IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社興和の特許一覧

<>
  • 特許-地形計測装置及び地形計測方法 図1
  • 特許-地形計測装置及び地形計測方法 図2
  • 特許-地形計測装置及び地形計測方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】地形計測装置及び地形計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/04 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
G01C7/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020087385
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181923
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】391007747
【氏名又は名称】株式会社興和
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】栗原 章
(72)【発明者】
【氏名】本間 則之
(72)【発明者】
【氏名】山本 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】堀松 崇
(72)【発明者】
【氏名】桑原 賢二
(72)【発明者】
【氏名】太刀川 翼
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-019592(JP,A)
【文献】特開2004-069597(JP,A)
【文献】特開2017-024573(JP,A)
【文献】特開2001-241998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地形を計測する地形計測装置であって、地形計測対象領域に間隔を介して立設される立設体と、この立設体間に架設される架設体と、この架設体に連設される移動体とを有し、この移動体には地形を計測する計測部が設けられ、更に、前記移動体は該移動体に連設されるロープ体を引動することで前記架設体に対して移動可能に設けられ、また、前記移動体の移動速度を表示する速度表示部を有することを特徴とする地形計測装置。
【請求項2】
請求項1記載の地形計測装置において、前記速度表示部は、速度に応じた色分け表示されるように構成されていることを特徴とする地形計測装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記速度表示部は発光部で構成されていることを特徴とする地形計測装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記移動体は、前記計測部を有する基体部と、この基体部に設けられ前記架設体に転動自在に載置される転動部とを有するものであることを特徴とする地形計測装置。
【請求項5】
請求項4記載の地形計測装置において、前記架設体は、前記立設体間に線材を左右並列状態に架設して構成されており、この左右の線材に転動自在に載置される複数の前記転動部が前記基体部の左右位置に設けられていることを特徴とする地形計測装置。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記立設体は前記地形計測対象領域に植生する樹木であることを特徴とする地形計測装置。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記ロープ体は人力により引動するものであることを特徴とする地形計測装置。
【請求項8】
下記の地形計測装置を使用した地形計測方法であって、前記立設体間に前記架設体を架設し、続いて、前記速度表示部で移動速度を確認しつつ前記ロープ体を引動して前記移動体を移動させながら前記計測部により地形を計測することを特徴とする地形計測方法。

地形計測対象領域に間隔を介して立設される立設体と、この立設体間に架設される架設体と、この架設体に連設される移動体とを有し、この移動体には地形を計測する計測部が設けられ、更に、前記移動体は該移動体に連設されるロープ体を引動することで前記架設体に対して移動可能に設けられ、また、前記移動体の移動速度を表示する速度表示部を有する地形計測装置。
【請求項9】
請求項8記載の地形計測方法において、前記速度表示部は、速度に応じた色分け表示されるように構成されていることを特徴とする地形計測方法。
【請求項10】
請求項8,9いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記速度表示部は発光部で構成されていることを特徴とする地形計測方法。
【請求項11】
請求項8~10いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記移動体は、前記計測部を有する基体部と、この基体部に設けられ前記架設体に転動自在に載置される転動部とを有するものであることを特徴とする地形計測方法。
【請求項12】
請求項11記載の地形計測方法において、前記架設体は、前記立設体間に線材を左右並列状態に架設して構成されており、この左右の線材に転動自在に載置される複数の前記転動部が前記基体部の左右位置に設けられていることを特徴とする地形計測方法。
【請求項13】
請求項8~12いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記立設体は前記地形計測対象領域に植生する樹木であることを特徴とする地形計測方法。
【請求項14】
請求項8~13いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記ロープ体は人力により引動するものであることを特徴とする地形計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地形計測装置及び地形計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば地滑りや土砂崩れなどの地盤変位のおそれのある法面の補強工事に際し、予めその工事現場の地形図(3次元地形画像)を作成するが、この地形図を作成するために地形を計測する装置として、特許文献1に開示されるような地形計測装置(以下、従来例という。)が提案されている。
【0003】
この従来例は、航空機やドローンなどの飛行体に地形を計測する計測部を設け、飛行体を工事現場の上空を移動させながら計測部で地形を計測するものであり、この飛行体に設けられる計測部としては、カメラで撮影した写真から三次元座標を求めて地形を計測するものや、レーザーを照射して三次元座標を求めて地形を計測するものなどがある。
【0004】
従って、従来例は、それまで行われていた三脚を備えた計測部を地面に設置して地形を計測する作業に比し、特に広範囲の地形を計測する場合には有効とされる。
【0005】
しかしながら、これら地形の計測を行う工事現場は山間部が多く、樹木が植生していたり、凹凸の激しい工事現場では上空を移動する従来例だと良好に計測できないという問題点がある。
【0006】
また、近年、飛行体としてのドローンがその手軽さから使用されるケースが多いが、墜落事故が問題となっており、年々厳しく規制されているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-31589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、従来に無い実用的な地形計測装置及び地形計測方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
地形を計測する地形計測装置であって、地形計測対象領域Aに間隔を介して立設される立設体6と、この立設体6間に架設される架設体1と、この架設体1に連設される移動体3とを有し、この移動体3には地形を計測する計測部2が設けられ、更に、前記移動体3は該移動体3に連設されるロープ体4を引動することで前記架設体1に対して移動可能に設けられ、また、前記移動体3の移動速度を表示する速度表示部5を有することを特徴とする地形計測装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の地形計測装置において、前記速度表示部5は、速度に応じた色分け表示されるように構成されていることを特徴とする地形計測装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記速度表示部5は発光部で構成されていることを特徴とする地形計測装置に係るものである。
【0013】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記移動体3は、前記計測部2を有する基体部3aと、この基体部3aに設けられ前記架設体1に転動自在に載置される転動部3bとを有するものであることを特徴とする地形計測装置に係るものである。
【0014】
また、請求項4記載の地形計測装置において、前記架設体1は、前記立設体6間に線材1aを左右並列状態に架設して構成されており、この左右の線材1aに転動自在に載置される複数の前記転動部3bが前記基体部3aの左右位置に設けられていることを特徴とする地形計測装置に係るものである。
【0015】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記立設体6は前記地形計測対象領域Aに植生する樹木であることを特徴とする地形計測装置に係るものである。
【0016】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の地形計測装置において、前記ロープ体4は人力により引動するものであることを特徴とする地形計測装置に係るものである。
【0017】
また、下記の地形計測装置を使用した地形計測方法であって、前記立設体6間に前記架設体1を架設し、続いて、前記速度表示部5で移動速度を確認しつつ前記ロープ体4を引動して前記移動体3を移動させながら前記計測部2により地形を計測することを特徴とする地形計測方法に係るものである。

地形計測対象領域Aに間隔を介して立設される立設体6と、この立設体6間に架設される架設体1と、この架設体1に連設される移動体3とを有し、この移動体3には地形を計測する計測部2が設けられ、更に、前記移動体3は該移動体3に連設されるロープ体4を引動することで前記架設体1に対して移動可能に設けられ、また、前記移動体3の移動速度を表示する速度表示部5を有する地形計測装置。
【0018】
また、請求項8記載の地形計測方法において、前記速度表示部5は、速度に応じた色分け表示されるように構成されていることを特徴とする地形計測方法に係るものである。
【0019】
また、請求項8,9いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記速度表示部5は発光部で構成されていることを特徴とする地形計測方法に係るものである。
【0020】
また、請求項8~10いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記移動体3は、前記計測部2を有する基体部3aと、この基体部3aに設けられ前記架設体1に転動自在に載置される転動部3bとを有するものであることを特徴とする地形計測方法に係るものである。
【0021】
また、請求項11記載の地形計測方法において、前記架設体1は、前記立設体6間に線材1aを左右並列状態に架設して構成されており、この左右の線材1aに転動自在に載置される複数の前記転動部3bが前記基体部3aの左右位置に設けられていることを特徴とする地形計測方法に係るものである。
【0022】
また、請求項8~12いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記立設体6は前記地形計測対象領域Aに植生する樹木であることを特徴とする地形計測方法に係るものである。
【0023】
また、請求項8~13いずれか1項に記載の地形計測方法において、前記ロープ体4は人力により引動するものであることを特徴とする地形計測方法に係るものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明は上述のように構成したから、例えば樹木が植生していたり凹凸の激しい工事現場であっても地形の計測を良好に行うことができるなど、従来に無い実用的な地形計測装置及び地形計測方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施例に係る地形計測装置を使用した地形計測方法の説明図である。
図2】本実施例に係る要部の説明図である。
図3】本実施例に係る要部の説明平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0027】
地形計測対象領域Aに間隔を介して立設される立設体6間に架設体1を架設し、ロープ体4を引動することで、架設体1に対して移動体3を移動させながら計測部2により地形を計測する。
【0028】
本発明は、移動体3(計測部2)を工事現場の地表面の近くを移動させることができ、飛行体では計測不能とされていた例えば樹木が植生する工事現場であっても確実に地形を計測することができる。
【0029】
また、本発明は、前述したように移動体3(計測部2)の移動は、ロープ体4を引動することで行われるが、この際、速度表示部5で移動速度を確認しながら行うことができ、よって、地形の計測を良好に行うことができる。
【0030】
即ち、この移動体3(計測部2)の移動速度は、作業効率からすると速い方が良く、一方、計測精度からすると遅い方が良く、この両者のバランスの良い適正な速度(例えば1~2m/s)で移動させることが望ましい。この点、本発明によれば、作業者は速度表示部5の表示を確認しながらロープ体4を引動することで移動体3(計測部2)を適正な速度で移動させることができ、熟練作業者でなくても地形の計測を良好に行うことができる。
【実施例
【0031】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施例は、地形図(3次元地形画像)を作成するために地形を計測する地形計測装置であって、地形計測対象領域Aに間隔を介して立設される立設体6と、この立設体6間に架設される架設体1と、この架設体1に連設される移動体3とを有し、この移動体3には地形を計測する計測部2が設けられ、更に、移動体3は該移動体3に連設されるロープ体4を引動することで架設体1に対して移動可能に設けられ、また、移動体3の移動速度を表示する速度表示部5を有するものである。
【0033】
尚、本実施例では、地形計測対象領域Aとして、地滑りや土砂崩れなどの地盤変位のおそれのある法面にして樹木が植生する工事現場としているが、本実施例の特性を発揮する場所であれば適宜使用し得るものである。
【0034】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0035】
架設体1は、図1,3に図示したように立設体6間に線材1aを左右並列状態に架設して構成されている。
【0036】
具体的には、架設体1は、法面である地形計測対象領域Aの上方位置と下方位置に対向状態で立設される立設体6に、金属製ワイヤーから成る線材1aを巻回架設して構成されており、この並列状態となる左右の線材1a間にして各立設体6の近傍位置には、該線材1a同士間の間隔を保持する間隔保持部材7が設けられている。
【0037】
また、架設体1は、後述する架台15に立設される支柱部材8の上端部で支持されることでテンションが付与されている。
【0038】
移動体3は、基体部3aと、この基体部3aに設けられ架設体1に転動自在に載置される転動部3bとを有するものである。
【0039】
基体部3aは、図1,3に図示したように適宜な金属製の部材で形成した方形板状体であり、その上面四隅には転動部3bが設けられ、下面部には後述する計測部2が設けられている。
【0040】
各転動部3bは、図1,3に図示したように吊りローラーで構成されており、基体部3aの上面四隅(前後左右の位置)に設けられ、この前後左右の転動部3bが左右の線材1aに転動自在に載置される。
【0041】
従って、移動体3は架設体1に対して前後左右位置で連設されており、揺れが抑制された安定した状態で移動可能となる。この安定移動は計測部2における高精度な計測を可能にする。
【0042】
また、移動体3は、該移動体3に連設されるロープ体4を引動することで架設体1に対して移動可能に設けられている。
【0043】
このロープ体4は、一方(上方)の立設体6の近傍に設けられる滑車部材9に折り返し巻回されており、架台15からこのロープ体4を引動することで移動体3は他方(下方)の立設体6側から一方(上方)の立設体6側へ移動することになる。また、移動体3が上方に位置する状態でロープ体4を持つ手を放すと、移動体3は自重により下方へ移動することになる(作業者はロープ体4を送り出す状態となる。)。
【0044】
尚、本実施例ではロープ体4の引動を人力で行っているが、場合によってはモーター等の駆動源を利用した引動としても良い。
【0045】
また、このロープ体4は、移動体3の移動速度を計測する速度計測部10(ロータリーエンコーダ)に連設されている。
【0046】
この速度計測部10は、図1,2に図示したように回転部10aを回転させた際の機械的変位量を電気信号に変換し、この信号から速度を検出するものであり、この回転部10aにはロープ体4が当接状態に設けられ、ロープ体4が移動する速度を基に移動体3の移動速度が計測される。
【0047】
また、本実施例では、この速度計測部10はデータ処理装置11(工事現場に持ち込み携帯可能なノート型パソコン)に接続されており、速度計測部10から得られる速度データはデータ処理装置11に送信されるとともに、このデータ処理装置11に送信された速度データは移動体3の移動速度として処理された後、該データ処理部11に接続される速度表示部5で表示される。
【0048】
この速度表示部5は、図1,2に図示したように本実施例では架台15に設けられる表示ボックス5aに発光部5bを設けて構成されており、本実施例では発光部5bは上下に3つ設けられ、上から青色が適正な速度(1~2m/s)、黄色が注意、赤色が速過ぎる、というように速度に応じて色分けして表示されるように構成されている。
【0049】
従って、移動体3を上下方向に移動させる際、速度表示部5の黄色の発光部5bが発光する状態を維持するようにロープ体4を操作すれば、計測部2で地形を計測するに適正な速度で移動体3が移動していることが分かる。
【0050】
また、本実施例では、データ処理装置11の画面11aにも移動体3の移動速度が画面表示され、その他、このデータ処理装置11は後述する計測部2から得られる計測データに基づき地形図(3次元地形画像)を作成処理する機能など、各種処理機能を有する。
【0051】
計測部2は、図1に図示したように視野角360°の3次元レーザースキャナー(SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を利用して計測を行うレーザースキャナー)が採用されている。
【0052】
尚、計測部2としては、上記のものに限らないのは勿論である。
【0053】
また、本実施例では、地形計測対象領域Aにおける下方の立設体6の近傍位置に架台15が設けられる。
【0054】
この架台15は、作業者が水平で安定した足場として作業する場所である他、前述した支柱部材8、データ処理装置11、速度表示部5などが設置される場所として機能する。
【0055】
以上の構成から成る本実施例に係る地形計測装置を使用した地形計測方法について説明する。
【0056】
地形計測対象領域Aの下方位置に架台15を構築し、上下位置の立設体6(樹木)間に架設体1を架設し、この架設体1に移動体3を連設し、その他、計測に必要な機材を設置する。尚、立設体6として地形計測対象領域Aに植生する樹木を採用したが、架設体1を架設するに適した樹木が対向位置の一方若しくは双方に無い場合、適宜な立設体6を設置するものである。
【0057】
続いて、移動体3に連設されるロープ体4を操作して該移動体3を往復移動させる。
【0058】
具体的には、ロープ体4を引動して移動体3を人力により下方の立設体6側の位置から上方の立設体6側の位置まで移動させ、その後、ロープ体4を持つ手を放して移動体3を自重により上方の立設体6側の位置から下方の立設体6側の位置まで移動させる。
【0059】
この移動体3を移動させる際、作業者は速度表示部5で移動速度を確認しながらロープ体4を操作する。
【0060】
また、この立設体6の間を往復移動する移動体3に設けられた計測部2により地形を計測する。
【0061】
本実施例は上述のように構成したから、移動体3(計測部2)を地面の近くを移動させることができ、飛行体では計測不能とされていた例えば樹木が植生していたり凹凸の激しい工事現場であっても確実に地形を計測することができる。
【0062】
また、凹凸の激しい工事現場について更に述べれば、本実施例は、斜面の下方からはオーバーハング形状によって死角となる部位(図1中のグレースケールで示すX部分)の地形も確実に計測することができる。
【0063】
また、本実施例は、天候(雨や曇や風)に左右されたりもせず地形を計測することができる。
【0064】
また、本実施例は、地形計測対象領域Aにおける作業者の移動が少なくて済む(計測時は移動しなくてよい)ため安全である。
【0065】
また、本実施例は、ロープ体4を引動して行われる移動体3(計測部2)の移動は、速度表示部5で移動速度を確認しながら行うことができ、よって、計測作業が良好に行える。
【0066】
即ち、この移動体3(計測部2)の移動速度は、作業効率からすると速い方が良く、一方、計測精度からすると遅い方が良く、この両者のバランスの良い適正な速度(例えば1~2m/s)で移動させることが望ましい。この点、本実施例によれば、作業者は速度表示部5の表示を確認しながらロープ体4を引動することで移動体3(計測部2)を適正な速度で移動させることができ、熟練作業者でなくても計測作業が良好に行えることになる。
【0067】
また、本実施例は、速度表示部5は、速度に応じた色分け表示されるように構成されているから、シンプルな構造であるから作業者が簡易に判断することができる。
【0068】
また、本実施例は、速度表示部5は発光部5bで構成されているから、視認性が良くこの点においても作業者が簡易に判断することができる。
【0069】
また、本実施例は、移動体3は、計測部2を有する基体部3aと、この基体部3aに設けられ架設体1に転動自在に載置される転動部3bとを有するものであるから、架設体1を良好に移動して確実に地形を計測することができる。
【0070】
また、本実施例は、架設体1は、立設体6間に線材1aを左右並列状態に架設して構成されており、この左右の線材1aに転動自在に載置される複数の転動部3bが基体部3aの左右位置に設けられているから、移動体3は安定した状態で架設体1を移動することができ、高精度な地形の計測が行えることになる。
【0071】
また、本実施例は、立設体6は地形計測対象領域Aに植生する樹木であるから、工事現場へ持ち込む機材の数を削減することができ、施工を簡易に且つ安価に行うことができる。
【0072】
また、本実施例は、移動体3の移動手段(駆動源)として作業者がロープ体4を引動することで移動させる人力による構造を採用しており、例えばモーターやエンジン等の駆動源と該駆動源の稼働用エネルギーを不要として移動体3を確実に移動させることができ、しかも、現場へ機材を持ち込んでの作業時に危惧される駆動源を備えた機器ならではの故障の心配もなく、機材が大掛かりなものとならない。
【0073】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0074】
A 地形計測対象領域
1 架設体
1a 線材
2 計測部
3 移動体
3a 基体部
3b 転動部
4 ロープ体
5 速度表示部
6 立設体
図1
図2
図3