(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】リング成形装置、及びリング成形方法
(51)【国際特許分類】
B21H 1/06 20060101AFI20220526BHJP
B21H 1/16 20060101ALI20220526BHJP
F16C 33/64 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
B21H1/06 B
B21H1/16
F16C33/64
(21)【出願番号】P 2018177523
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591232484
【氏名又は名称】共栄精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】門谷 佳樹
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-320927(JP,A)
【文献】特公昭43-11121(JP,B1)
【文献】実開昭57-138822(JP,U)
【文献】実公昭44-15630(JP,Y1)
【文献】特開2018-80050(JP,A)
【文献】特開平5-318013(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第225195(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 1/06
B21H 1/16
F16C 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略同じ内外径の略環状に形成された二つ一組の環状素体を、所望されるリング形状に成形するリング成形装置であって、
軸方向における一方の端面同士を当接させた二つ一組の前記環状素体を、所望される直径に一体的に拡径して第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を得る拡径手段と、
前記第1の成形輪体を所定の搬送方向に搬送する搬送路と、
前記第2の成形輪体の径方向で、前記所定の搬送方向に対して略直交する仮想直線を回転軸として、前記第2の成形輪体を回転させるとともに、前記搬送路に搬出する回動搬出手段とを備えた
リング成形装置。
【請求項2】
前記拡径手段、及び前記回動搬出手段の間に配設されるとともに、軸方向における一方の端面同士を当接させた前記第1の成形輪体、及び前記第2の成形輪体を、前記所定の搬送方向へ向けて一体的に搬送する第1搬送路と、
前記第1の成形輪体、及び前記回動搬出手段で回動された前記第2の成形輪体をこの順番で搬送する前記搬送路である第2搬送路とを備え、
前記第1搬送路が、
前記所定の搬送方向に沿って立設されるとともに、前記第1の成形輪体における前記一方の端面と前記第2の成形輪体における前記一方の端面との境界に当接する当接部を備えた
請求項1に記載のリング成形装置。
【請求項3】
前記回動搬出手段が、
前記回転軸を中心に回転する回転テーブルを備え、
該回転テーブルが、
前記第1の成形輪体を前記搬送路に搬送するテーブル搬送路と、
該テーブル搬送路に隣接するとともに、前記第2の成形輪体の前記所定の搬送方向への移動を規制する規制部とを備えた
請求項1または請求項2に記載のリング成形装置。
【請求項4】
前記環状素体を、軸方向に沿った断面における断面形状が、軸方向に沿って漸次厚肉となる断面形状に形成された構成とし、
前記拡径手段を、
断面厚肉側の端面同士を当接させた二つ一組の前記環状素体を一体的に拡径する構成とした
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のリング成形装置。
【請求項5】
略同じ内外径の略環状に形成された二つ一組の環状素体を、所望されるリング形状に成形する成形装置を用いたリング成形方法であって、
軸方向における一方の端面同士を当接させた二つ一組の前記環状素体を、所望される直径に一体的に拡径して第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を得る拡径工程と、
前記第1の成形輪体を所定の搬送方向へ搬送路を介して搬送する搬送工程と、
前記第2の成形輪体の径方向で、前記所定の搬送方向に対して略直交する仮想直線を回転軸として、前記第2の成形輪体を回転させるとともに、前記搬送路に搬出する回動搬出工程とを備えた
リング成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばテーパーベアリングの外輪または/および内輪を成形するようなリング成形装置、及びリング成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、略環状の環状素体を冷間ローリングによって成形して、テーパーベアリングの外輪または内輪を得るようなリング成形装置として、特許文献1には、一組の環状素体を、軸方向における一方の端面同士を当接させた状態で一体的に拡径することで、所望される内外径を有する形状に成形する装置が記載されている。
【0003】
ところで、特許文献1では、例えば、断面薄肉側の端面同士を当接させた一組の環状素体を一体的に拡径した場合、所望される形状を成形できないとされている。このため、特許文献1では、一組の環状素体を、断面厚肉側の端面同士を当接させた状態で一体的に拡径することで、所望される形状に成形している。
【0004】
しかしながら、このようにして拡径した一組の環状素体を次工程へ向けて搬出する際、一方の環状素体と他方の環状素体とを順次搬出すると、一方の環状素材における断面厚肉側の端面の向きと、他方の環状素材における断面厚肉側の端面の向きとが、互いに逆向きの状態で搬送されることになる。
【0005】
このため、例えば、次工程においてプレス成形によるサイジングを行う場合、一方の環状素体の向きに応じたプレス機と、他方の環状素体の向きに応じたプレス機とを、それぞれ設ける必要とあるいう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、二つ一組の環状素体を、軸方向における一方の端面同士を当接させた状態で一体的に拡径した場合であっても、それぞれの向きに応じた成形機を次工程に設けることなく、次工程での成形を行なえるリング成形装置、及びリング成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、略同じ内外径の略環状に形成された二つ一組の環状素体を、所望されるリング形状に成形するリング成形装置であって、軸方向における一方の端面同士を当接させた二つ一組の前記環状素体を、所望される直径に一体的に拡径して第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を得る拡径手段と、前記第1の成形輪体を所定の搬送方向へ搬送する搬送路と、前記第2の成形輪体の径方向で、前記所定の搬送方向に対して略直交する仮想直線を回転軸として、前記第2の成形輪体を回転させるとともに、前記搬送路に搬出する回動搬出手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
上記軸方向は、環状素体の径方向に直交する方向のことをいう。
上記軸方向における一方の端面とは、軸方向を対象軸として線対称になるように二つの環状素体を配置した状態において、軸方向における向きが同じ端面のことをいう。
上記一方の端面同士を当接させた状態とは、軸方向に直交する仮想直線を対象軸として線対称になるように二つの環状素体が配置された状態のことをいう。
【0010】
この発明により、二つ一組の環状素体を、軸方向における一方の端面同士を当接させた状態で一体的に拡径した場合であっても、それぞれの向きに応じた成形機を次工程に設けることなく、次工程での成形を行うことができる。
具体的には、回動搬出手段によって、リング成形装置は、拡径された第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を、搬送路に途切れなく順番に連続して搬送することができる。
【0011】
この際、回動搬出手段が第2の成形輪体を回動させて搬送路に搬出するため、リング成形装置は、搬送路において、第2の成形輪体における一方の端面の向きを、第1の成形輪体における一方の端面の向きと同じ向きにすることができる。
【0012】
これにより、リング成形装置は、軸方向における一方の端面同士を当接させた状態で二つ一組の環状素体を一体的に拡径した場合であっても、拡径された第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を、端面の向きを揃えて順次搬送することができる。
【0013】
このため、例えば、次工程において、第1の成形輪体、及び第2の成形輪体をプレス成形する場合、リング成形装置は、第1の成形輪体に対応するプレス機と、第2の成形輪体に対応するプレス機とをそれぞれ設けることなく、第1の成形輪体、及び第2の成形輪体をプレス成形することができる。
【0014】
さらに、例えば、次工程において、第1の成形輪体、及び第2の成形輪体をプレス成形する際、リング成形装置は、軸方向における一方の端面が同方向を向いた第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を、一方の端面を基準面として、それぞれプレス成形できるため、プレス成形の効率と成形精度とを両立して向上することができる。
【0015】
この発明の態様として、前記拡径手段、及び前記回動搬出手段の間に配設されるとともに、軸方向における一方の端面同士を当接させた前記第1の成形輪体、及び前記第2の成形輪体を、前記所定の搬送方向へ向けて一体的に搬送する第1搬送路と、前記第1の成形輪体、及び前記回動搬出手段で回動された前記第2の成形輪体をこの順番で搬送する前記搬送路である第2搬送路とを備え、前記第1搬送路が、前記所定の搬送方向に沿って立設されるとともに、前記第1の成形輪体における前記一方の端面と前記第2の成形輪体における前記一方の端面との境界に当接する当接部を備えてもよい。
【0016】
この発明により、リング成形装置は、第1搬送路において、軸方向における一方の端面同士が当接した状態の第1の成形輪体と第2の成形輪体とを、当接部によって軸方向に離間させることができる。
【0017】
このため、リング成形装置は、第1の成形輪体と第2の成形輪体とが一体的に第2搬送路に搬送されることを防止できる。換言すると、リング成形装置は、当接部によって、第1の成形輪体を第2搬送路へ向けて案内できるとともに、第2の成形輪体を回動搬出手段へ向けて案内することができる。
従って、リング成形装置は、回動搬出手段と当接部との協働によって、第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を、この順番で第2搬送路に安定して搬出することができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記回動搬出手段が、前記回転軸を中心に回転する回転テーブルを備え、該回転テーブルが、前記第1の成形輪体を前記搬送路に搬送するテーブル搬送路と、該テーブル搬送路に隣接するとともに、前記第2の成形輪体の前記所定の搬送方向への移動を規制する規制部とを備えてもよい。
【0019】
この発明により、リング成形装置は、回転テーブルを回動するだけで、第2の成形輪体の向きの変更と、搬送路への第2の成形輪体の搬出とを略同時に行うことができる。さらに、テーブル搬送路を介して、第1の成形輪体を搬送路へ直接的に搬送できるため、リング成形装置は、第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を、この順番で搬送路により効率よく搬送することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、前記環状素体を、軸方向に沿った断面における断面形状が、軸方向に沿って漸次厚肉となる断面形状に形成された構成とし、前記拡径手段を、断面厚肉側の端面同士を当接させた二つ一組の前記環状素体を一体的に拡径する構成としてもよい。
【0021】
この発明により、リング成形装置は、二つ一組の環状素体を一体的に拡径する際、一方の環状素体の周面に作用する荷重、及び他方の環状素体の周面に作用する荷重の分力によって、二つの環状素体が、拡径の進行に伴って軸方向に離間することを防止できる。
【0022】
このため、リング成形装置は、二つ一組の環状素体を所望される形状により効率よく成形することができる。
従って、リング成形装置は、拡径による第1の成形輪体、及び第2の成形輪体の成形と、第1の成形輪体、及び第2の成形輪体の搬送とを効率よく行うことができる。
【0023】
この発明は、略同じ内外径の略環状に形成された二つ一組の環状素体を、所望されるリング形状に成形する成形装置を用いたリング成形方法であって、軸方向における一方の端面同士を当接させた二つ一組の前記環状素体を、所望される直径に一体的に拡径して第1の成形輪体、及び第2の成形輪体を得る拡径工程と、前記第1の成形輪体を所定の搬送方向へ搬送路を介して搬送する搬送工程と、前記第2の成形輪体の径方向で、前記所定の搬送方向に対して略直交する仮想直線を回転軸として、前記第2の成形輪体を回転させるとともに、前記搬送路に搬出する回動搬出工程とを備えたことを特徴とする。
【0024】
この発明により、二つ一組の環状素体を、軸方向における一方の端面同士を当接させた状態で一体的に拡径した場合であっても、それぞれの向きに応じた成形機を次工程に設けることなく、次工程での成形を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、二つ一組の環状素体を、軸方向における一方の端面同士を当接させた状態で一体的に拡径した場合であっても、それぞれの向きに応じた成形機を次工程に設けることなく、次工程での成形を行なえるリング成形装置、及びリング成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態のリング成形装置で用いられる環状素体、及び外輪を説明する説明図。
【
図2】リング成形装置の外観を正面視で示す正面図。
【
図3】リング成形装置の内部構成を示すブロック図。
【
図4】投入機構部、及びローリング成形部の外観を正面視で示す正面図。
【
図5】ローリング成形部の外観を平面視で示す平面図。
【
図6】リフト機構部、及び回動機構部の外観を正面視で示す正面図。
【
図7】第1搬送路から第2搬送路に至る範囲を平面視で示す平面図。
【
図10】別のリング成形装置で用いられる環状素体、及び内輪を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態のリング成形装置1は、略円環状の環状素体Woを冷間ローリング成形によって成形して成形輪体Wmを得たのち、さらに成形輪体Wmをプレス成形によって成形することで、所望される内外径と幅寸法とを有するテーパーベアリングの外輪Roを得るものである。このようなリング成形装置1について、
図1から
図9を用いて説明する。
【0028】
なお、
図1は本実施形態のリング成形装置1で用いられる環状素体Wo、及び外輪Roを説明する説明図を示し、
図2はリング成形装置1の正面図を示し、
図3はリング成形装置1における内部構成のブロック図を示し、
図4は投入機構部3、及びローリング成形部4の正面図を示している。
【0029】
さらに、
図5はローリング成形部4の平面図を示し、
図6はリフト機構部6、及び回動機構部7の正面図を示し、
図7は第1搬送路5から第2搬送路8に至る範囲の平面図を示し、
図8は第1搬送路5における要部の平面図を示し、
図9は回動機構部7の平面図を示している。
【0030】
加えて、
図1中において、
図1(a)は環状素体Woの正面図を示し、
図1(b)は
図1(a)中のA-A矢視断面図を示し、
図1(c)は端面S同士を当接させた状態における二つ一組の環状素体Woの断面図を示し、
図1(d)は外輪Roの正面図を示し、
図1(e)は
図1(d)中のB-B矢視断面図を示している。
【0031】
また、図中において、矢印Xは環状素体Wo、及び成形輪体Wmが搬送される搬送方向を示し(以下、「搬送方向X」とする)、矢印Yは平面視において搬送方向Xに対して直交する方向である幅方向を示している(以下、「幅方向Y」とする)。なお、
図2中の上方をリング成形装置1の上方とし、
図2中の下方をリング成形装置1の下方とする。
【0032】
また、図示を明確にするために、
図5中において、環状素体Woを幅方向Yに沿った略水平な断面における断面形状で図示するとともに、
図8中、及び
図9中において、成形輪体Wmを幅方向Yに沿った略水平な断面における断面形状で図示している。
【0033】
まず、実施形態で用いる環状素体Woと、リング成形装置1によって得られるテーパーベアリングの外輪Roについて簡単に説明する。
環状素体Woは、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、外径Dが一定で、内径dが漸次拡径された正面視略円環状に形成されている。換言すると、環状素体Woは、環状素体Woの径方向に対して直交する方向である軸方向Gに沿った垂直断面における肉厚が、軸方向Gに沿って漸次厚肉となることで、略テーパー状の内周面を有する正面視略円環状に形成されている。
【0034】
この環状素体Woは、
図1(c)に示すように、リング成形装置1に投入される際、二つ一組の状態でリング成形装置1に投入される。より詳しくは、二つ一組の環状素体Woは、軸方向Gに沿った垂直断面において肉厚となる断面肉厚側の端面Sを当接させた状態で、リング成形装置1に投入される。
【0035】
一方、外輪Roは、
図1(d)及び
図1(e)に示すように、外径Eが一定で、内径eが漸次拡径された正面視略円環状に形成されている。換言すると、外輪Roは、軸方向Gに沿った垂直断面における肉厚が、軸方向Gに沿って漸次厚肉となることで、略テーパー状の内周面を有する正面視略円環状に形成されている。
なお、外輪Roは、
図1(b)及び
図1(e)に示すように、外径E、及び内径eが、環状素体Woの外径D、及び内径dよりも大径で、軸方向Gの長さである幅寸法hが、環状素体Woの幅寸法Hよりも短い形状に成形されている。
【0036】
このような環状素体Woから外輪Roを得るリング成形装置1は、
図2及び
図3に示すように、二つ一組の環状素体Woの投入を受付けて搬送方向Xに搬入する搬入路2と、二つ一組の環状素体Woを下方に搬送して次工程に投入する投入機構部3と、二つ一組の環状素体Woを冷間ローリング成形によって成形して二つ一組の成形輪体Wmを得るローリング成形部4と、成形輪体Wmを搬送する第1搬送路5、リフト機構部6、回動機構部7、及び第2搬送路8と、成形輪体Wmを一つずつプレス成形して外輪Roを得るプレス成形部9と、外輪Roを一つずつ搬送方向Xに搬出する搬出路10と、上述した構成要素の各動作を制御する成形制御部11とで構成されている。
【0037】
なお、リング成形装置1は、
図2に示すように、環状素体Woを搬入する搬入路2に対して、外輪Roを搬出する搬出路10が、略水平方向の遠方、かつ下方に位置するように構成されている。この搬入路2から搬出路10に向かう略水平方向、かつ下方の方向を搬送方向Xとし、リング成形装置1は、環状素体Wo、及び成形輪体Wmを、位置エネルギーを利用して搬送方向Xに搬送可能に構成されている。
【0038】
搬入路2は、
図1(c)及び
図4に示すように、軸方向が略水平となるように端面Sを起立させた二つ一組の環状素体Woの投入を一体的に受付けるとともに、二つ一組の環状素体Woを一体的に搬送可能に構成されている。
【0039】
具体的には、搬入路2は、
図4に示すように、正面視において、搬送方向X側の一端がローリング成形部4(後述するマンドレル41)の上方に位置するとともに、搬送方向Xに沿って傾斜するように配設されている。この搬入路2は、搬送方向Xに延びるとともに、上方が開口した凹溝形状であって、2つの環状素体Woの幅寸法Hを合計した値、つまり幅寸法Hを2倍した値よりも僅かに大きい溝幅を有する形状に形成されている。
【0040】
なお、搬入路2には、成形制御部11に電気的に接続されるとともに、搬入路2を通過する二つ一組の環状素体Woを検知する検知センサ(図示省略)が、搬送方向Xに沿って所定間隔を隔てて配設されているものとする。
【0041】
また、投入機構部3は、
図3及び
図4に示すように、後述する成形制御部11との協働によって、搬入路2を介して搬入された二つ一組の環状素体Woをローリング成形部4に投入する素体投入手段を構成している。
【0042】
具体的には、投入機構部3は、
図4に示すように、搬送方向Xにおける搬入路2の先端に対向配置されたフック部材31と、フック部材31を昇降させるアクチュエータ部(図示省略)と、搬入路2の先端下部に配設された投入ガイド部32とで構成されている。
【0043】
フック部材31は、
図4に示すように、上下方向に延びる長尺形状であって、その下部における搬入路2と対向する部分が、環状素体Woの外径Dと略同じ直径で略円弧状に切り欠かれた形状に形成されている。
アクチュエータ部は、上下方向に昇降可能な電動アクチュエータ、エアアクチュエータ、あるいは油圧アクチュエータなどで構成されている。このアクチュエータ部は、後述する成形制御部11によって、その動作が制御されている。
【0044】
投入ガイド部32は、
図4に示すように、フック部材31とで二つ一組の環状素体Woを挟持するとともに、二つ一組の環状素体Woの下方への移動を案内可能に構成されている。具体的には、投入ガイド部32は、上下方向に延びるとともに、搬送方向X側が開口した凹溝形状に形成されている。
【0045】
また、ローリング成形部4は、
図3から
図5に示すように、後述する成形制御部11との協働によって、端面S同士を当接させた二つ一組の環状素体Woを、冷間ローリングによって一体的に拡径して成形輪体Wmを得る拡径手段を構成している。このローリング成形部4は、
図3から
図5に示すように、二つ一組の環状素体Woを一体的に挟持するマンドレル41、及び成形ロール42と、マンドレル41を回転駆動させる補助ローラー43とで構成されている。
【0046】
マンドレル41は、
図4に示すように、正面視において、投入機構部3の下方に配設されている。なお、マンドレル41は、平面視において、搬送方向Xに対して略直交する方向である幅方向Yに往復移動可能に支持されており、二つ一組の環状素体Woがローリング成形部4に移動した際、搬送方向Xに向って幅方向Yの右側から左側に移動するものとする。
【0047】
具体的には、マンドレル41は、
図5に示すように、平面視において、幅方向Yを回転軸として回転自在に支持される軸体部41aと、二つ一組の環状素体Woの内周面を成形する内面成形部41bと、内面成形部41bを挟んで軸体部41aに形成された拡径部41cとで一体形成されている。
【0048】
軸体部41aは、
図5に示すように、平面視において、幅方向Yに軸中心を有する軸体であって、図示を省略した軸受けによって、その両端が回転自在に軸支されている。この軸体部41aは、
図4に示すように、正面視において、投入機構部3のフック部材31で受け止められた環状素体Woの径方向中心の下方に、軸中心が位置するように配設されている。
【0049】
内面成形部41bは、
図5に示すように、二つ一組の環状素体Woの内周面を、所望される成形輪体Wmの内周面形状に一体的に成形可能な形状であって、幅方向Yにおける略中央が縮径された略つづみ型に形成されている。
拡径部41cは、
図5に示すように、内面成形部41bの大径側の直径よりも小さい直径で、内面成形部41bに隣接する軸体部41aを拡径した形状に形成されている。
【0050】
成形ロール42は、
図4及び
図5に示すように、平面視において、搬送方向Xとは逆向きの方向でマンドレル41に隣接して配設されている。なお、成形ロール42は、平面視において、搬送方向X、及び搬送方向Xとは逆向きの方向へ往復移動可能に支持されている。
【0051】
具体的には、成形ロール42は、
図5に示すように、平面視において、幅方向Yを回転軸として回転自在に支持された回転軸部42aと、二つ一組の環状素体Woの外周面を成形する外面成形部42bと、環状素体Woにおける軸方向の端面を成形する一対の端面成形部42cで一体形成されている。なお、成形ロール42は、回転軸部42aにおける軸方向の一端に連結された駆動モーター44によって、回転駆動するものとする。
【0052】
回転軸部42aは、
図5に示すように、平面視において、幅方向Yに軸中心を有する軸体であって、その両端が軸受けを介して回転自在に軸支されている。
外面成形部42bは、
図5に示すように、回転軸部42aの外径よりも大径で、二つ一組の環状素体Woの外周面を、所望される成形輪体Wmの外周面形状に一体的に成形可能な略円柱状に形成されている。なお、外面成形部42bにおける幅方向Yにおける略中央には、成形輪体Wmの面取り部分を成形する突起部分が径方向外側に突設されている。
【0053】
一対の端面成形部42cは、
図5に示すように、外面成形部42bを挟んで軸方向で対向配置されている。この一対の端面成形部42cは、外面成形部42bよりも大径の略円板状であって、所望される2つの成形輪体Wmの幅寸法を合計した値、つまり幅寸法を2倍した値と略同じ幅方向Yの間隔を隔てて形成されている。
【0054】
補助ローラー43は、
図4に示すように、正面視において、搬送方向X側でマンドレル41に隣接するとともに、搬送方向X、及び幅方向Yに移動不可の状態で配設されている。
具体的には、補助ローラー43は、
図5に示すように、幅方向Yを回転軸として回転自在に支持された回転軸部43aと、マンドレル41の拡径部41cに当接する一対の円板部43bとで一体形成されている。
【0055】
なお、補助ローラー43は、回転軸部43aにおける軸方向の一端に連結された駆動モーター45によって、回転駆動するものとする。
回転軸部43aは、
図5に示すように、平面視において、幅方向Yに軸中心を有する軸体であって、その両端が軸受けを介して回転自在に軸支されている。
一対の円板部43bは、回転軸部43aよりも大径、かつマンドレル41の拡径部41cに当接可能な外周面を有する略円板状に形成されている。
【0056】
また、第1搬送路5は、
図2、
図4、及び
図6に示すように、ローリング成形部4のマンドレル41とリフト機構部6との間において、搬送方向Xに沿って傾斜した状態で配設されている。なお、第1搬送路5には、成形制御部11に電気的に接続されるとともに、第1搬送路5を通過する二つの成形輪体Wmを検知する検知センサ(図示省略)が、搬送方向Xに沿って所定間隔を隔てて配設されているものとする。
【0057】
具体的には、第1搬送路5は、
図4、
図6、及び
図7に示すように、平面視において、第1搬送路5の底面をなす底面部51と、底面部51を挟んで幅方向Yで対向する側壁をなす一対の側壁部52と、底面部51における幅方向Yの略中央に立設された中央壁部53とで、上方が開口した凹溝形状に構成されている。
底面部51は、上下方向に厚みを有する略平板状であって、搬送方向Xに沿って傾斜した状態で配設されている。
【0058】
側壁部52は、
図7に示すように、平面視において、幅方向Yの肉厚が、最も厚肉な厚肉部分52aと、他方の側壁部52に対向する面が傾斜面をなすように、搬送方向Xに沿って漸次薄肉になる漸次薄肉部分52bと、漸次薄肉部分52bにおける最も薄肉な部分と略同じ肉厚の薄肉部分52cとを、ローリング成形部4から搬送方向Xに向けてこの順番で配置して一体形成している。
【0059】
この一対の側壁部52は、
図7及び
図8に示すように、2つの成形輪体Wmの幅寸法を合計した値、つまり幅寸法を2倍した値よりも僅かに大きい幅方向Yの間隔を隔てて、厚肉部分52aが幅方向Yで対向するように配設されている。
【0060】
中央壁部53は、
図7及び
図8に示すように、側壁部52の漸次薄肉部分52bよりも僅かに搬送方向X側の位置からリフト機構部6に至る範囲に立設されている。この中央壁部53は、幅方向Yにおける側壁部52の薄肉部分52cとの間隔が、1つの成形輪体Wmの幅寸法よりも僅かに大きい間隔となる肉厚で形成されている。
【0061】
さらに、中央壁部53における搬送方向Xとは逆方向の端部は、
図8に示すように、搬送方向Xとは逆方向側に頂部を有する平面視略三角形状に形成されている。より詳しくは、中央壁部53の端部は、互いに当接させた端面S側における成形輪体Wmの面取り部がなす角度よりも鋭角に形成されている。
【0062】
このように第1搬送路5は、
図7及び
図8に示すように、二つの成形輪体Wmを一体的に搬送する部分と、中央壁部53によって成形輪体Wmをそれぞれ独立して搬送する部分とで構成されている。この成形輪体Wmをそれぞれ独立して搬送する部分のうち、搬送方向Xに向って右側を右搬送路5Rとし、搬送方向Xに向って左側の搬送路を左搬送路5Lとする。
【0063】
ここで、後述の説明を明確にするために、
図8に示すように、第1搬送路5における左搬送路5Lをとおる成形輪体Wmを第1の成形輪体Wm1とし、右搬送路5Rをとおる成形輪体Wmを第2の成形輪体Wm2として説明する。
【0064】
また、リフト機構部6は、
図3及び
図6に示すように、後述する成形制御部11との協働によって、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2の位置を、低い位置からより高い位置へ移動させて、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2の位置エネルギーの回復を図る昇降手段を構成している。
【0065】
なお、リフト機構部6には、成形制御部11に電気的に接続されるとともに、リフト機構部6に到達した第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を検知する検知センサ(図示省略)と、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2がリフト機構部6から脱出したことを検知する検知センサ(図示省略)とが配設されているものとする。
【0066】
具体的には、リフト機構部6は、
図6及び
図7に示すように、第1搬送路5の底面部51に隣接して配置された昇降テーブル61と、昇降テーブル61を挟んで幅方向Yで対向する側壁をなす一対のリフト側壁部材62と、昇降テーブル61に対して搬送方向X側に隣接して配設されたリフト案内部材63と、昇降テーブル61を昇降させる昇降アクチュエータ部64とで構成されている。
【0067】
昇降テーブル61は、
図6及び
図7に示すように、上下方向に厚みを有するとともに、搬送方向Xに沿って上面が傾斜した略平板状のテーブル本体61aと、第1搬送路5の中央壁部53に対して連続するように、テーブル本体61aにおける幅方向Yの略中央に立設されたリフト中央壁部61bとで構成されている。
【0068】
一対のリフト側壁部材62は、
図6及び
図7に示すように、幅方向Yに厚みを有する略平板状であって、第1搬送路5の側壁部52と略同じ幅方向Yの位置に配設されている。
リフト案内部材63は、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2の搬送方向Xへの移動を規制する機能と、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2の上方への移動を案内する機能とを有している。
【0069】
具体的には、リフト案内部材63は、
図6に示すように、搬送方向Xに厚みを有する略平板状の縦壁部63aと、縦壁部63aの上端から搬送方向Xへ延設されるとともに、搬送方向Xに沿って傾斜した傾斜床面部63bとで一体形成されている。
【0070】
昇降アクチュエータ部64は、
図6に示すように、上下方向に昇降可能な電動アクチュエータ、エアアクチュエータ、あるいは油圧アクチュエータなどであって、正面視において、第1搬送路5の底面部51と略同じ上下方向位置と、リフト案内部材63の傾斜床面部63bと略同じ上下方向の位置とに、昇降テーブル61を昇降可能に構成されている。なお、この昇降アクチュエータ部64は、後述する成形制御部11によって、その動作が制御されている。
【0071】
このようなリフト機構部6には、
図7に示すように、搬送方向Xに向って右側のリフト側壁部材62と、昇降テーブル61のテーブル本体61a、及びリフト中央壁部61bとで、第1搬送路5の右搬送路5Rに連続する右搬送路6Rが構成され、搬送方向Xに向って左側のリフト側壁部材62と、昇降テーブル61のテーブル本体61a、及びリフト中央壁部61bとで、第1搬送路5の左搬送路5Lに連続する左搬送路6Lが構成されている。
【0072】
また、回動機構部7は、
図3及び
図9に示すように、第1搬送路5の右搬送路5R、及びリフト機構部6の右搬送路6Rをとおって搬送された第2の成形輪体Wm2における端面Sの向きを、第1搬送路5の左搬送路5L、及びリフト機構部6の左搬送路6Lをとおって搬送された第1の成形輪体Wm1における端面Sの向きに一致させるために、後述する成形制御部11との協働によって、第2の成形輪体Wm2を回動させて、第2搬送路8に搬出する回動搬出手段を構成している。
【0073】
具体的には、回動機構部7は、
図6及び
図9に示すように、リフト機構部6におけるリフト案内部材63の傾斜床面部63bに隣接して配設された平面視略円板状の回転テーブル71と、回転テーブル71に隣接して配設された平面視略円弧状の円弧状壁部材72と、回転テーブル71を回転駆動させる回転駆動部73とで構成されている。
【0074】
回転テーブル71は、
図6及び
図9に示すように、平面視略円形状の平板であるテーブル本体71aと、リフト機構部6のリフト側壁部材62に連続するように立設された一対のテーブル側壁部71bと、リフト機構部6のリフト中央壁部61bに連続するように立設されたテーブル中央壁部71cとで構成されている。
【0075】
テーブル本体71aは、
図6及び
図9に示すように、上下方向に厚みを有する略平板状であって、その上面が搬送方向Xに沿って傾斜した状態で配設されている。
一対のテーブル側壁部71bは、
図6及び
図9に示すように、幅方向Yに厚みを有する平板状であって、リフト機構部6のリフト側壁部材62と略同じ幅方向Yの位置に配設されている。
【0076】
テーブル中央壁部71cは、
図6及び
図9に示すように、リフト機構部6のリフト中央壁部61bと略同じ厚みを有する略平板状であって、リフト機構部6のテーブル中央壁部71cと略同じ幅方向Yの位置に配設されている。さらに、テーブル中央壁部71cにおける搬送方向Xの端部には、
図9に示すように、平面視において、搬送方向Xに向って幅方向Yの右側に向けて延設されるとともに、第2の成形輪体Wm2の搬送方向Xへの移動を規制する規制部71dが一体形成されている。
【0077】
このような構成のため、回転テーブル71には、
図7及び
図9に示すように、搬送方向Xに向って左側のテーブル側壁部71bと、テーブル中央壁部71cと、テーブル本体71aとで、リフト機構部6の右搬送路6Rをとおって搬送された第2の成形輪体Wm2の搬送を停止する搬送停止路71Rが構成され、搬送方向Xに向って左側のテーブル側壁部71bと、テーブル中央壁部71cと、テーブル本体71aとで、リフト機構部6の左搬送路6Lをとおって搬送された第1の成形輪体Wm1を、第2搬送路8に直接的に搬送するテーブル搬送路71Lが構成されている。
【0078】
円弧状壁部材72は、
図9に示すように、回転テーブル71の直径と略同じ内径を有する平面視円弧状であって、搬送方向Xに向って回転テーブル71の左側に隣接するとともに、回転不可の状態で配設されている。
回転駆動部73は、
図6に示すように、例えば、成形制御部11によって動作が制御される駆動モーターなどで構成され、回転テーブル71を下方から回転自在に支持している。
【0079】
より詳しくは、回転駆動部73は、平面視において、回転テーブル71のテーブル本体71aにおける略中央をとおるとともに、正面視において、搬送方向Xに対して略直交する仮想直線を回転軸として、回転テーブル71を回転自在に支持している。換言すると、回転駆動部73は、第2の成形輪体Wm2の径方向で、搬送方向Xに対して略直交する仮想直線を回転軸として、回転テーブル71を回転自在に支持している。
【0080】
また、第2搬送路8は、
図2及び
図6に示すように、回動機構部7とプレス成形部9との間において、搬送方向Xに沿って傾斜した状態で配設されている。この第2搬送路8は、上述した第1搬送路5とは異なり、成形輪体Wmを一つずつ搬送可能に構成されている。
【0081】
なお、第2搬送路8には、成形制御部11に電気的に接続されるとともに、第2搬送路8を通過する第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を検知する検知センサ(図示省略)が、搬送方向Xに沿って所定間隔を隔てて配設されているものとする。
【0082】
具体的には、第2搬送路8は、
図6及び
図9に示すように、回動機構部7のテーブル搬送路71Lに隣接して搬送方向Xに延びる床面をなす底面部81と、底面部81を挟んで幅方向Yで対向する側壁をなす一対の側壁部材82とで、上方が開口した凹溝形状に形成されている。
この第2搬送路8における一対の側壁部材82は、
図9に示すように、1つの成形輪体Wmの幅寸法よりも僅かに大きい幅方向Yの間隔を隔てて立設されている。
【0083】
このため、リング成形装置1には、
図7に示すように、平面視において、第1搬送路5の右搬送路5Rと、リフト機構部6の右搬送路6Rと、回動機構部7の搬送停止路71Rとで搬送方向Xに沿って連続する搬送路が構成され、第1搬送路5の左搬送路5Lと、リフト機構部6の左搬送路6Lと、回動機構部7のテーブル搬送路71Lと、第2搬送路8とで搬送方向Xに沿って連続する搬送路が構成されている。
【0084】
また、プレス成形部9は、
図2及び
図3に示すように、後述する成形制御部11との協働によって、第2搬送路8をとおって搬送された第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、この順番でプレス成形によって成形して外輪Roを得るプレス成形手段を構成している。
【0085】
このプレス成形部9は、周知の技術であるため、その詳細な説明を省略するが、例えば、成形輪体Wmの内径、外径、幅寸法、外周面の真円度、及び軌道面となる内周面の真円度などを、所望される寸法範囲に収まるように、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2をプレス成形によって成形する、所謂、サイジングを行うものである。
なお、プレス成形部9は、断面厚肉側の端面Sを、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2の基準面として、プレス成形するものとする。
【0086】
また、搬出路10は、
図2に示すように、プレス成形部9に隣接するとともに、搬送方向Xに沿って傾斜した状態で配設されている。
具体的には、搬出路10は、上方が開口するとともに、プレス成形部9の下方に位置する底面をなす底面部(図示省略)と、底面部を挟んで幅方向Yで対向する側壁をなす一対の側壁部(図示省略)とで、上方が開口した凹溝形状に形成されている。
【0087】
また、成形制御部11は、
図3に示すように、図示を省略したCPU、及びメモリ等のハード構成と、プログラム、及びデータ等のソフト構成とで構成され、所定のバスを介して接続された投入機構部3、ローリング成形部4、リフト機構部6、回動機構部7、及びプレス成形部9の動作をそれぞれ制御する機能を有している。
【0088】
上述した構成により、リング成形装置1は、環状素体Woにおける断面厚肉側の端面S(
図1参照)同士を当接させた二つ一組の環状素体Woの投入を受付けて装置の内部に搬入する工程と、端面S同士を当接させた一組の環状素体Woを一体的に拡径して二つ一組の成形輪体Wmを得る工程と、成形輪体Wmを一つずつプレス成形して外輪Roを得る工程と、外輪Roを一つずつ装置の外部に搬出する工程とを連続的に行うことを可能にしている。
【0089】
引き続き、上述した構成のリング成形装置1において、環状素体Woを成形して、テーパーベアリングの外輪Roを得る方法について説明する。なお、リング成形装置1は、投入機構部3のフック部材31が上方に位置し、ローリング成形部4のマンドレル41が搬送方向Xに向って幅方向Yの右側に位置するとともに、成形ロール42が、平面視において、マンドレル41に対して搬送方向Xとは逆向きの方向に離間した位置に位置するものとする。
【0090】
まず、作業者が、端面S同士を互いに当接させた二つ一組の環状素体Woを、軸方向を略水平にした状態で、搬入路2に投入する。この際、投入された二つ一組の環状素体Woは、搬入路2上を自転(転動)しながら搬送方向Xへ移動する、あるいは搬入路2上を滑るようにして搬送方向Xへ移動することで、次工程である投入機構部3に搬送される。
【0091】
端面S同士が当接された一組の環状素体Woが、投入機構部3のフック部材31に当接すると、成形制御部11の制御により、投入機構部3は、
図4に示すように、アクチュエータ部を作動させてフック部材31を下方へ移動させる。この際、二つ一組の環状素体Woは、フック部材31と投入ガイド部32とで挟持されながら、下方へ移動する。
【0092】
そして、
図4の二点鎖線で示したように、二つ一組の環状素体Woにおける径方向中心と、ローリング成形部4のマンドレル41における軸中心とが略一致する上下方向の位置まで二つ一組の環状素体Woが下降すると、成形制御部11の制御により、ローリング成形部4は、
図5に示すように、平面視において、搬送方向Xに向って幅方向Yの右側から左側へ向けてマンドレル41を移動させて、二つ一組の環状素体Woの内部空間にマンドレル41を挿通させる。
【0093】
さらに、成形制御部11の制御により、ローリング成形部4は、
図5に示すように、平面視において、外面成形部42bが環状素体Woの外周面に当接するまで、成形ロール42をマンドレル41へ向けて移動させて、二つ一組の環状素体Woをマンドレル41と成形ロール42とで挟持する。二つ一組の環状素体Woをマンドレル41と成形ロール42とで挟持すると、成形制御部11の制御により、投入機構部3は、アクチュエータ部を作動させて、フック部材31を上昇させる。
【0094】
その後、成形制御部11の制御により、ローリング成形部4は、成形ロール42に連結された駆動モーター44、及び補助ローラー43に連結された駆動モーター45をそれぞれ所定の回転数で回転駆動させる。この際、マンドレル41が、補助ローラー43によって回動するため、二つ一組の環状素体Woは、マンドレル41、及び成形ロール42に挟持されながら回転する。
【0095】
マンドレル41、及び成形ロール42が回転開始すると、成形制御部11の制御により、ローリング成形部4は、
図5に示すように、平面視において、成形ロール42をマンドレル41に向けて徐々に移動させて、二つ一組の環状素体Woを一体的に押圧開始する。これにより、二つ一組の環状素体Woは、回動しながら一体的に押圧されることで、その内外径が拡径される。
【0096】
成形ロール42の端面成形部42cがマンドレル41の拡径部分に当接する位置まで、成形ロール42が移動すると、成形制御部11の制御により、ローリング成形部4は、マンドレル41から離間する方向に成形ロール42を移動させるとともに、搬送方向Xに向って幅方向Yの右側へ向けてマンドレル41を移動させて、所望された内外径、及び幅寸法に成形された二つ一組の成形輪体Wmを第1搬送路5に搬出する。
【0097】
第1搬送路5に搬出された二つ一組の成形輪体Wmは、第1搬送路5上を自転しながら搬送方向Xへ移動する、あるいは第1搬送路5上を滑るようにして搬送方向Xへ移動することで、次工程であるリフト機構部6に搬送される。
【0098】
この際、第1搬送路5の中央壁部53に接触すると、二つ一組の成形輪体Wmは、
図8に示すように、互いに幅方向Yに離間するとともに、中央壁部53によって一方の成形輪体Wmが左搬送路5Lに案内され、他方の成形輪体Wmが右搬送路5Rに案内される。すなわち、一組の状態で搬送された二つ一組の成形輪体Wmは、第1搬送路5の中央壁部53によって、左搬送路5Lをとおって搬送される第1の成形輪体Wm1と、右搬送路5Rをとおって搬送される第2の成形輪体Wm2とに分離する。
【0099】
第1搬送路5の右搬送路5R、及び左搬送路5Lをとおって搬送された第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2が、それぞれリフト機構部6の右搬送路6R、及び左搬送路6Lに到達すると、成形制御部11の制御により、リフト機構部6は、
図6に示すように、昇降アクチュエータ部64を作動させて、昇降テーブル61をリフト案内部材63の傾斜床面部63bまで上昇させる。
【0100】
昇降テーブル61が上昇すると、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2は、
図6及び
図9に示すように、位置エネルギーによって、リフト機構部6から回動機構部7に移動する。
この際、リフト機構部6の左搬送路6Lから回動機構部7のテーブル搬送路71Lに進入した第1の成形輪体Wm1は、
図9に示すように、テーブル搬送路71Lをとおって第2搬送路8へ直接的に搬送される。
【0101】
一方、リフト機構部6の右搬送路6Rから回動機構部7の搬送停止路71Rに進入した第2の成形輪体Wm2は、
図9に示すように、規制部71dによって搬送方向Xへの移動が規制される。
【0102】
第2搬送路8に第1の成形輪体Wm1が移動したことを成形制御部11が検知すると、成形制御部11の制御により、回動機構部7は、
図9に示すように、回転駆動部73を回転駆動させて、回転テーブル71を平面視時計回りに180度回転する。この際、回動機構部7の円弧状壁部材72が、遠心力による第2の成形輪体Wm2の飛び出しを規制しながら、第2の成形輪体Wm2の回動を案内する。
【0103】
回転テーブル71が平面視時計回りに180度回転すると、リフト機構部6の左搬送路6Lと第2搬送路8との間に、回動機構部7の搬送停止路71Rが位置するため、第2の成形輪体Wm2は、
図9に示すように、遠心力と位置エネルギーとによって、搬送停止路71Rから第2搬送路8へ移動する。
【0104】
その後、第2の成形輪体Wm2よりも先に第2搬送路8に搬送された第1の成形輪体Wm1がプレス成形部9に到達したことを成形制御部11が検知すると、成形制御部11の制御により、プレス成形部9は、プレス成形によって、第1の成形輪体Wm1を、所望される外径E、内径e、及び幅寸法hを有する形状に成形したのち、テーパーベアリングの外輪Roとして搬出路10に搬出する。
【0105】
第1の成形輪体Wm1から成形した外輪Roを排出すると、成形制御部11の制御により、プレス成形部9は、第1の成形輪体Wm1と同様に、プレス成形によって、第2の成形輪体Wm2を、所望される外径E、内径e、及び幅寸法hを有する形状に成形したのち、外輪Roとして搬出路10に搬出する。
【0106】
そして、搬出路10に搬出された外輪Roは、搬出路10上を自転しながら搬送方向Xへ移動する、または搬出路10上を滑るように搬送方向Xへ移動することで、リング成形装置1の外部に搬出される。
【0107】
以上のように、略同じ内外径の略環状に形成された二つ一組の環状素体Woを、所望されるリング形状に成形するリング成形装置1は、軸方向における断面厚肉側の端面S同士を当接させた二つ一組の環状素体Woを、所望される直径に一体的に拡径して第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を得るローリング成形部4と、第1の成形輪体Wm1を搬送方向Xへ搬送する第2搬送路8と、第2の成形輪体Wm2の径方向で、搬送方向Xに対して略直交する仮想直線を回転軸として、第2の成形輪体Wm2を回転させるとともに、第2搬送路8に搬出する回動機構部7とを備えたことにより、二つ一組の環状素体Woを、軸方向における断面厚肉側の端面S同士を当接させた状態で一体的に拡径した場合であっても、それぞれの向きに応じたプレス成形部9を次工程に設けることなく、プレス成形を行うことができる。
【0108】
具体的には、回動機構部7によって、リング成形装置1は、拡径された第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、第2搬送路8に途切れなく順番に連続して搬送することができる。
【0109】
この際、回動機構部7が第2の成形輪体Wm2を回動させて第2搬送路8に搬出するため、リング成形装置1は、第2搬送路8において、第2の成形輪体Wm2における断面厚肉側の端面Sの向きを、第1の成形輪体Wm1における断面厚肉側の端面Sの向きと同じ向きにすることができる。
【0110】
これにより、リング成形装置1は、軸方向における断面厚肉側の端面S同士を当接させた状態で二つ一組の環状素体Woを一体的に拡径した場合であっても、拡径された第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、端面の向きを揃えて順次搬送することができる。
【0111】
このため、プレス成形部9において、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2をプレス成形する際、リング成形装置1は、第1の成形輪体Wm1に対応するプレス機と、第2の成形輪体Wm2に対応するプレス機とをそれぞれ設けることなく、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2をプレス成形することができる。
【0112】
さらに、プレス成形部9において、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2をプレス成形する際、リング成形装置1は、軸方向における断面厚肉側の端面Sが同方向を向いた第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、断面厚肉側の端面Sを基準面として、それぞれプレス成形できるため、プレス成形の効率と成形精度とを両立して向上することができる。
【0113】
また、ローリング成形部4、及び回動機構部7の間に配設されるとともに、軸方向における断面厚肉側の端面S同士を当接させた第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、搬送方向Xへ向けて一体的に搬送する第1搬送路5と、第1の成形輪体Wm1、及び回動機構部7で回動された第2の成形輪体Wm2をこの順番で搬送する搬送路である第2搬送路8とを備え、第1搬送路5が、搬送方向Xに沿って立設されるとともに、第1の成形輪体Wm1における断面厚肉側の端面Sと第2の成形輪体Wm2における断面厚肉側の端面Sとの境界に当接する中央壁部53を備えたことにより、リング成形装置1は、第1搬送路5において、軸方向における断面厚肉側の端面S同士が当接した状態の第1の成形輪体Wm1と第2の成形輪体Wm2とを、中央壁部53によって軸方向に離間させることができる。
【0114】
このため、リング成形装置1は、第1の成形輪体Wm1と第2の成形輪体Wm2とが一体的に第2搬送路8に搬送されることを防止できる。換言すると、リング成形装置1は、中央壁部53によって、第1の成形輪体Wm1を第2搬送路8へ向けて案内できるとともに、第2の成形輪体Wm2を回動機構部7へ向けて案内することができる。
【0115】
従って、リング成形装置1は、回動機構部7と中央壁部53との協働によって、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、この順番で第2搬送路8に安定して搬出することができる。
【0116】
また、回動機構部7が、回転軸を中心に回転する回転テーブル71を備え、回転テーブル71が、第1の成形輪体Wm1を第2搬送路8に搬送するテーブル搬送路71Lと、テーブル搬送路71Lに隣接するとともに、第2の成形輪体Wm2の搬送方向Xへの移動を規制する規制部71dとを備えたことにより、リング成形装置1は、回転テーブル71を回動するだけで、第2の成形輪体Wm2の向きの変更と、第2搬送路8への第2の成形輪体Wm2の搬出とを略同時に行うことができる。
【0117】
さらに、テーブル搬送路71Lを介して、第1の成形輪体Wm1を第2搬送路8へ直接的に搬送できるため、リング成形装置1は、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、この順番で第2搬送路8により効率よく搬送することができる。
【0118】
また、環状素体Woを、軸方向に沿った断面における断面形状が、軸方向に沿って漸次厚肉となる断面形状に形成された構成とし、ローリング成形部4を、断面厚肉側の端面S同士を当接させた二つ一組の環状素体Woを一体的に拡径する構成としたことにより、リング成形装置1は、二つ一組の環状素体Woを一体的に拡径する際、一方の環状素体Woの周面に作用する荷重、及び他方の環状素体Woの周面に作用する荷重の分力によって、二つの環状素体Woが、拡径の進行に伴って軸方向に離間することを防止できる。
【0119】
このため、リング成形装置1は、二つ一組の環状素体Woを所望される形状により効率よく成形することができる。
従って、リング成形装置1は、拡径による第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2の成形と、第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2の搬送とを効率よく行うことができる。
【0120】
また、略同じ内外径の略環状に形成された二つ一組の環状素体Woを、所望されるリング形状に成形する成形装置を用いたリング成形方法は、軸方向における断面厚肉側の端面S同士を当接させた二つ一組の環状素体Woを、所望される直径に一体的に拡径して第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を得る拡径工程と、第1の成形輪体Wm1を搬送方向Xへ第2搬送路8を介して搬送する搬送工程と、第2の成形輪体Wm2の径方向で、搬送方向Xに対して略直交する仮想直線を回転軸として、第2の成形輪体Wm2を回転させるとともに、第2搬送路8に搬出する回動搬出工程とを備えたことにより、二つ一組の環状素体Woを、断面厚肉側の端面S同士を当接させた状態で一体的に拡径した場合であっても、それぞれの向きに応じたプレス成形部9を次工程に設けることなく、プレス成形を行うことができる。
【0121】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の一方の端面、及び断面厚肉側の端面は、実施形態の端面Sに対応し、
以下同様に、
拡径手段は、成形制御部11によって制御されるローリング成形部4に対応し、
所定の搬送方向は、搬送方向Xに対応し、
搬送路、及び第2搬送路は、第2搬送路8に対応し、
回動搬出手段は、成形制御部11によって制御される回動機構部7に対応し、
当接部は、中央壁部53に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0122】
例えば、上述した実施形態において、略水平方向の遠方、かつ下方に向う方向を、環状素体Wo、及び成形輪体Wmが搬送される搬送方向Xとしたが、これに限定せず、搬入路2と搬出路10とを略同じ上下方向の位置に配置して、略水平方向の遠方に向かう方向を、環状素体Wo、及び成形輪体Wmが搬送される搬送方向Xとしてもよい。
【0123】
また、搬入路2、第1搬送路5、第2搬送路8、及び搬出路10上を、環状素体Woあるいは成形輪体Wmが自転しながら移動する、あるいは搬入路2、第1搬送路5、第2搬送路8、及び搬出路10上を滑るように移動する構成としたが、これに限定せず、搬入路2、第1搬送路5、第2搬送路8、及び搬出路10を、環状素体Woあるいは成形輪体Wmを搬送するベルトコンベアなどで構成としてもよい。
【0124】
また、第2搬送路8を介して搬送された第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、プレス成形によって成形する構成としたが、これに限定せず、第2搬送路8を介して搬送された第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2を、切削加工によって成形する構成としてもよい。
【0125】
また、環状素体Wo、及び成形輪体Wmを、軸方向を略水平とした状態で搬送する構成としたが、これに限定せず、軸方向を略鉛直にした状態で搬送する構成としてもよい。この場合、回動機構部7において、2つの成形輪体Wm(第1の成形輪体Wm1、及び第2の成形輪体Wm2)のいずれか一方を、直接的に第2搬送路8に搬送し、他方の成形輪体Wmの径方向で、搬送方向Xに対して略直交する仮想直線を回転軸として、他方の成形輪体Wmを正面視略時計回り、または正面視略反時計回りに回転させて、第2搬送路8に搬出させる。
【0126】
また、ローリング成形部4と回動機構部7との間に第1搬送路5が配置された構成としたが、これに限定せず、ローリング成形部4の下方に回動機構部7が配置された構成としてもよい。あるいは、ローリング成形部4と回動機構部7とを一体的に構成して、二つ一組の環状素体Woの拡径による成形と、第1の成形輪体Wm1の搬出、及び第2の成形輪体Wm2の回動搬出とが連続的に行われる構成としてもよい。
【0127】
また、テーパーベアリングの外輪Roを得るリング成形装置1としたが、これに限定せず、テーパーベアリングの内輪Riを得るリング成形装置としてもよい。
より詳しくは、別のリング成形装置で用いられる環状素体Wi、及び内輪Riを説明する説明図を示す
図10(a)及び
図10(b)のように、内径が一定で、外径が漸次拡径された正面視略円環状の環状素体Wiを、冷間ローリングによる成形と、プレス成形とによって、
図10(c)及び
図10(d)に示したような内輪Riに成形する。
【0128】
なお、この場合であっても、二つ一組の環状素体Wiは、
図10(e)に示したように、軸方向Gに沿った垂直断面において肉厚となる断面肉厚側の端面Sを当接させた状態で、リング成形装置に投入する。
【産業上の利用可能性】
【0129】
この発明は、テーパーベアリング(円すいころ軸受)の外輪、及び内輪に限らず、例えば、円筒ころ軸受、複列円筒ころ軸受、あるいは複列円すいころ軸受などの軸受けの外輪、及び内輪、もしくは内部中空の円錐台形状のスリーブなどを成形する装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1…リング成形装置
4…ローリング成形部
5…第1搬送路
7…回動機構部
8…第2搬送路
11…成形制御部
53…中央壁部
71…回転テーブル
71d…規制部
71L…テーブル搬送路
G…軸方向
S…端面
Wi…環状素体
Wo…環状素体
Wm1…第1の成形輪体
Wm2…第2の成形輪体
X…搬送方向