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特許7079352ピペット装置の近接感知のために無脈動空気流を生成する小型圧電空気ポンプ
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  • 特許-ピペット装置の近接感知のために無脈動空気流を生成する小型圧電空気ポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】ピペット装置の近接感知のために無脈動空気流を生成する小型圧電空気ポンプ
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
G01N35/10 D
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020573243
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019040146
(87)【国際公開番号】W WO2020010002
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】62/693,572
(32)【優先日】2018-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ピー・エーベリング
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・ベッセ-ベルジエ
(72)【発明者】
【氏名】ユ・シュウ
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-106073(JP,A)
【文献】特表2002-510056(JP,A)
【文献】特開平09-054023(JP,A)
【文献】特開2008-119652(JP,A)
【文献】特開平01-227064(JP,A)
【文献】特開2000-097952(JP,A)
【文献】特表2014-516659(JP,A)
【文献】特開2010-287650(JP,A)
【文献】特開2016-097209(JP,A)
【文献】特開平09-032723(JP,A)
【文献】特開2009-190010(JP,A)
【文献】特表2008-539440(JP,A)
【文献】特開2002-307003(JP,A)
【文献】特開平04-296655(JP,A)
【文献】米国特許第04846003(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルプローブシステムであって:
トランスデューサとサンプルプローブとを含むサンプルプローブアセンブリと;
空気流がサンプルプローブから退出するようにサンプルプローブアセンブリに無脈動の空気流を供給するように構成された圧電ポンプを含む空気供給アセンブリと;
トランスデューサによって検出される空気流の圧力変化に基づいてサンプルプローブの相対位置を決定するように構成された制御システムと
を含む、前記サンプルプローブシステム。
【請求項2】
サンプルプローブは、プローブプランジャと、使い捨てチップとを含む、請求項1に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項3】
サンプルプローブアセンブリは、サンプルポンプをさらに含む、請求項1に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項4】
空気供給アセンブリは、空気フィルタをさらに含む、請求項1に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項5】
空気供給アセンブリは、1つまたはそれ以上の弁をさらに含む、請求項1に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項6】
1つまたはそれ以上の弁は、ポンプ弁と、ブリード弁とを含む、請求項5に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項7】
制御システムは、空気流を生成するように圧電ポンプに電圧を印加するように構成される、請求項1に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項8】
制御システムは、トランスデューサからの信号に基づいて印加電圧波形を調節するように構成されたフィードバック制御をさらに含む、請求項7に記載のサンプルプローブシス
テム。
【請求項9】
印加電圧の調節は、印加電圧の振幅または周波数のうちの少なくとも一方を調節することを含む、請求項8に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項10】
サンプルプローブシステムであって:
トランスデューサとサンプルプローブとを含むサンプルプローブアセンブリと;
空気流がサンプルプローブから退出するようにサンプルプローブアセンブリに無脈動の空気流を供給するように構成された圧電ポンプを含む空気供給アセンブリであり、ここで、圧電ポンプは:
入口開口部と出口ノズルとを含む外側ハウジングと;
入口開口部に流体連結された、外側ハウジング内に画成された取入チャネルと;
外側ハウジング内に位置し、サンプルプローブアセンブリへと空気流を生成するように空気を取入チャネルから吸い込み出口ノズルから空気を排出するように構成され、圧電素子を含む、内部ポンプとを含む、
空気供給アセンブリと;
空気流を生成するために圧電素子に電圧を印加し、トランスデューサによって検出される空気流の圧力変化に基づいてサンプルプローブの相対位置を決定するように構成された制御システムと
を含む、前記サンプルプローブシステム。
【請求項11】
内部ポンプは、取入チャネルに流体連結された空気チャンバを画成する複数の壁を含む、請求項10に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項12】
複数の壁は、ダイヤフラム壁を含み、該ダイヤフラム壁は、可撓性材料から形成され、圧電素子に印加される電圧に基づいて形状を変えるように構成される、請求項11に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項13】
圧電素子は、ダイヤフラム壁に取り付けられる、請求項12に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項14】
圧電素子は、ダイヤフラム壁と一体に形成される、請求項12に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項15】
制御システムは、トランスデューサからの信号に基づいて印加電圧を調節するように構成されたフィードバック制御をさらに含む、請求項10に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項16】
印加電圧は、6~20Vの振幅を含む、請求項10に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項17】
印加電圧は、20kHzより高い周波数を含む、請求項10に記載のサンプルプローブシステム。
【請求項18】
化学分析装置であって:
複数の容器を支持するように構成された反応カルーセルと;
サンプル流体管を輸送するためのサンプル流体管輸送システムと;
サンプル流体の部分をサンプル流体管から吸引し反応カルーセルによって支持されている複数の容器に分注するように構成された液体サンプル採取プローブと、
化学分析装置内で自動制御動作を実行するように構成された制御コンピュータと
を含み、
ここで、液体サンプル採取プローブは:
トランスデューサとサンプルプローブとを含むサンプルプローブアセンブリと;
空気流がサンプルプローブから退出するようにサンプルプローブアセンブリに無脈動の空気流を供給するように構成された圧電ポンプを含む空気供給アセンブリとを含み、
ここで、制御コンピュータは、トランスデューサによって検出される空気流の圧力変化に基づいてサンプルプローブの相対位置を決定するように構成される、
前記化学分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書にその内容全体が組み込まれている、2018年7月3日に出願した米国仮出願第62/693,572号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、圧電空気ポンプに関し、より詳細には、ピペット装置の近接感知のために無脈動空気流を生成する小型圧電空気ポンプに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の体液または膿瘍から採取された液体サンプルの分析により、患者の診断および治療に関連する様々なタイプの分析試験を実施することができる。これらのアッセイは、一般に、患者サンプルを含む管またはバイアルが装填された自動臨床分析装置を用いて実施される。分析装置は、バイアルから液体サンプルを抽出し、そのサンプルを特別な反応キュベットまたは管(一般に反応容器と呼ばれる)の中で様々な試薬と合わせる。通常、サンプル-試薬溶液は、分析される前に、インキュベートされるか、他のやり方で処理される。分析測定、たとえば比濁読み取り、蛍光測定読み取り 、吸収読み取りなどは、多くの場合、サンプル-試薬組み合わせと相互作用するインタロゲート放射線のビームを使用して実施される。測定は終点またはレート値の決定を可能にし、その値から、周知の較正技術を使用して、患者の健康状態に関連する被分析物の量を決定することもできる。
【0004】
いくつかの分析装置およびあるピペット採取装置は、ベルヌーイの定理に依拠し、使い捨てチップなどの物体および液体自由表面を液体サンプル試験に関連する自動プロセスで感知する。ベルヌーイの定理を用いて物体を感知するように、サンプルプローブは、中を流れる空気の連続的な供給を有さなければならない。サンプルプローブが物体に近づくと、圧力トランスデューサが供給流の運動エネルギーからポテンシャルエネルギーへの変換を感知する。感知アルゴリズムは、物体検出のために供給流の運動エネルギーからポテンシャルエネルギーへの変換を検出しなければならないので、圧力の脈動を最小にしなければならない。
【0005】
ベルヌーイの定理に依拠する1つの現在の方法は、物体感知の間プローブに空気を供給する回転ベーンポンプを含む。各ベーンがポンプハウジングのポートを通過するとき、大きな圧力脈動が生み出される。流れの方向を制御する1つまたはそれ以上の内部弁を含むポンプは、脈動空気流を生成することがある。外部脈動ダンプナは、圧力の急上昇を調整し、サンプルプローブへの供給流を滑らかにすることにしばしば使用される。滑らかな定常流は、サンプルプローブが物体に近づいているかを制御システムが確実に検出するために必要である。
【0006】
いくつかの従来のシステムは、無脈動流生成の課題の解決を試みているが、それらは、概してコスト効果が高くない。たとえば、特許文献1には、感知される表面に対して下方に流体を連続的に出す垂直方向に動くことができるノズルを用いて液体表面レベルを感知および制御する自動制御システムが記載されている。しかし、この開示は、定圧供給が必要であることしか触れておらず、滑らかな定常空気流の生成方法については記載していない。特許文献2には、サンプル流体を吸引し分注する装置での別の現在の方法が記載されている。プローブの遠位端における定常の滑らかな空気流の供給を達成するために、蛇管または蛇状ブロックの形態の脈動ダンパおよびベント管が必要である。この脈動ダンパの追加は、アセンブリを複雑にし、不必要な費用を追加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第3,494,191号
【文献】米国特許第6,158,269号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、従来技術の上記および他の問題を克服することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、コスト効果が高くコンパクトなやり方で滑らかな層流を提供しつつサンプルプローブの近接または位置の感知を実施するためにサンプルプローブシステムと一緒に使用することができる圧電ポンプを有する空気供給システムを用いて従来技術の課題を解決する。
【0010】
いくつかの実施形態では、サンプルプローブシステムは、サンプルプローブアセンブリと、空気供給アセンブリと、制御システムとを含む。サンプルプローブアセンブリは、トランスデューサと、サンプルプローブとを含む。空気供給アセンブリは、空気流がサンプルプローブから退出するようにサンプルプローブアセンブリに空気流を供給するように構成された圧電ポンプを含む。制御システムは、トランスデューサによって検出される空気流の圧力変化に基づいてサンプルプローブの相対位置を決定する。
【0011】
他の実施形態では、サンプルプローブシステムは、サンプルプローブアセンブリと、空気供給アセンブリと、制御システムとを含む。サンプルプローブアセンブリは、トランスデューサと、サンプルプローブとを含む。空気供給アセンブリは、空気流がサンプルプローブから退出するようにサンプルプローブアセンブリに空気流を供給するように構成された圧電ポンプを含む。圧電ポンプは、入口開口部と出口ノズルとを含む外側ハウジングと、入口開口部に流体連結された、外側ハウジング内に画成された取入チャネルと、外側ハウジング内に位置し、サンプルプローブアセンブリへと空気流を生成するように空気を取入チャネルから吸い込み出口ノズルから空気を排出するように構成され、圧電素子を含む、内部ポンプとを含む。制御システムは、空気流を生成するために圧電素子に電圧を印加し、トランスデューサによって検出される空気流の圧力変化に基づいてサンプルプローブの相対位置を決定する。
【0012】
他の実施形態では、化学分析装置は、複数の容器を支持するように構成された反応カルーセルと、サンプル流体管を輸送するためのサンプル流体管輸送システムと、サンプル流体の部分をサンプル流体管から吸引し反応カルーセルによって支持されている複数の容器に分注するように構成された液体サンプル採取プローブと、化学分析装置内で自動制御動作を実行するように構成された制御コンピュータとを含む。液体サンプル採取プローブは、サンプルプローブアセンブリと、空気供給アセンブリとを含む。サンプルプローブアセンブリは、トランスデューサと、サンプルプローブとを含む。空気供給アセンブリは、空気流がサンプルプローブから退出するようにサンプルプローブアセンブリに空気流を供給するように構成された圧電ポンプを含む。制御コンピュータは、トランスデューサによって検出される空気流の圧力変化に基づいてサンプルプローブの相対位置を決定するように構成される。
【0013】
本発明の追加の構成および利点は、添付の図面を参照しながら進める以下の例示的な実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0014】
本発明の上記および他の態様は、以下の詳細な説明を添付図面と関連させて読むことにより、最も良く理解される。本発明を例示するために、図面には現在好ましい実施態様が示されているが、本発明は、開示される特定の手段に限定されないと理解されよう。図面には以下の図が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】例示的な化学分析装置の上面図である。
図2】ある実施形態で使用される反応容器およびキュベットを輸送するためのカルーセルの一部分の上面図である。
図2A】ある実施形態で使用されるキュベットの斜視図である。
図2B】ある実施形態で使用される別のタイプの反応容器の斜視図である。
図3】従来のサンプルプローブシステムの一例の図である。
図4】開示の実施形態と一致する例示的なサンプルプローブシステムの図である。
図5図5A~5Cは、図4のサンプルプローブシステムの実施形態の例示的な概略線図である。
図6】開示の実施形態と一致する例示的な圧電ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施形態は、サンプルプローブシステムに組み入れられた圧電プローブを含む。圧電ポンプは、無脈動空気流を生成し、制御システムがベルヌーイの定理によりサンプルプローブの位置を確実に検出できるようにする。いくつかの実施形態では、内部弁は乱流またはそうでなければ非層流を引き起こす恐れがあるが、圧電ポンプは、そうした内部弁なしで動作する。圧電ポンプは、圧電材料の周期的または非周期的な振動により動作することができる。サンプルプローブシステムは圧電ポンプのフィードバック制御をさらに含むことができ、それによってシステムは製造バイアスもしくは標高を補償することができ、および/または、フィルタ交換の必要性もしくは詰りがあるかどうかなどの問題があることを使用者に警告することができるフィードバックシステムが提供される。
【0017】
図1は、図2とあわせて、たとえば参照によって本明細書にその全体を組み入れる米国特許第7,258,480号に記載される化学分析装置を含むことができる、本発明を有利に実施することができる自動化学分析装置10の要素を概略的に示している。分析装置10は、反応カルーセル12を含む。反応カルーセル12は、キュベットポート20が形成された外側カルーセル14、および容器ポート22が形成された内側カルーセル16を支持する。外側カルーセル14および内側カルーセル16は、開口溝18によって隔てられている。キュベットポート20は、従来の臨床およびイムノアッセイのアッセイのための様々な試薬およびサンプル液体を含む、図2Aに見られるような複数の反応キュベット24を受けるように適用される。容器ポート22は、超高感度発光イムノアッセイ用の特殊試薬を含む、図2Bに示されるような複数の反応容器25を受けるように適用される。キュベットと反応容器は、本明細書で使用されるような様々な形状を有することができるが、混合方法は、反応容器25またはキュベット24の内容物に適用することができる。反応容器およびキュベットという用語は、広義かつ相互的に解釈されるべきである。反応容器は、たとえば、キュベット、バイアル、管または試薬と溶液を混合するための他の適当な容器を含むことができる。
【0018】
反応カルーセル12は、一定の方向の段階的な動きを用いて回転可能であり、段階的な動きは一定の停止時間によって区切られ、停止時間中には、反応カルーセル12は静止したままであり、センサなどのコンピュータ制御されたアッセイ作動装置13、試薬添加ステーションおよび混合ステーションなどが、必要に応じて、キュベット24に含まれたアッセイ混合物に対して作用する。
【0019】
分析装置10は、分析装置10内の様々な分析手段17(たとえば検出ユニット)によって実施されるアッセイを実施するためのコンピュータ15によって実行されるソフトウェアによって制御される。分析手段は、たとえば、反応容器またはキュベット内の反応の結果を解釈するための1つまたはそれ以上の光度計、濁度計、比濁計、電極、電磁石および/またはLOCI(登録商標)リーダを含むことができる。本明細書に記載の各工程は、分析装置10が利用できるコンピュータ15などの1つまたはそれ以上のプロセッサで実行されるプログラミング命令によって直接的にまたはそれに応答して実施可能であると理解されたい。これらのソフトウェア命令は、ハードドライブ、固体メモリ、光ディスクまたはフラッシュメモリなどを含む、任意の従来の手段を介した実行のために記憶される。
【0020】
図1に見られるように、二方向入出サンプル流体管輸送システム34は、サンプル流体管40のような開口したサンプル流体容器を含むサンプル流体管ラック38を、白抜き矢印35Aによって示すように、入力レーン35の第1の端部のラック入力装填位置から入力レーン35の第2の端部まで輸送する機構を含む。サンプル管40に含まれた液体標本を、その上に配置されたバーコード化された印を従来のバーコードリーダを用いて読むことによって識別し、とりわけ、患者の身元、実施予定の試験、サンプルアリコートを分析装置10内に保持するかどうか、および保持するならば、どれくらいの期間かを決定することができる。さらに、バーコード化された印をサンプル管ラック38上に配置し、分析装置10全体に設置された多数のバーコードリーダを使用して、サンプル管40およびサンプル管ラック38の位置の確認、制御および追跡を行うことも一般に実施される。
【0021】
液体サンプル採取プローブ42は、入力レーン35の第2の端部の近くに位置し、サンプル流体管40からサンプル流体のアリコート部分を吸引し、そのサンプル流体のアリコート部分をアリコート容器アレイ44の複数の容器のうちの1つまたはそれ以上の中に分注するように動作可能である。これは、アッセイを容易にし、分析装置10によって環境チャンバ48内に保持されるサンプル流体アリコートを提供するための量のサンプル流体を提供する。サンプル流体がラック38のすべてのサンプル流体管40から吸引され、アレイ44中のアリコート容器の中に分注され、アリコート容器アレイ収納輸送システム50に維持された後、ラック38を、白抜きの矢印36Aで示されるように、オペレータのアクセス可能な分析装置10の前面区域に移動させて、分析装置10から降ろすことができる。
【0022】
サンプル吸引プローブ54は、コンピュータ15によって制御され、トラック(図示せず)内のサンプル採取位置に位置するアレイ44中の個々のアリコート容器から制御された量のサンプルを吸引したのち、1つまたはそれ以上の被分析物に関する分析装置10による試験のために、吸引されたサンプルの適量が1つまたはそれ以上のキュベット24の中に分注される分注位置に動かされるように適用される。サンプルが反応キュベット24に分注された後、従来の移送手段が、必要に応じて、アリコート容器アレイ収納分注モジュール56内のアリコート容器アレイ44を、アリコート容器アレイ輸送システム50、環境チャンバ48および廃棄処分域(図示せず)の間で動かす。
【0023】
温度制御された収納域またはサーバ26、27および28は、いくつかの異なるアッセイを実施するウェル32中に試薬を含む、たとえば参照によって本明細書に組み入れる米国特許第6,943,030号に記載されているものなど、入力トレー29を介してシステムに装填される細長いマルチコンパートメント試薬カートリッジ30の在庫を含む。コンピュータ15は、試薬カートリッジ30の動きおよび配置を制御し、追跡することができる。サーバ26、27および28からの試薬は、1つまたはそれ以上の試薬プローブアーム60、61および62によって取り扱うことができる。
【0024】
自動化学分析装置10の液体サンプル採取プローブ42は、液体サンプルに接近しそれを採取することに使用することができるサンプル採取プローブの一例である。上記その他の類似のピペット装置では、サンプルに対するサンプル採取プローブの相対位置を検出するために、近接感知が使用される。たとえば、近接感知は、プローブプランジャが所定量のサンプルを採取するように起動されるように、使い捨てチップがサンプルの表面に到達したことを判定することに使用することができる。近接感知を実施するために、サンプルプローブシステムは、液体レベル感知のための空気ポンプを含むことができる。空気流は空気ポンプからサンプルプローブマニホルドを通って圧力トランスデューサへと流れて最後に使い捨てチップに達し、使い捨てチップが圧送されてきた空気流を液体中にパージすることができる。システムは、(たとえば、流れがサンプルまたは他の材料によって遮断されたことによる)動圧から静水圧への変化による圧力読取値の急激な変化を感知したとき、新しい媒体への接近を感知することができる。
【0025】
図3は、従来のサンプルプローブシステム100の概略線図である。サンプルプローブシステム100は、サンプルプローブアセンブリ110および空気供給アセンブリ120を含む。空気供給アセンブリ120は、空気流をサンプルプローブアセンブリ110に供給する。サンプルプローブアセンブリ110がサンプルに接近すると、空気流が遮断され、サンプルへの接点または距離が決定される。
【0026】
サンプルプローブアセンブリ110は、たとえば、サンプルポンプ112、トランスデューサ114、およびサンプルプローブ116を含む。サンプルポンプ112は、サンプルプローブ116へのサンプルの受け入れおよび送達を制御するポンプまたは弁である。たとえば、サンプルポンプ112は、サンプルプランジャが液体サンプルをプランジャの直線運動によりサンプルプローブ116のチップに吸い込みその液体サンプルを逆動作で排出するように、サンプルプランジャを制御することができる。トランスデューサ114は、検出システム(図示せず)に接続されており、サンプルプローブ116における空気流の変化に基づいた信号を供給するように構成される。一般に、トランスデューサという用語は、この場合、サンプルプローブ116からの空気流の変化を検出するように構成された任意のセンサ(たとえば、圧力センサ)を述べることに使用される。
【0027】
空気供給アセンブリ120は、たとえば、空気ポンプ122、フィルタ124、およびパルスダンプナマニホルド126を含む。空気ポンプ122は、空気流を生成するように構成された機構である。空気ポンプ122は、たとえば、回転ブレードおよび空気ポンプ122から出る流れを制御する1つまたはそれ以上の弁を有する回転ベーンポンプを含むことができる。空気流は空気ポンプ122を出て、空気流を作り望ましくない微粒子を除去する助けとなるフィルタ124を通って流れる。図1に示されるように、空気ポンプ122およびフィルタ124を出る空気流は脈動流である。これは、たとえば、各ベーンの回転と共に脈動する偏流を生成する回転ブレードの性質によって引き起こされることがある。さらに、1つまたはそれ以上の弁の使用は、流れを何度か遮断し、滑らかな流れを妨げる。
【0028】
パルスダンプナマニホルド126は、空気ポンプ122およびフィルタ124を出た脈流の影響を低減させるために、空気供給アセンブリ120内に存在する。パルスダンプナマニホルド126は、空気流をより滑らかにすることができ空気がさらに下流へと流れるときの圧力振動を減少させる、たとえば長い管または導管とすることができる。脈動流がサンプルプローブアセンブリ110に達することができてしまうと、トランスデューサ114が誤った読取値を取得することがあり、検出システムによるサンプルに対するサンプルプローブ116の位置の確実な検出ができなくなる恐れがある。パルスダンプナマニホルド126は、1つまたはそれ以上の弁および1つまたはそれ以上のベントを含むことができ、それによって流れから圧力脈動が除去され、サンプルプローブアセンブリ110についての滑らかな層流が生み出される。
【0029】
本開示の実施形態は、圧電ポンプを含む。圧電ポンプは、無脈動流を生成し、それによってパルスダンプナまたは同様の要素が必要なくなる。圧電ポンプは、一定圧力流を供給し、それをサンプルプローブアセンブリに直接送り込むことができる。これは、サンプルプローブシステムを簡素化し、コストの削減になる。圧電ポンプは可変電圧で動作することができるので、圧電ポンプの動作を調整し製造により引き起こされる任意のバイアス、標高または他の要因を除去するために、論理制御ループをシステムソフトウェア内に組み入れることができる。
【0030】
図4は、本発明の開示の実施形態による例示的なサンプルプローブシステム200の概略線図である。サンプルプローブシステム200は、サンプルプローブアセンブリ212、空気供給アセンブリ214および制御システム216を含む。サンプルプローブアセンブリ212は、サンプルポンプ218、トランスデューサ220およびサンプルプローブ222を含む。サンプルプローブ222は、たとえば、当業界で既知のやり方でサンプルを採取するように構成された、使い捨てチップおよびプローブプランジャを含むことができる。サンプルポンプ218は、サンプル液体をサンプルプローブ222に吸い込むおよび/またはそこから排出するためにプローブプランジャを制御する。空気供給アセンブリ214は、トランスデューサ220がサンプルプローブ222(たとえば、サンプルに接触するサンプルプローブ222)の相対位置の感知に関する信号を制御システム216に確実に提供することができるように、無脈動空気流をサンプルプローブアセンブリ212にもたらす。トランスデューサ220は、サンプルプローブ222のチップでの流れの変化を検出するように構成された任意の感知デバイス(たとえば、圧力センサ)とすることができる。たとえば、トランスデューサ220は、サンプルプローブ222での静圧の急上昇を検出することができる。静圧の急上昇は、サンプルプローブ222が表面(たとえば、サンプルの液面)に接近していることを示す。トランスデューサ220は、信号を制御システム216にもたらす。制御システム216は、たとえば液体サンプルに対するサンプルプローブ222の位置決めを決定するために信号を分析するように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、空気供給アセンブリ214は、フィルタ224、圧電ポンプ226およびポンプ弁228を含む。圧電ポンプ226は、一定圧の空気流をポンプ弁228に供給するように構成される。フィルタ224は、空気供給アセンブリ214内に位置し、空気流を、サンプルプローブアセンブリ212への供給前に清浄化(たとえば空気微粒子を除去)する。ポンプ弁228は、選択的に、空気の流れをサンプルプローブアセンブリ212に到達させることができるように構成される。たとえば、ポンプ弁228は、サンプルポンプ218が液体サンプルを吸い込む、運ぶおよび/または排出するとき、サンプルプローブアセンブリ212へ向かう空気流を止めるように構成される。ポンプ弁228は、加えて、または別法として、システムから圧力をブリードできるように構成されたブリード弁229を含むこともできる。圧電ポンプ226は、材料への電圧の印加により固体材料の形状および構造の変化が生じる圧電材料の能力に依拠する、ブレードレスポンプである。圧電ポンプ226は、内部弁を含んでもまたは含まなくてもよい。その代わりに、圧電ポンプ226は、空気力学的に、空気の排気中はより効率的になり、吸気中はより抵抗的になるように設計される。
【0032】
図5A図5Cは、サンプルプローブシステム200の例示的な実施形態の概略図を含む。図5Aは、圧電ポンプ226A、ポンプ弁228A、サンプルポンプ218A、トランスデューサ220Aおよびサンプルプローブ222Aを含む、サンプルプローブシステム200Aを示している。サンプルプローブ222Aは、使い捨てチップおよびサンプルプローブプランジャからなる。この実施形態では、サンプルプローブシステム200Aは、ブリード弁およびフィルタが省かれている。
【0033】
図5Bは、圧電ポンプ226B、空気フィルタ224B、ポンプ弁228B、サンプルポンプ218B、トランスデューサ220Bおよびサンプルプローブ222Bを含む、サンプルプローブシステム200Bを示している。この実施形態は、空気流から望ましくない微粒子を除去する空気フィルタ224Bを含む。空気フィルタ224Bは、この実施形態では、圧電ポンプ226Bの下流に位置する。
【0034】
図5Cは、空気フィルタ224C、圧電ポンプ226C、ブリード弁229C、ポンプ弁228C、サンプルポンプ218C、トランスデューサ220Cおよびサンプルプローブ222Cを含む、サンプルプローブシステム200Cを示している。この実施形態は、空気フィルタ224Cとブリード弁229Cの両方を含む。この実施形態では、空気フィルタ224Cは、圧電ポンプ226Cの上流に位置する。この構成は、圧電ポンプ226Cの入口側で空気を濾過することでよりコンパクトな構造の提供の助けとなり得る。この空気フィルタ224Cの位置は、やはりまた、空気フィルタ224Cのより簡単な交換を可能にする。この実施形態では、空気フィルタ224C、圧電ポンプ226C、ブリード弁229Cおよびポンプ弁228Cは、単一の小型マニホルドに組み合わせることができる。追加のブリード弁229Cの使用により追加の構成要素が追加されるが、内部圧力のより確実な制御を可能にすることで漏れまたは損傷の危険がより低くなる。
【0035】
各サンプルプローブシステム200A、200B、200Cにおいて、構成要素の数が少ないことで、従来の空気ポンプよりコストの削減になり、サンプルプローブアセンブリに直接もたらされる滑らかな層流を生成する単純かつ効率的な手段が提供される。空気フィルタは、圧電ポンプの下流または上流のどちらに配置してもよく、または全く省くこともできる。ブリード弁を含むことができるが、これは必須構成要素ではない。様々な構成をサンプルプローブシステムの特定の適用例に合わせることができる。
【0036】
図4に戻ると、制御システム216は、トランスデューサ220に電子的に接続されており、サンプルプローブ222からの空気流の変化(たとえば、静圧の変化)を示す、トランスデューサ220からの信号を受けるように構成される。この方法では、制御システム216は、サンプルに対するサンプルプローブ222の位置を検出するように構成される。たとえば、制御システム216は、ベースラインまたは閾値流量または圧力値に較正され、液体サンプルの表面に対するサンプルプローブ222の位置を示す偏差を検出することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、制御システム216は、さらに、圧電ポンプ226に電圧を印加するように構成される。たとえば、制御システム216は、圧電ポンプ226に電圧波形を印加することができ、それによってポンプが動き空気流が生成される。電圧波形は、周期的(たとえば、一貫性のある振幅変化および周波数の正弦波)または非周期的(たとえば、一貫性のない振幅および周波数)であってよい。制御システム216は、圧電ポンプ226によって生成される空気流を制御する(たとえば、流量を増加または減少させる)ために電圧波形を変えるように構成することができる。たとえば、制御システム216は、圧電ポンプ226に接続されたフィードバック制御280をさらに含むことができる。フィードバック制御280は、圧電ポンプ226に印加される電圧波形を変えることによって圧電ポンプ226の動作を調整するソフトウェア制御として制御システム216に組み込まれる。
【0038】
図6は、圧電ポンプ226の例示的な一実施形態の断面図である。圧電ポンプ226は、外側ハウジング230、および内部ポンプ232を含む。外側ハウジング230は、入口側234および出口側236を含む。外側ハウジング230は、入口側234に入口開口部238、出口側126に出口ノズル240、および取入チャネル242を画成する。取入チャネル242は、入口開口部238を出口ノズル240に連結する。入口開口部238は、空気を取入チャネル242に供給し、内部ポンプ232は、出口ノズル240から空気を排出するように働く。入口開口部238は、滑らかな流れを取入チャネル242にもたらすように寸法設定され、構成される。たとえば、入口開口部238は、乱流を抑制する助けとなるテーパ状縁を含むことができる。
【0039】
内部ポンプ232は、外側ハウジング230内に位置し、空気チャンバ246を画成する複数の壁244を含む。複数の壁244は、ダイヤフラム壁248を含む。ダイヤフラム壁248は、可撓性材料から形成され、好ましくは、出口ノズル240の反対の外側ハウジング230の入口側234に、空気チャンバ246の境界を形成する。複数の壁244は、取入チャネル242を空気チャンバ246に連結するアパーチャ250をさらに含む。アパーチャ250は、好ましくは、外側ハウジング230の出口側236に、入口開口部238とは反対の、ダイヤフラム壁248と出口ノズル240との間に位置する。内部ポンプ232は、圧電素子252をさらに含む。圧電素子252は、ダイヤフラム壁248に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、圧電素子252は、ダイヤフラム壁248を形成することができる。
【0040】
圧電素子252は、電気結線により供給される入力電圧に基づいて伸縮するように構成される任意の圧電材料であってよい。たとえば、圧電素子252は、所定電圧が印加されると収縮し、所定電圧が除去されると伸張して元のサイズに戻ることができる。ダイヤフラム壁248は、圧電素子252の伸縮の結果として曲がるように構成される。具体的には、ダイヤフラム壁248には圧電素子252が取り付けられているので、圧電素子252の収縮によって、収縮する圧電素子252と一緒に動くため、ダイヤフラム壁248が曲がることができる。圧電素子252が伸張すると、ダイヤフラム壁248は、その静止位置へと戻る。圧電素子の伸縮によるダイヤフラム壁248の動きおよび/または屈曲によって、空気チャンバ246の体積が変わる。たとえば、空気チャンバ246の体積は、圧電素子252が収縮位置にあるとき、より大きくなり、圧電素子252が伸張位置にあるとき、より小さくなり得る。したがって、ダイヤフラム壁248の繰り返しの動きによりポンプ作用が生じ、それによって、圧電素子252が収縮したときに空気が取入チャネル242からアパーチャ250を通って空気チャンバ246に吸い込まれ、圧電素子252が伸張したときに空気が空気チャンバ246から排出され、最後に出口ノズル240から出る。
【0041】
電気結線は、ダイヤフラム壁248の繰り返しの動き、したがって出口ノズル240を通る一定気流を生成するポンプ作用を誘起するために、周期的な電圧を圧電素子252にもたらすように構成される。開示の実施形態によれば、圧電素子252は、電気結線から入力電圧を受ける20kHz超の超音波ポンプである。超音波ポンプの動作により、出口ノズル240を通る排出流が小体積の高周波数の微小パルスからなり、結果的に無脈動流になる。
【0042】
図6に示されるように、圧電ポンプ226は、矩形断面の外側ハウジング230を有する矩形要素として形成することができる。さらに、内部ポンプ232を形成する複数の壁244は、空気チャンバ246も矩形になるように形成することができる。一実施形態では、外側ハウジング230は、20mm×20mmの正方形の寸法を有し、高さが1.5mm~2mm(たとえば、1.85mm)である。
【0043】
取入チャネル242は、内部ポンプ232を囲繞し、空気を入口開口部238からアパーチャ250へと送達する。入口開口部238は、取入チャネル242に入口開口部238を介して空気がより簡単に供給されるように、出口ノズル240より大きいことが好ましく、それによって出口ノズル240を逆に通る吸気流が阻止される。このように、取入チャネル242に逆に吸い込まれずに空気チャンバ246から排出される空気によって出口ノズル240を通って空気が外に押し出される定常流が生成され、したがって圧電ポンプ226は弁なしで形成される。
【0044】
動作時には、サンプルプローブシステム200の制御システム216は、サンプルプローブアセンブリ212をサンプル採取位置へと動かすアームまたは他のロボット要素を制御する。たとえば、制御システム216は、分析装置10の一要素(たとえば、コンピュータ15)であってよく、サンプルプローブアセンブリ212は、自動可動アームにより制御される液体サンプル採取プローブ42に相当する。しかし、他のピペット装置およびイムノアッセイシステムが開示の1つまたはそれ以上の構成を組み込んでもよいと理解されたい。
【0045】
制御システム216は、電圧波形を電気結線254を介して圧電素子252に印加するように構成される。印加される電圧は、6~20Vの間が好ましいが、これに限定されない。試験の間、これらの電圧はサンプルプローブ222での十分な圧力および望ましい流量の空気流を生成した。印加される電圧は、ダイヤフラム壁248の超音波振動を生成するのに十分な電圧とすることができる。たとえば、電圧は、約24~27kHzの周波数で印加することができる。しかし、電圧波形は、必ずしも周期的でなくてよいと理解されたい。いくつかの例では、非周期的な電圧波形を印加することができる。
【0046】
圧電素子252に印加される電圧波形は、一定の層流の空気流を出口ノズル240から排出するポンプ作用を誘起する。ダイヤフラム壁248で誘起される超音波振動は、出口流中に微小パルスを生成する。この微小パルスは、無視できる程度であり、出口ノズル240で消散し、出口ノズル240から出る無脈動空気流を生成する。無脈動空気流は、変動を低減し、トランスデューサ220がサンプルプローブ222の相対位置を示す信号を確実に生成できるようにする。制御システム216は、トランスデューサ220と通信し、サンプルプローブ222の位置を識別しそれに応じて1つまたはそれ以上の動作を実施するようにソフトウェアによる分析を実施する。たとえば、制御システム216は、サンプルプローブ222のチップからサンプルを吸い込むようにサンプルポンプ218によってプローブプランジャを起動させることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、制御システム216は、さらに、圧電ポンプ226を調整するために、トランスデューサ220からの信号に基づいて電圧波形を調節する。たとえば、トランスデューサ220は、サンプルプローブ222での圧力振動を示す信号を生成することができ、制御システム216は、圧力振動を減少させ滑らかな層流をより良く生成することができるように、印加される電圧波形を調節する。別の例では、制御システム216は、検出したベースラインからの偏差を補償するために圧力波形を調節することができる。たとえば、制御システム216は、サンプルプローブ222での空気流の流量または圧力と閾値を比較し、圧電ポンプ226への入力電圧を調節することができる。このように、制御システム216は、製造バイアス、標高などによって引き起こされる偏差を補償するように構成される。いくつかの実施形態では、制御システム216は、サンプルプローブ222で偏差または予想外の値が検出されたときに使用者に警告することができる。たとえば、制御システム216は、フィルタ交換が必要であることを決定し、使用者に警告することができる。
【0048】
開示のサンプルプローブシステムには、圧電ポンプが組み込まれている。圧電ポンプは、追加の構成要素およびスペースと引き換えに脈動を低減する脈動減衰マニホルドまたは他のデバイスを必要とせずに無脈動流を生成する。その結果、サンプルプローブシステムの空気供給アセンブリは、構成要素が少ないので単純になり、さらに、従来のポンプより占めるスペースが狭くて済むので、コストおよびスペース効率が向上する。圧電ポンプの電子制御は、さらに、サンプルプローブシステムが製造バイアスおよび標高を含む様々な状態を克服しフィルタ汚れのような状態を検出できるようにするフィードバック制御を可能にする。
【0049】
本開示の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアの任意の組み合わせで実施可能である。加えて、本開示の実施形態は、たとえば非一時的なコンピュータ可読媒体を有する製造品(たとえば1つまたはそれ以上のコンピュータプログラム製品)に含めることができる。ここで、媒体は、たとえば、本開示の実施形態の機構を提供し容易にするためのコンピュータ可読プログラムコードを具現化している。製造品は、コンピュータシステムの一部に含めることも別売りすることもできる。
【0050】
様々な態様および実施形態が本明細書において開示されてきたが、他の態様および実施形態も当業者には明らかであろう。本明細書に開示の様々な態様および実施形態は、例示を目的としており、限定を意図するものではなく、真の範囲および趣旨は以下にある特許請求の範囲によって示される。
【0051】
本明細書で使用する実行可能ソフトウェアアプリケーションは、たとえばユーザコマンドまたは入力に応じて、たとえばオペレーティングシステム、コンテキストデータ取得システムまたは他の情報処理システムの所定の機能を実装するようにプロセッサを調整するコードまたは機械可読命令を含む。実行可能プロシージャは、1つまたはそれ以上の特定のプロセスを実行するための、コードもしくは機械可読命令のセグメント、サブルーチン、またはコードの他の別個のセクション、または実行可能アプリケーションの一部分である。これらのプロセスは、入力データおよび/またはパラメータの受信、受信された入力データに対する動作の実行、および/または受信された入力パラメータに応答した機能の実行、ならびに結果の出力データおよび/もしくはパラメータの提供を含むことができる。
【0052】
本明細書における機能およびプロセス工程は、ユーザコマンドに応答して自動的または全体的または部分的に実施することができる。自動的に実施されるアクティビティ(工程を含む)は、ユーザが直接的にアクティビティを開始することなく、1つまたはそれ以上の実行可能命令またはデバイスオペレーションに応答して実施される。
【0053】
図面のシステムおよびプロセスは、排他的ではない。同じ目的を達成するために、本発明の原理に従って他のシステム、プロセス、およびメニューを導出することができる。本発明を、特定の実施形態を参照して説明してきたが、本明細書に図示および記載された実施形態および変形形態は、例示のみを目的としたものと理解されたい。現在の設計に対する変更を、本発明の範囲から逸脱することなく当業者によって実施することができる。本明細書に記載されているように、様々なシステム、サブシステム、エージェント、マネージャ、およびプロセスは、ハードウェア構成要素、ソフトウェア構成要素、および/またはこれらの組み合わせを使用して実装することができる。本明細書の特許請求の範囲の要素は、いずれも、「する手段」という語句を用いて明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の規定に該当しない。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6