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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
A63F7/02 320
A63F7/02 315Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017218151
(22)【出願日】2017-11-13
(65)【公開番号】P2019088378
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000241234
【氏名又は名称】豊丸産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】西垣 勝太
【審査官】中野 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017554(JP,A)
【文献】特開2018-089289(JP,A)
【文献】特開2018-089019(JP,A)
【文献】特開2017-196091(JP,A)
【文献】特開2018-089241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置から発射された遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過することが可能な第一始動領域と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過し難い閉鎖状態と、遊技球が入賞又は通過し易い開放状態とに変化可能な第二始動領域と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な特定領域を有し、遊技球の前記特定領域の通過が許容される許容状態と、遊技球の前記特定領域の通過が規制される規制状態とに変化可能な遊技部材と、
通常状態と、前記通常状態よりも前記第二始動領域が前記開放状態に変化し易い時短状態との何れかに、遊技状態を制御する状態制御手段と、
遊技球が前記第一始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第一乱数を取得する第一乱数取得手段と、
前記第一乱数取得手段によって取得された前記第一乱数を記憶する第一乱数記憶手段と、
前記第一乱数記憶手段によって記憶された前記第一乱数に基づいて、第一当たり判定を実行する第一判定手段と、
第一図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第一当たり判定の結果を報知する第一図柄変動報知を実行する第一報知手段と、
前記第一図柄変動報知によって前記第一当たり判定の結果が第一当たりであることが報知された場合、遊技者に有利な第一当たり遊技を実行する第一当たり遊技実行手段と、
遊技球が前記第二始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第二乱数を取得する第二乱数取得手段と、
前記第二乱数取得手段によって取得された前記第二乱数を記憶する第二乱数記憶手段と、
前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数に基づいて、第二当たり判定を実行する第二判定手段と、
第二図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第二当たり判定の結果を報知する第二図柄変動報知を実行する第二報知手段と、
前記第二報知手段による前記第二図柄変動報知の実行時間である変動時間を複数記憶する時間記憶手段と、
前記時間記憶手段に記憶された複数の前記変動時間の中からいずれかを決定する決定手段と、
前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が第二当たりであることが報知された場合、前記遊技部材を前記許容状態に変化させる第二当たり遊技を実行する第二当たり遊技実行手段と、
遊技球が前記特定領域を通過した場合、遊技者に有利な第三当たり遊技を実行する第三当たり遊技実行手段と
を備え、
前記第二乱数記憶手段は、前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数であり、且つ前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が未だ報知されていない前記第二乱数である保留乱数を記憶可能であり、

前記状態制御手段は、所定条件が満たされた場合、前記第一当たり遊技及び前記第三当たり遊技の少なくとも一つである対象当たり遊技が実行された後に、遊技状態を前記時短状態に含まれる特定時短状態に制御し、前記特定時短状態の実行中に所定の終了条件を満たした場合に、遊技状態を前記通常状態に制御し、
前記終了条件は、前記対象当たり遊技が実行された後、初めて実行される1回分の前記第二図柄変動報知である特定変動報知が完了することであり、
前記第二報知手段は、前記決定手段によって決定された前記変動時間である対象変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行し、
前記複数の変動時間は、
第一変動時間と、
前記変動時間よりも長い第二変動時間と
を含み、
前記決定手段は、
前記時短状態のうちで前記特定時短状態とは異なる通常時短状態の実行中に、前記第二図柄変動報知を実行する場合、前記第一変動時間を前記対象変動時間として決定し、
前記特定変動報知を実行する場合、前記第二変動時間を前記対象変動時間として決定し、
前記第二報知手段は、前記決定手段によって前記対象変動時間として決定された前記第二変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行することで、前記特定時短状態を少なくとも前記第二変動時間に亘って維持して、前記保留乱数が前記第二乱数記憶手段に記憶される頻度を向上させ、
更に、前記特定変動報知と、前記第二乱数記憶手段に記憶された前記保留乱数に基づく前記第二図柄変動報知とにおいて、遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する特殊演出を実行する特殊演出手段を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第一乱数記憶手段は、前記第一乱数記憶手段によって記憶された前記第一乱数であり、且つ前記第一図柄変動報知によって前記第一当たり判定の結果が未だ報知されていない前記第一乱数である第一保留を、第一上限数まで記憶可能であり、
前記終了条件は、前記特定時短状態の実行中に、前記第一図柄変動報知が実行された回数と前記第二図柄変動報知が実行された回数との合計値が、前記第一上限数に1加算した数量に達したことである
ことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第二乱数記憶手段は、前記保留乱数である第二保留を、第二上限数まで記憶可能であり、
前記発射装置は、所定の発射時間間隔で、遊技球を前記遊技領域に発射し、
前記第二変動時間は、少なくとも前記第二上限数と前記発射時間間隔とを乗算した値よりも大きい
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
発射装置から発射された遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過することが可能な第一始動領域と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過し難い閉鎖状態と、遊技球が入賞又は通過し易い開放状態とに変化可能な第二始動領域と、
前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な特定領域を有し、遊技球の前記特定領域の通過が許容される許容状態と、遊技球の前記特定領域の通過が規制される規制状態とに変化可能な遊技部材と、
通常状態と、前記通常状態よりも前記第二始動領域が前記開放状態に変化し易い時短状態との何れかに、遊技状態を制御する状態制御手段と、
遊技球が前記第一始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第一乱数を取得する第一乱数取得手段と、
前記第一乱数取得手段によって取得された前記第一乱数を記憶する第一乱数記憶手段と、
前記第一乱数記憶手段によって記憶された前記第一乱数に基づいて、第一当たり判定を実行する第一判定手段と、
第一図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第一当たり判定の結果を報知する第一図柄変動報知を実行する第一報知手段と、
前記第一図柄変動報知によって前記第一当たり判定の結果が第一当たりであることが報知された場合、遊技者に有利な第一当たり遊技を実行する第一当たり遊技実行手段と、
遊技球が前記第二始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第二乱数を取得する第二乱数取得手段と、
前記第二乱数取得手段によって取得された前記第二乱数を記憶する第二乱数記憶手段と、
前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数に基づいて、第二当たり判定を実行する第二判定手段と、
第二図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第二当たり判定の結果を報知する第二図柄変動報知を実行する第二報知手段と、
前記第二報知手段による前記第二図柄変動報知の実行時間である変動時間を複数記憶する時間記憶手段と、
前記時間記憶手段に記憶された複数の前記変動時間の中からいずれかを決定する決定手段と、
前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が第二当たりであることが報知された場合、前記遊技部材を前記許容状態に変化させる第二当たり遊技を実行する第二当たり遊技実行手段と、
遊技球が前記特定領域を通過した場合、遊技者に有利な第三当たり遊技を実行する第三当たり遊技実行手段と
を備え、
前記第二乱数記憶手段は、前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数であり、且つ前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が未だ報知されていない前記第二乱数である保留乱数を、所定の上限数まで記憶可能であり、

前記状態制御手段は、所定条件が満たされた場合、前記第一当たり遊技及び前記第三当たり遊技の少なくとも一つである対象当たり遊技が実行された後に、遊技状態を前記時短状態に含まれる特定時短状態に制御し、前記特定時短状態の実行中に所定の終了条件を満たした場合に、遊技状態を前記通常状態に制御し、
前記終了条件は、前記対象当たり遊技が実行された後、前記第二図柄変動報知の実行回数が、前記上限数よりも少ない所定の規定回数に達することであり、
前記第二報知手段は、前記決定手段によって決定された前記変動時間である対象変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行し、
前記複数の変動時間は、
第一変動時間と、
前記変動時間よりも長い第二変動時間と
を含み、
前記決定手段は、
前記時短状態のうちで前記特定時短状態とは異なる通常時短状態の実行中に、前記第二図柄変動報知を実行する場合、前記第一変動時間を前記対象変動時間として決定し、
前記特定時短状態において最後に実行される前記第二図柄変動報知である特定変動報知を実行する場合、前記第二変動時間を前記対象変動時間として決定し、
前記第二報知手段は、前記決定手段によって前記対象変動時間として決定された前記第二変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行することで、前記特定時短状態を少なくとも前記第二変動時間に亘って維持して、前記保留乱数が前記第二乱数記憶手段に記憶される頻度を向上させ、
更に、前記特定変動報知と、前記第二乱数記憶手段に記憶された前記保留乱数に基づく前記第二図柄変動報知とにおいて、遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する特殊演出を実行する特殊演出手段を備えた
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球を用いて遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技球を用いて遊技を行う遊技機として、所謂1種2種混合機が知られている(例えば、特許文献1参照)。一般的な1種2種混合機では、遊技球が流下する遊技領域に、常時開放されている第1始動口と、開閉可能な第2始動口とが設けられている。第1始動口又は第2始動口に遊技球が入賞すると乱数が取得され、取得された乱数に基づいて特別図柄抽選が行われ、図柄表示器で変動表示される図柄がその抽選結果を示す態様で停止表示される。図柄表示器に所定の大当たり図柄が停止表示された場合には1種大当たりとなって、大入賞口を開放する大当たり遊技が実行される。
【0003】
一方、遊技領域には、いわゆるVゾーンを含む特定領域が形成されている。第2始動口入賞を契機として実行された特別図柄抽選の結果が小当たりである場合、小当たり図柄が図柄表示器に停止表示されると、特定領域を一時的に開放する小当たり遊技が実行される。この特定領域の開放中に遊技球がVゾーンを通過した場合には2種大当たりとなって、1種大当たりの場合と同様に大当たり遊技が実行される。
【0004】
大当たり遊技が行われた後は、通常遊技状態又は時短遊技状態で遊技が制御される。時短遊技状態では、特別図柄の変動時間が相対的に短く、第2始動口が開放され易く且つその開放時間が相対的に長い。第2始動口入賞を契機とする特別図柄抽選の結果の大半が小当たりとなるため、時短遊技状態では特定領域が頻繁に開放されることになり、遊技者が比較的容易に2種大当たり引き当てることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-182391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の1種2種混合機では、大当たり遊技後に時短遊技状態へ移行した場合、Vゾーン入賞による2種大当たりを迅速に発生可能である一方、大当たり遊技後に通常遊技状態へ移行すると、即座に非時短状態となる。これに対し、所謂1種タイプの遊技機では、大当たり遊技後に通常遊技状態に移行した場合、所定変動回数分の時短状態を付与することが知られている。この時短状態が再度大当たりを引き当てることが可能な引き戻しチャンスとして機能することで、通常遊技状態への移行時に興趣の低下が抑制される。しかしながら従来の1種2種混合機では、1種タイプのような引き戻しチャンスがないため、大当たり遊技後に通常遊技状態へ移行すると遊技の興趣が低下するおそれがあった。
【0007】
本発明は、所謂1種2種混合機において、遊技者に引き戻しチャンスに付与するための新たな演出を実行できる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係る遊技機は、発射装置から発射された遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過することが可能な第一始動領域と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過し難い閉鎖状態と、遊技球が入賞又は通過し易い開放状態とに変化可能な第二始動領域と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な特定領域を有し、遊技球の前記特定領域の通過が許容される許容状態と、遊技球の前記特定領域の通過が規制される規制状態とに変化可能な遊技部材と、通常状態と、前記通常状態よりも前記第二始動領域が前記開放状態に変化し易い時短状態との何れかに、遊技状態を制御する状態制御手段と、遊技球が前記第一始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第一乱数を取得する第一乱数取得手段と、前記第一乱数取得手段によって取得された前記第一乱数を記憶する第一乱数記憶手段と、前記第一乱数記憶手段によって記憶された前記第一乱数に基づいて、第一当たり判定を実行する第一判定手段と、第一図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第一当たり判定の結果を報知する第一図柄変動報知を実行する第一報知手段と、前記第一図柄変動報知によって前記第一当たり判定の結果が第一当たりであることが報知された場合、遊技者に有利な第一当たり遊技を実行する第一当たり遊技実行手段と、遊技球が前記第二始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第二乱数を取得する第二乱数取得手段と、前記第二乱数取得手段によって取得された前記第二乱数を記憶する第二乱数記憶手段と、前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数に基づいて、第二当たり判定を実行する第二判定手段と、第二図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第二当たり判定の結果を報知する第二図柄変動報知を実行する第二報知手段と、前記第二報知手段による前記第二図柄変動報知の実行時間である変動時間を複数記憶する時間記憶手段と、前記時間記憶手段に記憶された複数の前記変動時間の中からいずれかを決定する決定手段と、前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が第二当たりであることが報知された場合、前記遊技部材を前記許容状態に変化させる第二当たり遊技を実行する第二当たり遊技実行手段と、遊技球が前記特定領域を通過した場合、遊技者に有利な第三当たり遊技を実行する第三当たり遊技実行手段とを備え、前記第二乱数記憶手段は、前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数であり、且つ前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が未だ報知されていない前記第二乱数である保留乱数を記憶可能であり、前記状態制御手段は、所定条件が満たされた場合、前記第一当たり遊技及び前記第三当たり遊技の少なくとも一つである対象当たり遊技が実行された後に、遊技状態を前記時短状態に含まれる特定時短状態に制御し、前記特定時短状態の実行中に所定の終了条件を満たした場合に、遊技状態を前記通常状態に制御し、前記終了条件は、前記対象当たり遊技が実行された後、初めて実行される1回分の前記第二図柄変動報知である特定変動報知が完了することであり、前記第二報知手段は、前記決定手段によって決定された前記変動時間である対象変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行し、前記複数の変動時間は、第一変動時間と、前記変動時間よりも長い第二変動時間とを含み、前記決定手段は、前記時短状態のうちで前記特定時短状態とは異なる通常時短状態の実行中に、前記第二図柄変動報知を実行する場合、前記第一変動時間を前記対象変動時間として決定し、前記特定変動報知を実行する場合、前記第二変動時間を前記対象変動時間として決定し、前記第二報知手段は、前記決定手段によって前記対象変動時間として決定された前記第二変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行することで、前記特定時短状態を少なくとも前記第二変動時間に亘って維持して、前記保留乱数が前記第二乱数記憶手段に記憶される頻度を向上させ、更に、前記特定変動報知と、前記第二乱数記憶手段に記憶された前記保留乱数に基づく前記第二図柄変動報知とにおいて、遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する特殊演出を実行する特殊演出手段を備える。
【0009】
本発明の第二態様に係る遊技機は、発射装置から発射された遊技球が流下可能な遊技領域が形成された遊技盤と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過することが可能な第一始動領域と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が入賞又は通過し難い閉鎖状態と、遊技球が入賞又は通過し易い開放状態とに変化可能な第二始動領域と、前記遊技領域に設けられ、遊技球が通過可能な特定領域を有し、遊技球の前記特定領域の通過が許容される許容状態と、遊技球の前記特定領域の通過が規制される規制状態とに変化可能な遊技部材と、通常状態と、前記通常状態よりも前記第二始動領域が前記開放状態に変化し易い時短状態との何れかに、遊技状態を制御する状態制御手段と、遊技球が前記第一始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第一乱数を取得する第一乱数取得手段と、前記第一乱数取得手段によって取得された前記第一乱数を記憶する第一乱数記憶手段と、前記第一乱数記憶手段によって記憶された前記第一乱数に基づいて、第一当たり判定を実行する第一判定手段と、第一図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第一当たり判定の結果を報知する第一図柄変動報知を実行する第一報知手段と、前記第一図柄変動報知によって前記第一当たり判定の結果が第一当たりであることが報知された場合、遊技者に有利な第一当たり遊技を実行する第一当たり遊技実行手段と、遊技球が前記第二始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第二乱数を取得する第二乱数取得手段と、前記第二乱数取得手段によって取得された前記第二乱数を記憶する第二乱数記憶手段と、前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数に基づいて、第二当たり判定を実行する第二判定手段と、第二図柄を変動表示させた後に確定表示させることで、前記第二当たり判定の結果を報知する第二図柄変動報知を実行する第二報知手段と、前記第二報知手段による前記第二図柄変動報知の実行時間である変動時間を複数記憶する時間記憶手段と、前記時間記憶手段に記憶された複数の前記変動時間の中からいずれかを決定する決定手段と、前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が第二当たりであることが報知された場合、前記遊技部材を前記許容状態に変化させる第二当たり遊技を実行する第二当たり遊技実行手段と、遊技球が前記特定領域を通過した場合、遊技者に有利な第三当たり遊技を実行する第三当たり遊技実行手段とを備え、前記第二乱数記憶手段は、前記第二乱数記憶手段によって記憶された前記第二乱数であり、且つ前記第二図柄変動報知によって前記第二当たり判定の結果が未だ報知されていない前記第二乱数である保留乱数を、所定の上限数まで記憶可能であり、前記状態制御手段は、所定条件が満たされた場合、前記第一当たり遊技及び前記第三当たり遊技の少なくとも一つである対象当たり遊技が実行された後に、遊技状態を前記時短状態に含まれる特定時短状態に制御し、前記特定時短状態の実行中に所定の終了条件を満たした場合に、遊技状態を前記通常状態に制御し、前記終了条件は、前記対象当たり遊技が実行された後、前記第二図柄変動報知の実行回数が、前記上限数よりも少ない所定の規定回数に達することであり、前記第二報知手段は、前記決定手段によって決定された前記変動時間である対象変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行し、前記複数の変動時間は、第一変動時間と、前記変動時間よりも長い第二変動時間とを含み、前記決定手段は、前記時短状態のうちで前記特定時短状態とは異なる通常時短状態の実行中に、前記第二図柄変動報知を実行する場合、前記第一変動時間を前記対象変動時間として決定し、前記特定時短状態において最後に実行される前記第二図柄変動報知である特定変動報知を実行する場合、前記第二変動時間を前記対象変動時間として決定し、前記第二報知手段は、前記決定手段によって前記対象変動時間として決定された前記第二変動時間の間、前記第二図柄変動報知を実行することで、前記特定時短状態を少なくとも前記第二変動時間に亘って維持して、前記保留乱数が前記第二乱数記憶手段に記憶される頻度を向上させ、更に、前記特定変動報知と、前記第二乱数記憶手段に記憶された前記保留乱数に基づく前記第二図柄変動報知とにおいて、遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する特殊演出を実行する特殊演出手段を備える。
【0010】
上記態様の遊技機によれば、所謂1種2種混合機において、遊技者に引き戻しチャンスに付与するための新たな演出を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】パチンコ機1の正面図である。
図2】遊技盤2の正面図である。
図3】アタッカー装置50の斜視図である。
図4】アタッカー装置50の断面斜視図である。
図5】正面側から見たアタッカー装置50の断面図である。
図6】第三作動機構350が規制状態にあるアタッカー装置50を正面側から見た断面図である。
図7】第三作動機構350が許容状態にあるアタッカー装置50を正面側から見た断面図である。
図8】パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
図9】RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアを示す概念図である。
図10】ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルを示す概念図である。
図11】小当たり遊技の動作パターンを示す説明図である。
図12】遊技の流れ及び遊技状態の遷移について説明するための説明図である。
図13】ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルを示す概念図である。
図14】主基板41において行われるメイン処理のフローチャートである。
図15】メイン処理の中において行われる特別図柄処理のフローチャートである。
図16】メイン処理の中において行われる特別図柄処理のフローチャートである。
図17】メイン処理の中において行われる特別図柄処理のフローチャートである。
図18】特別図柄処理の中において行われる遊技状態移行処理のフローチャートである。
図19】メイン処理の中において行われる特別電動役物処理のフローチャートである。
図20】メイン処理の中において行われる特別電動役物処理のフローチャートである。
図21】サブ制御基板58において行われるサブ制御基板処理のフローチャートである。
図22】引き戻し期待演出の基本的態様を例示する説明図である。
図23】引き戻し期待演出の基本的態様を例示する説明図である。
図24】引き戻し期待演出の基本的態様を例示する説明図である。
図25】引き戻し期待演出の基本的態様を例示する説明図である。
図26】引き戻し期待演出の別態様を例示する説明図である。
図27】引き戻し期待演出の別態様を例示する説明図である。
図28】引き戻し期待演出の別態様を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。
【0013】
図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上部の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。
【0014】
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。遊技球発射装置37によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り8の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り8の右側を流下する。
【0015】
以下、遊技球がセンター飾り8の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り8の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。センター飾り8の上方には、円弧状に湾曲したガイドレール20が設けられている。ガイドレール20は、右打ちされた遊技球を、流下方向の下流側(右下側)へ案内する。
【0016】
センター飾り8は、表示画面28等を主に備える。表示画面28は、センター飾り8の上部の略中央に配置される。表示画面28は、例えばLCD等によって構成されており、様々な数字・文字等を表示可能である。表示画面28は、例えば、大当たり判定の結果を遊技者に報知する演出用の図柄である演出図柄を表示する。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)の演出図柄を変動させる図柄変動を表示した後に、大当たり判定の結果を示す演出図柄の組合せを確定表示する報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
【0017】
センター飾り8の下方には、上方から順に、第一始動口14、及び第二始動口16が設けられている。センター飾り8の右方には、普通図柄作動ゲート12が設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞することを契機として、第一特別図柄の大当たり判定(第一大当たり判定)が行われる。遊技球が普通図柄作動ゲート12を通過することを契機として、普通当たり判定が行われる。第二始動口16は、開閉部材161を備える。第二始動口16は、開閉部材161が閉鎖された閉鎖状態と、開閉部材161が開放された開放状態とに変化可能である。第二始動口16が開放状態にある場合にのみ、遊技球は第二始動口16に入賞できる。第二始動口16に遊技球が入賞することを契機として、第二特別図柄の大当たり判定(第二大当たり判定)が行われる。
【0018】
センター飾り8の右下方には、アタッカー装置50が設けられているが、その詳細は後述する。遊技領域4には、上記以外に、アウト口19、各種の電飾部材、入賞口、風車及び遊技くぎ等が設けられている。遊技領域4を流下する遊技球のうち、各入賞口の何れにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、遊技盤2の下部に設けられたアウト口19を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
【0019】
図示しないが、遊技盤2の右下部には、図柄表示部24(図8参照)が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、それぞれ1つの7セグメントLEDからなり、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を示す第一特別図柄及び第二特別図柄を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDは、第一大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である第一保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である普通図柄保留球数を表示する。
【0020】
図3図7を参照し、アタッカー装置50を説明する。アタッカー装置50は、対向配置された前壁部501と後壁部502を有しており、前壁部501と後壁部502との間には、遊技球が流下可能な流路の他に、第一大入賞口11及び第二大入賞口22が設けられる。ガイドレール20(図2参照)によって案内された遊技球は、アタッカー装置50の右上部に形成された入球部500を通過して、アタッカー装置50内部の流路に進入する。内部に進入した遊技球は、第一大入賞口11に入賞する流路(矢印A1)、排球路80から排出される流路(矢印B1)、アタッカー装置50の左部の放出口290を通過する流路(矢印C4)、又は第二大入賞口22に入賞する流路(矢印C1)の何れかに振り分けられる。第二大入賞口22に入賞した遊技球は、非特定領域322A(図5参照)を通過する流路(矢印C2)、又は特定領域333A(図5参照)を通過する流路に振り分けられる(矢印C3)。本実施形態では、前壁部501は透明であり、遊技者はアタッカー装置50の内部を視認できる。
【0021】
図4及び図5に示すように、アタッカー装置50の内部には、入球部500を通過した遊技球を左下方に案内する案内部材120が設けられる。第一大入賞口11は、案内部材120の左下方に設けられる。案内部材120と第一大入賞口11との間に、第一作動機構150が設けられる。第一作動機構150は、第一作動ソレノイド65(図8参照)で駆動される案内板151及び規制板152を備え、許容状態と規制状態とに変化可能である。
【0022】
第一作動機構150が許容状態にある場合(図4及び図5参照)、案内板151は案内部材120と連続する流路を形成し、且つ規制板152は遊技球の流路から後方に退避する。この場合、案内部材120を案内された遊技球は、案内板151上を転動して左下方に移動し、規制板152の前方を通って第一大入賞口11に入賞可能である(矢印A1)。第一大入賞口11に入賞した遊技球は、第一大入賞口スイッチ130に検出されて、遊技盤2の後側に排出される。図示しないが、第一作動機構150が規制状態にある場合、案内板151は遊技球の流路から後方に退避し、且つ規制板152は第一大入賞口11の右側で遊技球の流路内に進出する。この場合、案内板151を案内された遊技球は、規制板152によって第一大入賞口11への入賞が規制されて、案内板151の前方を通って下方に落下する(矢印A2)。
【0023】
上記のように第一大入賞口11に入賞しなかった遊技球は、右案内部材210上に落下して、左下方に案内される。左案内部材220は、右案内部材210の左下方に設けられる。右案内部材210と左案内部材220との間に、第二作動機構250が設けられる。第二作動機構250は、第二作動ソレノイド66(図8参照)で駆動される案内板251を備え、許容状態と規制状態とに変化可能である。
【0024】
第二作動機構250が規制状態にある場合(図4及び図5参照)、案内板251は右案内部材210及び左案内部材220と連続する流路を形成する。この場合、右案内部材210を案内された遊技球は、案内板251上を転動して左下方に移動し、更に左案内部材220上を転動して放出口290(図3参照)から排出される(矢印C4)。なお、放出口290(図3参照)から排出された遊技球は、第二始動口16に向かって流下するため、第二始動口16が開放されていれば入賞する可能性がある。
【0025】
図示しないが、第二作動機構250が許容状態にある場合、案内板251は遊技球の流路から後方に退避する。この場合、右案内部材210を案内された遊技球は、案内板251の前方を通って下方に落下して第二大入賞口22に入賞可能である(矢印C1)。第二大入賞口22に入賞した遊技球は、第二大入賞口スイッチ311に検出されて、分岐流路314に案内される。左流路320は、分岐流路314から左下方に延びる。左流路320の下流側端部には、非特定領域スイッチ322が設けられる。右流路330は、分岐流路314から右下方へ延びる。右流路330の下流側端部には、特定領域スイッチ333が設けられる。
【0026】
本実施形態では、非特定領域スイッチ322に形成された遊技球の通過孔が、非特定領域322A(図5参照)である。特定領域スイッチ333に形成された遊技球の通過孔が、特定領域333A(図5参照)である。分岐流路314まで流下した遊技球は、後述の第三作動機構350によって、非特定領域322A又は特定領域333Aに振り分けられる。非特定領域スイッチ322は非特定領域322Aを通過する遊技球を検出し、特定領域スイッチ333は特定領域333Aを通過する遊技球を検出する。
【0027】
第三作動機構350は、第三作動ソレノイド67(図8参照)で駆動される案内板351及び規制板352を備え、許容状態と規制状態とに変化可能である。なお図6及び図7では、分岐流路314まで流下した遊技球を「遊技球P」として示す。図4図6に示すように、第三作動機構350が規制状態にある場合、案内板351は分岐流路314内に進出し、且つ規制板352は右流路330から後方に退避する。この場合、遊技球Pは案内板351上に落下して、案内板351によって左下方に案内される。これにより遊技球Pは、左流路320に振り分けられて非特定領域322Aを通過し、遊技盤2の後方へ排出される(矢印C2)。
【0028】
図7に示すように、第三作動機構350が許容状態にある場合、案内板351は分岐流路314から後方に退避し、且つ規制板352は右流路330内に進出する。この場合、遊技球Pは案内板351の前方を通って、右流路330内に落下する。更に遊技球Pは、規制板352の左面に当接して右側への流下が制限されるため、右流路330内で停留する(矢印C3)。後続の遊技球Pは、右流路330内で停留している遊技球Pの上端に接触することで、左流路320に案内される。従って後続の遊技球Pは、非特定領域322Aを通過して遊技盤2の後方へ排出される。
【0029】
その後に所定時間が経過すると、第三作動機構350は、許容状態から規制状態に戻る(図6参照)。これにより、右流路330内で停留している遊技球Pは、右流路330を流下して特定領域333Aを通過し、遊技盤2の後方へ排出される(矢印Y)。この場合、後続の遊技球Pは、分岐流路314内に進出した案内板351によって、左流路320へ案内される(矢印C2)。
【0030】
なお、図4及び図5に示すように、右案内部材210の右方には、排球路80が設けられている。入球部500を通過した遊技球のうち、案内部材120上に落下しなかった遊技球は、排球路80内を流下する。そして遊技球は、排球路80の下端部に設けられたアウト口81から、遊技盤2の後方へ排出される(矢印B1)。
【0031】
本実施形態では、当たり遊技状態以外の遊技状態(即ち、通常状態及び時短状態)において、第一作動機構150、第二作動機構250、及び第三作動機構350は何れも規制状態に制御される。従って、入球部500を通過した遊技球は、放出口290を通過する流路(矢印C4)を流下するか、或いは排球路80から排出される流路(矢印B1)を流下するため、第一大入賞口11及び第二大入賞口22の何れにも入賞しない。
【0032】
本実施形態の第一大入賞口11は、いわゆる特別電動役物(後述する大当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。第一作動機構150が許容状態に制御された場合にのみ、遊技球は第一大入賞口11に入賞できる。後述する大当たり判定の結果が大当たりである場合、大当たり遊技として第一作動機構150が許容状態と規制状態とに切り替えられる。即ち第一大入賞口11は、大当たり遊技において、遊技球が入賞可能な開放状態と、遊技球が入賞困難又は不可な閉鎖状態とに、切り替えられるように構成されている。
【0033】
本実施形態の第二大入賞口22も、いわゆる特別電動役物に係る入賞口として構成されている。第二作動機構250が許容状態に制御された場合にのみ、遊技球は第二大入賞口22に入賞できる。後述する大当たり判定の結果が小当たりである場合、小当たり遊技として第二作動機構250が許容状態と規制状態とに切り替えられる。即ち第二大入賞口22は、小当たり遊技において、遊技球が入賞可能な開放状態と、遊技球が入賞困難又は不可な閉鎖状態とに、切り替えられるように構成されている。
【0034】
本実施形態の特定領域333A及び非特定領域322Aは、第二大入賞口22に入賞した遊技球のみが通過できる領域である。本実施形態では、第二大入賞口22に入賞した遊技球のうち、特定領域333Aを通過する遊技球の割合が約1/10となるように第三作動機構350が制御されるが、詳細は後述する。
【0035】
パチンコ機1における遊技の概要について説明する。パチンコ機1には、大当たり遊技、小当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。大当り遊技は、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動することにより実行される。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。条件装置は、大当たりであることを示す特別図柄が確定表示された場合、又は役物連続作動装置が作動していない状態で、遊技球が大入賞口(本実施形態では、第二大入賞口22)の内部の特定の領域を通過した場合に作動する。また、役物連続作動装置とは、大入賞口を連続して作動する大当り遊技状態を生起させるための装置である。以下、条件装置及び役物連続作動装置が作動している状態を、大当たり遊技状態という。
【0036】
本実施形態では、第一始動口14へ遊技球が入賞すると、第一大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される。第一大当たり判定では、大当たり、小当たり及びはずれの何れであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第一大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第一特別図柄が、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。これに伴い、役物連続作動装置が作動して大当たり遊技状態が生起され、第一大入賞口11が所定時間開放状態にされることが所定回数繰り返される大当たり遊技が実行される。本実施形態では、第一大当たり判定において大当たりであると判定される確率は、遊技状態に関わらず1/300である。
【0037】
以下、大当たり遊技において第一大入賞口11又は第二大入賞口22が、連続して開放状態にされる繰り返しの一単位を、「大当たりラウンド」という。1回の大当たりラウンド毎に、第一大入賞口11又は第二大入賞口22が所定時間で1回又は複数回開放する。1回の大当たり遊技を構成する大当たりラウンドの合計数を、以下、「ラウンド数」という。以下では、ラウンド数を「R」と示すことがある。
【0038】
第一大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第一特別図柄が、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。その後、第二大入賞口22が1回だけ所定時間開放状態にされる小当たり遊技が実行される。小当り遊技は、一般に、大当り遊技と比較して遊技者における有利度が小さい遊技である。大当たり判定の結果が小当たりであると判定された時点では、条件装置は作動しないので、役物連続作動装置も作動しない。本実施形態の小当たり遊技では、第一大入賞口11及び第二大入賞口22が所定回数繰り返して開放状態にされない。なお、小当たり遊技における第二大入賞口22の1回の開放が、複数回の開放によって構成されることは妨げられない。本実施形態では、第一大当たり判定において小当たりであると判定される確率は、遊技状態に関わらず1/60000である。
【0039】
また、第二始動口16へ遊技球が入賞すると、第二大当たり判定が行われ、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定では、大当たり及び小当たりの何れであるかが、大当たり乱数に基づいて判定される。第二大当たり判定において大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に確定表示されて、条件装置が作動する。これに伴い、役物連続作動装置が作動して大当たり遊技状態が生起され、大当たり遊技が実行される。本実施形態では、第二大当たり判定において大当たりであると判定される確率は、遊技状態に関わらず1/300である。
【0040】
第二大当たり判定において小当たりであると判定されると、判定結果が小当たりであることを示す第二特別図柄が、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に確定表示される。その後、第二大入賞口22が1回だけ所定時間開放状態にされる小当たり遊技が実行される。本実施形態では、第二大当たり判定において小当たりであると判定される確率は、遊技状態に関わらず299/300である。
【0041】
小当たり遊技において開放状態の第二大入賞口22に入賞した遊技球が特定領域333Aを通過すると、条件装置が作動する。条件装置の作動に伴い、役物連続作動装置が作動すると、大当り遊技状態が生起され、小当り遊技に引きつづいて大当り遊技が実行される。即ち特定領域333Aは、条件装置を作動させるための「特定の領域」に相当する。このように、大当たり判定において小当たりであると判定されたことに起因して小当り遊技が実行され、遊技球が特定領域333Aを通過して大当り遊技が実行された場合には、先に実行された小当り遊技が大当り遊技の一部に含められる。この場合、小当り遊技が1R目の大当たりラウンドとしてさかのぼって取り扱われ、1R分の大当たりラウンドとしてラウンド数に換算される。
【0042】
このように、大当たり判定において大当たりであると判定されることに伴い、特定領域333Aを備えない第一大入賞口11によって実行される大当たり遊技を、以下では、1種遊技ともいう。1種遊技は、いわゆる旧1種タイプ(いわゆる、セブン機)の遊技機における大当たり遊技と同様の大当たり遊技であり、大当たり判定の結果が大当たりであることを報知する特別図柄の組合せが確定表示されることを契機として実行される。
【0043】
また、大当たり判定において小当たりであると判定されたことに応じて小当たり遊技が実行されたことに起因して実行される大当たり遊技を、以下では、2種遊技ともいう。2種遊技は、いわゆる旧2種タイプ(いわゆる、羽根物)の遊技機における大当たり遊技と同様の大当たり遊技であり、小当たり遊技中に第二大入賞口22に入賞した遊技球が特定領域333Aを通過することを条件として実行される。本実施形態では、第二大入賞口22を用いた小当たり遊技の終了後に、第一大入賞口11の開放が連動されることで2種遊技の大当たり遊技が行われる。言い換えると、2種遊技は、特定領域333Aを備える第二大入賞口22の開放動作を伴う大当たり遊技である。パチンコ機1は、1種遊技及び2種遊技の双方を備えた、いわゆる1種2種混合機と呼ばれるタイプの遊技機である。
【0044】
普通図柄作動ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われ、判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定において当たりであると判定されると、第二始動口16の開閉部材161が所定の開放パターンで開閉される普通当たり遊技が実行される。
【0045】
パチンコ機1は、非時短状態及び時短状態の何れかを生起させる。非時短状態は、第二始動口16の開閉部材161が開放状態にされる割合が通常の割合である遊技状態である。時短状態は、非時短状態よりも第二始動口16の開閉部材161が開放状態にされる割合が高くなる遊技状態である。具体的には、時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では99/100)は、非時短状態において普通当たりと判定される確率(本実施形態では1/100)よりも高い。また、普通当たり遊技中における第二始動口16の開閉部材161の開放時間の合計は、非時短状態よりも時短状態の方が長い。更に普通図柄の変動時間は、非時短状態における変動時間(本実施形態では10秒)よりも時短状態における変動時間(本実施形態では2秒)の方が短い。本実施形態では、非時短状態のことを、通常状態ともいう。
【0046】
本実施形態では、第一始動口14は遊技状態に関係なく、右打ちした場合よりも左打ちした場合のほうが入賞し易い。また非時短状態においては、第二始動口16の開閉部材161が開放状態にされる割合が時短状態よりも低くなる。従って非時短状態中は、第一始動口14へ入賞し易い左打ちによって遊技を進行することが、遊技者にとって有利となる。一方、時短状態においては、遊技球が普通図柄作動ゲート12に通過すると普通当たり遊技が実行され易いため、第二始動口16が開放され易い。更に第二始動口16に入賞すると小当たり遊技が実行され易いため、第二大入賞口22が開放され易い。従って時短状態中は、普通図柄作動ゲート12、第二始動口16、及び第二大入賞口22へ通過又は入賞し易い右打ちによって遊技を進行することが、遊技者にとって有利となる。
【0047】
なお、本実施形態のパチンコ機1は、大当たり遊技の終了後に、必ず所定回数の時短状態が生起される。生起された時短状態は、大当たり遊技の終了後に行われた大当たり判定の回数(以下、「判定回数」という。)が、この所定回数に達することで終了する。また、小当たり遊技の動作パターンには、複数のパターンが含まれている。複数のパターンは、遊技球が特定領域333Aを通過し易い動作パターンと、遊技球が特定領域333Aを通過し難い動作パターンとを少なくとも含む。これらの詳細については、別途後述する。
【0048】
図8を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、中継基板47及び電源基板42を主に備える。
【0049】
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板41には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、第一始動口スイッチ61、及び第二始動口スイッチ62に接続している。出力ポート55は、図示しない遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。第一始動口スイッチ61は、第一始動口14に設けられており、第一始動口14に入賞した遊技球を検出する。第二始動口スイッチ62は、第二始動口16に設けられており、第二始動口16に入賞した遊技球を検出する。
【0050】
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582及びROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、操作ボタン9及びスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は、電飾基板31に接続している。電飾基板31は、例えばLEDを搭載しており、各種の電飾部材の内部に設けられている。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、電飾基板31の発光動作等を制御する。演出制御基板43は、CPU431等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を賞球払出装置49に払い出させる。
【0051】
中継基板47は、ゲートスイッチ63、及び普通電役ソレノイド64に接続している。ゲートスイッチ63は、普通図柄作動ゲート12を通過した遊技球を検出する。普通電役ソレノイド64は、普通当たり遊技中に第二始動口16の開閉部材161を開閉する。また中継基板47は、先述した第一作動ソレノイド65、第二作動ソレノイド66、第三作動ソレノイド67、第一大入賞口スイッチ130、第二大入賞口スイッチ311、非特定領域スイッチ322、特定領域スイッチ333、及び図柄表示部24に接続している。
【0052】
電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
【0053】
図9を参照して、RAM52の第一大当たり関係情報記憶エリアについて説明する。第一大当たり関係情報記憶エリアは、後述するメイン処理の特別図柄処理(図15図18参照)において使用される。第一大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第一始動口14への入賞による第一保留球数が4未満(0~3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
【0054】
第一保留球数とは、第一始動口14へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。本実施形態において、最大第一保留球数は「4」である。CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理が終了すると、次に番号の小さい記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理とは、例えば、大当たり判定結果を報知する報知演出、及び判定結果に応じて実行される大当たり遊技に関する処理である。なお、処理が終了した記憶エリアの乱数は、適宜消去される。大当たり乱数と共に取得されて第一大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して第一乱数ともいう。
【0055】
各記憶エリアには、第一大当たり判定カウンタの値が記憶される第一大当たり乱数欄、第一特別図柄決定カウンタの値が記憶される第一特別図柄決定乱数欄、及び第一変動パターン決定カウンタの値が記憶される第一変動パターン決定乱数欄が設けられている。第一始動口14に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第一大当たり乱数は、第一大当たり判定のために用いられる。第一特別図柄決定乱数は第一特別図柄を決定するために用いられる。第一変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第一特別図柄表示部に表示される第一特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。
【0056】
図示しないが、RAM52には、第二大当たり関係情報記憶エリアの構成が設けられている。第二大当たり関係情報記憶エリアは、第一大当たり関係情報記憶エリアと同様に、メイン処理の特別図柄処理において使用される。第二大当たり関係情報記憶エリアには複数の記憶エリアが設けられている。第二始動口16に遊技球が入賞した際に、特別図柄保留球数のうち第二始動口16への入賞による第二保留球数が4未満(0~3)であれば、番号の小さい記憶エリアから順に乱数が記憶される。
【0057】
第二保留球数とは、第二始動口16へ入賞した遊技球に対応する乱数のうち、大当たり判定の実行が保留された状態で記憶されている乱数の個数である。本実施形態において、最大第二保留球数は「4」である。先述したように、CPU51は、処理がまだ行われていない記憶エリアの乱数のうち、最も番号の小さい記憶エリアを判定エリアとし、判定エリアに記憶されている乱数について大当たり判定等の各種処理を行う。判定エリアに記憶されている乱数に関する処理が終了すると、次に番号の小さい記憶エリアが判定エリアとされて、大当たり判定等の処理が繰り返される。大当たり乱数と共に取得されて第二大当たり関係情報記憶エリアに記憶されている各種乱数を総称して第二乱数ともいう。
【0058】
各記憶エリアには、第二大当たり判定カウンタの値が記憶される第二大当たり乱数欄、第二特別図柄決定カウンタの値が記憶される第二特別図柄決定乱数欄、及び第二変動パターン決定カウンタの値が記憶される第二変動パターン決定乱数欄が設けられている。第二始動口16に遊技球が入賞すると、その時点で計数されているそれぞれの乱数取得カウンタの値が各欄に記憶される。第二大当たり乱数は、第二大当たり判定のために用いられる。第二特別図柄決定乱数は第二特別図柄を決定するために用いられる。第二変動パターン決定乱数は、図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される第二特別図柄の変動時間を示す変動パターンを決定するために用いられる。
【0059】
パチンコ機1において、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間は、第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出の演出時間に等しい。サブ制御基板58は、主基板41で決定された変動パターンに従って報知演出を制御する。具体的には、主基板41は、第一変動パターン決定乱数に基づく第一変動パターンに従って、第一特別図柄の変動を開始する。また、主基板41は、第二変動パターン決定乱数に基づく第二変動パターンに従って、第二特別図柄の変動を開始する。サブ制御基板58は、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかの変動開始に同期して、演出図柄の変動表示を開始する。主基板41は、変動を開始した第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかの変動時間が終了すると、変動させていた第一特別図柄又は第二特別図柄を、所定の特別図柄停止表示時間(本実施形態では0.8秒)の間、確定表示させる。サブ制御基板58は、特別図柄停止表示時間に同期して、演出図柄を確定表示させる。また、サブ制御基板58は、演出図柄による他、表示画面28、電飾部材、スピーカ48等によっても、変動パターンと同期した報知演出を実行する。
【0060】
なお、詳細は後述するが、時短状態における第二特別図柄の変動時間は、第一特別図柄の変動時間と比較して短くなるように設定されている。これは、主に第二大当たり判定が実行されるような状況では、単位時間当たりの小当たり遊技の実行回数を多くして、スピーディーな遊技を遊技者に提供する等の理由による。このため、第二特別図柄の変動に同期して変動する演出図柄は、第一特別図柄の変動に同期して変動する演出図柄よりも小さく表示されてもよい。また、第二特別図柄の変動に同期して変動する演出図柄が設けられなくてもよい。
【0061】
以下の説明では、第一大当たり乱数及び第二大当たり乱数を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、大当たり乱数ともいう。また、第一変動パターン決定乱数及び第二変動パターン決定乱数を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、変動パターン決定乱数ともいう。また、第一特別図柄決定乱数数及び第二特別図柄決定乱数を総称する場合、又は何れかを特定しない場合、特別図柄決定乱数ともいう。
【0062】
図10を参照して、ROM53に記憶されている特別図柄決定テーブルについて説明する。パチンコ機1は、第一大当たり判定の結果を示す第一特別図柄と、第二大当たり判定の結果を示す第二特別図柄とを、特別図柄決定テーブルを参照することで決定する。第一特別図柄及び第二特別図柄は、それぞれ複数の当たり種別の何れかに分類される。複数の当たり種別は、大当たり判定の結果が大当たりであることを示す大当たり種別と、大当たり判定の結果が小当たりであることを示す小当たり種別とを含む。特別図柄決定テーブルでは、複数の当たり種別のそれぞれに、特別図柄決定乱数の値(0~99)が対応付けられている。
【0063】
本実施形態では、大当たり種別として、「ビッグボーナス」、「ショートボーナスA」、及び「ショートボーナスB」の3種類が設けられている。「ビッグボーナス」では、15Rの大当たり遊技が実行され、1R当たりに第一大入賞口11が長開放(28.0秒開放)される。「ショートボーナスA」及び「ショートボーナスB」では、実質4Rの大当たり遊技が実行され、1R目から4R目までは第一大入賞口11が長開放(28.0秒開放)され、5R目から15R目までは第一大入賞口11が短開放(0.28秒開放)される。「ビッグボーナス」及び「ショートボーナスA」では、大当たり遊技の実行後に、100回の時短遊技が実行される時短状態(以下、通常時短状態)が設定される。「ショートボーナスB」では、大当たり遊技の実行後に、所定の終了条件が満たされるまで時短遊技が実行される時短状態(以下、特定時短状態)が設定される。特定時短状態の終了条件は、第一特別図柄及び第二特別図柄の合計変動が5回分終了するまで(即ち、大当たり判定結果の報知回数が合計5回に達するまで)、又は第二特別図柄の変動が1回分終了するまで(即ち、第二大当たり判定結果が1回報知されるまで)、の何れか早い方である。
【0064】
第一特別図柄は「ビッグボーナス」及び「ショートボーナスB」の2種類の大当たり種別を含み、何れも15Rの大当たり遊技が実行される。第一特別図柄の大当たり種別の割合は、「ビッグボーナス」が35%、「ショートボーナスB」が65%である。第二特別図柄は「ビッグボーナス」、「ショートボーナスA」、及び「ショートボーナスB」の3種類の大当たり種別を含み、何れも16Rの大当たり遊技が実行される。但し、第二特別図柄の大当たり遊技は、基本的に小当たり遊技に基づいて遊技球が特定領域333Aを通過したことに起因する2種遊技であるため、先述したように小当り遊技が1R目の大当たりラウンドとしてさかのぼって取り扱われる。従って図10では、第二特別図柄の大当たり遊技は、小当たり遊技の1R分を除いたラウンド数(15R分)を表記してある。第二特別図柄の大当たり種別の割合は、「ビッグボーナス」が50%、「ショートボーナスA」が10%、「ショートボーナスB」が40%である。
【0065】
第一特別図柄は「小当たりA」の1種類のみの小当たり種別を含むため、その小当たり種別の割合は100%である。第二特別図柄は「小当たりA」、「小当たりB」、及び「小当たりC」の3種類の小当たり種別を含み、各小当たり種別の割合は「小当たりA」が10%、「小当たりB」が45%、「小当たりC」が45%である。「小当たりA」、「小当たりB」、及び「小当たりC」では、何れも第二大入賞口22が3.2秒開放される。
【0066】
即ち、第一始動口14への入賞に基づく第一大当たり判定で大当たりに当選した場合、第一特別図柄の「ビッグボーナス」及び「ショートボーナスB」の何れかに基づいて、1種遊技としての大当たり遊技が実行される。また第二始動口16への入賞に基づく第二大当たり判定で大当たりに当選した場合、第二特別図柄の「ビッグボーナス」、「ショートボーナスA」、及び「ショートボーナスB」の何れかに基づいて、1種遊技としての大当たり遊技が実行される。
【0067】
また、第一大当たり判定又は第二大当たり判定で小当たりに当選した場合、小当たり遊技が実行される。この小当たり遊技で第二大入賞口22に遊技球が入賞し、その遊技球は特定領域333Aを通過した場合には、対応する特別図柄の大当たり種別の何れかに基づいて、2種遊技としての大当たり遊技が実行される。1種遊技又は2種遊技としての大当たり遊技の実行後、その大当たり種別に応じた所定回数の時短遊技が実行される。
【0068】
但し、「小当たりA」は第二大入賞口22に入賞した遊技球が特定領域333Aを通過する可能性が高い一方、「小当たりB」及び「小当たりC」では第二大入賞口22に入賞した遊技球が特定領域333Aを通過する可能性が極めて低いが、以下説明する。なお図11において、「V入賞ON」は第三作動機構350が許容状態(図7参照)にあることを示し、「V入賞OFF」は第三作動機構350が規制状態(図6参照)にあることを示す。
【0069】
図11に示すように、大当たり判定で小当たりに当選した場合、特別図柄が変動表示後に確定表示(変動停止)すると、第二作動機構250が許容状態に制御されて、第二大入賞口22が3.2秒開放される。「小当たりA」では、第二大入賞口22が開放された直後に(例えば、図柄変動停止から4ms後に)、第三作動機構350が許容状態に制御されて、その許容状態が長期間(1.7秒間)保持される。従って、第二大入賞口22の開放中に入賞した遊技球は、右流路330に進入及び停留し易い。その後、第三作動機構350が規制状態に制御されると、右流路330で停留していた遊技球は、特定領域333Aを通過する。
【0070】
「小当たりB」では、開放された第二大入賞口22が閉鎖される直前に、第三作動機構350が許容状態に制御されて、その許容状態が短期間(0.4秒間)保持される。「小当たりC」では、開放された第二大入賞口22が閉鎖される直前及び直後の2回分、第三作動機構350が許容状態に制御されて、その許容状態が1回当たりに極めて短期間(0.024秒間)保持される。これらの場合、第二大入賞口22の開放中に入賞した遊技球は、第三作動機構350が許容状態に変化する前に、規制状態の第三作動機構350によって非特定領域322Aに案内される。従って遊技球は右流路330に進入及び停留し難いため、特定領域333Aを通過することは極めて困難である。
【0071】
図12を参照して、パチンコ機1における遊技状態の基本的な遷移について説明する。以下では、遊技者が通常状態から遊技を開始したとして説明する。また理解を容易にするために、パチンコ機1で発生頻度が低い当選種別(第一特別図柄の小当たり、及び第二特別図柄の大当たり)については、説明を省略する。
【0072】
先述したように通常状態では、遊技者は第一始動口14へ入賞し易い左打ちによって、第一大当たり判定において大当たりであると判定されるように遊技を進行する。第一大当たり判定において大当たりであると判定された場合、35%の割合で「ビッグボーナス」の大当たり種別が、65%の割合で「ショートボーナスB」の大当たり種別が決定される。通常状態において「ビッグボーナス」の大当たり種別が決定されると、15Rの大当たり遊技が実行され(矢印a)、その後に通常時短状態が設定される(矢印b)。通常状態において「ショートボーナスB」の大当たり種別が決定されると、実質4Rの大当たり遊技が実行され(矢印c)、その後に特定時短状態が設定される(矢印d)。
【0073】
先述したように時短状態では、遊技者は第二始動口16等へ入賞し易い右打ちによって、第二大当たり判定において小当たりであると判定されるように遊技を進行する。本実施形態では、第二大当たり判定では概ね小当たり(299/300)と判定されるため、時短遊技中は小当たり遊技が連続的に実行される遊技態様となる。第二大当たり判定において小当たりであると判定された場合、10%の割合で「小当たりA」の小当たり種別が、45%の割合で「小当たりB」の小当たり種別が、45%の割合で「小当たりC」の小当たり種別が決定されて、小当たり遊技が実行される。小当たり種別が「小当たりA」である場合に、遊技球が第二大入賞口22に入賞すると、その遊技球は特定領域333Aを通過する。この場合、第二特別図柄の大当たりと同様に、50%の割合で「ビッグボーナス」の大当たり種別が、10%の割合で「ショートボーナスA」の大当たり種別が、40%の割合で「ショートボーナスB」の大当たり種別が決定される。
【0074】
通常時短状態において「ビッグボーナス」の大当たり種別が決定されると、15Rの大当たり遊技が実行され(矢印e)、その後に再び通常時短状態が設定される(矢印b)。通常時短状態において「ショートボーナスA」の大当たり種別が決定されると、実質4Rの大当たり遊技が実行され(矢印f)、その後に再び通常時短状態が設定される(矢印g)。通常時短状態において「ショートボーナスB」の大当たり種別が決定されると、実質4Rの大当たり遊技が実行され(矢印h)、その後に特定時短状態が設定される(矢印d)。通常時短状態において大当たりに当選することなく大当たり判定が100回実行されると、遊技状態は通常状態に移行する(矢印i)。本実施形態では、大当たり遊技を挟んで通常時短状態が継続する確率(所謂、継続率)、即ち矢印e→b及び矢印f→gの何れかで移行する確率は、約60%程度である。
【0075】
本実施形態では、特定時短状態を契機として、後述の引き戻し期待遊技が実行される。引き戻し期待遊技において「ビッグボーナス」の大当たり種別が決定されると、15Rの大当たり遊技が実行され(矢印j)、その後に通常時短状態が設定される(矢印b)。引き戻し期待遊技において「ショートボーナスA」の大当たり種別が決定されると、実質4Rの大当たり遊技が実行され(矢印k)、その後に通常時短状態が設定される(矢印g)。引き戻し期待遊技において「ショートボーナスB」の大当たり種別が決定されると、実質4Rの大当たり遊技が実行され(矢印l)、その後に再び特定時短状態が設定される(矢印d)。なお、引き戻し期待遊技において大当たりに当選することなく所定条件が満たされると、遊技状態は通常状態に移行する(矢印m)。
【0076】
本実施形態では、最大第二保留球数は「4」である。従って遊技者は、特定時短状態中に開放される第二始動口16に入賞させることで、第二保留球を4つまで記憶させることができる。また先述したように、特定時短状態の終了条件は、第二大当たり判定結果が1回報知されることである。従って、引き戻し期待遊技では、特定時短状態中に実行される1回の第二大当たり判定と、特定時短状態中に貯留された最大4つの第二保留球に基づく第二大当たり判定とを合わせて、最大5回分の第二大当たり判定の結果を報知可能である。その結果、引き戻し期待遊技では、最大5回分の第二大当たり判定に基づいて、再び大当たり遊技が生起される確率(所謂、引き戻し率)、即ち矢印j、k、lの何れかで移行する確率は、最大約40%程度である。なお、本実施形態のパチンコ機1は、引き戻し期待遊技中の引き戻し率を高めるために、特定時短状態中に多くの遊技球を第二始動口16へ入賞させる技術特徴を有するが、詳細は後述する。
【0077】
図13を参照して、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブルについて説明する。変動パターン決定テーブルは、大当たり判定が第一大当たり判定及び第二大当り判定の何れであるかに応じて、複数のテーブルを設けている。大当たり判定が第一大当たり判定の場合には、大当たり判定時の遊技状態(本実施形態では、通常状態又は時短状態)及び大当たり判定の結果(大当たり、小当たり又ははずれ)に応じて、複数種類の変動パターンを割り当てている。なお、上記の時短状態は、通常時短状態と特定時短状態とを含む。
【0078】
大当たり判定が第二大当たり判定の場合には、大当たり判定時の遊技状態(本実施形態では、通常状態、通常時短状態又は特定時短状態)及び大当たり判定の結果(大当たり、小当たり又ははずれ)に応じて、複数種類の変動パターンを割り当てている。各変動パターンには、変動パターン決定乱数の値(0~511)が対応付けられている。大当たり判定が行われると、その時点の遊技状態と判定結果とに応じたテーブルが参照され、大当たり乱数と共に取得されている変動パターン決定乱数の値に対応する変動パターンが1つ決定される。
【0079】
図13に示すように、通常状態における第一大当たり判定の結果が大当たりの場合には、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が高くなる。ここで、「リーチ演出」とは、例えば3つの演出図柄のうち2つが同じ図柄で停止するリーチ状態が構成された後に、大当たりの可能性があることを示す演出を実行する報知演出である。一方、判定結果がはずれの場合には、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に、変動パターンが決定される割合が低くなる。従って、第一大当たり判定の結果が大当たりとなる期待値は、「リーチ演出A」から「リーチ演出E」の順に高くなる。なお、本実施形態において、「非リーチ」の変動パターンは、リーチ状態に至ることなく演出が終了する報知演出であり、本実施形態では、大当たり判定の結果がはずれの場合にのみ決定される。
【0080】
時短状態についても通常状態と同様に、各変動パターンが決定される割合が、各変動パターンに対応付けられた変動時間と共に定義されている。本実施形態では、通常状態及び時短状態の何れであっても、第一大当たり判定の結果が小当たりである場合、その小当たりは特定領域333Aに遊技球が通過する可能性がある「小当たりA」である。従って、通常状態及び時短状態の各々において、第一大当たり判定の結果が小当たりである場合に決定される「V確定小当たり変動」の変動パターンが定義されている。
【0081】
変動パターン決定テーブルにおいて、第二大当り判定についても、遊技状態に応じて複数種類の変動パターンが割り当てられており、各変動パターンと変動パターン決定乱数の値とが対応付けられている。第二大当り判定では、通常状態及び通常時短状態と特定時短状態の各々について、大当たりと判定された場合に決定される「リーチ演出F」の変動パターン、小当たり(V確定)であると判定された場合に決定される「V確定小当たり変動」の変動パターン、小当たり(V否定)であると判定された場合に決定される「V否定小当たり変動」の変動パターン及びが定義されている。
【0082】
「V確定小当たり変動」の変動パターンは、第二大当り判定の結果が「小当たりA」である場合に決定される。「V否定小当たり変動」の変動パターンは、第二大当り判定の結果が「小当たりB」又は「小当たりC」である場合に決定される。「V確定小当たり変動」の変動パターンは、特別図柄の変動停止後に実行される小当たり遊技において遊技者がより確実に第二大入賞口22へ入賞できるように、演出時間(変動時間)が相対的に長い。一方、「V否定小当たり変動」の変動パターンは、特別図柄の変動停止後に実行される小当たり遊技において第二大入賞口22へ入賞困難となるように、演出時間(変動時間)が相対的に短い。
【0083】
但し、特定時短状態では、通常状態及び通常時短状態と比べて、「V確定小当たり変動」及び「V否定小当たり変動」の変動パターンは、その演出時間(変動時間)が十分に長く設定されている。例えば「V確定小当たり変動」は、通常状態及び通常時短状態では「11秒」であるのに対し、特定時短状態では「61.5秒」である。「V否定小当たり変動」は、通常状態及び通常時短状態では「0.2秒」であるのに対し、特定時短状態では「40秒」である。これにより、特定時短状態において第二大当り判定の結果が小当たりである場合には、第二特別図柄の変動時間(演出時間)が長時間に亘って実行されるため、その期間中は時短遊技が実行されて第二始動口16に遊技球が入賞し易い。従って、特定時短状態の実行中に、より多くの第二保留球を記憶させることができる。
【0084】
なお、主基板41は、決定した変動パターンに応じて決められている変動時間だけ、第一特別図柄又は第二特別図柄を変動させる。また、主基板41は、変動パターン決定テーブルが参照されて決定された変動パターンを指定するコマンドである変動パターン指定コマンドを、サブ制御基板58へ送信する。サブ制御基板58は、コマンドによって指定された変動パターンに応じて表示画面28及びスピーカ48等を制御する。
【0085】
図14図20を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理(図14参照)は、割込信号発生回路57(図8参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
【0086】
図14に示すように、メイン処理が開始されると、まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、メイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
【0087】
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理では、普通図柄作動ゲート12、第一始動口14、第二始動口16、第一大入賞口11、第二大入賞口22、特定領域333A、非特定領域322A、その他入賞口に設けられた各スイッチ(図8参照)の検出結果から、遊技球を検知するための処理が行われる。
【0088】
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである特別図柄変動時間カウンタの値が減算される。
【0089】
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。詳細は後述するが、特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる(図19及び図20参照)。大当たり遊技の動作とは、主に第一大入賞口11及び第二大入賞口22の開閉動作である。
【0090】
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。詳細は後述するが、特別図柄処理では、大当たり判定、変動パターンの決定、特別図柄の決定及び遊技状態の移行処理等が行われる(図15図18参照)。
【0091】
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作(主に第二始動口16の開閉部材161の開閉動作)を制御するための処理が行われる。先述したようにCPU51は、時短状態が生起されていれば、非時短状態中よりも長く、第二始動口16を開放させる。なお、CPU51は、時短フラグがONとされていれば、時短状態中であると判断する。
【0092】
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、ゲートスイッチ63が遊技球を検出することを契機として、普通当たり乱数が取得される。取得された乱数に基づいて、普通当たり判定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。前述したように、普通当たり判定は、時短状態が生起されているか否かに応じて、それぞれの確率で判定される。
【0093】
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)及び情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示画面28及びスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示せず)に各種の情報が出力される。
【0094】
図15図18を参照して、特別図柄処理(S14、図14参照)の詳細について説明する。まず、特別図柄処理で使用されるフラグについて説明する。RAM52には、大当たり遊技状態フラグ、小当たり中フラグ、特別図柄表示状態フラグ、時短フラグ等が記憶されている。
【0095】
大当たり遊技状態フラグは、大当たり遊技中であるかを示すフラグであり、大当たり遊技状態中に「1」が記憶されて「ON」となり、大当たり遊技状態中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。なお、大当たり遊技状態フラグが「ON」であることは、条件装置の作動により役物連続作動装置が作動している状態であることを示す。小当たり中フラグは、小当たり遊技中であるかを示すフラグであり、小当たり遊技中に「1」が記憶されて「ON」となり、小当たり遊技中でない場合には「0」が記憶されて「OFF」となる。
【0096】
特別図柄表示状態フラグは、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れか一方が変動している場合(変動中)に「1」、何れか一方が停止表示されている場合(停止表示中)に「2」、何れも変動中でも停止表示中でもない場合に「0」が記憶される。時短フラグは、時短状態中であるかを示すフラグであり、通常時短状態中に「1」が記憶されて「ON」となり、特定時短状態中に「2」が記憶されて「ON」となり、通常状態中に「0」が記憶されて「OFF」となる。
【0097】
図12に示すように、特別図柄処理が開始されると、第一始動口14に遊技球が入賞しているかが判断される(S41)。第一始動口スイッチ61が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図14参照)において、第一始動口スイッチ61に対応するフラグが「ON」となる。このフラグが「ON」でない場合には、遊技球が入賞していないと判断されて(S41:NO)、処理はS51の判断へ移行する。第一始動口14に遊技球が入賞していれば(S41:YES)、第一保留球数が「4」であるかが判断される(S42)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「4」であれば(S42:YES)、記憶可能な保留球の数が上限に達しているため、処理はS51の判断へ移行する。
【0098】
第一保留球数が「4」でない場合(S42:NO)、RAM52に記憶されている第一保留球数に「1」が加算される(S43)。次いで、第一乱数が取得され、第一大当たり関係情報記憶エリア(図9参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S44)。具体的には、第一大当たり乱数欄には第一大当たり判定カウンタの値が、第一特別図柄決定乱数欄には第一特別図柄決定カウンタの値が、第一変動パターン決定乱数欄には第一変動パターン決定カウンタの値が、それぞれRAM52に記憶される。その後、処理はS51の判断へ移行する。
【0099】
次いで、第二始動口16に遊技球が入賞しているかが判断される(S51)。第二始動口スイッチ62が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図14参照)において、第二始動口スイッチ62に対応するフラグが「ON」となる。このフラグが「ON」でない場合には、遊技球が入賞していないと判断されて(S51:NO)、処理はS61(図16参照)の判断へ移行する。第二始動口16に遊技球が入賞していれば(S51:YES)、第二保留球数が「4」であるかが判断される(S52)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「4」であれば(S52:YES)、記憶可能な保留球の数が上限に達しているため、処理はS61の判断へ移行する。
【0100】
第二保留球数が「4」でない場合(S52:NO)、RAM52に記憶されている第二保留球数に「1」が加算される(S53)。次いで、第二乱数が取得され、第二大当たり関係情報記憶エリア(図9参照)における空の記憶エリアのうち、番号が最も小さい記憶エリアに記憶される(S44)。具体的には、第二大当たり乱数欄には第二大当たり判定カウンタの値が、第二特別図柄決定乱数欄には第二特別図柄決定カウンタの値が、第二変動パターン決定乱数欄には第二変動パターン決定カウンタの値が、それぞれRAM52に記憶される。その後、処理はS61の判断へ移行する。
【0101】
次いで、図16に示すように、大当たり遊技状態であるかが判断される(S61)。大当たり遊技状態フラグが「ON」である場合、大当たり遊技状態中であると判断されて(S61:YES)、処理はメイン処理へ戻る。大当たり遊技状態フラグが「OFF」である場合、大当たり遊技状態中でないと判断されて(S61:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが変動中であるかが判断される(S62)。特別図柄表示状態フラグが「1」でない場合には、何れも変動中でないと判断されて(S62:NO)、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが停止状態中であるかが判断される(S63)。特別図柄表示状態フラグが「2」でない場合は、何れも停止表示中でないと判断されて(S63:NO)、処理はS71(図17参照)へ移行し、大当たり判定等の処理が行われる。
【0102】
本実施形態では、大当たり判定において、第二大当り判定が第一大当たり判定よりも優先して行われる。図17に示すように、第二保留球数が「1」以上であるかが判断される(S71)。RAM52に記憶されている第二保留球数が「0」であれば(S71:NO)、第一保留球数が「1」以上であるかが判断される(S72)。RAM52に記憶されている第一保留球数が「0」であれば(S72:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0103】
第一保留球数が「1」以上である場合には(S72:YES)、RAM52に記憶されている第一保留球数が「1」減算される(S73)。次いで、第一大当たり関係情報記憶エリア(図9参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S74)。次いで、第一大当たり判定が行われる(S75)。図示しないが、ROM53には、第一大当たり判定を行うための第一判定テーブルが記憶されている。第一判定テーブルには、「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」に各々対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。S75では、第一判定テーブルが参照されて、S74でシフトされた判定エリアに記憶されている第一大当たり乱数が「大当たり」、「小当たり」及び「はずれ」の何れに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第一大当たり乱数に基づく第一大当たり判定が、第一大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0104】
次いで、第一大当たり判定の結果が大当たりであるかが判断される(S81)。第一大当たり判定の結果が大当たりの場合(S81:YES)、大当たりであることを示す第一特別図柄が決定されて(S82)、処理はS101へ移行する。S82の処理では、特別図柄決定テーブル(図10参照)が参照されて、S74でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第一特別図柄決定乱数の値に対応する第一特別図柄が決定される。第一大当たり判定の結果が大当たりでない場合(S81:NO)、第一大当たり判定の結果が小当たりであるかが判断される(S83)。第一大当たり判定の結果が小当たりの場合(S83:YES)、小当たりであることを示す第一特別図柄が決定されて(S84)、処理はS101へ移行する。S84の処理では、特別図柄決定テーブル(図10参照)が参照されて、判定エリアに記憶されている第一大当たり乱数と同時に取得された第一特別図柄決定乱数の値に対応する第一特別図柄が決定される。第一大当たり判定の結果がはずれの場合(S83:NO)、はずれであることを示す所定の第一特別図柄が決定されて(S85)、処理はS101へ移行する。
【0105】
第二保留球数が「1」以上である場合には(S71:YES)、RAM52に記憶されている第二保留球数が「1」減算される(S91)。次いで、第二大当たり関係情報記憶エリア(図9参照)の判定エリアが、次の番号の記憶エリアにシフトされる(S92)。次いで、第二大当たり判定が行われる(S93)。図示しないが、ROM53には、第二大当たり判定を行うための第二判定テーブルが記憶されている。第二判定テーブルには、「大当たり」及び「小当たり」に各々対応する大当たり乱数の乱数値が定義されている。S93では、第二判定テーブルが参照されて、S92でシフトされた判定エリアに記憶されている第二大当たり乱数が「大当たり」及び「小当たり」の何れに対応するかが判定される。これにより、RAM52に記憶された未判定の第二大当たり乱数に基づく第二大当たり判定が、第二大当たり乱数の記憶された順に行われる。
【0106】
次いで、第二大当たり判定の結果が大当たりであるかが判断される(S94)。第二大当たり判定の結果が大当たりの場合(S94:YES)、大当たりであることを示す第一特別図柄が決定されて(S95)、処理はS101へ移行する。S95の処理では、特別図柄決定テーブル(図10参照)が参照されて、S92でシフトされた判定エリアに記憶されている大当たり乱数と同時に取得された第二特別図柄決定乱数の値に対応する第二特別図柄が決定される。第二大当たり判定の結果が小当たりの場合(S94:NO)、小当たりであることを示す第二特別図柄が決定されて(S96)、処理はS101へ移行する。S96の処理では、特別図柄決定テーブル(図10参照)が参照されて、判定エリアに記憶されている第二大当たり乱数と同時に取得された第二特別図柄決定乱数の値に対応する第二特別図柄が決定される。
【0107】
次いで、変動パターン決定処理が行われる(S101)。変動パターン決定処理は、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動パターンを決定する処理である。変動パターン決定処理では、ROM53に記憶されている変動パターン決定テーブル(図13参照)のうち、大当たり判定が第一大当たり判定及び第二大当たり判定の何れであるか、大当たり判定時の遊技状態(通常状態、通常時短状態又は特定時短状態)及び大当たり判定の結果(大当たり、小当たり又ははずれ)に応じたテーブルが参照されて、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動パターンが決定される。
【0108】
変動パターンが決定されると、決定された変動パターンを指定するための変動パターン指定コマンドがRAM52に記憶される(S102)。変動パターン指定コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)において、サブ制御基板58に送信される。決定された変動パターンに応じて定められている第一特別図柄又は第二特別図柄の変動時間が、特別図柄変動時間カウンタにセットされる(S103)。第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが変動中であることを示す「1」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S104)、処理はメイン処理へ戻る。
【0109】
また、図16に示すS62の判断において、特別図柄表示状態フラグに「1」が記憶されている場合には、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが変動中であると判断され(S62:YES)、変動時間が経過したかが判断される(S111)。S103(図17参照)の処理においてセットされた特別図柄変動時間カウンタの値が「0」となっている場合には、変動時間が経過したと判断され(S111:YES)、RAM52に特別図柄停止コマンドが記憶される(S112)。このコマンドは、コマンド出力処理(S10、図14参照)によって中継基板47及びサブ制御基板58に送信され、第一特別図柄又は第二特別図柄、及び表示画面28の演出図柄の変動停止を指示する。次いで、所定の特別図柄停止表示時間が特別図柄停止時間カウンタに記憶される(S113)。第一特別図柄及び第二特別図柄の何れかが停止表示中であることを示す「2」が特別図柄表示状態フラグに記憶されて(S114)、処理はメイン処理へ戻る。一方、S111の判断において、変動時間がまだ経過していないと判断された場合には(S111:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0110】
また、S63の判断において、特別図柄表示状態フラグに「2」が記憶されている場合(S63:YES)、S113においてセットされた特別図柄停止時間カウンタの値によって、特別図柄停止表示時間が経過したかが判断される(S116)。特別図柄停止時間カウンタの値が「0」でない場合には、特別図柄停止表示時間がまだ経過していないと判断され(S116:NO)、処理はメイン処理へ戻る。特別図柄停止表示時間が経過した場合には(S116:YES)、第一特別図柄及び第二特別図柄の何れもが変動中でも停止表示中でもないことを示す「0」が、特別図柄表示状態フラグに記憶される(S117)。次いで、遊技状態移行処理が行われて(S118)、処理はメイン処理へ戻る。
【0111】
図18を参照して、遊技状態移行処理(S118、図16参照)について詳細に説明する。遊技状態移行処理では、大当たり判定によって大当たりと判定されている場合に、遊技が大当たり遊技状態へ移行される。また、大当たり判定によって小当たりと判定されている場合には、遊技が小当たり遊技状態へ移行される。また、所定の終了条件が成立した場合には時短状態を終了させるための時短フラグの制御が行われる。
【0112】
遊技状態移行処理が開始されると、まず、大当たり判定の判定結果が大当たりであるかが判断される(S131)。判定結果が大当たりの場合(S131:YES)、大当たり種別に対応するラウンド数が、RmaxとしてRAM52に記憶される(S132)。本実施形態では、第一大当たり判定に基づく大当たり遊技はすべて「15R」であるので、Rmaxとして「15」がセットされる。第二大当たり判定に基づく大当たり遊技はすべて「16R」であるので、Rmaxとして「16」がセットされる。
【0113】
次いで、判定回数計数カウンタの値が「0」にクリアされる(S133)。判定回数計数カウンタは、前回の大当たり遊技の終了後から実行された判定回数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。次いで、時短フラグに「1」又は「2」が記憶されていれば、時短フラグに「0」が記憶される(S134)。つまり、大当たり遊技中は、遊技状態が、通常状態に設定される。次いで、大当たり遊技状態フラグが「ON」となる(S135)。この場合、大当たり遊技を開始することを示す大当たり遊技開始コマンドがRAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)においてサブ制御基板58に送信される。処理は特別図柄処理(図16参照)へ戻る。
【0114】
一方、大当たり判定の判定結果が大当たりでない場合(S131:NO)、判定結果が小当たりであるかが判断される(S136)。大当たり判定の判定結果がはずれの場合(S136:NO)、処理はS139に移行する。判定結果が小当たりの場合(S1361:YES)、小当たり種別に対応するラウンド数が、RmaxとしてRAM52に記憶される(S137)。本実施形態では、小当たり種別はすべて「1R」であるので、Rmaxとして「1」がセットされる。次いで、小当たり中フラグが「ON」になる(S138)。この場合、小当たり遊技を開始することを示す小当たり遊技開始コマンドがRAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)においてサブ制御基板58に送信される。処理はS139に移行する。
【0115】
次いで、時短状態であるか判断される(S139)。時短フラグが「0」である場合、通常状態であるため(S139:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。時短フラグが「1」又は「2」である場合、時短状態であるため(S139:YES)、判定回数計数カウンタに「1」が加算される(S140)。次いで、特定時短状態であるか判断される(S141)。時短フラグが「1」である場合、通常時短状態であるため(S141:NO)、判定回数計数カウンタの値が「100」であるかが判断される(S142)。判定回数計数カウンタの値が「100」でない場合(S142:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。
【0116】
判定回数計数カウンタの値が「100」の場合(S142:YES)、時短フラグに「0」が記憶される(S143)。この場合、通常状態を示す状態コマンドがRAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)においてサブ制御基板58に送信される。その後、処理は特別図柄処理へ戻る。即ち通常時短状態では、大当たり遊技後に第一特別図柄及び第二特別図柄を合わせて100回の図柄変動が実行されると、遊技状態が通常状態(非時短状態)に移行する。
【0117】
一方、時短フラグが「2」である場合、特定時短状態であるため(S141:YES)、判定回数計数カウンタの値が「5」であるかが判断される(S144)。即ち大当たり遊技後に、第一特別図柄及び第二特別図柄を合わせて5回の図柄変動が実行された場合、判定回数計数カウンタの値が「5」となる(S144:YES)。この場合、時短フラグに「0」が記憶されて(S143)、処理は特別図柄処理へ戻る。判定回数計数カウンタの値が「5」でない場合(S144:NO)、第二特別図柄が変動停止されたかが判断される(S145)。即ち、大当たり遊技後に第二特別図柄が変動停止された場合(S145:YES)、時短フラグに「0」が記憶されて(S143)、処理は特別図柄処理へ戻る。大当たり遊技後に第二特別図柄が変動停止されていない場合(S145:NO)、処理は特別図柄処理へ戻る。即ち特定時短状態では、大当たり遊技後に特別図柄が5回変動されるか又は第二特別図柄が変動停止されると、通常状態(非時短状態)に移行する。
【0118】
図19及び図20を参照して、特別電動役物処理(S13、図14参照)の詳細について説明する。まず、特別電動役物処理で使用されるフラグについて説明する。特別電動役物処理では、前述の特別図柄処理で使用される各種フラグに加えて、開放中フラグ及び処理待機中フラグ等が使用される。開放中フラグは、第一大入賞口11及び第二大入賞口22が開放状態であるか否かを示すフラグであり、RAM52に記憶される。開放中フラグには、第一大入賞口11が開放されている場合に「1」、第二大入賞口22が開放されている場合に「2」、第一大入賞口11及び第二大入賞口22の何れも開放されていない場合に「0」が記憶される。処理待機中フラグは、第一大入賞口11が閉鎖されてから次の処理が行われるまでの所定の処理時間が経過する前である処理待機中であるか否かを示すフラグである。処理待機中フラグは、処理待機中に「1」が記憶されて「ON」となり、処理時間が経過すると「OFF」になる。なお処理時間は、第一大入賞口11に入賞した遊技球が、遊技領域4の外部へ排出されるまでに必要な時間等を勘案して設定されている。
【0119】
図19に示すように、特別電動役物処理が開始されると、大当たり遊技状態であるかが判断される(S151)。この判断は、大当たり遊技状態フラグの状態によって行われる。大当たり遊技状態フラグが「ON」の場合(S151:YES)、処理待機中であるかが判断される(S152)。この判断は、処理待機中フラグの状態によって行われる。処理待機中フラグが「OFF」の場合(S152:NO)、第一大入賞口11が開放されているかが判断される(S153)。この判断は、開放中フラグに「1」が記憶されているかによって行われる。開放中フラグに「1」が記憶されている場合(S153:YES)、処理はS161の判断へ移行する。
【0120】
開放中フラグに「1」が記憶されていない場合(S153:NO)、第一大入賞口11を開放させるための第一開放コマンドがRAM52に記憶される(S155)。第一開放コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第一開放コマンドを受信した第一作動ソレノイド65は、第一作動機構150を規制状態から許容状態に変化させることで、第一大入賞口11が開放されて入賞可能となる。
【0121】
次いで、第一開放時間が、第一開放時間カウンタに記憶される(S156)。第一開放時間カウンタは、第一大入賞口11の最大開放時間である第一開放時間を計測するためのカウンタであり、RAM52に記憶される。次いで、開放中フラグに「1」が記憶される(S158)。処理はS161の判断へ移行する。なお本実施形態では、図10に示すように、大当たり種別が「ビッグボーナス」の全ラウンド、及び「ショートボーナスA」及び「ショートボーナスB」の1R目~4R目では、第一開放時間が「28.0秒」である。「ショートボーナスA」及び「ショートボーナスB」の5R目~15R目では、第一開放時間が「0.28秒」である。
【0122】
次いで、第一大入賞口11へ遊技球が入賞したかが判断される(S161)。第一大入賞口スイッチ130が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図14参照)において、第一大入賞口スイッチ130に対応するフラグが「ON」となる。第一大入賞口スイッチ130に対応するフラグが「ON」となっていれば第一大入賞口11に遊技球が入賞したと判断されて(S161:YES)、第一大入賞口11へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の第一入賞球数カウンタに「1」が加算される(S162)。処理はS163の判断へ移行する。第一大入賞口スイッチ130に対応するフラグが「OFF」となっていれば第一大入賞口11へ遊技球が入賞していないと判断される。第一大入賞口11へ遊技球が入賞していない場合(S161:NO)、処理はS163の判断へ移行する。
【0123】
次いで、第一大入賞口11への入賞球数が「9」以上であるかが判断される(S163)。第一入賞球数カウンタの値が「9」未満の場合(S163:NO)、第一開放時間カウンタの値に基づいて第一開放時間が経過したかが判断される(S164)。第一開放時間が経過していなければ(S164:NO)、処理はメイン処理へ戻る。以降に行われる特別電動役物処理において、大当たり遊技状態であり(S151:YES)、処理待機中でない場合(S152:NO)、第一大入賞口11に9個以上の遊技球が入賞するか、又は第一開放時間が経過するまで、これらの判断が繰り返し実行される(S163:NO、S164:NO)。
【0124】
第一大入賞口11に9個以上の遊技球が入賞するか(S163:YES)、又は第一開放時間が経過した場合(S164:YES)、第一閉鎖コマンドがRAM52に記憶される(S165)。第一閉鎖コマンドは、開放している第一大入賞口11を閉鎖させるためのコマンドである。第一閉鎖コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第一閉鎖コマンドを受信した第一作動ソレノイド65は、第一作動機構150を許容状態から規制状態に変化させることで、第一大入賞口11が閉鎖されて入賞困難となる。次いで、所定の処理時間が処理時間カウンタに記憶される(S166)。処理待機中フラグが「ON」になる(S168)。また、開放中フラグに「0」が記憶される(S169)。処理はメイン処理へ戻る。
【0125】
一方、大当たり遊技状態フラグが「OFF」の場合(S151:NO)、図20に示すように、小当たり遊技中であるかが判断される(S191)。この判断は、小当たり中フラグの状態によって行われる。小当たり中フラグが「OFF」の場合(S191:NO)、処理はメイン処理へ戻る。小当たり中フラグが「ON」の場合(S191:YES)、第二大入賞口22が開放されているかが判断される(S192)。この判断は、開放中フラグに「2」が記憶されているかによって行われる。開放中フラグに「2」が記憶されている場合(S192:YES)、処理はS201の判断へ移行する。
【0126】
開放中フラグに「2」が記憶されていない場合(S192:NO)、第二大入賞口22を開放させるための第二開放コマンドがRAM52に記憶される(S193)。第二開放コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第二開放コマンドを受信した第二作動ソレノイド66は、第二作動機構250を規制状態から許容状態に変化させることで、第二大入賞口22が開放されて入賞可能となる。
【0127】
次いで、第二開放時間が、第二開放時間カウンタに記憶される(S195)。第二開放時間カウンタは、第二大入賞口22の最大開放時間である第二開放時間を計測するためのカウンタであり、RAM52に記憶される。本実施形態では、第二開放時間は「3.2秒」が設定される(図10参照)。次いで、開放中フラグに「2」が記憶される(S196)。
【0128】
次いで、第三作動機構350を動作させるための振分作動コマンドが、RAM52に記憶される(S198)。振分作動コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)において中継基板47に送信される。中継基板47を介して振分作動コマンドを受信した第三作動ソレノイド67は、小当たり遊技中に第三作動機構350を所定パターンで動作させる。本実施形態では、小当たり種別が「小当たりA」、「小当たりB」、「小当たりC」の何れであるかに応じて、図11に例示したパターンで第三作動機構350が規制状態と許容状態とに切り替えられる。処理はS201の判断へ移行する。
【0129】
次いで、第二大入賞口22へ遊技球が入賞したかが判断される(S201)。第二大入賞口スイッチ311が遊技球の入賞を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図14参照)において、第二大入賞口スイッチ311に対応するフラグが「ON」となる。第二大入賞口スイッチ311に対応するフラグが「ON」となっていれば第二大入賞口22に遊技球が入賞したと判断されて(S201:YES)、第二大入賞口22へ入賞した遊技球の個数を計数するRAM52の第二入賞球数カウンタに「1」が加算される(S202)。処理はS203の判断へ移行する。第二大入賞口スイッチ311に対応するフラグが「OFF」となっていれば第二大入賞口22へ遊技球が入賞していないと判断される。第二大入賞口22へ遊技球が入賞していない場合(S201:NO)、処理はS203の判断へ移行する。
【0130】
次いで、第二大入賞口22への入賞球数が「9」以上であるかが判断される(S203)。第二入賞球数カウンタの値が「9」未満の場合(S203:NO)、第二開放時間カウンタの値に基づいて第二開放時間が経過したかが判断される(S205)。第二開放時間が経過していなければ(S205:NO)、処理はメイン処理へ戻る。以降に行われる特別電動役物処理において、小当たり遊技中の場合(S191:YES)、第二大入賞口22に9個以上の遊技球が入賞するか、又は第二開放時間が経過するまで、これらの判断が繰り返し実行される(S203:NO、S205:NO)。
【0131】
第二大入賞口22に9個以上の遊技球が入賞するか(S203:YES)、又は第二開放時間が経過した場合(S205:YES)、第二閉鎖コマンドがRAM52に記憶される(S206)。第二閉鎖コマンドは、開放している第二大入賞口を閉鎖させるためのコマンドである。第二閉鎖コマンドは、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)において中継基板47に送信される。中継基板47を介して第二閉鎖コマンドを受信した第二作動ソレノイド66は、第二作動機構250を許容状態から規制状態に変化させることで、第二大入賞口22が閉鎖されて入賞困難となる。次いで、開放中フラグに「0」が記憶される(S208)。また、小当たり中フラグが「OFF」になる(S209)。
【0132】
次いで、小当たり遊技において遊技球が特定領域333Aを通過したかが判断される(S211)。特定領域スイッチ333が遊技球の通過を検出すると、メイン処理のスイッチ読込処理(S11、図14参照)において、特定領域スイッチ333に対応するフラグが「ON」となる。特定領域スイッチ333に対応するフラグが「OFF」となっていれば遊技球が特定領域333Aを通過していないと判断されて(S211:NO)、処理はメイン処理へ戻る。
【0133】
特定領域スイッチ333に対応するフラグが「ON」となっていれば遊技球が特定領域333Aを通過していると判断されて(S211:YES)、大当たり遊技状態フラグが「ON」になる(S212)。すなわち、小当たり遊技において遊技球が特定領域333Aを通過したことにより条件装置の作動により役物連続作動装置が作動する。次いで、Rカウンタの値に「1」が加算される(S213)。Rカウンタは、大当たり遊技において実行されたラウンド数を計数するカウンタであり、RAM52に記憶される。すなわち、役物連続作動装置の作動に伴い、小当たり遊技が1R目の大当たりラウンドとして取り扱われ、1R分の大当たりラウンドとしてラウンド数に換算される。その後、処理はメイン処理へ戻る。
【0134】
一方、図19に示すように、処理待機中フラグが「ON」の場合(S152:YES)、処理時間カウンタの値に基づいて処理時間が経過したかが判断される(S171)。処理時間カウンタの値が「0」でなければ処理時間が経過していないと判断されて(S171:NO)、処理はメイン処理へ戻る。以降に行われる特別電動役物処理において、処理時間カウンタの値が「0」であれば処理時間が経過したと判断されて(S171:YES)、処理待機中フラグが「OFF」となる(S172)。次いで、Rカウンタの値に「1」が加算される(S173)。
【0135】
次いで、Rカウンタの値とRmaxの値とが等しいかが判断される(S175)。Rカウンタの値がまだRmaxに至っておらずRカウンタの値とRmaxの値とが等しくない場合(S175:NO)、処理はメイン処理へ戻る。Rカウンタの値とRmaxの値とが等しい場合(S175:YES)、Rカウンタの値と、Rmaxの値とが「0」にクリアされる(S176)。次いで、大当たり遊技状態フラグが「OFF」になる(S178)。処理はS181に移行する。
【0136】
次いで、通常時短状態へ移行であるかが判断される(S181)。本実施形態では、大当たり種別が「ビッグボーナス」又は「ショートボーナスA」である場合、通常時短状態へ移行であると判断され(S181:YES)、時短フラグに「1」が記憶される(S182)。この場合、通常時短状態を示す状態コマンドがRAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)においてサブ制御基板58に送信される。大当たり種別が「ショートボーナスB」である場合、通常時短状態へ移行でないと判断され(S181:NO)、時短フラグに「2」が記憶される(S182)。この場合、特定時短状態を示す状態コマンドがRAM52に記憶され、次回実行されるメイン処理のコマンド出力処理(S10、図14参照)においてサブ制御基板58に送信される。S182又はS183の実行後、処理はメイン処理へ戻る。
【0137】
図21を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。パチンコ機1のサブ制御は、サブ制御基板58のROM583に記憶されているサブ制御プログラムに従って行われる。サブ制御プログラムは、パチンコ機1の電源がONにされた際に、CPU581によって実行される。
【0138】
図21に示すように、サブ制御基板処理が開始されると、主基板41から状態コマンドを受信したかが判断される(S201)。状態コマンドを受信していない場合(S201:NO)、処理はS203の判断に移行する。状態コマンドを受信した場合(S201:YES)、その状態コマンドに応じた状態別演出制御処理が実行される(S202)。状態別演出制御処理では、状態コマンドに基づいて主基板41で実行されている遊技状態(通常状態、通常時短状態、特定時短状態)が特定され、その遊技状態に合わせた演出動作が実行される。例えば遊技状態に対応する背景画面、装飾画像、演出音等を用いた演出動作が、演出制御基板43及びランプドライバ基板46を介して、表示画面28、電飾基板31、スピーカ48等で実行される。本実施形態では、特定時短状態を示す状態コマンドが受信された場合、所定の終了条件が満たされるまで後述の引き戻し期待演出が実行される。この引き戻し期待演出が実行されている遊技状態が、先述の引き戻し期待遊技(図12参照)である。
【0139】
次いで、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したかが判断される(S203)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S203:NO)、処理はS205の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S203:YES)、変動パターン指定コマンドに応じた報知演出制御処理が実行される(S204)。報知演出制御処理では、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンが特定され、先述の報知演出が特定された変動パターンに応じて表示画面28、電飾基板31、スピーカ48等で実行される。処理はS205の判断へ移行する。
【0140】
次いで、 主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかが判断される(S205)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S205:NO)、処理はS207の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S205:YES)、表示画面28において変動中の演出図柄が大当り判定の結果に応じた図柄で確定表示される(S206)。処理はS207の判断へ移行する。
【0141】
次いで、主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したかが判断される(S207)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S207:NO)、処理はS209へ移行する。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S207:YES)、大当たり遊技演出が実行される(S208)。具体的には、大当たり遊技開始コマンドを受信した場合、大当たり遊技中であることを遊技者に報知する演出動作が実行される。処理はS209へ移行する。
【0142】
次いで、主基板41から小当たり遊技開始コマンドを受信したかが判断される(S209)。小当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S209:NO)、処理はS201の判断に戻る。小当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S209:YES)、小当たり遊技演出が実行される(S210)。具体的には、小当たり遊技開始コマンドを受信した場合、小当たり遊技中であることを遊技者に報知する演出動作が実行される。その後、処理はS201の判断に戻る。
【0143】
図22図28を参照して、引き戻し期待演出の具体例を説明する。引き戻し期待演出は、大当たり遊技の実行後に特定時短状態が生起される場合に実行され、遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する。まず図22図25を参照して、引き戻し期待演出の基本的態様を説明する。図22(A)に示す例では、大当たり遊技が終了した時点で、第一保留球181が4個記憶され、且つ第二保留球182が2個記憶されており、これらの保留情報が表示画面28に表示されている。この状態で、引き戻し期待演出の開始が報知されている。本実施形態では、第二大当たり判定は第一大当たり判定よりも優先して行われる。従って、第二保留球182は第一保留球181よりも優先的に消化されると共に、各保留球181、182に大当たり結果の報知順序(所謂、消化順序)が数字で表示してある。
【0144】
引き戻し期待演出が開始された時点では、特定時短状態が生起されているため、第二始動口16が入賞し易い状態にある。遊技者は、右打ちで第二始動口16に入賞させることによって、第二保留球を貯めることができる。従って図22(A)に続いて、図22(B)に示すように、右打ちを推奨する画像が表示画面28に表示される。そして、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、先頭の第二保留球182に対応する報知演出が実行されて、演出図柄180が変動表示される(S203:YES、S204)。先頭の第二保留球182が消化されたため、1個の第二保留球182と4個の第一保留球181が表示画面28に表示される。以下では、特定時短状態中に初めて実行される1回の第二特別図柄の図柄変動に対応する報知演出を、特定変動報知という。
【0145】
先述したように、第二大当たり判定では、遊技状態に関係なく概ね小当たりに当選する。更に特定時短状態では、第二大当たり判定で決定される小当たり変動パターンの変動時間(演出時間)が「40秒」又は「61.5秒」と相対的に長い(図13参照)。即ち特定変動報知では、演出図柄180が「40秒」又は「61.5秒」に亘って変動表示される。図22(B)に示す例では、第二大当たり判定の結果が「小当たり(V否定)」であり、演出図柄180が「40秒」に亘って変動表示される。
【0146】
本実施形態では、特定時短状態において第二特別図柄が変動停止すること(即ち、特定時短状態中に第二特別図柄が1回変動すること)が、特定時短状態の終了条件の一つである(S145:YES)。逆に言えば、相対的に長い特定変動報知が実行されている期間は、特定時短状態も継続する。この相対的に長い特定時短状態によって、遊技者が右打ちによって遊技球を第二始動口16へ容易に入賞できると共に、第二保留球182が最大第二保留球数である「4」に達するのに必要な時間を十分に確保できる。
【0147】
なお、特定時短状態の第二大当たり判定で決定される小当たり変動パターンの変動時間(演出時間)は、「小当たり(V否定)」の場合は「40秒」であるのに対し、「小当たり(V確定)」の場合は「小当たり(V否定)」よりも長い「61.5秒」である。これは、「小当たり(V確定)」の場合には、第二大入賞口22へ入賞すると特定領域333Aを通過し易いことを長時間報知することで、遊技者は小当たり遊技時に確実に第二大入賞口22を狙って打ち出しできる。仮に特定領域333Aを通過しなかった場合でも、「小当たり(V確定)」の報知演出中に第二保留球182がより多く貯留されるため、後述する引き戻し抽選において大当たりが生起される確率が高められて、「小当たり(V確定)」で大当たりが生起されなかった遊技者の落胆を補うことができる。
【0148】
次いで、図23(A)に示す例では、特定変動報知中に第二始動口16へ3個入賞したことによって、4個の第二保留球182と4個の第一保留球181が表示画面28に表示されている。従って以降の演出では、実行中の特定変動報知と、4個の第二保留球182に対応する報知演出とを合わせて、計5回分の第二大当たり判定の結果を報知可能である(即ち、最大5回転の引き戻し抽選が実行可能となる)。この引き戻し抽選において、第二大当たり判定で大当たりに当選するか、又は小当たり(V確定)に当選して遊技球が特定領域333Aを通過すれば、大当たり遊技が生起される。
【0149】
次いで、図23(B)に示す例では、特定変動報知が40秒後に終了して、小当たり(V否定)を示す態様で演出図柄180が確定表示される(S205:YES、S206)。これにより小当たり遊技が実行されるが、遊技球が第二大入賞口22へ入賞しても特定領域333Aを通過しないため、引き戻し期待演出が継続される。この場合、特定変動報知が終了したため(即ち、第二特別図柄が変動停止したため)、内部的には特定時短状態が終了して通常状態に移行する(S145:YES、S143)。通常状態に移行すると時短遊技は終了するため、以降の引き戻し期待演出中において第二始動口16へ入賞する確率(即ち、第二保留球182が追加される確率)は極めて乏しい。
【0150】
従って図24(A)に示すように、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、先頭の第二保留球182に対応する報知演出が実行されて、演出図柄180が変動表示される(S203:YES、S204)。先頭の第二保留球182が消化されたため、3個の第二保留球182と4個の第一保留球181が表示画面28に表示される。通常状態では、第二大当たり判定で決定される小当たり変動パターンの変動時間(演出時間)が「11秒」又は「0.2秒」と相対的に短い(図13参照)。24(A)に示す例では、第二大当たり判定の結果が「小当たり(V否定)」であり、演出図柄180が「0.2秒」に亘って変動表示される。
【0151】
次いで図24(B)に示す例では、第二特別図柄の通常変動が0.2秒後に終了して、小当たり(V否定)を示す態様で演出図柄180が確定表示される(S205:YES、S206)。これにより小当たり遊技が実行されるが、遊技球は特定領域333Aを通過しないため、引き戻し期待演出が継続される。以下、上記と同様にして、通常状態のもとで第二保留球182に対応する報知演出が、大当たり遊技が生起されるか、又は貯留された第二保留球182が無くなるまで、繰り返し実行される。本例では、後続する2個の第二保留球182についても、その第二大当たり判定結果は「小当たり(V否定)」であるものとする。
【0152】
次いで図25(A)に示す例では、最後の第二保留球182に対応する報知演出が実行されて、演出図柄180が変動表示される(S203:YES、S204)。最後の第二保留球182が消化されたため、4個の第一保留球181のみが表示画面28に表示される。図25(A)に示す例では、第二大当たり判定の結果が「小当たり(V確定)」であり、演出図柄180が「11秒」に亘って変動表示される。第二特別図柄の通常変動が終了すると、小当たり(V確定)を示す態様で演出図柄180が確定表示される(S205:YES、S206)。これにより小当たり遊技が実行されるため、遊技球が第二大入賞口22へ入賞して特定領域333Aを通過すれば、大当たり遊技が生起される。
【0153】
なお、最大5回転の引き戻し抽選によって大当たり遊技が生起されなかった場合、引き戻し期待演出が終了される。図25(A)に示す例では、小当たり(V確定)に基づく小当たり遊技が実行されても、遊技球が特定領域333Aを通過しなければ、引き戻し期待演出が終了される。また、最大5回転の引き戻し抽選の結果が全て「小当たり(V否定)」である場合も、大当たり遊技は生起されないため、引き戻し期待演出が終了される。引き戻し期待演出が終了すると、図25(B)に示すように通常状態の演出動作に移行する。図25(B)に示す例では、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、先頭の第一保留球181に対応する報知演出が実行されて、演出図柄180が変動表示される。先頭の第一保留球181が消化されたため、3個の第一保留球181が表示画面28に表示される。
【0154】
次に、引き戻し期待演出の別態様を説明する。まず図26(A)に示す例では、大当たり遊技が終了した時点で、第一保留球181が4個記憶されているが、第二保留球182が記憶されていない。先述と同様に、大当たり遊技の終了後に引き戻し期待演出の開始が報知されると、図26(B)に示すように右打ちを推奨する画像が表示される。そして、主基板41から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、先頭の第一保留球181に対応する報知演出が実行されて、演出図柄180が変動表示されている(S203:YES、S204)。なお、この変動パターン指定コマンドは、時短状態における第一大当たり判定の変動パターンを示すため、その変動時間(演出時間)は通常状態よりも相対的に短い(図13参照)。先頭の第一保留球181が消化されたため、3個の第一保留球181が表示画面28に表示される。
【0155】
以下、上記と同様に、時短状態のもとで第一保留球181に基づく引き戻し抽選が実行される。本例では、2個目の第一保留球181についても、その第一大当たり判定結果は「はずれ」であるものとする。次いで図27(A)に示す例では、3個目の第一保留球181に対応する報知演出が実行されて、演出図柄180が変動表示される(S203:YES、S204)。これにより3個目の第一保留球181が消化される一方、この変動表示中に第二始動口16へ1個入賞したことによって、1個の第二保留球182と1個の第一保留球181が表示画面28に表示されている。
【0156】
本例では、3個目の第一保留球181についても、その第一大当たり判定結果は「はずれ」であるものとする。この場合、3個目の第一保留球181に対応する図柄変動が停止表示された後、第二大当たり判定が第一大当たり判定よりも優先して実行される。従って図27(B)に示すように、第二保留球182に対応する報知演出が実行されて、演出図柄180が変動表示される(S203:YES、S204)。第二保留球182が消化されたため、1個の第一保留球181のみが表示画面28に表示されている。
【0157】
本実施形態では、特定時短状態において判定回数カウンタの値が「5」であること(即ち、特定時短状態中に特別図柄が計5回変動すること)が、特定時短状態の終了条件の一つである(S145:YES)。図27(B)の例では、特別図柄が計3回しか変動していないため、特定時短状態が継続している。この場合に実行される第二特別図柄の報知演出は、特定時短状態における第二大当たり判定の変動パターンに基づく報知演出(先述の特定変動報知)である。図27(B)に示す例では、第二大当たり判定の結果が「小当たり(V否定)」であり、演出図柄180が「40秒」に亘って変動表示される。
【0158】
従って遊技者は、先述と同様に、長期間に亘って実行される特定変動報知中に(即ち、特定時短状態の継続中に)、遊技者が右打ちによって遊技球を第二始動口16へ容易に入賞させることができ、多くの第二保留球182を記憶させることができる。なお、図28(A)に示す例では、特定変動報知中に第二始動口16へ2個入賞したことによって、2個の第二保留球182と1個の第一保留球181が表示画面28に表示されている。従って以降の演出では、実行中の特定変動報知と、2個の第二保留球182に対応する報知演出とを合わせて、計3回分の第二大当たり判定の結果を報知可能である(即ち、最大3回転の引き戻し抽選が実行可能となる)。
【0159】
次いで図28(B)に示す例では、特定変動報知が40秒後に終了して、小当たり(V否定)を示す態様で演出図柄180が確定表示される(S205:YES、S206)。これにより小当たり遊技が実行されるが、特定領域333Aを通過しないため、引き戻し期待演出が継続される。この場合、特定変動報知が終了したため(即ち、第二特別図柄が変動停止したため)、先述したように内部的には特定時短状態が終了して通常状態に移行する(S145:YES、S143)。
【0160】
以降の処理は、先述と同様である。図28(B)に示す例では、最大3回転の引き戻し抽選によって大当たり遊技が生起されなかった場合、引き戻し期待演出が終了される。また、最大3回転の引き戻し抽選の結果が全て「小当たり(V否定)」である場合も、大当たり遊技は生起されないため、引き戻し期待演出が終了される。引き戻し期待演出が終了すると、図25(B)に示すように通常状態の演出動作が実行される。
【0161】
上記の態様では、特定変動報知中に遊技球が第二始動口16に入賞した場合を例示した(図23(A)及び図28(A)参照)。但し、図27(B)に示すように第二保留球が貯留されていない状態において、特定変動報知中に遊技球が第二始動口16に入賞しなかった場合には、引き戻し抽選を行うための第二保留球が存在しない。そのため、特定変動報知が終了した時点で引き戻し期待演出が終了され、通常状態の演出動作(図25(B)参照)に移行する。
【0162】
本実施形態では、特定時短状態において第二特別図柄が変動停止すること、又は特定時短状態中に特別図柄が計5回変動することが、特定時短状態の終了条件であるが、その技術的意義を説明する。図26(A)に例示したように、大当たり遊技が終了された時点で、第二保留球が記憶されておらず且つ第一保留球が記憶されているものとする。この場合、特定時短状態において第一保留球に対応する報知演出が実行される。しかしながら、パチンコ機1では、時短状態における第一特別図柄の変動時間が相対的に短い。そのため、特定時短状態における第一特別図柄の変動停止を特定時短状態の終了条件にすると、特定時短状態の継続時間も相対的に短くなるため、遊技者が特定時短状態中に多くの第二始動口16に入賞させること(即ち、多くの第二保留球を記憶させること)が困難となる。そうすると、引き戻し期待遊技における引き戻し抽選の回数が少なくなるため、この引き戻し抽選によって大当たりが生起される確率が低くなる。
【0163】
これに対し、パチンコ機1では、相対的に変動時間の長い第二特別図柄が変動停止することを特定時短状態の終了条件の一つとした。これにより、特定時短状態の継続時間を相対的に長く確保することができ、遊技者が特定時短状態中に多くの第二始動口16に入賞させること(即ち、多くの第二保留球を記憶させること)が可能となる。更に、特定時短状態における第二特別図柄の報知演出(即ち、特定変動報知)自体も、引き戻し期待遊技における引き戻し抽選に含めることができる。従って、引き戻し期待遊技における引き戻し抽選の回数が多くなるため、この引き戻し抽選によって大当たりが生起される確率を高めることができる。
【0164】
一方、図26(A)に例示したように、大当たり遊技が終了された時点で第二保留球が記憶されておらず、且つその後も第二始動口16に入賞しない場合、特定時短状態において第二特別図柄が変動されない。この状態では、第二始動口16に入賞しない限り、第一特別図柄が何回変動しても特定時短状態が終了しないため、引き戻し期待演出(即ち、引き戻し期待遊技)がイレギュラーに継続する。そこでパチンコ機1では、特定時短状態中に特別図柄が所定回数変動することを特定時短状態の終了条件の一つとすることで、引き戻し期待遊技がイレギュラーに継続することを抑制している。
【0165】
更に言えば、図26(A)に例示したように、大当たり遊技が終了された時点で、第二保留球が記憶されておらず且つ第一保留球が最大第一保留球数である「4」まで記憶されているものとする。この状態で特定時短状態に移行すると、遊技者が誤って左打ちしたり、遊技球の打ち出しを忘れたり、或いは右打ちしても第二始動口16に入賞しないと、第二保留球は記憶されない。この場合、最大第一保留球数分の図柄変動(4回分の第一特図変動)が実行されることになる。仮に特定時短状態の終了条件の一つが「特定時短状態中に特別図柄が計4回(若しくは3回以下)変動すること」であると、上記のように大当たり遊技直後に4回分の第一特図変動が実行された時点で特定時短状態が終了するため、遊技者にとって非常に不利となる。
【0166】
これに対してパチンコ機1では、大当たり遊技後に4回分の第一特図変動が行われても、「特定時短状態中に特別図柄が計5回変動する」の終了条件は満たされないので、特定時短状態は終了しない。即ち、第二始動口16に入賞し易い時短状態が継続するので、遊技者が右打ちによって第二始動口16に入賞させる機会を確保でき、その入賞に基づいて長期間の特定変動報知を実行できる。即ち、引き戻し期待遊技中により多くの引き戻し抽選が実行されるため、再び大当たり遊技が生起される期待感を高めることができる。
【0167】
ところで上記実施形態では、特定時短状態の終了条件の一つが、第二特別図柄が所定回数(本例では、1回)変動停止することであるが、この所定回数は最大第二保留球数(本例では「4」)未満であればよい。そのため、例えば特定時短状態の終了条件の一つが、第二特別図柄が3回変動停止することであってもよい。この場合、先述のS145(図18参照)では、大当たり遊技後に第二特別図柄が3回変動停止されたかが判断されればよい。これによれば、特定時短状態中に第二特別図柄の報知演出が3回実行されると、引き戻し期待演出が終了して通常状態の演出動作に移行する。
【0168】
そして上記変形例では、特定時短状態中に実行される所定回数分の第二特別図柄の報知演出のうちで、最後に実行される報知演出(例えば、3回目の第二特別図柄の報知演出)のみが、特定変動報知として長時間に亘って変動表示されることが好適である。この場合、特定時短状態において最後に実行される特定変動報知中に、遊技者は第二始動口16に入賞させることで、引き戻し期待演出で使用される第二保留球をより確実に獲得できる。なお、上記変形例において、特定時短状態中に実行される所定回数分の第二特別図柄の報知演出の全てが、それぞれ特定変動報知として長時間に亘って変動表示されてもよい。
【0169】
以上説明した本実施形態のパチンコ機1の技術特徴の一部を、以下に例示する。以下の説明における括弧書きは、上記実施形態に対応する構成又は処理を例示する。
【0170】
(1)パチンコ機1は、発射装置(遊技球発射装置37)から発射された遊技球が流下可能な遊技領域4が形成された遊技盤2を備える。遊技領域4には、遊技球が入賞又は通過することが可能な第一始動領域(第一始動口14)と、遊技球が入賞又は通過し難い閉鎖状態と、遊技球が入賞又は通過し易い開放状態とに変化可能な第二始動領域(第二始動口16)と、遊技球が通過可能な特定領域(特定領域333A)を有する遊技部材(アタッカー装置50)とが設けられる。遊技部材は、遊技球の特定領域の通過が許容される許容状態と、遊技球の特定領域の通過が規制される規制状態とに変化可能である。
【0171】
通常状態と、通常状態よりも第二始動領域が開放状態に変化し易い時短状態との何れかに、遊技状態が制御される(S143、S181~S183)。遊技球が第一始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第一乱数が取得され、取得された第一乱数が記憶される(S44)。記憶された第一乱数に基づいて、第一当たり判定(第一大当たり判定)が実行される(S75)。図柄表示部24は、第一図柄(第一特別図柄)を変動表示させた後に確定表示させることで、第一当たり判定の結果を報知する第一図柄変動報知を実行する(S102、S112)。第一図柄変動報知によって第一当たり判定の結果が第一当たり(第一特別図柄の大当たり)であることが報知された場合、遊技者に有利な第一当たり遊技(1種遊技としての大当たり遊技)が実行される(S151~S178)。
【0172】
主基板41では、遊技球が第二始動領域に入賞又は通過したことを契機として、第二乱数が取得され、取得された第二乱数が記憶される(S54)。記憶された第二乱数に基づいて、第二当たり判定(第二大当たり判定)が実行される(S94)。図柄表示部24は、第二図柄(第二特別図柄)を変動表示させた後に確定表示させることで、第二当たり判定の結果を報知する第二図柄変動報知を実行する(S102、S112)。第二図柄変動報知によって第二当たり判定の結果が第二当たり(第二特別図柄の小当たり)であることが報知された場合、遊技部材を許容状態に変化させる第二当たり遊技(小当たり遊技)が実行される(S191~S209)。遊技球が特定領域を通過した場合、遊技者に有利な第三当たり遊技(2種遊技としての大当たり遊技)が実行される(S211~S213、S151~S178)。
【0173】
(2)上記(1)のパチンコ機1において、記憶された第二乱数であり、且つ第二図柄変動報知によって第二当たり判定の結果が未だ報知されていない第二乱数である保留乱数(第二保留球)を記憶可能である。所定条件が満たされた場合(例えば、「ショートボーナスB」に当選)、第一当たり遊技及び第三当たり遊技の少なくとも一つである対象当たり遊技が実行された後に、遊技状態が時短状態に含まれる特定時短状態に制御され、特定時短状態の実行中に所定の終了条件を満たした場合に、遊技状態が通常状態に制御される(S183、S144又はS145、S143)。終了条件は、対象当たり遊技が実行された後、初めて実行される1回分の第二図柄変動報知である特定変動報知が完了することである(S145)。
【0174】
図柄表示部24では、時短状態のうちで特定時短状態とは異なる通常時短状態の実行中に、第二図柄変動報知を実行する場合、第二図柄が変動開始してから確定表示されるまでの所要時間が第一変動時間(例えば、11秒又は0.2秒)に制御される。図柄表示部24では、特定変動報知を実行する場合、所要時間が第一変動時間よりも長い第二変動時間(例えば、61.5秒又は40秒)に制御されることで、特定時短状態を少なくとも第二変動時間に亘って維持して、保留乱数が記憶される頻度を向上させる。更に、特定変動報知と、記憶された保留乱数に基づく第二図柄変動報知とにおいて、遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する特殊演出(引き戻し期待演出)が実行される(S202)。
【0175】
上記のパチンコ機1では、対象当たり遊技が実行された後に特定時短状態に制御され、特定時短状態の実行中に特定変動報知が完了すると通常状態に制御される。特定変動報知は、通常時短状態中の第二図柄変動報知よりも長時間に亘って実行される第二図柄変動報知である。従って、少なくとも特定変動報知の実行中は特定時短状態が実行されるため、第二始動領域へ入賞又は通過し易い(即ち、より多くの保留乱数が記憶され易い)。そして、特定時短状態と保留乱数とに基づく第二図柄変動報知とが実行される期間に亘って特殊演出を実行することで、遊技者は特殊演出中に第二当たりに当選したことが報知される可能性がある。この第二当たりが報知された場合には第二当たり遊技が実行され、この第二当たり遊技において遊技球が特定領域を通過すれば第三当たり遊技が生起される。このように、上記の特殊演出において当たり遊技が再度生起される期待感が向上するため、所謂1種2種混合機で当たり遊技が終了した場合でも興趣の低下を抑制できる。即ち、所謂1種2種混合機において、遊技者に引き戻しチャンスに付与するための新たな演出を実行できる。
【0176】
(3)上記(2)のパチンコ機1において、記憶された第一乱数であり、且つ第一図柄変動報知によって第一当たり判定の結果が未だ報知されていない第一乱数である第一保留を、第一上限数(最大第一保留球数である「4」)まで記憶可能である。終了条件は、特定時短状態の実行中に、第一図柄変動報知が実行された回数と第二図柄変動報知が実行された回数との合計値が、第一上限数に1加算した数量(本例では「5」)に達したことである(S144)。
【0177】
これによれば、例えば大当たり遊技の終了時に、第一保留が第一上限数まで記憶されている一方、第二保留が記憶されていない場合がある。この場合、大当たり遊技の終了後に第一上限数分の第一図柄変動報知が実行された場合でも、特定時短状態は終了せずに継続する。そして遊技者が遊技球を第二始動領域に入賞又は通過させれば、特定変動報知が実行されると共に、特定変動報知の実行中は特定時短状態が継続する。従って、上記のようなケースでも、特定変動報知が実行される機会(即ち、特定時短状態中に保留乱数を獲得する機会)を確保できる。
【0178】
(4)上記(2)のパチンコ機1において、保留乱数である第二保留を、第二上限数(最大第二保留球数である「4」)まで記憶可能である。発射装置は、所定の発射時間間隔で、遊技球を遊技領域に発射する。第二変動時間は、少なくとも第二上限数と発射時間間隔とを乗算した値よりも大きい。更に言えば第二変動時間は、第二上限数と、第二始動領域への平均入賞時間間隔とを乗算した値よりも大きいことが好適である。第二始動領域への平均入賞時間間隔は、第二始動領域を狙った通常の打ち出し状態で、遊技球が第二始動領域に入賞又は通過する時間間隔の平均値である。
【0179】
これによれば、第二変動時間(例えば、61.5秒又は40秒)は、発射時間間隔(例えば、0.6秒)と第二上限数(最大第二保留球数である「4」)とを乗算した値(例えば、2.4)秒よりも大きい。従って、第二変動時間に亘って実行される特殊演出(即ち、少なくとも第二変動時間に亘って実行される特定時短状態)において、理論的には第二上限数分の遊技球が第二始動領域に入賞又は通過可能であり、即ち第二上限数分の第二保留を記憶可能である。このように、特定時短状態中に記憶される第二保留の数量をより多くすることで、特殊演出において当たり遊技が再度生起される期待感を更に向上できる。
【0180】
(5)上記(1)のパチンコ機1において、記憶された第二乱数であり、且つ第二図柄変動報知によって第二当たり判定の結果が未だ報知されていない第二乱数である保留乱数(第二保留球)を、所定の上限数(最大第二保留球数である「4」)まで記憶可能である。所定条件が満たされた場合(例えば、「ショートボーナスB」に当選)、第一当たり遊技及び第三当たり遊技の少なくとも一つである対象当たり遊技が実行された後に、遊技状態が時短状態に含まれる特定時短状態に制御され、特定時短状態の実行中に所定の終了条件を満たした場合に、遊技状態が通常状態に制御される(S183、S144又はS145、S143)。終了条件は、第二図柄変動報知の実行回数が、上限数よりも少ない所定の規定回数(例えば、3回)に達することである(S145参照)。
【0181】
図柄表示部24では、時短状態のうちで特定時短状態とは異なる通常時短状態の実行中に、特定時短状態において最後に実行される第二図柄変動報知である特定変動報知(例えば、3回目の第二図柄変動報知)を実行する場合、第二図柄が変動開始してから確定表示されるまでの所要時間が第一変動時間(例えば、11秒又は0.2秒)に制御される。図柄表示部24では、特定変動報知を実行する場合、所要時間が第一変動時間よりも長い第二変動時間(例えば、61.5秒又は40秒)に制御されることで、特定時短状態を少なくとも第二変動時間に亘って維持して、保留乱数が記憶される頻度を向上させる。更に、特定変動報知と、記憶された保留乱数に基づく第二図柄変動報知とにおいて、遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する特殊演出(引き戻し期待演出)が実行される(S202)。
【0182】
上記のパチンコ機1では、対象当たり遊技が実行された後に特定時短状態に制御され、特定時短状態の実行中に所定回数の第二図柄変動報知が実行されると、遊技状態が通常状態に制御される。所定回数の第二図柄変動報知のうち、最後に実行される第二図柄変動報知は、特定変動報知として長時間変動表示される。従って、少なくとも特定変動報知の実行中は特定時短状態が実行されるため、第二始動領域へ入賞又は通過し易い(即ち、より多くの保留乱数が記憶され易い)。従って、上記(2)の作用効果と同様に、上記の特殊演出において当たり遊技が再度生起される期待感が向上するため、所謂1種2種混合機で当たり遊技が終了した場合でも興趣の低下を抑制できる。即ち、所謂1種2種混合機において、遊技者に引き戻しチャンスに付与するための新たな演出を実行できる。
【0183】
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。本発明の「第一始動領域」は、第一始動口14に限定されず、遊技球が通過した場合に第一当たり判定の契機となるゲートでもよい。本発明の「第二始動領域」は、第二始動口16に限定されず、遊技球が通過した場合に第二当たり判定の契機となるゲートでもよい。上記実施形態では、第二大当たり判定が第一大当たり判定よりも優先して実行される場合を例示したが、これに限定されない。第一大当たり判定及び第二大当たり判定は、第一特別図柄及び第二特別図柄で変動順序を区別することなく、第一始動口14及び第二始動口16への入賞順(即ち、第一保留球及び第二保留球が記憶された順)に実行されてもよい。
【0184】
上記実施形態では、小当たり遊技では第二大入賞口22が開放され、1種遊技及び小当たり遊技に起因して実行される2種遊技では第一大入賞口11が開放される。パチンコ機1は、必ずしも複数の大入賞口を備えていなくてもよく、例えば第二大入賞口22のような内部に特定領域を備えた大入賞口を一つだけ備えるものであってもよい。また上記実施形態では、第一大入賞口11及び第二大入賞口22がアタッカー装置50に設けられているが、第一大入賞口11及び第二大入賞口22が別々に設けられてもよい。第二大入賞口22に入賞した遊技球を特定領域333A又は非特定領域322Aに振り分ける機構は、第三作動機構350に限定されず、公知のシーソーやクルーンなどの部材でもよい。
【0185】
また上記実施形態では、1種遊技において第一大入賞口11のみが開放されるが、例えば、第一大入賞口11と第二大入賞口22とが交互に開放されるなど、1種遊技に第二大入賞口22が開放される大当たりラウンドが含まれていてもよい。小当たり遊技及び2種遊技についても同様である。言い換えると、複数の大入賞口の開放によって1種遊技、2種遊技及び小当たり遊技が構成されてもよい。
【0186】
パチンコ機1の遊技仕様は、上記実施形態に限定されず、自由に設定可能である。例えば特別図柄決定テーブル(図10参照)において、第一特別図柄の大当たり種別として「ショートボーナスA」を設けてもよいし、第一特別図柄の小当たり種別として「小当たりB(V否定)」や「小当たりC(V否定)」を設けてもよい。第二特別図柄の大当たり種別として「ビッグボーナス」のみを設けてもよい。また第一特別図柄及び第二特別図柄の少なくとも一つの大当たり種別として、大当たり遊技後に時短状態が生起されない時短無大当たりが設けられてもよい。この時短無大当たりに当選した場合は、大当たり遊技後に時短状態(通常時短状態又は特定時短状態)が生起されることなく通常状態に移行する。
【0187】
特別図柄決定テーブル(図10参照)において第一特別図柄の当たり種別に「小当たり」を設けなくてもよいし、変動パターン決定テーブル(図13参照)において第一大当たり判定の小当たり変動パターンを設けなくてもよい。即ち第一大当たり判定では小当たりに当選しない仕様でもよい。また、特別図柄決定テーブルにおいて第二特別図柄の当たり種別に「大当たり」を設けなくてもよいし、変動パターン決定テーブルにおいて第二大当たり判定の大当たり変動パターンを設けなくてもよい。即ち第二大当たり判定では大当たりに当選しない仕様でもよい。また、特別図柄決定テーブルにおいて第二特別図柄の当たり種別に「はずれ」を設けてもよいし、変動パターン決定テーブルにおいて第二大当たり判定のはずれ変動パターンを設けてもよい。即ち第二大当たり判定の結果がはずれである場合を含んでもよい。
【0188】
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、表示手段、可動手段、対応画像等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「第一始動電動役物」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
【符号の説明】
【0189】
1 パチンコ機
2 遊技盤
4 遊技領域
14 第一始動口
16 第二始動口
24 図柄表示部
37 遊技球発射装置
41 主基板
50 アタッカー装置
51 CPU
52 RAM
58 サブ制御基板
333A 特定領域
581 CPU
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