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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】タービンシュラウド間の密閉構造
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/00 20060101AFI20220525BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220525BHJP
【FI】
F01D11/00
F01D25/00 M
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020552884
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2018025311
(87)【国際公開番号】W WO2019190541
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】アザド,ジム サラム
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ルンゾーン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チン-パン
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-162699(JP,A)
【文献】特公昭46-013041(JP,B1)
【文献】米国特許第04767260(US,A)
【文献】実開平06-060702(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0263204(US,A1)
【文献】特表2017-507275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00-15/12;23/00-25/36
F02C 1/00- 9/58
F23R 3/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン用のシュラウドであって、
第2の篏合面(24)の周方向に隣接して位置する第1の篏合面(22)を有する第1のシュラウドセグメント(20a)及び前記第2の篏合面(24)を有する第2のシュラウドセグメント(20b)と、
前記第1及び第2の篏合面(22、24)間の隙間(30)を密閉する密閉構造(50)と、を備え、
前記密閉構造(50)は、少なくとも部分的に、前記第1の篏合面(22)に形成された第1の溝(25a)及び前記第2の篏合面(24)に形成された第2の溝(25b)内に収容され、
前記第1及び第2の溝(25a、25b)はそれぞれ、前記第1及び第2のシュラウドセグメント(20a、20b)の前縁(26)と後縁(28)の間を軸方向に延び、前記第1の溝(25a)は、前記前縁(26)及び前記後縁(28)で開口し、前記第2の溝(25b)は、前記前縁(26)で開口し且つ前記後縁(28)で閉じ
前記密閉構造(50)は、前記軸方向に延びる第1及び第2の側面(52、54)を有し、該第1及び第2の側面(52、54)は、それぞれ前記第1の溝(25a)及び前記第2の溝(25b)内に収容可能であり、当該密閉構造(50)は、前記第1及び第2のシュラウドセグメント(20a、20b)の軸方向長さ )に実質的に等しい軸方向長さ )を有し、そして、前記密閉構造(50)の後縁端部(58)の前記第2の側面(54)切り欠き(60)を有する、シュラウド
【請求項2】
前記切り欠き(60)の軸方向長さ(L)が、前記第2の溝(25b)の後縁端部(35)と前記第2のシュラウドセグメント(20b)の後縁(28)との間の軸方向厚さ(L)に等しいかそれ以上である、請求項1に記載のシュラウド
【請求項3】
前記切り欠き(60)の軸方向長さ(L)が、前記第1及び第2のシュラウドセグメント(20a、20b)の軸方向長さ(L)の0.5%以下だけ、前記第2の溝(25b)の後縁端部(35)と前記第2のシュラウドセグメント(20b)の後縁(28)との間の前記軸方向厚さ(L)よりも大きい、請求項2に記載のシュラウド
【請求項4】
前記切り欠き(60)の幅(W)が前記密閉構造(50)の幅(W)の40~60%である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシュラウド。
【請求項5】
前記密閉構造(50)は、高温ガス流路に面する第1の面(64)と、前記高温ガス流路から外側を向いた第2の面(66)とを備える波形密閉部材であり、前記第1の面(64)は平滑であり、前記第2の面(66)は、前記軸方向に延びる複数の鋸歯状部(68)を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載のシュラウド。
【請求項6】
前記第1嵌合面(22)は、前記第1溝(25a)に隣接して前記第1シュラウドセグメント(20a)の軸方向長さ(L)に沿って延びる面取り部(32)を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載のシュラウド
【請求項7】
前記密閉構造(50)の前記第1の側面(52)及び/又は前記第2の側面(54)は、その軸方向に沿って面取りされている、請求項1~6のいずれか1項に記載のシュラウド。
【請求項8】
当該シュラウド、一列の動翼(4)の半径方向外側に配置された固定リングセグメント(10)を画定する、請求項1~7のいずれかに記載のシュラウド
【請求項9】
当該シュラウド、一列の静翼(3)の先端に取り付けられた外側静翼シュラウド(7)を画定する、請求項1~7のいずれかに記載のシュラウド
【請求項10】
当該シュラウド、一列の静翼(3)のハブ端部に取り付けられた内側静翼シュラウド(6)を規定する、請求項1~7のいずれか1項に記載のシュラウド
【請求項11】
タービンエンジンのシュラウドの設置方法であって、
第1のシュラウドセグメント(20a)の第1の嵌合面(22)が第2のシュラウドセグメント(20b)の第2の嵌合面(24)に面するように、前記第1のシュラウドセグメント(20a)を前記第2のシュラウドセグメント(20b)に円周方向に隣接して整列させ、
該整列した第1及び第2のシュラウドセグメント(20a、20b)は、前記第1の篏合面(22)において軸方向に延びる第1の溝(25a)が、前記第1のシュラウドセグメント(20a)の前縁(26)と後縁(28)で開口し、前記第2の篏合面(24)において前記軸方向に延びる第2の溝(25b)が、前記第2のシュラウドセグメント(20b)の前縁(26)で開口し且つ後縁(28)で閉じており
前記第1及び第2の溝(25a、25b)内に密閉構造(50)を挿入し、
密閉構造(50)前記軸方向に延びる第1及び第2の側面(52、54)を有し、該第1及び第2の側面(52、54)が、設置時に、それぞれ前記第1及び第2の溝(25a、25b)内に収容され、該密閉構造(50)は、前記第1及び第2のシュラウドセグメント(20a、20b)の軸方向長さ(L)に実質的に等しい軸方向長さ(L)を有し、そして、前記密閉構造(50)の後縁端部(58)の前記第2の側面(54)切り欠き(60)を備え、
前記第2の溝(25b)の閉じた後縁端部35)が、前記密閉構造(50)の前記第2の側面(54)前記切り欠き(60)により形成された肩部(62)と係合し、前記後縁(28)方向への前記密閉構造(50)の軸方向移動を制限する、設置方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、特に、固定シュラウドの円周方向に隣接するセグメント間の密閉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、1列以上又は複数段の静翼及び動翼を有するタービン部を備える。動翼は、固定外側シュラウドアセンブリと狭い間隔で延びるそれぞれの翼の先端部を有する。通常は、外側シュラウドアセンブリは、円周方向のシュラウドセグメント列で構成される環状構造である。高温ガスの進入から円周方向に隣接するシュラウドセグメント間の隙間を密閉するために密閉部材を設けることができる。密閉部材は、円周方向に隣接するシュラウドセグメントの嵌合面に設けられた溝内に収容することができる。製造上の制限及び設置の要件、運転条件における密閉構造の機械的安定性及び/又は運転中の高温ガスの漏洩を防止するための密閉部材の有効性に課題を生じさせる場合がある。
【発明の開示】
【0003】
簡単に言うと、本発明の態様は、機械的安定性及び漏れ制御を向上させるタービンシュラウドセグメント間の密閉構造を提供する。
【0004】
本発明の第1の態様によれば、タービンエンジン用シュラウド提供されるこのシュラウドは、第1の嵌合面を有する第1のシュラウドセグメントと、第2の嵌合面を有する第2のシュラウドセグメントとを備える。第1の嵌合面は、第2の嵌合面の円周方向に隣接して位置する。シュラウドは、第1及び第2の嵌合面との間の隙間を密閉するための密閉構造をさらに備える。密閉構造は、少なくとも部分的には、第1の嵌合面に形成された第1の溝と、第2の嵌合面に形成された第2の溝とに収容される。第1及び第2の溝は、それぞれのシュラウドセグメントの前縁と後縁との間で軸方向に延びており、第1の溝は、前縁と後縁で開口し、第2の溝は、前縁で開口し、後縁で閉じている。密閉構造は、第1及び第2の溝内にそれぞれ収容可能な軸方向に延びる第1及び第2の側面を有する。密閉構造は、第1及び第2のシュラウドセグメントの軸方向長さと実質的に等しい軸方向長さを有し、密閉構造の後縁端部の第2の側面に切り欠きを有する。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、タービンエンジンのシュラウドの設置方法提供される。この方法は、第1のシュラウドセグメントの第1の篏合面が第2のシュラウドセグメントの第2の篏合面に面するように、第1のシュラウドセグメントを第2のシュラウドセグメントの周方向に隣接して整列させる。整列した第1及び第2のシュラウドセグメントは、第1の嵌合面において軸方向に延びる第1の溝が、第1のシュラウドセグメントの前縁と後縁で開口し、第2の嵌合面において軸方向に延びる第2の溝が、第2のシュラウドセグメントの前縁で開口し且つ後縁で閉じている。この方法は、第1及び第2の溝に密閉構造を挿入することを更に含む。この密閉構造は、軸方向に延びる第1及び第2の側面を有し、設置時に、それぞれ第1及び第2の溝内に収容される密閉構造は、第1及び第2のシュラウドセグメントの軸方向長さと実質的に等しい軸方向長さを有し、そして、密閉構造の後縁端部において第2の側面切り欠きを有する。第2の溝の閉じた後縁端部は、密閉構造の第2の側面の切り欠きによって形成された肩部と係合して、後縁に向かう密閉構造の軸方向の移動を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。図は特定の構成を示しており、本発明の範囲を制限するものではない。
図1】ガスタービンエンジンのタービンの一部の縦断面図である。
図2】シュラウドセグメントの軸方向から見た概略断面図である。
図3】本発明の一実施形態による、組立前シュラウドの構成要素を示す要部斜視図である。
図4図3の部分100の拡大斜視図である。
図5】作動媒体流体の流れ方向を軸方向から見た、本発明の実施形態に係るシュラウドアセンブリの斜視図である。
図6】作動媒体流体の流れ方向を軸方向から見た、本発明の実施形態に係るシュラウドアセンブリの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、好適な実施形態の詳細説明においては、本書の一部を構成する添付図面を参照し、本発明を実施し得る具体的な実施形態を限定的ではなく、実施例として示す。他の実施形態をも可能であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更を行うことができる。
【0008】
以下の説明では、用語「軸方向」、「円周方向」、「半径方向」、及びその派生語は、長手方向タービン軸に関連して定義される。
【0009】
図1を参照すると、ガスタービンエンジンのタービン段1の一部を示している。タービン段1は、長手方向タービン軸2を中心とする断面図において略対称である。タービン段1は、一列の静翼3と一列の動翼4とを備え、これらの動翼はタービン軸2の周囲に環状に形成されて取り付けられている。静翼列3は、作動媒体流体の流路F内に半径方向に延びる翼型列5を備える。翼型列5は、ハブ端部に取り付けられた内側静翼シュラウド6と、翼型列5の先端部に取り付けられた外側静翼シュラウド7との間に延びている。動翼列4は、翼型列8のハブ端部に取り付けられたプラットフォーム9から流路F内に延びる翼型列8を備えている。翼型列8の先端は、リングセグメント10とも呼ばれる固定外側シュラウド10と狭い間隔で位置する
【0010】
シュラウド6、7及び10はそれぞれ環状構成を有し、複数のシュラウドセグメントが円周方向に並んで配置されている。構成の一例を図2に示す。この例では、シュラウド6、7、10のいずれかであるシュラウドは、複数のシュラウドセグメント20で構成される。2つの円周方向に隣接するシュラウドセグメント20を図2に示す。すなわち、第1のシュラウドセグメント20aと第2のシュラウドセグメント20bである。第1のシュラウドセグメント20aは、第2のシュラウドセグメント20bの第2の嵌合面24に隣接して、かつ対向して配置される第1の嵌合面22を有する。第1及び第2の嵌合面22、24との間の隙間30を密閉するための密閉構造50(以下単に「密閉部材50」という)が設けられている。図示するように、密閉部材50は、少なくとも部分的には、第1の嵌合面22形成された第1の溝25aと、第2の嵌合面24形成された第2の溝25bとに収容される。密閉部材50及び第1及び第2の溝25a、25bは、第1及び第2のシュラウドセグメント20a、20bの前縁と後縁と図2には示していない)の間で軸方向(図2の平面に対して垂直)に延びる。
【0011】
運転時には、第1及び第2のシュラウドセグメント20a、20bの前縁と後縁との間の圧力の差によって、密閉部材50が後縁に向かって押されることがあり、これは密閉部材50の安定性及び有効性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0012】
構成の一例では、特に、リングセグメント10の場合、第1及び第2の溝25a、25bはそれぞれ、シュラウドセグメント20a、20bの前縁から後縁まで軸方向にずっと延びている。この場合、エンジン運転中に第1及び第2の溝25a、25bの内側に密閉部材50を保持するために、密閉部材50の後縁角部に小さな切り欠きを設けてもよい。この切り欠きは、密閉部材50が第1及び第2の溝25a、25bの内側に組み立てられるたきに窪みを形成する。密閉部材50が溝内に組み立てられた後、この窪みは、例えば、溶接材料で充填してもよい。これにより、密閉部材50は、後縁端部の所定位置に接着され、エンジン運転中の移動防止される。しかしながら、溶接材料の動作寿命は、通常は、第1及び第2のシュラウドセグメント20a、20bの基材の寿命よりも短い。溶接材料が壊れる場合において、もしかすると、第1及び第2のシュラウドセグメント20a、20bの後縁端部から密閉部材50が部分的に又は完全に滑り出て、下流のタービン部品を損傷させる可能性がある。
【0013】
別の構成、特に、リングセグメント10においては、軸方向の第1及び第2の溝25a、25bは、第1及び第2のシュラウドセグメント20a、20bの前縁及び後縁で閉じてもよい。この構成は、溶接工程を必要としない。密閉部材50は、第1及び第2の溝25a、25bに円周方向から挿入することができる。この場合、密閉部材50の軸方向長さは、第1及び第2のシュラウドセグメント20a、2bの軸方向長さよりも短くし、密閉部材50が閉じた第1及び第2の溝25a、25bに確実に嵌合するようにする。密閉部材の長さが短いほど、前縁及び後縁に隙間が生じる可能性がある。隙間は、高温ガスが流入し、冷却流の漏れを増加させ、性能劣化を引き起こす可能性がある。
【0014】
図3図6は、密閉安定性及び漏洩制御を改善した本発明の実施形態を示す。本実施形態は、タービン段における一列の動翼の先端を取り囲む固定外側シュラウド又はリングセグメント10に関して説明する。しかしながら、本発明の態様は、とりわけ、図1に示す内側静翼シュラウド6及び外側静翼シュラウド7のような他の種類の固定シュラウドセグメントに適用することができる。
【0015】
図3を参照すると、外側シュラウド10は、多数のシュラウドセグメント20から形成することができ、そのうちの2つ、第1及び第2のシュラウドセグメント20a及び20bとしてそれぞれ示される。各シュラウドセグメント20は、それぞれの前縁26からそれぞれの後縁28まで軸方向に延びている。前縁26と後縁28との間のシュラウドセグメント20の軸方向長さは、L(個々のシュラウドセグメント20a、20bの軸方向長さLが実質的に等しい)と示される。各シュラウドセグメント20は、前縁26から後縁28まで軸方向に延びる、それぞれの第1の嵌合面22と、それぞれの第2の嵌合面24とをさらに備える。組立時、第1及び第2のシュラウドセグメント20a、20bは、図5及び図6に示すように、第1のシュラウドセグメント20aの第1の嵌合面22が、第2のシュラウドセグメント20bの第2の嵌合面24に円周方向に隣接し、これに面するように整列される。アセンブリは、さらに、第1のシュラウドセグメント20aの第1の嵌合面22と第2のシュラウドセグメント20bの第2の嵌合面24との間の円周方向の隙間30を密閉するための密閉部材50を有する。
【0016】
図3に戻ると、密閉部材50は、シュラウドセグメント20の軸方向長さLに実質的に等しい軸方向長さLを有する。密閉部材50は、第1のシュラウドセグメント20aの第1の嵌合面22及び第2のシュラウドセグメント20bの第2の嵌合面24それぞれ形成される第1及び第2の溝25a、25bに収容可能である。第1の溝25aは、第1のシュラウドセグメント20aの軸方向長さL全体に沿って、前縁26から後縁28まで延びている。これにより、第1の溝25aは、前縁26及び後縁28において開口している。第2の溝25bは、第2のシュラウドセグメント20bの前縁26から軸方向に延びているが、第2のシュラウドセグメント20bの後縁28の手前で終わっている。これにより、第2の溝25bは、前縁26で開口しているが、後縁28で閉じている。第2の溝25bの後縁端部35は、第2のシュラウドセグメント20bの後縁28から軸方向厚さに位置している。従って、第2の溝25bは、第1の溝25aに対して軸方向の長さが短くなっている。
【0017】
なお、第2シュラウドセグメント20bの第2の嵌合面24は、本明細書に記載した実施形態のいずれかに従い、第1のシュラウドセグメント20aの第1の嵌合面22と同様に構成してもよい。同様に、第1のシュラウドセグメント20aの第1の嵌合面22は、本明細書に記載した実施形態のいずれかに従い、第2のシュラウドセグメント20bの第2の嵌合面24と同様に構成してもよい。
【0018】
密閉部材50は、密閉部材50の前縁端部56から後縁端部58まで軸方向に延びる第1及び第2の側面52、54を備えている。密閉部材50の第1の側面52及び第2の側面54は、第1の溝25a及び第2の溝25b内にそれぞれ収容可能である。第1の側面52は、密閉部材50の軸方向長さL全体に沿って延びている。第2の側面54は、後縁端部58切り欠き60を有する。これにより、第2の側面54は、第1の側面52よりも短い軸方向長さを有する。切り欠き60は、図4に示すように、密閉部材50の後縁端部58から軸方向距離Lにある肩部62を画定する。距離Lは、切り欠き60の軸方向の長さを規定する。
【0019】
例示的な組立工程において、密閉部材50は、まず、第2のシュラウドセグメント20bの第2の嵌合面24第2の溝25bに接線方向に挿入され、次いで、第2の溝25b内の密閉部材50を叩いて広げることができる。その後、シュラウドセグメント20aを接線方向に密閉部材50上を摺動させることによって、密閉部材50を第1のシュラウドセグメント20aの第1の嵌合面22の第1の溝25aに挿入することができる。挿入されると、第2の溝25bの閉じた後縁端部35は、密閉部材50の第2の側面54切り欠き60の肩部62と係合して、密閉部材50の後縁に向かう軸方向の移動を制限する。一実施形態では、挿入を案内するために、第1の嵌合面22は、図3に示すように、第1の溝25aに隣接して第1のシュラウドセグメント20aの軸方向長さLに沿って延びる面取り部32を備えることができる。また、密閉部材50の第1の側面52及び/又は第2の側面54は、密閉部材50の挿入を容易にするために、その軸方向の広がりに沿って面取りしてもよい。
【0020】
図示の実施形態では、密閉部材50を所定の位置に保持するための溶接作業は必要ない。この場合、第2の溝25bの閉じた端部35は、密閉部材50がエンジン運転中に第1及び第2の溝25a、25bから滑り出るのを防止する突出部を形成する。この突出部は、シュラウドセグメント20の基材で作られており、溶接材料よりも運転寿命が改善される。さらに、密閉部材50の軸方向長さLはシュラウドセグメント20の軸方向長さLとほぼ等しいので、漏れ隙間が前縁26及び後縁28に形成されない。図5及び図6を参照すると、密閉部材50の熱膨張を可能にするために、第1及び第2の溝25a、25bに円周方向に隙間72を設けることができる。
【0021】
突出部は、第2の溝25bの後縁端部35と第2のシュラウドセグメント20bの後縁部28との間の軸方向厚さによって規定される材料の厚さを有する。一実施形態では、切り欠き60の軸方向長さLは、後縁28における第1の溝25a内の漏れ隙間の形成を回避するために、突出部厚さLと等しいか又はそれよりも大きくすることができる。好適な実施形態において、切り欠き60の軸方向長さLは、第1及び第2の溝25a、25bの前縁26での漏れ隙間の形成を回避するために、シュラウドセグメント20の軸方向長さLの0.5%以下だけ突出部厚さLより大きくすることができる。
【0022】
図4を参照すると、密閉部材50は、円周方向における第1の側面52と第2の側面54との間の距離によって規定される幅Wを有する。切り欠き60は、肩部62の円周方向の幅によって規定される幅Wを有する。図示の実施形態では、切り欠き60の幅Wは、密閉部材50の幅Wの40~60%である。
【0023】
さらに図4を参照すると、密閉部材50は、高温ガス流路に面する第1の流路64と、運転中に、高温ガス流路から外方に面する第2の面66とを有する。一実施形態では、密閉部材50は、波形密閉部材として構成することができ、第2の面66には複数の軸方向鋸波状歯68が設けられ、第1の面64は平滑である。この構成の波形密閉部材は、漏れ抵抗を改善することができる。
【0024】
特定の実施形態を詳細に説明してきたが、当業者であれば、開示の全教示を鑑みて、それらの詳細に対する様々な変更及び代替が可能であることを理解するであろう。従って、開示された特定の構成は、単に例示を意味し、発明の範囲限定するものではなく、発明の範囲は、特許請求範囲に係る全範囲及びそのいずれか及び全ての等価のものにより与えられるべきである
図1
図2
図3
図4
図5
図6