあり、ボルトが伸長されるとフレ
ームと相互係脱自在となるボルトと、ボルトを後退位置で掛止めるように配置される磁気的に開閉自在なラッチ機構であって、
直線的に移動自在なトリガーハウジング内に配置される第一の磁石を含み、ボルトの動きに対して非通常の方向のバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間において移動するように取り付けられる
ラッチ部分を有するラッチ機構と、ドアまたは窓パネルがフレ
ームに対して所定位置にあるときラッチ機構をラッチ解除機構に変位するよう配置される第二の磁石とを含む、前記ドアまたは窓パネルを相互係脱するための磁気トリガ
ーロック機構
とを含み、
第一の磁石と第二の磁石との磁気伝達の結果としてボルトの長手方向軸に対して平行な軸に沿ってトリガーハウジングが移動すると、ボルトを伸長位置に変位させるためにラッチ部分が付勢されたラッチ係合位置からラッチ解除位置に移動する、
ドアまたは窓アセンブリ。
【請求項11】
ドアまたは窓パネルがフレ
ームとの関係で所定位置にあるときに、第一の磁石と第二の磁石が磁気の反発によりラッチ機構をラッチ解除位置に変位させるように配置される、請求項10に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項12】
磁気的に開閉自在なラッチ機構はトリガ
ーハウジングと連通するロックシャトルを含み
、ロックシャトルはバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間をラッチ機構が移動するときに、トリガ
ーハウジングの移動に対して垂直方向に移動するように適合される、請求項10に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項13】
トリガ
ーハウジングはロックシャトルの傾斜面と嵌合するための少なくとも一つの傾斜面を含み、ドアまたは窓パネルがフレ
ームとの関係で所定の位置にあり、第一の磁石と第二の磁石がラッチ機構をラッチ解除位置に変位させるように配置されると、トリガ
ーハウジングおよびロックシャトルの前記嵌合傾斜面はトリガ
ーハウジングの垂直移動をロックシャトルの水平移動に変換する、請求項12に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項14】
ロックシャトルは突起を備え、ボルトはラッチ機構がバイアスラッチ係合位置にあるときロックシャトルの突起を受容するための開口部を備える、請求項10に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項15】
第二の磁石が前記フレ
ームの凹部内に少なくとも部分的に配置される、請求項10に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項16】
ボルトが伸長位置にあるとき、ボルトがフレ
ームにあるストライクの開口部に受容される請求項10に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項17】
ボルトと係合するボルトキャリア内に配置されるスプリングによってボルトが通常伸長位置に向かって付勢される、請求項10に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項18】
外ハウジングがその内表面に溝を備え、ボルトが伸長位置および後退位置の間を移動すると、前記ボルトが溝内において垂直方向に移動することを更に含む、請求項10に記載のドアまたは窓アセンブリ。
【請求項19】
伸長位置と後退位置の間で変位自在
で、通常伸長位置に向かって付勢されるボルトであって、ボルトは第一の部品に取り付けられ、第一の部品と第二の部品が相互に対して所定の位置にあり、ボルトが伸長されると第二の部品と相互係脱自在となるボルトを提供する工程と、
ボルトを後退位置で掛止めるように配置される磁気的に開閉自在なラッチ機構であって、
直線的に移動自在なトリガーハウジング内に配置される第一の磁石を含み、
トリガーハウジングが移動するとボルトの動きに対して非通常の方向のバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間において移動するように取り付けられる
ラッチ部分を有するラッチ機構を提供する工程と、
第一の部品が第二の部品との関係で所定位置にあるときに、ラッチ機構をラッチ解除位置に変位するように配置される第二の磁石を提供する工程と、
第一の部品と第二の部品を相互に対して所定の位置に配置する工程と、
トリガーハウジングの移動を通して第一の磁石と第二の磁石の間の磁力的な相互作用により、ラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程と、
第二の部品と相互係合させるためにボルトを伸長位置に変位させる工程とを含む、
エンクロ
ージャ内部へのアクセスを防止するための、二つの比較的移動自在な部品を相互係合する方法
【請求項20】
第一の磁石と第二の磁石の間の磁気的相互作用は磁気反発を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
磁気的に開閉自在なラッチ機構はトリガ
ーハウジングと連通するロックシャトルを含み
、第一の磁石と第二の磁石の間の磁気の相互作用によりラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程であって、
バイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間をラッチ機構が移動するときに、ロックシャトルをトリガ
ーハウジングの移動に対して垂直方向に移動させる工程
とを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ロックシャトルは突起を備え、ボルトはラッチ機構がバイアスラッチ係合位置にあるときロックシャトルの突起を受容するための開口部を備え、第一の磁石と第二の磁石の間の磁気の相互作用によりラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程であって、
ボルトを伸長位置に変位させるため、ボルトの開口部からロックシャトルの突起を後退する工程
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
トリガ
ーハウジングはロックシャトルの傾斜面と嵌合するための少なくとも一つの傾斜面を含み、第一の磁石と第二の磁石の間の磁気の相互作用によりラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程であって、
ラッチ機構がラッチ解除位置に移動すると、トリガ
ーハウジングの垂直方向の動きをトリガ
ーハウジングとロックシャトルの嵌合傾斜面を介してロックシャトルの水平方向に変換する工程
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
第一の部品がドアまたは窓パネルであり、第二の部品がドアまたは窓パネルに関連したフレ
ームである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、米国仮特許出願の優先権を主張する。2017年6月1日に出願された米国特許出願第62/513,680号の全開示内容は参照により本書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、二つの相対的に移動自在な部品を係合するためのトリガ―式ボルトアセンブリに関する。より具体的には、本発明はエンクロージャ内部にアクセスすることを防止するため、窓またはドアとストライクまたはフレームを係合するための磁気トリガ―式ボルトアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
ボルトアセンブリはエンクロージャや構造物の内部にアクセスすることを防止するためのよく知られた手段である。既知のボルトアセンブリは二つの部品を含み、一つはドアや窓枠といった、エンクロージャである一つの部品に接続され、もう一方はドアといった他の部品に接続される。第一の部品は、通常、係合位置と非係合位置の間で変位自在なボルトを含み、第二の部品には、二つの部品が相互に対して適当な位置にあり、ボルトが係合位置に移動すると、前記ボルトが延伸して収まるソケットを備える。ボルトの位置は、所定の安全な状態を除いてエンクロージャが開くことを防止するために、鍵操作またはインターロック回路を作動させて、手動で制御される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、既知のボルトアセンブリは欠点を有している。例えば、鍵付きボルトアセンブリにおいて、ボルトアセンブリの2つの部品はボルトによって相互作用されるものと推測されるが、実際には上記2つの部品は相互作用されてない状況で、鍵が作動されてボルトを伸長しているにもかかわらず、安全でない状態が発生する可能性がある。2つの部品を有するボルトアセンブリにおいて、ボルトが伸長されたとしても上記アセンブリの他の部品に係合していない可能性があるため、ボルトを単に伸長することでは十分ではない。
【0005】
それゆえ、2つの部品が相互に対して適切な位置にあるまで作動および伸長することがない改良したボルトアセンブリが必要とされる。
【0006】
従来技術の問題と欠陥を念頭において、本発明の目的はエンクロージャ内部へのアクセスを防止するための改良したトリガ―式ボルトアセンブリを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、上記2つの部品が相互に対して適切な位置になった後にのみボルトが伸びることを保障する改良したボルトアセンブリを提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、上記2つの部品が相互に対して適切な位置になった後にのみボルトが伸びることを保障する磁気トリガ―式アセンブリを提供することである。
【0009】
さらなる本発明の目的と利点は明細書の記載から部分的に理解され、部分的に明らかであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当業者にとって明らかであるように、上記および他の目的は2つの相対的に移動自在な部品を相互係脱するための磁気トリガ―ロック機構に関する本発明において達成される。上記ロック機構は、伸長位置と後退位置の間で変位自在なボルトであって、ボルトは第一の部品に組み込まれ、第一の部品と第二の部品が相互に対して所定の位置にあり、ボルトが伸長されると第二の部品と相互係合自在となるボルトを備え、ボルトを格納位置で掛止めるように配置される磁気的に開閉自在なラッチ機構であって、第一の磁石を含み、ボルトの動きに対して非通常の方向のバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間において移動するように取り付けられるラッチ機構を備える。上記ロック機構は、第一の部品が第二の部品との関係で所定位置にあるときに、ラッチ機構をラッチ解除位置に変位するように配置される第二の磁石をさらに備える。第一の部品が第二の部品との関係で所定位置にあるときに、第一の磁石と第二の磁石が磁気の反発によりラッチ機構をラッチ解除位置に変位させるように配置されてもよい。
【0011】
磁気的に開閉自在なラッチ機構はトリガ―ハウジングと連通するロックシャトルを備えていてもよく、第一の磁石はトリガ―ハウジング内に配置されていてもよい。ロックシャトルはバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間をラッチ機構が移動するときに、トリガ―ハウジングの移動に対して垂直方向に移動するように適合される。トリガ―ハウジングはロックシャトルの傾斜面と嵌合するための少なくとも一つの傾斜面を備えていてもよく、第一の部品が第二の部品との関係で所定の位置にあり、第一の磁石と第二の磁石がラッチ機構をラッチ解除位置に変位させるように配置されると、トリガ―ハウジングおよびロックシャトルの前記嵌合傾斜面はトリガ―ハウジングの垂直移動をロックシャトルの水平移動に変換する。ロックシャトルは突起を更に備えていてもよく、ボルトはラッチ機構がバイアスラッチ係脱位置にあるときロックシャトルの突起を受容するための開口部を更に備えていてもよい。
【0012】
一つの実施形態として、第一部品がドアまたは窓パネルであってもよく、第二部品が前記ドアまたは窓パネルに関連したフレームであってもよく、第二の磁石が前記フレームの凹部内に少なくとも部分的に配置されてもよい。
【0013】
ボルトが通常、伸長位置に向かって付勢されてもよく、上記ロック機構がその内表面に溝を備える外ハウジング更に備えていてもよく、ボルトが伸長位置および後退位置の間を移動するとき、前記ボルトが溝内において垂直方向に移動する。
【0014】
他の側面として、本発明は関連するフレームに対して移動自在なドアまたは窓パネルおよび上記パネルと上記フレームを相互係脱するための磁気トリガ―ロック機構を備えるドアまたは窓アセンブリに関する。上記ロック機構は、伸長位置と後退位置の間で変位自在なボルトであって、ボルトは第一の部品に組み込まれ、第一の部品と第二の部品が相互に対して所定の位置にあり、ボルトが伸長されると第二の部品と相互係脱自在となるボルトを備え、ボルトを後退位置で掛止めるように配置される磁気的に開閉自在なラッチ機構であって、第一の磁石を含み、ボルトの動きに対して非通常の方向のバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間において移動するように取り付けられるラッチ機構を備える。上記ロック機構は、ドアまたは窓パネルがフレームに対して所定位置にあるときラッチ機構をラッチ解除機構に変位するよう配置される第二の磁石を更に備える。ドアまたは窓パネルがフレームとの関係で所定位置にあるときに、第一の磁石と第二の磁石が磁気反発によりラッチ機構をラッチ解除位置に変位させるように配置されてもよい。
【0015】
更なる側面として、本発明はエンクロージャ内部にアクセスすることを防止するため、2つの相対的に移動自在な部品を相互係脱する方法に関する。
上記方法は、伸長位置と後退位置の間で変位自在なボルトであって、ボルトは第一の部品に組み込まれ、第一の部品と第二の部品が相互に対して所定の位置にあり、ボルトが伸長されると第二の部品と相互係脱自在となるボルトを提供する工程と、ボルトを後退位置で掛止めるように配置される磁気的に開閉自在なラッチ機構であって、第一の磁石を備え、ボルトの動きに対して非通常の方向のバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間において移動するように取り付けられるラッチ機構を提供する工程と、第一の部品が第二の部品との関係で所定位置にあるときに、ラッチ機構をラッチ解除位置に変位するように配置される第二の磁石を提供する工程からなる。上記方法は更に、第一の部品と第二の部品を相互に対して所定の位置に配置する工程と、第一の磁石と第二の磁石の間の磁力的相互作用により、ラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程と、第二の部品と相互係合させるためにボルトを伸長位置に変位させる工程からなる。一つの実施形態として、第一の磁石と第二の磁石の間の磁気的相互作用は磁気反発を含んでいてもよい。第一の部品がドアまたは窓パネルであってもよく、第二の部品がドアまたは窓パネルに関連するフレームであってもよい。
【0016】
ラッチ機構は、トリガーハウジングと連通するロックシャトルを備えてもよく、第1の磁石はトリガーハウジング内に配置されてもよく、第一の磁石と第二の磁石の間の磁気の相互作用によりラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程は、バイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間をラッチ機構が移動するときに、ロックシャトルをトリガ―ハウジングの移動に対して垂直方向に移動させる工程を更に含んでいてもよい。
【0017】
ロッキクシャトルは突起を備えていてもよく、ボルトはラッチ機構がバイアスラッチ係合位置にあるときロックシャトルの突起を受容するための開口部を備えていてもよく、第一の磁石と第二の磁石の間の磁気の相互作用によりラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程は、ボルトを伸長位置に変位させるため、ボルトの開口部からロックシャトルの突起を後退する工程を更に含んでもよい。
【0018】
トリガ―ハウジングはロックシャトルの傾斜面と嵌合するための少なくとも一つの傾斜面を備えていてよく、第一の磁石と第二の磁石の間の磁気の相互作用によりラッチ機構をラッチ解除位置に移動させる工程は、ラッチ機構がラッチ解除位置に移動すると、トリガ―ハウジングの垂直方向の動きをトリガ―ハウジングとロックシャトルの嵌合傾斜面を介してロックシャトルの水平方向に変換する工程をさらに含んでいてもよい。
【0019】
新規であると考えられる本発明の特徴および本発明の特徴的要素は後述する特許請求の範囲に明確に記載されている。図は説明のみを目的としていて、縮尺通り描かれていない。しかし、本発明自体、その構成と操作方法に関して、添付図面と併せて詳細な説明を参照することで最もよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、エンクロージャ内部へのアクセスを防止するために、エンクロージャ内部に取り付けられた本発明の磁気トリガ―ロック機構の実施形態における斜視断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される磁気トリガ―ロック機構の分解図である。
【
図3】
図3は、完全にロックされていない状態における本発明に係る磁気トリガ―ロック機構の正面断面図である。
【
図4】
図4は、ストライクに近づいている
図3に示される磁気トリガ―ロック機構の正面断面図である。
【
図5】
図5は、ストライクと連携する
図3~
図4に示される磁気トリガ―ロック機構である。
【
図6】
図6は、ロックシャトルがボルトから取り外され、ボルトをストライク内に延伸する直前における
図3~
図5に示される磁気トリガ―ロック機構の正面断面図である。
【
図7】
図7は、完全にロックされた状態における
図3~
図6に示される磁気トリガ―ロック機構の正面断面図である。
【
図8】
図8は、後退位置におけるボルトとバイアスラッチ係合位置における磁気的に開閉自在なラッチ構造を示すために、外ハウジング部分が取り除かれ、完全にロックされていない状態における本発明に係る磁気トリガ―ロック機構の斜視断面図である。
【
図9】
図9は、延伸位置におけるボルトとラッチ解除位置における磁気的に開閉自在なラッチ機構を示すために、外ハウジング部分が取り除かれ、ロックされた状態における本発明に係る磁気トリガ―ロック機構の斜視断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明における実施形態を説明する際、発明の同様な特徴について同様な番号が付されている
図1~
図9を参照する。
【0022】
本明細書では、便宜上、特定の用語が使われており、本発明を限定するものとみなすべきではない。例えば、「上」、「下」、「左」、「右」、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」、「時計回り」または「反時計回り」は単に図に示されている構造を記しているに過ぎない。明確にするため、似た要素を区別するために同じ参照符号が複数の図面で使われてもよい。
【0023】
加えて、本発明の説明において、「例示的」という言葉は例、事例または実例として機能することを意味するために使われている。本明細書で「例示的」として説明された態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されることを意図したものではない。むしろ、「例示的」という言葉の使用は、概念を具体的な方法で提示することを意図しているだけである。
【0024】
本発明の磁気トリガ―ロック機構の実施形態は
図1-
図7にすべてまとめて示されている。ロック機構は、例えば、開位置と閉位置間において移動自在なドアパネル内に取り付けられた磁気的トリガ―ボルトや、ドアが施錠位置にあるときにトリガ―ボルトを受容するためのドアフレームの基部に配置されるストライクを含む。本発明に係るロック機構がドアに固定されたエンクロージャに限定されるものではなく、窓枠や窓の下枠といった他の比較的移動自在な部品と相互係合するように使われてもよいことを当業者は理解すべきである。ボルト用のストライクおよびトリガー機構にそれぞれ固定された磁石は、整列時に互いに反発するように方向付けられて配置され、摩擦力を克服し、トリガ―用スプリングが通常はトリガーを下方向に付勢し、ロックシャトルをボルトから引き抜くことにより、圧縮されたボルト用スプリングが解放され、ボルトがストライクの窪みに下向きに射出される。
【0025】
図1を参照すると、本発明に係る磁気トリガ―ロック機構100の一実施形態はドアパネル140に取り付けられ、ボルト60がドアフレーム150の底部にあるストライク30の開口部まで延伸すると、エンクロージャ内部にアクセスすることを防止するために上記ドアパネルを上記ドアフレームに固定する。他の実施形態として、ドアパネル140の代わりに窓枠でもよく、そしてドアフレーム150が窓の下枠またはアクセスを防止するために求められる他の類似したエンクロージャであってもよいことを当業者は理解すべきである。ドアパネル140がロックされた状態になると、ボルト用スプリングキャリアと内ハウジングに垂直方向に力を加えるボルト用スプリングによって、ボルト60は下方向に付勢さられ、それによってボルト60をストライク30の窪みに固定し、ドアパネル140が開くことを防止する。磁石10、20は、図示のように、上記磁石が垂直に整列されると互いに反発しあうように、ストライク30およびボルト式トリガ―機構40に方向付けられ、固定される。ドアパネル140が閉位置に移動すると磁石10、20が整列するため、反発力は摩擦力と、(
図1に示すように)トリガ―40を通常下方向に付勢するトリガ―スプリングに打ち勝つほど大きくなる。したがって上記磁気反発力はトリガー40を発射機構(トリガーハウジング、ロックシャトル、ボルトおよびボルトキャリア、そして関連したスプリングを含む)に対して上方向に移動させ、ロックシャトルをボルト60から引き離し、圧縮されたボルト用スプリングを解除することで、ボルト60をストライク40の窪みに射出する。ドアパネルはボルト60とストライク30相互作用により閉じた状態で保持される。
【0026】
図2は、
図1に見られる磁気トリガ―ロック機構100の分解図を表している。ドアパネルとフレームは明確にするために取り除かれている。
図2に見られるように、ロック機構100は側部110a,110bを有する外ハウジング内に保持される磁気トリガ―ボルトアセンブリを備える。永久磁石10はストライク30にある開口部31内に取り付けられ、それによりストライク30は、例えば、
図1に見られるように、ドアまたは窓枠の底部に配置されうる。ストライク30は、外ハウジングの内表面上の溝112内において垂直に移動するトリガ―ボルト60を受容するための開口部または窪み32をさらに含む。対応する永久磁石20は、磁石10,20の隣接する表面が同じ極性を有し、かつ、それらが垂直に整列すると互いに反発するようにトリガ―ハウジング40内に方向づけられて取り付けられる。トリガ―ハウジング40は、ロックシャトル50の面上にある対応傾斜面51と嵌合するための少なくとも一つの傾斜面41を更に備える。トリガ―ハウジング40、磁石20およびロックシャトル50は、後退位置にボルト60を係止する磁気的に開閉自在なラッチ機構200を集合的に備える。ラッチ機構200はボルト60の非一般的な方向への移動であるバイアスラッチ係合位置とラッチ解除位置の間を移動するように取り付けられる。図示の実施形態では、ラッチ機構はボルト60の垂直方向への移動である掛け位置と非掛け位置との間を移動する。
【0027】
図2に更に示されるように、ボルト用スプリングキャリアは(
図8-
図9に示されるように)突起71によって開口部61でボルト60の上部と係合し、内ケーシングまたは内ハウジング120の表面122上の溝121内において垂直に移動する。ボルト60はキャリア70内のボルト用スプリングによって通常延伸位置に向かって下方向に付勢されるが、ドアまたは窓が開いていると、ボルト60はロックシャトル50によって後退位置に保持される。ラッチ機構200が掛け位置にあるとき、ロックシャトル50上の突起52は射出機構に対して所定位置にボルト60を固定し、ボルト60が垂直に動くことを防止するために、ボルト60用の開口部62内に延伸する(
図3、
図8)。ラッチが解除される、つまり、ロックシャトルの突起52がロックシャトルの移動によってボルト用開口部62から引っ込むと、ボルトはストライク内の開口部32に下方向に射出される(
図7、
図9)。
【0028】
図3~
図7はロック機構が完全にロックされていない状態からロックされた状態に移行することを示し、それによりドアまたは窓パネルおよび関連したフレームといった二つの比較的移動自在な部品を相互係合する。
【0029】
図3は完全にロックされていない状態のロック機構100を示している。ボルト用スプリングキャリアに上向きに力が掛けられ、ボルト用スプリングを圧縮し、ストライク30の凹部または開口部32からボルト60を引き抜き、ドアパネルを開位置に動かす。一般的に、(トリガ―40、ロックシャトル50、ボルト60とボルト用キャリア70、そして関連したスプリングを含む)射出機構がストライクアセンブリ30から離れるにつれて、磁石10および磁石20間の反発力は弱まり、トリガー用スプリングの圧力は減圧し、トリガ―ハウジング40を射出機構の外に押し出す。トリガ―ハウジング40が射出機構の外部に移動すると、シャトル50がシャトル用スプリングによってボルト60に向かって付勢され、射出機構に関して掛け位置にボルト60をロックし、ドアが開いているときボルト60が垂直な動きをすることを防止する。
【0030】
図8は、外ハウジング110aの一部が取り外され、完全にロックされていない状態でのロック機構100を示している。
図8に示されるように、ボルト60は後退位置にあり、ロックシャトル50はバイアスラッチ係合位置にある。より具体的には、シャトル用のスプリングは、ロックシャトルの突起52がボルト用開口部62内に延伸し、後退位置にボルト60を保持するように、通常、シャトル50をボルト60の方向に付勢する。
図8示されているように、ロックシャトルがバイアスラッチ係合位置あるとき、ロックシャトルはトリガー40の角度付き嵌合面のほぼ上部にある。
【0031】
図5~
図7を参照すると、ドアパネルが閉位置に移動する間に射出機構がストライクアセンブリに接近すると、磁石10および磁石20は互いに反発し始め、磁石間の反発力は摩擦力とトリガー用スプリングを克服するほど大きくなる。磁石10、20間の磁気反発力はトリガーハウジング40を上向きに発射機構に押し出す。トリガーハウジング40およびシャトル50の角度付き嵌合面41、51はそれぞれ磁石20を収容するトリガーハウジング40の垂直な動きをシャトル50の水平な動きに変更する。
図5から
図6への推移に示されているように、磁石10および磁石20間の磁気反発力はトリガー用スプリングを圧縮し、トリガーハウジング40および磁石20を射出機構に移動させ、シャトル50をボルト60から引き離し、通常シャトルをボルト60に向かって付勢するシャトル用スプリングを圧縮する。したがって、
図6に示されているように、シャトルの突起52はシャトル50が移動することでボルト用開口部62から引っ込められる。
図7に示されているように、ボルト60が自由に垂直に移動できるようになると、圧縮されたボルト用スプリングが解放され、ボルト用スプリングキャリアとボルト60を外に押し出し、ストライク30の窪み32にボルトを射出し、それによりドアパネルが動くことを防止する。
図5から
図7に示されているように、施錠工程がほぼ同時に行われることは操作中に当業者に理解される。しかし、動きをより正確に描写するために、上記工程を個別の動作として示している。
【0032】
図9は、外ハウジング110aの一部が取り外され、完全にロックされている状態でのロック機構100を示している。
図9に示されているように、ボルト60は延伸位置にあり、ロックシャトル50はラッチ解除位置にある。磁石10および磁石20間の磁気反発力は、(例えば、
図8と比較して、)トリガーハウジング40を上向きに射出機構に押し込み、トリガーハウジング40およびシャトル50のそれぞれの角度付き嵌合面は、トリガーハウジング40の垂直運動をシャトル50の水平運動に変更し、シャトルをラッチ解除位置に移動させ、ボルト開口部62からロックシャトル用の突起52を引っ込める。それによりボルトがストライク32にある開口部32に下向きに射出可能である。
図9に示されているように、ロックシャトル50がラッチ解除位置にあるとき、ロックシャトルはトリガー40の角度付き嵌合面の底部付近に配置される。
【0033】
ロックを解除した状態に戻すために、ドアハンドルを回したり、ボルト用スプリングキャリア内にあるボルト用スプリングを圧縮したり、ストライク30にある開口部の外にボルト60を引き抜いたりすることで、ボルト用スプリングキャリア70に上向きに力を加えてもよい。ドアが開いている間、(射出機構を含む)ドアパネルがストライクアセンブリ30から離れると、磁石10および磁石20間の反発力は弱まり、トリガ―用スプリングを減圧し、射出機構の外部へとトリガ―ハウジング40に付勢する。トリガ―40が射出機構の外部へ移動すると、シャトル50はシャトル用スプリングによってボルト60の方向に付勢され、上述されたようにボルト用開口部62を有するロックシャトルの突起52と再係合することで、射出機構に対して後退位置にボルトを掛止めする。
【0034】
図1~
図9に示されているように、特にボルト、ロックシャトルおよびトリガ―の形状を含めた本発明におけるロック機構の構成は、例示のみを目的を構成するものとして示され、第一の部品および第二の部品として配置された磁石間における磁気反発力がそれぞれ、ロックシャトルと第一の部品および第二の部品を相互係合させるためにボルトを射出するトリガ―間の相互作用を通して磁気的係合自在なラッチ機構をバイアスラッチ係合位置からラッチ解除位置に移動させるものである限り、他の構成が本発明の意図された範囲内のものであることは当業者によって理解されるべきである。
【0035】
したがって、本発明は以下のような利点を一つ以上達成する。磁気トリガ―ボルトアセンブリは内部エンクロージャへのアクセスを防止するための改善された手段を提供し、窓枠や窓の下枠といった二つの部品が互いに関して適切な位置になった後にのみボルトが延伸されるようにする。ストライク内に固定された磁石およびボルトのためのトリガ―機構は、整列時に互いが反発し合うように方向付けられ配置され、通常下方向にトリガ―を付勢するトリガ―用スプリングの力を克服し、ボルトからロックシャトルを引き抜く。それによって、圧縮されたボルトスプリングが解放され、ボルトをストライク内にある開口部に向けて下方向に射出する。
【0036】
典型的な実施態様とともに本発明を特に説明したが、先述の説明に照らして、多くの代替、修正および変形が当業者にとって明らかであろうことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲および精神に含まれるものとして、そのような代替、修正、および変形を包含すると考えられる。