(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】基板取付構造及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
H05K7/14 A
(21)【出願番号】P 2018070808
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】松本 基元
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-009191(JP,U)
【文献】特開2001-332885(JP,A)
【文献】特開2008-153541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の底壁部と、
前記第1の底壁部の縁部から立ち上がる側壁部と、前記側壁部から前記第1の底壁部に平行に折り曲げられた第1の腕部を有する第1の基板取り付け部と、前記側壁部から前記第1の底壁部に平行に折り曲げられ前記第1の腕部よりも前記第1の底壁部から離れて位置する第2の腕部を有する第2の基板取り付け部と、を有する第1のフレームと、
前記第1の底壁部と平行な第2の底壁部と、前記第2の底壁部に形成され前記第2の腕部に当接載置された台座部と、を有する第2のフレームと、
前記第1の腕部に取り付けられた第1の基板と、
前記第2の腕部との間に前記台座部を挟んで取り付けられた第2の基板と、を備えた基板取り付け構造。
【請求項2】
前記第2の基板は、発熱部品を有し、
前記発熱部品は、直接又は間接的に前記第2の底壁部に接触していることを特徴とする請求項
1記載の基板取り付け構造。
【請求項3】
前記第1の基板は、前記第2の基板取り付け部を通過可能な切り込み部を外形に有していることを特徴とする請求項1
又は請求項2記載の基板取り付け構造。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載の基板取り付け構造と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に電気的に接続された表示部と、を備えたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板取付構造及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
筐体内に基板を上下2段で備えた電子機器が知られており、その具体的な基板取付構造が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された基板取付構造では、下側の基板と上側の基板との間に、所定長さのボス部を有する専用部品を介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構造は、二枚の基板の間に挟み込む専用部品を、基板の複数の固定箇所それぞれに介在させる必要があってコスト高になる。また、複数の固定箇所それぞれで専用部品を介在させつつ基板を固定する必要があり、作業が必ずしも容易ではない。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、専用部品が不要で作業が容易な基板取付構造及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
1) 第1の底壁部と、
前記第1の底壁部の縁部から立ち上がる側壁部と、前記側壁部から前記第1の底壁部に平行に折り曲げられた第1の腕部を有する第1の基板取り付け部と、前記側壁部から前記第1の底壁部に平行に折り曲げられ前記第1の腕部よりも前記第1の底壁部から離れて位置する第2の腕部を有する第2の基板取り付け部と、を有する第1のフレームと、
前記第1の底壁部と平行な第2の底壁部と、前記第2の底壁部に形成され前記第2の腕部に当接載置された台座部と、を有する第2のフレームと、
前記第1の腕部に取り付けられた第1の基板と、
前記第2の腕部との間に前記台座部を挟んで取り付けられた第2の基板と、を備えた基板取り付け構造である。
2)1)に記載の基板取り付け構造と、
前記第1の基板又は前記第2の基板に電気的に接続された表示部と、を備えたことを特徴とする電子機器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、専用部品が不要で作業が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る電子機器の実施例1であるカーナビゲーション装置51を説明するための正面図である。
【
図2】
図2は、カーナビゲーション装置51の右側面図である。
【
図3】
図3は、カーナビゲーション装置51が備えるフレーム8の一部右側面図である。
【
図4】
図4は、
図3におけるS4-S4位置での断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示された下基板取り付け81に下基板5を乗せた状態を示す部分上面図である。
【
図7】
図7は、上基板取り付け部82に上基板6を乗せた状態を示す部分上面図である。
【
図8】
図8は、下基板5及び上基板6のアースパターン5c,6cを説明するための図であり、(a)は部分上面図、(b)は部分下面図である。
【
図9】
図9は、下基板取り付け部81及び上基板取り付け部82にそれぞれ下基板5及び上基板6を取り付けた状態を示す部分断面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る電子機器の実施例2であるカーナビゲーション装置52を説明するための右側面図である。
【
図11】
図11は、カーナビゲーション装置52が備える下フレーム8A及び上フレーム9の単体を説明するための部分右側面図である。
【
図13】
図13は、下フレーム8Aにおける上基板取り付け部82Aと、それに対応した位置に設けられる上フレーム9における台座部9dと、を説明するための部分上面図である。
【
図14】
図14は、
図13に示される上基板取り付け部82Aに台座部9dを乗せた状態を示す部分上面図である。
【
図15】
図15は、下基板5A及び上基板6Aのアースパターン5Ac,6Acを説明するための図であり、(a)は部分上面図、(b)は部分下面図である。
【
図16】
図16は、上基板取り付け部82Aに上基板6Aを取り付けた状態を説明するための部分断面図である。
【
図17】
図17は、上基板6Aに実装された発熱部品6Ajに接触する突出部9cを説明するための部分断面図である。
【
図18】
図18は、カーナビゲーション装置51におけるアース経路E1を説明するための模式図である。
【
図19】
図19は、カーナビゲーション装置52におけるアース経路E2及び排熱経路Tを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係る電子機器を、車載用電子機器である実施例1のカーナビゲーション装置51及び実施例2のカーナビゲーション装置52により説明する。
【0010】
(実施例1)
実施例1のカーナビゲーション装置51は、自動車のダッシュボードに装着されるインダッシュタイプである。
図1は、カーナビゲーション装置51の正面図、
図2はその右側面図である。
説明の便宜上、上下前後左右の各方向を、
図1及び
図2に矢印で示してある。これらの方向は、カーナビゲーション装置51の使用姿勢や構造上の配置などを限定するものではない。
【0011】
カーナビゲーション装置51は、ダッシュボードへ取り付けた状態で視認可能となる枠状のフロントパネル1及びフロントパネルに囲まれた表示部2と、ダッシュボードの内部に収められる筐体部3と、を有する。
表示部2は、地図や文字情報等を表示する表示機能及び指等で触れることで入力可能なタッチパネル機能を有する。
【0012】
筐体部3は、内部に、第1の基板としての下基板5及び第2の基板としての上基板6と、フレーム8(
図1及び
図2には不図示。
図3~
図5参照)と、これらを覆う外板3aと、を有する。
下基板5及び上基板6は、フレーム8によって上下2段に平行に取り付けられている。表示部2は、下基板5及び上基板6の少なくとも一方と電気的に接続されている。
【0013】
フレーム8の単体形状は、
図3~
図5に示される。
図3は、フレーム8における前後方向の中間部分を示す右側面図であり、
図4は、
図3におけるS4-S4位置での断面図であり、
図5は、
図3の上面図である。
【0014】
フレーム8は表面処理鋼板で形成されている。
フレーム8は、底部において前後左右方向に広がる底壁部8aと、底壁部8aの左右端それぞれから上方に折り曲げにより立設された側壁部8bと、を有する。
側壁部8bの上端部8b1には、上方に延びる延出部81dを含み下基板5を固定する第1の基板取り付け部としての下基板取り付け部81と、上方に延びる延出部82dを含み上基板6を固定する第2の基板取り付け部としての上基板取り付け部82と、が形成されている。
下基板取り付け部81及び上基板取り付け部82は、
図3に示されるように、それぞれ前後方向に離隔して複数箇所設けられている。また、延出部81dよりも延出部82dの方が上方に長く延びている。
【0015】
下基板取り付け部81は、延出部81dの先端から内側に折り曲げられて底壁部8aと平行に形成された第1の腕部としての腕部81aと、腕部81aの先端から底壁部8aと直交する上方に折れ曲がった係合部81bと、腕部81aに設けられた雌ねじ部81cと、を有する。
上基板取り付け部82は、延出部82dの先端から内側に折り曲げられて底壁部8aと平行に形成された第2の腕部としての腕部82aと、腕部82aの先端から底壁部8aと直交する上方に折れ曲がった係合部82bと、腕部82aに設けられた雌ねじ部82cと、を有する。
【0016】
下基板5及び上基板6は、フレーム8に対し、いずれも同じ方向の上方側から取り付け可能となっている。
図6に示されるように、下基板5は、下基板取り付け部81の雌ねじ部81cに対応して形成された貫通孔5aと、係合部81bが係合する係合孔5bと、外形から内側に切り込まれて上基板取り付け部82が通過可能な切り込み部5kと、を有する。
下基板5は、外形に切り込み部5kを有することにより、上方からフレーム8の内側に進入させたときに、上基板取り付け部82と干渉せずに下基板取り付け部81の腕部81a上に載せることができる。
下基板5は、係合部81bと係合孔5bとが係合することで水平方向に位置決めされ、腕部81aの上面に載ることで上下方向に位置決めされる。
【0017】
下基板5の上面には、レセプタクル7aが実装され、上基板6の下面には、レセプタクル7aに装着可能なプラグ7bが実装されている。
レセプタクル7a及びプラグ7bによりコネクタ部7が構成される。
【0018】
上基板6は、
図7に示されるように、上基板取り付け部82の雌ねじ部82cに対応して形成された貫通孔6aと、係合部82bが係合する係合孔6bと、を有する。
上基板6は、係合部82bと係合孔6bとが係合することにより水平方向に位置決めされ、腕部82aの上面に載ることで上下方向に位置決めされる。
【0019】
図8は、下基板5及び上基板6の貫通孔5a,6aまわりの配線パターンを示しており、
図8(a)が、取り付け状態で表面側(上面)、
図8(b)が取り付け状態で裏面側(下面)となる面が示されている。
図8(a)に示されるように、下基板5及び上基板6の表面側には、表面を絶縁膜で保護されたアースパターン5c(第1のアースパターン)及びアースパターン6c(第2のアースパターン)が設けられており、貫通孔5a,6aの周囲には、ねじ座パターン5d,6dが設けられている。ねじ座パターン5d,6dには、半田が乗って導通可能とされた複数のランド5d1,6d1が形成されている。
ねじ座パターン5d,6dは、アースパターン5c,6cと連結パターン5e,6eで接続されている。すなわち、ランド5d1,6d1は、アースパターン5c,6cと同電位になっている。
【0020】
図8(b)に示されるように、下基板5及び上基板6の裏面側には、貫通孔5a,6a及び係合孔5b,6bの周囲を除いて、アースパターン5h,6hが形成されている。
【0021】
図9は、下基板5及び上基板6を取り付けた状態を示す部分断面図である。
既述のように、まず下基板5をフレーム8の上方から水平姿勢で内側に進入させ、係合部81bを係合孔5bに係合させて位置決めし、腕部81aの上に載置する。
そして、導電性材料で形成されたねじN1を下基板5の貫通孔5aに通して雌ねじ部81cに締め付けることで、下基板5をフレーム8に固定する。
【0022】
次いで、上基板6を、フレーム8の上方から水平姿勢で下降させ、係合部82bを係合孔6bに係合させて水平方向の位置決めをし、さらに下降させて腕部82aの上に載せる。
そして、導電性材料で形成されたねじN2を上基板6の貫通孔6aに通して雌ねじ部82cに締め付けることで、上基板6をフレーム8に固定する。
【0023】
係合部82bの長さは、上基板6のフレーム8への取り付け過程で、係合部82bを係合孔6bに係合させて水平方向の位置を決めた後に、プラグ7bがレセプタクル7aに装着されるように設定されている。
これにより、上基板6の下基板5に対する水平方向位置が高精度に決まるため、プラグ7bのレセプタクル7aへの装着において無理な力が働くことがなく、コネクタ部7の信頼性が向上する。
【0024】
ねじN1の締め付けによって下基板5がフレーム8に取り付けられた状態で、下基板5のランド5d1と下基板取り付け部81の腕部81aとが、ねじN1及び雌ねじ部81cを介して導通する。
また、ねじN2の締め付けによって上基板6がフレーム8に取り付けられた状態で、上基板6のランド6d1と上基板取り付け部82の腕部82aとが、ねじN2及び雌ねじ部82cを介して導通する。
これにより、2つの基板である下基板5と上基板6とが上下2段に独立して配置されていても、両方の基板のアースパターンが共通のフレーム8に電気的に接続して同一のグランド電位で維持される。
そのため、カーナビゲーション装置51の電気的な動作が安定する。
【0025】
以上詳述したように、カーナビゲーション装置51は、筐体部3内に上下に配置された二つの基板である下基板5と上基板6とを共通のフレーム8にねじ止めできる。これにより、カーナビゲーション装置51は、基板取り付けのための専用の取り付け部品を必要としない。
また、下基板5及び上基板6のアースが、共に共通のフレーム8に接続される。
これによりカーナビゲーション装置51の電気的な動作が安定する。
また、下基板5及び上基板6のフレーム8への取り付けは、フレーム8に対し、下基板5と上基板6とを同じ方向、すなわち上方から下方に下降させて行うことができる。さらに、基板固定のねじ止めを、一方向の上方からドライバを挿入して行うことができる。
これにより、基板取り付け作業が容易となる。
また、メンテナンスにおける下基板5及び上基板6の取り外し作業も、上方から差し込んだドライバでねじN1,N2を外し、上方へ抜き取ることで行えるので、作業は容易である。
【0026】
(実施例2)
実施例2のカーナビゲーション装置52は、自動車のダッシュボードに装着されるインダッシュタイプである。
図10は、カーナビゲーション装置52の右側面図である。正面態様及び外装構造は実施例1のカーナビゲーション装置51と同じである。すなわち、フロントパネル1,表示部2,及び筐体部3を有し、表示部2は、後述する下基板5A及び上基板6Aの少なくとも一方と電気的に接続されている。
説明の便宜上、上下前後方向を、
図10に矢印で示してある。左右方向は、紙面裏方が左方向、手前方が右方向である。これらの方向は、カーナビゲーション装置52の使用姿勢や構造上の配置などを限定するものではない。
【0027】
カーナビゲーション装置52は、筐体部3の内部に、第1の基板としての下基板5A及び第2の基板としての上基板6Aと、下フレーム8A(
図10には不図示。
図11~
図13参照)及び上フレーム9と、を有する。
下基板5A及び上基板6Aは、下フレーム8Aと下フレーム8Aに組み付けられた上フレーム9とに、上下2段に平行に取り付けられている。
【0028】
下フレーム8A及び上フレーム9の単体形状は、
図11~
図13に示される。
図11は、下フレーム8A及び上フレーム9の前後方向中間部の右側面図であり、
図12は、
図11におけるS12-S12位置での断面図であり、
図13は、
図11の上面図であって、描画単純化のため、上フレーム9を
図13の上方に平行移動させて下フレーム8Aと併記してある。
【0029】
下フレーム8A及び上フレーム9は、表面処理鋼板で形成されている。表面処理鋼板の表面同士を接触させても、処理膜が形成されているため、通常は導通が得られない。
【0030】
下フレーム8Aは、底部において前後左右方向に広がる底壁部8Aaと、底壁部8Aaの左右端それぞれから上方に折り曲げにより立設された側壁部8Abと、を有する。
側壁部8Abには、下基板5Aを固定する第1の基板取り付け部としての下基板取り付け部81Aが、内側への切り起こし(切り倒し)により形成されている。
側壁部8Abの上端部8Ab1には、上方に延びる延出部82Adを含み上基板6Aを固定する第2の基板取り付け部としての上基板取り付け部82Aと、内側に折り曲げられるなどして上フレーム9の水平方向の位置を決める上フレーム位置決め部83Aと、が形成されている。
【0031】
下基板取り付け部81Aは、側壁部8Abから内側に折り曲げられて底壁部8Aaと平行に形成された第1の腕部としての腕部81Aaと、腕部81Aaの先端から底壁部8Aaと直交する上方に折れ曲がった係合部81Abと、腕部81Aaに設けられた雌ねじ部81Acと、を有する。
上基板取り付け部82Aは、延出部82Adの先端から内側に折り曲げられて底壁部8Aaと平行に形成された第2の腕部としての腕部82Aaと、腕部82Aaの先端から底壁部8Aaと直交する上方に折れ曲がった係合部82Abと、腕部82Aaに設けられた雌ねじ部82Acと、を有する。
上フレーム位置決め部83Aは、側壁部8Abの上端部8Ab1から内側に折り曲げられて底壁部8Aaと平行に形成された腕部83Aaと、腕部83Aaの先端から底壁部8Aaと直交する上方に折れ曲がって上フレーム9の水平方向の位置を決める係合部83Abと、を有する。
【0032】
上フレーム9は、平板状の底壁部9aと、底壁部9aの左右端それぞれから上方に折り曲げにより立設された側壁部9bと、を有する。
底壁部9aには、絞り加工によって上方に持ち上げられた、上面視で矩形の突出部9cを有する。
底壁部9aの左右縁部近傍には、開口部9dbの形成を伴う切り起こしによって上方に持ち上げられた台座部9dが設けられている。台座部9dの頂部は、底壁部9aと平行で平坦な当接部9dcとされ、当接部9dcには雌ねじ部9daが形成されている。
当接部9dcは、下フレーム8Aの腕部82Aaの上に載置可能となっている。
また、底壁部9aにおける台座部9dの近傍の、上フレーム位置決め部83Aの係合部83Abに対応した位置に、係合部83Abが係合進入する係合孔9eが形成されている。
【0033】
上フレーム9は、下フレーム8Aとほぼ同じ外形サイズで形成され、下フレーム8Aの上に重ねて載せることができるようになっている(
図11の矢印DR9)。
その際、下フレーム8Aの腕部82Aaの上に台座部9dの当接部9dcが載り、下フレーム8Aの上フレーム位置決め部83Aの係合部83Abが、係合孔9eに係合する。
そして、下フレーム8Aの側壁部8Abの上に上フレーム9の底壁部9aの左右縁部が載って、下フレーム8Aの側壁部8Abと上フレーム9の側壁部9bとで概ね連続した側壁を形成するようになっている。
【0034】
図14は、下フレーム8Aに上フレーム9を重ねて乗せた状態を示す上面図である。すなわち、腕部82Aaに台座部9dを乗った状態が示されている。
繰り返しとなるが、係合部83Abの係合孔9eへの係合により、下フレーム8Aに対する上フレーム9の水平方向の位置が決められ、腕部82Aaの上下方向位置により、重ねられた上フレーム9の上下方向位置が決められている。
【0035】
図15は、下基板5A及び上基板6Aの貫通孔5Aa,6Aaまわりの配線パターンを示しており、
図15(a)は、取り付け状態で表面側(上面)、
図15(b)は裏面側(下面)となる面が示されている。
図15(a)に示されるように、下基板5A及び上基板6Aの表面側には、表面を絶縁膜で保護されたアースパターン5Ac(第1のアースパターン)及びアースパターン6Ac(第2のアースパターン)が設けられており、貫通孔5Aa,6Aaの周囲には、ねじ座パターン5Ad,6Adが設けられている。ねじ座パターン5Ad,6Adには、半田が乗って導通可能とされた複数のランド5Ad1,6Ad1が形成されている。
ねじ座パターン5Ad,6Adは、アースパターン5Ac,6Acと連結パターン5Ae,6Aeで接続されている。すなわち、ランド5Ad1,6Ad1は、アースパターン5Ac,6Acと同電位となっている。
【0036】
図15(b)に示されるように、下基板5A及び上基板6Aの裏面側には、貫通孔5Aa,6Aa及び係合孔5Ab,6Abの周囲を除いて、アースパターン5Ah,6Ahが形成されている。
【0037】
下フレーム8Aへの下基板5Aの取り付けは、実施例1のフレーム8への下基板5の取り付けと同様であり、重ねた下フレーム8A及び上フレーム9の上方から、下基板5Aを下降させて行う。その際、上基板取り付け部82A及び上フレーム位置決め部83Aが下基板5Aに干渉しないように、下基板5Aには上基板取り付け部82Aが通過可能な切り込み部(不図示)が外形から内側に切り込まれて形成されている。ただし、下基板5Aを前方又は後方から下フレーム8Aの内側の取り付け位置に進入させることが可能な場合は、切り込み部を形成しなくてもよい。
【0038】
図16に示されるように、上基板6Aは、台座部9dの当接部9dcの上面に載置される。その際、上基板6Aは、係合部82Abが係合孔6Abに係合案内されて水平方向に位置決めされる。
そして、導電性材料で形成されたねじN3を上基板6Aの貫通孔6Aaに通して雌ねじ部82Acに締め付けることで、上基板6Aを台座部9dと共締めにして下フレーム8Aに固定する。すなわち、台座部9dは、上基板6Aと腕部82Aaとの間に挟まれて、ねじN3によって固定される。
【0039】
係合部82Abの長さは、上基板6Aの下フレーム8Aへの取り付け過程で、係合部82Abを係合孔6Abに係合させて水平方向の位置を決めた後に、プラグ7bがレセプタクル7aに装着されるように設定されている。
これにより、上基板6Aの下基板5Aに対する水平方向位置が高精度に決まるため、プラグ7bのレセプタクル7aへの装着において無理な力が働くことがなく、コネクタ部7の信頼性が向上する。
【0040】
実施例1と同様に、ねじN1の締め付けによって下基板5Aが取り付けられた状態で、下基板5Aのランド5Ad1と下基板取り付け部81Aの腕部81Aaとが、ねじN1及び雌ねじ部81Acを介して導通する。
また、ねじN3の締め付けによって上基板6Aが取り付けられた状態で、上基板6Aのランド6Ad1と上基板取り付け部82Aの腕部82Aaとが、ねじN3及び雌ねじ部82Acを介して導通する。
これにより、2つの基板である下基板5Aと上基板6Aとが上下2段に独立して配置されていても、両方の基板のアースパターンが共通のフレーム8に電気的に接続して同一のグランド電位で維持される。
そのため、カーナビゲーション装置52の電気的な動作が安定する。
【0041】
また、上フレーム9は、下フレーム8Aに対し、台座部9dの当接部9dcと腕部82Aaとが、面当て状態でねじN3によって上基板6Aと共締めで固定される。
従って、上フレーム9の取り付け姿勢が安定すると共に、上下フレームの固定と基板の固定とを同じねじN3で共用しているため部品点数が少なく、かつ組み立てが容易である。
【0042】
また、カーナビゲーション装置52は、上フレーム9を有することで筐体部3内に上下を分割する底壁部9aが配置されている。
図17にも示されるように、この底壁部9aに突出部9cを形成し、上フレーム9を下フレーム8Aに乗せた状態で、上基板6Aの下面(裏面)に実装したCPUなどの発熱部品6Ajを熱伝導部材31を介して突出部9cに接触させるようになっている。
これにより、上基板6Aの下面(裏面)の任意の位置に発熱部品を配置できるようになり、設計自由度が向上した。
また、発熱部品で発生した熱を、ヒートシンクなどの専用熱伝達部材を用いることなく、広い表面積を有する上フレーム9へ伝達できるので、低コストで高い排熱効率が得られる。
【0043】
以上詳述したように、カーナビゲーション装置52は、筐体部3内に上下に配置された二つの基板である下基板5Aと上基板6Aとを共通の下フレーム8Aにねじ止めしている。
これにより、カーナビゲーション装置52は、基板取り付けのための専用の取り付け部品などを必要としない。
また、下基板5A及び上基板6Aのアースが、共に共通の下フレーム8Aに接続される。
これによりカーナビゲーション装置52の電気的な動作が安定する。
また、下基板5A及び上基板6Aの下フレーム8Aへの取り付けは、下フレーム8Aに対し、下基板5Aと上基板6Aとを同じ方向、すなわち上方から下方に下降させて行うことができる。また、基板固定のねじ止めを上方からドライバを挿入して行うことができる。
これにより、基板取り付け作業が容易となる。
また、メンテナンスにおける下基板5A及び上基板6Aの取り外し作業も、共に上方への移動で行えるので、作業は容易である。
【0044】
図18は、カーナビゲーション装置51のアース経路E1を説明するための模式図であり、
図19は、カーナビゲーション装置52のアース経路E2及び排熱経路Tを説明するための模式図である。
図18に示されるように、カーナビゲーション装置51では、下基板5のアースパターン5cは、ねじN1及び雌ねじ部81cを介するアース経路E11で、また、上基板6のアースパターン6cは、ねじN2及び雌ねじ部82cを介するアース経路E12で、フレーム8に接続されている。
【0045】
図19に示されるように、カーナビゲーション装置52では、下基板5Aのアースパターン5Acは、ねじN1及び雌ねじ部81Acを介するアース経路E21で、また、上基板6Aのアースパターン6Acは、ねじN3及び雌ねじ部82Acを介するアース経路E22で、下フレーム8Aに接続されている。
また、上基板6Aに実装された発熱部品6Ajで発生した熱は、上フレーム9に伝達され(排熱経路T1)、上フレーム9から外気へ放出される(排熱経路Ta)。また、一部の熱は上フレーム9から下フレーム8Aへも伝達され(排熱経路T2)、下フレーム8Aから外気へ放出される(排熱経路Tb)。
従って、上フレーム9のみならず、下フレーム8Aからの熱排出が行われ、排熱効率がより向上する。
【0046】
以上詳述した実施例は、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0047】
電子機器は、例として車載用電子機器のカーナビゲーション装置51,52を説明したが、車載用電子機器、或いはカーナビゲーション装置に限定されず種々の電子機器であってよい。
基板の段数(枚数)は2段(2枚)に限定されず、3段(3枚)以上であってもよい。その場合、フレーム側の上段の基板取り付け部と干渉しない切り欠き部を有する基板を用いることで、一方向から(例えば上方から)の取り付けが可能となる。
発熱部品6Ajと上フレーム9とは、上述のように熱伝導部材31を介して間接的に接触する構造に限らず、熱伝導部材31を介さずに直接接触していてもよい。
筐体部3に外板3aを有する構成を説明したが、筐体部3は、外板3aを有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 フロントパネル
2 表示部
3 筐体部、 3a 外板
5,5A 下基板
5a,5Aa 貫通孔、 5b,5Ab 係合孔
5c,5Ac アースパターン、 5d,5Ad ねじ座パターン
5d1,5Ad1 ランド、 5e 連結パターン、 5k 切り込み部
6,6A 上基板
6a,6Aa 貫通孔、 6b,6Ab 係合孔
6c,6Ac アースパターン、 6d,6Ad ねじ座パターン
6d1,6Ad1 ランド、 6e 連結パターン、 6Aj 発熱部品
7 コネクタ部、 7a レセプタクル、 7b プラグ
8 フレーム
8a 底壁部、 8b 側壁部、 8b1 上端部
8A 下フレーム
8Aa 底壁部、 8Ab 側壁部、 8Ab1 上端部
9 上フレーム
9a 底壁部、 9b 側壁部、 9c 突出部、 9d 台座部
9da 雌ねじ部、 9db 開口部、 9dc 当接部
9e 係合孔
31 熱伝導部材
51,52 電子機器(カーナビゲーション装置)
81,81A 下基板取り付け部
81a,81Aa 腕部、 81b,81Ab 係合部
81c,81Ac 雌ねじ部、 81d 延出部
82,82A 上基板取り付け部
82a,82Aa 腕部、 82b,82Ab 係合部
82c,82Ac 雌ねじ部、 82d,82Ad 延出部
83A 上フレーム位置決め部
83Aa 腕部、 83Ab 係合部
E1,E2,E11,E12,E21,E22 アース経路
N1,N2,N3 ねじ
T,T1,T2,Ta,Tb 排熱経路