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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-24
(45)【発行日】2022-06-01
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20220525BHJP
【FI】
B63B25/16 101B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022016634
(22)【出願日】2022-02-04
(62)【分割の表示】P 2020140909の分割
【原出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022048400
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2022-02-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 太一
(72)【発明者】
【氏名】田中 大士
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0014981(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1786249(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0024723(KR,A)
【文献】特開2013-124100(JP,A)
【文献】中国実用新案第203731077(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0031600(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0061871(KR,A)
【文献】特開昭60-245899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 25/16,
F17C 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体に設置されているとともに、船首尾方向に直交する断面形状が上下方向を長手方向とする、液化ガスが充填されるタンクと、
前記船体上で前記タンクを下方から支持する下部支持部と、
前記下部支持部よりも上方で前記タンクを前記船体に対して弾性的に支持する弾性支持部と、
を備え、
前記弾性支持部は、
前記船体側と、前記タンクの上部で船首尾方向を向く面と、の間、又は、前記船体側と、前記タンクの上部で船幅方向を向く面と、の間に設けられた側部弾性支持部と、
前記船体側と、前記タンクの上部で上方を向く面と、の間に設けられた上部弾性支持部と、
を備え、
前記タンクは、
上下方向に延びる円筒状の筒状部と、
前記筒状部の下側に連続して設けられ、上方から下方に向かって前記船幅方向の寸法及び前記船首尾方向の寸法が漸次縮小する凸曲面状をなした下部半球状部と、
前記筒状部の上側に連続して設けられ、下方から上方に向かって前記船幅方向の寸法及び前記船首尾方向の寸法が漸次縮小する凸曲面状をなした上部半球状部と、
を備え、
前記上部弾性支持部は、前記上部半球状部の上側に複数設けられ、前記上部半球状部の頂部に対して前記船幅方向と前記船首尾方向との少なくとも一方にずれた位置に設けられるとともに、前記船体側と前記上部半球状部との間に設けられている
船舶。
【請求項2】
前記上部弾性支持部は、前記上部半球状部の周方向に間隔を空けて設けられている
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記上部弾性支持部は、前記頂部に対し前記船幅方向両側又は前記頂部に対し前記船首尾方向両側に設けられている
請求項1に記載の船舶。
【請求項4】
前記上部弾性支持部は、前記頂部に対し前記船幅方向側方の位置と、前記頂部に対し前記船首尾方向にずれた位置とに設けられている
請求項1に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス等の液化ガスを運搬する船舶、そして生産や保管などを行う洋上施設や地上基地には、液化ガスを収容するカーゴタンクを備えている。例えば特許文献1には、カーゴタンクが、円筒形のスカートを介して船体に支持された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5403900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような構成において、カーゴタンクを大容量化のために大型化した場合など、カーゴタンクの形状においては、船舶の揺動に伴うカーゴタンクの振れ量が大きくなる場合がある。また、カーゴタンクは液化ガスの収容に伴い熱収縮を生じる。その全収縮量は、カーゴタンクの大型化により増加するなど、カーゴタンクの形状に依存する。例えば、カーゴタンクは、低温の液化ガスを収容すると、熱収縮が生じる。このような場合においても、カーゴタンクは収容した液化ガスを安全に保管等するために安定的に支持されることが望まれている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、より安定的にタンクを支持することができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る船舶は、船体と、前記船体に設置されているとともに、船首尾方向に直交する断面形状が上下方向を長手方向とする、液化ガスが充填されるタンクと、前記船体上で前記タンクを下方から支持する下部支持部と、前記下部支持部よりも上方で前記タンクを前記船体に対して弾性的に支持する弾性支持部と、を備え、前記弾性支持部は、前記船体側と、前記タンクの上部で船首尾方向を向く面と、の間、又は、前記船体側と、前記タンクの上部で船幅方向を向く面と、の間に設けられた側部弾性支持部と、前記船体側と、前記タンクの上部で上方を向く面と、の間に設けられた上部弾性支持部と、を備え、前記タンクは、上下方向に延びる円筒状の筒状部と、前記筒状部の下側に連続して設けられ、上方から下方に向かって前記船幅方向の寸法及び前記船首尾方向の寸法が漸次縮小する凸曲面状をなした下部半球状部と、前記筒状部の上側に連続して設けられ、下方から上方に向かって前記船幅方向の寸法及び前記船首尾方向の寸法が漸次縮小する凸曲面状をなした上部半球状部と、を備え、前記上部弾性支持部は、前記上部半球状部の上側に複数設けられ、前記上部半球状部の頂部に対して前記船幅方向と前記船首尾方向との少なくとも一方にずれた位置に設けられるとともに、前記船体側と前記上部半球状部との間に設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の船舶によれば、より安定的にタンクを支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態に係る船舶の全体構成を示す平面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る船舶の船首尾方向に直交する断面図であり、図1のA-Aの矢視断面図である。
図3】本開示の実施形態に係る船舶に設けられたタンクを示す図であり、図2のB-B矢視断面図である。
図4】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の具体例を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の具体例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の具体例を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の具体例を示す図である。
図8】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の具体例を示す図である。
図9】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の変形例を示す断面図である。
図10】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の他の変形例を示す断面図である。
図11】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部のさらに他の変形例を示す断面図である。
図12】本開示の実施形態に係るタンクの上部を上甲板から上方に突出させた変形例を示す断面図である。
図13】本開示の実施形態に係る船舶にタンクカバーを備えた変形例を示す断面図である。
図14】本開示の第二実施形態に係る船舶の全体構成を示す平面図である。
図15】本開示の第二実施形態に係る船舶の側面図である。
図16】本開示の実施形態に係る船舶の船首尾方向に直交する断面図である。
図17】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の変形例を示す断面図である。
図18】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部の他の変形例を示す断面図である。
図19】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部のさらに他の変形例を示す断面図である。
図20図19の平面図である。
図21】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部のさらに他の変形例を示す断面図である。
図22】本開示の実施形態に係る船舶に設けられる弾性支持部のさらに他の変形例を示す断面図である。
図23】本開示の実施形態に係る船舶におけるタンクの他の配置例を示す平面図である。
図24】本開示の実施形態に係る船舶におけるタンクのさらに他の配置例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る船舶について、図1図24を参照して説明する。
<第一実施形態>
図1図2に示すように、この実施形態の船舶1Aは、液化天然ガス、液化石油ガス、液化二酸化炭素等の液化ガスを運搬する。この船舶1Aは、船体2と、タンク10Aと、下部支持部20Aと、弾性支持部30Aと、を少なくとも備えている。
【0010】
船体2は、その外殻をなす、一対の舷側3A,3Bと、船底4と、上甲板(甲板)5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板を備える。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板を備える。これら一対の舷側3A,3B及び船底4により、船体2の外殻は、船首尾方向Daに直交する断面において、U字状を成している。上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、船尾2b側の上甲板5上に、居住区を有する上部構造7が形成されている。
【0011】
船体2には、上部構造7よりも船首2a側に、貨物搭載区画(ホールド)8が形成されている。貨物搭載区画8は、上甲板5に対して下方の船底4に向けて凹み、上方に開口している。
【0012】
タンク10Aは、貨物搭載区画8内に、船首尾方向Daに沿って、複数が配置されている。各タンク10Aは、その内部に液化ガスを収容する。この実施形態において、タンク10Aは、最も船首2aに配置されたタンク10Aを除き、船幅方向Dwに間隔をあけて二列設けられている。最も船首2aに配置されたタンク10Aは、船幅方向Dwの中央に一つだけ配置されている場合を例示している。
【0013】
この実施形態において、各タンク10Aは、船首尾方向Daに延びる筒状とされている。図2図3に示すように、タンク10Aは、いわゆるバイローブ型で、第一胴部11と、第二胴部12と、を備えている。
【0014】
第一胴部11は、タンク10Aの下部に設けられている。第一胴部11は、その内部に収容空間S1が形成されている。第一胴部11は、筒状に近似した形状で、船首尾方向Daに延びている。第一胴部11は、中間筒状部11aと、端部球状部11bと、を備えている。中間筒状部11aは、第一胴部11の船首尾方向Daの中間部に設けられ、船首尾方向Daに沿って連続する筒状に近似した形状に形成されている。中間筒状部11aは、船首尾方向Daにおいて一定の曲率半径を有している。端部球状部11bは、中間筒状部11aの船首尾方向Daの両端部にそれぞれ設けられている。各端部球状部11bは、半球状で、中間筒状部11aの船首尾方向Da両端の開口を閉塞している。各端部球状部11bは一方から他方に向かって径寸法が漸次拡大している。各端部球状部11bは、一定の曲率半径を有した半真球状や、半真球状の一部が例示される。
【0015】
第二胴部12は、タンク10Aの上部に設けられている。第二胴部12は、その内部に収容空間S2が形成されている。第二胴部12は、第一胴部11の上方に設けられている。第二胴部12は、筒状で、船首尾方向Daに延びている。第二胴部12は、中間筒状部12aと、端部球状部12bと、を備えている。中間筒状部12aは、第二胴部12の船首尾方向Daの中間部に設けられ、船首尾方向Daに沿って連続する筒状に近似した形状に形成されている。中間筒状部12aは、船首尾方向Daにおいて一定の曲率半径を有している。端部球状部12bは、中間筒状部12aの船首尾方向Daの両端部にそれぞれ設けられている。各端部球状部12bは、半球状で、中間筒状部12aの船首尾方向Da両端の開口を閉塞している。各端部球状部12bは一方から他方に向かって径寸法が漸次拡大している。各端部球状部12bは、一定の曲率半径を有した半真球状や、半真球状の一部が例示される。
【0016】
第二胴部12の下端部は、第一胴部11の上端部に接続されている。この実施形態において、第二胴部12の下端部と第一胴部11の上端部とは、互いに接続される部分で開口し、これにより第一胴部11内の収容空間S1と、第二胴部12内の収容空間S2とが連通している(連通部)。なお、タンク10Aは、第一胴部11と第二胴部12との間に隔壁(図示無し)を設け、第一胴部11内の収容空間S1と、第二胴部12内の収容空間S2と区画してもよい。
【0017】
図2に示すように、船首尾方向Daに直交するタンク10Aの断面形状は、船体2の上下方向Dvを長手方向とする縦長の形状となっている。より具体的には、タンク10Aは、第一胴部11上に第二胴部12が設けられることで、船首尾方向Daに直交する断面において、上下方向Dvを長手方向とし、船幅方向Dwを短手方向とする縦長の断面形状とされている。
【0018】
第一胴部11の上下方向Dv中央よりも下方に配置される第一胴部11の下部は、タンク10Aの底面10bを形成する。タンク10Aの第一胴部11の下部(底面10b)は、上方から下方に向かって船幅方向Dwの寸法が漸次縮小する凸曲面状をなしている。 第二胴部12の上下方向Dv中央よりも上方に配置される第二胴部12の上部は、タンク10Aの上面12dを形成する。タンク10Aの第二胴部12の上部(上面12d)は、下方から上方に向かって船幅方向Dwの寸法が漸次縮小する凸曲面状をなしている。
【0019】
また、タンク10Aは、タンク10Aの幅方向(言い換えれば、船幅方向Dw)両側で、第一胴部11と第二胴部12との接合部分10jが、タンク10Aの幅方向内側に窪んでいる。
【0020】
この実施形態において、各タンク10Aは、上甲板5の下方に設けられている。図1図3に示すように、各タンク10Aに対し、船首尾方向Daの両側には、それぞれ、横置隔壁6が設けられている。各横置隔壁6は、船首尾方向Daに直交して設けられている。各横置隔壁6は、一対の舷側3A、3Bの間で、貨物搭載区画8の底面を形成する底部甲板8bから上方に立ち上がるように形成されている。なお、本発明において各横置隔壁6は必ずしも必要がなく、有事の対策が別手段で講じられる場合には割愛することも可能である。
【0021】
図2に示すように、船幅方向Dwで隣り合うタンク10Aの間には、隔壁9が設けられている。隔壁9は、船幅方向Dwの中央部に設けられ、船幅方向Dwに直交して設けられている。隔壁9は、各タンク10Aの船首尾方向Da両側の横置隔壁6同士の間で、船首尾方向Daに連続して形成されている。さらに、隔壁9は、貨物搭載区画8の底面を形成する底部甲板8bと、上甲板5との間に設けられている。隔壁9は、水密構造であり、貨物搭載区画8を船幅方向Dwに沿って二つに区画している。なお、各隔壁9は後述のように側部弾性支持部31Aの一端が接続されるが、当該連結を別手段で行うと共に有事の対策が別手段で講じられる場合には割愛することも可能である。
【0022】
各タンク10Aは、舷側3A、3Bとの間に、船幅方向Dwに間隔を空けて設けられている。また、船幅方向Dwで隣り合う各タンク10Aは、隔壁9との間に、船幅方向Dwに間隔を空けて設けられている。
【0023】
図3に示すように、下部支持部20Aは、船体2上でタンク10Aを下方から支持する。この実施形態で例示する下部支持部20Aは、一つのタンク10Aに対し、二つのサドル型サポート21Aを備えている。これらサドル型サポート21Aは、一つのタンク10Aに対して船首尾方向Daに間隔をあけて設けられている。これらサドル型サポート21Aは、タンク10Aの第一胴部11の中間筒状部11aの船首尾方向Da両端部に配置されている。各サドル型サポート21Aは、船体2の貨物搭載区画8の底部甲板8bに固定されている。
【0024】
図2に示すように、サドル型サポート21Aは、船幅方向Dw両側に、上方に向かって立ち上がる立ち上がり部21aを有している。サドル型サポート21Aは、船幅方向Dw両側の立ち上がり部21aの間に、載置面21sを有している。載置面21sは、タンク10Aの底面10bに沿った凹曲面状をなしている。この載置面21sには、底面10bを有したタンク10Aの第一胴部11が載置される。
【0025】
弾性支持部30Aは、下部支持部20Aよりも上方でタンク10Aを船体2に対して弾性的に支持する。
図3に示すように、この実施形態における弾性支持部30Aは、船首尾方向Daに間隔をあけた二箇所に設けられている。また、図2に示すように、この実施形態における弾性支持部30Aは、各箇所において側部弾性支持部31Aと、上部弾性支持部32Aと、を備えている。なお、本実施形態において、船首尾方向Daにおける弾性支持部30Aは二箇所以上に設けてもよい。また、タンク10Aの形状、例えば船首尾方向Daの長さが短い場合等には、船首尾方向Daにおける弾性支持部30Aは一箇所でも構わない。
【0026】
側部弾性支持部31Aは、各タンク10Aの上部に設けられた第二胴部12の船幅方向Dw両側に設けられている。各タンク10Aに対し、船幅方向Dw外側に配置された側部弾性支持部31Aは、船体2側の舷側3A又は舷側3Bと、タンク10Aの上部で船幅方向Dwを向く面Fwである第二胴部12の側面12sとの間に設けられている。さらに、側部弾性支持部31Aは、各タンク10Aに対し、船幅方向Dw内側にも配置されている。船幅方向Dw内側に配置された側部弾性支持部31Aは、船体2側の隔壁9と、タンク10Aの上部で船幅方向Dwを向く面Fwである第二胴部12の側面12tとの間に設けられている。
【0027】
上部弾性支持部32Aは、各タンク10Aの第二胴部12の上側に設けられている。上部弾性支持部32Aは、第二胴部12の頂部12cを挟んだ船幅方向両側にそれぞれ一つずつ設けられている。各上部弾性支持部32Aは、船体2側の上甲板5とタンク10Aの第二胴部12との間に設けられている。
【0028】
各タンク10Aに対して船幅方向Dw外側に配置された上部弾性支持部32Aは、上方から下方に向かって船幅方向Dw内側に傾斜して延びている。この船幅方向Dw外側に配置された上部弾性支持部32Aの先端部32sは、第二胴部12に対して頂部12cよりも船幅方向Dw外側に配置されている。
また、各タンク10Aに対して船幅方向Dw内側に配置された上部弾性支持部32Aは、上方から下方に向かって船幅方向Dw外側に傾斜して延びている。この船幅方向Dw内側に配置された上部弾性支持部32Aの先端部32tは、第二胴部12に対して頂部12cよりも船幅方向Dw内側に配置されている。
【0029】
つまり、上部弾性支持部32Aの先端部32s、32tは、第二胴部12の上面12dのうち、上下方向Dv、及び船幅方向Dwの双方に対して傾斜した部分に接続されている。言い換えれば、上部弾性支持部32Aの先端部32s、32tは、タンク10Aの上部で船幅方向Dwを向く面Fwと、上下方向Dvの上方を向く面Fuとの重なる位置に接続されている。このようにして、上部弾性支持部32Aは、船体2側の上甲板5と、タンク10Aの上部との間に渡って配置されている。
【0030】
図4に示すように、弾性支持部材50として、コイルスプリング51を用いる。コイルスプリング51は、基端部51aが船体2側(舷側3A、3B、隔壁9、上甲板5)に、固定部材56Aを介して連結されている。コイルスプリング51は、先端部51bが、タンク10Aの第二胴部12に、固定部材56Bを介して連結されている。コイルスプリング51は、基端部51aと先端部51bとが互いに接離する方向に弾性変形可能で、船体2側とタンク10Aとの間に圧縮状態で設けられている。
【0031】
また、図5図8に一例を示すように、コイルスプリング51は別の部材に置換することができる。
図5に示すように、弾性支持部材50として、板ばね52を用いることができる。板ばね52は、基端部52aが船体2側(舷側3A、3B、隔壁9、上甲板5)に、固定部材56Aを介して連結されている。板ばね52は、先端部52bが、タンク10Aの第二胴部12に、固定部材56Bを介して連結されている。板ばね52は、基端部52aと先端部52bとの間に、U字状やV字状に湾曲した湾曲部52cを有し、基端部52aと先端部52bとが互いに接離する方向に弾性変形可能とされている。板ばね52は、船体2側とタンク10Aとの間に圧縮状態で設けられている。
【0032】
また、図6に示すように、弾性支持部材50として、ゴム、樹脂等から形成される弾性体53を用いることができる。弾性体53は、基端部53aが船体2側(舷側3A、3B、隔壁9、上甲板5)に、固定部材57Aを介して連結されている。弾性体53は、先端部53bが、タンク10Aの第二胴部12に、固定部材57Bを介して連結されている。弾性体53は、基端部53aと先端部53bとが互いに接離する方向に弾性変形可能とされている。弾性体53は、船体2側とタンク10Aとの間に圧縮状態で設けられている。
【0033】
また、図7に示すように、弾性支持部材50として、ゴム、樹脂等から形成される弾性体54を用いることができる。弾性体54は、基端部54aが船体2側(舷側3A、3B、隔壁9、上甲板5)に、固定部材57Aを介して連結されている。弾性体54は、先端部54bが、タンク10Aの第二胴部12に突き当てられている。弾性体54は、基端部54aと先端部54bとが互いに接離する方向に弾性変形可能とされている。弾性体54は、船体2側とタンク10Aとの間に圧縮状態で設けられ、タンク10Aが熱収縮した場合であっても、先端部54bが第二胴部12に突き当てられた状態を維持するように設けられている。
【0034】
また、図8に示すように、弾性支持部材50として、ダンパー55を用いることができる。ダンパー55は、基端部55aが船体2側(舷側3A、3B、隔壁9、上甲板5)に、固定部材56Aを介して連結されている。ダンパー55は、先端部55bが、タンク10Aの第二胴部12に、固定部材56Bを介して連結されている。ダンパー55は、基端部55aに設けられ、内部に空気等の圧縮性の流体が充填されたシリンダー55cと、先端部55bに設けられたピストン55dと、を備えている。ピストン55dは、基端部55aと先端部55bとが互いに接離した場合に、シリンダー55cの流体内で移動する。そして、シリンダー55cの流体内でピストン55dが移動すると、ダンパー55は減衰力を発生する。また、ダンパー55は、急な入力に対しては、圧縮性の流体による弾性力を発生する。これによりダンパー55は、タンク10Aの上部を船体2に対して弾性的に支持する。なお、非圧縮性の流体を用いたダンパーとバネ等の弾性部材とを組み合わせて用いてもよい。
【0035】
上記第一実施形態の船舶1Aでは、船首尾方向Daに直交する断面形状が上下方向Dvを長手方向とするタンク10Aを、下部支持部20Aよりも上方でタンク10Aを船体2に対して弾性的に支持する弾性支持部30Aを備えている。
この船舶1Aでは、船首尾方向Daに直交する断面形状が上下方向Dvを長手方向とする、いわゆる縦長の断面形状を有するタンク10Aの上部が、弾性支持部30Aによって支持されている。したがって、いわゆる縦長の断面形状を有するタンク10Aを、弾性支持部30Aによってより安定的に支持することができる。
【0036】
上記第一実施形態の船舶1Aのタンク10Aでは、底面10bが下方に向かって突出する凸曲面状をなしており、下部支持部20Aは、タンク10Aの底面10bに沿った凹曲面状をなし、タンク10Aの底面10bが載置される載置面21sを有している。
このような船舶1Aでは、タンク10Aが載置面21s上に載置されており、タンク10Aが下部支持部20Aに固定されていない。しかし、船舶1Aの大きな振動等によって、下部支持部20Aよりも上方の部分が変位しようとした場合であっても、弾性支持部30Aにより、下部支持部20Aよりも上方の部分が変位することを抑えられる。したがって、タンク10Aを安定的に支持することができる。
【0037】
上記第一実施形態の船舶1Aでは、弾性支持部30Aは、船体2側と、タンク10Aの上部で船幅方向Dwを向く面Fwと、の間に設けられている。
これにより、タンク10Aにおいて下部支持部20Aよりも上方の部分が船幅方向Dwに変位することを抑えられる。
【0038】
上記第一実施形態の船舶1Aでは、弾性支持部30Aは、船体2側と、タンク10Aの上部で上方を向く面Fuと、の間に設けられている。
これにより、タンク10Aにおいて下部支持部20Aよりも上方の部分が上下方向Dvに変位することを抑えられる。
【0039】
上記第一実施形態の船舶1Aでは、弾性支持部30Aは、船体2の舷側3A、3B、上甲板5、隔壁9に固定されている。
これにより、タンク10Aの変位を、弾性支持部30Aを介して船体2側で受けることができる。
【0040】
上記第一実施形態の船舶1Aでは、弾性支持部30Aは、船体2側とタンク10Aとの間に圧縮状態で設けられている。
これにより、タンク10A内に低温の液化ガスが収容されてタンク10Aが熱収縮しても、圧縮状態の弾性支持部30Aが伸び、タンク10Aを弾性的に支持した状態を維持することができる。
【0041】
以上、本開示の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、弾性支持部30Aは、船首尾方向Daに間隔をあけた二箇所に設けるようにしたが、これに限られない。弾性支持部30Aは、船首尾方向Daの一箇所のみに設けてもよい。また、弾性支持部30Aは、船首尾方向Daに間隔をあけた三箇所以上に設けてもよい。さらに、図9に示すように、弾性支持部30Aは、船首尾方向Daに沿って連続して設けるようにしてもよい。また、タンク10Aの形状、例えば船首尾方向Daの長さが比較的短い場合には、船首尾方向Daにおける弾性支持部30Aの設置位置は一箇所でも構わない。
【0042】
また、第一実施形態では、側部弾性支持部31Aの一端はタンク10Aの上部で船幅方向Dwを向く面Fwである第二胴部12 の側面12sに接続するようにしたが、これに限られない。タンク10Aの形状によっては、側部弾性支持部31Aの一端は、タンク10Aの下部で船幅方向Dwを向く面(図示せず)である第一胴部11の側面(図示せず)に接続されていてもよい。これは例えば、第二胴部12に対して第一胴部11のほうが大型である場合など、タンク10Aの重心が第二胴部12の位置よりも十分下方に位置する場合などが相当する。
更に、各タンク10Aに対する側部弾性支持部31Aの接続位置は、タンク10Aの上部または下部の船幅方向Dwを向く面だけに限定するものではない。船舶1A等における振動等によっても下部支持部20Aよりも上方の部分が変位することを抑えられるように、弾性支持部30Aが設置されていればよい。このため、例えば、タンク10Aの上部で上下方向Dvの下方を向く面に設置されてもよい。
【0043】
また、第一実施形態において、上部弾性支持部32Aは、第二胴部12の頂部12cを挟んだ船幅方向両側にそれぞれ設けるようにしたが、これに限られない。
例えば、図10に示すように、上部弾性支持部32Aは、第二胴部12の頂部12cと上甲板5との間に設けるようにしてもよい。これにより、上部弾性支持部32Aは、船体2側の上甲板5と、タンク10Aの上部で上方を向く面Fu(第二胴部12の頂部12c)との間に設けられる。
また、図11に示すように、上部弾性支持部32Aは、船幅方向Dw((第二胴部12の周方向)に間隔を空けた三箇所以上に設けるようにしてもよい。
【0044】
また、第一実施形態において、弾性支持部30Aは、側部弾性支持部31Aと上部弾性支持部32Aとを備えるようにしたが、これに限られない。弾性支持部30Aは、側部弾性支持部31Aと上部弾性支持部32Aとの少なくとも一方を備えていれば良い。
【0045】
また、第一実施形態において、弾性支持部30Aは圧縮状態で設置するようにしたが、これに限られない。弾性支持部30Aの弾性変形の範囲内で、船舶1A等における振動等によって下部支持部20Aよりも上方の部分が変位することを抑えられるように、弾性支持部30Aが作用すれば、例えば引っ張り状態でも構わない。
【0046】
また、第一実施形態において、弾性支持部材50の部材を複数例示したが、これに限られない。弾性的に支持が可能な他の部材等を用いても構わない。また、複数の複数の弾性支持部材を組み合わせて構成しても構わない。
【0047】
また、第一実施形態において、タンク10Aが下部支持部20Aに固定されていないとしたが、これに限られない。タンク10Aの載置面21s上における配置状況は、前述の形態に限定するものではない。例えば、複数の下部支持部20Aにおいて、例えばその一箇所において載置面21sに固定されていてもよい。この場合、その固定した位置の近傍で各種配管等を安定的に固定ができることとなる。
【0048】
また、第一実施形態において、タンク10Aは、上甲板5の下側に設けるようにしたが、これに限られない。
例えば、図12に示すように、タンク10Aの上部を、上甲板5よりも上方に突出するように設けてもよい。この場合、弾性支持部30Bとして、側部弾性支持部31Bのみを備えるようにしてもよい。側部弾性支持部31Bは、例えば、上甲板5に形成された開口5hと、タンク10Aの上部との間に設けるようにしてもよい。この側部弾性支持部31Bは、上記側部弾性支持部31Aと同様の構成を有している。
【0049】
図13に示すように、上甲板5よりも上方に突出するタンク10Aの上方に、タンク10Aの上部を覆うタンクカバー15を備えるようにしてもよい。このような構成において、弾性支持部30Aの上部弾性支持部32Cは、船体2側のタンクカバー15とタンク10Aの第二胴部12との間に設けられている。
【0050】
<第二実施形態>
次に、この発明に係る船舶の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態と主にタンク10Dの構成が異なるので、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
図14図16に示すように、この第二実施形態の船舶1Dは、船体2と、タンク10Dと、下部支持部20Dと、弾性支持部30Dと、を少なくとも備えている。
【0051】
タンク10Dは、その内部に液化ガスを収容する。タンク10Dは、貨物搭載区画8内に、船首尾方向Daに沿って、複数が配置されている。この第二実施形態において、タンク10Dは、最も船首2a側に配置された二つのタンク10Dを除き、船幅方向Dwに間隔をあけて二列で設けられている。
【0052】
図15図16に示すように、この第二実施形態において、各タンク10Dは、上下方向Dvに延びる円筒状である。タンク10Dは、筒状部10pと、下部半球状部10qと、上部半球状部10rと、を備えている。筒状部10pは、上下方向Dvに延びる円筒状である。下部半球状部10qは、筒状部10pの下側に連続して設けられている。下部半球状部10qは、上方から下方に向かって船幅方向Dw及び船首尾方向Daの各寸法が漸次縮小する凸曲面状をなしている。上部半球状部10rは、筒状部10pの上側に連続して設けられている。上部半球状部10rは、下方から上方に向かって船幅方向Dw及び船首尾方向Daの各寸法が漸次縮小する凸曲面状をなしている。上部半球状部10r及び下部半球状部10qの形状は、一定の曲率半径を有した半真球状や、半真球状の一部が例示される。なお、両者は同一形状である必要はない。
【0053】
この第二実施形態において、各タンク10Dは、上甲板5の下側に設けられている。図15に示すように、船体2の貨物搭載区画8内には、船首尾方向Daに間隔を空けて複数の横置隔壁6が設けられている。タンク10Dは、船首尾方向Daで互いに前後する横置隔壁6同士の間に、船首尾方向Daに二個ずつ並んで配置されている。図14に示すように、船幅方向Dwに隣り合うタンク10Dの間には、隔壁9が設けられている。
なお、本発明において各横置隔壁6は必ずしも必要がなく、有事の対策が別手段で講じられる場合には割愛することも可能である。また、各隔壁9は後述のように側部弾性支持部31Dの一端が接続されるが、当該連結を別手段で行うと共に有事の対策が別手段で講じられる場合には割愛することも可能である。
【0054】
図16に示すように、各タンク10Dは、舷側3A、3Bとの間に、船幅方向Dwに間隔を空けて設けられている。また、各タンク10Dは、隔壁9との間に、船幅方向Dwに間隔を空けて設けられている。
【0055】
下部支持部20Dは、船体2上で各タンク10Dを下方から支持する。下部支持部20Dは、船体2の貨物搭載区画8の底部甲板8bに固定されている。下部支持部20Dは、その外周部に、上方に向かって立ち上がる立ち上がり部21bを有している。下部支持部20Dは、立ち上がり部21bの径方向内側に、載置面21tを有している。載置面21tは、タンク10Dの底面に沿った凹曲面状をなしている。載置面21tには、タンク10Dの底面を有した下部半球状部10qが載置される。
【0056】
弾性支持部30Dは、下部支持部20Dよりも上方でタンク10Dを船体2に対して弾性的に支持する。この第二実施形態において、弾性支持部30Dは、側部弾性支持部31Dと、上部弾性支持部32Dと、を備えている。
【0057】
側部弾性支持部31Dは、各タンク10Dの上部における筒状部10pの船幅方向Dw両側に設けられている。各タンク10Dに対し、船幅方向Dw外側に配置された側部弾性支持部31Dは、船体2側の舷側3A又は舷側3Bと、タンク10Dの上部で船幅方向Dwを向く面Fwである筒状部10pの側面10sとの間に設けられている。さらに、側部弾性支持部31Dは、各タンク10Dに対し、船幅方向Dw内側にも配置されている。船幅方向Dw内側に配置された側部弾性支持部31Dは、船体2側の隔壁9と、タンク10Dの上部で船幅方向Dwを向く面Fwである筒状部10pの側面10tとの間に設けられている。
【0058】
上部弾性支持部32Dは、各タンク10Dの上部に設けられた上部半球状部10rの上側に設けられている。上部弾性支持部32Dは、上部半球状部10rの頂部10mを挟んだ船幅方向両側にそれぞれ設けられている。各上部弾性支持部32Dは、船体2側の上甲板5とタンク10Dの上部半球状部10rとの間に設けられている。
【0059】
各タンク10Dに対して船幅方向Dw外側に配置された上部弾性支持部32Dは、上方から下方に向かって船幅方向Dw内側に向かって傾斜して延びている。この船幅方向Dw外側に配置された上部弾性支持部32Dの先端部32sは、上部半球状部10rの頂部10mよりも船幅方向Dw外側に配置されている。
また、各タンク10Dに対して船幅方向Dw内側に配置された上部弾性支持部32Dは、上方から下方に向かって船幅方向Dw外側に向かって傾斜して延びている。この船幅方向Dw内側に配置された上部弾性支持部32Dの先端部32tは、上部半球状部10rの頂部10mよりも船幅方向Dw内側に配置されている。
【0060】
つまり、上部弾性支持部32Dの先端部32s,32tは、第二胴部12の上面のうち、上下方向Dv、及び船幅方向Dwの双方に対して傾斜した部分に接続されている。言い換えれば、上部弾性支持部32Dの先端部32s、32tは、タンク10Dの上部で船幅方向Dwを向く面Fwと、上下方向Dvの上方を向く面Fuとの重なる位置に接続されている。このようにして、上部弾性支持部32Dは、船体2側の上甲板と、タンク10Dの上部との間に渡って配置されている。
【0061】
弾性支持部30Dを構成する側部弾性支持部31D、上部弾性支持部32Dは、それぞれ弾性支持部材50を用いて形成されている。弾性支持部材50としては、上記第一実施形態と同様、コイルスプリング51(図4参照)、板ばね52(図5参照)、ゴム、樹脂等から形成される弾性体53(図6参照)、弾性体54(図7参照)、ダンパー55(図8参照)等が例示される。また、弾性支持部材は複数の部材を組み合わせて構成しても構わない。
【0062】
上記第二実施形態の船舶1Dでは、船首尾方向Daに直交する断面形状が上下方向Dvを長手方向とするタンク10Dを、下部支持部20Dよりも上方でタンク10Dを船体2に対して弾性的に支持する弾性支持部30Dを備えている。
この船舶1Dでは、下部支持部20Dによって下方から支持されたタンク10Dが、下部支持部20Dよりも上方で弾性支持部30Dによって船体2に対して弾性的に支持されている。これにより、船首尾方向Daに直交する断面形状が、上下方向Dvを長手方向とする、いわゆる縦長の断面形状を有するタンク10Dの上部を弾性支持部30Dによって支持することができる。したがって、タンク10Dを、より安定的に支持することができる。
【0063】
上記第二実施形態の船舶1Dのタンク10Dでは、底面を形成する下部半球状部10qが下方に向かって突出する凸曲面状をなしている。下部支持部20Dは、タンク10Dの底面に沿った凹曲面状をなし、タンク10Dの底面が載置される載置面21tを有する。 このような船舶1Dでは、タンク10Dが載置面21t上に載置されており、下部支持部20Dに固定されていない。このため、船舶1Dの大きな振動等によって、下部支持部20Dよりも上方の部分が変位しようとする場合があるが、弾性支持部30Dにより、下部支持部20Dよりも上方の部分が変位することを抑えられる。したがって、タンク10Dを安定的に支持することができる。
【0064】
上記第二実施形態の船舶1Dでは、弾性支持部30Dは、船体2側とタンク10Dの上部で船幅方向Dwを向く面Fwとの間に設けられている。
これにより、タンク10Dにおいて下部支持部20Dよりも上方の部分が船幅方向Dwに変位することを抑えられる。
【0065】
上記第二実施形態の船舶1Dでは、弾性支持部30Dは、船体2側とタンク10Dの上部で上方を向く面Fuとの間に設けられている。
これにより、タンク10Dにおいて下部支持部20Dよりも上方の部分が上下方向Dvに変位することを抑えられる。
【0066】
上記第二実施形態の船舶1Dでは、弾性支持部30Dは、船体2の舷側3A、3B、上甲板5、隔壁9に固定されている。
これにより、タンク10Dの変位を、弾性支持部30Dを介して船体2側で受けることができる。
【0067】
上記第二実施形態の船舶1Dでは、弾性支持部30Dは、船体2側とタンク10Dとの間に圧縮状態で設けられている。
これにより、タンク10D内に低温の液化ガスが収容されてタンク10Dが熱収縮しても、圧縮状態の弾性支持部30Dが伸び、タンク10Dを弾性的に支持した状態を維持することができる。
【0068】
上記第二実施形態の船舶1Dでは、タンク10Dは、上下方向Dvに延びる筒状である。
これにより、船首尾方向Daに直交する断面形状が上下方向Dvを長手方向とする、縦長の断面形状を有するタンク10Dを安定的に支持することができる。このように縦型の断面形状を有するタンク10Dを設けることで、船舶1Dにおけるタンク10Dの容量を効率的に増大させることができる。
【0069】
以上、本開示の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記実施形態では、上部弾性支持部32Dは、上部半球状部10rの頂部10mを挟んだ船幅方向Dw両側にそれぞれ設けるようにしたが、これに限られない。例えば、図17に示すように、上部弾性支持部32Dは、上部半球状部10rの頂部10mと上甲板5との間に設けるようにしてもよい。これにより、上部弾性支持部32Dは、船体2側の上甲板5と、タンク10Dの上部で上方を向く面Fu(上部半球状部10rの頂部10m)との間に設けられる。
【0070】
また、図18に示すように、上部弾性支持部32Dは、上部半球状部10rの頂部10mに対し、船幅方向Dw側方の位置と、上部半球状部10rの頂部10mに対して船首尾方向Daにずれた位置に配置してもよい。これにより、上部弾性支持部32Dは、船体2側の上甲板5と、タンク10Dの上部で上方を向く面Fu、及びタンク10Aの上部で船首尾方向Daを向く面Faとの間に設けられることになる。
【0071】
また、上部弾性支持部32Dは、上部半球状部10rの周方向に間隔を空けた三箇所以上に設けるようにしてもよい。例えば、図19図20に示すように、上部弾性支持部32Dは、上部半球状部10rの周方向に等間隔を空けた三箇所に設けるようにしてもよい。この場合、上部弾性支持部32Dは、船体2側の上甲板5と、タンク10Dの上部で上方を向く面Fu、タンク10Aの上部で船幅方向Dwを向く面Fw、及びタンク10Aの上部で船首尾方向Daを向く面Faとの間に設けられることになる。
【0072】
また、第二実施形態において、側部弾性支持部31Dは、筒状部10pを挟んだ船幅方向Dw両側にそれぞれ設けるようにしたが、これに限られない。
例えば、図21に示すように、側部弾性支持部31Dは、筒状部10pを挟んだ船首尾方向Da両側に設けるようにしてもよい。この場合、船首尾方向Daで互いに隣り合う横置隔壁6間で、互いに隣り合うタンク10D同士の間に、側部弾性支持部31Dを挟み込むように配置してもよい。
さらに、図22に示すように、船首尾方向Daで互いに隣り合う横置隔壁6間で、互いに隣り合うタンク10D同士の間に、船幅方向Dwに延びる支持部材16を設け、船首尾方向Daにおいて互いに対向する支持部材16と各タンク10Dとの間に、それぞれ側部弾性支持部31Dを設けるようにしてもよい。
【0073】
また、第二実施形態において、弾性支持部30Dは、側部弾性支持部31Dと上部弾性支持部32Dとを備えるようにしたが、これに限られない。弾性支持部30Dは、側部弾性支持部31Dと上部弾性支持部32Dとの少なくとも一方を備えていれば良い。
【0074】
また、第二実施形態において、タンク10Dが下部支持部20Dに固定されていないとしたが、これに限られない。タンク10Aの載置面21t上における配置状況は、前述の形態に限定するものではない。例えば、複数の下部支持部20Dにおいて、例えばその一箇所において載置面21sに固定されていてもよい。この場合、その固定した位置の近傍で各種配管等を安定的に固定ができることとなる。
【0075】
また、第二実施形態において、弾性支持部30Aは圧縮状態で設置するようにしたが、これに限られない。弾性支持部30Aの弾性変形の範囲内で、船舶1A等における振動等によって下部支持部20Aよりも上方の部分が変位することを抑えられるように、弾性支持部30Aが作用すれば、例えば引っ張り状態でも構わない。
【0076】
また、第二実施形態において、タンク10Dは、上甲板5の下側に設けるようにしたが、これに限られない。
例えば、図12に示した上記第一実施形態の変形例と同様、タンク10Dの上部を、上甲板5よりも上方に突出するように設けてもよい。
また、図13に示した上記第一実施形態の変形例と同様、上甲板5よりも上方に突出するタンク10Dの上方に、タンク10Dの上部を覆うタンクカバー15を備えるようにしてもよい。
【0077】
上記第二実施形態では、タンク10Dを、船幅方向Dwに間隔をあけて二列設けるようにしたが、これに限らない。
例えば、図23に示すように、タンク10Dは、例えば、船幅方向Dwの中央に一列だけ設けてもよい。言い換えれば、複数のタンク10Dは、船首尾方向Daに間隔を空けて直列状に配置してもよい。
【0078】
また、図24に示すように、タンク10Dは、船首尾方向Daにおいて間隔を空けて複数配置するとともに、船首尾方向Daで互いに隣り合うタンク10D同士は、船幅方向Dw第一側と船幅方向Dw第二側とに交互に配置する、いわゆる千鳥状に配置してもよい。 図23図24に示したような構成の場合、各タンク10Dに対し、上記第二実施形態と同様に、弾性支持部30Dを設ければよい。
【0079】
これ以外にも、上記各実施形態では、タンク10A、10Dを下方から支持する下部支持部20A、20Dを設けるようにしたが、下部支持部は、スカート、ホールドの底面を形成する甲板であってもよい。つまり、甲板上に、例えば方形のタンクを単に載置する構成を含む。
また、タンク10A、10Dは、上甲板5以外の甲板の下方に設けるようにしてもよい。
【0080】
<付記>
各実施形態に記載の船舶1A、1Dは、例えば以下のように把握される。
【0081】
(1)第1の態様に係る船舶1A、1Dは、船体2と、前記船体2に設置されているとともに、船首尾方向Daに直交する断面形状が上下方向Dvを長手方向とする、液化ガスが充填されるタンク10A、10Dと、前記船体2上で前記タンク10A、10Dを下方から支持する下部支持部20A、20Dと、前記下部支持部20A、20Dよりも上方で前記タンク10A、10Dを前記船体2に対して弾性的に支持する弾性支持部30A、30B、30Dと、を備え、前記弾性支持部30A、30B、30Dは、前記船体2側と、前記タンク10A、10Dの上部で船首尾方向Daを向く面Faと、の間、又は、前記船体2側と、前記タンク10A、10Dの上部で船幅方向Dwを向く面Fwと、の間に設けられた側部弾性支持部31A、31B、31Dと、前記船体2側と、前記タンク10A、10Dの上部で上方を向く面Fuと、の間に設けられた上部弾性支持部32A、32C、32Dと、を備え、前記タンク10A、10Dは、上下方向に延びる円筒状の筒状部10pと、前記筒状部10pの下側に連続して設けられ、上方から下方に向かって前記船幅方向Dwの寸法及び前記船首尾方向Daの寸法が漸次縮小する凸曲面状をなした下部半球状部10qと、前記筒状部10pの上側に連続して設けられ、下方から上方に向かって前記船幅方向Dwの寸法及び前記船首尾方向Daの寸法が漸次縮小する凸曲面状をなした上部半球状部10rと、を備え、前記上部弾性支持部32A、32C、32Dは、前記上部半球状部10rの上側に複数設けられ、前記上部半球状部10rの頂部10mに対して前記船幅方向Dwと前記船首尾方向Daとの少なくとも一方にずれた位置に設けられるとともに、前記船体2側と前記上部半球状部10rとの間に設けられている。
弾性支持部30A、30B、30Dの例としては、コイルスプリング51、板ばね52、ゴム、樹脂等から形成される弾性体53、54、ダンパー55が挙げられる。
【0082】
この船舶1A、1Dは、下部支持部20A、20Dによって下方から支持されたタンク10A、10Dが、下部支持部20A、20Dよりも上方で弾性支持部30A、30B、30Dによって船体2に対して弾性的に支持されている。これにより、船首尾方向Daに直交する断面形状が、上下方向Dvを長手方向とする、いわゆる縦長の断面形状を有するタンク10A、10Dの上部を弾性支持部30A、30B、30Dによって安定的に支持することができる。したがって、タンク10A、10Dを、より安定的に支持することができる。さらに、タンク10A、10Dにおいて下部支持部20A、20Dよりも上方の部分が船首尾方向Daに変位することが抑えられる。また、タンク10A、10Dにおいて下部支持部20A、20Dよりも上方の部分が船幅方向Dwに変位することが抑えられる。さらに、タンク10A、10Dにおいて下部支持部20A、20Dよりも上方の部分が上下方向Dvに変位することが抑えられる。
【0083】
(2)第2の態様に係る船舶1A、1Dは、(1)の船舶1A、1Dであって、前記上部弾性支持部32A、32C、32Dは、前記上部半球状部10rの周方向に間隔を空けて設けられている。
【0084】
(3)第3の態様に係る船舶1A、1Dは、(1)の船舶1A、1Dであって、前記上部弾性支持部32A、32C、32Dは、前記頂部10mに対し前記船幅方向Dw両側又は前記頂部10mに対し前記船首尾方向Da両側に設けられている。
【0085】
(4)第4の態様に係る船舶1A、1Dは、(1)の船舶1A、1Dであって、前記上部弾性支持部32A、32C、32Dは、前記頂部10mに対し前記船幅方向Dw側方の位置と、前記頂部10mに対し前記船首尾方向10aにずれた位置とに設けられている。
【符号の説明】
【0086】
1A、1D…船舶 2…船体 2a…船首 2b…船尾 3A、3B…舷側 4…船底 5…上甲板(甲板) 5h…開口 6…横置隔壁 7…上部構造 8…貨物搭載区画 8b…底部甲板 9…隔壁 10A、10D…タンク 10b…底面 10j…接合部分 10m…頂部 10p…筒状部 10q…下部半球状部 10r…上部半球状部 10s、10t…側面 11…第一胴部 11a…中間筒状部 11b…端部球状部 12…第二胴部 12a…中間筒状部 12b…端部球状部 12c…頂部 12s、12t…側面 15…タンクカバー 16…支持部材 20A、20D…下部支持部 21A…サドル型サポート 21a、21b…立ち上がり部 21s、21t…載置面 30A、30B、30D…弾性支持部 31A、31B、31D…側部弾性支持部 32A、32C、32D…上部弾性支持部 32s、32t…先端部 50…弾性支持部材 51…コイルスプリング 51a…基端部 51b…先端部 52…板ばね 52a…基端部 52b…先端部 52c…湾曲部 53…弾性体 53a…基端部 53b…先端部 54…弾性体 54a…基端部 54b…先端部 55…ダンパー 55a…基端部 55b…先端部 55c…シリンダー 55d…ピストン 56A、56B、57A、57B…固定部材 Da…船首尾方向 Dv…上下方向 Dw…船幅方向 Fa…船首尾方向を向く面 Fu…上方を向く面 Fw…船幅方向を向く面 S1、S2…収容空間
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