(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】イオン注入装置およびイオン注入方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20220526BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
H01J37/317 C
H01L21/265 T
H01L21/265 603C
H01J37/317 B
(21)【出願番号】P 2020013867
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】302054866
【氏名又は名称】日新イオン機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】立道 潤一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 元喜
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-091431(JP,A)
【文献】特開平02-123656(JP,A)
【文献】特開平06-139993(JP,A)
【文献】特開平08-315762(JP,A)
【文献】特開2014-099284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
H01L 21/265
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持した保持体を処理室内に照射されているイオンビームを横切るように一方向へ移送させる移送機構を備え、前記移送機構が前記基板を保持した前記保持体を前記一方向へ移送させる過程において、前記基板の被照射面が前記イオンビームに曝されるイオン注入装置であって、
前記イオンビームは、前記被照射面上での形状について、前記一方向に沿ったビーム幅と、前記一方向との直交方向に沿ったビーム長さを有し、
前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が
前記一方向へ移送されるに伴い前記イオンビームに曝され始める以前に前記イオンビームに曝される第一被検知部と、
前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が
前記一方向へ移送されるに伴い前記イオンビームに曝され終える以後に前記イオンビームに曝される第二被検知部と、
前記過程の間、前記第一被検知部と前記第二被検知部のそれぞれが前記イオンビームに曝されているか否かの状態を検知した検知結果を取得する検知部と、
前記検知結果から前記ビーム幅に応じた算出値を算出し、前記算出値に基づいて前記移送機構が前記保持体を移送する動作を制御し得る制御部と、を備えるイオン注入装置。
【請求項2】
前記検知部は、複数の前記被検知領域のそれぞれが前記イオンビームに曝されているか否かの状態を検知して前記検知結果を取得する請求項1に記載のイオン注入装置。
【請求項3】
前記第一被検知部または前記第二被検知部の少なくとも一方は、3以上の前記被検知領域を備える請求項2に記載のイオン注入装置。
【請求項4】
前記処理室内に、照射されている前記イオンビームのビーム電流を検出する検出器を備え、
前記第一被検知部または前記第二被検知部の少なくとも一方は、前記処理室内で前記検出器に到達するイオンビームを遮蔽する遮蔽体により構成され、
前記検知部は、前記検出器が検出する前記ビーム電流の値により前記検知結果を取得する構成とされている請求項1~3のいずれか1項に記載のイオン注入装置。
【請求項5】
基板を保持した保持体を処理室内に照射されているイオンビームを横切るように一方向へ移送させる移送機構を備え、前記移送機構が前記基板を保持した前記保持体を前記一方向へ移送させる過程において、前記基板の被照射面が前記イオンビームに曝されるイオン注入方法であって、
前記イオンビームは、前記基板の前記イオンビームの被照射面に対して、前記一方向に沿ったビーム幅と、前記一方向との直交方向に沿ったビーム長さを有し、
前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が
前記一方向へ移送されるに伴い前記イオンビームに曝され始める以前に前記イオンビームに曝される第一被検知部と、
前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が
前記一方向へ移送されるに伴い前記イオンビームに曝され終える以後に前記イオンビームに曝される第二被検知部と、
を備え、
検知部が、前記過程の間、前記第一被検知部と前記第二被検知部のそれぞれが前記イオンビームに曝されているか否かの状態を検知した検知結果を取得する検知ステップと、
制御部が、検知結果から前記ビーム幅に応じた算出値を算出する算出ステップと、
前記制御部が、前記算出値に基づいて前記移送機構が前記保持体を移送する動作を制御し、前記基板がイオンビームに曝される注入ステップと、
を含むイオン注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入装置およびイオン注入方法に関し、特に、処理対象の基板を、イオンビームを横切るように一方向に移送させてイオン注入処理を施すイオン注入装置およびイオン注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程やフラットパネルディスプレイ製造工程において使用されるイオン注入装置では、イオン注入処理対象である基板(ウェーハやガラス基板)に対して、所定の枚数ごとにイオン注入処理が施される。このようなイオン注入装置として、例えば、特許文献1に開示されたイオン注入装置が知られている。
【0003】
特許文献1のイオン注入装置は、ガラス基板に対してイオン注入処理を施すものである。このイオン注入装置では、1枚目のガラス基板を処理室内に搬入し、ガラス基板を搬送機構によってイオンビームを横切るように一方向に移送させることにより、ガラス基板にイオンビームを照射させる構成とされている。イオン注入処理が施された1枚目のガラス基板は処理室外部に搬出され、その後、処理室内に2枚目のガラス基板が搬入され、1枚目のガラス基板と同様の処理が施される。以降、同様の動作が繰り返されて複数枚のガラス基板にイオン注入処理が施される。
【0004】
このようなイオン注入装置においては、途中、イオンビームを形成するイオン種を切り替えて使用されることがあるが、イオン種によって生成されるイオンビームのビーム幅が異なるため、ガラス基板の全面にイオンビームを照射するのに実質的に必要なガラス基板を移送させる距離は、B+やAr+等のイオン種ごとに異なるものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のイオン注入装置では、イオン注入処理時に基板を一方向に移送させる距離をイオン種に応じて変更することはできなかった。すなわち、イオン注入処理時に基板を一方向に移送させる距離は、どのようなイオン種からなるイオンビームであっても基板に不具合なくイオン注入処理を施せるよう、想定され得るイオンビームのビーム幅に対して十分に大きい距離を確保した設定とされていた。したがって、ガラス基板が一方向に移送される間において、基板にイオンビームが曝されない時間、すなわち、基板へのイオン注入処理には実質的には寄与しない時間が多く発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、イオンビームのビーム幅が変化した場合であっても、基板へのイオン注入処理に実質的に寄与しない時間を削減し、スループットを向上させることができるイオン注入装置およびイオン注入方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るイオン注入装置は、基板を保持した保持体を処理室内に照射されているイオンビームを横切るように一方向へ移送させる移送機構を備え、前記移送機構が前記基板を保持した前記保持体を前記一方向へ移送させる過程において、前記基板の被照射面が前記イオンビームに曝されるイオン注入装置であって、前記イオンビームは、前記基板の前記イオンビームの被照射面に対して、前記一方向に沿ったビーム幅と、前記一方向との直交方向に沿ったビーム長さを有し、 前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が前記イオンビームに曝され始める以前に前記イオンビームに曝される第一被検知部と、前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が前記イオンビームに曝され終える以後に前記イオンビームに曝される第二被検知部と、前記過程の間、前記第一被検知部と前記第二被検知部のそれぞれが前記イオンビームに曝されているか否かの状態を検知した検知結果を取得する検知部と、前記検知結果から前記ビーム幅に応じた算出値を算出し、前記算出値に基づいて前記移送機構が前記保持体を移送する動作を制御し得る制御部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、基板を保持した保持体が移送機構に一方向へ移送され、基板に対してイオンビームが照射される過程の中で、検知部により、第一被検知体と第二被検知体によって基板の被照射面にイオンビームが曝されるより前と後のタイミングを検知することができることから、制御部が検知結果に基づいてイオンビームのビーム幅に応じた算出値を算出し、算出値に基づいて移送機構が前記保持体を移送する動作を制御できる。
したがって、イオンビームのビーム幅が変化した場合であっても、検知結果を取得した以降にイオンビームに曝される基板に対し、移送機構が基板を一方向へ移送させる動作をイオンビームのビーム幅に応じた算出値に基づいて制御できることから、基板へのイオン注入処理に実質的に寄与しない時間を削減し、イオン注入処理におけるスループットを向上させることができる。
【0010】
また、本発明に係るイオン注入装置においては、前記第一被検知部または前記第二被検知部の少なくとも一方は、前記保持体が前記基板を保持した状態について前記直交方向に離間して設けられた複数の被検知領域を備え、前記検知部は、複数の前記被検知領域のそれぞれが前記イオンビームに曝されているか否かの状態を検知して前記検知結果を取得する構成としてもよい。
【0011】
この構成によれば、第一被検知部または第二被検知部の少なくとも一方が、直交方向に離間して配置された複数の検知領域により構成されることから、イオンビームの基板の被照射面に入射する形状が変化した場合であっても、複数の被検知領域から検知結果を取得することができる。したがって、基板にイオンビームが曝されるより前と後のタイミングを精度良く検知することができ、算出値を実際のビーム幅に基づく値に近づけることができる。
【0012】
また、本発明に係るイオン注入装置においては、前記第一被検知部または前記第二被検知部の少なくとも一方は、3以上の前記被検知領域を備える構成としてもよい。
【0013】
この構成によれば、第一被検知部または第二被検知部の少なくとも一方が、3以上の被検知領域を備えることから、イオンビームの基板の被照射面に入射する形状が変化した場合であっても、3箇所以上の被検知領域から検知結果を取得することができる。したがって、基板にイオンビームが曝されるより前と後のタイミングを精度良く検知することができ、算出値を実際のビーム幅に基づく値に近づけることができる。
【0014】
また、本発明に係るイオン注入装置においては、前記処理室内に、照射されている前記イオンビームのビーム電流を検出する検出器を備え、前記第一被検知部または前記第二被検知部の少なくとも一方は、前記処理室内で前記検出器に到達するイオンビームを遮蔽する遮蔽体により構成され、前記検知部は、前記検出器が検出する前記ビーム電流の値により前記検知結果を取得する構成としてもよい。
【0015】
この構成によれば、検出器に到達するイオンビームを遮蔽部が遮蔽した場合には、検出器においてビーム電流が検出されなくなるため、遮蔽部がイオンビームを遮蔽しているか否かを検知することにより検知結果を取得することができる。
【0016】
本発明に係るイオン注入方法は、基板を保持した保持体を処理室内に照射されているイオンビームを横切るように一方向へ移送させる移送機構を備え、前記移送機構が前記基板を保持した前記保持体を前記一方向へ移送させる過程において、前記基板の被照射面が前記イオンビームに曝されるイオン注入方法であって、前記イオンビームは、前記基板の前記イオンビームの被照射面に対して、前記一方向に沿ったビーム幅と、前記一方向との直交方向に沿ったビーム長さを有し、前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が前記イオンビームに曝され始める以前に前記イオンビームに曝される第一被検知部と、前記過程の間、前記保持体と連動し、前記基板が前記イオンビームに曝され終える以後に前記イオンビームに曝される第二被検知部と、を備え、検知部が、前記過程の間、前記第一被検知部と前記第二被検知部のそれぞれが前記イオンビームに曝されているか否かの状態を検知した検知結果を取得する検知ステップと、制御部が、検知結果から前記ビーム幅に応じた算出値を算出する算出ステップと、前記制御部が、前記算出値に基づいて前記移送機構が前記保持体を移送する動作を制御し、前記基板がイオンビームに曝される注入ステップと、を含む。
【0017】
この方法によれば、基板を保持した保持体が移送機構に一方向へ移送され、基板の被照射面に対してイオンビームが照射される過程の中で、検知部により、第一被検知体と第二被検知体によって基板にイオンビームが曝されるより前と後のタイミングを検知することができることから、制御部が検知結果に基づいてイオンビームのビーム幅に応じた算出値を算出し、算出値に基づいて移送機構が前記保持体を移送する動作を制御できる。
したがって、検知結果を取得した以降にイオンビームに曝される基板に対し、移送機構が基板を一方向へ移送させる動作をイオンビームのビーム幅に応じた算出値に基づいて制御できることから、イオンビームのビーム幅が変化した場合であっても、基板へのイオン注入処理に実質的に寄与しない時間を削減し、イオン注入処理におけるスループットを向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のイオン注入処理装置およびイオン注入方法によれば、イオンビームのビーム幅が変化した場合であっても、基板へのイオン注入処理に実質的に寄与しない時間を削減し、スループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るイオン注入処理装置の一実施形態を示す模式図。
【
図2】同実施形態の保持体、搬送機構および検知器を示す斜視図。
【
図3】同実施形態の保持体の第一ステップにおける速度変化を示すグラフ。
【
図4】同実施形態の保持体の第一ステップにおける位置の遷移を示す模式図。
【
図5】同実施形態の保持体の第二ステップにおける位置の遷移を示す模式図。
【
図6】同実施形態の保持体の第一変形例を示す模式図。
【
図7】同実施形態の第一変形例の保持体の第一ステップにおける位置の遷移を示す模式図。
【
図8】同実施形態の保持体の第二変形例を示す模式図。
【
図9】同実施形態の第二変形例における保持体の第二ステップにおける位置の遷移を示す模式図。
【
図10】同実施形態の保持体のその他の変形例を示す模式図。
【
図11】同実施形態の第一被検知部および第二被検知部の変形例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本実施形態におけるイオン注入装置の構成>
まず、本発明の一実施形態におけるイオン注入装置10の構成について説明する。本実施形態におけるイオン注入装置10は、FPD(フラットパネルディスプレイ)製造工程で使用され、外形が矩形状のガラス基板である基板Sに対してイオン注入処理を施す装置である。
【0021】
図1に示すように、イオン注入装置10は、原材料からイオンビームIBを生成するイオン生成部11と、生成したイオンビームIBから所望のイオンを質量分析するとともにイオンビームIBを輸送するイオン輸送部12と、内部を真空とされた処理室13を備える。イオン生成部11は、原材料からプラズマを生成するイオン源(不図示)とイオン源で生成されたプラズマからイオンビームIBを引き出す引出電極系(不図示)等から構成される。また、イオン輸送部12は、質量分析磁石(不図示)と分析スリット(不図示)等から構成される。
【0022】
イオン輸送部12を通過したイオンビームIBは、その後、処理室13内に導入される。尚、
図1に示すように、イオンビームIBは進行方向Dbに沿って直線的に処理室13内を進行する。処理室13内では、後述するように、基板Sは搬送路31に沿ってイオンビームIBを横切るように移送され、この間に基板Sの被照射面Ssの全面がイオンビームIBに曝されることにより、基板Sに対するイオン注入処理が施されることになる。
【0023】
また、
図1に示すように、処理室13には、内部を大気圧雰囲気と真空雰囲気に切り替え可能なロードロック室14が接続されており、基板Sはロードロック室14を介して外部機構15から処理室13内に搬入される。また、処理室13内でイオン注入処理が施された後の基板Sは、再びロードロック室14を介して処理室13から外部機構15に搬出される構成である。
【0024】
図1に示すように、処理室13の内部には、基板Sを保持する保持体20と、保持体20を一方向D1に移送させる移送機構30が配置されている。移送機構30は、モーターなどの駆動源(不図示)と一方向D1に沿った搬送路31を備えている。イオン注入処理時には、移送機構30は、モーター等の駆動源(不図示)により駆動されて、基板Sを保持した保持体20を、処理室13内に照射されているイオンビームIBを横切るよう、搬送路31に沿って一方向D1へ移送させる構成である。
尚、本実施形態においては、搬送路31はイオンビームIBの進行方向Db
と直交するよう、すなわち、進行方向Dbと一方向D1が直交するように構成されているが、進行方向Dbと一方向D1は必ずしも直交している必要はない。
【0025】
また、処理室13内には、処理室13内に導かれたイオンビームIBのビーム電流を検出する検出器40が、イオンビームIBの進行方向Db上、かつ、搬送路31に対して進行方向Db側に配置されている。すなわち、処理室13内に導入されたイオンビームIBが入射するよう検出器40は配置されており、イオン注入装置10の動作中は常にイオンビームIBのビーム電流を検出し得る構成とされている。例えば、検出器40では、イオンビームIBが検出器40に入射している間はビーム電流が検出される。一方で、例えば、イオンビームIBが基板Sに照射されている間は、イオンビームIBは基板Sによって遮蔽されるため検出器40には到達せず、検出器40ではビーム電流は検出されないことになる。
【0026】
図2に示すように、検出器40は全体が直方体の箱型形状であり、検出器40のイオンビームIBに対向する表面部40sには、一方向D1に沿った開口であるスリット41を複数備えている。各スリット41は、後述するイオンビームIBのビーム長さL方向に沿って、一定の間隔で離間するように配置されている。
【0027】
また、
図1に示すように、検出器40の内部には、各スリット41の後方に、すなわちイオンビームIBの進行方向Db側に、複数のファラデーカップ42がそれぞれ配置されており、検出器40は、各スリット41を通過したイオンビームIBのビーム電流を各ファラデーカップ42によってそれぞれ検出できる構成である。
【0028】
図2に示すように、本実施形態におけるイオンビームIBはリボン状のイオンビームであり、基板SにイオンビームIBが照射されている間における被照射面Ss上での形状について、一方向D1に沿ったビーム幅Wと、一方向D1との直交方向D2に沿ったビーム長さLを有する。
尚、イオンビームIBは、基板Sの被照射面SsがイオンビームIBに曝される状態における被照射面Ssと平行な断面が、一方向D1に沿ったビーム幅Wと、一方向D1との直交方向D2に沿ったビーム長さLを有するとい言い換えることもできる。
【0029】
本発明における実施形態においては、以降、イオンビームIBが基板Sに照射されている状態における、被照射面Ss上でのイオンビームIBの形状を単にイオンビームIBの断面形状というものとする。例えば、
図2に示すように、本実施形態におけるイオンビームIBの断面形状はビーム幅Wよりもビーム長さLが大きい矩形状である。
【0030】
図2に示すように、処理室13内に配置された保持体20は、一方向D1について前側の端縁に板状の第一被検知部21Aを、後側の端縁に板状の第二被検知部22Aを備えている。すなわち、保持体20が一方向D1に搬送される過程では、第一被検知部21Aは基板SがイオンビームIBに曝され始める以前にイオンビームに曝され、また、第二被検知部22Aは基板SがイオンビームIBに曝され終える以後にイオンビームに曝されることになる。
【0031】
第一被検知部21Aと第二被検知部22Aは、基板Sを保持した状態で直交方向D2について同位置であり、保持体20が搬送機構30により一方向D1に移送される過程においては、第一被検知部21Aと第二被検知部22Aはともに、検出器40に到達するイオンビームIBを、より具体的には、検出器40の複数のスリット41の内、ひとつのスリット41aを通過してファラデーカップ42に入射するイオンビームIBを、遮蔽し得るように位置付けられている。すなわち、換言すれば、第一被検知部21Aおよび第二被検知部22Aは、処理室13内で検出器40に到達するイオンビームIBを遮蔽する遮蔽体である。
尚、第一被検知部21Aと第二被検知部22Aはひとつのスリット41aを通過するイオンビームIBを遮蔽し得る構成としているが、複数のスリット41を通過するイオンビームIBを遮蔽し得る構成であってもよい。
【0032】
また、本実施形態においては、第一被検知部21Aと第二被検知部22Aはともに保持体20とは別部材であり、保持体20に対して着脱自在な構成とされているが、第一被検知部21Aと第二被検知部22Aはいずれも保持体20と一体成形されていてもよい。すなわち、保持体20の一部を第一被検知部21Aおよび第二被検知部22Aと捉えてもよい。
【0033】
図1および
図2に示すように、イオン注入装置10は、検出器40が検出したイオンビームIBのビーム電流の値により、第一被検知部21Aと第二被検知部22AのそれぞれがイオンビームIBに曝されているか否かの状態を検知した検知結果C1を取得する検知部50を備えている。
【0034】
本実施形態においては、第一被検知部21Aと第二被検知部22Aは、ともに基板Sを保持した保持体20が一方向D1に搬送される過程で、スリット41aを通過して検出器40内のファラデーカップ42に到達するイオンビームIBを遮蔽するものである。
【0035】
すなわち、第一被検知部21Aまたは第二被検知部22AがイオンビームIBを遮蔽している場合には、検出器40ではスリット41aを通過したイオンビームIBのビーム電流が検出されなくなる。つまり、検知部50は、検出器40においてスリット41aを通過するイオンビームIBのビーム電流が検出されているか否かにより、第一被検知部21Aまたは第二被検知部22Aがイオンビームに曝されているか否かの状態を判断し、その結果を検知結果C1として取得する。
尚、ビーム電流が検出されているか否かを判断することには、単にビーム電流がゼロか否かを判断するだけでなく、例えば、ビーム電流が事前に設定した閾値以下か否かを判断することも含まれる。
【0036】
したがって、本実施形態においては、第一被検知部21Aと第二被検知部22AのそれぞれがイオンビームIBに曝されているか否かの状態は、第一被検知部21Aと第二被検知部22AのそれぞれがイオンビームIBを遮蔽しているか否かの状態と同義である。すなわち、本実施形態においては、検知結果C1は、第一被検知部21Aまたは第二被検知部22Aがスリット41aを通過するイオンビームIBを遮蔽しているか否かの状態を検知して取得されたものと捉えてよい。
【0037】
また、
図1に示すように、イオン注入装置10は、検知結果C1からビーム幅Wに応じた算出値C2を算出し、算出値C2に基づいて移送機構30が保持体20を移送する動作を制御しうる制御部60を備えている。本実施形態における算出値C2は、後述するように、保持体20を一方向D1に搬送を開始するのに最適な保持体20の開始位置R0である。
尚、算出値C2は、イオン種の変更等によってビーム幅Wが変化した場合に、変化後のビーム幅に応じて搬送機構30の動作を制御できるものであればどのようなものであってもよい。
【0038】
<本実施形態のイオン注入装置を使用したイオン注入方法>
次に、本実施形態のイオン装置10を使用したイオン注入方法について説明する。
本実施形態におけるイオン注入方法は、1枚目の基板Sを処理室13内に搬入し、保持体20に保持させ、基板Sを保持した保持体20を処理室13内に照射されているイオンビームIBを横切るように搬送機構30により一方向D1に移送させる第一ステップを含む。また、第一ステップには、第一ステップの間に、検知結果C1を取得する取得ステップと、算出値C2を算出する算出ステップが含まれる。
【0039】
また、本実施形態のイオン注入方法は、保持体20が算出値C2に基づいて移送機構30により移送され、第一ステップより後に基板SがイオンビームIBに曝される注入ステップを含む。
注入ステップには、第二ステップとして後述する、算出値C2に基づいて1枚目の基板Sにイオン注入処理が施された後に処理室13に搬入される2枚目以降の基板Sが、算出値C2に基づいて搬送路31上を搬送機構30により搬送される方法が含まれる。
【0040】
また、基板Sが搬送路31上を複数回往復搬送され、複数回にわたってイオンビームIBを横切ることにより、基板Sにイオン注入が施される場合において、注入ステップには、第一ステップで取得した算出値C2に基づいて1枚目の基板Sが再び搬送路31上を搬送されることにより、1枚目の基板Sにイオン注入処理を施す方法が含まれる。
尚、いずれの場合においても、基板Sを保持した保持体20は搬送機構30により搬送路31上を搬送され、搬送機構30は、算出値C2に基づいて制御部60により動作が制御される。
【0041】
本実施形態においては、注入ステップは、2枚目以降の基板Sがイオンビームに曝されてイオン注入が施される第二ステップであるものとして説明する。
【0042】
<第一ステップ>
次に、各ステップについて説明する。
第一ステップでは、1枚目の基板Sを処理室13内に搬入し、
図2に示すように、基板Sを保持体20に保持させる。
次に、基板Sを保持した保持体20を処理室13内に照射されているイオンビームIBを横切るように搬送機構30により一方向D1に移送させる。
第一ステップの過程の間、基板Sの被照射面SsがイオンビームIBに曝されることにより、1枚目の基板Sに対してイオン注入処理が施されることになる。また、第一ステップの間、検知部50は検知結果C1を取得している。
【0043】
まず、第一ステップにおける保持体20の動作について説明する。尚、保持体20の移送はすべて搬送機構30により行われている。
図4(a)~(d)は、第一ステップにおける保持体20の位置の遷移を示す模式図である。
図4(a)~(d)には、第一ステップの過程における基板Sを保持した保持体20と、イオンビームIBと、検出器40のスリット41の位置関係が表されている。また、
図4(a)~(d)は、保持体20を検出器40側から見た状態を示しているが、検知器40は、理解を容易にするため、第一被検知部21Aと第二被検知部22Aにより遮蔽され得るイオンビームIBが通過するスリット41aのみ表している。
【0044】
さらに、
図3には保持体20が搬送路31上を一方向D1へ移送される際の保持体20の速度変化が描かれている。
図3に示すように、第一ステップでは、1枚目の基板Sを保持した保持体20は、初期位置P0に位置づけられ、その後、停止した状態から第一定速到達位置P1に至るまでの間一定の加速度aで加速され、時刻T1で第一定速到達位置P1に至り、このとき保持体20は速度Vに到達する。
【0045】
第一定速到達位置P1に到達した保持体20は、その後、時刻T2で第一減速開始位置P2に到達するまで一定の速度Vで移送され、この間に基板Sの被照射面SsがイオンビームIBに曝されてイオン注入処理が施される。
保持体20は、第一減速開始位置P2に到達した後、一定の加速度bで減速され、時刻T3で停止位置P3において停止する。
尚、加速度aと加速度bの大きさは同一であっても、異なっていても構わない。また、
図3に示される第一定速到達位置P1、第一減速開始位置P2、および停止位置P3は、
図4に示される第一定速到達位置P1、第一減速開始位置P2、および停止位置P3に対応している。
【0046】
第一定速到達位置P1および第一減速開始位置P2は、どのようなイオン種からなるイオンビームIBであっても、すなわちイオンビームIBのビーム幅Wが想定される範囲内でどのような値であっても、基板Sの被処理面S1全面が一定の速度VでイオンビームIBを横切ることができるよう十分な間隔を空けて設定されていればよく、本実施形態においては、スリット41aの一方向D1についての開口幅Wsが想定される最大のビーム幅Wを基に設定されている。
【0047】
図4(d)に示すように、第一定速到達位置P1は、スリット41aの一方向D1についての後側端部から距離dだけ後方の位置に設定されている。また、第一減速開始位置P2は、スリットWの一方向D1についての前側端部から距離dだけ前方の位置に設定されている。距離dは、基板Sが確実に一定の速度VでイオンビームIBを横切ることを保証するため、基板Sが一定の速度Vで動作する距離に余裕をもたせるために設定する距離であり、距離dは搬送機構30の動作性能に応じて設定すればよい。
【0048】
すなわち、第1テップにおいて、基板Sを保持した保持体20が一定の速度Vで移送される第一定速到達位置P1から第一減速開始位置P2までの初期定速距離L1は(式1)で示される。
(式1)L1=Ws+2d
【0049】
<検知ステップ>
続いて、第一ステップの間に検知結果C1を取得する検知ステップについて説明する。まず、
図4(a)に示すように、保持体20は搬送路31上において初期位置P0から第一定速到達位置P1に到達し、その後、速度Vで一方向D1に移送される。
【0050】
保持体20が第一定速到達位置P1から第一減速開始位置P2に至るまでの間においては、まず、
図4(b)に示すように、第一被検知部21AがイオンビームIBに曝され始める。すなわち、第一被検知部21Aがスリット41aを通過して検出器40に到達していたイオンビームIBを遮蔽し始める。このとき、検出器40では検出されていたビーム電流が初期値から下がり始め、やがてビーム電流がゼロとなる。このとき、検知部50は、検出器40で検出されるビーム電流が低下し始めたこと、または、ゼロ、もしくは閾値以下となったことを検知することで、第一被検知部21AがイオンビームIBを遮蔽したと判断し、このときの保持体20の搬送路31上の位置である遮蔽開始位置Q1を取得する。
【0051】
続いて、
図4(c)に示すように、基板SがイオンビームIBを横切り終えた後、第二被検知部22AがイオンビームIBに曝されてイオンビームIBを遮蔽し、その後、第二被検知部22Aがイオンビームを遮蔽し終える。このとき、検出器40では、スリット41aを通過したビーム電流が検出され始めることから、検出されるビーム電流が上昇し始め、やがて初期値に戻る。このとき、検知部50では、検出器40で検出されるビーム電流が上昇し始めたこと、または、初期値に戻ったこと、あるいは閾値以上になったことを検知することで、第二被検知部22BがイオンビームIBを遮蔽し終えたと判断し、このときの保持体20の位置である遮蔽終了位置Q2を取得する。
その後、
図4(d)に示すように、保持体20は、第一減速開始位置P2にて加速度bで減速を開始し、位置P3で停止する。
【0052】
すなわち、第一実施形態においては、検出器40は、保持体20が遮蔽開始位置Q1から遮蔽終了位置Q2に至るまでの間、または遮蔽開始時間T1から遮蔽終了時間T2までの間、基板SがイオンビームIBに曝される前後で、第一被検知部21Aと第二被検知部22AがイオンビームIBを遮蔽している、すなわちイオンビームIBに曝されているという検知結果C1を取得している。
【0053】
このようにして、検知ステップでは、検知部50は、保持体20の第一被検知部21Aから第二被検知部22Aが検知器40に到達するイオンビームIBを遮蔽し始めるタイミングと遮蔽し終えるタイミングを検知することにより、検知結果C1を取得している。
つまり、検知結果C1からは、遮蔽開始位置Q1から遮蔽終了位置Q2に至るまでの間に、基板Sの被照射面Ssの全面がイオンビームIBに曝されることが分かる。一方で、第一ステップにおいて、保持体20が移送を開始される初期位置P0から遮蔽開始位置Q1に至る間、および、遮蔽終了位置Q2から保持体20が停止する位置P3にいる間は、基板Sの被照射面SsがイオンビームIBに曝されることはなく、実質的にイオン注入処理に寄与しない時間であることが分かる。
【0054】
<算出ステップ>
次に、制御部60が検知結果C1からビーム幅Wに応じた算出値C2を取得する算出ステップについて説明する。
算出ステップにおいては、制御部60は、まず、検知結果C1により、基板Sを遮蔽開始位置Q1から遮蔽終了位置Q2に至るまでの間、一定の速度Vで一方向Dに移送させることで基板Sの被処理面Ssの全面にイオン注入処理を施すことができると判断する。
尚、遮蔽開始位置Q1および遮蔽終了位置Q2は、検出部50がビーム電流を実測した結果に基づき算出されたものであるから、遮蔽開始位置Q1から遮蔽終了位置Q2までの距離L2は、予め十分な距離に設定された第一定速到達位置P1から第一減速開始位置P2までの初期定速距離L1よりも短い。
【0055】
制御部60は、一方向D1に対して、遮蔽開始位置Q1で速度Vに到達し、遮蔽終了位置Q2で減速し始めればよいと判断し、第一ステップと同様に、一定の速度VでイオンビームIBを基板Sが横切ることを保証するため、一方向D1について遮蔽開始位置Q1から距離dだけ後方で、一定の速度Vに到達する第二定速到達位置R1と、位置Q2から距離dだけ前方で減速を開始する第二減速開始位置R2を算出し、停止状態から加速度aで加速し第二定速到達位置R1において速度Vに到達するための開始位置R0と速度Vでの移送状態から加速度bで減速し速度がゼロに到達する終了位置R3を算出する。
本実施形態では、算出された開始位置R0と終了位置R3は、制御部60が算出した算出値C2である。
【0056】
<注入ステップ>
続いて算出値C2を用いてイオン注入処理を施す注入ステップであり、2枚目以降の基板Sにイオン注入を行う第二ステップについて説明する。
2枚目以降の基板Sにイオン注入処理を施す第二ステップでは、算出値C2に基づき移送機構30を制御すればよい。
【0057】
すなわち、注入ステップにおいては、まず、
図5(a)に示すように、制御部60は、算出値C2に基づき、初期位置R0に2枚目の基板Sを保持した保持体20を位置づける。その後、保持体20は第一ステップと同様に停止した状態から加速度aで加速され、第二定速到達位置R1にて速度Vに到達する。続いて保持体は一定の速度Vで第二減速開始位置R2に至るまで一方向D1に移送され、第二定速到達位置R1から第二減速開始位置R2に至る間に、2枚目の基板Sに対してイオンビームIBは曝されることにより、2枚目の基板Sに対してイオン注入処理が施される。その後、
図5(b)に示すように、第二減速開始位置R2から第一ステップと同様に加速度bで減速され、位置R3において停止する。
【0058】
イオン注入処理が施された2枚目の基板Sは、その後処理室13から搬出されて、3枚目の基板Sが処理室13に搬入される。以降は、処理される基板Sが所定の枚数に到達するまで、または、使用されるイオン種が変更されるまで、同様の注入ステップが繰り返されて、複数の基板Sに対してイオン注入処理が施される。
【0059】
第二ステップでは、すなわち注入ステップでは、2枚目以降の基板Sにイオン注入処理を施す過程では、保持体20Aが一定の速度Vで移動する定速距離L3、すなわち第二定速到達位置R1から第二減速開始位置R2までの距離は、遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2間の距離である遮蔽距離L2に、第一ステップと同様にその両側でわずかに余裕を持たせた距離dを設定し、(式2)で表される。
(式2) L3=L2+2d
として設定される。
【0060】
ここで、遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2間の距離は、イオンビームIBが第一被検知部21AがイオンビームIBに曝され始めてから、第二被検知部22AがイオンビームIBに曝され終わる時間の実測値である測定結果C1に基づくものであるから、距離L2は距離L1より短く、その結果、2枚目以降に処理する基板Sを保持した保持体20Aを搬送機構30が移動させる定速距離L3は、第一ステップにおける保持体20を移動させる初期定速距離L1と比較して短くなる。したがって、1枚目の基板Sに対して、2枚目の基板Sは短時間でイオン注入処理が施されることになる。
【0061】
本実施形態においては、1枚目の基板Sにイオン注入処理を施す第一ステップでは、基板Sを保持した保持体20は、
図5(b)に示す初期位置P0で移送が開始され、停止位置P3にて停止する。これに対し、2枚目以降の基板Sにイオン注入処理を施す第二ステップでは、算出値C2に基づき、初期位置P0よりも一方向D1側の開始位置R0から移送が開始され、停止位置P3よりも手前の終了位置R3にて停止され、この間にイオン注入処理が施される。
【0062】
また、開始位置R0と終了位置R3は、ビーム幅Wに応じて取得される検出結果C1から算出された算出値C2である。すなわち、本実施形態においては、第二ステップでは、イオンビームIBのビーム幅Wに応じた算出値C2に基づいて、制御部60が移送機構30を制御し、基板Sへのイオン注入処理に実質的に寄与しない時間を削減し、複数枚の基板Sへのイオン注入処理を施す際のスループットを向上させることができる。
【0063】
また、イオン種が変更される等によりビーム幅Wが変化した場合であっても、変更後の1枚目の基板Sに対して再び第一ステップによるイオン注入を行い、その間に算出値C2を新たに得ることで、第二ステップにおいて新たな算出値C2に基づきイオン注入処理を施せばよい。すなわち、イオン種が変更される等により、ビーム幅Wが変化した場合であっても、別の手段によって事前に各イオン種毎のビーム幅を測定し、その値を用いる等の方法を採用することなく、ビーム幅Wに応じた搬送機構30の制御を行い、スループットを向上させることができる。
【0064】
<保持体20の第一変形例>
次に保持体20の第一変形例である保持体20Bについて説明する。
図6に示すように、第一変形例の保持体20Bは、基板Sを保持した状態で一方向D1について基板Sより前方に配置された第一被検知部21Bと、基板Sより後方に配置された第二被検知部22Bを備えている。
【0065】
第一被検知部21Bは、二つの第一被検知領域23B1、23B2を備え、二つの第一被検知領域23B1、23B2は、保持体20Bが基板Sを保持した状態について直交方向D2に離間した状態で設けられ、直交方向D2について基板Sの両端部に対応するよう位置付けられている。また、第二被検知部22Bは、二つの第二被検知領域24B1、24B2を備え、二つの第被検知領域24B1、24B2は、保持体20Bが基板Sを保持した状態について直交方向D2に離間した状態で設けられ、基板Sの直交方向D2の両端部に対応するよう位置付けられている。
尚、本第一変形例においては、
図6に示すように、第一被検知領域23B1と第二被検知領域24B1が直交方向D2について前方側に、他方の第一被検知領域23B2と第二被検知領域24B2が直交方向D2について後方側に設けられている。
【0066】
また、第一被検知領域23B1と第二被検知領域24B1は、保持体20Bが一方向D1移送される過程において、検知器40の複数のスリット41の内、二つのスリット41b、41bに至るイオンビームIBを遮蔽し得る位置に配置されている。同様に、第一被検知部21Bの被検知領域23B2と第二被検知部22Bの被検知領域24B2は、保持体20Bが一方向D1移送される過程において、検知器40の複数のスリット41の内、二つのスリット41c、41cに至るイオンビームIBを遮蔽し得る位置に配置されている。
【0067】
次に、第一変形例の保持体20Bを使用した場合におけるイオン注入装置10の動作、およびイオン注入方法について説明する。
ここでは、
図6に示すように、保持体20Bを使用する場合の例として、ビームIBの断面形状は、ビーム幅寸法Wb、ビーム長さ寸法Lbを有する矩形状であり、イオンビームIBは長手方向が直交方向D2からわずかに一方向D1側に傾いた形状であるとする。
【0068】
保持体20Bを使用する場合と保持体20を使用する場合との違いは、検知部40が第二ステップにおける検出部50が遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2を判断する方法にある。
保持体20Bを使用するイオン注入方法では、第一ステップにおいては、1枚目の基板Sを保持した保持体20Bを処理室13内に照射されているイオンビームIBを横切るように搬送機構30により一方向D1に移送させる。
また、第一ステップでは、検知ステップにおいて検知部50が第一被検知部21Bと第二被検知部22BのそれぞれがイオンビームIBに曝されているか否かの状態を検知した検知結果C1が取得される。その後、算出ステップにおいて検知結果C1からイオンビームIBのビーム幅Wbに応じた算出値C2が算出される。その後、2枚目以降にイオン注入処理が施される基板Sに対しては、算出値C2に基づき制御部60が搬送機構30の保持体20Bを移送する動作を制御し、2枚目以降の基板Sにイオン注入処理が施される。
【0069】
次に、検知部40が第二ステップ、すなわち注入ステップにおける遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2を検出部50が検出する方法について説明する。
保持体20Bを使用する場合、検出部50は、第一被検知部21Bの二つの第一被検知領域23B1、23B2がイオンビームIBを遮蔽し始めるタイミングに差異がある場合、第一被検知領域23B1、23B2のいずれか一方が先にイオンビームIBを遮蔽し始めたタイミングを取得して遮蔽開始位置Q1を算出する。また、第二被検知部22Bの二つの第二被検知領域24B1、24B2がイオンビームIBを遮蔽し終えるタイミングに差異がある場合、第二被検知領域23B1、23B2のいずれか一方が遅れてイオンビームIBを遮蔽し終えたタイミングを取得して遮蔽終了位置Q2を算出する。
【0070】
例えば、
図7(a)に示すように、基板Sを保持した保持体20Bは、初期位置P0から一方向D1に加速度aされ一定の速度Vに到達すると、まず、
図7(b)に示すように、被検知部21Bの二つの第一被検知領域23B1、23B2のうち、一方の第一被検知領域23B2がスリット41bに至るイオンビームIBを遮蔽し始める。このとき、イオンビームIBの断面形状は傾いているため、第一被検知領域23B1はイオンビームIBをまだ遮蔽していないが、検知部50は、第一被検知領域23B2がイオンビームIBを遮蔽し始めた時点を、第一検知体21BがイオンビームIBを遮蔽し始めたと判断し、このときの保持体20Bの位置を遮蔽開始位置Q1として取得する。
【0071】
その後、基板SがイオンビームIBに曝された後、第二被検知部22B2がイオンビームIBを遮蔽するが、
図7(c)に示すように、イオンビームIBの断面形状が傾いているため、二つの第二被検知領域24B1、24B2のうち、第二被検知領域24B1が遅れてイオンビームIBを遮蔽し終える。このとき、検知部50は、第二被検知部22BがイオンビームIBを遮蔽し終えたと判断し、このときの保持体20Bの位置を遮蔽終了位置Q2として取得する。
このようにして取得した遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2を検知結果C1として取得する。その後、
図7(d)に示すように、保持体20Bは、位置P3で停止する。
【0072】
すなわち、本第一変形例のイオンビームIBの形状では、第一ステップにおいて、検知部50は、第一被検知領域23B2がイオンビームIBを遮蔽し始めてから、第二被検知領域24B1がイオンビームIBを遮蔽し終えるまでを検知結果C1として取得する。その後、制御部60は、検知結果C1から2枚目以降の基板Sに対してイオン注入処理を施す場合の開始位置R0および終了位置R3を算出値C2として取得する。
2枚目以降の基板Sにイオン注入処理を施す第二ステップでは、算出値C2に基づいて搬送機構30を制御して駆動させることにより、2枚目以降の基板Sには1枚目の基板Sよりも短時間でイオン注入処理を施すことができる。
【0073】
このように、本第一変形例の保持体20Bにおいては、第一被検知部21Bおよび第二被検知部22Bが、それぞれ二つの第一被検知領域23B1、23B2および第二被検知領域24B1、24B2を備えている。したがって、イオンビームIBの断面形状が直交方向D2から傾いた形状であっても、二つの第一被検知領域23B1、23B2および二つの第二被検知領域24B1、24B2のそれぞれがイオンビームIBを遮蔽するか否かの状態を検知することにより、基板SにイオンビームIBが曝されるより前と後のタイミングを精度良く検知することができ、算出値C2を実際のビーム幅Wbに応じた適切な値とすることができる。
【0074】
<保持体20の第二変形例>
次に保持体20の第二変形例である保持体20Cについて説明する。
図8に示すように、第二変形例の保持体20Cは、基板Sを保持した状態で一方向D1について基板Sより前方に配置された第一被検知部21Cと、基板Sより後方に配置された第二被検知部22Cを備えている。
【0075】
第一被検知部21Cは、三つの第一被検知領域23C1、23C2、23C3を備え、三つの第一被検知領域23C1、23C2、23C3は、保持体20Cが基板Sを保持した状態について直交方向D2に離間した状態で設けられ、直交方向D2について基板Sの中央および両端部に対応するよう位置付けられている。また、第二被検知部22Cは、三つの第二被検知領域24C1、24C2、24C3を備え、三つの第被検知領域24C1、24C2、24C3は、保持体20Cが基板Sを保持した状態について直交方向D2に離間した状態で配置され、基板Sの直交方向D2の中央および両端部に対応するよう位置付けられている。
尚、本第二変形例においては、
図8に示すように、第一被検知領域23C1と第二被検知領域24C1が直交方向D2について前側端部に、第一被検知領域23C3と第二被検知領域24C3が直交方向D2について後側端部に設けられている。また、第一被検知領域23C2と第二被検知領域24C2が直交方向D2について基板Sの中央に対応する位置に設けられている。
【0076】
また、第一被検知領域23C1と第二被検知領域24C1は、保持体20Bが一方向D1移送される過程において、検知器40の複数のスリット41の内、一つのスリット41dに至るイオンビームIBを遮蔽し得る位置に配置されている。同様に、第一被検知部21Cの被検知領域23C2と第二被検知部22Cの被検知領域24C2は、保持体20Bが一方向D1移送される過程において、検知器40の複数のスリット41の内、一つのスリット41eに至るイオンビームIBを遮蔽し得る位置に配置されている。また、第一被検知部21Cの被検知領域23C3と第二被検知部22Cの被検知領域24C3は、保持体20Bが一方向D1移送される過程において、検知器40の複数のスリット41の内、一つのスリット41fに至るイオンビームIBを遮蔽し得る位置に配置されている。
【0077】
次に、第一変形例の保持体20Cを使用した場合におけるイオン注入装置10の動作、およびイオン注入方法について説明する。ここでは、
図8に示すように、保持体20Cを使用する場合の例として、ビームIBの断面形状は、ビーム幅寸法Wc、ビーム長さ寸法Lcを有し、一方向D1側に湾曲した円弧形状であるとする。
【0078】
保持体20Cを使用する場合と保持体20を使用する場合との違いは、検知部40が第一ステップにおける制御部60が遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2を判断する方法にある。
第一ステップにおいては、1枚目の基板Sを保持した保持体20Cを処理室13内に照射されているイオンビームIBを横切るように搬送機構30により一方向D1に移送させる。また、第一ステップでは、取得ステップにおいて検知部50が第一被検知部21Cと第二被検知部22CのそれぞれがイオンビームIBに曝されているか否かの状態を検知した検知結果C1が取得される。その後、制御部60で算出ステップにおいて検知結果C1からイオンビームIBのビーム幅Wcに応じた算出値C2が算出される。
その後、第二ステップにおいて、2枚目以降にイオン注入処理が施される基板Sに対しては、算出値C2に基づき制御部60が搬送機構30の保持体20Cを移送する動作を制御し、2枚目以降の基板Sにイオン注入処理が施される。
【0079】
次に、検知部40が第一ステップの検知ステップにおける検出部50が遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2を判断する方法について説明する。
保持体20Bを使用する場合、検出部50は、第一被検知部21Cの三つの第一被検知領域23C1、23C2、23C3がイオンビームIBを遮蔽し始めるタイミングに差異がある場合、第一被検知領域23C1、23C2、23C3のいずれかが最初にイオンビームIBを遮蔽し始めたタイミングを取得して遮蔽開始位置Q1を算出する。また、第二被検知部22Cの三つの第二被検知領域24C1、24C2、24C3がイオンビームIBを遮蔽し終えるタイミングに差異がある場合、第二被検知領域24C1、24CB2、24C3のいずれかが最後にイオンビームIBを遮蔽し終えたタイミングを取得して遮蔽終了位置Q2を算出する。
【0080】
例えば、
図9(a)に示すように、基板Sを保持した保持体20Cを初期位置P0から加速度aで移送し、一方向D1に移動させ速度Vに到達すると、まず、被検知部21Cの三つの第一被検知領域23C1、23C2、23C3のうち、二つの第一被検知領域23C1、23C3がスリット41eに至るイオンビームIBを遮蔽し始める。このとき、イオンビームIBの断面形状は湾曲しているため、第一被検知領域23C2はイオンビームIBをまだ遮蔽していないが、検知部50は、被検知領域23C1、23C3がイオンビームIBを遮蔽し始めた時点を、第一検知体21CがイオンビームIBを遮蔽し始めたと判断し、このときの保持体20Bの位置を遮蔽開始位置Q1として取得する。
【0081】
その後、基板SがイオンビームIBに曝された後、
図9(c)に示すように、第二検知対象部22C2がイオンビームIBを遮蔽するが、イオンビームIBの断面形状が湾曲しているため、二つの第二被検知領域24C1、24C2、24C3のうち、第二被検知領域24C2が遅れてイオンビームIBを遮蔽し終える。このとき、検知部50は、第二被検知部22CがイオンビームIBを遮蔽し終えたと判断し、このときの保持体20Cの位置を遮蔽終了位置Q2として取得する。このように検出部50は、遮蔽開始位置Q1と遮蔽終了位置Q2を検知結果C1として取得する。
【0082】
すなわち、本第二変形例のイオンビームIBの形状では、第一ステップにおいて、検知部50は、第一被検知領域23C1、23C3がイオンビームIBを遮蔽し始めてから、第二被検知領域24C2がイオンビームIBを遮蔽し終えるまでを検知結果C1として取得する。
その後、制御部60は、検知結果C1から2枚目以降の基板Sに対してイオン注入処理を施す場合の開始位置R0および終了位置R3を算出値C2として取得する。第二ステップにおいては、2枚目以降の基板Sに対しては、算出値C2に基づいて搬送機構30を制御して駆動させることにより、1枚目の基板Sよりも短時間でイオン注入処理を施すことができる。
【0083】
このように、本第二変形例の保持体20Cにおいては、第一被検知部21Cおよび第二被検知部22Cが、それぞれ三つの第一被検知領域23C1、23C2、23C3および三つの第二被検知領域24C1、24C2、24C3を備えている。したがって、イオンビームIBの断面形状が湾曲した円弧形状であっても、三つの第一被検知領域23C1、23C2、23C3、および三つの第二被検知領域24C1、24C2、24C3のそれぞれがイオンビームIBを遮蔽するか否かの状態を検知することにより、基板SにイオンビームIBが曝されるより前と後のタイミングを精度良く検知することができ、算出値C2を実際のビーム幅Wcに応じた適切な値とすることができる。
【0084】
保持体20の第一変形例および第二変形例から明らかなように、保持体20の第一被検知部21および第二被検知部22が複数の被検知領域を備えることにより、イオン種の変更等によりイオンビームIBの断面形状が変化した場合であっても、ビーム幅Wに応じて算出値C2を精度良く算出することができる。
特に、第一被検知部21および第二被検知部22が3以上の被検知領域を備える場合には、イオンビームIBの形状が円弧上等の湾曲した形状であってもビーム幅Wに応じて算出値C2を精度良く算出することができる。
【0085】
本実施の形態においては、注入ステップは、2枚目以降の基板Sに対して、算出値C2に基づき制御部60が搬送機構30の保持体20Cを移送する動作が制御される第二ステップであるものとして説明したが、これに限られるものではない。例えば、基板Sに複数回イオンビームIBが照射される場合、すなわち、基板SがイオンビームIBを複数回横切るように往復搬送されてイオン注入が行われる場合、1枚目の基板SがイオンビームIBを1回目に横切る過程で算出値C1が算出され、1枚目の基板SがイオンビームIBを2回目以降に横切る過程では、算出値C1に基づいて移送される方法であってもよい。このような方法であっても、注入ステップにおける基板Sを保持した保持体20、20B、20Cは第二ステップと同一の動作により基板SにイオンビームIBが照射され、イオン注入が施される。
【0086】
また、あるイオン種について取得した検知結果C1または算出値C2を再度利用する構成および方法であってもよい。すなわち、イオン注入装置10を複数のイオン種を切り換えて使用する場合において、あるイオン種のイオンビームIBについて検知結果C1または算出値C2を保存しておき、再び当該イオン種を使用してイオン注入を行う際には、保存した検知結果C1または算出値C2を使用して搬送機構30を制御する構成および方法であってもよい。
【0087】
本発明は、検知結果C1を取得した以降にイオン注入処理が施される基板Sに対し、注入ステップにおいて、移送機構30が基板Sを一方向D1へ移送させる動作をイオンビームのビーム幅Wに応じた算出値C2に基づいて制御できることから、基板Sへのイオン注入処理に実質的に寄与しない時間を削減し、イオン注入処理におけるスループットを向上させることができるものである。
【0088】
ここで、注入ステップにおける、検知結果C1を取得した以降にイオン注入処理が施される基板Sとは、本実施形態のような2枚目の基板Sに限らない。すなわち、1枚の基板Sを複数回往復搬送させる場合には、1回目の搬送時に検知結果C1を取得して算出値C2を算出し、2回目以降の搬送が算出値C2に基づいて行われるものであってもよい。
【0089】
また、注入ステップにおける、検知結果C1を取得した以降にイオン注入処理が施される基板Sとは、連続してイオン注入処理が施される複数枚の基板Sを指すものに限らない。すなわち、第一ステップにおいて検知結果C1を取得して算出値C2を一度保存しておき、イオン種が何度か切り替えられ、再び当該イオン種を使用する場合には、第二ステップとして保存した検知結果C1または算出値C2を再び使用することにより基板Sにイオン注入が施されるものであってもよい。
【0090】
<その他の変形例>
保持体20Aの変形例は第一変形例および第二変形例に示す保持体20B、20Cの形態に限らない。
例えば、
図10(a)では、第三変形例である保持体20Dを示しており、保持体20Dの第一被検知部21Dおよび第二被検知部22Dはいずれも保持体の一方向D1の前後の側縁部のほぼ全域を覆う一つの部材でそれぞれ形成されている。したがって、第一被検知部21Dおよび第二被検知部22Dは、それぞれ検知器40に至るイオンビームIBを全域に亘って遮蔽し得るものであるが、検知部50は、第一被検知部21Dおよび第二被検知部22Dによって遮蔽されうるイオンビームIBのうち、三つのスリット41g、41g、41gを通過するイオンビームIBが遮蔽されたか否かを検出している。
【0091】
また、
図10(b)では、第四変形例である保持体20Eを示しており、第一被検知部21Eは二つの被検知領域を備え、第二被検知部22Eは一つの被検知領域を備えている。このように、第一被検知部21Eと第二被検知部22Eとが備える検知領域の数は異なっても良い。
【0092】
また、
図10(c)では、第五変形例である保持体20Fを示しており、第一被検知部21Fおよび第二被検知部22Fはともに、保持体20Fの構成部材70(シャフトやクランプ等)のカバー部材としても機能する。このように、第一被検知部21F、または、第二被検知部22Fは他の機能を兼ねる部材により構成することも可能である。
【0093】
また、保持体20の第一被検知部21および第二被検知部22は、保持体と一体でなくてもよい。例えば、
図11に示すように、第一被検知部22Gおよび第二被検知部21Gは、搬送路31上に保持体20とは別に配置されており、搬送機構30によって保持体20と連動し、一方向Dに保持体20との位置関係を保ったまま移送機構30により動作するよう構成されている。
【0094】
また、本実施の形態におけるイオン注入装置10およびイオン注入装置10を使用したイオン注入方法においては、検知部40は、保持体20の第一被検知部21および第二被検知部22は、検知器40に到達するイオンビームIBを遮蔽することで、それぞれイオンビームIBに曝されているか否かが判断される構成であるが、検知部40は、第一被検知部21が基板Sよりも先にイオンビームIBに曝され、第二被検知部22が基板Sよりも後にイオンビームIBに曝されることが検知できるものであればどのような構成または方法であっても構わない。
【0095】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0096】
S 基板
C1 検知結果
C2 算出値
IB イオンビーム
D1 一方向
D2 直交方向
10 イオン注入装置
20 保持体
21 第一被検知部
22 第二被検知部
30 移送機構
31 搬送路
40 検出器
50 検知部
60 制御部