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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】めっき方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/18 20060101AFI20220526BHJP
   C25D 5/02 20060101ALI20220526BHJP
   C25D 5/34 20060101ALI20220526BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
C23C18/18
C25D5/02 A
C25D5/34
C23C18/31 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021114840
(22)【出願日】2021-07-12
【審査請求日】2021-07-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591108178
【氏名又は名称】秋田県
(73)【特許権者】
【識別番号】311009376
【氏名又は名称】株式会社アスター
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淑男
(72)【発明者】
【氏名】本郷 武延
【審査官】萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/087926(WO,A1)
【文献】特開昭51-068442(JP,A)
【文献】特開昭63-026375(JP,A)
【文献】特開2005-154844(JP,A)
【文献】特開昭50-016621(JP,A)
【文献】特開昭51-039535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 18/00-20/08
C25D 5/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、
前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺して前記第1金属表面の電位を、所定の電位範囲に設定するステップと、
前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位を前記めっき液に浸漬して、前記第1金属より貴な被膜用金属によって該めっき対象部位を被膜するステップと、を有し、
前記所定の電位範囲は、前記第1金属がイオン化されて前記第1金属表面が前記被膜用金属に置換される電位範囲である、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項2】
第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、
前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺するステップと、
前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位前記めっき液に浸漬し、該めっき対象部位に、少なくとも置換めっき膜を形成するステップと、を有し、
前記置換めっき膜は、前記第1金属がイオン化されて前記第1金属表面が該第1金属より貴な被膜用金属に置換されためっき膜である、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項3】
第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、
前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺して前記第1金属表面の電位を、所定の電位範囲に設定するステップと、
前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位を前記めっき液に浸漬して、前記第1金属より貴な被膜用金属によって該めっき対象部位を被膜するステップと、を有し、
前記所定の電位範囲は、電位-pH図における前記第1金属の腐食域と、前記被膜用金属の不感域とが重なる領域の電位範囲である、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項4】
第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、
前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺するステップと、
前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位を前記めっき液に浸漬して、前記第1金属より貴な被膜用金属によって該めっき対象部位を被膜するステップと、を有し、
前記第1金属が相対的に卑な金属であり、
前記第2金属が相対的に貴な金属であり、
前記接触電位差をΔV、前記第1金属の仕事関数をWF1、前記第2金属の仕事関数をWF2、電気素量をeとしたとき、該接触電位差は以下の式(1)
ΔV = -(WF1 - WF2)/e ・・・(1)
を満たし、
前記第1金属がイオン化されて前記第1金属表面が前記被膜用金属に置換される電位範囲(以下、「置換可能電位範囲」という。)をVR、前記第1金属の平衡電極電位(活量は1E-6)をV1、前記被膜用金属の平衡電極電位(活量は1)をV2としたとき、該置換可能電位範囲は以下の式(2)
V2 ≧ VR ≧ V1 ・・・(2)
を満たし、
前記電圧をCPとしたとき、該電圧は以下の式(3)
V2 - ΔV ≧ CP ≧ V1 - ΔV ・・・(3)
を満たす、
ことを特徴とするめっき方法。
【請求項5】
前記めっき対象部位の実質全体を前記めっき液に浸漬するまで前記電圧の印加を継続する、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のめっき方法。
【請求項6】
前記第2金属は、前記第1金属より貴な金属である、
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のめっき方法。
【請求項7】
前記第2金属前記被膜用金属は同種の金属である、
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のめっき方法。
【請求項8】
前記被膜用金属によるめっき膜の膜厚は、3μm以下である、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のめっき方法。
【請求項9】
前記第1金属は亜鉛を主成分とする金属であり、前記第2金属は銅を主成分とする金属である、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のめっき方法。
【請求項10】
前記被めっき体は異種金属接合体である、
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面のめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属表面に金属膜を形成する手段の一つとして、(湿式)めっき処理による成膜が多用されている。湿式めっき処理においては、外部直流電源を用いて水溶液中の金属イオンのカソード還元により金属膜を形成する方法として、電気めっき法が知られている。一方、外部直流電源を用いず基材上に金属膜を形成する方法として無電解めっき法があり、置換型と自己触媒型が知られている。置換型無電解めっき法は、基材表面の金属の溶出に伴い生成される電子によって水溶液中の金属イオンを還元し、基材表面に析出させることで金属膜を形成する方法である。また、自己触媒型無電解めっき法は、水溶液中に添加した還元剤が基材表面で酸化され、その際に放出される電子によって水溶液中の金属イオンを還元し、基材表面に析出させることで金属膜を形成する方法である。
【0003】
めっき処理によって形成される金属膜の用途も様々であるが、防食・防錆の用途もその一つであり、例えば、異種金属の接触に伴う隙間腐食を防止するために、電気めっき法により異種金属の接触部位に金属合金を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-46619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電気めっき法による成膜は、そもそも薄く(例えば3μm以下など)形成することが困難であり、また一般的にピンホールが多くなる問題がある。ピンホールは、膜厚を厚くすることで埋めることは可能であるが、例えば、金属膜(めっき膜)の上にさらに別の膜(金属の膜、樹脂製の膜)などを積層したい場合や、部品の一部のみにめっき膜を形成したい場合などには、ピンホールの埋没のみを目的としてめっき膜を必要以上に厚くすることは望ましくない。
【0006】
また、無電解めっき法は、電気めっき法と比較して膜厚を薄くすることは可能である。ところが、異種金属が接触している被めっき体に従来既知の無電解めっき法でめっきを行うと、形成されるめっき膜の変色や、酸化(やけ)などが生じやすく、良質な(酸化物でない)被膜用金属の析出が困難であった。例えば、めっき膜を下地として、別の膜を積層する場合において、めっき膜が変色するなど良質に形成されていないと被着性が劣化する恐れがあり、良質な被着用金属の析出によるめっき膜の形成が望まれていた。
【0007】
このように、従来の技術では、これらの要望を満たす良好なめっき膜を形成することは大変困難あるいはほぼ不可能であった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、膜厚が極薄く、均一であり、ピンホールや変色の発生を大幅に抑制した良質なめっき膜を形成可能なめっき方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺して前記第1金属表面の電位を、所定の電位範囲に設定するステップと、前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位を前記めっき液に浸漬して、前記第1金属より貴な被膜用金属によって該めっき対象部位を被膜するステップと、を有し、前記所定の電位範囲は、前記第1金属がイオン化されて前記第1金属表面が前記被膜用金属に置換される電位範囲である、ことを特徴とするめっき方法に係るものである。
また、本発明は、第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺するステップと、前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位を前記めっき液に浸漬し、少なくとも該めっき対象部位に置換めっき膜を形成するステップと、を有し、前記置換めっき膜は、前記第1金属がイオン化されて前記第1金属表面が該第1金属より貴な被膜用金属に置換されためっき膜である、ことを特徴とするめっき方法に係るものである。
また、本発明は、第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺して前記第1金属表面の電位を、所定の電位範囲に設定するステップと、前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位を前記めっき液に浸漬して、前記第1金属より貴な被膜用金属によって該めっき対象部位を被膜するステップと、を有し、前記所定の電位範囲は、前記被めっき体における前記第1金属表面の電位が、電位-pH図における前記第1金属の腐食域と、前記被膜用金属の不感域とが重なる領域の電位範囲である、ことを特徴とするめっき方法に係るものである。
また、本発明は、第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)とがいずれも露出するとともに電気的に導通している被めっき体を準備するステップと、前記被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、前記第2金属を介して前記第1金属に電圧を印加することで、前記第1金属と前記第2金属の間の接触電位差による前記第1金属表面における電位発生分の少なくとも一部を相殺するステップと、前記電圧を印加した状態で前記第1金属表面の少なくともめっき対象部位を前記めっき液に浸漬して、前記第1金属より貴な被膜用金属によって該めっき対象部位を被膜するステップと、を有し、前記第1金属が相対的に卑な金属であり、前記第2金属が相対的に貴な金属であり、前記接触電位差をΔV、前記第1金属の仕事関数をWF1、前記第2金属の仕事関数をWF2、電気素量をeとしたとき、該接触電位差は以下の式(1)「ΔV = -(WF1 - WF2)/e ・・・(1)」を満たし、前記第1金属がイオン化されて前記第1金属表面が前記被膜用金属に置換される電位範囲(以下、「置換可能電位範囲」という。)をVR、前記第1金属の平衡電極電位(活量は1E-6)をV1、前記被膜用金属の平衡電極電位(活量は1)をV2としたとき、該置換可能電位範囲は以下の式(2)「V2 ≧ VR ≧ V1 ・・・(2)」を満たし、前記電圧をCPとしたとき、該電圧は以下の式(3)「V2 - ΔV ≧ CP ≧ V1 - ΔV ・・・(3)」を満たす、ことを特徴とするめっき方法に係るものである。


【発明の効果】
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑み、膜厚が極薄く、均一であり、ピンホールや変色の発生を抑制した良質なめっき膜を形成可能なめっき方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態のめっき方法の処理の流れの一例を示すフロー図である。
図2】本実施形態の被めっき体の一例について示す(A)外観図、(B)外観図、(C)~(G)が断面の概要図である。
図3】本実施形態のめっき方法の一例を時系列に示す概略図である。
図4】異種金属接合の接触電位差を説明する概念図である。
図5】亜鉛と銅の反応の関係を示す状態図である。
図6】異種金属接合の接触電位差を説明する概念図である。
図7】従来のめっき方法によるめっきの状態と本実施形態のめっき方法によるめっきの状態を比較する図である。
図8】従来のめっき方法によるめっきの状態と本実施形態のめっき方法によるめっきの状態を比較する図である。
図9】本実施形態の電流経路を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明において同一の符号を付した部分は同一構成を表わす。
【0013】
図1は、本実施形態のめっき方法の処理の流れの一例について示すフロー図である。また、図2は、本実施形態の被めっき体10の一例について示す概略図であり、同図(A)、同図(B)が被めっき体10の概略を示す外観図であり、同図(C)~同図(G)が被めっき体10の断面の概要図である。また、図3が本実施形態のめっき方法の一例を時系列に示す概略図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚み等を適宜誇張して表現する。
【0014】
図1を参照して、本実施形態のめっき方法は、第1金属よりなる表面(以下、「第1金属表面」という。)と第2金属よりなる表面(以下、「第2金属表面」という。)が電気的に導通(連続)している被めっき体を準備するステップ(ステップS01)と、被めっき体をめっき液に浸漬する以前に、被めっき体に電圧を印加するステップ(ステップS05)と、第1金属表面の少なくともめっき対象部位をめっき液に浸漬して、第1金属より貴な被膜用金属によって該めっき対象部位を被膜するステップ(ステップS07)と、を有する。
【0015】
図2を参照して、本実施形態の被めっき体10について説明する。図2は被めっき体10を示す概略図であり、同図(A)はめっき処理前の被めっき体10の外観図、同図(B)はめっき処理後の被めっき体10の外観図である。同図(C)は、同図(B)のX-X線断面図であり、同図(D)~同図(G)はめっき処理前の被めっき体10の同図(C)に相当する断面図である。
【0016】
本実施形態のめっき方法では、同図(A)に示すような被めっき体10のめっき対象部位16にめっき処理を施し、同図(B)、同図(C)に示すようにめっき対象部位16を被膜用金属による薄膜(めっき膜)13で覆う。
【0017】
図2(A)を参照して、本実施形態の被めっき体10は、第1金属表面11と第2金属表面12が電気的に導通(連続)している構造体である。同図(C)、同図(G)に示すように、第1金属表面11は、母材としての第1金属材料11Mの表面であってもよいし、同図(D)~同図(F)に示すように、任意の母材(構造体)BD、BD1を覆って設けられる第1金属材料11Mの表面であってもよい。同様に、第2金属表面12は、同図(C)、同図(F)、同図(G)に示すように、母材としての第2金属材料12Mの表面であってもよいし、同図(D)、同図(E)に示すように、任意の母材(構造体)BD、BD2を覆って設けられる第2金属材料12Mの表面であってもよい。
【0018】
任意の母材BD、BD1,BD2は、非導電性材料であってもよいし、導電性材料であってもよい。また、同図(D)に示すように第1金属材料11Mと第2金属材料12Mとが一つの任意の母材BDを覆って設けられる構成の場合、任意の母材BDは単一の材料で構成されてもよいし、複数の材料の接合や接着、積層などにより構成されてもよい(複合材料であってもよい)。また、被めっき体10は例えば、同図(E)に示すように、第1金属材料11Mで覆われた任意の母材(第1の母材BD1)と、第2金属材料12Mで覆われた別の任意の母材(第2の母材BD2)とが(例えば接合などにより)連続して設けられたものであってもよいし、同図(F)に示すように、第1金属材料11Mで覆われた任意の母材(第1の母材BD1)と、第2金属材料12M(第2の母材BD2)とが(例えば接合などにより)連続して設けられたものであってもよいし、第1の母材BD1と第2の母材BD2がこれらの逆の構成であってもよい。
【0019】
また、「第1金属表面11と第2金属表面12が電気的に導通(連続)している」とは、第1金属表面11と第2金属表面12とが例えば接合など(原子的な接合、溶融などによる接合など)によって直接的且つ電気的に導通(連続)している構成、第1金属表面11と第2金属表面12とが直接的に接触することにより電気的に導通(連続)している構成、あるいは、第1金属表面11と第2金属表面12とが他の金属などの導電部材を介して連続することにより電気的に導通(連続)している構成、などのいずれであってもよく、この例に限らず、第1金属表面11と第2金属表面12の間に通電可能な構成であればよい。つまり、同図(G)に示すように、第1金属表面11(第1金属材料11M)と第2金属表面12(第2金属材料12M)とが他の金属材料mを介して電気的に導通(連続)している構成であってもよい。
【0020】
また、この例では被めっき体10が一の方向に長い(図2では図示左右方向に長い)帯状の構造体である場合について説明するが、被めっき体10の形状はこの例に限らない。後に詳述するが、被めっき体10は、その少なくとも一部(めっき対象部位16)をめっき液に浸漬する。つまり被めっき体10は、一部を治具などで保持して少なくともめっき対象部位16をめっき液に浸漬可能な形状であれば図示の例に限らない。
【0021】
また、ここでは一例として図2(B)、同図(C)に示すように、めっき対象部位16が被めっき体10の一部、具体的には、第1金属表面11(の実質全体)であるとする。つまり、第1金属材料11Mの外表の実質全体がめっき膜13で覆われる。しかしながらこの例に限らず、めっき対象部位16は、第1金属表面11の一部であってもよいし、第1金属表面11の全体と第2金属表面12の一部に連続する部位であってもよい。
【0022】
第1金属と第2金属は、イオン化傾向が異なる金属であり、具体的に、第2金属は、第1金属に対して相対的に貴な(イオン化傾向が小さい)金属である。ここでは一例として、第1金属は亜鉛(Zn)を主成分とする金属であり、第2金属は銅(Cu)を主成分とする金属である。
【0023】
ここで、「亜鉛を主成分とする金属」とは、純亜鉛または亜鉛合金を全体の50%以上含有する金属をいい、純亜鉛または亜鉛合金とは異なる他の成分を含む場合、他の成分の種類や数は任意である。また、純亜鉛または亜鉛合金の含有率が100%(または略100%)の金属であってもよい。以下、本明細書では、第1金属について単に「亜鉛(Zn)」と称する場合があるが、これは「亜鉛を主成分とする金属」の意味である。
【0024】
また「銅を主成分とする金属」とは、純銅または銅合金を全体の50%以上含有する金属をいい、純銅または銅合金とは異なる他の成分を含む場合、他の成分の種類や数は任意である。また、純銅または銅合金の含有率が100%(または略100%)の金属であってもよい。以下、本明細書では、第2金属について単に「銅(Cu)」と称する場合があるが、これは「銅を主成分とする金属」の意味である。
【0025】
また、一例として、第2金属と被膜用金属は同種の金属である。すなわち本実施形態のめっき方法では一例として、イオン化傾向が異なる第1金属表面11と第2金属表面12とが電気的に連続する被めっき体10において、相対的に卑な(イオン化傾向が大きい)第1金属表面11を、相対的に貴な被膜用金属で置換し、第1金属材料11を被膜用金属で覆う方法であるともいえ、好適には、第1金属材料11Mを第2金属表面12と同種の被膜用金属で覆う方法である。
【0026】
このように本実施形態では、例えば第1金属表面11の第1金属と被膜用金属の置換反応(酸化還元反応)が進行する。すなわち、第1金属表面11や第2金属表面12の「表面」とは、外部に露出している部位、特に第1金属表面11の場合は被膜用金属の金属イオンとの置換反応が進行可能な部位を意味し、「第1金属表面11(第2金属表面12)の一部」とは、厚み方向ではなく(目視可能な)面方向の一部を意味する。
【0027】
以下、図1図3を参照して本実施形態のめっき方法の各ステップについて詳細に説明する。まず、上述した被めっき体10を準備する(図1のステップS01、図2(A)、図3(A))。また、対極15を準備する。対極15は、ここでは一例として被膜用金属と同種の金属の電極であり、具体的には銅(Cu)の(銅を主成分とする)電極であり、所定のめっき液14に浸漬する。また対極15に所定の電圧を印加する(電源Eの一方の極(例えば、正極)に接続する)。めっき液14は、一例として被膜用金属の金属イオン(Cu2+)を含む溶液である。具体的には例えば、硫酸銅(CuSO)と硫酸(HSO)を含む強酸(例えば、pH=0.5程度)の溶液である(図3(B))。
【0028】
次に、被めっき体10をめっき液14に浸漬する以前に(めっき液14に浸漬しない状態で)、当該被めっき体10に所定の電圧を印加する(図1のステップS05、図3(C))。
【0029】
この電圧の印加により、被めっき体10には所定量の電荷が付与される。図3(A)を参照して、被めっき体10は第1金属表面11と第2金属表面12とが電気的に導通(連続)しており、両者の間には接触電位差ΔVが生じ、一方が他方に対して正又は負に帯電している状態となる。以下、一例として第2金属表面12(銅)の電位(アース基準の電位、以下同様)を基準に具体的に説明すると、被めっき体10のめっき対象部位16である第1金属表面11は接触電位差ΔVによって、第2金属表面12に対して正に帯電(電位は+V)している状態となる。
【0030】
本ステップでは、所定の電圧の印加によって、予め、第2金属表面12を基準とした第1金属表面11の接触電位差ΔVによる第1金属表面11における電位発生分の少なくとも一部を相殺する。換言すると、この電圧は、被めっき体10、より詳細には第1金属表面11の電位を、ある範囲内に設定可能な電圧である。印加される電圧およびそれにより設定される第1金属表面11の電位については後に詳述するが、具体的には、図3(C)に示すように、被めっき体10を電源Eの他方の極(例えば負極)に接続(負電圧を印加)する。
【0031】
その後、同図(D)に示すように、被めっき体10に負電圧を印加した状態で、めっき対象部位16(ここでは、第1金属表面11の全体)をめっき液14に浸漬する(図1のステップS07、図3(D))。これにより、第1金属表面11(亜鉛)がめっき液14中の銅イオン(Cu2+)で置換され、めっき対象部位16の表面に銅が還元析出される。ここでは一例として、めっき対象部位16の実質全体をめっき液14に浸漬するまで被めっき体10に対して負電圧の印加を継続する。これにより、第1金属表面11の全体が被膜用金属(銅)で置換され、めっき対象部位16がめっき膜13により被覆される。
【0032】
このように本実施形態では、予め、第2金属表面12を基準とした第1金属表面11の接触電位差ΔVによる第1金属表面11における電位発生分の少なくとも一部を相殺するように被めっき体10に電圧を印加した後にめっき液14に被めっき体10を浸漬することで、酸化還元反応(置換めっき)によりめっき膜13を形成できる。当該めっき膜13は、従来の電気めっき法によって形成されるめっき膜と比較して大幅に膜厚を薄くできるとともにピンホールの発生も抑制できる。
【0033】
なお、めっき対象部位16の第1金属表面11(亜鉛)が(全て)被膜用金属(銅)に置換された後にも被めっき体10への電圧の印加を継続した場合には、連続して(自動的に)電気めっきに移行する。したがって、第1金属表面11の実質全体がめっき液14に浸漬するまでは、被めっき体10への電圧の印加を継続し、第1金属表面11の実質全体が被膜用金属に置換した後は電気めっき法によりめっき膜13として所望の膜厚に形成し、めっき処理を終了する(図3(E))。
【0034】
下層に置換めっきによる良質なめっき膜13が形成してあるため、連続する電気めっき法によるめっき膜13は任意の厚みに形成できる。従って、本実施形態のめっき膜13の膜厚は、例えば3μm以下、詳細には、100nm~3μm程度、好適には、300nm~2μm程度、より好適には500nm~1.5μm程度に形成できる。また、めっき膜13の最下層は置換めっきによる膜であるので、例えば、総膜厚が500nm程度であっても、ピンホールの発生を抑制できる。
【0035】
<置換可能電位範囲と印加電圧>
本実施形態のめっき方法は、異なる金属が電気的に導通(連続)する被めっき体10において、予め被めっき体10に所定量の電圧を印加し(電荷を付与し)、接触電位差ΔVによる金属表面における電位発生分を相殺したのちにめっき液14に浸漬し、置換めっきを行う方法である。
【0036】
被めっき体10に印加する電圧は、第1金属表面11、第2金属表面12、被膜用金属、めっき液14および対極15の材料や組成に基づき決定される、ある範囲の電圧である。
【0037】
本願出願人は、第1金属が亜鉛(Zn)で第2金属が銅(Cu)の被めっき体10において、第1金属表面11(亜鉛側)に被膜用金属として銅(Cu)をめっきする場合について検討した。特に、めっき膜13としては、その上に他の金属や樹脂などの被膜を行う場合などを考慮し、膜厚は薄く均一であるとともに、ピンホールの発生も抑制した、良質な金属としての銅(金属銅、Cu)を成膜することを目的とした。
【0038】
銅(金属銅)の被膜に際し、まず従来既知の置換型の無電解めっき法によりめっきを行ったところ、置換は進むものの形成されるめっき膜が変色する(酸化銅などが析出する)などし、金属としての銅の析出は困難であった。
【0039】
そして、めっき液の組成やpHなど様々な条件下で評価した結果、めっき液の組成、および亜鉛と銅の間で生じる接触電位差ΔVが銅と亜鉛の酸化還元反応に影響を及ぼし、めっき膜の変色(酸化銅などの析出)を引き起こしているものと考えた。
【0040】
図4を参照して、同図(A)は、銅と亜鉛の仕事関数(真空準位V.L.とフェルミ準位F.L.とのエネルギー差)を示す概要図であり、同図(B)は、銅と亜鉛を電気的に導通(連続)させた構造体(例えば、銅の表面と亜鉛の表面を直接的に接触させた構造体(以下、銅-亜鉛接触体)、本実施形態の被めっき体10に対応)に生じる接触電位差ΔVを示す概要図である。
【0041】
同図(A)に示すように銅(Cu)の仕事関数は4.7eV、亜鉛(Zn)の仕事関数は3.6eVである。また両者の仕事関数差により、同図(B)に示すように銅-亜鉛接触体(被めっき体10)は、例えば銅側を基準にすると、亜鉛側は正電荷で帯電(+1.1V=-(3.6eV-4.7eV)/e、ここでeは電気素量)していることになる。
【0042】
図5は、亜鉛(めっき液14に浸漬されて置換される第1金属表面)と、銅(めっき液14、めっき液14に含まれる被膜用金属)との間の反応(例えば、酸化還元反応)の関係を示す図である。同図右に示す図(グラフ)は、本願出願人が計算で求めた、水溶液系(Zn-HO系およびCu-HO系)における銅と亜鉛の反応(例えば、酸化還元反応)を総括的に示す状態図であり、溶存する亜鉛イオンの活量を10-6とした場合のZn-HO系の電位-pH図と、溶存する銅イオンの活量を1としたCu-HO系の電位-pH図とを、重ねて描画した電位-pH図(ここでは「電位-pH図(合成)」と称する)である。この場合、縦軸は、水溶液の平衡電極電位を標準水素電極基準(vs.NHE(vs.SHE))で示している。また、横軸は、めっき液14のpHである。
【0043】
電位-pH図(合成)の平衡電極電位は、以下の(式A)に示す、平衡電極電位に関するネルンストの式を用い、亜鉛イオンと銅イオンの活量に基づき算出した。ここで、亜鉛は、固体の被めっき体10から水溶液中に溶け出す成分であり、本来は水溶液中に存在しておらず、極微量との意味で、溶存する亜鉛イオンの活量を10-6とした。一方、銅は、水溶液中のイオンから被めっき体10に析出する成分であり、本来、水溶液中に多量存在することから、溶存する銅イオンの活量を1とした。
【数1】
【0044】
同図において、境界線aは、下記の亜鉛の半電池反応(式B)の溶存する亜鉛イオンの活量を10-6とした時の平衡電極電位(酸化還元電位)を示し、その値は-0.94(V)である。
【0045】
Zn2+ + 2e = Zn (式B)
【0046】
また、境界線bは、下記の銅の半電池反応(式C)の平衡電極電位(酸化還元電位)を示し、溶存する銅イオンの活量を1とした時の値は+0.34(V)である。
【0047】
Cu2+ + 2e = Cu (式C)
【0048】
この電位-pH図(合成)において、亜鉛の腐食域と、銅(被膜用金属)の不感域(不変態域、不活性態域、安定域)とが重なる領域(色付きの領域)が、亜鉛がイオン化されて銅が析出する領域、すなわち、銅-亜鉛接触体の亜鉛表面(被めっき体10の第1金属表面11が銅(被膜用金属)に置換される領域であり、以下、この領域を「置換可能領域SR」という。
【0049】
すなわち、銅-亜鉛接触体(置換される亜鉛側)の表面(第1金属表面11)の電位、およびめっき液14のpHが、置換可能領域SRに含まれる条件を満たせば、亜鉛が溶出し銅が析出可能となる。置換可能領域SRの電位範囲(第1金属表面11が被膜用金属に置換される電位;以下、「置換可能電位範囲VR」という。)は、めっき液14のpHによりその範囲が異なり、図5の例では、最大(pH<3程度の強酸の場合)で+0.34≧VR≧-0.94、最小(pH=8.1程度の弱アルカリの場合)で-0.047≧VR≧-0.94である。本実施形態では一例として、めっき液14に強酸(pH<3程度)を採用し、置換可能電位範囲VRは+0.34≧VR≧-0.94である場合について説明する。
【0050】
ところで、銅-亜鉛接触体(被めっき体10)の亜鉛側(第1金属表面11)は、図4および図5の左図に示すように、銅側(第2金属表面12)に対して正電荷で帯電(+1.1V=-(3.6eV-4.7eV)/e、ここでeは電気素量)した状態であり、電位-pH図(合成)における置換可能領域SRの電位の範囲(置換可能電位範囲VR)の上限から大きく外れている(上回っている)。
【0051】
そこで本願出願人は、めっき液14に浸漬する以前(置換反応が開始する前)に、第1金属表面11の電位を、置換を実現するための電位範囲、すなわち置換可能電位範囲VRに強制的に設定することで、亜鉛と銅の置換反応が良好に進行すると考えた。
【0052】
つまり、接触電位差ΔVにより正(または負)に帯電している被めっき体10の電位が置換可能電位範囲VR内に収まるような(帯電状態を相殺するような)電圧を、めっき液14に浸漬する前の被めっき体10に印加することとした。
【0053】
より詳細には、まず、めっき液14については、理論的且つ実用的観点から、扱いも容易な銅イオン(Cu2+)と硫酸イオン(SO 2-)を含む溶液を用い、pH=0.5程度に調整した。これにより、置換可能電位範囲VRは、+0.34≧VR≧-0.94となる。
【0054】
そして、被めっき体10については、第1金属表面11に帯電している電荷(第2金属表面12を基準として+1.1V)の少なくとも一部を相殺する電圧を印加する。以下、接触電位差ΔVによ第1金属表面11における電荷変動分の少なくとも一部を相殺する電圧を「チャージポンプ電圧CP」という。
【0055】
本実施形態のチャージポンプ電圧CPは、接触電位差ΔVによる第1金属表面11における電荷変動分の少なくとも一部を相殺可能な電圧、好適には、被めっき体10の第1金属表面11の電位を、置換可能電位範囲VR(+0.34≧VR≧-0.94)に収める電圧である。具体的には、チャージポンプ電圧CPは、例えば、-0.76V(0.34V-1.1V)≧CP≧-2.04V(-0.94V-1.1V)の負電圧である。
【0056】
ここで対極15は、例えば、被膜用金属の金属イオンをめっき液14に連続的に放出可能な電極であると望ましく、ここでは銅電極を用いた例を示す。
【0057】
そしてチャージポンプ電圧CPの印加を維持した状態で、被めっき体10を上記の、pH=0.5に調整されためっき液14に浸漬する。その結果、被めっき体10の第1金属表面11とめっき液14は、置換可能領域SRの条件下に置かれ、第1金属表面11(亜鉛)が被膜用金属(銅)に置換される。
【0058】
この置換反応は、置換可能領域SRの条件下で第1金属表面11を構成する亜鉛が存在している間は進行する。つまり、少なくともめっき対象部位16が浸漬を開始してからその実質全体がめっき液14に浸漬されるまでの間はチャージポンプ電圧CPの印加を継続する。
【0059】
置換反応により被めっき体10の表面に析出する被膜用金属(めっき膜13)は電気めっき法による場合と比較して、ピンホールの発生を大幅に抑制でき、膜厚も大幅に低減可能である。そして、第1金属表面11が全て被膜用金属に置換された後もチャージポンプ電圧CPの印加が継続している場合には、連続且つ自動的に被めっき体10に対する電気めっきに移行し、めっき膜13の膜厚が増加する(例えば、電気めっきで銅を被着する場合の電圧は一般的に酸性浴(pH=0.5)で1~5V程度である)。
【0060】
連続的に電気めっきに移行する場合であっても、このめっき膜13の下層は置換めっきにより形成された良好な膜(層)である。つまり、仮に当該電気めっきによりピンホールが生じた場合であっても母材BDの被覆などの観点では問題がなく、当該電気めっきは、めっき膜13として所望の厚みが形成された時点で終了可能である。
【0061】
すなわちチャージポンプ電圧CPは、被めっき体10をめっき液14に浸漬する前から印加し、少なくともめっき対象部位16(例えば、第1金属表面11の実質全体)がめっき液14に浸漬されるまでの間は印加を継続する。めっき対象部位16に被膜用金属が析出し、(適宜の時間、電気めっきを継続するなどして)めっき膜13が所望の膜厚になった場合に、チャージポンプ電圧CPの印加を終了する。あるいはめっき液14から被めっき体10を取り出す。
【0062】
このようにして本実施形態のめっき方法によれば、少なくとも最下層に、置換めっきによる良質なめっき膜13を形成可能である。具体的に、めっき膜13は被膜用金属(例えば金属銅)で成膜可能であり、ピンホールの発生を抑制し、薄く均一な膜厚に形成できる。また置換めっきが完了すると連続的に電気めっきに移行するため、めっき膜13の膜厚は、めっき液14に浸漬した状態でのチャージポンプ電圧CPの印加時間で制御可能である。
【0063】
これにより、めっき膜13の膜厚は任意の厚さで制御可能であり、例えば、従来技術ではピンホールの発生で困難であった3μm以下の薄い膜も形成できる。より詳細には、例えば100nm~3μm程度、好適には、300nm~2μm程度、より好適には500nm~1.5μm程度が形成でき、例えば、膜厚が500nm程度であっても、ピンホールの発生を抑制できる。例えば、1μm以下の膜厚のめっき膜13を形成する場合には、めっき対象部位16をめっき液14に浸漬した後に1~2分チャージポンプ電圧CPの印加を継続し電気めっきを行う。さらに、めっき液14は、硫酸銅と硫酸からなる取扱いが容易な溶液を利用できる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態のめっき方法は、電気的に導通(連続)する第1金属表面11と第2金属表面12を有する被めっき体10の、卑な金属(第1金属)側の表面を相対的に貴な被膜用金属で被膜する(金属(非金属酸化物)の膜で被覆する)方法であって、被めっき体10をめっき液14に浸漬する以前に、第1金属表面11に生じる、該第2金属表面12を基準とした該第1金属表面11の接触電位差ΔVに基づいた電位発生分の少なくとも一部を相殺する、チャージポンプ電圧CPを印加するものである。
【0065】
具体的には、被めっき体10のめっき対象部位16である第1金属表面11と第2金属表面12の接触電位差ΔVと、第1金属表面11および被膜用金属(めっき液14に存在する被膜用金属の金属イオン)の酸化還元反応を示す電位-pH図(合成)に基づき、被めっき体10における第1金属表面11の電位が、電位-pH図(合成)における置換可能領域SRの電位の範囲内に設定されるようにチャージポンプ電圧CPを決定する。
【0066】
換言すると、第1金属がイオン化されて第1金属表面11が被膜用金属に置換される電位範囲を、置換可能電位範囲VRと定義する場合に、チャージポンプ電圧CPの印加により、第1金属表面11の電位を、置換可能電位範囲VR内に設定する。
【0067】
そして、チャージポンプ電圧CPを印加した状態で(印加しながら)、被めっき体10をめっき液14に浸漬する。
【0068】
<応用例>
繰り返しになるが、本実施形態の被めっき体10は、第1金属表面11と第2金属表面12とが電気的に導通(連続)するものであればよい。例えば、図2(E)~同図(G)に示すように母材BDまたは被めっき体10が異種金属接合体であってもよい。
【0069】
例えば、異種金属接合体の一例として、銅とアルミニウムを圧接などにより直接的に接合した構造体が挙げられる。銅とアルミニウムの異種金属接合体(銅-アルミニウム接合体)は、材料の取り扱いの容易性やコストなどから各種部品としての応用範囲が広範である。しかしこの場合においても異種金属の接触電位差が生じ、これがガルバニック腐食を引き起こすという別途の問題もよく知られるところである。
【0070】
また、アルミニウムの表面は酸化膜が形成されやすいなど環境に対する安定性が低い、あるいは、銅-アルミニウム接合体を母材としてその表面に他の膜を積層する場合、母材の材料の違いから均質な膜が積層しにくいなどの問題もある。
【0071】
そこで、銅-アルミニウム接合体の全体を単一の金属膜で被覆する、あるいは、銅-アルミニウム接合体の銅の部分から連続して(両者の接合部を含んで)アルミニウム部分を銅の膜で被覆する、ことによる問題解決が考えられる。そして、このような場合においても本実施形態のめっき方法が採用できる。
【0072】
ところで、アルミニウムは銅より卑な金属であるが、アルミニウムの表面を直接、銅で置換することは困難である。具体的には、アルミニウム表面に形成された酸化膜が、銅に置換するための酸性の銅めっき液(銅置換をするためのめっき液)では溶けにくく置換が進まない、一方、アルカリ性の銅めっき液は銅イオンを生成するための錯体および還元剤が必須であり、有毒であるため容易に実施することができない、などの問題がある。
【0073】
そこで、銅-アルミニウム接合体のアルミニウム部分の表面にジンケート処理により亜鉛の膜(層)を形成する。これにより、銅-アルミニウム接合体は、母材BDとなるアルミニウムを覆う亜鉛の第1金属表面11と、銅の第2金属表面12(第2金属材料12M)が電気的に導通(連続)する被めっき体10となり(図2(F)参照)、本実施形態のめっき方法により第1金属表面11を被膜用金属である銅で置換できる。なお、この場合のジンケート処理は既知の方法が採用できるので詳細は省略するが、ジンケート処理用のめっき液に、電圧を印加することなく銅-アルミニウム接合体のアルミニウム部分を浸漬し、無電解メッキを施す。ジンケート処理の回数は任意である。これにより、アルミニウム部分が亜鉛の金属膜(第1金属表面11)で覆われた銅-亜鉛接触体(被めっき体10)が得られるので、これを洗浄、乾燥し、本実施形態のめっき方法によりめっき処理を行う。
【0074】
図6は、銅-アルミニウム接合体のアルミニウム表面をジンケート処理した被めっき体10の接触電位差ΔVを示す概要図である。同図(A)は、銅、アルミニウムおよび亜鉛の仕事関数を示す概要図であり、同図(B)は、当該被めっき体10に生じる接触電位差ΔVを示す概要図である。
【0075】
例えば、ジンケート処理などにより後発的に銅と亜鉛が電気的に連続する構成の場合であっても(銅と亜鉛が例えば原子的な結合や直接的な接合をしているか否かなどに限らず)、両者が、例えば、アルミニウムを介するなどして電気的に連続していれば接触電位差ΔVは生じる。
【0076】
アルミニウム(Al)の仕事関数は4.1eVである。つまりこの場合、被めっき体10の接触電位差ΔVは、例えば銅側を基準にすると亜鉛側に+1.1V(=-((3.6eV-4.1eV)+(4.1eV-4.7eV))/e、ここでeは電気素量)の正電荷が帯電していることになる。このように電気的に導通(連続)する銅と亜の間の接触電位差ΔVを考える場合、それらの間に介在する金属の仕事関数は(当該金属のイオン化傾向の大小によらず)相殺される。つまりこの場合も、被めっき体10は、銅-亜鉛接触体として扱うことができ(図4(F)、図5参照)、上述した本実施形態のめっき方法により良質な金属銅のめっき膜13を形成できる。
【0077】
図7は、従来のめっき方法と本実施形態のめっき方法によりめっき処理をおこなった結果の一例を示す図であり、被めっき体a~dの外観写真である。被めっき体a~dは、いずれも銅-アルミニウム接合体のアルミニウム部分をジンケート処理した構造体であり、亜鉛の第1金属表面11と銅の第2金属表面12が電気的に連続する銅-亜鉛接触体であり、第1金属表面11の一部をめっき対象部位16として条件を変えてめっき処理を行った。同図(A)は被めっき体a,同図(B)は被めっき体b、同図(C)は被めっき体c、同図(D)は被めっき体dの結果である。
【0078】
また、図8は、図7に示した4つの試料(被めっき体a~d)に形成されためっき膜の検討結果であり、同図(A)は4つの試料に対して行った電気化学測定(還元法)の測定結果であり、同図(B)は、同図(A)の測定結果に基づき4つの試料(被めっき体a~d)について、酸化銅の膜厚(Å)を計算した表である。また、図8においては比較のために銅基材(めっきなし)の測定結果、および銅基材表面の酸化銅の膜厚についても示している。
【0079】
図8に示す電気化学測定(還元法)では、試料表面をホウ酸バッファー水溶液で電気化学的に還元し、その還元電位の時間変化を測定した。同図(A)の縦軸は還元電位(V vs.AgCl)であり、横軸は通電時間(sec)である。通電時間は、還元に要した時間、すなわち、めっき処理で形成されている酸化膜の膜厚に対応する。また、同図(B)では、銅の酸化物のうち、酸化第一銅(CuO)は-0.35Vから-0.6Vの範囲で還元されるとして膜厚を計算し、酸化第二銅(CuO)は-0.6Vから-0.85Vの範囲で還元されるとして膜厚を計算した。
【0080】
図7を参照して、同図(A)に示す被めっき体aのめっき処理に用いためっき液は、成分は本実施形態と同様の硫酸銅と硫酸の混合溶液であるが、pH=3.5に調整した。また、同図(B)~同図(D)に示す被めっき体b~dのめっき処理に用いためっき液は、いずれも上述した本実施形態のめっき液14(硫酸銅と硫酸の混合溶液、pH=0.5)である。
【0081】
同図(A)は、第1金属表面(亜鉛)11のめっき対象部位16に従来方法による無電解めっきを施した被めっき体aである。この場合、めっき対象部位16は焦げ茶色に激しく変色した膜が形成された。図8を参照して、電気化学測定(還元法)による測定の結果、酸化第二銅(CuO)を主成分とし、さらに酸化第一銅(CuO)が混在した膜が形成されていることが分かった。酸化第二銅(CuO)は黒褐色であり、酸化第一銅(CuO)は赤褐色であることから、これらの混合物でめっき対象部位16が構成され、その結果、焦げ茶色の膜が得られたと説明される。
【0082】
同図(B)は、第1金属表面(亜鉛)11のめっき対象部位16に従来方法による無電解めっきを施した被めっき体bである。この場合、めっき対象部位16は赤褐色に変色し、電気化学測定(還元法)による測定の結果、酸化第一銅(CuO)を主成分とする膜が形成されていることが分かった(図8参照)。
【0083】
同図(C)は、本実施形態のめっき方法によりめっき膜13を形成した被めっき体c(被めっき体10)である。第1金属表面11のめっき対象部位16に形成されためっき膜13に変色は見られず(第2金属表面12(銅)と比較しても遜色がなく)、図8(A)の電気化学測定(還元法)による測定結果においても銅基材と同様のプロファイルを示し、図8(B)の表から酸化第一銅(CuO)の膜厚も同等と判断されることから、良好な金属銅のめっき膜13が形成されていることが分かった。
【0084】
同図(D)は、本実施形態のめっき方法において、置換可能電位範囲VRを外れるチャージポンプ電圧CPとして-3.2Vを印加した場合の被めっき体dである。めっき液14の組成は硫酸銅と硫酸の混合溶液であり、pHは0.5である。めっき対象部位16は、図7(B)の被めっき体Bより濃く、赤銅色のめっき膜が得られた。図8(A)の電気化学測定(還元法)による測定は、酸化第一銅(CuO)の還元時間が長く測定を中断した。このめっき膜は、酸化第一銅(CuO)を主成分として構成されていると推察される。
【0085】
このように、同図(A)、同図(B),同図(D)のめっき方法では、酸化物を経由した置換反応が起きていると推測された。一方、本実施形態のめっき方法では、めっき液14のpHとチャージポンプ電圧CPを置換可能領域SRに基づき適切に選択することで、良好な金属銅のめっき膜13が形成できるといえる。
【0086】
このように、本実施形態によれば、銅-アルミニウム接合体(異種金属接合体)の、少なくともアルミニウム部分を金属銅のめっき膜13で覆うことができる。また、その膜厚は、例えば3μm以下であり、詳細には、100nm~3μm程度、好適には、300nm~2μm程度、より好適には500nm~1.5μm程度である。また、置換めっきであるので、例えば、膜厚が500nm程度であっても、ピンホールの発生を抑制できる。
【0087】
電気めっき法により形成されるめっき膜は、薄い膜厚(例えば5μm以下など)にすることは困難であり、多発するピンホールを埋設するために更に膜厚を厚くしなければならず、部品としての外観形状(サイズ)に影響を及ぼす問題があった。
【0088】
本実施形態によれば、電気めっき法による場合と比較して大幅に薄く、均一でピンホールがほとんど生じないめっき膜13を形成できるので、銅-アルミニウム接合体(異種金属接合体)の外観形状を大きく損なうことなく、確実なガルバニック腐食対策を施すことができる。
【0089】
また、アルミニウム部分を銅のめっき膜13で被覆することで、銅-アルミニウム接合体(異種金属接合体)の外表面の実質全体を同一金属(ここでは銅)で構成することができる。したがって、これを母材(下地)として別の膜(金属膜や樹脂膜)を積層、あるいは被膜する場合に、成膜の安定性、被着性を高めることができる。
【0090】
このように、本実施形態のめっき方法は、仕事関数の異なる第1金属表面11と第2金属表面12とが電気的に連続している構成であれば、両者が接触(接合)していなくてもよく、両者の間に他の導電材料(他の金属)が介在していてもよい、
【0091】
さらに、本実施形態のめっき方法として、第1金属表面11が亜鉛、第2金属表面12が銅、被膜用金属が銅である場合を例示したが、これらの金属は上述の例に限定されない。すなわち、第1金属表面11と、第2金属表面12が電気的に連続している被めっき体10を準備するステップと、第1金属表面11に生じる、第2金属表面12を基準とした第1金属表面11の接触電位差ΔVよる電位発生分の少なくとも一部を相殺するように被めっき体10に電圧(チャージポンプ電圧)を印加するステップと、被めっき体10の少なくとも一部をめっき液14に浸漬し、被めっき体10の少なくとも一部に置換めっきを行うステップと、を有する、めっき方法であればよい。
【0092】
例えば、第1金属表面11は、ニッケル(Ni)を主成分とする金属表面、または鉄(Fe)を主成分とする金属表面であってもよい。
【0093】
図9は、本実施形態のめっき方法の前提となる電流回路を概略的に示す図である。めっき液14(被膜用金属イオン)および対極15、電源、第2金属表面11、第1金属表面11、置換可能電位範囲VRの各要素が、アース基準の電位を有し、同図に示す電流回路を構成しているといえる。したがって、任意の金属であっても、この電流回路を構成可能な(電位関係を満たす)条件であれば、本実施形態のめっき方法が採用できる。具体的には本実施形態のめっき方法の各概念、および数値値は以下のように決定するものであり、本実施形態のめっき方法は以下のステップを有する方法であるともいえる。
【0094】
(1)接触電位差ΔV:第1金属表面11と第2金属表面12の一方(例えば、第2金属表面)を基準とした他方(めっき対象部位16側)の接触電位差ΔVを算出する。
【0095】
(2)電位-pH図(合成):第1金属の電位-pH図と被膜用金属(被膜用金属イオンを含むめっき液14)の電位-pH図を合成した状態図を作成する。被膜用金属は第2金属と同種でなくてもよい。
【0096】
(3)置換可能領域SR:電位-pH図(合成)において、第1金属の腐食域と被膜用金属の不感域とが重なる領域を決定する。
【0097】
(4)置換可能電位範囲VR:第1金属がイオン化されて第1金属表面11が被膜用金属に置換される電位範囲(置換可能領域SRの電位範囲)を特定する。
【0098】
(5)チャージポンプ電圧CP:接触電位差ΔVにより帯電した被めっき体10(第1金属表面11)の電位が置換可能電位範囲に収まるように、接触電位差ΔVによる電位発生分の少なくとも一部を相殺(調整、補正)する電圧(正電圧又は負電圧)を算出する。接触電位差ΔVに対応した電位発生分の全てを相殺する必要はなく、一部の相殺であってもよい。

【0099】
(6)めっき液14:成分およびpHは第1金属表面11、被膜用金属の材料と置換可能範囲に応じて適宜選択する。
【0100】
(7)対極15:被膜用金属の金属イオンを放出可能な任意の電極材料を採用し、めっき液14に浸漬して電圧を印加(被めっき体10の対極として電源の一方の極に接続)する。
【0101】
(8)被めっき体10:めっき液14に浸漬する以前に、チャージポンプ電圧CPを印加(電源の他方の極に接続)し、印加を継続した状態でめっき液14に浸漬し、置換めっきを行う。必要に応じて連続して電気めっきを行い、所定の膜厚のめっき膜13を形成後、めっき処理を終了(電圧の印加を終了、めっき液14からの取り出しなど)する。
【0102】
また、本実施形態のめっき方法における接触電位差ΔVは、以下の(式1)の関係を満たす値であるといえる。
【0103】
ΔV = -(WF1 - WF2)/e ・・・(式1)
ここで、
ΔV:第2金属(表面)を基準とした第1金属(表面)と第2金属(表面)の間の接触電位差
WF1:第1金属(相対的に卑な金属)の仕事関数
WF2:第2金属(相対的に貴な金属)の仕事関数
e :電気素量
であり、「/e」は、仕事関数の単位eV(エネルギー)を電圧の単位Vに変換するため、電気素量eで割ることを意味する。
【0104】
また、本実施形態のめっき方法における置換可能電位範囲VRは、以下の(式2)の関係を満たす値であるといえる。
【0105】
V2 ≧ VR ≧ V1 ・・・(2)
ここで、
VR:置換可能電位範囲
V1:第1金属の平衡電極電位(活量は1E-6)
V2:被膜用金属の平衡電極電位(活量は1)
である。
【0106】
また、本実施形態のめっき方法におけるチャージポンプ電圧CPは、以下の(式3)の関係を満たす値であるといえる。
【0107】
V2 - ΔV ≧ CP ≧ V1 - ΔV ・・・(3)
ここで、
CP:チャージポンプ電圧
ΔV:接触電位差
V1:第1金属の平衡電極電位(活量は1E-6)
V2:被膜用金属の平衡電極電位(活量は1)
である。
【0108】
なお、例えば被膜用金属と第2金属が同種の金属の場合、第1金属表面11と第2金属表面12に連続してめっき膜13を形成するようにしてもよい。
【0109】
図1のステップS03において、対極15のめっき液14への浸漬と電圧の印加は順不同である。
【0110】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明のめっき方法は、異種金属が電気的に導通(連続)した構造体のめっきに利用できる。
【符号の説明】
【0112】
10 被めっき体
11 第1金属表面
12 第2金属表面
13 めっき膜
14 めっき液
15 対極
16 対象部位
CP チャージポンプ電圧
SR 置換可能領域
VR 置換可能電位範囲
【要約】
【課題】膜厚が極薄く、均一であり、ピンホールや変色の発生を抑制した良質なめっき膜を形成可能なめっき方法を提供する。
【解決手段】。 本発明は、第1金属よりなる第1金属表面11と第2金属よりなる第2金属表面12が電気的に導通(連続)している被めっき体10を準備するステップと、被めっき体10をめっき液14に浸漬する以前に、被めっき体10に電圧を印加するステップと、被めっき体10のめっき対象部位16をめっき液14に浸漬して、第1金属より貴な被膜用金属によってめっき対象部位16の少なくとも一部を被膜するステップと、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9