(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】対応能力評価装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/20 20120101AFI20220526BHJP
【FI】
G06Q50/20 300
(21)【出願番号】P 2022517714
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2022012123
【審査請求日】2022-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399090994
【氏名又は名称】株式会社サマデイ
(74)【代理人】
【識別番号】100205626
【氏名又は名称】村上 博
(72)【発明者】
【氏名】相川 秀希
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-039572(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0025029(US,A1)
【文献】相澤理,諸君が伊藤博文らの調査団に加わっていたと仮定し──東大・日本史の入試問題が面白過ぎる,GQ JAPAN[オンライン],2016年06月01日,[2022年 4月 4日検索],インターネット<URL: https://www.gqjapan.jp/culture/column/20160601/an-unending-dialogue>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設問の前提となる事実が記載される事実設定部、参加者を想定外の状況に立たせる仮定が記載される仮定設定部又は前記参加者を創作の前提となる状況に立たせる設定が記載される状況設定部、及び前記参加者に対する創作を伴う回答の要請が前記回答の条件とともに記載される設問本体部を設問ごとに格納する設問データベースと、
想定外の状況に柔軟に対応できる能力を測定する観点が記載される測定項目、前記測定項目ごとに設定され、前記回答を質的に判定する視点を示す質的判定基準、及び前記質的判定基準ごとの質的判定を数値に変換するスコアを格納する評価基準ファイルと、
実施された試験ごとの前記設問を格納する参加者データベースと、
前記設問データベース及び前記参加者データベースを参照し、前記実施された試験においてまだ実施されたことのない前記設問を前記設問データベースから読み出して、出力装置を介して記録媒体に出力させる制御部と、
を備える対応能力評価装置。
【請求項2】
前記制御部は、
説明変数を前記回答内容の本文とし、目的変数を前記質的判定基準の前記評価として学習した学習済みモデルを用いて前記参加者の前記回答内容を評価する請求項1に記載の対応能力評価装置。
【請求項3】
設問の前提となる事実が記載される事実設定部、参加者を想定外の状況に立たせる仮定が記載される仮定設定部又は前記参加者を創作の前提となる状況に立たせる設定が記載される状況設定部、及び前記参加者に対する創作を伴う回答の要請が前記回答の条件とともに記載される設問本体部を設問ごとに格納する設問データベースと、
想定外の状況に柔軟に対応できる能力を測定する観点が記載される測定項目、前記測定項目ごとに設定され、前記回答を質的に判定する視点を示す質的判定基準、及び前記質的判定基準ごとの質的判定を数値に変換するスコアを格納する評価基準ファイルと、
実施された試験ごとの前記設問、及び参加者ごとの前記設問に対する回答内容に対する前記質的判定基準の評価を格納する参加者データベースと、
前記設問データベース及び前記参加者データベースを参照し、前記実施された試験においてまだ実施されたことのない前記設問を前記設問データベースから読み出して、出力装置を介して記録媒体に出力させる制御部と、
を備える対応能力評価装置。
【請求項4】
前記制御部は、
説明変数を前記回答内容の本文とし、目的変数を前記質的判定基準の前記評価として学習した学習済みモデルを用いて前記参加者の前記回答内容を評価する請求項3に記載の対応能力評価装置。
【請求項5】
設問の前提となる事実が記載される事実設定部、
参加者を想定外の状況に立たせる仮定が記載される仮定設定部又は前記
参加者を創作の前提となる状況に立たせる設定が記載される状況設定部、及び前記
参加者に対する創作を伴う回答の要請が前記回答の条件とともに記載される設問本体部を設問ごとに格納する設問データベースと、
想定外の状況に柔軟に対応できる能力を測定する観点が記載される測定項目、前記測定項目ごとに設定され、前記回答を質的に判定する視点を示す質的判定基準、及び前記質的判定基準ごとの質的判定を数値に変換するスコアを格納する評価基準ファイルと、
試験の参加者ごとに、実施された試験ごとの前記設問、前記設問に対する回答内容、及び前記回答内容に対する前記質的判定基準の評価を格納する参加者データベースと、
前記参加者が有する参加者端末から試験参加の入力を受信した場合、前記設問データベース及び前記参加者データベースを参照し、前記参加者がまだ受験したことのない前記設問を前記設問データベースから読み出して、前記参加者端末に表示させ、前記参加者端末から前記回答内容を受信した場合、前記回答内容及び前記評価を前記参加者データベースに格納する制御部と、
を備える対応能力評価装置。
【請求項6】
前記制御部は、
説明変数を前記回答内容の本文とし、目的変数を前記質的判定基準の前記評価として学習した学習済みモデルを用いて前記参加者の前記回答内容を評価する請求項5に記載の対応能力評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応能力診断キット、記録媒体、及び対応能力評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の社会情勢の激変に対し、企業や大学においては想定外の状況に柔軟に対応できる人材を求める傾向にある。この傾向は、特に入社試験や大学等の入学試験において顕出している。
【0003】
例えば、2022年の大学入学共通テストの国語の問題文に、人間に食べられた豚肉になった視点に立って考える問題が出題された。このように、受験者を想定外の状況に立たせて、その対応能力を見る問題が増えてきている。
【0004】
この点に関し、出願人は既に非認知能力を診断するシステムを開発し、特許出願をしている(例えば、特許文献1。)。
【0005】
このシステムは「非認知能力」を、「明確な正解のない設問」に対する回答についての洞察力、多角的な視点、社会的な知、ユーモア、判断力などの項目における5段階評価の合計点に基づいて評価しようとするものである。
【0006】
しかしながら、「非認知能力」はもともと企業内において高収入を得ている人材のパーソナリティの特性を抽出しようとするものであり、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を測定するためのものではない(例えば、非特許文献1。)。
【0007】
また、「明確な正解のない設問」では受験者を想定外の状況に立たせることはできない。
【0008】
加えて、洞察力、多角的な視点、社会的な知、ユーモア、判断力などは、想定外の状況に柔軟に対応できる能力の判断としては適切とは言い難い。
【0009】
従って、従来の非認知能力を診断するシステムによっては、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を診断できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2021-39572号公報
【文献】安井健悟ほか、「認知能力及び非認知能力が賃金に与える影響について」、RIETI Discussion Paper Series 20-J-024
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を診断できる対応能力診断キット、記録媒体、及び対応能力評価装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、設問の前提となる事実が記載される事実設定部、参加者を想定外の状況に立たせる仮定が記載される仮定設定部又は前記参加者を創作の前提となる状況に立たせる設定が記載される状況設定部、及び前記参加者に対する創作を伴う回答の要請が前記回答の条件とともに記載される設問本体部を設問ごとに格納する設問データベースと、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を測定する観点が記載される測定項目、前記測定項目ごとに設定され、前記回答を質的に判定する視点を示す質的判定基準、及び前記質的判定基準ごとの質的判定を数値に変換するスコアを格納する評価基準ファイルと、実施された試験ごとの前記設問を格納する参加者データベースと、前記設問データベース及び前記参加者データベースを参照し、前記実施された試験においてまだ実施されたことのない前記設問を前記設問データベースから読み出して、出力装置を介して記録媒体に出力させる制御部と、を備える対応能力評価装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を診断できる対応能力診断キット、記録媒体、及び対応能力評価装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】対応能力評価装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】参加者データベースのデータ構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る対応能力診断キット、記録媒体、及び対応能力評価装置を詳細に説明する。本実施形態の対応能力診断キットは、設問を記録した記録媒体である設問記録媒体1と、設問に対する回答の評価基準を記録した記録媒体である評価基準記録媒体3と、を備える。
【0016】
図1は、設問記録媒体1の例を示す図である。
図1に示すように、設問記録媒体1は、設問である設問部10と、回答記載部11と、を備える。設問部10と、回答記載部11とは、別の記録媒体であってもよい。本実施形態においては、設問部10と、回答記載部11とが同一の記録媒体に記録されている例を用いて説明する。
【0017】
設問部10は、制限時間の記載に加え、事実設定部101と、仮定設定部102と、設問本体部103と、を備える。
【0018】
事実設定部101は、内容として設問の前提となる事実が記載される。設問の前提となる事実は、実際に起こった事実でも、仮想の事実でもよい。設問の前提となる事実は、通常起こりうる内容、又は想定内の事実であることが望ましいが、全くの作り話でもよい。
【0019】
図1の例においては、事実設定部101に以下の内容が記載されている。
「2017年2月、英ウィルトシャーの農場で、60トンもの干し草が燃える火事が発生し、消防隊員によって、食肉用に育てられた18匹の子豚と2頭のオス豚が助け出されました。しかし、鎮火の後、消防士たちがバーベキューをするソーシャル・メディア上の投稿写真に大きな注目が集まり、一気に炎上しました。なんと、彼らが食べていたソーセージが、火事場から助け出された豚の肉で作られていたというのです。
英メディアによれば、農場経営者であるR.L.氏が、消防士たちに「救出してくれたお礼に、子豚のソーセージをプレゼントする」と約束していたということです。」
【0020】
この例においては、事実設定部101に実際に起こった事実が記載されている。
【0021】
仮定設定部102は、内容として受験者を想定外の状況に立たせる仮定が記載される。想定外の状況は、受験者が通常は経験しないであろう状況や、通常は想定しないであろう状況や、通常は起こりえない状況であることが望ましい。
【0022】
図1の例においては、仮定設定部102に以下の内容が記載されている。
「あなたは、この火事でソーセージになった子豚の中の1匹です。この光景を天国から眺め、消防士たちと農場経営者に対して「これだけは言っておきたい」という思いが募りました。」
【0023】
この例においては、受験者が「火事でソーセージになった子豚の中の1匹」であるという設定、及び「この光景を天国から眺めて言う」という設定が通常は起こりえない状況であり、受験者を想定外の状況に立たせる仮定である。
【0024】
設問本体部103は、内容として受験者に対する要請が、回答の条件とともに記載される。具体的には、設問本体部103には受験者に対する創作を伴う回答の要請が回答の条件とともに記載される。回答の条件は、例えば字数制限や、ワード数制限である。また、回答の条件は、自分の意見や考えを述べるタイプのほか、対話形式によって回答するタイプ、特定の立場から特定の者へのセリフを記載するタイプなど、回答のタイプを制限する。
【0025】
創作を伴う回答の要請は、回答の中に受験者が考え出した内容が含まれる回答を要請するもの、回答の中に受験者が「自分はこう述べたい」というような自己主張が含まれる回答を要請するもの、回答の中に受験者が「その状況であればこうすべきである」というような受験者独自の対応が含まれる回答を要請するものなど、回答内容に自由度があり、創作的な自己表現を求める要請であることが望ましい。
【0026】
図1の例においては、設問本体部103に以下の内容が記載されている。
「消防士たちと、農場経営者のそれぞれに対し、そのセリフを40字以内で書きなさい。」
【0027】
この例においては、セリフを考え出して回答することを求めることが、創作を伴う回答の要請に該当する。
【0028】
創作を伴う回答の要請は、例えばエッセイの創作の要請、会話文の創作の要請、設定された状況に登場する人物の台詞に対する返答、設定された言葉や事物に対する解釈、設定された事実を前提とする問いかけに対する返答、設定された状況に登場する人物等に対するメッセージ、設定された事実を用いる笑い噺の創作、設定された事実を前提とするイラストや絵の描画を伴う文の創作などが挙げられる。
【0029】
また、回答の条件においては、通常の認知能力(例えば、数学の計算問題を解く能力など。)を測定する設問にはあまりないような回答のタイプを指定することが、受験者をより想定外の状況に立たせるという意味において望ましい。
【0030】
図2は、設問記録媒体1の他の例を示す図である。
図2に示すように、設問記録媒体1は、設問である設問部20と、回答記載部21と、を備える。設問部20と、回答記載部21とは、別の記録媒体であってもよい。本実施形態においては、設問部20と、回答記載部21とが同一の記録媒体に記録されている例を用いて説明する。
【0031】
設問部20は、制限時間の記載に加え、事実設定部201と、状況設定部202と、設問本体部203と、を備える。
【0032】
事実設定部201は、文でも写真でも、絵や図、或いは動画であってもよい。内容として設問の前提となる事実が記載される。設問の前提となる事実は、実際に起こった事実でも、仮想の事実でもよい。設問の前提となる事実は、通常起こりうる内容、又は想定内の事実であることが望ましいが、例えば二人の宇宙人が会話している、等のように全くの作り話でもよい。
【0033】
図2の例においては、事実設定部201にイラストが記載されている。事実設定部201に動画を用いる場合には、タブレット端末や、コンピュータに接続されたディスプレイ、スクリーンとプロジェクタなどが用いられる。
【0034】
状況設定部202は、受験者を創作の前提となる状況に立たせる設定が記載される。創作の前提とは、テーマの選定、場面の設定、など創作内容を規定する状況としての前提を指す。
【0035】
図2の例においては、状況設定部202に以下の内容が記載されている。
「上の写真を見て、「ユートピア(理想郷)」もしくは「ディストピア(暗黒郷)」のどちらかを選んでください。」
【0036】
この例は、創作の前提にテーマの選定が採用された例である。
【0037】
設問本体部203には、受験者に対する創作を伴う回答の要請が回答の条件とともに記載される。創作を伴う回答の要請は、例えばエッセイの創作の要請、会話文の創作の要請、設定された状況に登場する人物の台詞に対する返答、設定された言葉や事物に対する解釈、設定された事実を前提とする問いかけに対する返答、設定された状況に登場する人物等に対するメッセージ、設定された事実を用いる笑い噺の創作、設定された事実を前提とするイラストや絵の描画を伴う文の創作などが挙げられる。
【0038】
設問本体部203には、創作を伴う回答の要請を行うことにより受験者を想定外の状況に立たせる設問が記載される。
【0039】
図2の例においては、以下の内容が記載されている。
「選んだタイトルについて、100字以内のエッセイを書きなさい。」
【0040】
この例においては、エッセイを創作して回答することを求めることが創作を伴う回答の要請に該当する。
【0041】
上述の各記載は組み合わせて用いることもできる。例えば、設問部(10、20)には、事実設定部101、仮定設定部102、状況設定部202、及び設問本体部(103、203)がすべて記載されてもよいし、選択的に記載されてもよいし、重複して記載されてもよい。
【0042】
図3は、評価基準記録媒体3の例を示す図である。
図3に示すように、評価基準記録媒体3は、評価基準として測定項目301と、測定項目301ごとに設定され、回答を質的に判定する視点を示す質的判定基準302と、質的判定基準302ごとの質的判定を数値に変換するスコア303と、スコア303に乗じるウエイト304と、質的判定基準302に対する評価結果である評価305と、を備える。
【0043】
測定項目301は、内容として想定外の状況に柔軟に対応できる能力(以下、対応能力という。)を測定する観点が記載される。
図3の例においては、測定項目301として、条件把握力、状況想定力、対応力、独創性、きらりと光る何か、等が挙げられている。
【0044】
測定項目301は、時代や時の流れに応じて変化することがある。対応能力の測定において、さらに適切な視点が発見されたり、企業や大学が求めたい人材の特性が時代の趨勢とともに変化したり、受験者のパーソナリティ特性が時代の趨勢とともに変化したりするからである。
【0045】
質的判定基準302は、測定項目301の一項目に対して複数設定される。より慎重、かつ正確に評価するためである。
【0046】
スコア303は、内容として質的判定を数値に置き換えるスケールが記載される。スケールは、非常に当てはまる場合が+3、全く当てはまらない場合が-3の7段階である。スケールの段階数は任意に選択できる。スケールは、いわゆるセマンティックディファレンシャル法(semantic differential method)による数値化であってもよい。
【0047】
ウエイト304は、より重要な質的判定基準に対してはより大きな値を、重要ではない質的判定区順に対してはより小さな値が設定される。
【0048】
評価305は、測定項目301ごとの小計が計算されてもよい。評価305のすべての合計は得点として求められる。
【0049】
ここで、記録媒体について説明する。記録媒体は人に伝達可能に記録される媒体と、コンピュータによって読み取り可能な媒体とが含まれる。
【0050】
人に伝達可能に記録される媒体としては、紙、プラスチックフィルムなどの紙状体、木材・金属・樹脂などによって形成される立体など、記録内容が人の視覚、聴覚、触覚などを介して伝達可能な媒体が含まれる。
【0051】
コンピュータによって読み取り可能な媒体としては、各種のメモリなどの記憶装置、ハードディスクドライブ、コンパクトディスク、DVDなどの媒体のほか、インターネットのような公衆通信回線網に接続されるクラウドストレージなどが含まれる。
【0052】
コンピュータは、コンピュータによって読み取り可能な媒体から設問部10、20又は評価基準を読み出し、ディスプレイ、タッチパネル、スピーカ、プリンタ、点字表示装置、プロジェクタなどの出力装置を介して出力する。
【0053】
図4は、対応能力評価装置4の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、対応能力評価装置4は、制御部41と、記録媒体である記憶部42と、入出力部43と、通信部44と、を備える。
【0054】
制御部41は、CPU(central processing unit)などの演算装置を備える。
【0055】
記憶部42は、メモリ、ハードディスクドライブなどの記憶装置を備える。記憶部42は、設問データベース421と、評価基準ファイル422と、参加者データベース423と、を格納する。
【0056】
設問データベース421は、設問ごとに固有に割り当てられる設問IDと、設問を格納する。
【0057】
評価基準ファイル422は、評価基準を格納する。
【0058】
参加者データベース423は、参加者に関する情報を格納する。
【0059】
入出力部43は、ディスプレイ、タッチパネル、スピーカ、プリンタ、点字表示装置、プロジェクタなどの出力装置、及びキーボード、マウス、マイク、点字入力装置などの入力装置を備える。
【0060】
通信部44は、通信装置を備え、インターネット5などの公衆通信回線網を介して管理者が使用する管理者端末6、及び受験者、入社希望者などの対応能力評価試験の参加者が使用する参加者端末7と通信する。
【0061】
図5は、参加者データベース423のデータ構成を示す図である。
図5に示すように、参加者データベース423は、参加者ごとに固有に割り当てられる識別子である参加者IDと、参加者の氏名、メールアドレスなどの基本情報と、実施される試験ごとに固有に割り当てられる試験IDと、参加者IDと、実施された試験に用いられた設問の設問IDと、設問に対する回答内容と、回答内容に対する各質的判定基準の評価と、得点と、試験結果に基づく参加者に対するアドバイスと、を格納する。
【0062】
対応能力評価装置4は、試験の実施結果を格納するほか、対応能力向上のための模擬試験装置としても機能する。
【0063】
制御部41は、参加者端末7から試験参加の入力を受信すると、設問データベース421及び参加者データベース423を参照し、参加者がまだ受験したことのない設問を設問データベース421から読み出して、参加者端末7に表示させる。
【0064】
制御部41は、参加者端末7から表示された設問に対する回答を受信すると、管理者に評価を促すとともに、管理者からの指示に基づいて評価基準ファイル422から評価基準を読み出し、管理者端末6に表示させる。
【0065】
制御部41は、管理者端末6から評価を受信すると、参加者データベース423の該当部分に試験の結果とアドバイスを格納する。
【0066】
制御部41は、参加者端末7からの要求に応じて、参加者が受験した試験の結果を参加者データベース423から読み出して参加者端末7に表示させる。
【0067】
従って、参加者は対応能力評価装置4を用いて試験を受験することにより、対応能力を向上させることが可能となる。
【0068】
なお、上述の例においては、回答の評価を管理者が行っていたが、評価を人工知能によって行うことも可能である。
【0069】
この場合の人工知能は、機械学習の学習済みモデルを用いる。機械学習のアルゴリズムとしては特に制限はないが、可読性を重視する場合には一般化線形回帰、或いはロジスティック回帰を用い、可読性を重視しない場合にはいわゆるディープラーニングを用いる。
【0070】
学習は、例えば教師データあり学習により行う。この場合、説明変数は回答内容の本文であり、目的変数は各質的判定基準302の評価305である。
【0071】
評価を人工知能によって行うことにより、評価の評価者によるばらつきを防止することができるという効果がある。
【0072】
以上述べたように、本実施形態の対応能力診断キットは、設問の前提となる事実が記載される事実設定部101、受験者を想定外の状況に立たせる仮定が記載される仮定設定部102又は受験者を創作の前提となる状況に立たせる設定が記載される状況設定部202、及び受験者に対する創作を伴う回答の要請が回答の条件とともに記載される設問本体部(103、203)が記録される設問記録媒体1と、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を測定する観点が記載される測定項目301、測定項目301ごとに設定され、回答を質的に判定する視点を示す質的判定基準302、及び質的判定基準302ごとの質的判定を数値に変換するスコア303が記録される評価基準記録媒体3と、を備える。
【0073】
従って、本実施形態によれば、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を診断できる対応能力診断キットを提供できるという効果がある。
【符号の説明】
【0074】
1 設問記録媒体
2 設問記録媒体の他の例
3 評価基準記録媒体
4 対応能力評価装置
5 インターネット
6 管理者端末
7 参加者端末
10 設問部
11 回答記載部
20 設問部
21 回答記載部
41 制御部
42 記憶部
43 入出力部
44 通信部
101 事実設定部
102 仮定設定部
103 設問本体部
201 事実設定部
202 状況設定部
203 設問本体部
301 測定項目
302 質的判定基準
303 スコア
304 ウエイト
305 評価
421 設問データベース
422 評価基準ファイル
423 参加者データベース
【要約】
【課題】想定外の状況に柔軟に対応できる能力を診断できる対応能力診断キット、記録媒体、及び対応能力評価装置を提供する。
【解決手段】対応能力診断キットは、設問の前提となる事実が記載される事実設定部101、受験者を想定外の状況に立たせる仮定が記載される仮定設定部102又は受験者を創作の前提となる状況に立たせる設定が記載される状況設定部202、及び受験者に対する創作を伴う回答の要請が回答の条件とともに記載される設問本体部(103、203)が記録される設問記録媒体1と、想定外の状況に柔軟に対応できる能力を測定する観点が記載される測定項目301、測定項目301ごとに設定され、回答を質的に判定する視点を示す質的判定基準302、及び質的判定基準302ごとの質的判定を数値に変換するスコア303が記録される評価基準記録媒体3と、を備える。
【選択図】
図1