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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】レーザ強化された光学素子
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20220525BHJP
   A61C 17/22 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
A46B15/00 K
A61C17/22 B
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020538070
(86)(22)【出願日】2019-01-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2019050012
(87)【国際公開番号】W WO2019137834
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】62/615,515
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ストーチ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ガーデバック,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フォスター,レーガン スターキー
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0137454(US,A1)
【文献】国際公開第2017/129509(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0000059(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0146214(US,A1)
【文献】特表2014-501150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 15/00
A61C 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジング内に配置され、少なくとも第1の方向において光を放射するように構成される、少なくとも1つの光源と、
該少なくとも1つの光源に面する内面と、該内面とは反対側の外面とを含み、前記光源からの光を透過するように構成される、光学素子と、
前記内面にまたは前記光学素子の内側に可変に分配され、前記光学素子を通じる光の透過を変更するように構成される、複数の修正部とを含み、
前記複数の修正部は、前記少なくとも1つの光源からの入射光強度が大きければ大きいほどより小さい間隔で分散され、前記少なくとも1つの光源からの前記入射光強度が小さければ小さいほどより大きい間隔で分散される、
ハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項2】
前記複数の修正部は、前記光学素子の外側で光の均一な分布をもたらすように構成される、請求項1に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項3】
前記複数の修正部は、前記光学素子の外側で光の不均一な分布または調整された分布をもたらすように構成される、請求項1に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項4】
前記光学素子は、光が前記光学素子を通過するときに光のバルク材料散乱効果を生成するバルク散乱材料を含み、前記複数の修正部は、光が前記光学素子を通過するときに光の表面散乱をもたらす、請求項1に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項5】
前記複数の修正部は、ディンプル形状の1つまたはそれよりも多くのマーキングを含む、請求項1に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項6】
前記複数の修正部は、1つまたはそれよりも多くの炭化ドットを含む、請求項1に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項7】
前記1つまたはそれよりも多くの炭化ドットは、前記少なくとも1つの光源から放射される光の1つまたはそれよりも多くのそれぞれの部分が前記光学素子を通じて透過されるのを阻止する、請求項6に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項8】
前記1つまたはそれよりも多くの炭化ドットは、1つまたはそれよりも多くのポリマ添加剤との組み合わせにおいてレーザエネルギによって形成される、請求項6に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの光源は、発光ダイオードである少なくとも2つの光源を含む、請求項1に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項10】
ハウジングと、
該ハウジング内に配置され、少なくとも第1の方向において光を放射するように構成される、少なくとも1つの光源と、
該少なくとも1つの光源に面する内面と、該内面とは反対側の外面と、前記第1の方向とは異なる第2の方向に面する頂面と、該頂面とは反対側の底面とを含み、前記光源からの光を透過するように構成される、光学素子と、
前記頂面にまたは前記光学素子の内側に可変に分散され、前記光学素子を通じる光の透過を変更するように構成される、複数の修正部とを含み、
前記複数の修正部は、前記少なくとも1つの光源からの入射光強度が大きければ大きいほどより小さい間隔で分散され、前記少なくとも1つの光源からの前記入射光強度が小さければ小さいほどより大きい間隔で分散される、
ハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項11】
前記複数の修正部は、前記光学素子の外側で光の均一な分布をもたらすように構成される、請求項10に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項12】
前記複数の修正部は、前記光学素子の外側で光の不均一な分布または調整された分布をもたらすように構成される、請求項10に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項13】
前記複数の修正部は、前記少なくとも1つの光源のホットスポットベクトルから離れる方向に光を方向付けるように構成されるリブを含む、請求項10に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項14】
前記複数の修正部は、前記少なくとも1つの光源のホットスポットベクトルで中心化される円形のラインを含む、請求項10に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源は、少なくとも2つの光源を含む、請求項11に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項16】
前記光学素子は、前記少なくとも1つの光源を取り囲む、請求項1に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【請求項17】
前記光学素子は、前記少なくとも1つの光源を取り囲む、請求項11に記載のハンドヘルドパーソナルケアデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、限定的な空間内で十分に分配された光を提供するために、レーザ強化された光学素子(optical element)を用いてハンドヘルド(手持ち式)デバイスのハウジング内の1つまたはそれよりも多くの光源から放射される光を分配するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルケアデバイス(personal care devices)は、ある形態の通信をユーザに提供するための照明要素を含む。例えば、発光ダイオード(LED)を含む幾つかの歯ブラシは、発光された光をデバイスの内側に沿って内部的に反射し、拡散されたグロー(glow)をデバイスの外側覆い(outer covering)内の所定の露出領域を通じて放射してユーザにフィードバックを提供する、ように構成される。他のデバイスは、視覚的なキュー(cue)を提供する1つまたはそれよりも多くの光リングを含む。
【0003】
しかしながら、コストおよび空間制約の故に、そのようなシステムは、光源および光学素子の種類および/または数において制限されており、LED光は、バルク散乱によって十分に分配されることができない。従って、異なる視角からの光強度の不均一性が存在する。例えば、デバイスがその一次軸に沿って回転させられると、交互のホットスポット(hot spot)およびダークスポット(dark spot)が見える。ダークスポットは、LED間の空間を示す。加えて、軽量の調整構成(tailoring features)を容易に追加することができない。
【0004】
典型的には、LED光の分配を容易にするために、追加的なLED、別個の光学系、蒸着反射層、またはスクリーンおよび/またはマスクが利用される。しかしながら、そのようなシステムは、高価であり、製造能性のために有意な空間およびスクリーンおよび/またはマスク領域への触覚アクセスを必要とする。そのような典型的なシステムは、製造中にスクリーンまたはマスクを容易に変更し得ないように、特定のツーリング(工具類)および製造プロセスも必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、可視的に均一な光を生成するために十分に分配された光を達成するように構成された最小数の光源および光学素子を含むハンドヘルドデバイスを提供するシステムおよび方法についての必要が当該技術分野にある。
【0006】
特許文献1は、少なくとも2つのLEDを有する歯ブラシを開示しており、それらの少なくとも1つは、ネックを照らし、任意的に、ヘッドやヘッドに取り付けられる剛毛の端も照らす。
【0007】
特許文献2は、デバイスの視覚インジケータを用いてユーザにリアルタイムフィードバックを提供するように構成される口腔清浄デバイスを開示している。
【0008】
特許文献3は、表示要素を有する口腔衛生実装を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、レーザ誘起修正によって強化された光学素子を使用してハンドヘルドデバイスのハウジング内の1つまたはそれよりも多くの光源から放射される光の透過を変更する発明的なシステムおよび方法に関する。例えば、光学素子は、光リングであることができ、光源に面する光リングの内面は、LEDから入射する光線の光入射角を変更するように修正されてよい。修正された表面は、光学素子内のバルク材料散乱によって生成される光の散乱を増加させ得る入射面での光散乱を引き起こす。レーザから十分な量の熱エネルギを加えて表面をリフローさせる(reflow)ことによって光学素子のポリマ表面を修正することができる。修正された表面は、例えば、1つまたはそれよりも多くのディンプル形状の修正部を含むことができる。近接近するディンプル形状のレーザ誘起修正部のアレイが、入射するLED光線の散乱を促進する複数の小さな凸レンズとして作用する。別の例として、(暗くされていない領域よりも)多くの光を吸収する暗くされた領域を含むように内面を修正して、光が光学素子を通過するのを部分的に阻止することができる。1つまたはそれよりも多くの適切なポリマ添加剤との組み合わせにおいてレーザエネルギおよび周波数によって暗くされた領域を形成して、炭化(charring)としても知られる熱化学的炭化(thermal chemical carbonization)を生成することができる。1つまたはそれよりも多くのリフロー領域および/または1つまたはそれよりも多くの暗くされた領域を含むように光学素子を修正して、光学素子の透明性および散乱効果を変化させることができる。
【0010】
本明細書に記載するシステムおよび方法の利点は、レーザ強化された光学素子が、厳格な空間制約の範囲内で、コストのかかる追加的な構成要素なしに、LED光源に関する不均一性の懸念を伴う問題を解決できることである。
【0011】
本明細書に記載するシステムおよび方法の別の利点は、従来的なアセンブリ解決策が可能でない非常に小さな空間内に光を調整するレーザ誘起修正を加え得ることである。
【0012】
本明細書に記載するシステムおよび方法の更に別の利点は、レーザ強化された光学素子が、最終出力をほぼ直ちに修正する柔軟性を提供して、製造される各製品において特異な光性能を可能にすることである。
【0013】
一般的に、1つの態様において、ハンドヘルドデバイスが提供される。ハンドヘルドデバイスは、ハウジングと、ハウジング内に配置され、少なくとも第1の方向において光を放射するように構成される、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光源に面する内面と、内面とは反対側の外面とを含み、光源からの光を透過するように構成される、光学素子と、内面にまたは光学素子の内側に形成され、光学素子を通じる光の透過を変更するように構成される、複数のレーザ誘起修正部とを含む。
【0014】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、光学素子の外側で光の均一な分布をもたらすように構成される。
【0015】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、光学素子の外側で光の不均一な分布または調整された分布をもたらすように構成される。
【0016】
ある実施形態によれば、光学素子は、光が光学素子を通過するときに光のバルク材料散乱効果を生成するバルク散乱材料を含み、複数のレーザ誘起修正部は、光が光学素子を通過するときに光の表面散乱をもたらす。
【0017】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、ディンプル形状の修正部を含む。
【0018】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、内面に亘って可変に分配される。
【0019】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、1つまたはそれよりも多くの炭化ドットを含む。
【0020】
ある実施形態によれば、1つまたはそれよりも多くの炭化ドットは、少なくとも1つの光源から放射される光の1つまたはそれよりも多くのそれぞれの部分が光学素子を通じて透過されるのを阻止する。
【0021】
ある実施形態によれば、1つまたはそれよりも多くの炭化ドットは、1つまたはそれよりも多くのポリマ添加剤との組み合わせにおいてレーザエネルギによって形成される。
【0022】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの光源は、発光ダイオードである。
【0023】
一般的に、別の態様において、ハンドヘルドデバイスが提供される。ハンドヘルドデバイスは、ハウジングと、ハウジング内に配置され、少なくとも第1の方向において光を放射するように構成される、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光源に面する内面と、内面とは反対側の外面と、第1の方向とは異なる第2の方向に面する頂面と、頂面とは反対側の底面とを含み、光源からの光を透過するように構成される、光学素子と、頂面にまたは光学素子の内側に形成され、光学素子を通じる光の透過を変更するように構成される、複数のレーザ誘起修正部とを含む。
【0024】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、光学素子の外側で光の均一な分布をもたらすように構成される。
【0025】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、光学素子の外側で光の不均一な分布または調整された分布をもたらすように構成される。
【0026】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、少なくとも1つの光源のLEDホットスポットベクトルから離れる方向に光を方向付けるように構成されるリブ(ribs)を含む。
【0027】
ある実施形態によれば、複数のレーザ誘起修正部は、少なくとも1つの光源のLEDホットスポットベクトルで中心化される円形のライン(線)を含む。
【0028】
本開示の目的のために本明細書において使用するとき、「コントローラ」という用語は、概して、パーソナルハンドヘルドデバイス、システム、または方法の動作に関連する様々な装置を記述するために使用される。コントローラは、本明細書で議論する様々な機能を実行するために、(例えば、専用ハードウェアを用いるような)様々な方法で実装されることができる。「プロセッサ」は、本明細書で議論する様々な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、マイクロコード)を用いてプログラムされることがある1つまたはそれよりも多くのマイクロプロセッサを使用するコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを利用してあるいは利用しないで実装されてよく、幾つかの機能を実行する専用ハードウェアと他の機能を実行するプロセッサ(例えば、1つまたはそれよりも多くのプログラムされたマイクロプロセッサおよび関連する回路)との組み合わせとして実装されてよい。本開示の様々な実施形態において利用されることがあるコントローラ構成要素の例は、従来的なマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むが、これらに限定されない。
【0029】
様々な実装では、プロセッサまたはコントローラが、(本明細書では、一般的に、「メモリ」、例えば、揮発性および不揮発性コンピュータメモリと呼ぶ)1つまたはそれよりも多くの記憶媒体に関連付けられることがある。幾つかの実装において、記憶媒体は、1つまたはそれよりも多くのプロセッサおよび/またはコントローラで実行されるときに、本明細書で議論する機能のうちの少なくとも一部を実行する、1つまたはそれよりも多くのプログラムで符号化されてよい。様々な記憶媒体は、本明細書で議論する本開示の様々な態様を実施するために、その上に格納される1つまたはそれよりも多くのプログラムをプロセッサまたはコントローラ内にロードすることができるように、プロセッサまたはコントローラ内に固定されてよく、あるいは搬送可能であってよい。「プログラム」または「コンピュータプログラム」という用語は、1つまたはそれよりも多くのプロセッサまたはコントローラをプログラムするために利用することができる任意のタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェアまたはマイクロコード)を指すよう、本明細書では一般的な意味において使用されている。
【0030】
「光源」という用語は、(上記で定義したような1つまたはそれよりも多くのLEDを含む)LEDベースの光源、白熱光源(例えば、フィラメントランプ、ハロゲンランプ)、蛍光光源、燐光源、高強度放電源(例えば、ナトリウム蒸気、水銀蒸気、およびハロゲン化金属ランプ)、レーザ、および他のタイプのエレクトロルミネッセンス光源を含むが、これらに限定されない、様々な放射線源のうちの任意の1つまたはそれよりも多くを指すと理解されるべきである。
【0031】
本開示の目的のために本明細書において使用するとき、「LED」という用語は、電気信号に応答して放射線を発生することができる任意のエレクトロルミネッセンスダイオードまたは他のタイプのキャリア注入/接合ベースのシステムを含むと理解されるべきである。よって、LEDという用語は、電流に応答して発光する様々な半導体ベースの構造、発光ポリマ、有機発光ダイオード(OLED)、レーザダイオード、エレクトロルミネッセンスストリップ、および同等物を含むが、これらに限定されない。LEDという用語は、LEDの物理的および/または電気的パッケージのタイプを制限しないことも理解されるべきである。
【0032】
前述の概念および以下により詳細に議論する追加的な概念の全ての組み合わせは、(そのような概念が相互に矛盾しない限り)本明細書に開示する発明的な主題の一部であると想定されることが理解されるべきである。特に、この開示の末尾に現れる請求する主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示する発明的な主題の一部であると想定される。
【0033】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下に記載する(複数の)実施形態から明らかであり、それらを参照して解明されるであろう。
【0034】
図面において、同等の参照符号は、概して、異なる図面を通じて同じ部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺通りでなく、代わりに、概して、本発明の原理を例示することに強調が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】ある実施形態に従った照明システムを有する動力歯ブラシの剛毛側面図である。
【0036】
図2】ある実施形態に従った動力歯ブラシの制御システムの概略図である。
【0037】
図3】ある実施形態に従った図1の照明システムのレーザ強化された光学素子の概略図である。
【0038】
図4】ある実施形態に従った図1の光学素子の断面の概略図である。
【0039】
図5】ある実施形態に従った図4の線5-5に概ね沿って取られた図4の断面の概略的な断面図である。
【0040】
図6】ある実施形態に従った照明システムのレーザ強化された光学素子の断面の概略図である。
【0041】
図7】ある実施形態に従った図6のA-A線に概ね沿って取られた図6の断面の概略的な断面図である。
【0042】
図8】ある実施形態に従った図3の光学素子の概略図である。
【0043】
図9A】ある実施形態に従った図8の光学素子の囲まれた区画の拡大概略図である。
【0044】
図9B】ある実施形態に従った図8の光学素子の囲まれた区画の代替的な表現である。
【0045】
図9C】ある実施形態に従った図8の光学素子の囲まれた部分の代替的な表現である。
【0046】
図9D】ある実施形態に従った図8の光学素子の囲まれた部分の代替的な表現である。
【0047】
図9E】ある実施形態に従った図8の光学素子の囲まれた部分の代替的な表現である。
【0048】
図9F】ある実施形態に従った図8の光学素子の囲まれた部分の代替的な表現である。
【0049】
図10】光学素子の内側の三次元レーザ誘起修正部を含む図5に示すような光学素子の代替的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示は、レーザ強化された光学素子を用いてハンドヘルド(手持ち式)デバイス内の最小数の光源および光学素子から可視的に均一な光を生成するためのシステムおよび方法の様々な実施形態に向けられている。本出願人は、(材料散乱特性、反射表面設計、および/または光パイプ解決策に焦点を当てるよりもむしろ)、光学素子の表面の透明性および散乱効果を修正すること(modifying)によって最小数の光源および光学素子を用いてハンドヘルドデバイスのための効果的な照明システムを提供することが有益であることを認識し且つ理解した。従って、本明細書に記載する或いはさもなければ想定されるシステムおよび方法は、LEDおよびレーザ強化された光学素子から放射される光を提供するように構成されるハンドヘルドデバイスを提供する。光学素子の表面の強化は、散乱効果および/または方向変更効果を提供することによって1つまたはそれよりも多くの光源から放射される光の透過を修正する。追加的にまたは代替的に、光学素子の表面の強化は、光が光学素子を通過するのをマスキングまたは遮断することによって1つまたはそれよりも多くの光源から放射される光の透過を修正する。
【0051】
本明細書に開示される或いはさもなければ想定される実施形態および実装は、ハンドヘルドパーソナルケアデバイス(personal care device)を含む任意のデバイスと共に利用されることができる。本明細書における実施形態および実装の利用の特定の非限定的な目標は、動力歯ブラシ、例えば、(Koninklijke Philips, N.V.によって製造されている)Philips Sonicare(TM)歯ブラシのユーザに歯磨き情報/表示を提供することである。そのような情報は、例えば、エラーメッセージまたは警告メッセージ(例えば、変更されるべき/充電されるべきバッテリ、ブラシヘッドを変更せよ)、動力歯ブラシの適切な使用に関する指示または表示、タイマ、感覚結果メッセージ(例えば、完全に洗浄された歯、部分的に洗浄された歯、良好な歯磨き挙動、不十分な歯磨き挙動、歯垢形成)に関連することができる。他の実施形態および実装によれば、関連する情報/表示は、例えば、(この開示の考察と関連して当業者によって理解されるはずであるように)本明細書に記載する構成および機能性を組み込むことができる、(ハンドヘルドおよび非ハンドヘルドの)任意の動力医療デバイス、歯科デバイス、シェービングデバイス、グルーミングデバイス、母子ケアデバイスのユーザに提供されることができる。
【0052】
図1を参照すると、1つの実施形態では、ハンドヘルドデバイス100が提供される。ハンドヘルドデバイス100は、本体部分112と、本体部分112に取り外し可能または取り外し不能に取り付けられるネック部分114とを含む。ネック部分114は、ヘッド部材116を含む。本体部分112は、ハンドヘルドデバイスの構成要素、例えば、歯の効果的な洗浄に適したブラシヘッド運動を生成するための駆動アセンブリ/回路118、制御ユニット120、および電源122(例えば、バッテリまたは電力コード)を収容するよう、少なくともその一部が中空である、ハウジングを含む。運動は、とりわけ、振動または回転を含む、様々な異なる運動のいずれかであってよい。例示的な要素は、動力歯ブラシの技術分野では従来的であるので、表現的に示されている。歯ブラシ自体の動作は、オン/オフスイッチ124によって制御される。図1に示す特定の構成および配置は、ほんの一例であり、以下に開示する実施形態の範囲を制限しない。
【0053】
ハンドヘルドデバイス100は、センサデータを得るように構成され且つデバイス上または内に配置された、1つまたはそれよりも多くのセンサ126を含むことができる。センサ126は、本体部分/ハンドル112の頂部付近で図1に示されているが、歯磨き情報を感知するために、例えば、ネック部分114またはヘッド部材116内を含む、デバイス上の任意の場所に配置されてよい。プロセッサ130は、好ましくは、デバイス内に配置され、1つまたはそれよりも多くのセンサ126からセンサデータを受信して、センサ126から得られるセンサデータを処理するように構成される。ハンドヘルドデバイス100は、1つまたはそれよりも多くの発光ダイオードと、デバイス上および/または内に配置されてよい照明システム140を形成するレーザ強化光学素子とを含むことができる。図1において、照明システム140は、ハンドヘルドデバイス100の本体部分112の底に配置されている。他の実施形態において、照明システム140は、スイッチ124上および/または内に或いは任意の他の位置に配置されることができる。照明システム140は、プロセッサに応答することができ、ユーザに情報/表示を伝達するよう構成されることができる。幾つかの実施形態では、情報のさらなる分析のために、歯磨き情報を格納する記憶システム/メモリ132が含められてよい。
【0054】
図2は、例示的なハンドヘルドデバイスの例示的な制御システム200の概略図を描写している。制御システム200は、コントローラ142と、センサ126と、電源144と、照明システム140とを含む。電源144は、ハンドヘルドデバイス100のための電源122と同じであってよく、あるいは別個の電源であることができる。センサ126は、歯磨きセッション中にユーザの口の1つまたはそれよりも多くの態様に関するセンサデータを得るようにプログラムおよび/または構成された任意のセンサであることができる。例えば、センサは、歯の表面、歯垢レベル、歯磨き領域、歯磨き強度、歯磨き角度、全体的な歯磨き効果、および/または本明細書の他の箇所に記載する歯の健康の多種多様の他の側面に関する情報/データを得ることがある。センサデータは、動力歯ブラシの動作状況(オン/オフ状態、正常状態、異常状態、バッテリ寿命、およびモータの速度)および他の関連データに関連してもよい。照明システム140は、ハンドヘルドデバイスのハウジングの中空部分内の1つまたはそれよりも多くのLED光源から放射される光を、光学素子、例えば、光リングを通じて方向付けて、ユーザの視点から見えるよう、照明システム140の外面に均一な照明または任意のパターンもしくは画像を提供するように、プログラムおよび/または構成されることができる。例示的な実施形態では、4つのLEDが含められるが、追加的なまたはより少ないLEDも想定される。
【0055】
コントローラ142は、(この開示の考察と関連して当業者によって認識および理解されるはずであるように)、本明細書に記載する機能および方法を実行するのに適切であることがあるように、情報/データを分析し、システムの他のそれぞれの構成要素または外部構成要素/デバイスの各々から/それらの各々に情報、データおよび/または命令(制御信号)を送信/受信するように、プログラムおよび/または構成される。
【0056】
コントローラ142は、プロセッサ150と、メモリ132と、クロック152と、無線通信器148と、センサ158とを含む。プロセッサ150は、プロセッサ130と同じであってよく、あるいは別個のプロセッサであることができる。コントローラ142は、リアルタイムにまたは周期的に受信するセンサデータを使用して、ユーザがどのように自分の歯を磨くかについての情報を決定することができる。センサデータは、プロセッサ150によって処理されることができる。プロセッサ150は、予めプログラムされたレベルをメモリ132から引き出し、それを得られたセンサデータと比較して、ユーザが過度の圧力で自分の歯を磨いているかどうかを決定することができる。クロック152は、歯磨き時間、持続時間、および日付を決定するためにコントローラ142によって利用されてよく、メモリ132から適切な標準を呼び出す(recall)ためにコントローラ142によって利用されてよい。プロセッサ150は、格納された情報に基づいて、過度の圧力に対してどんな応答が必要なことがあるかを更に決定することができ、ユーザに提供する適切な照明をメモリ132引き出すことができる。例えば、圧力が高すぎるならば、コントローラ142は、照明システム140を通じて、(過度の圧力が加えられていることをユーザに示す)特定の色、例えば、オレンジ色の光の選択的照明をもたらすように、プログラムおよび/または構成されることができる。制御システム200は、センサデータを無線送受信器(図示せず)に送信するための無線通信器148を含んでもよい。センサ158は、あらゆる様々な異なる動き検出センサを使用して動きを検出するために制御システム200に含められてもよく、ユーザが歯ブラシを拾い上げたという信号および歯磨き事象中に適切な場合があるような適切な照明が提供され得るという信号をプロセッサ150に送信することができる(しかしながら、(充電状況のような)動力歯ブラシ100自体に関する情報は、センサ126または158のいずれかによって感知されることができ、照明手段140を通じていつでも表示されることができる)。
【0057】
図3は、ハンドヘルドデバイス100の照明システム140の例示的な光学素子300の斜視図である。図3の光学素子300は、内面Aと、内面とは反対側の外面Bと、頂面Cと、頂面とは反対側の底面Dとを含む、光リングとして具現されている。内面Aおよび外面Bは、光リングの回転軸を囲む円周面であるのに対し、頂面Cおよび底面Dは、光リングの回転軸に対して直交して配置される平行な平面内を走る径方向面である。ここではリングが描写されているが、光学素子300は、任意の形状として具現され得ることが理解されるべきである。図3の例において、表面は、平面的である。しかしながら、それらは曲面であることもできる。更に、本明細書に記載されるあるいはさもなければ想定される実施形態では、内面Aが、少なくとも1つの光源に面し、少なくとも1つの光源が、光学素子300の内面Aに向かって実質的に第1の方向において光を放射するよう、少なくとも1つの光源が、光学素子300の内面A内に配置されることが理解されるべきである。「光学素子(optical element)」および「光リング(light ring)」という用語は、本明細書中で互換的に使用される。
【0058】
図4に示すように、光学素子300の内面Aは、1つまたはそれよりも多くのLEDからの入射光線の光入射角を変更するように修正されてよい。表面の修正された構成の故に、光散乱は、LED光線を方向変更するよう、内面Aで生じ得る。内面Aで生じ得る光散乱に加えて、光が光学素子300のバルク材料を通過するときに、光は更に分散または散乱されることができる。少なくとも部分的にポリマで形成される光学素子を含む例示的実施形態において、内面Aの表面構成は、レーザマーキング(laser marking)を使用することによって修正されることができる。
【0059】
レーザマーキングは、バーコード、ロゴ、またはその他の情報を含む、マークを、インクまたはツールビットではなくレーザビームを使用して、製品の表面に適用する、コンピュータ化された方法を指す。レーザマークは、様々なプロセスによって作り出され、一部のプロセスは、例えば、蒸発によって、表面からの材料を除去することを含み、他のプロセスは、例えば、溶解による、熱-化学的表面反応機構(thermal-chemical surface reaction mechanism)を含む。1つのそのような表面反応機構は、熱化学的炭化(thermal-chemical carbonization)、または炭化(charring)である。プラスチックでは、レーザおよび対応する適切な添加剤が、ポリマ中に熱劣化を引き起こし、明るい色のプラスチックについては黒色のまたは暗いマーキング(または暗い色のプラスチックについては白色のまたは明るいマーキング)の形成をもたらす。炭化によるレーザマーキングは、暗くされていない領域よりも多くの光を吸収する、暗くされた領域を生成する。
【0060】
戻って図4を参照すると、内面Aは、放射線エネルギをポリマ表面内の熱エネルギに変換することによって、レーザマーキングを用いて修正されることができる。熱エネルギは、例えば、ディンプル形状レーザ誘起修正部(dimple-shaped laser-induced modifications)として具現されるポリマ表面のリフロー(reflow)を引き起こすのに十分であり得る。近接近するディンプル形状レーザ誘起修正部のアレイが、入射するLED光線の散乱を容易にする多くの小さな凸レンズとして作用することができる。リフローレンズを含むレーザ誘起修正部(またはディンプル形状レーザ誘起修正部)が、図4の内面Aに示されている。
【0061】
図5は、単一のリフローレンズ302(またはディンプル形状修正部)を含む、図4の線5-5に概ね沿って取られた、図4の内面Aの概略的な断面図を示している。内面Aの左側は、マーキングされていないポリマ表面を描写しているのに対し、(単一のリフローレンズ302を含む)内面Aの右側は、修正されたポリマ表面を描写している。少なくとも1つのLEDによって放射される入射LED光線304は、単一のリフローレンズ302の故に、散乱光線306となる。空気が、LED光線304を放射するLEDと内面Aとの間で単一のリフローレンズ302を取り囲むことが理解されるべきである。
【0062】
図6において、頂面Cは、リフローリブ310(reflow rigs)を含む複数のレーザ誘起修正部を含むよう(内面Aの代わりに)修正されている。リフローリブ310は、光源のLEDホットスポットベクトル(LED hot spot vector)から離れる方向に光を方向付けるように構成される。リフローリブ310は、LEDホットスポットベクトルから離れる方向に光を再送する(re-pipe)導波路(waveguides)として作用する。図7は、図6のA-A線に概ね沿って取られた、図6の断面の概略断面図である。
【0063】
図8は、内面Aに形成されたマスク320として具現されたレーザ誘起修正部のパターンを含む、例示的な光学素子300の斜視図である。図9Aは、図8の光学素子の囲まれた区画の拡大概略図である。少なくとも部分的にポリマで形成された光学素子を含む例示的な実施形態において、内面Aの透明度は、炭化としても知られる熱化学的炭化を生成するよう、1つまたはそれよりも多くの特別なポリマ添加剤と組み合わせにおいてレーザエネルギおよび周波数によって修正されることができる。ポリマを炭化させること(charring)は、炭化されていない領域よりも多くの光を吸収する、表面の暗化(darkening)を引き起こす。レーザ誘起修正部の1つのパターン、例えば、複数の炭化マーキング(carbonization markings)または炭化ドット(charred dots)が、図9Aの内面Aに示されている。各マーキングまたはドットの形状は、円形または任意の他の適切な形状であることができる。図9Aにおけるレーザ誘起修正部は、LEDホットスポットベクトル322の光透過率を減少させるよう、増加させられた密度の暗くされたスポットを有する領域を含む。実施形態において、マーキングの増加させられた密度は、内面Aに沿う距離がLEDホットスポットベクトル322に対して増大するにつれて減少し得る。換言すれば、マーキングは、LED強度球の逆数として分布されるよう調整されることができる。例えば、入射光強度が大きければ大きいほど、入射光のより多くの透過を遮断するように、間隔はより小さい。同様に、入射光強度が小さければ小さいほど、入射光のより多くの透過を可能にするように、間隔はより大きい。換言すれば、レーザ誘起修正部は、高強度光領域を徐々に覆う(マスクする)一方で、低強度領域がバルク材料を通過するのを可能にするように構成されることができる。この勾配マスクは、均一な出力強度分布を生成する。
【0064】
図9Bは、可変間隔を有する暗くされたライン330(線)を含むレーザ誘起修正部の代替的な実施形態を示している。例示的な実施形態において、内面Aは、暗くされたライン330に対応する回折格子を作り出すように修正されることもできる。図9Cは、LEDホットスポットに対応する散乱効果を分配するために可変密度を有するスポット340を含むレーザ誘起修正部の代替的な実施形態を示している。図9Dは、LEDホットスポットで、そして、より多くのLED強度が必要とされる場所でより垂直に散乱を提供するために、円形回折格子350を含むレーザ誘起修正部の代替的な実施形態を示している。
【0065】
図9Eでは、内面Aに複数のレーザ誘起修正部を含むことに加えて、複数のレーザ誘起修正部が頂面Cでも含められている。例示的な実施例において、頂面Cは、LEDホットスポットベクトル322で中心化された円形レーザマーキングされたライン360を含む。レーザラインの再散乱は、LED光線を、(4つのLEDが含まれていると想定する)光リング内の暗い四分円に向かって、LEDホットスポットから離れる方向に方向変更することがある。図9Fでは、光学素子を通じて光リング内の暗い四分円に進む光を容易にするために、反射性コーティングが頂面Cおよび底面Dの全体に塗布される。レーザマーキング技術を使用して、頂面Cおよび/または底面Dに塗布された反射性コーティングの一部を焼き払うことができる。図9Fに示すように、反射性コーティング370を焼き払ったレーザラインは、LEDホットスポットから光を抜き取ることを可能にする。
【0066】
本明細書に記載するレーザ誘起修正は、任意の適切なレーザマーキング技術を用いて実施されることができる。「レーザ誘起改質修正部(laser-induced modification)」という用語は、レーザエネルギと光学素子(または光学素子の表面に塗布される何らかのコーティングまたは仕上げ)とを含む相互作用によって引き起こされる、任意の二次元および/または三次元変換を含む、光学素子の表面でまたは空間内に作り出される任意の変換を指す。レーザマーキングによって引き起こされる1つの例示的な変換は、加熱時のポリマ粒子の収縮に起因する表面内のリフローレンズの形成である。レーザマーキングによって引き起こされる別の例示的な変換は、熱化学的炭化に起因する表面内の暗くされた領域の形成であり、それによって、光エネルギが基板内で吸収され、ポリマの熱劣化を引き起こす程に十分高い吸収部位を囲む材料の局所温度を上昇させる。代替的に、光学素子の表面のテクスチャは、レーザアブレーションまたは任意の他の適切なプロセスによって修正されることができる。追加的に、1つまたはそれよりも多くのレーザを透明な光学系と共に使用して、光学素子の内部空間または界面にレーザ誘起修正を加えることができる。さらなる例では、2つのレーザを透明な光学系と共に使用して、レーザが交差して材料特性反応を引き起こすのに十分なエネルギを作り出す加法的干渉によって、光学素子の内部空間または界面に三次元レーザ誘起修正部をもたらすことができる。図10は、光学素子の内側に三次元レーザ誘起修正部400を含む光学素子の例示的な実施形態を示している。
【0067】
有利には、本明細書に記載する発明的なシステムおよび方法は、バルク材料散乱および表面散乱を含む組み合わせ分布効果を生成する光学素子を提供して(高価な蒸着反射層または他の追加的なコストの構成要素を含む必要性を取り除く)。レーザ強化光学素子によって生成される表面散乱効果は、LEDによって生成されるホットスポットおよびダークスポットが見えないように、光を円周方向に十分に分配する。ハンドヘルドデバイスにおける従来的な光リングと関連付けられる点光源は、ホットスポットおよびダークスポットを示す。何故ならば、光は光リングバルク材料の限定的な物理的境界内に十分に分布され得ないからである。本明細書に記載する実施形態は、光リングについて円周方向に光均質性を提供するのに役立つが、必ずしも均一ではないものの特定のパターンまたは画像またはロゴを提供するために分布される、他の円周方向光分布も想定されることが理解されるべきである。
【0068】
レーザマーキングは、典型的には、マーク認識のために製品の表面の光反射を変化させるために使用されるが、本明細書に記載するレーザ誘起修正部は、レーザマーキングを用いて生成されることができるが、マーク認識のために表面の光反射を変化させるために使用されない。代わりに、レーザ誘起修正部は、光学素子のバルク材料を通じる光透過を制御するように構成される。レーザ誘起修正部は、外面ではなく内面に形成される。
【0069】
光学素子用のスクリーンまたはマスクを生成する典型的な製造プロセスは、有意な空間およびスクリーン/マスク領域への触覚アクセスを必要とする。そのような典型的なシステムは、スクリーンまたはマスクを製造中に容易に変更することができないように、特定の工具類(ツーリング)および製造プロセスも必要とする。本明細書に記載するレーザ誘起修正部の光調整は、従来的なアセンブリ解決策が可能でない小さな空間内に加えられることができる。加えて、本明細書に記載するシステムおよび方法は、製造される各製品の光性能が、所望であれば特異であるように、インライン製造におけるように製造者が最終出力をほぼ直ちに修正することを可能にする。例えば、光学素子は、製造公差の変化を考慮するように修正されることができる。加えて、ハンドヘルドデバイスは、例えば、ユーザの名前が(マーク認識のために外面にマーキングするのではなく)マーク付き光学素子を照らすことによって見えるように、光学素子に適切な処理(arrangement)を加えることによって、ユーザの名前を含むようカスタマイズされることができる。
【0070】
例示的な実施形態において、レーザ誘起修正部を別個のプラスチック片に適用し、光学素子の内面および/または頂面に付着させることができる。他の例示的な実施形態では、レーザ誘起修正部を光学素子の内面および/または頂面に直接的に適用することができる。
【0071】
本明細書中で定義され且つ用いられるとき、全ての定義は、辞書的定義、参照として援用される文献中の定義、および/または定義される用語の通常の意味を支配すると理解されるべきである。
【0072】
本明細書および特許請求の範囲において用いられるとき、単数形の表現は、明瞭に反対のことが示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0073】
本明細書および特許請求の範囲において使用するとき、「および/または」という語句は、そのように結合された要素、即ち、ある場合には結合して存在し且つ他の場合には非結合的に存在する要素の「一方または両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」と共に列挙される複数の要素は、同じ様に、即ち、そのように結合された要素の「1つまたはそれよりも多く」と解釈されるべきである。「および/または」という節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が、具体的に特定される要素に関連しようが関連しまいが、任意に存在してよい。
【0074】
本明細書および特許請求の範囲において使用するとき、「または」は、上記で定義されるようなの「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の品目を分離するとき、「または」または「および/または」は、包括的である、即ち、多数の要素または要素のリストのうちの少なくとも1つを含むが、1つよりも多くの要素も含み、任意的に、追加的な列挙されていない品目を含むと解釈されなければならない。「~のうちの1つのみ」または「~のうちの正確に1つ」のような明らかに逆のことを示す用語、または特許請求の範囲において使用されるときの「~なる」のような用語のみが、多数の要素または要素のリスト中の正確に1つを含むことを指す。一般的に、本明細書において使用されるとき、「または」という用語は、「いずれか」、「~のうちの1つ」または「~のうちの正確に1つ」のような排他性の用語が先行するときに、排他的選択肢(即ち、一方または他方であるが両方ではない)を示すものとしてのみ解釈されるべきである。
【0075】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、1つまたはそれよりも多く要素のリストを参照する際の「少なくとも1つ」という語句は、要素のリスト中の要素の任意の1つまたはそれよりも多くから選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、要素のリスト中に具体的に列挙されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除しない。この定義は、具体的に特定される要素に関連するにしても関連しないにしても、「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内で具体的に特定される要素以外の要素が任意的に存在してよいことも可能にする。
【0076】
明瞭に反対のことが示されていない限り、1つよりも多くのステップまたは行為を含む本明細書中において特許請求されるいずれかの方法において、方法のステップまたは行為の順番は、方法のステップまたは行為が引用される順番に必ずしも限定されないことも理解されるべきである。
【0077】
特許請求の範囲においてならびに本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保持する(carrying)」、「有する(having)」、「収容する(containing)」、「含む()involving」、「保持する(holding)」、「~なる(composed of)」、および同等表現のような、全ての移行句は、開放端(オープンエンド)である、即ち、非限定的に含むことを意味すると理解されるべきである。
【0078】
幾つかの発明的な実施形態を本明細書に記載し且つ例示したが、当業者は、本明細書に記載する機能を遂行し且つ/或いは結果および/または利点の1つまたはそれよりも多くを得るための様々な他の手段および/または構造を容易に心に思い描き、そのような変形および/または修飾の各々は、本明細書に記載する発明的な実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載する全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であることを意図すること、ならびに実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が発明的な教示を用いる具体的な適用または複数の適用に依存することを容易に認識するであろう。当業者は、日常的であるに過ぎない実験を用いて、本明細書に記載する具体的な発明的な実施形態に対する多くの同等物を認識し或いは確認することができるであろう。従って、前述の実施形態は、ほんの一例として提示されていること、ならびに発明的な実施形態は、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、具体的に記載され且つ特許請求されるものとは異なるように実施される場合があることが理解されるべきである。本開示の発明的な実施形態は、本明細書に記載する各々の個々の構成、システム、物品、材料、キット、および/または方法に向けられる。加えて、2つまたはそれよりも多くのそのような構成、システム、物品、材料、キット、および/または方法のあらゆる組み合わせも、そのような構成、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しないならば、本開示の発明的な範囲内に含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【文献】米国特許出願公開第2012/137454号明細書
【文献】国際公開第2017/129509号
【文献】米国特許出願公開第2017/146214号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10