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特許7079300ナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法
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  • 特許-ナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/34 20060101AFI20220525BHJP
   C02F 7/00 20060101ALI20220525BHJP
   C02F 1/78 20060101ALI20220525BHJP
   C02F 1/24 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
C02F3/34 Z
C02F7/00
C02F1/78
C02F1/24 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020143997
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2021186797
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0063879
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520329966
【氏名又は名称】ジーエスエル バイオ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GSL BIO Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】金 英美
(72)【発明者】
【氏名】李 千鎬
(72)【発明者】
【氏名】趙 ヨセフ
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-149265(JP,A)
【文献】特開2011-011098(JP,A)
【文献】特開2018-153807(JP,A)
【文献】特開2008-73658(JP,A)
【文献】特開2003-145190(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104496046(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1128133(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 3/28 - 3/34
3/14 - 3/26
7/00
1/70 - 1/78
1/20 - 1/26
1/30 - 1/38
B01F 1/00 - 5/26
A01K 61/00 - 61/65
61/80 - 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑藻発生処理水域または悪臭発生処理水域に萩の葉、蓮の葉、魚腥草、黄金草及び竹瀝を混合した混合原料を発酵した第1微生物発酵液を噴射手段によって噴射させる工程(S10);
前記工程S10以後、オゾンナノバブルとマイクロバブルを選択的に発生するナノ及びマイクロバブル発生器によって発生したナノバブルを前記処理水域の下部に投入するナノバブル処理工程(S20);及び
前記工程S20以後、前記ナノ及びマイクロバブル発生器によって発生したマイクロバブル及びラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)及びサッカロマイコプシス・シエ一ニ(Saccharomycopsis schoenii)を含む第2微生物発酵液が混合される混合器で前記処理水域の下部に前記第2微生物発酵液が混合されたマイクロバブルを投入する微生物が混合されたマイクロバブル処理工程(S30);
前記工程S30以後に、スクレーパーによってスラッジ及び微生物フロックを除去した後処理水を放流する工程;を含み、
前記第1微生物発酵液は、
萩の葉、蓮の葉、魚腥草、黄金草及び竹瀝を混合した混合原料に糖蜜と水を入れて発酵熟成工程を通して微生物発酵種菌液を得る工程;及び
前記微生物発酵種菌液をろ過して微生物原液を得て、前記微生物原液に精製水及び天日塩を追加して発酵熟成させてラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・パラファラギニス(Lactobacillus parafarraginis)及びラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)を含有する微生物発酵液を得る工程;を通して製造されたことを特徴とする、
ナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法。
【請求項2】
前記混合器は、マイクロバブルが形成された水と第2微生物発酵液を撹はんするための撹はん部を備えたことを特徴とする、請求項1に記載のナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法。
【請求項3】
前記緑藻発生処理水域または悪臭発生処理水域は貯水池であることを特徴とする、請求項1に記載のナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法。
【請求項4】
前記萩の葉、蓮の葉、魚腥草、黄金草及び竹瀝を混合した混合原料は萩の葉100重量部、蓮の葉60重量部、魚腥草20重量部、黄金草10重量部及び竹瀝10重量部を混合したことを特徴とする、請求項1に記載のナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法に関し、より詳細には活性が強い緑藻防除用微生物発酵液で1次噴射処理後、ナノバブル処理及び微生物が混合されたマイクロバブル処理を通して湖沼に発生した緑藻及び悪臭を除去して処理水を農業用水などに再利用できるナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に湖沼は、一定の空間内に流入した水が所定期間の間滞留する水系システムを称するもので、湖、沼、沼沢、湿原などに分類される。前記湖沼が生成された初期には栄養塩類の濃度が低く水系内の生産と消費が均衡をとり貧栄養状態を維持するが、時間が過ぎると孤立した環境により栄養塩類の濃度が次第に増加して、藻類の増殖が過剰になり富栄養化過程を経るようになる。
【0003】
前記富栄養化は、窒素(N)、リン(P)のように藻類の繁殖に栄養分となりうる森林地帯の腐食物、農耕地に使用される肥料、畜産物の糞尿、合成洗剤だけでなく各種下水と工場廃水などの物質が湖沼に蓄積されて藻類の活動が活発な時に起きる現象である。
【0004】
このように藻類の活動が活発な湖沼は、自然の状態よりも速い速度で富栄養化が進行されて、種々の形態で栄養塩類が湖沼に流入し続けて湖沼自浄能力を越えると、次第に水質汚染現象が起きて、この過程は湖沼の成層現象と転倒現象の繰り返しによってさらに促進される。
【0005】
前記の過程で富栄養化された湖沼は、藻類の異常増殖により湖水の着色、悪臭、透明度減少及び濁度増加、湖沼底部の嫌気化、溶存酸素量の減少、魚介類の斃死のような深刻な問題を誘発することになり、これにより水生生態系が急激に破壊されて自浄作用ではよみがえることができなくなる。
【0006】
このような湖沼の浄化技術として物理的ろ過工法によって浮遊物質除去及び汚染物質負荷量減少と生物学的処理工法による有機物及び窒素、リンなどを除去することによって緑藻発生抑制及び悪臭発生を低減させる閉鎖性湖沼、人工水路造成が可能な循環型湖沼水質浄化システム(韓国登録特許10-0697985号)等が研究された。
【0007】
一方、有機物分解のためにナノバブル及びマイクロバブル技術が水処理技術に適用されて研究されている。このような従来技術として韓国登録特許第10-1443835号は、自動調節オゾンナノ・マイクロバブル発生装置及び回分式浮上槽を利用した汚・下水高度処理装置に関し、回分式活性スラッジ高度処理工法の後段にオゾンナノ・マイクロバブルを利用した自動調節式回分式浮上槽を設置して1次処理水(BOD,SS 5~10PPM以下)を流入させて回分式浮上槽で酸化、浮上、殺菌メカニズムによって2次処理して水を再利用できる水準で処理する技術を開示している。図1は、前記先行技術のオゾンナノ・マイクロバブル装置の内部構成を示すブロック図であって、オゾンナノ・マイクロバブル発生器60は、加圧ポンプ63、ナノ・マイクロバブル発生器64、空気圧縮機65、及びオゾン発生器66を含んで構成される。加圧ポンプ63は、吸入ノズル61に連結されて回分式浮上槽50の処理水を吸入してナノ・マイクロバブル発生器64に供給する。空気圧縮機65とオゾン発生器66は、各々圧縮された空気とオゾンを発生してナノ・マイクロバブル発生器64に提供する。
【0008】
しかし、前記先行技術は、河川の有機物除去を目的にオゾンナノ・マイクロバブルを適用したが、富栄養化及び緑藻が深刻に進行された湖沼、貯水池などには下部に堆積した有機物などによって有機物除去率に限界があって、水を再利用できる水準で処理するには困難がある。
【0009】
本発明者等は、ナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法に対して研究中、活性が強い緑藻防除用微生物発酵液で1次噴射処理後、ナノバブル処理及び微生物が混合されたマイクロバブル処理を通して湖沼に発生した緑藻及び悪臭を除去して処理水を農業用水などに再利用する可能性があることを確認することで本発明を完成に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国登録特許第10-1443835号(公告日時2014.09.26)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、湖沼に発生した緑藻及び悪臭を除去して処理水を再利用できるナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明は、緑藻発生処理水域または悪臭発生処理水域に第1微生物発酵液を噴射手段によって緑藻成分及び悪臭成分が分解されるように接触させる工程(S10);ナノバブルとマイクロバブルを選択的に発生するナノ及びマイクロバブル発生器によって発生したナノバブルを前記処理水域の下部に投入するナノバブル処理工程(S20);及び前記ナノ及びマイクロバブル発生器によって発生したマイクロバブル及び微生物注入部から供給される第2微生物発酵液が混合される混合器で前記処理水域の下部に第2微生物発酵液が混合されたマイクロバブルを投入する微生物が混合されたマイクロバブル処理工程(S30)を含むナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法を提供する。
【0013】
さらに、本発明の一実施例に係るナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法において、前記混合器は、マイクロバブルが形成された水と第2微生物発酵液を撹はんするための撹はん部を備えたことを特微とする。
【0014】
さらに、本発明の一実施例に係るナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法において、前記第1微生物発酵液は、萩の葉、蓮の葉、魚腥草、黄金草及び竹瀝を混合した混合原料に糖蜜と水を入れて発酵熟成工程を通して微生物発酵種菌液を得る工程;前記微生物発酵種菌液をろ過して微生物原液を得て前記微生物原液に精製水及び天日塩を追加して発酵熟成させラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・パラファラギニス(Lactobacillus parafarraginis)及びラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)を含有する微生物発酵液を得る工程を通して製造されたことを特微とする。
【0015】
さらに、本発明の一実施例に係るナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法において、前記第2微生物発酵液は、ラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)及びサッカロマイコプシス・シエ一ニ(Saccharomycopsis schoenii)を混合して培養したことを特微とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法によると、活性が強い緑藻防除用微生物発酵液で1次噴射処理後、ナノバブル処理及び微生物が混合されたマイクロバブル処理を通して湖沼に発生した緑藻及び悪臭を除去して放流水水質基準を満たして処理水を農業用水などに再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来のオゾンナノマイクロバブル装置の内部構成を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施例に係るナノ及びマイクロバブルを利用した河川及び湖沼の水質浄化方法に対するフローチャートである。
図3】本発明の一実施例に係る緑藻発生処理水域に第1微生物発酵液を噴射手段によって噴射する構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、様々な変換を加えることができて、様々な実施例を持つことができ、特定実施例等を詳細に説明する。
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0020】
図2は、本発明の一実施例に係るナノ及びマイクロバブルを利用した河川及び湖沼の水質浄化方法に対するフローチャートで、図3は、本発明の一実施例に係る緑藻発生処理水域に第1微生物発酵液を噴射手段によって噴射する構成を説明する模式図である。
【0021】
図2乃至図3を参照すると、本発明に係るナノ及びマイクロバブルを利用した湖沼の水質浄化方法は、第1微生物発酵液を緑藻成分及び悪臭成分が分解されるように接触させる工程(S10);ナノバブル処理工程(S20);及び微生物が混合されたマイクロバブル処理工程(S30)を含む。
【0022】
第1微生物発酵液を緑藻成分及び悪臭成分が分解されるように接触させる工程(S10)は、緑藻発生処理水域10または悪臭発生処理水域に第1微生物発酵液を保管するタンク30と連結された噴射手段20により緑藻成分及び悪臭成分が分解されるように接触させる。
【0023】
第1微生物発酵液は、萩の葉、蓮の葉、魚腥草、黄金草及び竹瀝を混合した混合原料に糖蜜と水を入れて、発酵熟成工程を通して微生物発酵種菌液を得る工程;前記微生物発酵種菌液をろ過して微生物原液を得て前記微生物原液に精製水及び天日塩を追加して発酵熟成させラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・パラファラギニス(Lactobacillus parafarraginis)及びラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)を含有する微生物発酵液を得る工程を通して製造される。
【0024】
微生物噴射手段20は、処理水域の中央部に設置するが、水面から1Mの下に噴射手段を一定の間隔で設置することができる(図3参照)。この時、処理水域の底の停滞した汚染水をポンプでポンピングして循環(circulation)させながら一定時間に合わせて自動噴射する。
【0025】
第1微生物発酵液を緑藻発生地域に噴射させる場合、緑藻発生部の上部の緑藻成分はほとんど分解されながら悪臭も除去されることができる。しかし、緑藻発生が悪化するにより緑藻発生地域の下部に有機物が堆積した場合には、第1微生物発酵液を噴射する方式だけでは緑藻発生地域の下部に堆積した有機物の分解には限界がある。よって、これを解決のためにナノバブル処理工程(S20)及び微生物が混合されたマイクロバブル処理工程(S30)を通して緑藻発生地域の下部に堆積した有機物の分解を完璧に除去することができる。
【0026】
ナノバブル処理工程(S20)は、ナノバブルとマイクロバブルを選択的に発生するナノ及びマイクロバブル発生器によって発生したナノバブルを前記処理水域の下部に投入する。
【0027】
ナノ及びマイクロバブル発生器は、加圧ポンプ、ナノ・マイクロバブル発生器、空気圧縮機及びオゾンナノバブル発生器を含んで構成される。加圧ポンプは、吸入ノズルに連結されて湖沼の処理水を吸入してナノ・マイクロバブル発生器に供給する。空気圧縮機とオゾンナノバブル発生器は各々圧縮された空気とオゾンを発生してナノ・マイクロバブル発生器に提供する。オゾンナノバブル発生器は市販のものなら製造者を限定しない。
【0028】
オゾンナノバブルを発生する場合には、加圧ポンプを介して吸入された処理水がナノ・マイクロバブル発生器に供給される過程でオゾンナノバブル発生器が動作してオゾンが投入される。ナノ・マイクロバブル発生器は、オゾンが投入された処理水をナノの大きさのバブルで生成させて噴射ノズルを介して湖沼の内部に噴射する。この時発生するナノバブルの大きさは略0.1um~1um範囲を有する。
【0029】
オゾンナノマイクロバブル発生器が動作してオゾンナノバブルを発生させて、噴射ノズルを介して湖沼の下部でむらなく一定時間持続的に噴射されながら汚染物質の酸化及び殺菌が行われる。オゾンナノバブルが噴射されると、水面上に浮上しながら気泡が小さくなり、後には消滅するがこの際に発生するフリーラジカルによって発生する強力な酸化力によって汚染物質が分解される。オゾンナノバブルを水中に噴射させると気泡が浮上しながら次第に小さくなるが、気泡内の圧力は、気泡径に反比例して増加するので、気泡の縮小は圧力の上昇につながり、その速度が十分に速ければ断熱圧縮的な作用によって気泡内の温度も急激に高くなる。その結果、気泡の消滅時には高い温度と気圧の領域を形成してフリーラジカルが発生する。この時発生するフリーラジカルは、発生エネルギーが高いので、本来の安定したものに変化する過程で高い酸化力が発生して周囲に存在する汚染物質を分解する。
【0030】
S20工程のオゾンナノバブル処理工程は、後工程のマイクロバブルに付着した微生物の活性に悪影響を及ぼす毒性成分を分解して、他の微生物を死滅させてマイクロバブル工程で微生物の活性を高くすることができるようになる。
【0031】
このようなオゾンナノバブルの接触反応が、一定時間行われた後には、オゾンナノマイクロバブル発生器でオゾンナノバブルの発生が止まって工程S30に進みマイクロバブルが発生する。マイクロバブルは、分解された汚染物質と残留浮遊物質を最も効率的に浮上させることができる。
【0032】
微生物が混合されたマイクロバブル処理工程(S30)は、ナノ及びマイクロバブル発生器によって発生したマイクロバブルと微生物注入部から供給される第2微生物発酵液が混合される混合器で前記処理水域の下部に第2微生物発酵液が混合されたマイクロバブルを投入するものである。
【0033】
第2微生物発酵液と混合されたマイクロバブルは、微生物と付着してマイクロセル構造が形成されて噴射ノズルを介して湖沼の下部でむらなく噴射されると、水面上に浮上しながら水中の残有浮遊物が付着しながら微生物によって分解される。すなわち、マイクロバブルは徐々に上昇しながら緑藻が発生したり発生する余地がある水の溶存酸素量を高めながらマイクロバブルと混合された微生物は、有機物を分解して緑藻の発生を抑制しながら微生物フロックを形成した後、除去される。
【0034】
マイクロバブルを発生する場合には、加圧ポンプを介して吸入された処理水がナノ・マイクロバブル発生器に供給される過程で空気圧縮機を介して処理水に空気が投入される。ナノ・マイクロバブル発生器は、空気が投入された処理水をマイクロの大きさのバブルで生成させて、噴射ノズルを介して湖沼の内部に噴射する。この時発生するマイクロバブルの大きさは略10um~50um範囲を有する。
【0035】
混合器は、マイクロバブルが形成された水と第2微生物発酵液を撹はんするための撹はん部を備える。
【0036】
第2微生物発酵液は、ラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)及びサッカロマイコプシス・シエ一ニ(Saccharomycopsis schoenii)を混合して培養されたものである。
【0037】
処理水をリサイクルしようとする場合には、前記工程S30以後に、工程S40でスクレーパーによって水面上に浮び上がった浮上スラッジ及び微生物フロックを除去した後処理水を放流する。
【実施例
【0038】
以下、実施例及び実験例により本発明をさらに詳細に説明しようとするが、下記の実施例及び実験例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0039】
<実施例>
緑藻層の厚さが100mm以上の貯水池で緑藻原水1000mlをフラスコに採取して、採取された試料に第1微生物発酵液30mlを噴射する方式で散布した。この時、第1微生物発酵液は、萩の葉100kg、蓮の葉60kg、魚腥草20kg、黄金草10kg、竹瀝10kgを混合した200kgを発酵反応容器に敷いて入れて、糖蜜100kgに精製水100kgを追加して30~35℃を維持する発酵室で12ヶ月発酵熟成工程を行う場合、上部に白カビが点点とできた状態でとろりとした微生物発酵種菌液を得ることができた。前記微生物発酵種菌液をろ過して微生物発酵原液を得て、微生物発酵原液25kgに精製水1トン(1,000kg)と天日塩25gを追加して入れて25~30℃を維持する発酵室で15日間発酵熟成させて前記微生物発酵液を分析した結果、代表菌種としてラクトバチルス・パラカセイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・パラファラギニス(Lactobacillus parafarraginis)及びラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)を含有する微生物発酵液を得た。
散布2日後、オゾンナノバブルを試料を含むフラスコ下部に1時間注入して試料内有機物を分解し、続いてマイクロバブル及び第2微生物発酵液30mlを混合してフラスコ下部に24時間注入して微生物による有機物分解作用で放流水水質基準以下で有機物濃度が低減されて、生成された微生物フロックを除去した。
この時、第2微生物発酵液は、第1微生物発酵液を分析した菌種からマイクロバブルと混合された状態で最適な有機物分解効率を示す混合菌株を導き出したもので、ラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)及びサッカロマイコプシス・シエ一ニ(Saccharomycopsis schoenii)を混合して培養したものである。
【0040】
<比較例>
前記実施例と同様の方法で行うが、本比較例では、前記実施例と対比して表1の条件(成分投入:O、成分未投入:×)に従って比較例を製造した(表1参照)。
比較例1は、ナノバブル処理工程と微生物が混合されたマイクロバブル処理工程の順序を変えて微生物が混合されたマイクロバブル処理工程を先に処理した後、ナノバブル処理工程を行った。
比較例2乃至6は各々第1微生物発酵液、ナノバブル、マイクロバブル、ラクトバチルス・ハービネンシス、サッカロマイコプシス・シエ一ニを未処理するか未投入した。
比較例7はラクトバチルス・ハービネンシスの代わりにラクトバチルス・パラカセイを使用し、比較例8はサッカロマイコプシス・シエ一ニの代わりにサッカロマイコプシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)を使用した。
【0041】
【表1】
【0042】
<実験例>
実施例及び比較例により処理された処理水について水質汚染工程試験方法により処理水の化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質(SS)、総窒素(T-N)及び総リン(T-P)の濃度(重量ppm)を測定した結果を表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
前記表2で示したように、実施例はCOD、SS、T-N及びT-Pで処理後、顕著な濃度減少が現れたことを確認することができる。
【0045】
比較例1は、微生物が混合されたマイクロバブル処理工程を先に処理した後、ナノバブル処理工程を行ったもので、COD及びSS濃度で相対的に大きい変化がないことが示された。このような点は、実施例の場合、ナノバブルを先に処理することによって後工程のマイクロバブルに付着した微生物の活性に悪影響を及ぼす毒性成分を分解させて、他の微生物を死滅させることによって後工程のマイクロバブルに付着した微生物の活性が維持されて、COD及びSSの濃度が顕著に低減されることができたのに対して、比較例1の場合、ナノバブル処理工程がマイクロバブル処理工程以後に変更されることによりこのような効果を期待できなくなったものと把握される。
【0046】
比較例2乃至8は、処理後T-N及びT-Pで濃度が減少した点は、実施例と対して大差がないが、COD及びSS濃度で相対的に大きい変化がないことを確認することができる。比較例7は、ラクトバチルス・ハービネンシスの代わりにラクトバチルス・パラカセイを使用したもので、比較例8は、サッカロマイコプシス・シエ一ニの代わりにサッカロマイコプシス・フィブリゲラ(Saccharomycopsis fibuligera)を使用したもので、実施例の第2微生物発酵液をラクトバチルス・ハービネンシス(Lactobacillus harbinensis)及びサッカロマイコプシス・シエ一ニ(Saccharomycopsis schoenii)から構成された混合菌株を使用した時顕著に上昇された分解効率を示している。
【0047】
従って、比較例1乃至8と対比して実施例は本発明の方法で処理後COD、SS、T-N及びT-Pの濃度が顕著に減少するほど優れていることを確認することができる。
【0048】
一方、以上の詳細な説明はすべての面において制限的に解釈されてはならず、例示的であると考慮されなければならない。本発明の範囲は、添付された請求項の合理的解釈によって決定されなければならず、本発明の等価的範囲内でのいずれの変更は本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3