(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】収納型連動式引戸
(51)【国際特許分類】
E05F 17/00 20060101AFI20220526BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
E05F17/00 A
E05F17/00 D
E05D15/06 125A
(21)【出願番号】P 2018141201
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100160299
【氏名又は名称】伊藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】小鷹 由香
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳一郎
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-227528(JP,A)
【文献】特開2001-090432(JP,A)
【文献】特開2003-020862(JP,A)
【文献】特開2008-133614(JP,A)
【文献】特開2015-063823(JP,A)
【文献】特開2018-141271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一引戸と、前記第一引戸を収納する第二引戸と、前記第一引戸及び前記第二引戸の連動装置と、備え、
戸枠に設けられている第一案内部材と、前記第一引戸及び前記第二引戸間に設けられている第二案内部材に沿い、前記第一引戸の開閉方向への移動に追従して、前記第二引戸が移動する収納型連動式引戸において、
前記連動装置は、前記第一案内部材の長手方向に延設される固定棒状歯車部材と、
前記第二案内部材の長手方向に延設される可動棒状歯車部材と、
前記第二引戸の所定位置において、支持部材により回動自在に軸支され、前記固定棒状歯車部材及び前記可動棒状歯車部材と噛合する円筒歯車部材と、を有
し、
前記支持部材には、前記固定棒状歯車部材及び前記可動棒状歯車部材と、前記円筒歯車部材とを噛合させる所定位置において、前記円筒歯車部材を位置決めする第一位置決め手段と、
前記固定棒状歯車部材及び前記可動棒状歯車部材と、前記円筒歯車部材との噛合を解除させる所定位置において、前記円筒歯車部材を位置決めする第二位置決め手段と、が設けられており、
前記円筒歯車部材は、前記第一位置決め手段と、前記第二位置決め手段との間を移動自在となるように構成されていること、を特徴とする収納型連動式引戸。
【請求項2】
前記第二引戸の収納部を備え、
前記第二引戸は、第一引戸を収納した状態で、前記第二引戸の収納部に収納可能となるように構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の収納型連動式引戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の引戸を連動して開閉操作することのできる収納型である連動式の引戸に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病室等の各種の施設における出入口の開口部を開閉するために連動式の引戸が使用されている。このような連動式の引戸の一種類として、全開時に戸先側引戸が戸尻側引戸内に収容されるとともに、当該戸尻側引戸が戸袋内に収納される、いわゆる収納型である連動式の引戸(以下、「収納型連動式引戸」という。)が存在している。
【0003】
従来の収納型連動式引戸における連動手段として、戸尻側引戸(後扉)の上部において、前後に所要間隔を存して取付けられる対をなすプーリと、この両プーリ間に懸架されるワイヤとを備え、当該ワイヤの適所を戸先側引戸(前扉)に、また他の適所を上枠適所に固定し、戸先側引戸の移行に伴うワイヤの移行により前後のプーリを介して戸尻側引戸を追随させる技術が存在している(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の収納型連動式引戸では、部品点数が多くなること、施工が煩雑であること、ワイヤが切断することや緩みが発生する恐れがあること等の問題点が存在していた。
【0006】
本発明は、上記各問題点を解決するためになされたものであり、部品点数を少なくし、施工性、管理性及び操作性に優れた収納型連動式引戸を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の収納型連動式引戸(以下、「本収納型連動式引戸」という場合がある。)は、第一引戸と、上記第一引戸を収納する第二引戸と、上記第一引戸及び上記第二引戸の連動装置と、備え、戸枠に設けられている第一案内部材と、上記第一引戸及び上記第二引戸間に設けられている第二案内部材に沿い、上記第一引戸の開閉方向への移動に追従して、上記第二引戸が移動する収納型連動式引戸において、上記連動装置は、上記第一案内部材の長手方向に延設又は敷設される固定棒状歯車部材と、上記第二案内部材の長手方向に延設又は敷設される可動棒状歯車部材と、上記第二引戸の所定位置において、支持部材により回動自在に軸支され、上記固定棒状歯車部材及び上記可動棒状歯車部材と噛合する円筒歯車部材と、を有すること、を特徴としている。
【0008】
また、本収納型連動式引戸において、上記第二引戸の収納部を備え、上記第二引戸は、第一引戸を収納した状態で、上記第二引戸の収納部に収納可能となるように構成されることが好適である。
【0009】
ここで、本収納型連動式引戸は、2枚以上の複数の引戸を備え、連動装置により、少なくとも2枚の引戸の動作を追従可能とする場合において適用できるものである。また、円筒歯車部材は、所定位置に支持部材を介して軸支されていればよく、例えば、第一引戸の移動手段である戸車部材の支軸等を支持部材として兼用することができる。
【0010】
本収納型連動式引戸によれば、連動装置を固定棒状歯車部材と、可動棒状歯車部材と、円筒歯車部材とを用いて構成することにより、部品点数を少なくし、施工の省力化を図ることができる。また、ワイヤ等を使用していないため、ワイヤが切断することや緩みが発生する恐れがあることを防止することができ、メンテナンス等を簡便に行うことができる。
【0011】
また、本収納型連動式引戸において、上記円筒歯車部材の上記支持部材には、上記固定棒状歯車部材及び上記可動棒状歯車部材と、上記円筒歯車部材とを噛合させる所定位置において、上記円筒歯車部材を位置決めする第一位置決め手段と、上記固定棒状歯車部材及び上記可動棒状歯車部材と、上記円筒歯車部材との噛合を解除させる所定位置において、上記円筒歯車部材を位置決めする第二位置決め手段と、が設けられており、上記円筒歯車部材は、上記第一位置決め手段と、上記第二位置決め手段との間を移動自在となるように構成することが好適である。
【0012】
ここで、上記円筒歯車部材を位置決めする第二位置決め手段の位置は、上記固定棒状歯車部材及び上記可動棒状歯車部材と、上記円筒歯車部材との噛合及びその解除を容易に行うことができる位置であれば、その位置に制限はない。
【0013】
また、円筒歯車部材の移動方向は、当該円筒歯車部材と可動棒状歯車部材との位置関係により定まるものであり、鉛直方向及び水平方向等、任意の方向とすることができ、円筒歯車部材の移動方法に関しても制限はない。
【0014】
本収納型連動式引戸によれば、上記円筒歯車部材が、第一位置決め手段と、第二位置決め手段との間を移動自在となるように構成されているため、当該円筒歯車部材を移動させることにより、容易に、固定棒状歯車部材及び可動棒状歯車部材と、上記円筒歯車部材との噛合及び解除を行わせることができる。したがって、各引戸の取り付け及び取り外しが容易になることから、取付時及び不具合時等の調整作業の際の負担を軽減させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品点数を少なくし、施工性、管理性及び操作性に優れた収納型連動式引戸を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の収納型連動式引戸(半開状態)を示す斜視図である。
【
図2】本発明の収納型連動式引戸の一部を示す一部を分解した斜視図である。
【
図4】本発明の収納型連動式引戸(全開状態)の上面部(中央部の戸車ユニットは図示せず)である。
【
図5】本発明の収納型連動式引戸の連動装置を構成するピニオン及びその近傍を示す側断面図である。
【
図6】本発明の収納型連動式引戸の連動装置を構成するピニオン及びその近傍を示す側面図であり、(a)は、固定ラック及び可動ラックとの噛合時、(b)は、固定ラック及び可動ラックとの噛合解除時である(固定ラック及び可動ラックは図示せず)。
【
図7】本発明の収納型連動式引戸の連動装置の動作を説明するための正面図(全開状態)である。
【
図8】本発明の収納型連動式引戸の連動装置の動作を説明するための上面図(全開状態)である(上框は図示せず)。
【
図9】本発明の収納型連動式引戸の連動装置の動作を説明するための正面図(半開状態)である。
【
図10】本発明の収納型連動式引戸の連動装置の動作を説明するための上面図(半開状態)である(上框は図示せず)。
【
図11】本発明の収納型連動式引戸の連動装置の動作を説明するための正面図(全閉状態)である。
【
図12】本発明の収納型連動式引戸の連動装置の動作を説明するための上面図(全閉状態)である(上框は図示せず)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本収納型連動式引戸Hの一実施形態について、二枚の引戸を用いた二連式引戸の場合を例として詳細に説明する。図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
なお、本収納型連動式引戸Hの戸尻側とは、戸袋Fの側(
図1における右奥側をいい、戸先側とは、開口部Kの側(
図1における左手前側)をいう。
【0018】
[全体構成]
図1に示すように、本収納型連動式引戸Hは、戸先側引戸10(第一引戸)と、当該戸先側引戸10を収納する戸尻側引戸20(第二引戸)と、戸尻側引戸20を収納する戸袋F(収納部)と、戸先側引戸10及び戸尻側引戸20(以下、これらの引戸を総称して、「両引戸」という場合がある。)を連動させて移動させるための引戸連動装置Rとを備えている。
【0019】
両引戸10,20が設けられる矩形形状の開口部Kは、戸枠を構成する戸当部3aと、上框3bと、下框3cと、戸袋Fの戸先側の側縁F1により形成されている。そして、戸先側引戸10は、戸尻側引戸20に収納可能であり、当該収納された両引戸10,20が全開時において、戸袋部Fに収納される構造及び寸法に形成されている。
【0020】
上框3bの長手方向には全体にわたり、外形が略凸状の断面形状である長尺の上框ガイドレール5(第一案内部材)が敷設(延設)されている(
図2)。上框ガイドレール5は、門型形状の上部レール6(以下、単に「上框上部レール」という場合がある。)と、当該上框上部レール6に接続する幅広の下部レール7(以下、単に「上框下部レール」という場合がある。)とから形成されている。そして、上框下部レール7は、外側溝形部7aと、先端に円形状(断面視)の係合突部7cを有する内側部7bから構成されている(
図3)。
【0021】
また、後記戸先側引戸10の長方形状の突出部11aと、戸尻側引戸20の戸先側上端部の間には、長尺の可動ガイドレール9(第二案内部材)が延設されている。可動ガイドレール9は、内側溝形部9aと、円形状(断面視)の凹部を有する外側凹部9bと、両部を接続する倒立したL字形状(断面視)である接続支持部9cを有している(
図3)。
【0022】
上記可動ガイドレール9は、戸先側の端部がブラケット19により、戸先側引戸10の突出部11aに取り付けられている。また、上框下部レール7の係合突部7cは、可動ガイドレール9の外側凹部9bに移動自在に挿通されており、当該可動ガイドレール9は、上框ガイドレール5に案内されて、長手方向に移動自在となっている。
【0023】
[戸先側引戸及び戸尻側引戸]
戸先側引戸10及び戸尻側引戸20は、開口部Kが開閉されるように、上框3bにおける上框ガイドレール5に、移動自在となるように懸架されている。
戸先側引戸10及び戸尻側引戸20は、各引戸本体11,21と、戸車ユニット15A~15Cと、を主要構成要素としている(
図2)。
【0024】
戸車ユニット15A~15Cは、戸先側引戸10における戸先側の突出部11aの上面及び戸尻側引戸2の両端部の上面に、同一構造の装置がそれぞれ設けられている。上記戸車ユニット15A~15Cには、複数(本実施形態では4個)の戸車16が戸車軸17に回動自在に設けられている。各戸車16は、上框上部レール6に沿って転動可能であり、各戸車ユニット15A~15Cの動作により、両引戸10,20が上框ガイドレール5に吊持され、長手方向に連動しながら移動し、開口部Kが開閉する構造になっている。
【0025】
戸尻側引戸20には、矩形形状である公知の引戸を使用することができるものであるが、当該戸尻側引戸20の引戸本体21には、戸先側引戸10の引戸本体11を収納するための収納空間22が設けられている。この収納空間22は、戸尻側引戸20の前端面の開口部21aと連通している。そして、収納空間22の上部には、長手方向に略門型形状の引戸内ガイドレール25が敷設(延設)されている。
【0026】
一方、戸先側引戸10の引戸本体11は、戸先側における上部の先端部が突出する形状となっている(符号11aが突出部を示している)。そして、窪んだ上縁部における戸尻側の端部の上面に複数(本実施形態では2個)の戸車18が回動自在に設けられており、戸先側引戸10は、引戸内ガイドレール25に沿って、戸尻側引戸20の収納空間22から出没自在となっている。
【0027】
[引戸連動装置]
図3及び
図4に示すように、引戸連動装置Rは、固定ラック41(固定棒状歯車部材)と、ピニオン30(円筒歯車部材)と、可動ラック42(可動棒状歯車部材)とを備えている。
【0028】
固定ラック41は、上框下部レール7の外側溝形部7aの長手方向全長にわたり、歯部41aが内側となるように介装(延設)されている。
【0029】
戸尻側引戸20の戸先側の戸車ユニット15Bにおける戸車軸17(円筒歯車部材の支持部材)(他の戸車軸と区別をする場合に、17Bと符号を付す)には、歯車部31が水平方向となるように、ピニオン30が回動自在に軸支されている。ピニオン30は、内枠32の周囲に円筒形状の歯車部31を有しており、当該歯車部31が固定ラック41の歯部41a及び可動ラック42の歯部42aと噛合し、上框下部レール7に沿って移動可能となっている(
図5)。
【0030】
上記ピニオン30の内枠32は、所定の弾性力を有する部材であり(本実施形態では、合成樹脂製)、上部が円筒形状、かつ、下部が円錐台状となっている。そして、その下端部には係合爪32a(第一位置決め手段)が設けられている。
【0031】
また、戸車軸17Bの所定高さ(ピニオン30と、固定ラック41及び可動ラック42とが噛合可能となる高さ)には、上記係合爪32aと係合する形状に係合溝17a(第一位置決め手段)が形成されており、戸尻側引戸20の上縁部の近傍には、上記係合爪32aの下方への移動を規制するための係合段部17b(第二位置決め手段)が突設されている(本実施形態では、戸車軸17Bの係合溝17aと、ピニオン30の係合爪32aの組み合わせにより、第一位置決め手段が形成されている。)。
【0032】
上記構成により、ピニオン30の内枠32の係合爪32aが、戸車軸17Bの係合溝17aと係合することで上限位置に位置決めされ、固定ラック41及び可動ラック42と噛合するようになっている(
図6(a))。また、上記係合爪32aと係合溝17aとの係合を解除することにより、ピニオン30が戸車軸17Bの係合段部17bの部分に移動し、当該下限位置で位置決めされることが可能となっている(
図6(b))。
【0033】
このように、上記ピニオン30は、戸車軸17Bの上下方向に往復移動可能となっており、固定ラック41及び可動ラック42との噛合及び解除が自在に構成されている。
【0034】
図3及び
図4に示すように、可動ラック42は、可動ガイドレール9の内側溝形部9aの長手方向全長にわたり、歯部42aが内側(ピニオン側)となるように溶着により介装(延設)されており、ピニオン30と噛合し、可動ガイドレール9に沿って、戸尻側引戸20とともに移動可能となっている。
【0035】
なお、可動ラック42及びピニオン30と、固定ラック41及びピニオン30の速度伝達比は、戸先側引戸10の移動量が、戸尻側引戸20の移動量の2倍となるように構成されている。上記構成により、上框下部レール7に沿い、可動ガイドレール9にガイドされながら、戸先側引戸10の開閉方向への移動に追従して、戸尻側引戸20が移動可能となっている。
【0036】
[本収納型連動式引戸Hの使用方法]
続いて、本収納型連動式引戸Hの使用方法について説明する。
なお、以下の説明において、既に、上框ガイドレール5の上框下部レール7の外側溝形部7aには固定ラック41が介装されている。また、可動ガイドレール9の内側溝形部9aには可動ラック42が介装され、当該可動ガイドレール9は、戸先側引戸10と戸尻側引戸20の所定位置に取り付けられている。
【0037】
まず、戸先側引戸10と戸尻側引戸20が完全に開扉している状態(全開状態)を想定する(
図7,
図8)。この状態で、戸先側引戸10を戸先側に移動させて戸尻側引戸20から引き出すと、当該戸尻側引戸20は戸先側引戸10と連動して戸先方向に移動しながら戸袋Fから引き出され(
図9、
図10)、その後、完全に閉扉する(全閉状態)(
図11,
図12)。
【0038】
また、閉扉状態において、戸先側引戸10を戸尻側に移動させると、当該戸尻側引戸20の収納空間22に収納されながら開扉される。そして、当該戸尻側引戸20は戸先側引戸10連動して戸尻側方向に移動し、徐々に戸袋Fに収納される。その後、戸先側引戸10は、戸尻側引戸20の収納空間22に完全に収納されるとともに、戸尻側引戸20は、戸袋Fに完全に収納されて全開状態となる。
【0039】
一方、戸先側引戸10と戸尻側引戸20の連動を解除する場合には、戸先側引戸10と戸尻側引戸20を全開状態として、ピニオン30の係合爪32aと係合溝17aの係合を解除し、下方に移動させることにより、当該ピニオン30と、固定ラック41及び可動ラック42との噛合を解除する。そして、必要に応じて、可動ガイドレール9を上框ガイドレール5から引き抜き、戸先側引戸10を取り外すことができる。
【0040】
[本収納型連動式引戸Hの作用効果]
本収納型連動式引戸Hによれば、引戸連動装置Rを固定ラック41と、可動ラック42と、ピニオン30とを用いて構成することにより、部品点数を少なくし、施工の省力化を図ることができる。また、ワイヤ等を使用していないことから、ワイヤが切断することや緩みが発生する恐れがあることを防止することができるため、メンテナンス等を簡便に行うことができる。
【0041】
また、本収納型連動式引戸Hによれば、ピニオン30が、戸車ユニット15Bの戸車軸17Bにおける係合溝17aと係合段部17bの間を、上下方向に移動自在となるように構成されてり、当該ピニオン30を移動させることにより、容易に、固定ラック41と可動ラック42と、上記ピニオン30との噛合及び解除を行わせることができる。したがって、戸先側引戸10及び戸尻側引戸20の取り付け及び取り外しが容易になることから、取付時及び不具合時等の調整作業の際の負担を軽減させることができる。
【0042】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能である。
【0043】
例えば、本収納型連動式引戸の適用対象である引戸、及び引戸連動装置を構成する固定棒状歯車部材、円筒歯車部材、可動棒状歯車部材についての仕様、材質、寸法、形状、取付位置等に関しては、基本的な構成を備えていれば、種々の構造を用いることができる。例えば、引戸の材質は、スチール製、木製等制限はない。
【0044】
また、本実施形態では、上吊引戸を用いて説明したが、走行式であってもよく、引戸連動装置の取付位置についても、引戸の種類に応じて、上部及び下部等制限はない。加えて、第一案内部材は、引戸の形態により、戸枠の適宜の位置に設けることができる。
【0045】
また、円筒歯車部材の数及びその設置位置についても制限はない。但し、円筒歯車部材は、戸尻側引戸の戸先側の先端近傍に設けることが、戸先側引戸との連動動作の範囲を長くすることができることから好適である。
【0046】
また、可動棒状歯車部材の保持部材の数及び取付位置についても制限はなく、可動棒状歯車部材は、第二案内部材に着脱自在に設けられているものであってもよい。
さらに、第一位置決め手段を、支持軸(戸車軸)の係合溝と、円筒歯車部材の係合突起(ピニオンの係合爪)との組み合わせによる構成としたが、支持軸のみに出没自在なストッパ部材を設ける等の構成とするもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0047】
H 収納型連動式引戸
F 戸袋(第二引戸の収納部)
R 引戸連動装置
5 上框ガイドレール(第一案内部材)
6 (上框)上部レール
7 (上框)下部レール
7a 外側溝形部
9 可動ガイドレール(第二案内部材)
9a 内側溝形部
10 戸先側引戸(第一引戸)
11,21 引戸本体
15A~15C 戸車ユニット
17(17B) 戸車軸(円筒歯車部材の支持部材)
17a 係合溝(第一位置決め手段)
17b 係合段部(第二位置決め手段)
20 戸尻側引戸(第二引戸)
22 収納空間
30 ピニオン(円筒歯車部材)
31 歯車部
32a 係合爪(第一位置決め手段)
41 固定ラック(固定棒状歯車部材)
42 可動ラック(可動棒状歯車部材)