(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】流量調整弁及び植物栽培装置
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20220526BHJP
A01G 25/00 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A01G31/00 601Z
A01G25/00 501F
(21)【出願番号】P 2017222222
(22)【出願日】2017-11-17
【審査請求日】2020-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】前川 瞬
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-315091(JP,A)
【文献】特開2016-150001(JP,A)
【文献】特開2015-096048(JP,A)
【文献】特開2013-192550(JP,A)
【文献】実開昭61-083464(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0224519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
A01G 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空洞部を有する外郭部と、
前記外郭部の空洞部内にあって当該空洞部の内壁との間に隙間を設けた状態で配された内管部と、
操作部と、
前記操作部と連動し、前記空洞部内であって前記隙間に配された作用部と、
内管部の入側に設けられ
、回転不能にガイドされた封鎖部材と、
封鎖部材を内管部の入側に付勢する付勢部材を有し、
前記作用部は前記封鎖部材と接し、前記作用部と前記封鎖部材はカムとカムフォローの関係にあり、操作部を回転することによって封鎖部材が内管部の入側に対して近接・離反方向に移動することを特徴とする流量調整弁。
【請求項2】
内部に空洞部を有する外郭部と、
前記外郭部の空洞部内にあって当該空洞部の内壁との間に隙間を設けた状態で配された内管部と、
操作部と、
前記操作部と連動し、前記空洞部内であって前記隙間に配された作用部と、
内管部の入側に設けられた封鎖部材と、
封鎖部材を内管部の入側に付勢する付勢部材を有し、
前記内管部の側面に開口があり、前記封鎖部材は前記開口の内面と接して軸方向に移動可能であって回転不能にガイドされており、
前記作用部は前記封鎖部材と接し、前記作用部と前記封鎖部材はカムとカムフォローの関係にあり、操作部を回転することによって封鎖部材が内管部の入側に対して近接・離反方向に移動することを特徴とする流量調整弁。
【請求項3】
前記内管部と前記外郭部が一体的に成形されていることを特徴とする請求項1
又は2に記載の流量調整弁。
【請求項4】
前記外郭部の外周には他の部材と係合する係合部があり、外郭部の前記空洞部は有底であり、前記空洞部の底部と封鎖部材の間に前記付勢部材が配されていることを特徴とする請求項
1乃至3のいずれかに記載の流量調整弁。
【請求項5】
内管部にノズルが設けられていることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の流量調整弁。
【請求項6】
作用部は、回転方向に停止規制なく回転可能であって、操作部を停止規制なく回転することができることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれかに記載の流量調整弁。
【請求項7】
養液槽と、植物を保持する植物保持具を有し、
養液槽に水が入れられ、植物保持具に植物を保持した状態で植物保持具が養液槽に設置される植物栽培装置であって、
水が流れる主管と、主管から分岐された枝管があり、当該枝管から養液槽に水が供給され、枝管の一部に請求項1乃至
6のいずれかに記載の流量調整弁が設けられていることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項8】
天面と側面と底面が覆われた栽培空間があり、栽培空間内に複数の養液槽があり、養液槽を移動させる養液槽搬送手段を有し、養液槽搬送手段によって栽培空間内で養液槽を移動させることが可能であることを特徴とする請求項
7に記載の植物栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の開閉や流量調整を行う流量調整弁に関するものである。本発明の流量調整弁は、水耕栽培を行う養液槽に培養液(水)を供給する流路に使用する流量調整弁として好適である。
また本発明は、水耕栽培を行う植物栽培装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農作物を建屋内で連続的に栽培する植物栽培装置が知られている。植物栽培装置は、作物工場と通称される栽培形態に使用されるものである。植物栽培装置は、人工照明を使用して作物に適度の日照を与えると共に、建屋内や室内を生育に適した温度や湿度に保って作物を育成する装置である。
植物栽培装置によると、日照や温度、水分、肥料濃度等が適度に制御された環境で作物を作ることができるので、露地栽培に比べて収穫に要する期間が短い。
植物栽培装置の一形態として、複数の養液槽があり、養液槽を移動させる養液槽搬送手段を有し、養液槽搬送手段によって養液槽を移動させていく構造のものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
養液槽を移動させてゆく構造の植物栽培装置では、装置内に多数の養液槽があり、各養液槽に対して個別に水(培養液)を供給する必要がある。
そのため植物栽培装置では、各養液槽に水(培養液)を供給する培養液供給流路が形成されている。
例えば養液槽の移動経路の上に主管や樋を設け、主管や樋から各培養液を自然落下させて各養液槽に培養液を供給する。
あるいは養液槽の移動経路の脇に給水主管を設け、当該給水主管から枝管を枝分けして各養液槽の近傍に枝管の先端を配置する。そして給水主管に培養液を圧送し、枝管から培養液を放出させて各養液槽に培養液を供給する。
【0005】
ここで養液槽に供給される培養液の量を調節したいという需要者の要求がある。
この要求に応える方策として、各養液槽に培養液を供給する枝管や樋に設けられたノズル等に、流量調整弁を設けることが考えられる。
しかしながら、市販の流量調整弁は、いずれも外形が大きく、狭い領域に設けるものとして適さない。
即ち市販の流量調整弁は、ハンドルやレバー等の操作部を操作して開度を調節するものであるが、操作部の軸は、流量調整弁や流路に対して直交する方向に延びている。簡単に説明すると、流量調整弁は入水口と出水口が形成された管状の本体部があり、本体部の中に球状や臼状、板状等の弁体がある。そして当該弁体の姿勢を変更する操作部は、本体部の側面部分に突出している。そのため通常の流量調整弁は、本体部分から操作部が突出し、幅が広い形状となっている。
また本体部に内蔵される弁体が大きく、本体部の外形形状も大きい。
【0006】
本発明は従来技術の上記した問題点に注目し、外形が小さく、例えば植物栽培装置の内部の様な狭い場所に取り付けるのに適する流量調整弁を開発することを課題とする。また本発明は、培養液の供給量を調節することができる植物栽培装置を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための発明は、内部に空洞部を有する外郭部と、前記外郭部の空洞部内にあって当該空洞部の内壁との間に隙間を設けた状態で配された内管部と、操作部と、前記操作部と連動し、前記空洞部内であって前記隙間に配された作用部と、内管部の入側に設けられた封鎖部材と、封鎖部材を内管部の入側に付勢する付勢部材を有し、前記作用部は前記封鎖部材と接し、前記作用部と前記封鎖部材はカムとカムフォローの関係にあり、操作部を回転することによって封鎖部材が内管部の入側に対して近接・離反方向に移動することを特徴とする流量調整弁である。
請求項1に記載の発明は、内部に空洞部を有する外郭部と、前記外郭部の空洞部内にあって当該空洞部の内壁との間に隙間を設けた状態で配された内管部と、操作部と、前記操作部と連動し、前記空洞部内であって前記隙間に配された作用部と、内管部の入側に設けられ、回転不能にガイドされた封鎖部材と、封鎖部材を内管部の入側に付勢する付勢部材を有し、前記作用部は前記封鎖部材と接し、前記作用部と前記封鎖部材はカムとカムフォローの関係にあり、操作部を回転することによって封鎖部材が内管部の入側に対して近接・離反方向に移動することを特徴とする流量調整弁である。
請求項2に記載の発明は、内部に空洞部を有する外郭部と、前記外郭部の空洞部内にあって当該空洞部の内壁との間に隙間を設けた状態で配された内管部と、操作部と、前記操作部と連動し、前記空洞部内であって前記隙間に配された作用部と、内管部の入側に設けられた封鎖部材と、封鎖部材を内管部の入側に付勢する付勢部材を有し、前記内管部の側面に開口があり、前記封鎖部材は前記開口の内面と接して軸方向に移動可能であって回転不能にガイドされており、前記作用部は前記封鎖部材と接し、前記作用部と前記封鎖部材はカムとカムフォローの関係にあり、操作部を回転することによって封鎖部材が内管部の入側に対して近接・離反方向に移動することを特徴とする流量調整弁である。
【0008】
本発明の流量調整弁についても、操作部を回転することによって開度を調整する。本発明の流量調整弁では、内管部から培養液等の液体が排出される。ここで本発明の流量調整弁では、操作部と連動して封鎖部材を動作させる作用部が、外郭部の空洞内であって空洞部の内壁と内管部の間の隙間に配置されている。そのため作用部は、内管部の周囲にあり、内管部と同一方向に向いている。即ち操作部の回動軸(作用部の一部)として作用する部分が、内管部と同一方向に向く。
そのため本発明の流量調整弁では、操作部を内管部の周囲に設けることができ、操作部の横方向への張り出し量を少なくすることができる。
【0009】
前記内管部と前記外郭部が一体的に成形されていることが望ましい(請求項3)。
【0010】
前記外郭部の外周には他の部材と係合する係合部があり、外郭部の前記空洞部は有底であり、前記空洞部の底部と封鎖部材の間に前記付勢部材が配されていることが望ましい(請求項4)。
【0011】
内管部にノズルが設けられていることが望ましい(請求項5)。
【0012】
作用部は、回転方向に停止規制なく回転可能であって、操作部を停止規制なく回転することができることが望ましい(請求項6)。
【0013】
流量調整弁は、操作部を360度を越えて回転しても壊れにくい。
【0014】
植物栽培装置に関する発明は、養液槽と、植物を保持する植物保持具を有し、養液槽に水が入れられ、植物保持具に植物を保持した状態で植物保持具が養液槽に設置される植物栽培装置であって、水が流れる主管と、主管から分岐された枝管があり、当該枝管から養液槽に水が供給され、枝管の一部に前記した流量調整弁が設けられていることを特徴とする(請求項7)。
【0015】
本発明の植物栽培装置によると、養液槽に対する培養液等の水の供給量を調節することができる。
【0016】
植物栽培装置は、天面と側面と底面が覆われた栽培空間があり、栽培空間内に複数の養液槽があり、養液槽を移動させる養液槽搬送手段を有し、養液槽搬送手段によって栽培空間内で養液槽を移動させることが可能であることが望ましい(請求項8)。
【発明の効果】
【0017】
本発明の流量調整弁は、外形が小さく、例えば植物栽培装置の内部の様な狭い場所に取り付けることが可能である。
また本発明の植物栽培装置によると、水の供給量を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(a)は本発明の実施形態の流量調整弁(ノズル付き)の斜視図であり、(b)はその断面図である。
【
図2】
図1の流量調整弁(ノズル付き)の分解斜視図である。
【
図3】(a)は
図2の各部材の断面図であり、(b)はその各部材の角度を変えた状態の断面図である。
【
図4】(a)は
図1の流量調整弁(ノズル無し)の操作部を一定の角度に回動して弁を閉じた状態における概観図であり、(b)はそのときの操作部と、作用部と、封鎖部材の位置関係を示す斜視図であり、(c)(d)は(a)の状態における流量調整弁の断面図である。
【
図5】(a)は
図1の流量調整弁(ノズル無し)の操作部を一定の角度に回動して弁を開いた状態における概観図であり、(b)はそのときの操作部と、作用部と、封鎖部材の位置関係を示す斜視図であり、(c)(d)は(a)の状態における流量調整弁の断面図である。
【
図6】(a)は外郭構成部材内の内管部を示す斜視図であり、(b)は内管部と封鎖部材の位置関係を示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態の植物栽培装置の一部破断斜視図である。
【
図8】(a)は
図7の植物栽培装置の培養液供給配管の斜視図であり、(b)はその拡大図であり、(c)はその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の流量調整弁(ノズル付き)1は、
図2の様に、外郭構成部材2、操作部材3、封鎖部材5、付勢部材6及びノズル7によって構成されている。
本実施形態では、外郭構成部材2によって外郭部10と、内管部11が構成されている。また操作部材3によって操作部12と作用部15が構成されている。
以下説明する。
【0020】
外郭構成部材2は、
図2、
図3の様に工具係合部20と、配管接続部21が一体に形成され、その内部に空洞部22があって内管部11が一体化されたものである。
工具係合部20は、
図2の様に平面形状が六角形のフランジ状であり、スパナ等の工具を係合させて外郭構成部材2を回転させることができるものである。
配管接続部21は、
図2、
図3の様に短管状であり、外周面に管用ネジ23が形成されている。なお管用ネジ23は、他の部材と係合する係合部である。
配管接続部21は
図3の様に底部25があって有底であり、底面は閉塞されている。底部25には、付勢部材6たるバネを装着するバネ座部27が設けられている。バネ座部27は、凹変した部分である。
配管接続部21の側面の2か所には、
図2、
図3(a)の様に開口26が対向する位置に2個設けられている。
二つの開口26は、内部の空洞部22と連通している。二つの開口26の軸線は、共通である。
【0021】
外郭構成部材2の内部には、
図2、
図3、
図6の様に内管部11が立設されている。
内管部11は、
図3(b)の様に配管接続部21の底部25を基端として設けられている。内管部11の中心軸は、配管接続部21の空洞部の中心にあり、両者の中心軸は一致する。
内管部11の側面には
図3(a)、
図6の様に開口30が2個設けられている。
内管部11の開口30の位置は、前記した配管接続部21の開口26に対向する位置である。
内管部11の内部は管状であって、自由端側は開放されている。
内管部11の内面に注目すると、前記した開口30の近傍は、
図3の様に内径が少し狭く作られており、弁座部31が形成されている。本実施形態では、弁座部31から水が導入されるので、弁座部31は内管部11の入側として機能する。
【0022】
次に操作部材3について説明する。
操作部材3は、操作部12と作用部15が一体化されたものである。操作部材3は、中心に貫通孔33が形成されている。作用部15における貫通孔33の内径は、前記した内管部11の外径と略等しい。より具体的には、両者はすきまばめの関係にある。
操作部材3の操作部12は、板状の摘まみであり、前記した貫通孔33を中心として、二つの摘まみ片が放射状に延びている。
【0023】
作用部15は、管状であり、摘まみ片を一端として延びている。作用部15の外径は、前記した配管接続部21の内径と略等しい。作用部15の外周面には、オーリング装着用の環状の溝32と、配管接続部21に係合する係合溝36が形成されている。
作用部15の先端の端面は、曲面形状であり、カム部17が形成されている。即ちカム部17には、山部45と谷部46がある。
【0024】
封鎖部材5は、細長いブロック状である。即ち封鎖部材5は、略直方体形状である。封鎖部材5の一面には、弁体部35が形成されている。弁体部35は、封鎖部材5の中央部にあり、平面形状が円形状であり、斜視形状が略球面状の突起である。
弁体部35は、一部が前記した内管部11の弁座部31に嵌まり込んで、弁座部31を封鎖する部位である。
封鎖部材5の弁体部35の外側周辺には円弧状の溝部38が形成されている。
本実施形態では、溝部38の外側外壁部分はカムフォロー部37として機能する。
【0025】
付勢部材6は、バネである。ノズル7は、金属管で作られており、先端側が折り返されている。
【0026】
次に上記した各部材の位置関係について説明する。
本実施形態の流量調整弁(ノズル付き)1では、
図1(b)の様に、外郭構成部材2に操作部材3が装着されている。
具体的には、外郭構成部材2の空洞部22であって、配管接続部21の内壁と、内管部11の外面に間に形成される隙間に操作部材3の作用部15が挿入されている。作用部15は、前記した様に管状であり、外郭構成部材2の内管部11に回転可能に外嵌されている。
外郭構成部材2の配管接続部21の内壁と、操作部材3の作用部15の外周面との間には、オーリング40が装着されている。また作用部15の係合溝36が外郭構成部材2の内壁と係合している。
その結果、操作部材3の作用部15は、外郭構成部材2の内管部11を中心軸として回転可能であるが、軸方向に相対移動することはできない。
操作部材3の操作部12は外郭構成部材2から露出している。
【0027】
図4、
図5、
図6の様に、外郭構成部材2の空洞部22であって、内管部11の側面に形成された開口30に、封鎖部材5が装着されている。そして封鎖部材5と、配管接続部21の底部25の間に、付勢部材6が圧縮状態で配されている。
封鎖部材5の側面は、内管部11の側面に形成された開口30の内面と接し、封鎖部材5は、上下方向に移動可能であって、回転不能にガイドされている。
封鎖部材5の中央に設けられた弁体部35は、配管接続部21の内面と係合可能な位置にある。封鎖部材5のカムフォロー部37は、配管接続部21から突出する位置関係にある。
封鎖部材5のカムフォロー部37は、作用部15の先端に形成されたカム部17と接する。
【0028】
ノズル7は、外郭構成部材2の内管部11に挿入されている。ノズル7と内管部11の内面との間には、オーリング41が装着されている。
【0029】
次に、流量調整弁1の機能について説明する。
本実施形態の流量調整弁1では、操作部材3の操作部12が外部に露出しており、手動で操作部12を回動させることができる。
操作部12を回動させると、連続する作用部15が回転し、先端のカム部17と、封鎖部材5のカムフォロー部37の当接位置が変わる。即ち作用部15は、回転可能であるが軸方向への移動が規制されている。一方、封鎖部材5は、回転方向の自由度が規制され、軸方向にのみ移動可能である。
操作部12を所定の角度に回転し、
図4の様にカム部17の谷部46がカムフォロー部37と当接する位置関係となると、封鎖部材5が付勢部材6に押されて内管部11の入側に移動し、封鎖部材5の弁体部35が内管部11の弁座部31と当接して内管部11の入側を閉じる。
【0030】
一方、操作部12を回転し、
図5の様にカム部17の山部45がカムフォロー部37と当接する位置関係となると、封鎖部材5がカム部17の山部45に押されて弁体部35が内管部11の弁座部31を離れる。
その結果、内管部11の入側が開く。
流量調整弁1が給水配管等に取り付けられているならば、水は、外郭構成部材2の配管接続部21の開口26から外郭構成部材2の空洞部22内に入り、弁座部31から内管部11に流入し、ノズル7の先端から排出される。
【0031】
操作部12の回転角度を中途の位置にすると、それに応じてカム部17とカムフォロー部37の当接位置関係が変化し、封鎖部材5が内管部の入側に対して近接・離反方向に移動して流路の開口面積を変化させる。そのため、操作部12を操作することによって、入側(入水部)を通過する水量を変えることができる。
【0032】
本実施形態では、操作部材3の作用部15は、外郭構成部材2の内管部11を中心軸として回転可能であり、回転を阻止するストッパーは無い。そのため操作部材3を回転し続けると弁の開度が周期的に変わる。
【0033】
本実施形態の流量調整弁1では、操作部12と、内管部11が同軸上にあり、操作部12は内管部11の周囲を取り巻いている。そのため本実施形態の流量調整弁1では、操作部12が出っぱらず、外形の小型化が可能である。
【0034】
限定するものではないが、本実施形態の流量調整弁1は、植物栽培装置の給水部や培養液の供給路に好適に使用される。
図7を参照しつつ植物栽培装置50の一例を簡単に説明する。
植物栽培装置50は、
図7の様に筒状の栽培空間51があり、当該栽培空間51内に、複数の養液槽52が直列状に配列されている。養液槽52には、植物保持部材53があり、当該植物保持部材53に植物の苗が保持され、根の部分が養液槽52内の培養液につけられている。
栽培空間51内は、コンベヤ等の養液槽搬送手段60があり、当該養液槽搬送手段60に養液槽52が載置されている。
また栽培空間51内には図示しない照明装置があり、植物に照明装置が発する光を照射しつつ、養液槽搬送手段60で養液槽52を下流側に移動させる。
移動方向の上流側に幼苗を植えつけた養液槽52を設置し、数日から数十日を掛けて養液槽52を下流側に移動させる。養液槽52が最下流側に至った際には、苗は成長し、収穫される。
【0035】
植物栽培装置50の栽培空間51内には、養液槽52に培養液を供給する培養液供給流路55が設けられている。
培養液供給流路55は、主管56と、主管56からティ57で分岐された多数の枝管58を有している。
図8(c)の様に、本実施形態では、ティ57の枝分かれ部に、流量調整弁(ノズル付き)1が取り付けられている。
本実施形態では、主管56は、栽培空間51の低い位置にあって、栽培空間51の全長に渡って延びている。
流量調整弁1のノズル7は、先端の曲部が養液槽52の側壁を跨ぎ、先端の開口が養液槽52の上に開いている。
本実施形態では、図示しないポンプによって培養液が主管56に圧送され、枝管58から流量調整弁1に流れ込んでノズル7から養液槽52に供給される。また培養液の吐出量は、操作部12の角度を変更することによって変えることができる。
【0036】
上記した実施形態の流量調整弁1では、カム部17は、管状の作用部15の端面に設けられた端面カムであり、回転を阻止するストッパーは無い。そのため操作部材3を同じ方向に回転し続けても故障しない。なお回転を阻止するストッパーを設けてもよい。
【0037】
上記した実施形態では、操作部12は、板状の摘まみであるが、他の形状のものであってもよい。例えばレバー状やハンドル状の操作部であってもよい。
【0038】
上記した実施形態では、作用部15の先端の端面に、曲面形状を設けたカム部17を構成させたが、封鎖部材5側にカム部を設けてもよい。
【0039】
流量調整弁1の用途は任意である。代表的な用途は、上記した培養液の様な水を主体とする液体である。流量調整弁1は、空気やガス等の気体の流量を制御する用途にも使用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 流量調整弁(ノズル付き)
2 外郭構成部材
3 操作部材
5 封鎖部材
6 付勢部材
7 ノズル
10 外郭部
11 内管部
12 操作部
15 作用部
17 カム部
22 空洞部
23 管用ネジ(係合部)
31 弁座部
35 弁体部
37 カムフォロー部
50 植物栽培装置