(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】皮膚センサ
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220525BHJP
G01N 21/57 20060101ALI20220525BHJP
G01N 21/21 20060101ALI20220525BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
A61B5/00 M
G01N21/57
G01N21/21 Z
G01N21/17 A
(21)【出願番号】P 2020524585
(86)(22)【出願日】2018-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2018079961
(87)【国際公開番号】W WO2019086584
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2017-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ラス,アルノルデュス ヨーハネス マルティニュス ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマンス,ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】ブルーメン,パスカル ジャン アンリ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーギーズ,バブー
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0057325(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0270665(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0061726(US,A1)
【文献】特表2003-513735(JP,A)
【文献】特開2013-205571(JP,A)
【文献】特開2003-126066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0121479(US,A1)
【文献】国際公開第2013/114891(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/03
G01N 21/00-21/01
21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚パラメータを測定するセンサを含むシステムであって、前記センサは、(i)光源の光を提供するように構成された複数の空間的に分離された光源と、(ii)前記光源のそれぞれから第1の距離にて構成された検出器と、を含み、前記第1の距離は、5~80mmの範囲から選択され、前記センサは、少なくとも3つの光源を含み、前記光源は、無偏光の光源の光を提供するように構成され、前記センサは、(iii)前記光源から伝搬する光のビームにおける下流及び前記検出器のこの光のビームにおける上流にあり、皮膚パラメータが測定されることになる皮膚に向かう前記センサからの前記光源の光の伝搬のため、及び、前記センサ内への反射されたセンサ光の入口のためのセンサ開口部であり、前記センサ開口部から伝搬する前記光源の光が、無偏光の光源の光である、センサ開口部と、(iv)前記光源の光を透過する材料のセンサウィンドウであり、前記光源から伝搬する光のビームにおける下流に構成され、前記センサ開口部のこの光のビームにおける上流に構成され、さらに、前記検出器のこの光のビームにおける上流に構成され、前記センサ開口部までの第2の距離が少なくとも3mmであるセンサウィンドウと、をさらに含む、システム。
【請求項2】
前記第2の距離は、少なくとも4mmである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の距離は、4~10mmの範囲から選択され、前記センサ開口部は、1~20mmの範囲から選択された円相当径を有し、前記センサウィンドウは、0.1~20mmの範囲から選択されたセンサウィンドウ厚を有する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の距離は、4~20m
mの範囲から選択さ
れている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の距離は、8~14mmの範囲から選択されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記材料は、ガラス及びポリメタクリル酸メチルを含む群から選択されている、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記センサウィンドウは、中心部分及び周辺部分を含み、前記検出器の光軸は、前記中心部分を通過し、前記周辺部分は、アンチグレア要素を含む、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記センサウィンドウは、上流面及び下流面を含み、前記周辺部分における前記上流面及び前記下流面のうちの1つ以上が、40~500nmの範囲から選択された二乗平均平方根の表面粗さを有し、前記上流面は、前記光源の光の伝搬方向において前記光源のより近くに位置し、前記下流面は、前記光源の光の伝搬方向において前記光源からより遠くに位置する、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
表面特徴を含み、前記表面特徴は、40nm~100μmの範囲から選択された平均断面円相当径を有し、隣接する表面特徴間の平均距離は、前記平均断面円相当径の5倍以下である、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記検出器は、偏光を検出するように構成され、前記センサは、前記検出器の前記光源から伝搬する光のビームにおける上流に構成された偏光子を含み、前記偏光子は、(i)セグメント化偏光子及び(ii)空間変化偏光子のうちの1つ以上を含む、請求項1乃至
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記検出器は2Dカメラを含み、前記センサは、前記検出器の前記光源から伝搬する光のビームにおける上流に構成された集束レンズと、前記検出器のこの光のビームにおける上流及び前記集束レンズのこの光のビームにおける上流に構成されたアパーチャーと、をさらに含み、前記アパーチャーは、0.1~0.8mmの範囲から選択された直径を有し、前記光源は、無偏光の白色の光源の光を提供するように構成されている、請求項1乃至
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記センサのセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成された分析システムをさらに含む、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムは、センシングモードを含み、前記光源は、前記光源の光を順次提供するように構成され、前記検出器は、前記光源によって順次生成された反射した光源の光を順次検出するように構成され、さらに、対応する検出器信号を生成するように構成され、前記皮膚センサ値は、それぞれの検出器信号の平均に基づいている、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記センサは、センサ光軸を有し、前記光源は、前記センサ光軸を中心として回転対称に構成され、前記センサは、10~80°の範囲から選択された前記検出器の前記センサ光軸に対する角度下の光軸を有する前記光源の光を提供するように構成されている、請求項1乃至
13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記角度は、20~60°の範囲から選択されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
皮膚パラメータを感知する方法であって、請求項1乃至
15のいずれか一項に記載のシステムを用いて光源の光を皮膚に提供すること、及び、前記システムを用いて、前記皮膚にて反射された反射した光源の光を感知することを含む方法。
【請求項17】
請求項1乃至
15のいずれか一項に記載のシステムによって実行されると、前記システムに、請求項
16に記載の方法を実行させるプログラム命令を格納したデータキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚光沢等の皮膚パラメータを測定するセンサを含むシステムに関する。本発明は、さらに、皮膚光沢等の皮膚パラメータを評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の分析は、当技術分野において知られている。例えば、特許文献1は、皮膚症状及びメラノーマを含む皮膚癌のモニタリング及び診断を目的として、皮膚科学的な画像を収集、格納、及び表示するシステムを記載している。ハンドヘルドのユニットが、患者の皮膚の部分を照射し、イメージング装置が、皮膚の部分から得られる光からイメージング信号を生成する。ハンドヘルドのユニット内の光出力ポートの対は、その強度分布がその半分の輝度レベルで重なるため、結果として生じるその強度の合計が平坦な中央部分を有するように配置される。3つの画像の格納が維持され、1つは病変画像に対するものであり、1つは「皮膚近くの」画像に対するものであり、1つは基準白色画像に対するものである。「皮膚近くの」画像は、皮膚/病変境界を自動的に決定するためにシステムソフトウェアによって使用される。基準白色画像は、機器のダイナミックレンジを設定するため、及び、照明ムラを補償するために使用される。同じ病変を異なる時間に撮影した2つの画像を同時に表示することができるため、病変における変化を決定することができる。同じ仕様で構築された複数のマシンのいずれかにおいて取得された画像データが、共通の参照標準に戻るよう補正されて、色再現の絶対精度が確実になるように、較正システムが設計される。
【0003】
特許文献1は、皮膚症状及びメラノーマを含む皮膚癌のモニタリング及び診断を目的として、皮膚科学的な画像を収集、格納、及び表示するシステムを記載している。ハンドヘルドのユニットが、患者の皮膚の部分を照射し、イメージング装置が、皮膚の部分から得られる光からイメージング信号を生成する。ハンドヘルドのユニット内の光出力ポートの対は、その強度分布がその半分の輝度レベルで重なるため、結果として生じるその強度の合計が平坦な中央部分を有するように配置される。3つの画像の格納が維持され、1つは病変画像に対するものであり、1つは「皮膚近くの」画像に対するものであり、1つは基準白色画像に対するものである。「皮膚近くの」画像は、皮膚/病変境界を自動的に決定するためにシステムソフトウェアによって使用される。基準白色画像は、機器のダイナミックレンジを設定するため、及び、照明ムラを補償するために使用される。同じ病変を異なる時間に撮影した2つの画像を同時に表示することができるため、病変における変化を決定することができる。同じ仕様で構築された複数のマシンのいずれかにおいて取得された画像データが、共通の参照標準に戻るよう補正されるように、較正システムが設計される。
【0004】
特許文献2は、ハンドヘルドの装置の形態のダーマトスコープを記載している。ダーマトスコープは、ダーマトスコープの表面センサによって記録される皮膚表面及び/又は皮膚表面の構造の画像のために、ハウジング内又はその上に配置されたディスプレイと、ダーマトスコープによって記録された画像を格納する格納手段とを含んでいる。
【0005】
特許文献3は、レンズ光学系Lと、複数の第1及び第2のピクセルP1及びP2を含むイメージングデバイスNと、整列させられた光学デバイスKとを含むイメージング装置を記載しており:レンズ光学系Lは、第1の偏光軸の方向に発振する光を主に通過させる第1の光学領域D1と、あらゆる方向に発振する光を通過させる第2の光学領域D2とを含み;さらに、整列させられた光学デバイスKは、第1の光学領域D1を通過した光を、第1のピクセルP1に入射させ、第2の光学領域D2を通過した光を、第2のピクセルP2に入射させる。
【0006】
特許文献4は、足の裏を収容するように構成された上面を有する透過性シートと、シートの下に配置され、シートの方へ光を発する光源と、所定の足の領域に向かう光の内部反射を引き起こす光の経路を変えるための、シート内の又はシートに結合された光路コントローラとを含む、ヒトの足の画像処理のための装置及び方法に関する。画像は、ヒト患者に関連する所定の特性について分析することができ、さらに、画像中の特性が患者と一致するかどうかを決定することができる。画像における明るさを、組織の水分情報について分析することができる。
【0007】
特許文献5は、アンチグレア表面を有するガラス製品を記載している。アンチグレア表面は、95未満の反射像鮮明性(distinctness-of-reflected image)、及び、50%以下のヘイズ(haze)を有している。一実施形態では、ガラス製品は、アンチグレア表面上に配置されたスマッド耐性(smudge-resistant)表面をさらに含む。ガラス製品及びアンチグレア表面の作製方法についても記載されている。
【0008】
特許文献6は、対象への照明方向を切り替えることができる照明ユニットと、全ての照明方向に対して対象に対する焦点調整を行って焦点状態に従って評価値を計算し、さらに、評価値に基づき、焦点状態が照明方向として最良になる方向を決定して対象をキャプチャする制御ユニットと、を含むイメージング装置を記載している。
【0009】
特許文献7は、カメラ31と、光源32と、カメラ31及び光源32と被写体11との間に配置された偏光子35と、入射光偏光面に対する放射光偏光面の回転角度を制御するために、偏光子35と被写体11との間に配置された空間光変調器40Aと、を含むイメージング装置を記載している。
【0010】
特許文献8は、皮膚上の病変の境界を決定する方法を記載している。病変を含む皮膚領域の画像がキャプチャされる。環状分散検定(annular variance test)が、病変周囲のピクセルに対して行われる。環状分散検定の結果に基づき、シード領域拡張法又はカラークラスタリング法のいずれかが画像に適用されて、病変の境界が計算される。カラークラスタ法は、複数の選択可能な境界を生成することができる。手動でトレースされることになる病変境界も準備される。
【0011】
特許文献9は、体の類型学的特性を観察するための携帯装置を記載している。例えば、装置を使用して、皮膚又は毛髪の外観の少なくとも1つの特性を観察することができる。装置は、検査中のゾーンの少なくとも2つの画像を生成することができる。画像は、光源の強度及び倍率以外の特徴に関して互いに異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第6,993,167号
【文献】米国特許出願公開第2013/0053701号
【文献】米国特許出願公開第2014/0055661号
【文献】米国特許出願公開第2014/0121479号
【文献】米国特許出願公開第2010/0246016号
【文献】米国特許出願公開第2013/0256505号
【文献】国際公開第2015/174163号
【文献】国際公開第02/094097号
【文献】米国特許出願公開第2003/0045799号
【発明の概要】
【0013】
皮膚の外観は、皮膚表面上の薄い乳化した膜の存在によって著しく影響される。皮脂腺及び表皮角化細胞からの脂質を有する皮脂は、汗並びに化粧品及び環境からの他の脂質と混合されて、表皮よりも高い屈折率のこの乳化された膜が形成される。皮脂は、より強いフレネル反射及び滑らかな空気-皮脂界面のために、皮膚をより光沢があるように見えるようにする。皮脂産生と必要条件との最適なバランスは、光沢がなく健康的な感触を皮膚に与えるものであり、皮膚科学的及び美容的に望ましい。光沢のある脂っこい皮膚は、非審美的で不快であると考えられ、脂漏症、ざ瘡、ホルモンバランスの欠如等、様々な皮膚科学的な障害と関連していることが多くある。皮脂欠乏状態では、皮膚は感染に弱く、かゆみ及び乾燥を感じ、輝きがなく、紅斑性であり、がさがさに見える。
【0014】
結果として、皮脂分泌速度を制御することにより、皮膚の要求とその最適な脂質の必要条件とのバランスをとる、及び/又は、非侵襲的な光学装置及び方法を使用して皮膚の状態をモニターする戦略が必要であると思われる。
【0015】
家庭用途に対して、特に浴室のような環境では、センサは、防水で汚染がないことが期待される。これは、照明及び検出の光学系全体を遮蔽する透明なガラスウィンドウを使用することによって実現することができる。ダーマトスコープ等の皮膚センサでは、ガラスウィンドウを皮膚と接触させて置くことができる。しかし、ガラスウィンドウが皮膚と接触して使用される場合、センサ信号は、ガラスウィンドウの2つの界面(空気-ガラス及びガラス-空気の界面)のフレネル反射から生じる「ゴーストスポット」によって支配されることになるように思われる。このゴーストスポットは試料(皮膚)からのいかなる情報も保有しておらず、これを「望ましくない反射」と呼ぶ。所与の照明条件に対しては、ゴーストスポットは、皮膚から生じる有効な反射と比較してガラス-空気界面の反射係数が高いため、皮膚から反射される光よりも強いことが予想される。これに加えて、ガラスからのゴーストスポットは、皮膚から来る信号に干渉することがあり、また、そのような信号と重複することがあり、結果として、皮膚の油分/光沢量の推定が不十分となる。
【0016】
皮膚光沢度を測定する装置(又は「皮膚光沢度」)は、当技術分野において知られている。しかし、(信頼できる)家庭での使用には、そのような装置は利用可能ではない。さらに、本装置は、反射測定の信頼性に影響し得る鏡面反射スポット等、望ましくないアーチファクトを被る可能性がある。
【0017】
従って、好ましくはさらに上記の欠点のうち1つ又は複数の欠点を少なくとも部分的に取り除く代替装置(本明細書ではさらに、より一般的な用語である「システム」が適用される)及び/又は皮膚(光沢)センシング方法を提供することが、本発明の一態様である。本発明は、先行技術の不利益の少なくとも1つを克服若しくは改善すること、又は、有用な代替案を提供することを目的として有し得る。
【0018】
驚くべきことに、皮膚からある距離にあり、皮膚と検出器との間に構成され、皮膚からある距離に構成されたさらなるウィンドウの使用は、信号の信頼性を実質的に改善することができるように思われた。そのようなウィンドウは、光線を収束する又は発散する等、光学的機能を本質的に有しないが、特に本質的に平面のウィンドウである。
【0019】
数ある中でも、本発明は、皮膚パラメータ、特に皮膚光沢、皮膚油脂性、及び皮膚水和性のうち1つ又は複数を測定するが、任意的に毛髪パラメータも測定するセンサを含むシステム(「システム」又は「皮膚センサシステム」又は「センサシステム」)を提供し、センサは、(i)光源の光を提供するように構成された複数の空間的に分離された光源と、(ii)光源のそれぞれから第1の距離(d1)にて構成された検出器と、を含み、第1の距離(d1)は、特定の実施形態において、特に5~80mmのように、5~100mmの範囲から選択される等、少なくとも5mmのように、少なくとも2mm等、少なくとも1mmの範囲から選択されてもよく、センサは、特に、少なくとも3つの光源を含み、光源は、無偏光の光源の光を提供するように構成され、センサは、(iii)光源の下流及び検出器の上流にあり、センサからの光源の光の伝搬のため、及び、センサ内への(戻る)反射されたセンサ光の入口のためのセンサ開口部と、(iv)光源の光を透過する材料のセンサウィンドウ(「ウィンドウ」)であり、(センサウィンドウは)光源の下流に構成され、センサ開口部の上流に構成され、さらに、検出器の上流に構成され、センサ開口部までの第2の距離(d2)が、特に、少なくとも2mm等、さらにより具体的には少なくとも3mmのように、少なくとも1mmであるセンサウィンドウと、をさらに含む。特に、センサは、10~80°の範囲から選択される検出器の光軸(O2)に対する角度(α)下で光軸(OL)を有する光源の光を提供するように構成される。
【0020】
そのようなシステムの使用は、本質的に第2の距離に等しい、皮膚までの本質的に固定された距離を可能にし得る。センサ開口部は、皮膚からセンサウィンドウまでの距離を定める。そのような距離で、特に、皮膚とセンサウィンドウとの距離が少なくとも3mmである場合には、ゴーストスポット等のアーチファクトは実質的に減少するように思われる。これによって、システムの信頼性が改善される。さらに、ウィンドウの存在は、湿った環境でのセンサの使用も可能にし得る。従って、使用中に、システムで調査中の皮膚と物理的に接触しないセンサウィンドウが提供される。
【0021】
特に、システムを使用して、皮膚パラメータを測定することができる。従って、システムは、特に、皮膚パラメータを測定するように構成することができる。代替的又は追加的に、このシステムを使用して、毛髪パラメータを測定することもできる。従って、システムは、代替的又は追加的に(また)、毛髪パラメータを測定するように構成することができる。代替的又は追加的に、システムを使用して、眼球又は口腔の一部を測定するため等、体の別の部分のパラメータを測定することもできる。従って、システムは、代替的又は追加的に(また)、皮膚でも毛髪でもない体の一部のパラメータを測定するように構成することができる。
【0022】
さらに、そのようなシステムでは、皮膚光沢を定量的に推定することが可能であり得る。「皮膚光沢」という用語は、本明細書において、皮膚の光沢を意味するが、「皮膚油脂性」も意味し得る。従って、「皮膚光沢」という用語は、本明細書において、「皮膚光沢及び皮膚油脂性を含む群のうち1つ以上から特に選択される皮膚パラメータ」としても定義され得る。本明細書において記載されるシステムで測定され得る値は、皮膚光沢が皮膚油脂性に関連し得るため、皮膚光沢及び皮膚油脂性を反映し得る。従って、「皮膚光沢」という用語は、皮膚光沢又は皮膚油脂性の両方を示すために使用されることがある。従って、複数の実施形態において、皮膚光沢という用語は、皮膚光沢若しくは皮膚油脂性、又は、特に皮膚光沢を意味し得る。
【0023】
上述したように、本発明は、センサを含むシステムを提供する。「システム」という用語は、例えば、それ自体のハウジングを有する単一の装置を意味し得るが、例えば、センサ及び制御システム、又はコンピュータ、スマートフォン等の装置を含む制御システム等、複数の機能的に結合された装置も意味し得る。複数の実施形態では、「センサ」という用語は、複数のセンサも意味し得る。
【0024】
特に、システムは、ハウジングを含む装置を含むシステム等、ハウジングを含む。センサは、本質的に、ハウジングによって収容されてもよい。ハウジングは、ハウジング開口部を含んでもよい。そのようなハウジング開口部は、検出器に視野を提供することができる。さらに、ハウジング開口部を有するハウジングは、ハウジング開口部(すなわち、センサが皮膚上で構成される場合の皮膚)と検出器(又は(検出器から見た場合)検出器の前の最後の光学系、特にレンズ)との距離として定められ得る第2の距離も提供することができる。第2の距離は、自由な作動距離として示されてもよく、ハウジング開口部と検出器との距離として、又は、光学系が利用可能な場合には、ハウジング開口部と(開口部の方向において検出器から見て)最後の光学系との距離として定められてもよい。従って、第2の距離は、皮膚と検出器との間、又は光学系が利用可能な場合には、皮膚と(開口部の方向において検出器から見て)最後の光学系との間の動作中の距離として示されてもよい。ハウジングは、皮膚と検出器(又はその最後の光学系)との距離を定めるため、距離ホルダとして見ることができる。そのような光学系は、検出器の上流に構成され;すなわち、検出器は、そのような(任意的な)光学系の下流に構成される。第2の距離は、10~45mmほどであってもよいが、200mmまでであってさえよい。従って、複数の実施形態において、第2の距離は、10~30mm等、10~200mmの範囲、又は、40~80mmの範囲から選択することができる。
【0025】
検出器は、反射光を検出するように構成される。従って、検出器は、(無偏光の)光源による(連続的な)照明の間にイメージングのための反射光を検出する。検出器は、例えば、検出器の上流の偏光子による偏光を本質的に検出するだけである。検出器の光軸及びセンサ光軸は、本質的に一致していてもよい。さらに、センサ光軸及び全光源の正味の光軸は、(光源が検出器に対して対称的に構成されてもよいため)本質的に一致していてもよい。
【0026】
光源は、特に、検出器から第1の距離にあり、第1の距離は、(関連する)視野(寸法)よりも小さいように構成される。さらに、複数の光源は、特に、検出器から等距離に構成された2つ(又はそれ以上)の光源のセットを含んでもよい。そのようなセットは、独立して制御することができる。さらに、第1の距離は、光源のそれぞれに対して必ずしも等しくはない。従って、「光源のそれぞれから第1の距離(d1)にて構成された検出器」という表現及び同様の表現は、「光源から第1の距離(d1)にて構成された光源であって、光源のそれぞれに対する第1の距離は同一であってもよく、又は、2つ以上の異なる第1の距離がある、光源」として解釈されてもよい。本明細書において示されているように、第1の距離は、特に、1~100mmの範囲から選択することができる。
【0027】
特に、第1の距離は、光源の発光面と検出器の検出器領域(又は検出器表面)との最短距離である。図において示されているように、距離は、特に、センサの開口部又はアパーチャー(断面)に平行な面又は光軸に垂直な面で測定される。
【0028】
従って、本発明は、(一態様において(も))皮膚パラメータを測定するセンサを含むシステムを提供し、センサは、(i)(無偏光の)光源の光を提供するように構成された複数の空間的に分離された光源と、(ii)光源のそれぞれから第1の距離にて構成された検出器と、を含み、特定の実施形態では、センサは、10~80°の範囲から選択された入射角度(α)下で光軸を有する光源の光を提供するように構成され、動作中、センサは、センサのハウジングの開口部を皮膚上に有して皮膚上に構成され(ることになり)、さらに、(皮膚にて反射された)反射した光源の光を検出するように構成され(ることになり)、センサは、少なくとも3つの光源を含み、光源は、可視の光源の光を提供するように構成され、可視の光源の光は無偏光であり、第1の距離は、10~80mmの範囲から選択され、検出器は、偏光した光を検出するように構成される。このシステムは、付随の実施形態において定められるさらなる特徴を含んでもよい。
【0029】
システムは、メモリ、処理装置(又は「プロセッサ」若しくは「プロセッサシステム」若しくは「コントローラ」若しくは「制御システム」)、ユーザインターフェース、及び、LEDインジケータ等、感知した皮膚光沢値を示すための表示ユニット(例えば、感知した値に依存して0-n個のLEDのスイッチをオンにすることによって異なる値を示すのに適したものであって、nは、最大の感知した値を示すために使用されるLEDの数であり、nは、一般に、少なくとも3つ等、2以上であるもの等)、及び/又はディスプレイを含んでもよい。
【0030】
ユーザインターフェース装置の例として、数ある中でも、手動で作動されるボタン、ディスプレイ、タッチスクリーン、キーパッド、音声で起動される入力装置、音声出力、インジケータ(例えばライト等)、スイッチ、ノブ、モデム、及びネットワークカードが挙げられる。特に、ユーザインターフェース装置は、ユーザインターフェースが機能的に含まれることによってユーザインターフェースが機能的に結合される装置又は器具にユーザが指示するのを可能にするように構成されてもよい。ユーザインターフェースは、特に、手動で作動されるボタン、タッチスクリーン、キーパッド、音声で起動される入力装置、スイッチ、ノブ等を含んでもよく、及び/又は、任意的にモデム及びネットワークカード等を含んでもよい。ユーザインターフェースは、グラフィカルユーザインターフェースを含んでもよい。「ユーザインターフェース」という用語は、リモートコントロール等の遠隔のユーザインターフェースも意味し得る。リモートコントロールは、別の専用装置であってもよい。しかし、リモートコントロールはまた、システム又は装置若しくは器具を(少なくとも)制御するように構成されたAppを有する装置であってもよい。
【0031】
コントローラ/プロセッサ及びメモリは、任意のタイプであってもよい。プロセッサは、様々な記載された動作を行い、メモリに格納された命令を実行する能力を有し得る。プロセッサは、特定用途向け集積回路又は一般用途向け集積回路であってもよい。さらに、プロセッサは、本システムに従って行うための専用プロセッサであってもよく、又は、本システムに従って行うために多くの機能のうち1つのみが作動する汎用プロセッサであってもよい。プロセッサは、プログラム部分、複数のプログラムセグメントを利用して動作してもよく、又は、専用の若しくは多目的の集積回路を利用するハードウェアデバイスであってもよい。
【0032】
センサは、(i)光源の光(「光」)を提供するように構成された複数の空間的に分離された光源を含む。特に、センサは、少なくとも3つの空間的に分離された光源を含む。
【0033】
「光源」という用語は、発光ダイオード(LED)、共振空洞発光ダイオード(RCLED)、垂直共振器面発光レーザダイオード(VCSEL)、端面発光レーザ等の半導体発光素子を含んでもよい。「光源」という用語は、パッシブマトリクス(PMOLED)又はアクティブマトリクス(AMOLED)等の有機発光ダイオードも指し得る。特定の実施形態では、光源は、固体光源(LED又はレーザーダイオード等)を含む。一実施形態では、光源は、LED(発光ダイオード)を含む。LEDという用語は、複数のLEDも指し得る。さらに、「光源」という用語は、複数の実施形態では、いわゆるチップオンボード(COB)光源も指し得る。「COB」という用語は、特に、PCB等、入れられても接続されてもいないが、基板上に直接乗せられた半導体チップの形態のLEDチップを指す。従って、複数の半導体光源が、同じ基板上に構成されてもよい。複数の実施形態では、COBは、単一の照明モジュールとして共に構成されたマルチLEDチップである。
【0034】
さらに、光源は、無偏光の光源の光を提供するように構成される。これによって、センサは、反射光の偏光方向から情報を得ることが可能になる。従って、このシステムでは、特定の実施形態において、無偏光の光源の光が皮膚にて提供される。
【0035】
光源は、可視光及び赤外光(特に近赤外光)のうち1つ以上を提供するように構成されてもよい。可視光は、白色光であってもよい。IR光は、例えば、特に、約1200nmまでの範囲から選択される等、750~3000nmの範囲から選択される波長を有する放射線であってもよい。
【0036】
さらに、光源は、特に、白色光を提供するように構成される。本明細書において白色光という用語は、当業者に知られており、特に、約2000から20000K、特に2700~20000Kの相関色温度(CCT)を有する光であって、特に、約2700から6500Kの範囲の一般照明のための、及び、特に、約7000から20000Kの範囲のバックライト目的のための、特に、BBL(黒体軌跡)から約15 SDCM(色合わせの標準偏差)内の、特に、BBLから約10 SDCM内の、さらにより具体的には、BBLから約5 SDCM内の光に関連していてもよい。特に、白色光は、黄色発光の発光材料を有する青色LEDによって提供されてもよい。そのような光源は、本質的に偏光されていない白色光を提供することができる。可視光は、389~780nmの範囲から選択される波長を有する。
【0037】
特に、センサは、複数の空間的に分離された光源を含む。これは、光源間にいくらか距離があるということを暗示している。特に、光源は、その間に検出器を有するように構成される。さらに、特に、光源の最大数は、3又は4又は6等、8のように、10等、約12である。約12まで、さらにより具体的には、約6まで等、約8までが、センサの周囲の配置を可能にし、これは、隣接する光源間の空間的分離も可能にし、これは、少なくとも5mm等、少なくとも10mmのように、約1~100mmほどであって(も)よい。
【0038】
従って、複数の実施形態では、システムは、少なくとも3つの光源を含む。別のさらなる実施形態では、センサは、センサ光軸を有し、光源は、センサ光軸を中心として回転対称に構成される。複数の実施形態において、光源は、360°/nの光軸との角度の下、互いに関連して構成されてもよく、nは光源の数である。従って、システムが少なくとも3つ又は4つの光源を含む実施形態では、光軸との相互角度は、それぞれ120°及び90°であり得る。
【0039】
従って、上述したように、システムは、特に、少なくとも2つの光源、さらにより具体的には少なくとも3つの光源を含み、光源は、特に、無偏光の(可視の)光源の光、さらにより具体的には白色光を提供するように構成される。
【0040】
複数の実施形態において、システムは、特に、可視の光源の光を提供する複数の光源を含んでもよく、可視の光源の光は無偏光であり、特に、本質的に全ての可視の光源の光は無偏光である。特に、光源のそれぞれが、本質的に無偏光の可視の光源の光を提供する。従って、これらの実施形態は、無偏光の光源の光を皮膚に提供し、光源の光は、本質的に部分的に偏光されない。従って、特に、光源は、可視の光源の光を提供するように構成され、可視の光源の光は無偏光である。
【0041】
さらに上述したように、システムは、光源のそれぞれから第1の距離(d1)にて構成される検出器も含む。良好な結果を、約1~80mmの範囲内にある第1の距離(d1)で得た。従って、特定の実施形態では、第1の距離は、6~14mmの範囲のように、5~20mm等、特に4~20mmのように、5~80mmの範囲等、1~80mmの範囲、特に2~60mmの範囲から選択することができる。従って、複数の実施形態において、第1の距離(d1)は、6~14mm等、特に約8~14mmのように、約4~20mmの範囲から選択することができる。
【0042】
特に、検出器は、偏光した光を検出するように構成される。この目的のために、検出器は、検出器の上流に構成される偏光子を含んでもよい。このようにして、偏光した光、特にS偏光した光のみを、検出器によって受けることができる。以下において、偏光子のいくつか特定の実施形態がさらに明らかにされる。
【0043】
特に、検出器は、偏光した光を検出するように構成される。従って、センサは、検出器の上流に構成された偏光子を含んでもよい。検出器が偏光した光、特にS偏光した光、又或いは、特にP偏光した光を受けるように、偏光子は、(皮膚にて反射された)反射した(無偏光の)光源の光を選別することができる。
【0044】
特定の実施形態では、センサは、特に10~80°の範囲から選択された、第3の距離(d3)における皮膚との入射角度(α)下で光軸(OL)を有する光源の光を提供する、及び、(皮膚にて反射された)反射した光源の光を検出するように構成される。当然ながら、皮膚は、システムの一部ではない。しかし、このシステムは、特に、第3の距離にて皮膚を測定するように構成される。例えば、システムは、距離ホルダ又は他の要素を含んでもよく、これによって、第3の距離でのセンサの構成が可能になる。この距離にて、10~80°、特に20~80°の範囲内にある上記の入射角度が達成され得る。以下においてさらに明らかにされる特定の実施形態では、角度は20~60°の範囲から選択される。
【0045】
従って、特定の実施形態では、センサは、10~80°の範囲から選択される検出器の光軸(O2)に対する角度(α)下で光軸を有する光源の光を提供するように構成される。さらに、複数の実施形態において、角度(α)は、特に、20~60°の範囲から選択されてもよい。検出器/センサの光軸は、本明細書において、「センサ光軸」としても示される。
【0046】
従って、複数の実施形態において、センサは、特に、第3の距離(d3)にて皮膚を有して、反射した光源の光を検出するように構成されてもよい。
【0047】
距離ホルダは、皮膚が検出器又は(検出器から見て)検出器の前の最後の光学系から第2の距離にあるように、皮膚上に置かれるように構成される。特に、距離ホルダは、皮膚が検出器又は(検出器から見て)検出器の前の最後の光学系から第2の距離にあるように、皮膚上に平らに置かれるように構成されてもよい。距離ホルダは、センサのハウジング内に含まれてもよい。特に、システムは、センサを少なくとも部分的に包囲するハウジングを含んでもよく、ハウジングは、距離ホルダを含む。或いは、システムは、ハウジングと(別の)距離ホルダとを含んでもよく;そのような実施形態では、第2の距離は、さらに増加され得る。また、ハウジング以外の距離ホルダは、開口部を含んでもよい。
【0048】
システム又はハウジング等のその少なくとも一部は、皮膚に押し付けられるように構成されてもよい。従って、「皮膚上」は、システム又はその少なくとも一部が(使用中に)皮膚に押し付けられること、特に、ハウジング等の距離ホルダが皮膚に押し付けられることを示し得る。従って、「第2の距離」という用語は、特に、システムの使用中の、検出器又は(検出器から見て)その最後の光学系と皮膚との距離を指す。第2の距離は、開口部/皮膚と検出器(又は、検出器の上流の光学系(そのような光学系が利用可能な場合))との間のゼロ以外の距離である。光学系という用語は、特に、ここではレンズを指し得る。
【0049】
複数の実施形態において、センサは、シリコンベースのセンサ及びInGaAsベースのセンサのうち1つ以上を含んでもよい。
【0050】
特定の実施形態では、検出器は、CCD(又はCMOS)カメラTD-Next 5620 M7_1A及びTD-Next 5640 M12_3B等、2Dカメラを含む。各ピクセルは、本質的に、それぞれ青、緑、及び赤に対する3つのピクセルから構成されてもよい。これは、青、緑、及び赤のチャネルの強度を別々に検出器に提供することができる。
【0051】
複数の実施形態において、検出器は、約10*10mm2の検出器面積を有してもよい。検出器は、1メガピクセル以上ほどを有してもよい。
【0052】
さらなる実施形態において、センサは、検出器の上流(及びセンサーウィンドウの下流)に構成された集束レンズをさらに含んでもよい。集束レンズは、検出器の一方の側にて焦点を有し、及び/又は、レンズのもう一方の側にて皮膚に焦点を有するように構成することができる。レンズは、検出器における皮膚の良好な画像を可能にし得る。
【0053】
複数の実施形態において、センサは、検出器の上流及び集束レンズの上流に構成されるアパーチャーをさらに含んでもよい。これは、解像度をさらに高めることができる。アパーチャーは、複数の実施形態において、0.1~5mm、特に0.1~0.8mmのように、より具体的には0.1~2mmの範囲から選択される直径を有し得る。
【0054】
システムの光軸は、検出器に対して垂直に構成されてもよい。光源の光軸は、(皮膚等の)距離d2の鏡にて反射され、アパーチャーの中心を通って伝搬した後に検出器に到達する(さらに、検出器表面の端に到達する)光源の光の光線と同一線上にあるとして定めることができる。従って、センサは、10~80°の範囲から選択される検出器の光軸(O2)に対する角度(α)下で光軸(OL)を有する光源の光を提供するように構成される。従って、角度αは、入射角度として定めることもできる。検出器(表面)に対して垂直であることは、本質的に、(皮膚等の)距離d2の鏡に対して垂直であることと一致し得る。鏡及び検出器表面は、本質的に平行に構成されてもよい。同様に、アパーチャー及び検出器表面(及び鏡)は、本質的に平行に構成されてもよい。使用中、センサ(システム)の光軸は、従って、皮膚(及び検出器(表面))に対して本質的に垂直に構成される。
【0055】
上述したように、センサは、(iii)光源の下流及び検出器の上流に、センサからの光源の光の伝搬のため、及び、センサ内への反射されたセンサ光の入口のためのセンサ開口部をさらに含む。例えば、システムは、センサ開口部を有する壁を含んでもよい。システムは、システムから突き出る距離ホルダ又は他の要素も含んでもよく、距離ホルダ又は他の要素は、センサ(及びウィンドウ;下記参照)から所定の距離で感知されることになる皮膚の配置を可能にする。この目的のために、開口部は、センサ開口部内への皮膚の実質的な膨隆を防ぐ寸法を有してもよい。従って、センサ開口部を定めることによって、皮膚とセンサとの及び皮膚とウィンドウとの距離を定めることができる。
【0056】
特に、センサ開口部は、皮膚とウィンドウとの距離が、少なくとも2mm等、さらにより具体的には少なくとも3mmのように、少なくとも1mmの範囲内にあるように構成される。
【0057】
従って、システムは、光源の下流に構成され、センサ開口部の上流に構成され、さらに、検出器の上流に構成され、センサ開口部までの第2の距離(d2)が、特定の実施形態では、少なくとも3mmであるセンサウィンドウも含む。上述したように、ウィンドウは、特に、本質的に平面のウィンドウである。さらに、特にウィンドウは、ウィンドウを通る又はウィンドウの端におけるセンサ内への水の侵入を可能にしないように構成される。
【0058】
さらに、ウィンドウは、光源の光を透過する材料のものである。適した光透過性材料は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(Plexiglas又はPerspex)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、シリコーン、ポリ塩化ビニル(PVC)、一実施形態において(PETG)(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)を含むポリエチレンテレフタレート(PET)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、及びCOC(環状オレフィンコポリマー)を含む群から選択される等、透過性有機材料を含む群から選択される1つ又は複数の材料を含んでもよい。特に、光透過性材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メチル)メタクリレート(P(M)MA)、ポリグリコライド又はポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸-co-3-ヒドロキシ吉草酸)(PHBV)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等、芳香族ポリエステル又はそのコポリマーを含んでもよく;特に、光透過性材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでもよい。従って、光透過性材料は、特に、高分子の光透過性材料である。しかし、別の実施形態では、光透過性材料は、無機材料を含んでもよい。特に、無機光透過性材料は、ガラス、(溶融)石英、透過性セラミック材料、及びシリコーンを含む群から選択することができる。無機部分も有機部分も含むハイブリッド材料も適用することができる。特に、光透過性材料は、PMMA、透明PC、又はガラスのうち1つ又は複数を含む。特に、材料は、ガラス及びポリメタクリル酸メチルを含む群から選択される。
【0059】
さらに、センサウィンドウは、特に、透明である。そのようなウィンドウは、1つ又は複数の光源の光の波長等、関心のある波長に対して比較的大きな平均自由行程を有し得る。従って、複数の実施形態においては、散乱効果のみを考慮した平均自由行程は、光源の光に対して少なくとも10mm等、少なくとも5mmであってもよい。「平均自由行程」という用語は、特に、光線が、その伝搬方向を変えることになる散乱事象を経験する前に移動することになる平均距離である。
【0060】
センサウィンドウと皮膚との間の短い距離は、ゴーストスポットが比較的顕著であり得るため、センサ信号に比較的有害であるように思われる。特に、第2の距離は、少なくとも3mmであり、さらにより具体的には少なくとも4mmである。特定の実施形態において、第2の距離(d2)は、4~10mmの範囲から選択される。そのような実施形態では、ゴーストスポットは、本質的に、検出器によって観察されないことがある。
【0061】
特に、距離(d2)及びセンサウィンドウのセンサウィンドウ厚(d4)は、カバーガラスから検出器への直接的な鏡面反射が回避されるように選ばれる。所定のセンサに対して、(装置の使用中)皮膚の位置を推定又は予測することができ、その結果、最適な第2の距離(d2)及びセンサウィンドウの厚さ(d4)を定めることができる。
【0062】
複数の実施形態において、既定の第2の距離d2に基づき、センサウィンドウ厚を(例えば、シミュレーションを介して)最適化することができ、最適化されたセンサウィンドウ厚を有するセンサウィンドウを、(センサの使用中)第2の距離d2が得られるような位置に配置することができる。
【0063】
或いは、複数の実施形態において、既定のセンサウィンドウ厚に基づき、第2の距離を、(例えば、シミュレーションを介して)最適化することができ、最適化されたセンサウィンドウ厚を有するセンサウィンドウを、(センサの使用中)最適化された第2の距離d2が得られるような位置に配置することができる。
【0064】
さらなる実施形態において、既定の第2の距離の範囲に基づき、及び、既定のセンサウィンドウ厚の範囲に基づき、センサウィンドウ厚及びセンサウィンドウ位置を、(シミュレーションを介して)最適化することができる。最適化されたセンサウィンドウ厚を有するセンサウィンドウを、(センサの使用中)最適化された第2の距離d2が得られるような位置に配置することができる。
【0065】
センサ開口部は、センサウィンドウの下流で、本質的にいかなる(断面)形状を有してもよい。しかし、特に、センサ開口部は、楕円形等、1つ又は複数の湾曲した(断面)形状を有し、さらに、本質的には円形である。上述したように、センサ開口部は、大きすぎない可能性がある。特定の実施形態では、センサ開口部は、少なくとも3mmのように、特に1~20mm等、1~65mmの範囲から選択される円相当径を有する。不整形な二次元形状の円相当径(又はECD)は、相当面積の円の直径である。例えば、辺aを有する正方形の円相当径は、2*a*SQRT(1/π)である。示されているように、センサ開口部は、特に円形であってもよい。
【0066】
良好な結果が、約0.1~20mmの範囲のウィンドウ厚で得られる。従って、複数の実施形態において、センサウィンドウは、約1~10mmの範囲のように、0.1~20mmの範囲から選択されるセンサウィンドウ厚(d4)を有する。特に、センサウィンドウの厚さは、本質的に、ウィンドウにわたって一定である。
【0067】
本明細書において記載される条件を使用することによって、ゴーストスポットは、減らされるか又は本質的にさえも減らされ、例えば、より高い信号/バックグラウンド比の結果として、より信頼できるセンサ結果をもたらす。ゴーストスポットの原因となる光線が散乱され、さらに良好な結果でさえも得ることができる。従って、特定の実施形態では、センサウィンドウは、中心部分と周辺部分とを含み、検出器の光軸(O2)は、中心部分を通過し、周辺部分は、アンチグレア要素を含む。アンチグレア要素は、表面散乱特徴及び/又はバルク散乱特徴を含んでもよい。アンチグレア要素は、センサウィンドウの表面の一部上の不規則又は規則的な形状の構造、及び/又は、ウィンドウ内の散乱粒子を含んでもよい。特に、光源の光軸も、中心部分を通過する(すなわち、光軸と同一線上の光源の光は、アンチグレア要素によって散乱されない)。中心部分は、本質的に、そのようなアンチグレア要素を含まず、従って、本質的に透明であってもよい。周辺部分は特に半透明である。
【0068】
特に、周辺部分は(従って)中心部分を取り囲んでいる。周辺部分と中心部分の合計面積に対して、前者は(センサウィンドウの)合計面積の10~50%等、10~80%のように、約5~90%であってもよく、後者は、50~90%等、20~90%のように、合計面積の約10~95%であってもよい。特に、実施形態では、中心部分の面積は、周辺部分の面積とほぼ等しいか、又はそれよりも大きい。しかし、他の実施形態では、中心部分の面積は、周辺部分の面積とほぼ等しいか、又はそれよりも小さい。
【0069】
従って、複数の実施形態において、ウィンドウの外面の一部及び/又はウィンドウの検出器に向けられた表面の一部は、表面粗さを提供する構造(本明細書においては「表面特徴」としても示されている)を含んでもよい。これらの構造は、ランダムな形状及び/又は規則的な形状とすることができる。さらに、これらの構造は、ランダムに配置及び/又は規則的に配置されてもよい。従って、複数の実施形態において、センサウィンドウは、上流面と下流面とを含み、周辺部分における上流面及び下流面のうち1つ以上は、特に40~500nmの範囲から選択される等、特に20~1000nmの範囲から選択される二乗平均平方根の表面粗さを有する。
【0070】
複数の実施形態において、表面特徴は、40nm~100μmの範囲から選択される平均断面円相当径を有してもよい。またさらに、隣接する表面特徴間の平均距離は、平均断面円相当径の5倍以下である。特定の実施形態では、表面特徴は、可能な限り高い理論的なパッキングの少なくとも90%のように、可能な限り高い理論的なパッキングの少なくとも約80%に適合する構成で配置される。例えば、本質的に円形断面を有する表面特徴を仮定すると、最も近いパッキングは、表面特徴の六角形の配置で得ることができ、これは、本質的に、可能な限り高い理論的なパッキングの100%をもたらし得る。(ウィンドウの平面に平行して)同一の断面形状を有する立方体のように、互いに完全にマッチする表面特徴が使用されない限り、可能な限り高い理論的なパッキングは100%未満である。
【0071】
特定の実施形態では、システムは、分析システムをさらに含んでもよい。分析システムは、センサのセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成される。分析システム及びセンサは、皮膚洗浄装置、皮膚若返り装置等の単一の装置に組み込むことができる。従って、複数の実施形態において、システムは、そのような皮膚洗浄装置、皮膚若返り装置等のようなスキンケア装置を含み、スキンケア装置は、センサ及び分析システムを含む。分析システムは、センサの信号、特に検出器の信号を、(ディスプレイ又はLEDバー等の)インジケータユニット上の皮膚光沢の表示等、ユーザの有用な情報を有し得る信号に変換することができる。皮膚センサ値は、皮膚センサ値と皮膚パラメータとの既定の関係に基づく皮膚パラメータにさらに処理することができる皮膚パラメータであり得る。
【0072】
しかし、他の実施形態では、センサは、分析システムに有線又は無線で接続された別の装置によって含まれてもよい。例えば、そのような分析システムは、スマートフォンによって含まれてもよい。例えば、Appを使用して、センサを読み出し、センサによって生成されたセンサ信号に基づき皮膚センサ値を表示することができる。従って、さらに他の実施形態では、当該システムは、(i)センサを含むスキンケア装置と、(ii)スキンケア装置に機能的に結合された第2の装置とを含み、第2の装置は分析システムを含む。「分析システム」という用語は、複数の相互関係を持つシステムも指し得る。例えば、センサは、プロセッサを(さらに)含んでもよく、外部装置が、互いに通信し得るプロセッサを含んでもよい。センサのプロセッサは、センサ信号を提供することができ、外部装置のプロセッサは、それに基づき、皮膚の光沢度/油脂性を示す皮膚センサ値を生成する。
【0073】
センサ信号は検出器信号であってもよい。他の実施形態では、センサ信号は、処理された検出器信号であってもよい。従って、「検出器信号に基づく」という表現は、複数の実施形態において、処理された検出器信号も指し得る。センサ信号に基づき、すなわち、本質的に検出器信号に基づき、分析システムは、対応する皮膚センサ値を提供することができる。
【0074】
システムが、皮膚洗浄装置又は皮膚若返り装置等の機能的装置を含む場合、この装置は、(光沢を感知するための)センサのセンサ信号(又は皮膚センサ値)に依存して動作を実行するように構成されてもよい。例えば、皮膚光沢(又は皮膚油脂性)の特定の下限又は上限閾値に達すると、機能的装置は、音響又は振動信号のような信号をユーザに提供することができる。代替的又は追加的に、機能的装置は、センサ信号に依存して皮膚のマッサージを増加又は減少させる等、センサ信号に依存して特定の動作を減少又は増加させることができる。
【0075】
「上流」及び「下流」という用語は、特に、光発生手段(ここでは、特に光源)からの光の伝搬に関連するアイテム又は特徴の配置に関し、光発生手段からの光のビーム内の第1の位置に対して、光発生手段により近い光のビーム内の第2の位置は「上流」であり、光発生手段からさらに離れた光のビーム内の第3の位置は「下流」である。光がセンサに対して反射されると、光線は皮膚から検出器に伝搬する。従って、検出器に関しては、本質的に、センサウィンドウと検出器との間のいかなる要素も検出器の上流にあり;光源に対して、光源とセンサウィンドウとの間又は光源と皮膚との間のいかなる要素も光源の下流にある。センサウィンドウは光源の下流に配置されるが、検出器の上流に配置されていると考慮され得る。光源の光はセンサウィンドウを通って(皮膚の方向に)伝搬するため、センサウィンドウはセンサ開口部の上流にある。検出器に対して、センサウィンドウは、(光が検出器表面の方向に移動するため)センサ開口部の下流にある。使用中、光源の光の一部は、センサを通過し、センサ開口部を通過し、皮膚にて受けられる。従って、皮膚は、センサウィンドウを介して無偏光の光源の光を受ける。皮膚にて反射された光の少なくとも一部が、センサ開口部、センサウィンドウ、任意の光学系を通過し、検出器表面にて受けられる。
【0076】
従って、別のさらなる態様では、本発明は、皮膚光沢を感知する方法も提供し、この方法は、本明細書において定められるシステムで光源の光を皮膚に提供し、さらに、皮膚にて反射された反射した光源の光をシステムで感知することを含む。
【0077】
当該方法は、特に、ハウジングが皮膚上の開口部を含んで等、皮膚上のセンサを用いて実行され、それによって、動作中に、皮膚と検出器又はその最後の光学系との第2の距離が存在する。
【0078】
特に、当該方法は、非医学的な方法である。特に,当該方法は、美容的な方法である。
【0079】
また、別のさらなる態様では、本発明は、プログラム命令を格納させたデータキャリアも提供し、プログラム命令は、本明細書において定められるシステムによって実行されると、本明細書において定められる方法をシステムに実行させる。例えば、この目的のために、システムはプロセッサを含んでもよい。
【0080】
上述したように、システムは、偏光子を含んでもよい。偏光子は、1つ又は複数の特定の偏光のみが検出器に入ることを可能にするように構成される。従って、特定の実施形態では、センサは、検出器の上流に構成された偏光子を含む。とりわけ、偏光子は、(i)セグメント化偏光子(a segmented polarizer)及び(ii)空間変化偏光子(a spatially varying polarizer)のうち1つ以上を含む。これによって、特に光源が順次駆動される場合に、検出器の(回転)位置の影響を減らすことが可能である。このようにして、センサは、光源の関数として反射光を検出することができる。偏光子の異なる偏光では、システムの感度はより高くてもよい。特に、偏光子は、センサウィンドウの下流に構成される。レンズが利用可能な場合、偏光子は、(レンズが検出器(表面)の上流に構成されて)レンズの下流に構成されてもよい。従って、偏光子は、特に、反射した無偏光の光を受け、偏光された光を検出器の方向に送る。
【0081】
従って、特定の実施形態では、装置は、センシングモードを含み、光源は、光源の光を順次提供するように構成される。さらなる特定の実施形態において、検出器は、光源によって順次生成される反射した光源の光を順次検出するように構成されてもよく、さらに、対応する検出器信号を生成するように構成されてもよい。上述したように、システムは、分析システムをさらに含み、分析システムは、センサのセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成され、特定の実施形態では、皮膚センサ値は、それぞれの検出器信号の平均に基づいている。
【0082】
複数の実施形態では、セグメント化偏光子は、異なる偏光方向を有する2つ以上のピクセルを有するピクセル化ワイヤグリッド偏光子を含む。ここで、「ピクセル」という用語は、領域も指し得る。特に、センサは、4つの光源等、nの光源を含み、セグメント化偏光子は、(4つの光源の場合)2つのピクセルの2つのセット等、互いに垂直な偏光方向を有するnのピクセルを有するピクセル化ワイヤグリッド偏光子を含む。上述したように、nの値は、特に、3若しくは4又はそれ以上等、少なくとも2である。
【0083】
複数の実施形態において、空間変化偏光子は、アジマス変化偏光子及びラジアル変化偏光子のうち1つ以上を含み、特に、より多くのエミッタが互いに非常に近くで構成されることを可能にする。
【0084】
最良の結果を、ブルースター角付近で得ることができる。従って、複数の実施形態において、センサは、第3の距離(d3)における皮膚への入射角度(α)下で光軸(OL)を有する光源の光を提供するように構成され、入射角度(α)は、50~60°の範囲から選択され、さらにより具体的には、入射角度(α)は、52~56°の範囲から選択される。
【0085】
従って、数ある中でも、本明細書において、ブルースター角又は偏光角に(本質的に)等しい入射角度で皮膚を照射する複数の無偏光の発光素子からの連続的な照明、及び、検出経路におけるセグメント化偏光子又は空間変化偏光子を使用した皮膚光沢測定システム及び方法が提供される。
【0086】
特に良好な結果を、(従って)光源が順次駆動される場合に得ることができる。光源は異なる位置にて構成されるため、反射挙動及び偏光挙動、並びに、反射光の角度依存性は、このようにして、(皮膚構造及び/又は照明の不均一性から結果として生じ得る)さらなる情報を提供することができ、及び/又は、皮膚上の回転位置に対するセンサの依存性を減らすことが可能になり得る。
【0087】
従って、特定の実施形態では、装置はセンシングモードを含み、光源は、光源の光を順次提供するように構成される。
【0088】
例えば、センサは、0.1*n-100*n Hzの範囲の測定周波数を有してもよく、ここで、nは光源の数である。例えば、1*n Hzでは、毎秒、全ての光源が皮膚を続けて照射し、検出器が、それぞれの光源に基づき、あり得る反射を(続けて)測定した。
【0089】
当然ながら、複数の光源を使用することによって、2つ以上の光源のサブセットの対処も可能になり得る。例えば、4つの光源が使用される場合には、2つの光源のセットを2つ有することも可能であってもよく、これらは、(間に検出器を有して)対向して構成され、光源のセットは、交互にスイッチがオン及びオフにされる。
【0090】
そのような方法の組み合わせも適用することができ、例えば、時間内に光源のセットの組成を変えることができる。例えば、1つのモードにおいて、所定の時間の間に、光源は順次対処され、その後の所定の時間において、光源はグループとして対処される。そのようなモードは、これらのそれぞれの所定の時間の繰り返しを含んでもよい。あらゆる種類の照明スキームを使用して、より信頼できる皮膚光沢の測定をさらに行うことができる。
【0091】
検出器信号は、それぞれの光源によって生成された信号にわたる平均であってもよい。従って、別のさらなる実施形態では、検出器は、光源によって順次生成された反射した光源の光を順次検出するように構成され、さらに、対応する検出器信号を生成するように構成され、システムは、分析システムをさらに含み、分析システムは、センサのセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成され、皮膚センサ値は、それぞれの検出器信号の平均に基づいている。従って、特に検出器信号は、第一に処理され、次に平均化される。このようにして、検出器信号は、それぞれの光源によって生成された信号にわたる平均であってもよい。
【0092】
上述したように、システムは、少なくとも3つの光源を含んでもよい。またさらに、上述したように、複数の実施形態において、センサはセンサ光軸(O2)を有し、光源はセンサ光軸(O2)を中心として回転対称に構成される。
【0093】
さらなる特定の実施形態において、上述もしたように、システムは、分析システムをさらに含んでもよく、分析システムは、センサのセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成される。センサ信号が生成される多くの方法が存在し得る。多くの低コストの装置が家庭用途に対して報告されているけれども、これらの装置を使用した光沢測定は定量的ではないように思われ、また主観的知覚及び基準装置の測定値とは相関関係を持っていない可能性がある。光沢を推定する方法は、無偏光照明を使用して得られたカメラ画像において特定の閾値を超える白色ピクセルの数を数えることに基づいてもよい。しかし、白色ピクセルの数に基づく光沢推定は、入射光の強度レベル(及びその変動)、閾値、及び皮膚の光学特性の変化(個体間及び個体内の変化)に依存し、これはあまり望ましくないように思われる。
【0094】
以下において、より信頼できる結果を提供し得るいくつか特定の実施形態が記載される。
【0095】
従って、複数の実施形態では、特にシステムは、検出器を用いて皮膚の画像を作成するように構成され、皮膚の画像は、最大強度が感知される第1の領域と、第1の領域から第1の画像距離だけ離れた第2の領域とを含み、第1の領域と第2の領域は重複せず、システムは、第1の領域と第2の領域との間の経路に沿った反射した光源の光の強度依存性に基づき皮膚センサ値を生成するようにさらに構成される。画像は、画像領域を有し得る。第1及び第2の領域は、画像領域の0.1~10%のように、0.05~15%等、例えば0.05~30%の領域であってもよい。さらに、第1の画像距離、すなわち、第1の領域と第2の領域との間の距離、より正確には、これら2つの領域の境界間の最も短い距離は、少なくとも第1の領域又は第2の領域の領域サイズほどであってもよい。一般に、第1の領域及び第2の領域は、本質的に同じであってもよい。任意的に、領域は異なってもよいが、その後、補正係数が適用され得る。さらに、一般に、これらの領域は、正方形又は長方形、特に正方形で選ばれる。最大強度が感知される領域は、本質的に鏡面反射が発生する画像の領域、すなわち、光源の光が鏡のように反射され、検出器によって検出される画像の領域であってもよい。
【0096】
従って、第1の画像距離は、画像領域の0.1~10%の平方根のように、画像領域の0.05~15%の平方根等、画像領域の0.05~30%の平方根の範囲内にあってもよい。特に、第1の領域と第2の領域との間の距離は、画像領域の少なくとも5%の平方根である。画像領域は固定値を有さなくてもよいが、例えば倍率に依存し得るということに留意されたい。
【0097】
さらに、「画像を作成する」という用語及び類似の用語は、必ずしもその瞬間で実際の画像を作成することを含んでいなくてもよいが、検出器表面にわたる異なる位置における検出器の値を読み出すことも指し得るということに留意されたい。
【0098】
2つの領域から及び/又はそれらの2つの領域間の(真っすぐな)線又は領域から得ることができる情報は、光沢度に関する情報を提供することができ、特にシステムが較正されている場合には、皮膚光沢(皮膚油脂性を含む)を定量化することが可能になり得るように思われる(下記も参照)。
【0099】
従って、複数の実施形態において、システムは、第1の領域と第2の領域との間の経路に沿った反射した光源の光の強度によって定められた曲線の傾きに基づき皮膚センサ値を生成するように構成されてもよい。従って、曲線の傾き又は曲線の角度に基づき、有用な皮膚光沢値を生成することができるように思われる。
【0100】
代替的又は追加的に、システムは、第1の領域と第2の領域との間の経路に沿った反射した光源の光の強度によって定められた曲線下の面積に基づき皮膚センサ値を生成するように構成されてもよい。従って、曲線下面積又は曲線の角度にも基づき、有用な皮膚光沢値を生成することができるように思われる。経路は、直線軌道又は直線として示すこともできる。
【0101】
さらに、代替的又は追加的に、システムは、既定の閾値を超える画像のピクセルの数に基づき皮膚センサ値を生成するように構成されてもよい。従って、閾値を超えるピクセルの数に基づき、有用な皮膚光沢値を生成することができるようにも思われる。
【0102】
さらに、代替的又は追加的に、システムは、それぞれ対応するピクセル強度で重み付けされた既定の閾値を超える画像の平均ピクセル数に基づき皮膚センサ値を生成するように構成されてもよい。従って、閾値を超える重み付けされたピクセルの数にも基づき、有用な皮膚光沢値を生成することができる。
【0103】
さらに、代替的又は追加的に、システムは、第1の領域と第2の領域の積分強度の関係に基づき皮膚センサ値を生成するように構成されてもよい。従って、これらのそれぞれの比の鏡面対拡散強度比(ratio specular to diffuse intensity)も、皮膚光沢値を生成するために使用され得る。例えば、本質的に鏡面反射性の領域及び本質的に拡散反射性の領域でシステムが較正される場合、皮膚光沢パラメータは、これらのそれぞれの比の鏡面対拡散強度比から得ることができる。
【0104】
さらに、代替的又は追加的に、システムは、画像内のバイナリラージオブジェクト(「blob」)を定めるように構成され、システムは、画像内のバイナリラージオブジェクトの平均サイズ及び最大サイズのうち1つ以上に基づき皮膚センサ値を生成するように構成される。従って、blobの数及び/又はblobのサイズに基づき、有用な皮膚光沢値を生成することもできる。従って、この実施形態では、白色ピクセルの数自体は使用されないが、blobが定められる。従って、特定の強度閾値にわたる少なくともkの数の隣接するピクセルのように、閾値もそれらのblobに対して定めることができる。
【0105】
上述の実施形態では、何回も較正が述べられてきた。特に、皮膚光沢又は皮膚油脂性の定量的評価のために、システムの較正、より正確にはセンサの較正(実際には、従って、検出器の較正)が有用であり得る。この較正は、センサの生産後に行うことができる。代替的又は追加的に、較正は、例となるセンサの1つ又は複数の以前の較正に基づき、各センサに対してソフトウェア実装されてもよい。較正はまた、測定プロセスの一部であってもよいか、又は、定期的にスケジュールされてもよい。特定の実施形態では、較正は、センサの生産後に一度適用される。さらに、システムは、基準センサのセンサパラメータに基づき又は例えば信号のドリフト等に基づき較正を更新することができる制御ルーチンを含んでもよい。
【0106】
特定の実施形態では、システムは、フラットフィールド補正後のセンサのセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成される。フラットフィールド補正は、デジタルイメージングの品質を改善するために使用される技術である。フラットフィールド補正は、特に、照明及び検出の不均一性によって、検出器のピクセル間の感度の変化、及び/又は光路の歪みによって引き起こされる2D画像からのアーチファクトを補うために使用される。上述したように、フラットフィールド補正は、例えば、スペクトラロンのような拡散標準板等、純粋な拡散基準を用いた測定に基づいてもよい。そのような測定に基づき、フラットフィールド補正が提供されてもよく、これは、(本明細書において記載される)いかなる測定において使用されてもよい。
【0107】
別のさらなる実施形態では、システムは、検出器の赤、緑、及び青のチャネルのそれぞれの信号の平均に基づき、センサのセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0108】
本発明の実施形態は、次に、付随の概略図を参照して、単なる例として記載される。概略図において、対応する参照記号は、対応する部分を示している。
【
図1a】当該システムの一態様を概略的に描いた図である。
【
図1b】当該システムの一態様を概略的に描いた図である。
【
図2】界面における無偏光の反射及び透過を示した図である。
【
図3】照明及び検出のためのあり得る偏光スキームの概略図である。
【
図4a】皮膚と接触した射出ガラスウィンドウを使用した皮膚上での測定を示した図であり、ガラスウィンドウからのゴーストスポットが、皮膚から検出される光の強度よりも強く、従って、可能な解決策ではない
【
図4b】光学系と光沢紙との間の反射防止コーティングガラスウィンドウを示した図であり、鏡面反射が反射されるが、絶縁体コーティングに対する入射角度と波長選択の依存性のため、画像は緑色に見える
【
図5】皮膚から3mm以上離れたガラスウィンドウを使用したプロトタイプを概略的に示すシミュレーション(左)、及び、PMMAウィンドウ及び皮膚からの反射スポットがセンサ上にあること(右)を示した図である。
【
図6】皮膚から反射されたスポットに対する、センサ上のPMMAウィンドウからの反射スポット(ゴーストスポット)のシフトを示すシミュレーションを示した図である。
【
図7】、(0~3mmに及ぶ)ガラスウィンドウのガラス厚(GT)に対する、及び、異なる光沢値(Gloss~20、40、100 a.u.)についてのS/D比(鏡面/拡散)の依存性を示した図であり、参照Gは光沢度を%(20、40、及び100%)で示し;皮膚からのガラスウィンドウの距離は0.1mmであった。皮膚に適切である範囲の光沢値である20%の光沢値を有する試料に対しては、厚いガラスウィンドウを使用することによって、ゴーストスポットの影響を最小限に抑えることができる。0mmのガラス厚では、(従って)センサウィンドウは存在しない。
【
図8】試料の光沢値(Gloss~0から100 a.u.)に対するS/D比の依存性を示した図であり、皮膚からガラスウィンドウの距離は0.1mmであった。ゴーストスポットの影響は低い光沢の試料に対してはより重要であり、皮膚の光沢値はこの範囲(~10~20%光沢単位)内にあると予想される。ここで、参照記号Gはガラスウィンドウを含む装置を示し、参照記号NGはそのようなガラスウィンドウを有さない装置を示している。さらに、X軸上のGは光沢度(%)を示している。
【
図9】試料の光沢値(Gloss~0から100 a.u)に対するS/D比の依存性を示した図であり、ゴーストスポットの影響は、皮膚からの距離が2mmを超える場合には、全ての光沢試料にとってそれほど重要ではなく;参照記号Gは、ここでも光沢度(%)を示し、それぞれ20、40、及び100%である。さらに、X軸上のdは、皮膚とウィンドウとの距離(mm)を示している。
【
図10】さらなる実施形態を概略的に描いた図である。 概略図は必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0109】
図1aは、(皮膚光沢及び皮膚油脂性を含む群のうち1つ以上から選択される)皮膚パラメータを測定するセンサ100を含むシステム1を概略的に描いている。センサ100は、光源の光111を提供するように構成された複数の空間的に分離された光源110と、光源110のそれぞれから第1の距離d1にて構成された検出器120とを含む。センサ100は、特に、第3の距離d3にある皮膚に対して10~80°の範囲から選択される入射角度α下の光軸OLを有する光源の光111を提供し、さらに、反射した光源の光111を検出するように構成されてもよい。センサ100は、特に、ここでは少なくとも3つの光源110を含んでもよく、2つのみが理解のために描かれており、光源110は、無偏光(可視)の光源の光111を提供するように構成されている。第1の距離d1は、例えば、10~80mmの範囲から選択することができ、検出器120は、偏光を検出するように構成されている。破線Sは皮膚を示している。参照番号150は、センサウィンドウを示し、参照番号151は、センサウィンドウの材料を示している。センサウィンドウ150は、例えば0.1~20mmの範囲から選択されたセンサウィンドウ厚d4を有する。
【0110】
検出器120は、例えば、2Dカメラ101を含んでもよい。さらに、センサ100は、検出器120の上流に構成された集束レンズ102と、検出器120の上流及び集束レンズ102の上流(及びセンサウィンドウ150の下流)に構成されたアパーチャー103とを含んでもよい。アパーチャー103は、複数の実施形態では、0.1~0.8mmの範囲から選択される直径D1を有している。集束レンズは、例えば、10mmレンズのように、f5~15mmであってもよい。さらに、システムは、第2の集束レンズを含んでもよく、このレンズの第1のレンズとの組み合わせは、システム全体に対して所望の視野及び焦点深度を提供することができる(例えば、
図1A参照)。光源110は、無偏光の白色の光源の光111を提供するように構成されている。
【0111】
図1aにおいて示されているように、システム1は、分析システム2をさらに含んでもよく、分析システム2は、センサ100のセンサ信号に依存して、対応する皮膚センサ値を生成するように構成されている。
【0112】
分析システム2は、センサ100も含む装置によって含まれてもよく(
図1bも参照)、又は、分離された装置によって含まれてもよい。
図1aは、そのような実施形態も概略的に描いており、システム1は、スキンケア装置3を含み、スキンケア装置3はセンサ100を含み、第2の装置200が、スキンケア装置3に機能的に結合され、第2の装置200は分析システム2を含む。
【0113】
センサ100は、開口部107を含む。この開口部は、特に、平らであってもよく、すなわち、その周囲は、本質的に平らである端を有してもよい。このようにして、センサは、皮膚上で平らに構成することができる。開口部107は、直径D2又は相当直径D2を有してもよく、これは約10~30mmの範囲内にあってもよい。
【0114】
参照番号O2は、センサ100の光軸を指す。センサ100が皮膚上に構成される場合、この軸は、本質的に、皮膚に対する垂線と一致し得る。
【0115】
参照番号TSは、センサの上面を示している。これは平面であってもよい。参照番号LBは、直接光ブロッカーを示しており、これは、光源の光が単一の反射なしに検出器に到達し得ることを防ぐように構成され、及び/又は、皮膚によって反射されないが、センサの他の内部表面によって反射される検出器120に到達する光を減らすことができる。参照番号104は、偏光子を指す。
【0116】
O2軸は、本質的に、皮膚に対する垂線と一致し得る。
【0117】
特に、TSは、ハウジング105の上面を示すことができる。上面TSは、実際に、皮膚から検出器120又はその最後のレンズまでの第2の距離d2を定めることができる。ここで、上面TSは、開口部107を含む。開口部の開口サイズは、視野(FOV)として示すこともできる。視野は、本明細書において、参照記号FVでも示される。視野(FOV)は、入射放射線が検出器によって収集され得る角度の範囲として定めることができる。開口部又はハウジング開口部107は、円形であってもよいが、正方形又は長方形であってもよく、又は、別の形状を有してもよいということに留意されたい。参照記号FVAは、視野角度を示している。参照記号TTは、開口部107(すなわち、動作中の皮膚)から光源110を受け入れる支持体の上面までの距離であるトータルトラックを示しており、この距離は、一般にはLED等の固体光源が適用されるため、光源110の上部までの距離と本質的に同じである。トータルトラックは、例えば10~30mmの範囲内等、10~80mmの範囲内等、又は、40~80mmの範囲内のように、40~200mmの範囲内等、10~200mmの範囲内にあってもよい。トータルトラックTTは、第2の距離d2よりも長い。検出器120及び任意の光学系は、1~20mm等、約1~50mmの範囲の高さを有してもよい。図面から導くことができるように、センサ100が皮膚の上に構成される場合、第2の距離d2が保証される。従って、センサ100は、(描かれているような)ハウジング105等の距離ホルダ、又は任意的に、ハウジング及び別の距離ホルダを含んでもよい。上述したように、可視の光源の光111は、特に、無偏光である。従って、光源の光111は、特に、無偏光の光源の光である。センサ100の光軸O2及び検出器120の光軸は、本質的に一致し得るということに留意されたい。さらに、センサの光軸O2及び全ての光源110の正味の光軸は一致し得る。
【0118】
一般に、距離d2は、皮膚の上に置かれることになる開口部と、検出器又は検出器から見てその最後の光学系との間の距離として定めることができる。
【0119】
図1a(及び同様に
図5)を参照すると、光源は、センサウィンドウの真後ろ又は開口部107の真後ろにはない。従って、特に、光源とセンサの光軸O2との距離は、センサウィンドウ150の端から光軸O2までの距離よりも長い。同様に、特に、光源とセンサの光軸O2との距離は、開口部107の端から光軸O2までの距離よりも長い。特定の実施形態では、光源とセンサの光軸O2との距離は、センサウィンドウ150の相当直径の半分よりも長い。他の特定の実施形態では、光源とセンサの光軸O2との距離は、開口部107の相当直径の半分よりも長い。本明細書において概略的に描かれている実施形態では、開口部107の端から光軸O2までの距離は、(一般に)センサウィンドウ150の端と光軸O2との距離と(本質的に)同一になるということに留意されたい。
【0120】
光源の光軸は、開口部107から逃げ得る光源の光のビームの光軸として定めることができる。
図1a及び5において見ることができるように、このビームは、別の形状を有してもよく、次に、光源によって生成されたビームは、光の一部として、ハウジングにて反射されてもよく、任意的に、(複数の)反射の後に、同様に開口部107を介して出て行く。
【0121】
距離d2及びセンサウィンドウの厚さd4は、特に、センサウィンドウから検出器への直接の鏡面反射を回避するような方法で置かれ且つ計算される。
【0122】
図1bは、システム1の一実施形態を概略的に描いており、ここでは、システム1は、皮膚洗浄装置、皮膚若返り装置等のスキンケア装置3を含み、スキンケア装置3は、センサ100及び分析システム2を含んでいる。スキンケア装置3は、表示ユニットIU及び/又はユーザインターフェースUIも含み得る。参照記号FAは、皮膚をマッサージする又は剥離するために使用され得る領域等の機能的領域を示している。
【0123】
無偏光が皮膚表面によって反射される場合、反射光の偏光特性は照明角度に依存する(
図2)。反射及び透過に重要な2つの直交直線偏光の状態は、p偏光及びs偏光と呼ばれる。(ドイツ語の平行(parallel)由来の)p偏光した光は、入射面に平行に偏光した電場を有し、(ドイツ語の垂直(senkrecht)由来の)s偏光した光は、この面に対して垂直である。参照記号Nは、(表面に対する)垂線を示し、参照記号PIは入射面を示している。さらに、参照記号SKは、皮膚表面等の入射表面を示している。参照記号S及びPは偏光を示している。
【0124】
反射光は、0°又は90°に等しい照明角度に対しては無偏光になり、0°から90°の照明角度に対しては部分的に(好ましくはS)偏光され、さらに、偏光角又はブルースター角に等しい1つの照明角度に対しては平面(S)偏光される。
【0125】
入射面に平行な(P)電場を有する光の反射係数がゼロになり、その角度での反射光が入射面に垂直な(S)電場ベクトルで直線偏光される入射角度(0°及び90°)は、偏光角又はブルースター角と呼ばれる。偏光角又はブルースター角(θB)は、フレネルの式に基づき計算することができる。フレネルの式は、p偏光(入射光線及び表面法線と同じ平面で偏光された電場)を有する光は、入射角度がθB=1/tan(n2/n1)である場合、反射されないということを予測する。ここで、n1は、光が伝搬する最初の媒体(「入射媒体」)の屈折率であり、n2は、他の媒体の屈折率である。空気(n1≒1)中のガラス媒体(n2≒1.5)に対しては、可視光に対するブルースター角は約56°である。本発明において開示されている光学配置に対しては、光は空気-皮膚界面にて入射し、ブルースター角は約54°である。好ましい範囲は50~60°である。
【0126】
従って、複数の実施形態では、検出経路において(4~8までのより少ない数のエミッタに対しては)セグメント化偏光子又は(例えば、12を超えるより多い数のエミッタに対しては)空間変化偏光子を使用することができる。特に、セグメントの数はエミッタの数に等しい。
【0127】
照明角度が0~90°である場合、光沢の尺度である部分的に(好ましくはS)偏光された反射した鏡面光の検出は、カメラの前にS偏光子を使用したこの構成要素に入りこむことによって強化することができる。複数の光源を使用した照明スキームの場合、セグメント化偏光子又は空間変化偏光子を使用することができる。
【0128】
従って、数ある中でも、センサの回転角度にあまり依存しない(1つ又は複数の)皮膚光沢の定量的測定のためのカメラシステム及び方法を使用することが本明細書において提案される。提案される発明は、複数の実施形態において、数ある中でも、3つ以上の光源からの連続的な照明(無偏光照明)及び単一の低コストカメラセンサを使用した連続的な検出(偏光検出)を使用することに基づき得る。光沢値は、異なる方向に沿って撮影された複数の独立した画像から推定されたピクセルの平均数に基づき推定される。カメラのプロトタイプの光学配置の概略図が、
図1において示されている。光沢値を推定するために使用される画像処理方法(アルゴリズム)は、白色ピクセルの数又はフラットフィールド補正後の最大値に正規化された光軸に沿った強度変化の傾きに基づき得るが、他の選択肢も可能であり得る(以下も参照)。
【0129】
スペクトラロンで、ex-vivoの皮膚及びin-vivoで測定した実験データに基づき、単一のエミッタの使用に関連する回転関連効果から生じる光沢量の過小評価は、リング照明構成で対称的に配置された3つ以上のエミッタを利用する連続的な照明(N=3に対しては三角形の構成及びN=4に対しては長方形の構成等)を使用することによって最小限にすることができるということを例示する(
図3)。複数のエミッタが同時に使用される場合、光沢値は回転角度に依存し、効果は、主に、複数のエミッタからの強度分布が重なる領域における白色ピクセルの数によって与えられる。本明細書において、A、B、及びCは、リング状に配置された光源を示している。
【0130】
家庭用途に対して、特に、浴室のような環境では、センサは、防水で汚染がないことが期待される。これは、照明及び検出の光学系全体を遮蔽する透明なガラスウィンドウを使用することによって実現することができる。典型的には、ダーマトスコープ等のスキンセンサでは、ガラスウィンドウは、皮膚と接触させて置かれる。しかし、ガラスウィンドウが皮膚に接触して使用される場合、センサ信号は、ガラスウィンドウの2つの界面(空気-ガラス及びガラス-空気の界面)のフレネル反射から生じる「ゴーストスポット」によって支配されることになる。このゴーストスポットは、試料(皮膚)からのいかなる情報も保有しておらず、これを「望ましくない反射」と呼ぶ。所与の照明条件に対して、ゴーストスポットは、皮膚から生じる有効な反射と比較してガラス-空気界面の反射係数がより高いため、皮膚から反射される光よりも強いことが予想される。これに加えて、ガラスからのゴーストスポットは、皮膚から来る信号に干渉する恐れがあり且つ皮膚から来る信号と重複する可能性があり、結果として、皮膚の油分/光沢量の推定が不十分となる。
【0131】
ゴーストスポットから生じるこの問題を解決するために、以下の解決策をテストした:
1.皮膚と接触させたセンサの上部にあるガラスウィンドウ(
図4a):
2.角度付きウィンドウ:この解決策は、2つのエミッタに対して傾きを最適化することができる1つ又は2つのエミッタを使用するセンサにおいて機能し得る。しかし、この解決策は、照明に3つ以上のエミッタを使用するシステムでは最適ではない。
3.反射防止コーティング:反射防止コーティングは、これらの広範囲の照明角度、特に広帯域の光源との組み合わせでは機能しない(
図3)。ゴースト鏡面反射がセンサから生じているかどうかをテストするために、ARコート付き(誘電体コーティング)ガラスを高光沢の紙の上に使用した。波長カットオフ周波数(通常は約700nm)のため、センサの感度はより低い波長にシフトすることになり、赤色感度を低下させることになり、結果として生じる画像(
図4b)は緑がかって見えるようになり、従って、この問題に対する見込みのある解決策ではないことを観察した。
【0132】
数ある中でも、本発明は、皮膚特性を測定するための低コストの防水で汚染のないセンサを提案している。提案される発明は、透明なウィンドウを使用することに基づいており、好ましくは、その厚さは3mmを超え、さらに、皮膚から数mm、好ましくは3mmを超えた距離にある。この解決策は、皮膚からの反射強度と比較して、ウィンドウからのフレネル反射(望ましくないゴーストスポット(
図5において参照記号GSで示されている))をセンサから外れさせる(
図5)。好ましい実施形態では、ゴーストスポットから生じる有効な衝撃が大幅に減らされるように、空気-ガラス界面からのフレネル反射光がある範囲の角度にわたって分布されるように、透明なウィンドウは粗面を使用する。シミュレーションは、完全な照明及び検出の分析を行うために、測光量及び放射量を計算する。シミュレーションに使用されるシステムの光学配置は、油分/光沢測定のために開発したプロトタイプの構成に基づいていた。シミュレーションにおいて使用したカメラのプロトタイプ及びシステムのレイアウトの概略図が、
図5において示されている。ウィンドウから皮膚までの距離の関数としての結果が、
図6において描かれている。ウィンドウから皮膚までの距離が増えるに従い、ゴーストスポットGSが皮膚から反射されたスポットから離れることは明らかである。
【0133】
異なる光沢値を有する試料について得られたカメラセンサにおける強度分布及び対応する強度プロットが、異なる構成の
図7~9について示されている。鏡面対拡散強度比を、以下のパラメータ:ガラスウィンドウの厚さ、皮膚からの距離、及び光沢値(鏡(Gloss~100 a.u))から拡散標準(Gloss~0 a.u)の範囲の試料の関数として推定した。
【0134】
図10は、センサウィンドウ150が中心部分152及び周辺部分153を含む実施形態を概略的に描いている。検出器120の光軸O2、及び光源の光の光軸OLは、中心部分152を通過している。周辺部分153は、アンチグレア要素160を含む。中心部分は、本質的に、そのようなアンチグレア要素を含まない。センサウィンドウ150は、上流面154及び下流面155を含む。周辺部分153における上流面154及び下流面155のうち1つ以上は、特に40~500nmの範囲から選択された二乗平均平方根粗さを有するそのようなアンチグレア要素を有してもよい。
【0135】
「複数の」という用語は、2つ以上を指す。
【0136】
本明細書における「実質的に~から成る」におけるもの等、「実質的に」という用語は、当業者には理解されるであろう。「実質的に」という用語は、「全体的に」、「完全に」、「全て」等の実施形態も含み得る。従って、複数の実施形態では、形容詞の実質的を削除することもできる。該当する場合、「実質的に」という用語は、95%以上、特に99%以上、さらにより具体的には99.5%以上、100%を含む等、90%以上にも関し得る。「含む(comprise)」という用語は、「含む(comprises)」という用語が「から成る」を意味する実施形態も含む。「及び/又は」という用語は、特に、「及び/又は」の前後に言及されたアイテムのうち1つ又は複数のアイテムに関する。例えば、「アイテム1及び/又はアイテム2」という表現及び類似の表現は、アイテム1及びアイテム2のうち1つ以上に関し得る。一実施形態では、「含んでいる(comprising)」という用語は、「から成る」を指すかもしれないが、別の実施形態では、「少なくとも既定の種及び任意的に1つ又は複数の他の種を有すること」も指し得る。
【0137】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2及び第3等の用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも順番又は時系列順を説明するためではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であるということ、及び、本明細書において記載される本発明の実施形態は、本明細書において記載又は例示されている以外の順序で動作可能であるということが理解されたい。
【0138】
本明細書における装置は、とりわけ、動作中のものが記載される。当業者には明らかになるように、本発明は動作方法又は動作中の装置に限定されない。
【0139】
上述の実施形態は本発明を限定するのではなく例示しているということ、及び、当業者は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替的な実施形態を設計することが可能であるということに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧内に置かれたいかなる参照符号も、特許請求の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。「含む」という動詞及びその活用形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、本明細書及び特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」等の単語は、排他的とは対照的に包括的な意味又は網羅的な意味;すなわち、「を含むが、これに限定されない」という意味で解釈されることになる。要素に先行する冠詞「a」又は「an」は、複数のそのような要素の存在を排除するものではない。本発明は、いくつか別個の要素を含むハードウェアによって、及び、適切にプログラムされたコンピュータによって実施することができる。いくつかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段のいくつかは、1つの同じハードウェアのアイテムによって具体化することができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないということを示しているわけではない。
【0140】
本発明は、器具若しくは装置又はシステムを制御することができるか、又は本明細書に記載の方法又はプロセスを実行することができる制御システムも提供する。またさらに、本発明は、器具若しくは装置又はシステムに機能的に結合されているか又はそれらによって含まれているコンピュータ上で実行されるときに、そのような器具若しくは装置又はシステムの1つ又は複数の制御可能な要素を制御するコンピュータプログラムプロダクトも提供する。
【0141】
本発明はさらに、本明細書に記載されている及び/又は添付の図面に示されている特徴のうち1つ又は複数の特徴を含む装置に適用される。本発明は、さらに、本明細書に記載されている及び/又は添付の図面に示されている特徴のうち1つ又は複数の特徴を含む方法又はプロセスに関する。
【0142】
本願において論じられている様々な態様を組み合わせて、さらなる利点を提供することができる。さらに、当業者は、実施形態を組み合わせることができるということ、及び、3つ以上の実施形態を組み合わせることもできるということを理解するであろう。さらに、特徴の一部が、1つ又は複数の分割出願の基礎を形成することができる。