(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】エネルギインターネットシステム、エネルギルーティング変換機器及びエネルギ制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20220525BHJP
H02J 5/00 20160101ALI20220525BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J5/00
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
(21)【出願番号】P 2020541714
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2018120843
(87)【国際公開番号】W WO2019148980
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】201810108480.1
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512306405
【氏名又は名称】グリー エレクトリック アプライアンシーズ インク オブ ズーハイ
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
【住所又は居所原語表記】Qianshan Jinji West Road,Zhuhai, Guangdong, 519070, P.R. CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】董 明珠
(72)【発明者】
【氏名】趙 志剛
(72)【発明者】
【氏名】黄 猛
(72)【発明者】
【氏名】張 雪芬
(72)【発明者】
【氏名】南 樹功
(72)【発明者】
【氏名】蒋 世用
(72)【発明者】
【氏名】李 萌
(72)【発明者】
【氏名】唐 文強
(72)【発明者】
【氏名】任 鵬
(72)【発明者】
【氏名】文 武
(72)【発明者】
【氏名】王 靈軍
(72)【発明者】
【氏名】羅 暁
(72)【発明者】
【氏名】呉 文豪
(72)【発明者】
【氏名】黄 建軍
(72)【発明者】
【氏名】李 偉進
(72)【発明者】
【氏名】曽 云洪
(72)【発明者】
【氏名】陳 備
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-253002(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265607(US,A1)
【文献】特開2017-216867(JP,A)
【文献】特開2014-023376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J1/00-1/16
H02J3/00-5/00
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第一ルーティング端を含む交流側エネルギルーティング変換機器(110)と、
複数の第二ルーティング端を含み、各第二ルーティング端はそれぞれ該当する直流母線を介して対応する第一ルーティング端に接続される直流側エネルギルーティング変換機器(120)と、
該当する第一交流・直流変換器又は第一直流・直流変換器を介して直流母線に接続される複数のエネルギ装置(130)と、
を備え、
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)と前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は前記エネルギ装置(130)のエネルギ情報を収集し、エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置(130)のエネルギを調節
し、
前記エネルギ情報は、電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを含み、
前記エネルギバランスの制約条件は、
前記エネルギ装置(130)及び配電網機器(140、150、460、470)による電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータのそれぞれが各々の該当する閾値範囲内にあること、及び、
前記エネルギ装置(130)及び前記配電網機器(140、150、460、470)のパワーの和が0であることと、前記エネルギ装置(130)及び前記配電網機器(140、150、460、470)の電流の和が0であること、
を特徴とするエネルギインターネットシステム。
【請求項2】
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は交流配電網機器(140、460)に接続されるように配置された交流接続端をさらに含み、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は第二直流・直流変換器を介して直流配電網機器(150、470)に接続されるように配置された直流接続端をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギインターネットシステム。
【請求項3】
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は交流側エネルギルータ(410)であり、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は直流側エネルギルータ(420)である、ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギインターネットシステム。
【請求項4】
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は複数の第三交流・直流変換器(510、511、512)を含み、
各第三交流・直流変換器(510、511、512)はそれぞれ第一端が互いに接続され、第二端が第一ルーティング端とされ、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は複数の第三直流・直流変換器(520、521、522)を含み、
各第三直流・直流変換器(520、521、522)はそれぞれ第一端が互いに接続され、第二端が第二ルーティング端とされる、ことを特徴とする請求項1に記載のエネルギインターネットシステム。
【請求項5】
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は前記エネルギ装置(130)と前記交流配電網機器(140、460)のエネルギ情報を収集した後、エネルギバランスの制約条件に基づいて前記エネルギ装置(130)と前記交流配電網機器(140、460)のエネルギを調節する、
ことを特徴とする請求項2に記載のエネルギインターネットシステム。
【請求項6】
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は前記エネルギ装置(130)と前記直流配電網機器(150、470)のエネルギ情報を収集した後、エネルギバランスの制約条件に基づいて前記エネルギ装置(130)と前記直流配電網機器(150、470)のエネルギを調節
し、
前記エネルギバランスの制約条件は、前記エネルギ装置(130)が接続される各直流母線のパワーの和が0であることと、前記各直流母線の電流の和が0であること、を特徴とする請求項2に記載のエネルギインターネットシステム。
【請求項7】
エネルギルーティング変換機器であって、
前記エネルギルーティング変換機器は、交流側エネルギルーティング変換機器(110)、または直流側エネルギルーティング変換機器(120)であり、
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は、複数の第一ルーティング端を含み、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は、複数の第二ルーティング端を含み、各第二ルーティング端はそれぞれ該当する直流母線を介して対応する第一ルーティング端に接続され、
該当する第一交流・直流変換器又は第一直流・直流変換器を介して直流母線に接続される複数のエネルギ装置(130)と、を備え、
複数のエネルギ装置(130)のエネルギ情報を収集するように配置されたエネルギ収集手段(610)と、
エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置(130)のエネルギを調節するように配置されたエネルギ配分手段(620)と、
を含
み、
前記エネルギ情報は、電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを含み、
前記エネルギバランスの制約条件は、
前記エネルギ装置(130)及び配電網機器(140、150、460、470)による電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータのそれぞれが各々の該当する閾値範囲内にあること、及び、
前記エネルギ装置(130)及び前記配電網機器(140、150、460、470)のパワーの和が0であることと、前記エネルギ装置及び前記配電網機器(140、150、460、470)の電流の和が0であること、
を特徴とするエネルギルーティング変換機器。
【請求項8】
前記エネルギ収集手段(610)はさらに
前記配電網機器(140、150、460、470)のエネルギ情報を収集するように配置されており、
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は交流側エネルギルータ(410)であり、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は直流側エネルギルータ(420)であり、
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は交流配電網機器(140、460)に接続されるように配置された交流接続端をさらに含み、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は第二直流・直流変換器を介して直流配電網機器(150、470)に接続されるように配置された直流接続端をさらに含み、
前記エネルギ配分手段(620)はさらにエネルギバランスの制約条件に基づいて前記配電網機器(140、150、460、470)と前記エネルギ装置(130)のエネルギを調節するように配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載のエネルギルーティング変換機器。
【請求項9】
前記交流側エネルギルータ(410)の3つの前記第一ルーティング端はそれぞれ直流母線を介して前記直流側エネルギルータ(420)の3つの前記第二ルーティング端に接続されており、
前記エネルギ収集手段(610)はさらに各直流母線のエネルギ情報を収集するように配置されており、
前記エネルギ配分手段(620)はさらにエネルギバランスの制約条件に基づいて前記各直流母線のエネルギを調節するように配置さ
れ、
前記エネルギバランスの制約条件は、前記エネルギ装置(130)が接続される各直流母線のパワーの和が0であることと、前記各直流母線の電流の和が0であること、
を特徴とする請求項8に記載のエネルギルーティング変換機器。
【請求項10】
前記エネルギ装置(130)は少なくともエネルギ貯蔵装置(440)、電気使用機器(430)及び発電装置(450)の一つであ
る、
ことを特徴とする請求項9に記載のエネルギルーティング変換機器。
【請求項11】
前記発電装置(450)のパワーパラメータはその電圧パラメータ、電流パラメータ及び特性パラメータに係り、
前記エネルギ貯蔵装置(440)のパワーパラメータはその電圧パラメータ、電流パラメータ、温度パラメータ及び容量パラメータに係り、
前記電気使用機器(430)のパワーパラメータはその電圧パラメータ及び電流パラメータに係り、
前記配電網機器(140、150、460、470)のパワーパラメータはその電圧パラメータ、電流パラメータ及び力率パラメータに係る、ことを特徴とする請求項
10に記載のエネルギルーティング変換機器。
【請求項12】
交流側エネルギルーティング変換機器(110)と直流側エネルギルーティング変換機器(120)により複数のエネルギ装置(130)のエネルギ情報を収集することと、
複数の第一ルーティング端を含む交流側エネルギルーティング変換機器(110)と、
複数の第二ルーティング端を含み、各第二ルーティング端はそれぞれ該当する直流母線を介して対応する第一ルーティング端に接続される直流側エネルギルーティング変換機器(120)と、
該当する第一交流・直流変換器又は第一直流・直流変換器を介して直流母線に接続される複数のエネルギ装置(130)と、
を備え、
前記エネルギ情報は、電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを含み、
エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置(130)のエネルギを調節することと、
前記エネルギバランスの制約条件は、
前記エネルギ装置(130)及び配電網機器(140、150、460、470)による電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータのそれぞれが各々の該当する閾値範囲内にあること、及び、
前記エネルギ装置(130)及び前記配電網機器(140、150、460、470)のパワーの和が0であることと、前記エネルギ装置及び前記配電網機器(140、150、460、470)の電流の和が0であること、
を含むことを特徴とするエネルギ制御方法。
【請求項13】
配電網機器(140、150、460、470)のエネルギ情報を収集することと、
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は交流側エネルギルータ(410)であり、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は直流側エネルギルータ(420)であり、
前記交流側エネルギルーティング変換機器(110)は交流配電網機器(140、460)に接続されるように配置された交流接続端をさらに含み、
前記直流側エネルギルーティング変換機器(120)は第二直流・直流変換器を介して直流配電網機器(150、470)に接続されるように配置された直流接続端をさらに含み、
エネルギバランスの制約条件に基づいて前記配電網機器(140、150、460、470)と前記エネルギ装置(130)のエネルギを調節することと、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項
12に記載のエネルギ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願番号201810108480.1、出願日2018年2月2日である中国出願を基礎としてその優先権を主張し、この中国出願の開示を全体として本願に組み込んだものである。
【0002】
本発明はエネルギ情報の分野に関し、特にエネルギインターネットシステム、エネルギルーティング変換機器及びエネルギ制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽光発電や風力発電等に基づく新エネルギの分散型応用及び太陽光発電エアコンや電気自動車等の迅速な発展に伴って、発電やエネルギ貯蔵、電気使用、グリッドによる送配電はいずれも電化されてクリーン且つ知能的なものとなって行く一方、エネルギシステムの直流化の普及と発展を促進している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、複数の第一ルーティング端を含む交流側エネルギルーティング変換機器と、複数の第二ルーティング端を含み、各第二ルーティング端はそれぞれ該当する直流母線を介して対応する第一ルーティング端に接続される直流側エネルギルーティング変換機器と、該当する第一交流・直流変換器又は第一直流・直流変換器を介して直流母線に接続される複数のエネルギ装置と、を備え、交流側エネルギルーティング変換機器と直流側エネルギルーティング変換機器はエネルギ装置のエネルギ情報を収集し、エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置のエネルギを調節するエネルギインターネットシステムを提供する。
【0005】
一実施例では、交流側エネルギルーティング変換機器は交流配電網機器に接続するように配置された交流接続端をさらに含み、直流側エネルギルーティング変換機器は第二直流・直流変換器を介して直流配電網機器に接続するように配置された直流接続端をさらに含む。
【0006】
一実施例では、交流側エネルギルーティング変換機器は交流側エネルギルータであり、直流側エネルギルーティング変換機器は直流側エネルギルータである。
【0007】
一実施例では、交流側エネルギルーティング変換機器は複数の第三交流・直流変換器を含み、各第三交流・直流変換器はそれぞれ第一端が互いに接続され、第二端が第一ルーティング端とされ、直流側エネルギルーティング変換機器は複数の第三直流・直流変換器を含み、各第三直流・直流変換器はそれぞれ第一端が互いに接続され、第二端が第二ルーティング端とされる。
【0008】
一実施例では、交流側エネルギルーティング変換機器は、エネルギ装置と交流配電網機器のエネルギ情報を収集した後、エネルギバランスの制約条件に基づいてエネルギ装置と交流配電網機器のエネルギを調節する。
【0009】
一実施例では、直流側エネルギルーティング変換機器は、エネルギ装置と直流配電網機器のエネルギ情報を収集した後、エネルギバランスの制約条件に基づいてエネルギ装置と直流配電網機器のエネルギを調節する。
【0010】
一実施例では、エネルギ装置は少なくともエネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び発電装置の一つである。
【0011】
一実施例では、エネルギ装置は行動特性を有する。
【0012】
一実施例では、エネルギ情報は電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを含む。
【0013】
本発明の他の態様によれば、複数のエネルギ装置のエネルギ情報を収集するように配置されたエネルギ収集手段と、エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置のエネルギを調節するように配置されたエネルギ配分手段と、を含むエネルギルーティング変換機器をさらに提供する。
【0014】
一実施例では、エネルギ収集手段はさらに配電網機器のエネルギ情報を収集するように配置されており、エネルギ配分手段はさらにエネルギバランスの制約条件に基づいて配電網機器とエネルギ装置のエネルギを調節するように配置されている。
【0015】
一実施例では、エネルギ収集手段はさらに各直流母線のエネルギ情報を収集するように配置されており、エネルギ配分手段はさらにエネルギバランスの制約条件に基づいて各直流母線のエネルギを調節するように配置されている。
【0016】
一実施例では、エネルギ情報は電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを含む。
【0017】
一実施例では、エネルギ装置は少なくともエネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び発電装置の一つである。
【0018】
一実施例では、エネルギバランスの制約条件は、発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び配電網機器による電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータのそれぞれが各々の該当する閾値範囲にあることを含む。
【0019】
一実施例では、エネルギバランスの制約条件は、発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び配電網機器のパワーの和が0であることと、発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び配電網機器の電流の和が0であることと、をさらに含む。
【0020】
一実施例では、エネルギバランスの制約条件は、各直流母線のパワーの和が0であることと、各直流母線の電流の和が0であることと、をさらに含む。
【0021】
一実施例では、発電装置のパワーパラメータはその電圧パラメータ、電流パラメータ及び特性パラメータに係り、エネルギ貯蔵装置のパワーパラメータはその電圧パラメータ、電流パラメータ、温度パラメータ及び容量パラメータに係り、電気使用機器のパワーパラメータはその電圧パラメータ及び電流パラメータに係り、配電網機器のパワーパラメータはその電圧パラメータ、電流パラメータ及び力率パラメータに係る。
【0022】
本発明の他の態様によれば、複数のエネルギ装置のエネルギ情報を収集することと、エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置のエネルギを調節することと、を含むエネルギ制御方法をさらに提供する。
【0023】
一実施例では、当該方法は、配電網機器のエネルギ情報を収集することと、エネルギバランスの制約条件に基づいて配電網機器とエネルギ装置のエネルギを調節することと、をさらに含む。
【0024】
一実施例では、当該方法は、各直流母線のエネルギ情報を収集することと、エネルギバランスの制約条件に基づいて各直流母線のエネルギを調節することと、をさらに含む。
【0025】
本発明の他の態様によれば、メモリと、メモリに結合され、メモリに記憶された指令に基づいて上記のようなエネルギ制御方法を実行するプロセッサと、を含むエネルギルーティング変換機器をさらに提供する。
【0026】
本発明の他の態様によれば、コンピュータプログラム指令が記憶されており、この指令がプロセッサにより実行されると、上記のエネルギ制御方法によるステップが実現されるコンピュータ読取可能記憶媒体をさらに提供する。
【0027】
以下において図面を参照しながら本発明の例示的な実施例を詳細に説明することによって、本発明の他の特性及びその利点は明らかになる。
【0028】
明細書の一部となる図面は本発明の実施例を説明しながら、明細書とともに本発明の原理を解釈するためのものである。
【0029】
図面を参照し、以下の詳しい説明によれば、本発明をより明らかに理解することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるエネルギインターネットシステムの一実施例の構造模式図である。
【
図2】本発明によるエネルギインターネットシステムの他の実施例の構造模式図である。
【
図3】本発明によるエネルギインターネットシステムのさらに他の実施例の構造模式図である。
【
図4】本発明によるエネルギインターネットシステムのまた他の実施例の構造模式図である。
【
図5】本発明によるエネルギインターネットシステムのまた他の実施例の構造模式図である。
【
図6】本発明によるエネルギルーティング変換機器の一実施例の構造模式図である。
【
図7】本発明によるエネルギ制御方法の一実施例のフロー模式図である。
【
図8】本発明によるエネルギ制御方法の他の実施例のフロー模式図である。
【
図9】本発明によるエネルギ制御方法のまた他の実施例のフロー模式図である。
【
図10】本発明によるエネルギルーティング変換機器の一実施例の構造模式図である。
【
図11】本発明によるエネルギルーティング変換機器の一実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の各種の例示的な実施例を詳細に説明する。別途具体的に説明しない限り、これらの実施例において述べられる部品やステップの相対的な配置、数字表現式及び数値は本発明の範囲を制限するものとならないことに注意されたい。
【0032】
また、説明の便宜上、図面に示される各部分の寸法は実際の割合関係に従ったものではないことは了解されたい。
【0033】
以下、少なくとも一つの例示的な実施例について述べたものは実際の説明のためのものに過ぎず、決して本発明及びその応用や使用に対するいかなる制限にもならない。
【0034】
当業者が知っている技術や方法及び設備について詳細に検討しない可能性もあるが、前記技術や方法及び設備は適宜本明細書の一部と見なすべきである。
【0035】
ここで示され検討されているすべての例示では、あらゆる具体的な値は例示的なものだけで、制限とならないものとして解釈されるべきである。このため、例示的な実施例の他の例示では異なる値を有してもよい。
【0036】
以下の図面においては、類似する符号や文字は類似するものを表すため、あるものが一つの図面において定義された場合、以降の図面においてそれについてさらなる検討をする必要がないことに注意されたい。
【0037】
以下、本発明の目的や解決手段及び利点をより明らかにするために、具体的な実施例に合わせて図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【0038】
図1は本発明によるエネルギインターネットシステムの一実施例の構造模式図である。当該エネルギインターネットシステムは交流側エネルギルーティング変換機器110と、直流側エネルギルーティング変換機器120と、複数のエネルギ装置130とを備える。
【0039】
交流側エネルギルーティング変換機器110は交流電力を直流電力に変換できるとともに、エネルギ情報の収集及び情報のルーティングをも実現可能なものである。直流側エネルギルーティング変換機器120は一つの直流電圧値を他の直流電圧値に変換できるとともに、エネルギ情報の収集及び情報のルーティングをも実現可能なものである。
【0040】
交流側エネルギルーティング変換機器110は複数の第一ルーティング端を含み、直流側エネルギルーティング変換機器120は複数の第二ルーティング端を含み、第一ルーティング端の数と第二ルーティング端の数は同数であり、各第二ルーティング端はそれぞれ該当する直流母線を介して対応する第一ルーティング端に接続される。
図1では二つの第一ルーティング端と二つの第二ルーティング端のみが示され、つまり、二つの次元のエネルギインターネットシステムに対応している。当業者にとっては、実情に応じてより多くの次元のエネルギインターネットシステムを設けることもできることは理解されたい。
【0041】
エネルギ装置130はエネルギ貯蔵装置、電気使用機器、又は発電装置等であってもよく、該当する第一交流・直流変換器又は第一直流・直流変換器を介して直流母線に接続することができる。例えば、
図2に示されるように、エネルギ装置130がエネルギ貯蔵装置である場合、DC/DC変換器を介して直流母線に接続可能であり、エネルギ装置130が交流型電気使用機器である場合、DC/AC変換器を介して直流母線に接続され、エネルギ装置130が台所用電気器具等の直流型電気使用機器である場合、DC/DC変換器を介して直流母線に接続され、そして、エネルギ装置130が照明等の低電圧の直流型電気使用機器である場合、再びDC/DC変換器を介して低電圧母線に接続されることで、低電圧直流の電気使用の安全性が保証されるようになる。また、エネルギ装置130が発電装置、例えば分散型の風力発電設備であれば、AC/DC変換器を介して直流母線に接続され、光電池パックであれば、DC/DC変換器を介して直流母線に接続される。当然ながら、発電装置はその他のクリーンエネルギであってもよく、該当するDC/DC変換器又はAC/DC変換器を介して直流母線に接続される。各段の母線電圧値は他のいかなる直流電圧レベルと定義されてもよい。
【0042】
交流側エネルギルーティング変換機器110や直流側エネルギルーティング変換機器120と複数のエネルギ装置130との間の情報のやり取りにはマスタレス通信を採用することができる。
【0043】
上記実施例では、交流側エネルギルーティング変換機器110と直流側エネルギルーティング変換機器120は各エネルギ装置130のエネルギ情報を収集し、エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置130のエネルギを調節することによって、エネルギインターネットシステムによるエネルギ交換においてバランスを取って運転させることが可能になる。
【0044】
本発明の他の実施例では、
図3に示されるように、交流側エネルギルーティング変換機器110は交流配電網機器140に接続されるように配置された交流接続端をさらに含み、直流側エネルギルーティング変換機器120は第二直流・直流変換器を介して直流配電網機器150に接続されるように配置された直流接続端をさらに含む。即ち、本発明によるエネルギインターネットシステムは系統連系として運転することもできるし、オフグリッドとして運転することもできる。
【0045】
一実施例では、エネルギインターネットシステムは交流配電網機器140を備えると、交流側エネルギルーティング変換機器110はエネルギ装置130と交流配電網機器140のエネルギ情報を収集した後、エネルギバランスの制約条件に基づいてエネルギ装置130と交流配電網機器140のエネルギを調節するようになる。
【0046】
他の実施例では、エネルギインターネットシステムは直流配電網機器150を備えると、直流側エネルギルーティング変換機器120はエネルギ装置130と直流配電網機器150のエネルギ情報を収集した後、エネルギバランスの制約条件に基づいてエネルギ装置130と直流配電網機器150のエネルギを調節するようになる。
【0047】
図4は本発明によるエネルギインターネットシステムのまた他の実施例の構造模式図である。交流側エネルギルーティング変換機器は交流側エネルギルータ410であり、直流側エネルギルーティング変換機器は直流側エネルギルータ420であり、エネルギルータによれば、エネルギの観点からエネルギインターネットシステムにおける電気エネルギの需給バランスを維持し、エネルギの伝送方向を自律的にルーティングして、エネルギの自由な配分を実現することができる。この実施例では、三つの次元のエネルギインターネットシステムを例として説明する。
【0048】
交流側エネルギルータ410の三つの第一ルーティング端はそれぞれ直流母線を介して直流側エネルギルータ420の三つの第二ルーティング端に接続されており、電気使用機器430は直流負荷であれば、DC/DC変換器を介して直流母線のα4ノードに接続可能であり、電気使用機器430は交流負荷であれば、DC/AC変換器を介して直流母線のα3ノードに接続可能であり、また、電気使用機器430は行動特性を有し、つまり、自体の電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータ等のエネルギ情報並びに運転状態パラメータをリアルタイムに収集して報告するとともに、システムからの指令を受信することができるものである。エネルギ貯蔵装置440はDC/DC変換器を介して直流母線のα2ノードに接続可能であり、発電装置450はDC/DC変換器を介して直流母線のα1ノードに接続可能であり、そして、図中の直流母線のβ1、β2、β3、β4、γ1、γ2、γ3及びγ4のノード等には対応するエネルギ装置を接続させることもできるが、
図4には示されていない。
【0049】
交流側エネルギルータ410の交流接続端は交流配電網機器460に接続可能であり、直流側エネルギルータ420はDC/DC変換器を介して直流配電網機器470に接続可能である。交流側エネルギルータ410は交流配電網を切り離すこともでき、直流側エネルギルータ420は直流配電網を切り離すこともできる。即ち、この実施例中の多次元のエネルギインターネットシステムは交流・直流二重ループ型ネットワークシステムであってもよく、二重閉ループで運転してもよく、交流ループ型ネットワーク又は直流ループ型ネットワーク等の単一ループ型ネットワークで運転してもよい。
【0050】
一実施例では、交流側エネルギルータ410は電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440、発電装置450及び交流配電網機器460のエネルギ情報を収集し、エネルギバランスの制約条件に基づいて電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440、発電装置450及び交流配電網機器460についてそれぞれエネルギ調節を行う。システムの変換損失及び他の損失を無視しつつエネルギの流れ方向を一つ規定した前提において、直流母線の接続点にはエネルギバランスが取られ、電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440、発電装置450及び交流配電網機器460は交流側エネルギルータ410による自律制御の需要に応じて自律的な割り振りに応答可能である。
【0051】
エネルギバランスの制約条件は、電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440、発電装置450及び交流配電網機器460による電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータのそれぞれが各々の該当する閾値範囲にあることと、電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440、発電装置450及び交流配電網機器460のパワーの和が0であり、電流の和も0であることとを含む。また、三つの次元のエネルギインターネットシステムにおいては、三つの直流母線のパワーの和及び電流の和がいずれも0である。
【0052】
一実施例では、直流側エネルギルータ420は電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440、発電装置450及び直流配電網機器470のエネルギ情報を収集し、エネルギバランスの制約条件に基づいて電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440、発電装置450及び直流配電網機器470についてそれぞれエネルギ調節を行い、その調節方式は先の実施例と類似する。
【0053】
上記実施例では、三つの次元のエネルギインターネットシステムにおける各部品の接続関係及び情報のやり取りにより、エネルギインターネットシステムのアーキテクチャにおいて発電装置やエネルギ貯蔵装置、電気使用機器、配電網機器の自律制御と安定的な運転、及び、経済的な割り振りが達成されている。
【0054】
また、既存次元のエネルギインターネットシステムに対して一つの次元のエネルギインターネットシステムを追加する場合、ルータによりエネルギの割り振りを素早く行うことができるため、各設備は自ら電気使用の需要に応答して調整でき、システムは迅速にエネルギバランスを取って確実且つ安全に運転可能となり、システムの環流の問題が軽減される。
【0055】
図5は本発明によるエネルギインターネットシステムのまた他の実施例の構造模式図である。この実施例では、三つの次元のエネルギインターネットシステムを例として説明を行い、交流側エネルギルーティング変換機器は三つの第三交流・直流変換器(AC/DC)510、511及び512を含み、直流側エネルギルーティング変換機器は三つの第三直流・直流変換器(DC/DC)520、521及び522を含み、第三交流・直流変換器510の第一端、第三交流・直流変換器511の第一端及び第三交流・直流変換器512の第一端はPCノードに接続され、第三直流・直流変換器520の第一端、第
二直流・直流変換器521の第一端及び第三直流・直流変換器522の第一端はDPCノードに接続される。各第三交流・直流変換器の第二端はそれぞれ第一ルーティング端とされ、各第三直流・直流変換器の第二端はそれぞれ第二ルーティング端とされ、つまり、第三交流・直流変換器510の第二端は直流母線を介して第三直流・直流変換器520の第二端に接続され、第三交流・直流変換器511の第二端は直流母線を介して第三直流・直流変換器521の第二端に接続され、第三交流・直流変換器512の第二端は直流母線を介して第三直流・直流変換器522の第二端に接続される。交流配電網機器460はPCノードに接続され、直流配電網機器470はDPCノードに接続され、電気使用機器430、エネルギ貯蔵装置440及び発電装置450は
図4中の接続関係と同様である。
【0056】
この実施例では、第三交流・直流変換器510、511及び512並びに第三直流・直流変換器520、521及び522は自身にセンサや計測素子を備えることにより各部品の運転状態及びエネルギに対する監視を実現してもよく、外部から計測メータを付加することにより実現してもよく、それにより、各次元間及び各エネルギ装置や配電網機器間のエネルギバランスが達成される。
【0057】
一実施例では、各変換器間にはマスタレス通信を採用することができる。多次元のシステムにおいては交流と直流の相互接続によるネットワーキング及びマスタレスの割り振りが採用されているため、システム中の個別次元のシステム間は平等かつ並列のアーキテクチャとなる。分散システムは「プラグ・アンド・プレイ」が容易になるとともに、エネルギを自由に配分し、協働して相補を行いながら、一体として均衡な運転を行うようになる。
【0058】
図6は本発明によるエネルギルーティング変換機器の一実施例の構造模式図である。エネルギルーティング変換機器は交流側エネルギルーティング変換機器であってもよく、直流側エネルギルーティング変換機器であってもよく、エネルギ収集手段610とエネルギ配分手段620とを含み、エネルギ収集手段610とエネルギ配分手段620は電気的に接続されており、エネルギ収集手段610は計測メータやセンサにより実現可能で、エネルギ配分手段620はコントローラにより実現可能であり、コントローラとしては、PLCと集積回路及び関連部品等から構成される具体的なハードウェア装置とされてもよい。
【0059】
エネルギ収集手段610は複数のエネルギ装置のエネルギ情報を収集するように配置されており、エネルギ情報は電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを含む。エネルギ配分手段620はエネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置のエネルギを調節することによって、設備間のエネルギバランスを取るように配置されている。
【0060】
一実施例では、エネルギインターネットシステムに配電網機器が備えられると、エネルギ収集手段610はさらに配電網機器のエネルギ情報を収集するように配置され、エネルギ配分手段620はエネルギバランスの制約条件に基づいて配電網機器とエネルギ装置のエネルギを調節するように配置されている。
【0061】
一実施例では、多次元のエネルギインターネットシステムにおいては、エネルギ収集手段610はさらに各直流母線のエネルギ情報を収集するように配置され、エネルギ配分手段620はさらにエネルギバランスの制約条件に基づいて各直流母線のエネルギを調節することによって、各次元のエネルギインターネットシステム間のエネルギバランスを取るように配置されている。
【0062】
一実施例では、エネルギバランスの制約条件は、発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び配電網機器による電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqのそれぞれが各々の該当する閾値範囲にあることを含む。即ち、エネルギインターネットシステム中の発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び配電網機器は以下の式に示されるように、自身の冗長性の範囲において運転している。
【0063】
(u、i、p、q)gene_min<(u、i、p、q)gene<(u、i、p、q)gene_max
(u、i、p、q)bat_min<(u、i、p、q)bat<(u、i、p、q)bat_max
(u、i、p、q)grid_min<(u、i、p、q)grid<(u、i、p、q)grid_max
(u、i、p、q)load_min<(u、i、p、q)load<(u、i、p、q)load_max
【0064】
ただし、(u、i、p、q)gene、(u、i、p、q)bat、(u、i、p、q)grid、(u、i、p、q)loadはそれぞれ発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器が安定的に運転する場合の電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqの値であり、(u、i、p、q)gene_min、(u、i、p、q)bat_min、(u、i、p、q)grid_min、(u、i、p、q)load_minはそれぞれ発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器の電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqの最小値であり、(u、i、p、q)gene_max、(u、i、p、q)bat_max、(u、i、p、q)grid_max、(u、i、p、q)load_maxはそれぞれ発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器の電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqの最大値である。
【0065】
発電装置のパワーパラメータについては、pgene=f(f1(u、i、s)、f2(u、i、s)・・・)であり、つまり、発電装置のパワーパラメータは電圧パラメータ、電流パラメータ及び特性パラメータに係っており、異なるタイプの新エネルギ発電装置は異なる特性パラメータを有し、例えば、太陽光発電の特性パラメータには日射等のパラメータが含まれ、風力発電の特性パラメータには風速等のパラメータが含まれる。
【0066】
エネルギ貯蔵装置のパワーパラメータについては、pbat=f(u、i、T、soc、soh)であり、つまり、エネルギ貯蔵装置のパワーパラメータは電圧パラメータ、電流パラメータ、温度パラメータ及び容量パラメータに係っており、エネルギ貯蔵装置は電池であれば、socは電池の荷電状態であり、0~1の値が取られ、soc=0の場合は電池が完全放電したことを表し、soc=1の場合は電池が完全充電したことを表し、sohは電池の健康状態つまりその定格容量に対する最大放電容量の百分率であり、出荷直後の電池のsohが100%であり、廃棄すべき場合では0%になる。
【0067】
電気使用機器のパワーパラメータについては、pload=f(f1(u、i)、f2(u、i)・・・)であり、つまり、電気使用機器のパワーパラメータは電圧パラメータ及び電流パラメータに係っている。
【0068】
配電網機器のパワーパラメータについては、pgrid=f(u、i、cosφ)であり、つまり、配電網機器のパワーパラメータは電圧パラメータ、電流パラメータ及び力率パラメータに係っている。
【0069】
個別次元のエネルギインターネットシステムにおいては、そのエネルギバランスはudc=udc_refを満たすべきであり、udcは直流母線の電圧で、udc_refは直流母線の基準電圧であり、発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器のパワーパラメータpの和が0で、つまり、pgrid+pgene+pbat+pload=0であり、また、発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器の電流パラメータiの和が0で、つまり、igrid_dc+igene_dc+ibat_dc+iload_dc=0である。また、システムのエネルギバランスはさらにudc=ugene=ubatを満たし、ugeneは発電装置の電圧で、ubatはエネルギ貯蔵装置の電圧である。
【0070】
システムのエネルギが変化した場合、システム中の発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器、電気使用機器等の各部品はすべてエネルギ調節に関与することができる。エネルギが変化した後でも、システムはやはり安定的に運転し、即ち、エネルギバランスが取られ、母線電圧が一定となっている。
【0071】
多次元のエネルギインターネットシステムの運転においては、日射が突然強くなり、新エネルギ発電が突然大きくなって、エネルギ貯蔵装置、グリッド設備、電気使用機器等の各部品のいずれも自身に許容される冗長性の範囲を超えて余分なエネルギを消費し尽くすことができなくなった場合、パワーを制限して運転しなければならず、オフグリッド時のグリッドに許容される冗長性は0とされている。
図4、5に示されるように、多次元のシステムの運転においては、システムαに前記のことが発生した場合、複数のシステムを互いに協働させるように余分なエネルギをシステムβやシステムγへ自由に配分して消費し尽くすことができる。同様に、個別次元のシステムにおいてエネルギが不十分になった場合、母線に接続されている他のシステムから余分なエネルギを自由に取得することができる。
【0072】
各直流母線のパワーの和が0であり、即ち、各次元のエネルギインターネットシステムのパワーの和が0であり、pdc_dg1+pdc_dg2+・・・+pdc_dgn=0を満たす必要があり、ただし、pdc_dgn=fn(fn(f1(v、i、t、s)、f2(v、i、t、s)・・・)、fn(v、i、T、soc)、fn(f1(v、i)、f2(v、i)・・・))であり、pdc_dgnは各次元のシステムにおいて自体による発電、エネルギ貯蔵、電気使用の体系に基づいて構築されたリアルタイムのエネルギ関数であり、多次元のシステム間において直接やり取りしたり割り振ったりする対象となる。また、各直流母線の電流の和が0であり、即ち、各次元のエネルギインターネットシステムの電流の和が0であり、idc_dg1+idc_dg2+・・・+idc_dgn=0を満たす必要がある。
【0073】
システムに係る発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器、電気使用機器の負荷はいずれも自体に許容される冗長性の範囲にあるべきであるため、次元当たりにおける発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器及び配電網機器の電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqは以下の条件を満たす必要がある。
【0074】
(u、i、p、q)gene_n_min<(u、i、p、q)gene_n<(u、i、p、q)gene_n_max
(u、i、p、q)bat_n_min<(u、i、p、q)bat_n<(u、i、p、q)bat_n_max
(u、i、p、q)grid_n_min<(u、i、p、q)grid_n<(u、i、p、q)grid_n_max
(u、i、p、q)load_n_min<(u、i、p、q)load_n<(u、i、p、q)load_n_max
【0075】
ただし、(u、i、p、q)gene_n、(u、i、p、q)bat_n、(u、i、p、q)grid_n、(u、i、p、q)load_nはそれぞれ発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器が安定的に運転する場合の同一次元における電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqの値であり、(u、i、p、q)gene_n_min、(u、i、p、q)bat_n_min、(u、i、p、q)grid_n_min、(u、i、p、q)load_n_minはそれぞれ発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器による同一次元における電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqの最小値であり、(u、i、p、q)gene_n_max、(u、i、p、q)bat_n_max、(u、i、p、q)grid_n_max、(u、i、p、q)load_n_maxはそれぞれ発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器による同一次元における電圧パラメータu、電流パラメータi、パワーパラメータp及び電気量パラメータqの最大値である。
【0076】
また、システムのエネルギバランスはudc=udc_refを満たす必要があり、ただし、udcは直流母線の電圧で、udc_refは直流母線の基準電圧であり、発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器による同一次元におけるパワーパラメータpの和が0であり、即ち、pgrid_n+pgene_n+pbat_n+pload_n=0であり、また、発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器及び電気使用機器による同一次元における電流パラメータiの和が0であり、即ち、igrid_n_dc+igene_n_dc+ibat_n_dc+iload_n_dc=0である。また、システムのエネルギバランスはudc=ugene_n=ubat_nをも満たしており、ただし、ugene_nは発電装置によるある次元における電圧で、ubatはエネルギ貯蔵装置によるある次元における電圧である。
【0077】
多次元のシステムが正常に運転している場合、その母線電圧が一定のものであり、ある個別次元のシステムを導入しても切り離しても、システムの正常運転に影響することがない。多次元のシステムにおけるそれぞれの個別次元のシステムは並列かつ独立した自律制御可能な個体で、互いにマスタレス通信を行うものであり、それらのエネルギデータは割り振りの制御にリアルタイムに関与することができる。
【0078】
一つの具体的な実施例では、個別次元のエネルギインターネットシステムにおいては、その発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器、電気使用機器の定格パワーは1:1:1:3という限界アーキテクチャを採用することができる。以下において具体的に説明する。
【0079】
発電装置は太陽光発電装置とされ、定格発電パワーが5kWとされ、エネルギ貯蔵装置は定格充放電パワーが5kWとされ、容量が20kwhとされ(4時間の放電可能)、配電網機器は定格作動パワーが5kWとされ、電気使用機器は定格電気使用パワーが15kWとされるようにする。
【0080】
エネルギインターネットシステムは全負荷で運転している場合、発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器はいずれも全出力になっており、太陽光発電のパワーは3kW低減した場合、制約条件を満たすようにするために、電気使用機器は同様に、3kW低減させるように電気使用パワーを自律的に調節することで、エネルギバランスの関係を満たすようになる。一方、電気使用機器はパワーが3kW低減し、元のエネルギバランスが破壊された場合、太陽光発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器は1:1:1の配置関係(発電装置、エネルギ貯蔵装置、配電網機器のそれぞれの1kW低減すること)又は特定の調節割合に従って自律的に調節するようになる。限界調節は個別エネルギ調節のことを言い、例えば、電気使用機器はパワーが3kW低減した場合、配電網機器のみにおいてパワーを3kW低減させることにより調節を行い、電気使用機器のパワーが低減して行って配電網機器の出力が制約条件を満たさない場合、配電網機器はエネルギ調節を行わなくなる。この時、システムにおいて太陽光発電装置のパワーが5kW、エネルギ貯蔵装置のパワーが5kW、電気使用負荷のパワーが10kWとなるように配置され、発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器が1:1:2のオフグリッド限界アーキテクチャとなることに相当し、同様に、太陽光発電装置又は負荷のエネルギが変化した場合、上記エネルギバランスの関係に従って配置割合又は特定の調節方式で調節を行う。
【0081】
システムにおける発電装置、エネルギ貯蔵装置、電気使用機器、配電網機器の中のある部品のエネルギが変化した場合、残りの各部品は予め設定された調節方式で調節を行う。システムにおける複数の部品のエネルギが同時に変化した場合、上記ルールに従って調節量を統合すればよい。システムはオフグリッドで運転する場合、(u、i、p、q)grid=0である。
【0082】
多次元のエネルギインターネットシステム、例えば
図4、5に示される三つの次元のシステムにおいては、システムα、システムβ、システムγはいずれも独立して正常に運転しており、システムに対するリアルタイムの監視によりシステムαにおけるエネルギが突然10kW増加することが発見された場合、システムαにおいて各部品のいずれをも自身に許容される冗長性の上限に達するように調節したが、4kWだけ残って消費し尽くすことができない時、エネルギをシステムβとシステムγへ割り振って消費し尽くすようにし、システムβとシステムγは予め設定された割り振り方法に従ってエネルギを配分してから自ら調節を行う。また、例えば、運転中においてシステムβの電気使用負荷が突然大きくなった場合、システムβにおいて各部品のいずれをも自身に許容する冗長性の上限に達するように調節したが、やはり電気使用の需要を満たすことができないため、システムα又は(及び)システムγによる割り振りでエネルギを補足するようにする。
【0083】
また、エネルギインターネットにおいては、管理システムにより特定の運転モード又はカスタマイズされた割り振りを設定することもできる。例えば、システムβはピーク電力価格の時間帯で運転している場合、太陽光発電等の発電装置による余剰のエネルギがあると、エネルギ貯蔵装置へ充電せずに、系統連系により収益を上げる一方、バレー電力価格の時間帯において運転している場合、配電網機器からエネルギ貯蔵装置へ充電する等を行ってもよい。
【0084】
図7は本発明によるエネルギ制御方法の一実施例のフロー模式図である。
【0085】
ステップ710では、複数のエネルギ装置のエネルギ情報を収集する。エネルギ情報は電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを含む。
【0086】
ステップ720では、エネルギバランスの制約条件に基づいて各エネルギ装置のエネルギを調節する。エネルギ装置はエネルギ貯蔵装置や電気使用機器及び発電装置等であり、エネルギバランスの制約条件については上記実施例にて詳細に説明したため、ここではさらなる説明を行わない。
【0087】
この実施例では配電網機器は省かれており、つまり、エネルギインターネットシステムはオフグリッドで運転しており、エネルギ装置のエネルギを割り振ることで、エネルギインターネットシステムの平衡かつ安定的な運転が実現されている。
【0088】
図8は本発明によるエネルギ制御方法の他の実施例のフロー模式図である。
【0089】
ステップ810では、配電網機器と複数のエネルギ装置のエネルギ情報を収集する。
【0090】
ステップ820では、エネルギバランスの制約条件に基づいて配電網機器とエネルギ装置のエネルギを調節する。
【0091】
この実施例では配電網機器が追加されており、つまり、エネルギインターネットシステムは系統連系で運転しており、配電網機器とエネルギ装置のエネルギを割り振ることで、エネルギインターネットシステムの平衡かつ安定的な運転が実現されている。
【0092】
図9は本発明によるエネルギ制御方法のまた他の実施例のフロー模式図である。エネルギインターネットシステムは多次元のものであれば、当該方法はステップ910とステップ920とを含む。
【0093】
ステップ910では、各直流母線のエネルギ情報を収集する。即ち、各次元のシステムの電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータを検出する。
【0094】
ステップ920では、エネルギバランスの制約条件に基づいて各直流母線のエネルギを調節する。各次元のシステムのエネルギの流れ方向を判断し、各次元のエネルギバランスの制約条件に基づいて各次元のシステムのエネルギを統合して割り振る。
【0095】
この実施例では、各次元の電圧パラメータ、電流パラメータ、パワーパラメータ及び電気量パラメータはいずれもエネルギバランスの制約条件を満たすべきであり、それにより、システムのエネルギバランスが実現され、システムを安定的に運転させることが可能になる。
【0096】
図10は本発明によるエネルギルーティング変換機器の一実施例の構造模式図である。当該機器はメモリ1010とプロセッサ1020とを含む。メモリ1010は磁気ディスクやフラッシュメモリ、又は他のあらゆる非揮発性の記憶媒体であってもよい。メモリは、
図7~9に対応する実施例における指令を記憶するように配置されている。プロセッサ1020はメモリ1010に結合され、一つ又は複数の集積回路、例えばマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラとして実施可能である。このプロセッサ1020はメモリに記憶された指令を実行するように配置されている。
【0097】
一実施例では、
図11に示されるように、当該機器1100はメモリ1110とプロセッサ1120とを含んでもよい。プロセッサ1120はBUSバス1130を介してメモリ1110に結合されている。当該機器1100は、外部データを呼び出すように、記憶インタフェース1140を介して外部記憶装置1150に接続されてもよく、ネットワークインタフェース1160を介してネットワーク又は別のコンピュータシステム(図示せず)に接続されてもよい。ここでは詳細に紹介しない。
【0098】
この実施例では、メモリでデータや指令を記憶し、そしてプロセッサで上記指令を処理することにより、エネルギインターネットシステムによるエネルギ交換においてバランスを取って運転させることが可能になる。
【0099】
他の実施例では、コンピュータプログラム指令が記憶されており、この指令がプロセッサにより実行されると、
図7~9に対応する実施例中の方法によるステップが実現されるコンピュータ読取可能記憶媒体を提供する。当業者にとっては、本発明の実施例は方法や装置、又はコンピュータプログラム製品として提供可能なものであることは明らかである。このため、本発明は完全にハードウェアで、又は完全にソフトウェアで、あるいはソフトウェアとハードウェアとの組合せで実施することができる。また、本発明は、コンピュータ利用可能なプログラムコードを含む一つ又は複数のコンピュータ利用可能な非揮発性の記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリ等を含むがそれらに限られない)にて実施されるコンピュータプログラム製品とされてもよい。
【0100】
本発明はその実施例による方法、設備(システム)及びコンピュータプログラム製品に関するフローチャート及び/又はブロック図を参照しながら説明された。フローチャート及び/又はブロック図中のフロー毎及び/又はブロック毎、並びに、フローチャート及び/又はブロック図中のフロー及び/又はブロックの組合せを、コンピュータプログラム指令により実現可能であることは理解されたい。これらのコンピュータプログラム指令を汎用コンピュータ、専用コンピュータ、埋め込みプロセッサ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに与え、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサにて指令を実行することによって、フローチャートの一つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックに指定された機能を実現するための装置が出来る。
【0101】
これらのコンピュータプログラム指令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置を特定の方式で作動させ得るコンピュータ読取可能メモリに記憶されてもよく、このコンピュータ読取可能メモリに記憶される指令により指令装置を含む製品が出来、この指令装置によれば、フローチャートの一つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つ又は複数のブロックに指定された機能が実現される。
【0102】
これらのコンピュータプログラム指令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置へアップロードされてもよく、コンピュータ又は他のプログラマブル装置にて一連の操作ステップを実行することでコンピュータによる処理が実現され、このコンピュータ又は他のプログラマブル装置にて実行される指令によれば、フローチャートの一つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の一つ、又は複数のブロックに指定された機能を実現するためのステップが出来る。
【0103】
以上、本発明について詳細に説明した。本発明の思想を明らかにするため、本分野における周知の詳細なものについては説明しなかった。当業者は上記の説明から、ここで開示された解決手段をどのように実施するかを完全に理解可能であろう。
【0104】
例示により本発明の幾つかの特定の実施例について詳細に説明したが、当業者にとっては、上記の例示は説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するためのものではないことは理解されたい。当業者にとっては、本発明の範囲と精神から逸脱することなく上記実施例を変更し得ることは理解されたい。本発明の範囲は請求項により決まる。