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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】物品向き変換装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/244 20060101AFI20220526BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
B65G47/244
B65G47/248 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017151811
(22)【出願日】2017-08-04
(65)【公開番号】P2019031351
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-07-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592127965
【氏名又は名称】NKE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(72)【発明者】
【氏名】三原 潤一
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-020422(JP,A)
【文献】特開平05-051123(JP,A)
【文献】米国特許第05261520(US,A)
【文献】登録実用新案第3090636(JP,U)
【文献】特表2015-530931(JP,A)
【文献】国際公開第2017/039765(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/22-47/32
B65G 47/84
B42C 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア上の物品を前記コンベアの載置面に載置した状態で前記載置面と直交する直交軸で旋回させて、前記物品の向きを第1向きから第2向きへと変換する物品向き変換装置であって、
前記コンベアの載置面に接する仮想円と同心である同心円周上を移動自在であって前記同心円の径方向を旋回軸として旋回自在に支持され且つ一対の対向面を有する回転移動体と、
前記同心円周上を移動する前記回転移動体の前記一対の対向面間に前記物品が位置すると前記回転移動体を前記旋回軸廻りに旋回させる旋回ユニットと
を備え
前記回転移動体を含む変換ユニットは、前記回転移動体を旋回自在に支持する支持機構を備え、
前記支持機構は、前記同心円の中心に配された回転軸から前記径方向に延伸し、
前記旋回ユニットは、旋回開始位置に向かって移動する前記回転移動体又は前記回転移動体に設けられた部材に当接して前記回転移動体を第1旋回方向に旋回させる第1当接部と、前記旋回開始位置から離れた位置で前記回転移動体又は前記回転移動体に設けられた部材に当接して前記第1旋回方向に旋回した状態の前記回転移動体を前記第1旋回方向と反対方向の第2旋回方向に旋回させる第2当接部とを有し、
前記変換ユニットは、前記回転移動体の前記第1旋回方向の旋回を第1位置で規制する第1旋回規制部と、前記回転移動体の前記第2旋回方向の旋回を第2位置で規制する第2旋回規制部とを備え、
前記変換ユニットには、前記回転移動体が旋回中において、第3位置をこえると進行方向に旋回を付勢する付勢機構が設けられている
物品向き変換装置。
【請求項2】
コンベア上の物品を前記コンベアの載置面に載置した状態で前記載置面と直交する直交軸で旋回させて、前記物品の向きを第1向きから第2向きへと変換する物品向き変換装置であって、
前記コンベアの載置面に接する仮想円と同心である同心円周上を移動自在であって前記同心円の径方向を旋回軸として旋回自在に支持され且つ一対の対向面を有する回転移動体と、
前記同心円周上を移動する前記回転移動体の前記一対の対向面間に前記物品が位置すると前記回転移動体を前記旋回軸廻りに旋回させる旋回ユニットと
を備え
前記回転移動体を含む変換ユニットは、前記回転移動体を旋回自在に支持する支持機構を備え、
前記支持機構は、前記同心円の中心に配され且つ駆動モータに連結された回転軸体から前記径方向に延伸する状態で前記回転軸体に設けられ、
前記旋回ユニットは、旋回開始位置に向かって移動する前記回転移動体又は前記回転移動体に設けられた部材に当接して前記回転移動体を第1旋回方向に旋回させる第1当接部と、前記旋回開始位置から離れた位置で前記回転移動体又は前記回転移動体に設けられた部材に当接して前記第1旋回方向に旋回した状態の前記回転移動体を前記第1旋回方向と反対方向の第2旋回方向に旋回させる第2当接部とを有し、
前記変換ユニットは、前記回転移動体の前記第1旋回方向の旋回を第1位置で規制する第1旋回規制部と、前記回転移動体の前記第2旋回方向の旋回を第2位置で規制する第2旋回規制部とを備え、
前記変換ユニットには、前記回転移動体が旋回中において、第3位置をこえると進行方向に旋回を付勢する付勢機構が設けられている
物品向き変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア上の物品の向きを変換させる向き変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品の向きを180度反転させる反転装置として、例えば、コンベアによって搬送される製品の前後の向きを反転させる反転装置であって、製品の左右の側面を案内するガイド壁を備え、前後に開口部を有する回転ガイドと、該回転ガイドをその中心近辺の垂直軸まわりに180度回転させる回転駆動機構と、前記回転ガイドの少なくとも一方の開口部に、開口部を開閉するように設けられ、回転ガイドと共に回転するストッパ用のピンと、該ストッパ用のピンを開閉操作する開閉駆動機構とを有する装置が提案されている(例えば特許文献1)。
なお、反転装置は、製品を180度反転させているが、例えば、回転ガイドを90度回転させると、製品の向きが90度変更することとなり、製品や物品の向きを変更(変換)させる向き変換装置としても利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-51123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の反転装置は、回転ガイドの回転が終わるまで次の製品の反転ができず、反転させるのに効率が悪いという課題がある。
本発明が解決しようとする課題は、物品の向きを効率よく変換できる向き変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る物品向き変換装置は、コンベア上の物品を前記コンベアの載置面と直交する直交軸で旋回させて、前記物品の向きを第1向きから第2向きへと変換する物品向き変換装置において、前記コンベアの載置面と接する仮想円と同心である同心円周上を移動し且つ一対の対向面を有する回転移動体を備え、前記回転移動体は、前記一対の対向面間に前記コンベアにより搬送されてきた前記物品が位置すると、前記直交軸廻りに旋回する。
本発明の別態様に係る物品向き変換装置は、コンベア上の物品を前記コンベアの載置面と直交する直交軸で旋回させて、前記物品の向きを第1向きから第2向きへと変換する物品向き変換装置において、前記コンベアの載置面に接する仮想円と同心である同心円周上を移動自在であって前記同心円の径方向を旋回軸として旋回自在に支持され且つ一対の対向面を有する回転移動体と、前記同心円周上を移動する前記回転移動体の前記一対の対向面間に前記物品が位置すると前記回転移動体を前記旋回軸廻りに旋回させる旋回ユニットとを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コンベアの載置面と接する仮想円と同心である同心円周上を移動する回転移動体が旋回するため、物品の搬送を停める必要がなく、物品の向きを効率よく変換できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る向き変換装置が組み込まれた処理装置の斜視図である。
図2】処理装置の平面図である。
図3】向き変換装置の斜視図である。
図4】向き変換装置の側面図である。
図5】変換ユニットの斜め上方から見た斜視図である。
図6】変換ユニットの斜め下方から見た斜視図である。
図7】回転軸から外した状態の変換ユニットの側面図である。
図8】変換ユニットの拡大断面図である。
図9】(a)は図7のA-A断面を矢印方向から見た図であり、(b)は図7のB-B断面を矢印方向から見た図である。
図10】旋回開始直後の回転移動体の様子を斜め上方から見た図である。
図11】旋回開始直後の回転移動体の様子を斜め下方から見た図である。
図12】旋回中の回転移動体の様子を斜め上方から見た図である。
図13】旋回中の回転移動体の様子を斜め下方から見た図である。
図14】旋回終了前の回転移動体の様子を斜め上方から見た図である。
図15】旋回終了前の回転移動体の様子を斜め下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の別態様に係る物品向き変換装置において、前記回転移動体を含む変換ユニットは、前記回転移動体を旋回自在に支持する支持機構を備え、前記支持機構は、前記同心円の中心に配された回転軸から前記径方向に延伸する。これにより、回転移動体の前記同心円周上の移動を簡単な構造で実施できる。
実施形態の別態様に係る物品向き変換装置において、前記旋回ユニットは、旋回開始位置に向かって移動する前記回転移動体又は前記回転移動体に設けられた部材に当接して前記回転移動体を第1旋回方向に旋回させる第1当接部と、前記旋回開始位置から離れた位置で前記回転移動体又は前記回転移動体に設けられた部材に当接して前記第1旋回方向に旋回した状態の前記回転移動体を前記第1旋回方向と反対方向の第2旋回方向に旋回させる第2当接部とを有する。これにより、回転移動体の旋回を簡単な構造で実施できる。
実施形態の別態様に係る物品向き変換装置において、前記変換ユニットは、前記回転移動体の前記第1旋回方向の旋回を第1位置で規制する第1旋回規制部と、前記回転移動体の前記第2旋回方向の旋回を第2位置で規制する第2旋回規制部とを備える。これにより、回転移動体の旋回を正確に行うことができる。
実施形態の別態様に係る物品向き変換装置において、前記変換ユニットには、前記回転移動体が旋回中において、第3位置をこえると進行方向に旋回を付勢する付勢機構が設けられている。これにより、回転移動体の旋回を素早く行うことができる。
【0009】
<実施形態>
以下に実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
1.全体構成
実施形態に係る物品の向き変換装置(以下、単に「変換装置」とする)は、例えば、ベルトコンベア上を搬送される物品の向きを変換する。
変換装置1は、図1及び図2に示すように、ベルトコンベア21上を搬送する物品に対して処理を行なう処理装置Xに組み込まれる。処理装置Xとしては、例えば、物品Yに印刷する印字処理や、物品Yを包装する包装処理等を行う。ここでの処理装置Xは、印処理を行う印字装置3と、包装処理を行う包装装置4とを備える。
処理装置Xは、各種ユニットを支持するベース5、ベース5に設けられ且つベルトコンベア21を備える搬送装置2、ベルトコンベア21により搬送される物品Y(図2参照)を整列する整列装置6、各装置を制御する制御装置7をさらに備える。物品Yは例えば直方体状をしている。
以下、本発明の変換装置1について説明する。
【0011】
2.変換装置
(1)概要
変換装置1は、図2に示すように、長手方向が搬送方向と平行な状態の物品Y1の向きを、長手方向が搬送方向と直交する状態の物品Y2のように、変換する。なお、物品Yの長手方向が搬送方向と平行な向きを「第1向き」とし、物品Yの長手方向が搬送方向に対して傾斜する方向(ここでは、直交する方向)を「第2向き」とする。
変換装置1は、図3及び図4に示すように、フレーム11と、フレーム11に回転自在に支持された回転軸12と、回転軸12を回転させる駆動モータ13と、回転軸12に取り付けられ且つ回転移動体15を回転移動自在であって旋回自在に備える変換ユニット14と、回転移動体15を旋回させる旋回ユニットとを備える。
ここで、物品Yの向きを第1向きから第2向きへと変換させる回転移動体15の旋回方向を行き方向とし、行き方向と反対向きの旋回方向を戻り方向とする。なお、行き方向は本発明の「第1旋回方向」の一例に相当し、戻り方向は本発明の「第2旋回方向」の一例である。
旋回ユニットとして、図4に示すように、回転移動体15を行き方向に旋回させる行き旋回ユニット19Aが少なくともあり、ここでは戻り方向に旋回させる戻り旋回ユニット19Bもある。
なお、ここでは、変換ユニット14は、回転軸12に対してその周方向に間隔(等間隔)をおいて複数個設けられている。
【0012】
フレーム11は、ここでは門型状をし、一対の側板111,112と、側板111,112の一端を連結する連結板113を備える。側板111,112の他端は、図1に示すように、ベース5の取付板51に載置状態で固定されている。ここでは、側板111,112の他端は下端であり、一端は上端であり、連結板113は天板となる。
側板111,112には回転軸12を回転自在に支持する軸受部115が設けられている。図3に示すように、側板111には、駆動モータ13が「コ」字状の取付具116を介して取り付けられ、駆動モータ13の駆動軸131がカップリング132を介して回転軸12に連結されている。
以下、変換ユニット14及び旋回ユニット19A,19Bについて詳細に説明する。
【0013】
(2)変換ユニット
変換ユニット14は複数個(6個)あり、これらの変換ユニット14は同じ構成をしている。このため、1つの変換ユニット14について説明する。
変換ユニット14は、ベルトコンベア21の外周面(物品Yを載置する載置面)と接する仮想円と同心である円の同心円周上を移動する回転移動体15を備える。回転移動体15が移動する円周の中心は回転軸12の中心軸と一致する。
回転移動体15は一対の対向面を有し、回転移動している回転移動体15の一対の対向面間にベルトコンベア21により搬送されてきた物品Y1が位置すると、ベルトコンベア21の外周面と直交する直交軸廻りに旋回する。これにより物品Y1の向きが変換される。
ここで同心円周上を移動している回転移動体15において、一対の対向面間に物品Y1が位置する位置を旋回開始位置とし、完全に回転移動体141が旋回し終わる位置を旋回終了位置とする。また、ベルトコンベア21の載置面と直交する直交軸は、同心円の径方向と一致し、旋回中心軸ともいう。
【0014】
以下、図5図7を用いて説明する。
変換ユニット14は、上述の回転移動体15と、回転移動体15を旋回自在に支持する支持機構16とを備える。変換ユニット14は、回転移動体15が旋回したときに所定位置でその旋回を規制する旋回規制機構17を備える。変換ユニット14は、回転移動体15が旋回したときに所定位置を超えるとその旋回方向に付勢する付勢機構18を備える。
【0015】
(2-1)回転移動体
回転移動体15は、一対の対向面を有し且つ断面が「コ」字状をするチャンネル材151と、チャンネル材151に固定される旋回軸152とを備える。
チャンネル材151は、互いに対向する状態で配される対向板部151aと、一対の対向板部151aにおける回転軸12側に位置する他端部を連結する連結板部151bとを有している。なお、対向板部151aは、他端部の中央部分が連結板部151bで連結されており、連結されていない部分151cが対向する側と反対側に広がっている。これにより、一対の対向板部151a間に物品Yが位置しやすくなる。なお、一対の対向板部151aにおいて、旋回開始位置に向かって進行している状態で、進行側に存在する一対の対向板部151aの端部間を受入口151eとする。
【0016】
旋回軸152は、図8に示すように、大径部152aと小径軸部152bとを有している。大径部152aは、ねじ等の固定具154を利用して連結板部151bに固定されている。小径軸部152bは、後述の支持機構16の連結板161の板部161aの貫通孔161cに挿入され、軸受164により旋回自在に支持されている。
なお、旋回軸152とチャンネル材151の固定は、旋回軸152の大径部152aの凸部分152cが連結板部151bの貫通孔151dに嵌合する状態で行われる。
【0017】
(2-2)支持機構
支持機構16は、図5及び図6に示すように、回転軸12から同心円の径方向に延伸する。回転移動体15が旋回開始位置を超えて旋回開始位置近傍にあるとき、支持機構16はベルトコンベア21の載置面と略直交する。
【0018】
一例としての支持機構16は、一対のスティ160と、一対のスティ160を連結する連結板161とを有している。一対のスティ160は回転軸12の延伸する方向に間隔をおいて設けられている。
1本のスティ160は、回転軸12側に配される第1スティ160Aと、第1スティ160Aにおける回転軸12と反対側に配される第2スティ160Bとを有する。これにより、例えば、第1スティ160Aや第2スティ160Bを長さの異なる他のスティに交換することで、スティ160の長さを調整でき、変換装置1の適用範囲を広げることができる。
第1スティ160Aは回転軸12における多角柱部121に固定される。ここでは、多角柱部121の断面形状は、支持機構16の本数に対応した多角柱状をし、ここでは六角柱状をしている。これにより、複数本の支持機構16を回転軸12の周方向に等間隔をおいて容易に配置できる。なお、多角柱部121は交換可能であり、支持機構16の本数に対応した多角柱部121を準備することで、複数の支持機構16のピッチを容易に調整できる。
一対の第2スティ160Bにおける回転軸12と反対側端部が連結板161に固定されている。第1スティ160Aと第2スティ160Bとの間には、第1スティ160Aと第2スティ160Bとに跨るように、中間板162が設けられている。これにより、支持機構16を補強できると共に軽量化できる。
【0019】
連結板161は、図5及び図8に示すように、一対のスティ160に固定される方向(回転軸12の延伸方向と平行な方向である)に長い矩形状に近い形状の板部161aと、板部161aの中央部分から回転軸12側に柱状に突出する柱状部161bとを有している。連結板161は、図8に示すように、板部161aと柱状部161bとを貫通する貫通孔161cを有する。
貫通孔161cは、図8に示すように、貫通方向の中央部分から中心側へと張出す段差部分161dを有する段付き孔である。貫通孔161cにおける段差部分161dに対して貫通方向の両側部分に軸受164,164が配されている。
連結板161は回転移動体15の旋回軸152を回転自在に固定(支持)する。具体的には、図8に示すように、回転移動体15の旋回軸152の小径軸部152bが連結板161の貫通孔161cに挿入され、小径軸部152bが貫通孔161c内の軸受164,164により回転自在に支持されている。
【0020】
(2-3)旋回規制機構
旋回開始位置での回転移動体15の姿勢は、一対の対向板部151aの内面がベルトコンベア21の搬送方向と平行となる姿勢であり、この姿勢を変換前姿勢とする。旋回終了位置での回転移動体15の姿勢は、一対の対向板部151aの内面がベルトコンベア21の搬送方向と直交する姿勢であり、この姿勢を変換後姿勢とする。
旋回規制機構17は、図9に示すように、回転移動体15の戻り方向の旋回を規制する戻り側旋回規制機構17Aと、回転移動体15の行き方向の旋回を規制する行き側旋回規制機構17Bとを有する。なお、行き側旋回規制機構17Bは本発明の「第1旋回規制部」の一例に相当し、戻り側旋回規制機構17Aは本発明の「第2旋回規制部」の一例に位相当する。
戻り側旋回規制機構17Aと行き側旋回規制機構17Bとは、旋回する回転移動体15又は回転移動体15に設けられた部材に、支持機構16又は支持機構16に設けられた当接部材が当接することで、旋回を規制している。
【0021】
具体的には、図7図9の(a)に示すように、回転移動体15には延伸棒171A,171Bが2本設けられ、連結板161には当接部材172A,172Bが2個設けられている。延伸棒171A,171Bは旋回軸152の(旋回)中心軸から径方向に延伸する。当接部材172A,172Bは連結板161から回転移動体15側に延出する。
戻り側旋回規制機構17Aは、図7及び図9の(a)に示すように、回転移動体15の姿勢が変換前姿勢となる位置(本発明の「第2位置」の一例に相当する)で旋回するのを規制し、延伸棒171Aと当接部材172Aとから構成される。なお、延伸棒171Aと当接部材172Aとは、互いに当接する状態において回転移動体15の姿勢が変換前姿勢となるように、設けられている。
行き側旋回規制機構17Bは、回転移動体15の姿勢が変換後姿勢となる位置(本発明の「第1位置」の一例に相当する)で旋回するのを規制し、延伸棒171Bと当接部材172Bとから構成される。なお、延伸棒171Bと当接部材172Bとは、互いに当接する状態において回転移動体15の姿勢が変換後姿勢となるように、設けられている。
【0022】
物品Yの向きを変換する際には、戻り側旋回規制機構17Aの延伸棒171Aが当接部材172Aに当接する状態(変換前姿勢である)から、延伸棒171Aが当接部材172Aから離れる方向に回転移動体15が旋回し(物品Yの向きを変換中である)、やがて、行き側旋回規制機構17Bの延伸棒171Bが当接部材172Bに当接して旋回が停止した状態(変換後姿勢である)となる。
逆に、回転移動体15の姿勢を変換後姿勢から変換前姿勢に戻す際には、行き側旋回規制機構17Bの延伸棒171Bが当接部材172Bに当接する状態(変換後姿勢である)から、延伸棒171Bが当接部材172Bから離れる方向に回転移動体15が旋回し、やがて、戻り側旋回規制機構17Aの延伸棒171Aが当接部材172Aに当接して旋回が停止した状態(変換前姿勢である)となる。
【0023】
当接部材172A,172Bは円柱状をし、連結板161側の端面から延出する雄ねじが連結板161のねじ孔に螺合する。2個の当接部材172A,172Bは、図9に示すように、回転軸12の延伸方向と平行に間隔をおいて設けられている。つまり、2個の当接部材172A,172Bは連結板161の長手方向に間隔をおいて設けられている。これにより連結板161を小型化できる。
2個の当接部材172A,172Bは、回転移動体15側から見ると(図9の(a)参照)、旋回軸152における中心を通り且つ同心円が含まれる仮想面と平行(回転軸12と直交する)な仮想線に対して線対称となる位置に、設けられている。これにより、支持機構16の荷重バランスを旋回軸152の中心に対して回転軸12の延伸方向両側で等しくできる。
なお、延伸棒171A,171Bは、後述の旋回ユニット19A,19Bの一部を構成する。
【0024】
(2-4)付勢機構
付勢機構18は、回転移動体15が旋回中において、旋回開始位置よりも旋回終了位置に近づくと旋回終了位置への旋回を付勢し、かつ、旋回終了位置よりも旋回開始位置に近づくと旋回開始位置への旋回を付勢する。建言すると、付勢機構18は、回転移動体15の旋回中において、第3位置を超えるとその旋回している方向に付勢する。
付勢機構18は支持機構16における連結板161の回転軸12側に設けられ(図7参照)、旋回規制機構17A,17Bは連結板161の回転軸12と反対側に設けられている(図4及び図7参照)。これにより、付勢機構18と旋回規制機構17A,17Bとが干渉するようなことを無くすることができる。
付勢機構18は、回転移動体15に連結され且つ回転移動体15と一体で旋回する旋回体181と、支持機構16の一部(ここでは、中間板162である)と、旋回体181と支持機構16とに架設されたバネ体183とを備える。
旋回体181は、図8に示すように回転移動体15の旋回軸152の小径軸部152bの先端部に取り付けられる取付部181aと、図9に示すように取付部181aから径方向に延伸する延伸部181bとを備える。
【0025】
延伸部181bは、図9の(a)に示すように、旋回規制機構17を構成する2本の延伸棒171A,171B間から径方向に延伸するように設けられている。延伸部181bは、延伸棒171A(の中心軸)と延伸棒171B(の中心軸)と旋回中心軸とを結ぶ角を2等分するように設けられている。
バネ体183の他端は、図8に示すように支持機構16の一部である中間板162に取付具186を介して固定される。取付具186は、図5に示すように、中間板162における張出部162bに設けられている。固定位置は、図9の(b)に示すように、旋回中心軸の延伸方向を回転軸12側から見たときに、2個の当接部材172A,172Bの中間にある。
【0026】
回転移動体15の姿勢が変換前姿勢と変換後姿勢との丁度中間の状態にあるとき(この姿勢を「中間姿勢」とする)に、回転軸12側から見ると、バネ体183が旋回中心軸を通るように、付勢機構18が設けられている。つまり、回転移動体15の姿勢が中間姿勢にあるときに、回転軸12側から見ると、バネ体183の他端の取付具186とバネ体183の一端の取付具185とが旋回中心軸を通る一直線上であって旋回中心軸を挟んで取付具185,186が存在するように、付勢機構18が設けられている。
これにより、回転移動体15が中間姿勢のとき、つまり、延伸部181bが、当接部材172A,172B間であって旋回中心軸廻りの中間位置するときは回転移動体15を旋回方向のどの向きにも付勢せず、当接部材172A,172B間であって旋回中心軸の周方向の中間位置より当接部材172Bに近いときは回転移動体15を当接部材172Bに近づけるように付勢し、当接部材172A,172B間であって旋回中心軸の周方向の中間位置より当接部材172Aに近いときは回転移動体15を当接部材172Aに近づけるように付勢する。なお、回転移動体15が中間姿勢となる位置が第3位置の異例に相当する。
【0027】
付勢機構18は、延伸棒171Aと当接部材172Aとが当接する状態では、この延伸棒171Aを当接部材172Aに押圧するように付勢し、延伸棒171Bと当接部材172Bとが当接する状態では、この延伸棒171Bを当接部材172Bに押圧するように付勢する。これにより、回転移動体15が同心円周上を移動するときに、回転移動体15が旋回方向にガタつくのを防止できる。
【0028】
(3)旋回ユニット
回転移動体15は回転軸12の回転により同心円周上を移動する。この際、付勢機構18がないと回転移動体15は旋回中心軸廻りに旋回自在となる。旋回ユニット19A,19Bは、同心円周上を移動する回転移動体15又は回転移動体15に設けられた部材に当接することで、回転移動体15を旋回させる。
一例としての旋回ユニットは、図4に示すように、回転移動体15を変換前姿勢の状態から変換後姿勢の状態に旋回させる、つまり、行き方向に旋回させる行き旋回ユニット19Aと、回転移動体15を変換後姿勢の状態から変換前姿勢の状態に逆旋回させる、つまり、戻り方向に旋回させる戻り旋回ユニット19Bとがある。
【0029】
行き旋回ユニット19A及び戻り旋回ユニット19Bは、回転移動体15に設けられた当たり棒と、当たり棒に当接して回転移動体を旋回させる当たり具191A、191Bとを有している。ここでは、当たり棒は、旋回規制機構17の延伸棒171A、171Bにより構成されている。このため、当たり棒を延伸棒とし、符号も171A,171Bとする。
延伸棒171A,171Bの長さは、回転移動体15の旋回を開始させるために、当接部材172A,172Bと当接でき、延伸棒171A,171Bを含めた回転移動体15の旋回が所定角度になると、当接部材172A,172Bと当接しなくなるように設定されている。なお、所定角度は、回転移動体15の旋回を開始し、旋回における進行方向への付勢力が付勢機構18により作用するようになる角度以上である。
【0030】
行き旋回ユニット19Aの当たり具191Aは、図4に示すように、旋回開始位置を通過する回転移動体15に設けられた延伸棒171Aと当接する位置に設けられ、ここでは、駆動モータ13が配されている側と反対側に位置する側板112に設けられている。当たり具191Aは本発明の「第1当接部」の一例に相当する。
戻り旋回ユニット19Bの当たり具191Bは、変換後姿勢の回転移動体15が通過する領域で回転移動体15に設けられた延伸棒171Bと当接する位置に設けられ、ここでは、駆動モータ13が配されている側に位置する側板111に設けられている。当たり具191Bは本発明の「第2当接部」の一例に相当する。当たり具191Bは、回転軸12の延伸方向から見ると、同心円の中心に対して当たり具191Aと点対称の位置にある。
【0031】
3.動作
変換装置1の動作について、図10から図15を用いて説明する。
なお、図10から図15では旋回ユニット19A,19Bの様子が分かるように、フレーム11の側板112と連結板113を取り外した状態で示している。また、ベルトコンベア21や物品Yの図示も省略している。
なお、図10図11図12図13図14図15は、それぞれの回転移動体15の姿勢は同じである。
6個の変換ユニット14は回転軸12の回転により円周上を移動し、回転移動体15の外周端がベルトコンベア21の載置面と略接する。
変換前姿勢の回転移動体15が移動する軌道と、ベルトコンベア21に搬送されている物品Y(図2参照)の軌道とは一致するように、変換装置1が処理装置Xに組み込まれている。
回転軸12の回転速度、ベルトコンベア21の搬送速度は、複数の回転移動体15が変換開始位置に達する間隔と、ベルトコンベア21上の複数の物品が変換開始位置に搬送される間隔と一致するように、設定されている。
【0032】
(1)旋回開始前から旋回開始直後
回転移動体15Aが変換開始位置に達する前は、図10及び図11に示すように、回転移動体15Aのチャンネル材151の受入口151eが回転移動体15Aの進行方向に向いた状態で回転移動している。
変換開始位置に近づいた回転移動体15Bは、図11に示すように、延伸棒171Aが当たり具191Aに当接して、図11中のR1方向に旋回を開始する。なお、この際、チャンネル材151の一対の対向板部151a間に物品Yが存在する。
一方、図10に示すように、変換後姿勢の回転移動体15Cは、変換前姿勢に戻るように、延伸棒171Bが当たり具191Bに当接して、図10中のR2方向に旋回を開始する。
なお、回転軸12の回転駆動力は、付勢機構18により回転移動体15B,15Cに作用する旋回方向と反対方向への付勢力よりも大きい。
【0033】
(2)旋回中
旋回中の回転移動体15B,15Cは、図12及び図13に示すように、延伸棒171A,171Bが当たり具191A,191Bに当接して、旋回を続ける。
(3)旋回方向への付勢力発生
回転移動体15Bの旋回中に、回転移動体15Bに設けられている付勢機構18の延伸部181bが当接部材172A,172B間の中央(第3位置)に達すると、付勢機構18によって発生していた付勢力が旋回方向の反対方向から旋回方向へと逆転し、回転移動体15Bに設けられた延伸棒171Bが連結板161に設けられた当接部材172Bに当接するまで旋回する。
この際、付勢機構18の付勢力の向きが逆転することで、回転移動体15B,15Cの旋回速度が増加し、チャンネル材151の一対の対向板部151aが物品Y1から離れる前に旋回を終了する。つまり、物品Y1が一対の対向板部151a間に存在する間に、その向きを変換できる。
【0034】
一方、回転移動体15Cの旋回中に、回転移動体15Cに設けられている付勢機構18の延伸部181bが当接部材172A,172B間の中央(第3位置)に達すると、付勢機構18によって発生していた付勢力が旋回方向の反対方向から旋回方向へと逆転し、回転移動体15Cに設けられた延伸棒171Aが連結板161に設けられた当接部材172Aに当接するまで旋回する。
【0035】
(4)旋回終了
行き方向の旋回を終了した回転移動体15Bは、回転軸12の回転より、戻り旋回ユニット19Bに近づき、図10中の回転移動体15Cのように、戻り方向へと旋回を開始する。
一方、戻り方向の旋回を終了した回転移動体15Cは、回転軸12の回転より、行き旋回ユニット19Aに近づき、図11中の回転移動体15Bのように、行き方向へと旋回を開始する。
【0036】
<変形例>
以上、一実施形態に係る向き変換装置について説明したが、この実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例とを組み合わせたものでもよいし、変形例同士を組み合わせたものでもよい。また、実施形態や変形例に記載していない例や要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0037】
(1)回転軸12は、フレーム11の側板111,112を利用して軸方向の2点で支持されている。しかしながら、回転軸は、例えば、側板111側の1点で支持されてもよい。
実施形態では、他の装置(例えば、印字装置、搬送装置)との関係でフレーム11を備えていたが、回転軸を支持できればフレームはなくてもよい。
【0038】
(2)駆動モータ13は回転軸12にカップリング132を介して駆動を伝達している。しかしながら、カップリング132以外の手段、例えば、歯車やベルト等を使って駆動を伝達するようにしてもよい。
(3)変換ユニット14は複数個あるが、すべての変換ユニット14で物品Yの向きを変換するようにしてもよいし、すべての変換ユニット14を利用せずに1個又は複数個飛ばしで行ってもよい。つまり、複数個の回転移動体15の内、当該複数個よりも少ない個数の回転移動体を利用して物品の向きを変換してもよい。
【0039】
(4)支持機構16は一対のスティ160を有していたが、一本のスティ160により構成してもよい。この場合連結板161は一本のスティで支持される。支持機構16は中間板162を備えているが、中間板を備えない構成としてもよい。
【0040】
(5)旋回規制機構17は、延伸棒171A,171Bを回転移動体15の旋回軸152に設けているが、例えば、チャンネル材151に設けてもよい。また、例えば、回転移動体15の旋回軸の大径部の形状を、大径部が当接部材172A,172Bに直接当接するような形状にすることで、延伸棒を無くしてもよい。
また、当接部材172A,172Bを連結板161におけるチャンネル材151側に設け、チャンネル材と当接部材とが直接当接するようにしてもよい。
【0041】
(6)旋回規制機構17は、延伸棒171A,171Bを回転移動体15の旋回軸152に設けているが、例えば、チャンネル材151に設けてもよい。また、例えば、回転移動体15の旋回軸の大径部の形状を、大径部が当接部材172A,172Bに直接当接するような形状にすることで、延伸棒を無くしてもよい。
また、当接部材172A,172Bを連結板161におけるチャンネル材151側に設け、チャンネル材と当接部材とが直接当接するようにしてもよい。
【0042】
(7)付勢機構18の旋回体181は旋回軸152の小径軸部152bに設けられているが、大径部152aに設けてもよいし、大径部の形状を旋回体181の延伸部181bを含んだような形状としてもよい。
付勢機構18は、回転移動体15の旋回が、旋回開始から旋回終了までの旋回における中央(第3位置)に達したときに、旋回方向におけるバネ体183の付勢方向が変わる。しかしながら、付勢方向が変わる位置は、中央でなくてもよく、中央の手前位置であってもよいし、中央を超えた位置であってもよい。
【0043】
(8)回転軸の回転方向及び回転移動体の旋回方向は、物品の搬送方向及び物品の向きを変換させる方向等によって適宜決定すればよい。例えば、行き旋回ユニット19Aの当たり具191Aを側板111に設けてもよい。この場合、物品の向き変換方向が実施形態での変換方向と逆方向となる。なお、回転軸の回転方向を実施形態と逆回転にすれば、当たり具191Aを側板111に設けても物品の向き変換方向は実施形態で説明した向き変換方向と同じになる。
(9)物品の向きを変換させる方向は各物品に対応して変更してもよい。例えば、第1の物品はその向きを第1方向に変換し、第2の物品はその向きを第1方向と反対方向である第2方向に変換するようにしてもよい。このように向き変換を自在とする装置は、例えば、当たり具を伸縮自在に側板111,112に設け、センサ等の信号により何れか一方の当たり具が伸長して延伸棒に当接するように構成することで、実施できる。なお、上記の第1の物品及び第2の物品は、同じ仕様の物品であってもよいし、異なる仕様の物品であってもよい。
(10)実施形態の物品の向きの変換は、90[度]に設定されているが、他の角度であっても良いし、物品の変換角度は、一定角度でなく、各物品に対応して変更してもよい。このように向きの変換角度を自在とする装置は、例えば、当たり具を伸縮自在に側板に設け、センサ等の信号により、伸長量を変化するように構成することで、実施できる。
【符号の説明】
【0044】
1 向き変換装置
12 回転軸
14 変換ユニット
15 回転移動体
16 支持機構
17A 戻り側旋回規制機構
17B 行き側旋回規制機構
18 付勢機構
19 旋回ユニット
21 ベルトコンベア
Y 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15