IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20220526BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20220526BHJP
   E05B 81/76 20140101ALI20220526BHJP
【FI】
E05B85/16 D
B60J5/04 H
E05B81/76
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016119649
(22)【出願日】2016-06-16
(65)【公開番号】P2017008712
(43)【公開日】2017-01-12
【審査請求日】2019-04-17
(31)【優先権主張番号】15172433.3
(32)【優先日】2015-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】アントーニオ ロッチ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/049026(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/074020(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/073119(WO,A1)
【文献】特開2014-095251(JP,A)
【文献】特開2015-090028(JP,A)
【文献】特開平5-302453(JP,A)
【文献】米国特許第5632516(US,A)
【文献】米国特許第5123687(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 5/02
E05B 77/00-85/28
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 車両ドアの解錠のために、車両ドアの錠(2a)を作動させるように構成されている作動部材(2)と、
- 前記車両ドアの解錠のために、前記作動部材(2)と組み合うように構成されている把持部材(3)と、
- アクチュエータレバー(4)およびモータ(5)を備える駆動機構と、
- 把持レバー(32a)と直接組み合っている前記アクチュエータレバー(4)とを備え、
前記把持部材(3)は、把持部分(31)および前記把持レバー(32a)を有し、
前記把持部分(31)は、平面位置、作動位置および開位置の間で変位し、
前記平面位置では、前記把持部分(31)が、前記車両ドアの外側パネル(10)に対して同一面をとるように延在しており、前記把持レバー(32a)が前記作動部材(2)と組み合っておらず、
前記作動位置では、前記把持部分(31)が、前記外側パネル(10)から突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、前記把持レバー(32a)が前記作動部材(2)と組み合っており、
前記開位置では、前記把持レバー(32a)が、前記錠(2a)を作動させて前記車両ドアを解錠するために前記作動部材(2)を駆動し
前記把持部分(31)が前記開位置に向かう開方向(11)に沿って引かれたときに、前記把持レバー(32a)が、前記車両ドアを解錠するために前記錠(2a)を作動させる前記作動部材(2)を駆動する構成となっており、
前記把持レバー(32a)は、把持軸(30)、前記把持軸(30)を中心に回転するように前記把持部分(31)を回転可能に取り付けるための第2のアーム(34a)、および前記作動部材(2)を駆動するように構成された第1のアーム(33a)を規定し、
前記アクチュエータレバー(4)は、アクチュエータ軸(40)のまわりに回転可能に取り付けられており、該把持軸(30)と前記アクチュエータ軸(40)とは、実質的に互いに平行であることを特徴とする車両用のドアハンドル。
【請求項2】
前記モータ(5)は、前記平面位置と前記作動位置との間で前記把持部分(31)が変位するように駆動する前記アクチュエータレバー(4)を駆動するよう構成されている、請求項1に記載のドアハンドル。
【請求項3】
前記作動部材(2)と前記把持部材(3)とが接することによって閉じられる、少なくとも1つの第1スイッチ(60)および第1回路を、さらに備えている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項4】
前記ドアハンドルは、さらに、前記モータまたは前記アクチュエータレバー上に配置されている少なくとも1つの第2スイッチ、および少なくとも1つの第2回路を備えており、該少なくとも1つの第2スイッチ、および該少なくとも1つの第2回路は、ユーザに、前記アクチュエータレバー(4)の状態を知らせるように構成されている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項5】
前記ドアハンドルは、さらに、前記把持部分(31)を、前記平面位置に向かう方向に駆動するように構成されている把持部ばね(32)を備えており、
前記アクチュエータレバー(4)は、
前記把持部分(31)を、前記作動位置に向かう方向に駆動している駆動位置と、
前記把持部分(31)を解放している基準位置との間で変位可能であり、
前記ドアハンドルは、さらに、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記駆動位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段と、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記基準位置に保持するための保持手段(5
a)とを備えている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項6】
前記把持部材(3)は、従動構造(33a)を有しており、前記アクチュエータレバー(4)は、該従動構造(33a)と組み合う駆動構造(43a)を有しており、
前記アクチュエータレバー(4)が、前記基準位置から前記駆動位置に変位するときに、前記駆動構造(43a)は、前記把持部分が、前記平面位置から前記作動位置に変位するように、前記従動構造を駆動するようになっている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項7】
前記把持部材(3)は、第1ロック構造(31a)を有しており、前記アクチュエータレバー(4)は、該第1ロック構造(31a)と組み合う第2ロック構造(41a)を有しており、
前記把持部材(3)が、前記作動位置から前記開位置に変位するときに、前記第1ロック構造(31a)は、前記アクチュエータレバー(4)が、前記基準位置に向かう方向に駆動され、その結果、前記保持手段(5a)を押して、前記保持手段(5a)によって保持されるように、前記第2ロック構造(41a)を駆動するようになっている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項8】
前記アクチュエータレバー(4)は、対向する2つの端部を有しており、
前記第2ロック構造(41a)は、2つの端部のうちの一方に配置されており、駆動構造(43a)は、他方に配置されている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項9】
前記ドアハンドルは、さらに、前記把持部分(31)を、前記作動位置に向かう方向に駆動するように構成されている把持部ばね(32)を備えており、
前記アクチュエータレバー(4)は、
前記把持部分(31)を前記平面位置に留めているロック位置と、
前記把持部分(31)の、前記作動位置に向かう方向の変位を可能にしているロック解除位置との間で変位可能であり、
前記ドアハンドルは、さらに、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記ロック位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段(42)と、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記ロック解除位置に保持するための保持手段(5b)とを備えている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項10】
前記把持部材(3)は、前記把持部材(3)が、前記平面位置から前記作動位置に変位するときに、第1の軌道(T1)をたどる第1ロック構造(31a)を有しており、前記アクチュエータレバー(4)は第2ロック構造(41a)を有しており、
前記アクチュエータレバーが前記ロック位置にあるときに、前記第2ロック構造(41a)は、前記把持部材(3)を前記平面位置に留めるように、前記第1ロック構造(31a)の変位を阻止しており、
前記アクチュエータレバーが前記ロック解除位置にあるときに、前記第2ロック構造(41a)は、前記第1ロック構造(31a)の前記第1の軌道(T1)外に外れている、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項11】
前記把持部分が、前記作動位置から前記開位置に変位するときに、前記第1ロック構造(31a)は、前記アクチュエータレバー(4)が前記保持手段(5b)を押し、それによって、前記保持手段(5)が、前記アクチュエータレバー(4)を前記ロック解除位置から解放することを可能にするために、第2の軌道(T2)に沿って、前記アクチュエータレバー(4)を駆動するように、前記第2ロック構造(41a)と組み合う、請求項10に記載のドアハンドル。
【請求項12】
前記把持部材(3)は、駆動構造(33)を有しており、前記アクチュエータレバー(4)は、前記駆動構造(33)と組み合う従動構造(43)を有しており、前記把持部材(3)が前記平面位置にあるときに、前記把持部分が前記車両ドアの外から押されると、前記駆動構造(33)は、前記アクチュエータレバー(4)が、前記保持手段(5b)を押し、その結果、前記アクチュエータレバー(4)が、前記ロック位置から解放されるように、前記従動構造(43)を駆動する、請求項に記載のドアハンドル。
【請求項13】
前記把持部材(3)は、前記外側パネル(10)に向かって突き出ている柱体(34)を備えており、該柱体(34)は、前記車両ドアの解錠のために、前記作動部材(2)が有している第2の開突起(25)と組み合う第1の開突起(35)を有しており、
前記駆動構造(33)は、該柱体(34)上にある、請求項12に記載のドアハンドル。
【請求項14】
-車両ドアの解錠のために、車両ドアの錠(2a)を作動させるように構成されている作動部材(2)と、
- 前記車両ドアの解錠のために、前記作動部材(2)と組み合うように構成されている把持部材(3)であって、
把持部分(31)を有しており、
前記把持部分(31)が、前記車両ドアの外側パネル(10)に対して同一面をとるように延在している平面位置と、
前記把持部分(31)が前記外側パネル(10)から突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、前記把持部材(3)が前記作動部材(2)と組み合っている作動位置と、
前記作動部材(2)が前記錠(2a)を作動させて、前記車両ドアの解錠を行うように、前記把持部材(3)が前記作動部材(2)を駆動している開位置との間で変位可能である把持部材(3)と、
- 前記把持部材(3)を、前記平面位置に向かう方向に駆動するように構成されている把持部ばね(32)と、
- 前記把持部材(3)と組み合うアクチュエータレバー(4)であって、
前記把持部分(31)を、前記作動位置に向かう方向に駆動している駆動位置と、
前記把持部材(3)を解放している基準位置との間で変位可能であるアクチュエータレバーと、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記駆動位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段(42)と、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記基準位置に保持するための保持手段(5a)とを備えている、車両用のドアハンドルであって、
前記把持部材(3)が、前記開位置に向かう開方向(11)に沿って引かれたときに、前記把持部材(3)が、前記作動部材(2)を、前記車両ドアの解錠のために、前記錠(2a)を作動させるように駆動する構成になされているドアハンドル。
【請求項15】
前記保持手段(5a)は、前記アクチュエータレバー(4)および前記ドアハンドルのブラケットに連結されている、圧力を感応する双安定ばね機構を有しており、該双安定ばね機構は、前記アクチュエータレバー(4)が、前記基準位置に保持されている保持状態と、前記アクチュエータレバー(4)が、前記基準位置から解放されている解放状態との間で変移可能である、請求項14に記載のドアハンドル。
【請求項16】
前記保持手段(5a)は、前記アクチュエータレバーが、前記基準位置から解放されるときに、クリック音を発生させるように構成されているクリック音発生手段を有している、請求項14に記載のドアハンドル。
【請求項17】
-車両ドアの解錠のために、車両ドアの錠(2a)を作動させるように構成されている作動部材(2)と、
- 前記車両ドアの解錠のために、前記作動部材(2)と組み合うように構成されている把持部材(3)であって、
把持部分(31)を有しており、
前記把持部分(31)が、前記車両ドアの外側パネル(10)に対して同一面をとるように延在している平面位置と、
前記把持部分(31)が前記外側パネル(10)から突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、前記把持部材(3)が前記作動部材(2)と組み合っている作動位置と、
前記作動部材(2)が前記錠(2a)を作動させて、前記車両ドアの解錠を行うように、前記把持部材(3)が前記作動部材(2)を駆動している開位置との間で変位可能である把持部材(3)と、
- 前記把持部材(3)を、前記平面位置に向かう方向に駆動するように構成されている把持部ばね(32)と、
- 前記把持部材(3)と組み合うアクチュエータレバー(4)であって、
前記把持部材(3)を前記平面位置に留めているロック位置と、
前記把持部材(3)の、前記作動位置に向かう方向の変位を可能にしているロック解除位置との間で変位可能であるアクチュエータレバー(4)と、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記ロック位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段(42)と、
- 前記アクチュエータレバー(4)を、前記ロック解除位置に保持するための保持手段(5b)とを備えている、車両用のドアハンドル。
【請求項18】
前記保持手段(5b)は、前記アクチュエータレバー(4)および前記ドアハンドルのブラケットに連結されている、圧力を感応する双安定ばね機構を有しており、該双安定ばね機構は、前記アクチュエータレバー(4)が、前記ロック解除位置に保持されている保持状態と、前記アクチュエータレバー(4)が、前記ロック解除位置から解放されている解放状態との間で変移可能である、請求項17に記載のドアハンドル。
【請求項19】
前記保持手段(5b)は、前記アクチュエータレバーが、前記ロック解除位置から解放されるときに、クリック音を発生させるように構成されているクリック音発生手段を有している、請求項17に記載のドアハンドル。
【請求項20】
- 車両ドアの解錠のために、車両ドアの錠(2a)を作動させるように構成されている作動部材(2)と、
- 前記車両ドアの解錠のために、前記作動部材(2)と組み合うように構成されている把持部材(3)と、
- 平面位置と開位置との間で把持部分(31)が変位するように駆動するアクチュエータレバー(4)を駆動するよう構成されているモータ(5)を備える駆動機構と、
- 把持レバー(32a)と直接組み合っている前記アクチュエータレバー(4)とを備え、
前記把持部材(3)は、把持部分(31)および前記把持レバー(32a)を有し、
前記把持部分(31)は、前記平面位置、作動位置および開位置の間で変位し、
前記平面位置では、前記把持部分(31)が、前記車両ドアの外側パネル(10)に対して同一面をとるように延在しており、前記把持レバー(32a)が前記作動部材(2)と組み合っておらず、
前記作動位置では、前記把持部分(31)が、前記外側パネル(10)から突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、前記把持レバー(32a)が前記作動部材(2)と組み合っており、
前記開位置では、前記把持レバー(32a)が、前記錠(2a)を作動させて前記車両ドアを解錠するために前記作動部材(2)を駆動し
前記把持部分(31)が前記開位置に向かう開方向(11)に沿って引かれたときに、前記把持レバー(32a)が、前記車両ドアを解錠するために前記錠(2a)を作動させる前記作動部材(2)を駆動する構成となっており、
前記把持レバー(32a)は、把持軸(30)、前記把持軸(30)を中心に回転するように前記把持部分(31)を回転可能に取り付けるための第2のアーム(34a)、および前記作動部材(2)を駆動するように構成された第1のアーム(33a)を規定することを特徴とする車両用のドアハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「フラッシュハンドル(平面ハンドル)」とも呼ばれる車両用ドアハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアハンドルは、車両の見栄えに重大な影響を与える要素である。したがって、自動車メーカーは、車両用ドアハンドルを、ドア面内に、フラッシュ配置とも呼ばれる、ドア面と同一面になるように配置することが多い。フラッシュハンドルは、通常、車両用ドアハンドルを可能な限り目立たないようにするために採用される。さらにこのような車両ドアのフラッシュハンドルは、車両が走行しているときに、空気との衝突によって生じる空気力学的な騒音を減らすという長所を有している。
【0003】
把持部材、およびユーザがこの把持部材を掴んで引っ張ることによって、車両ドアを開けるようになっている可動フラップを備えるフラッシュハンドルが、従来提案されている。
【0004】
このフラッシュハンドルは、車両が走行しているときに、可動フラップを動かないように保持する手段を有する、さらなる部品を必要としている。
【0005】
さらに、このフラッシュハンドルは、ユーザが事前操作を行わなければ、把持部材に触れることができないから、使い勝手が悪いことがわかっている。したがって、ユーザの事前動作を低減させるためには、把持部材が、ユーザによって掴まれる作動位置まで変位するようになっているフラッシュハンドルが要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、可動フラップが不要であり、ユーザの事前運動が低減されるフラッシュハンドルを提供することを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、次のものを備えている車両用ドアハンドルを提供するものである。
- 車両ドアの解錠のために、車両ドアの錠を作動させるようになっている作動部材と、
- 車両ドアの解錠のために、作動部材と組み合うように構成されている把持部材であって、把持部分を有しており、
この把持部分は、車両ドアの外側パネルに対して同一面をとるように延在している平面位置と、
把持部分が外側パネルから突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、把持部材が作動部材と組み合っている作動位置と、
把持部材が、錠を作動させて、車両ドアを解錠するために、作動部材を駆動している開位置との間で変位可能である把持部材と、
- 駆動機構と、把持部材を、平面位置と作動位置との間で変位するように駆動するために、把持部材と組み合うアクチュエータレバー。
本発明の車両用ドアハンドルは、把持部材が、開位置に向かう開方向に引かれたときに、把持部材が、作動部材を、車両ドアの解錠のために、錠を作動させるように駆動する構成になっている。
【0008】
本発明の車両用ドアハンドル、すなわちフラッシュハンドルは、可動フラップを必要としない単純な構造を有しており、したがって、使い勝手が良いという利点を有している。
【0009】
本発明のさらなるいくつかの実施形態においては、次の特徴の1つ以上を、単独で、または組み合わせて備えている場合がある。
- 車両用ドアハンドルは、把持部材を、平面位置に向かう方向に駆動するようになっている把持部材復帰手段を備えており、
アクチュエータレバーは、
把持部材を、作動位置に向かう方向に駆動している駆動位置と、
把持部材を解放している基準位置との間で変位可能であり、
車両用ドアハンドルは、さらに、
- アクチュエータレバーを、駆動位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段と、
- アクチュエータレバーを、基準位置に保持するための保持手段とを備えている。
- 車両用ドアハンドルは、さらに、把持部材を、作動位置に向かう方向に駆動するようになっている把持部材復帰手段を備えており、
アクチュエータレバーは、
把持部材を平面位置に留めているロック位置と、把持部材の、作動位置に向かう方向の変位を可能にしているロック解除位置との間で
変位可能であり、
さらにこのドアハンドルは、
- アクチュエータレバーを、ロック位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段と、
- アクチュエータレバーを、ロック解除位置に保持するための保持手段とを備えている。
・ 保持手段は、アクチュエータレバーおよびドアハンドルのブラケットに連結されている、圧力を感応する双安定ばね機構を有しており、双安定ばね機構は、アクチュエータレバーが、基準位置またはロック解除位置に保持されている保持状態と、アクチュエータレバーが、基準位置またはロック解除位置から解放されている解放状態との間で変移可能である。
・ 保持手段は、アクチュエータレバーが、基準位置またはロック解除位置から解放されるときに、クリック音を発生させるように構成されているクリック音発生手段を有している。
・ アクチュエータレバーは、モータによって駆動される。
・ 駆動機構は、把持部材が平面位置と開位置との間で変位するように、アクチュエータレバーを駆動する構成とされているモータを備えている。
・ 車両用ドアハンドルは、さらに、作動部材と把持部材とが接することによって閉じられる、少なくとも1つの第1スイッチおよび第1回路を備えている。
・ 車両用ドアハンドルは、さらに、モータまたはアクチュエータレバー上に配置されている少なくとも1つの第2スイッチ、および少なくとも1つの第2回路を備えており、少なくとも1つの第2スイッチ、および少なくとも1つの第2回路は、ユーザに、アクチュエータレバーの状態を知らせるように構成されている。
・ 把持部材は従動構造を有しており、アクチュエータレバーは、この従動構造と組み合う駆動構造を有しており、アクチュエータレバーが、基準位置から駆動位置に変位するときに、駆動構造は、把持部分が、平面位置から作動位置に変位するように、従動構造を駆動するようになっている。
・ 把持部材は、第1ロック構造を有し、アクチュエータレバーは、第1ロック構造と組み合う第2ロック構造を有しており、
把持部材が、作動位置から開位置に変位するときに、第1ロック構造は、アクチュエータレバーが、基準位置に向かう方向に駆動され、その結果、保持手段を押して、保持手段によって保持されるように、第2ロック構造を駆動するようになっている。
・ 把持部材は、把持部材が、平面位置から作動位置に変位するときに、第1の軌道を定める第1ロック構造を有し、アクチュエータレバーは第2ロック構造を有しており、
アクチュエータレバーがロック位置にあるとき、第2ロック構造は、把持部材を平面位置に留めるように、第1ロック構造の変位を阻止しており、
アクチュエータレバーがロック解除位置にあるとき、第2ロック構造は、第1ロック構造の第1の軌道外に外れている。
・ 把持部材は、駆動構造を有しており、アクチュエータレバーは、駆動構造と組み合う従動構造を有しており、把持部材が平面位置にあるときに、把持部分が車両ドアの外から押されると、駆動構造は、アクチュエータレバーが、保持手段を押し、その結果、アクチュエータレバーがロック位置から解放されるように、従動構造を駆動するようになっている。
・ 把持部分が、作動位置から開位置に変位するときに、第1ロック構造は、アクチュエータレバーが保持手段を押し、それによって、保持手段が、アクチュエータレバーをロック解除位置から解放することを可能にするために、第2の軌道に沿って、アクチュエータレバーを駆動するように、第2ロック構造と組み合うようになっている。
・ 把持部材は、把持軸のまわりに回転可能に取り付けられており、アクチュエータレバーは、アクチュエータ軸のまわりに回転可能に取り付けられており、把持軸とアクチュエータ軸とは、互いにほぼ平行である。
・ 把持部材は、外側パネルに向かって突き出ている柱体を備えており、この柱体は、車両ドアの解錠のために、作動部材が有している第2の開突起と組み合う第1の開突起を有しており、駆動構造は、この柱体上にある。
・ アクチュエータレバーは、2つの端部を有しており、第2ロック構造は、2つの端部のうちの一方に配置されており、従動構造は、他方に配置されている。
【0010】
本発明の車両用ドアハンドルの第2の態様においては、次のものを備えている。
- 車両ドアの解錠のために、車両ドアの錠を作動させるように構成されている作動部材と、
- 車両ドアの解錠のために、作動部材と組み合うように構成されている把持部材であって、
把持部分を有しており、
この把持部分は、車両ドアの外側パネルに対して同一面をとるように延在している平面位置と、
把持部分が外側パネルから突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、把持部材が作動部材と組み合っている作動位置と、
作動部材が錠を作動させて、車両ドアの解錠を行うように、把持部材が作動部材を駆動している開位置との間で変位可能である把持部材と、
- 把持部材を、平面位置に向かう方向に駆動するように構成されている把持部材復帰手段と、
- 把持部材と組み合うアクチュエータレバーであって、
把持部材を、作動位置に向かう方向に駆動している駆動位置と、
把持部材を解放している基準位置との間で
変位可能であるアクチュエータレバーと、
- アクチュエータレバーを、駆動位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段と、
- アクチュエータレバーを、基準位置に保持するための保持手段。
この車両用ドアハンドルは、把持部材が、開位置に向かう開方向に沿って引かれたときに、把持部材が、作動部材を、車両ドアの解錠のために、錠を作動させるように駆動する構成とされている。
【0011】
本発明の車両用ドアハンドルの別の一態様においては、次のものを備えている。
- 車両ドアの解錠のために、車両ドアのラッチを作動させるように構成されている作動部材と、
- 車両ドアの解錠のために、作動部材と組み合うように構成されている把持部材であって、
把持部分を有しており、
この把持部分は、車両ドアの外側パネルに対して同一面をとるように延在している平面位置と、
把持部分が外側パネルから突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、把持部材が作動部材と組み合っている作動位置と、
作動部材が錠を作動させて、車両ドアの解錠を行うように、把持部材が作動部材を駆動している開位置との間で変位しうるようになっている把持部材と、
- 把持部材を、作動位置に向かう方向に駆動するように構成されている把持部材復帰手段と、
- 把持部材と組み合うアクチュエータレバーであって、
把持部材を平面位置に留めているロック位置と、
把持部材の、作動位置に向かう方向の変位を可能にしているロック解除位置との間で
変位可能であるアクチュエータレバーと、
- アクチュエータレバーを、ロック位置に向かう方向に駆動するように構成されているアクチュエータ復帰手段と、
- アクチュエータレバーを、ロック解除位置に保持するための保持手段。
【0012】
別の一態様によれば、本発明の車両用ドアハンドルは、次のものを備えている。
- 車両ドアの解錠のために、車両ドアの錠を作動させるように構成されている作動部材と、
- 車両ドアの解錠のために、作動部材と組み合うように構成されている把持部材であって、
把持部を有しており、
把持部は、車両ドアの外側パネルに対して同一面をとるように延在している平面位置と、
把持部が外側パネルから突き出て、ユーザによる把持が可能になっており、把持部材が作動部材と組み合っている作動位置と、
作動部材が錠を作動させて、車両ドアの解錠を行うように、把持部材が作動部材を駆動している開位置との間において変位可能である把持部材と、
- 駆動機構と、把持部材と組み合うアクチュエータレバー。
駆動機構は、アクチュエータレバーが、把持部材を、平面位置と開位置との間で変位させるように、アクチュエータレバーを駆動する構成となっているモータを有しており、
車両用ドアハンドルは、把持部材が、開位置に向かう開方向に沿って引かれたときに、把持部材が、作動部材を、車両ドアの解錠のために、錠を作動させるように駆動する構成とされている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態による車両用ドアハンドルの把持部材の下方斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態による車両用ドアハンドルの、把持部材が水平位置にあるときの正面図である。
図3図2の車両用ドアハンドルの平面図である。
図4】本発明の第1の実施形態による車両用ドアハンドルの把持部材の、作動位置にあるときの斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態による車両用ドアハンドルの、把持部材が作動位置にあるときの正面図である。
図6図5の車両用ドアハンドルの平面図である。
図7】本発明の第1の実施形態による車両用ドアハンドルの、把持部材が開位置にあるときの正面図である。
図8】本発明の第1の実施形態の一変形例による車両用ドアハンドルの部分斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態による車両用ドアハンドルの、いくつかの状態を示す平面図である。
図10】本発明の第2の実施形態による車両用ドアハンドルの、別のいくつかの状態を示す平面図である。
図11】本発明の第2の実施形態による車両用ドアハンドルの把持部材の、把持部分と把持レバーとの連結前の斜視図である。
図12】本発明の第2の実施形態による車両用ドアハンドルの把持部材の、把持部分と把持レバーとの連結後の斜視図である。
図13】本発明の第3の実施形態による車両用ドアハンドルの斜視図である。
図14A図13の車両用ドアハンドルの、把持部材が平面位置にあるときの平面図である。
図14B図14Aの車両用ドアハンドルの一部拡大平面図である。
図14C図14Bの車両用ドアハンドルの双安定ばね構造の別の取り付けを説明する平面図である。
図15図13の車両用ドアハンドルの、把持部材が作動位置にあるときの部分平面図である。
図16図13の車両用ドアハンドルの、把持部材が作動位置および開位置にあるときの平面図である。
図17図16の車両用ドアハンドルの、把持部材が開位置にあるときの一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、非限定的ないくつかの実施形態に関する以下の説明を読むことによって、本発明の他の特徴および利点が、明らかになると思う。
【0015】
図1図8に示すように、本発明の第1の実施形態による車両用ドアハンドルは、把持部材3および作動部材2を備えている。ユーザは、この車両用ドアハンドルを操作して、外側パネル10を有する車両ドアを開けることができる。
【0016】
作動部材2は、錠2aを作動させるように構成されている。錠2aは、図2に示すように、ボーデンケーブルを有している。具体的には、作動部材2は、車両ドアを解錠して開けるために、ボーデンケーブルを張る。
【0017】
作動部材2は、細長いレバーである。作動部材2は、図2および図5に示されている作動軸20のまわりに回転可能に取り付けられている。
【0018】
把持部材3は、把持部分31および把持レバー32aを有している。把持部分31は、ユーザが、車両ドアを開けようとして掴むように構成されている。把持部分31は、把持レバー32aに連結されている。
【0019】
把持レバー32aは、把持部分31に連結されている第2のアーム34a、および作動部材2と組み合うように構成されている第1のアーム33aを有している。把持レバー32aは、把持軸30のまわりに回転可能に取り付けられている。
【0020】
把持レバー32aは、作動部材2と組み合って、錠2aを作動させるように構成されている。具体的には、把持レバー32aは、作動部材2が、作動軸20のまわりに回転して、錠2aを作動させるように、作動部材2の突出部23bが滑動するカム面33bを有している。
【0021】
把持部分31には、ユーザの1本以上の指によって掴まれるように構成されたリセス部が形成されている。図3および図6に示すように、車両用ドアハンドルは、把持部分31が、下方に向かって引かれたときに、把持レバー32aが、把持軸30のまわりに、車両ドアが開放される向き(この例においては、時計回りの向き)に回転し、把持部材3が開位置(図6に符号3bで示す)をとるように構成されている。把持レバー32aが回転すると、作動部材2の突出部23bはカム面33b上を滑動して、錠2aを作動させる。
【0022】
把持部材3は、平面位置と作動位置と開位置との間で変位可能である。
【0023】
平面位置は、図1図3に示されている。この平面位置において、把持部分31は、車両ドアの外側パネル10と同一面をとるように延在している。これを可能にするために、把持部分31は、図1および図3に示すように、車両の外側パネル10と実質的に同一平面となる外側面を有している。図1および図2において、外側パネル10は、それらの図面の面内にある。
【0024】
作動位置は、図4図6に示されている。この作動位置においては、ユーザが、把持部分31のリセス部に触れることができるように、把持部分31は、車両の外側パネル10から外部に突き出ている。この突き出る動きが、矢印11aによって示されている。
【0025】
さらに、把持部材は、作動位置をとるときに、作動部材2と組み合うように構成されている。具体的には、作動部材2の突出部23bが、カム面33bに接して、ユーザによって把持部分が操作されると、カム面33b上を滑動することができるように、把持レバー32aは、作動部材2に接近して行く。これが可能になるように、図2および図5に示すように、アーム33aおよびカム面33bは図の右側に変位する。カム面33bは、突出部23bの正面に配置されている。
【0026】
開位置は、図6において符号3bによって示されており、また図7に示されている。把持部材3は、作動位置を占めた後で、この開位置に達するように構成されている。この開位置においては、把持部分31は、矢印11bにしたがって外側に引かれており、その結果、把持レバー32aは、車両ドアを解錠するように作動部材2と組み合っている。
【0027】
把持部分31が、図6において矢印11bで示すように、外側に向かって変位して、開位置3bに達すると、把持レバー32aも、把持軸30のまわりに回転し、第2のアーム34aは、位置34bに達する。さらに、作動部材2が作動軸20のまわりに回転して、車両ドアを解錠する。
【0028】
本発明の車両用ドアハンドルは、さらに、把持部材3と組み合って、把持部材3を、平面位置と作動位置との間で変位するように駆動するようになっているアクチュエータレバー4を備えている。
【0029】
第1の実施形態においては、アクチュエータレバー4は、図1図6に示すように、把持部材3を、平面位置から作動位置に向かう方向に駆動するように、把持レバー32aと組み合う。より詳細には、アクチュエータレバー4は、把持レバー32aを押し、それによって、把持部分31を、車両ドアの外側パネル10より外側に突き出すように構成されている。
【0030】
アクチュエータレバー4は、上端と下端との2つの端を有する中央シャフト40aを備えている。アクチュエータレバー4は、さらに、駆動シャフト41aおよび従動シャフト42aを備えている。従動シャフト42aは、中央シャフト40aの上端に連結されている。駆動シャフト41aは、中央シャフト40aの下端に連結されている。
【0031】
従動シャフト42aは、把持部材3を、平面位置から作動位置に変位させるように、把持レバー32aの第2のアーム34aと組み合う構成となっている。これを可能にするために、アクチュエータレバー4は、中央シャフト40aを貫くアクチュエータ軸40のまわりに回転可能に取り付けられている。
【0032】
アクチュエータレバー4は、従動シャフト42aが、把持レバー32aのアーム34aから離れている非駆動位置4bを占めることが可能であることが好ましい。
【0033】
把持部材3は、開位置から作動位置に向かって変位する方向にばね付勢されていることが好ましい。
【0034】
第1の実施形態において、アクチュエータレバー4は、モータシャフト50を駆動シャフト41aに連結されているモータ5によって駆動される。
【0035】
次に動作を説明する。把持部材3が平面位置にあるときに、ユーザが、対応する車両ドアを開けるために、例えば車両キーなどからの無線伝送によって、駆動システムに情報を送る。モータ5は、その情報を受け取って、アクチュエータレバー4を駆動し、アクチュエータレバー4は、把持部材3が、平面位置から作動位置に変位するように、把持部材3を、より詳細には、把持レバー32aを駆動する。
【0036】
把持部材3が作動位置を占めると、ユーザは、把持部分31を、開方向(矢印11)に沿って開位置まで引くことができる。把持部分31が開位置に達すると、把持部材は、ドアの開放が可能になるように作動部材2を駆動する。把持部分31のこの変位において、把持部材は、図6に示すように、アクチュエータレバー4から外れる。図6には、把持部材が、アクチュエータレバー4の従動シャフト42aから外れている開位置3bが示されている。
【0037】
把持部材3は、把持部材3を、開位置から作動位置に、好ましくは平面位置に復帰させるようになっている把持部材復帰手段を備えていることが好ましい。
【0038】
具体的には、アクチュエータレバー4は、把持部材3を平面位置に復帰させることができるように構成されている。
【0039】
代替実施形態として、モータ5は、アクチュエータレバー4を介して、把持部材3を作動位置から平面位置に駆動するようにすることもできる。
【0040】
一代替実施形態として、アクチュエータレバー4は、車両キーなどからの信号を受信して、クリック音を発生させるように構成されていることがある。クリック音に続いて、駆動機構が、把持部材を平面位置から作動位置に向かうように駆動し始める。
【0041】
クリック音は、信号が受信され、駆動機構によって、把持部材が平面位置から作動位置に向かって変位中であることを、ユーザに知らせる。
【0042】
図8に示す別の一代替実施形態においては、車両用ドアハンドルは、作動部材2が把持部材3に、より詳細には、把持レバー32aのアーム34aに接していることを指示するように構成されている、少なくとも1つの作動指示スイッチ60を備えている場合がある。
【0043】
作動指示スイッチ60は、作動部材2上に位置する1つのスイッチ構成要素60a、および把持レバー32aのアーム34a上に位置するスイッチ構成要素60b、60cのうちの少なくとも1つを有している。作動指示スイッチ60は、作動部材2とアーム34aとの接触状態を指示する作動指示回路(図示せず)の一部である。
【0044】
車両用ドアハンドルは、さらに、作動部材2の回転状態を指示するように構成されている1つ以上のモータ回路スイッチを備えている場合がある。この場合、モータ回路スイッチは、モータ回路(図示せず)の一部である。
【0045】
モータ回路スイッチは、さらに、開位置に達していることを駆動機構に知らせ、把持部材3が平面位置に戻ることができるように、モータの逆向きの回転を始動させる場合がある。
【0046】
図9図12に示す本発明の第2の実施形態による車両用ドアハンドルは、第1の実施形態による車両用ドアハンドルに類似しているが、アクチュエータレバー4は、モータによって駆動されない。この実施形態においては、作動部材2および錠2aは、詳細に図示されていない。
【0047】
把持レバー32aは、把持部分31に連結された単一のアームから成る従動構造33aを備えている。
【0048】
第2の実施形態の平面位置は、図9に示されており、作動位置は、図10および図12に示されており、開位置は、図10において符号3bで示されている。平面位置および作動位置における斜視図は、それぞれ図1および図4と同様である。
【0049】
第2の実施形態において、アクチュエータレバー4は、把持部材3を平面位置から作動位置に向かう方向に駆動するように、把持部分31と組み合う。より具体的には、アクチュエータレバー4は、アクチュエータばね42である復帰手段を有している。アクチュエータばね42は、把持部材3、具体的には把持部分31が、アクチュエータレバー4によって駆動されて、把持部材が、平面位置から作動位置に変位するように、アクチュエータレバー4を駆動する構成とされている。
【0050】
この点に関してさらに言及すると、アクチュエータレバー4は、突起である駆動構造43aを有しており、把持部分31は、駆動構造43aが組み合う、リセスである従動構造33aを有している。
【0051】
アクチュエータレバー4は、把持部分31のフレームを形成している2本のシャフトの間に、それらの2本のシャフトに沿って延在しているアクチュエータシャフトを有している。
【0052】
アクチュエータシャフトは、アクチュエータ軸40のまわりに回転可能に取り付けられており、把持部材は、アクチュエータ軸40に実質的に平行な把持軸30のまわりに回転可能に取り付けられている。
【0053】
把持部材3は、平面位置に向かう方向にばね付勢されている。このばね付勢のために、把持部ばね32が設けられている。
【0054】
第2の実施形態において、把持部材3は、アクチュエータレバー4、および駆動構造43aおよび従動構造33aを介して、アクチュエータばね42によって、作動位置に向かう方向に付勢されている。アクチュエータばね42は、アクチュエータレバーが把持部材3を駆動しているときには、把持部ばね32に打ち勝つ力を及ぼしている。
【0055】
第2の実施形態におけるアクチュエータレバー4は、アクチュエータレバー4および車両用ドアハンドルのブラケットに連結された双安定ばね機構である保持手段5aを備えている場合がある。双安定ばね機構は、アクチュエータレバー4が、第1の位置に保持されている保持状態と、アクチュエータレバー4が、第2の位置に変位するように第1の位置から解放されている解放状態との間で変位することができる。
【0056】
ばねを用いた保持手段5a付きのこのアクチュエータレバー4は、電力を用いない、機械的なアクチュエータレバー構成の一例である。電力を用いない、機械的な構成は、車両内にバッテリーがないときにも用いて、ユーザは車両内に入ることができるという利点を有している。
【0057】
アクチュエータレバー4は、基準位置と駆動位置との間で変位することができる。
【0058】
基準位置は、図9に示されており、また図10において破線で示されている。駆動位置は、図10において輪郭線で示されている。アクチュエータレバー4が、基準位置から駆動位置に変位するときに、アクチュエータレバー4は、その駆動構造43aによって、把持部分31の従動構造33aを駆動する。アクチュエータレバー4が、駆動位置から基準位置に変位するときには、駆動構造43aが、従動構造33aを解放し、その結果、把持部材3は、把持部ばね32によって、平面位置に向かうように付勢される。
【0059】
アクチュエータレバー4が基準位置にあるときに、把持部分31が、車両の外側から押されると、アクチュエータレバーの駆動構造43aも、従動構造33aによって押され、その結果、保持手段5aがアクチュエータレバー4を解放し、アクチュエータレバー4は、駆動位置に向かうように変位する。このような変位が、図9において符号4cで示されている。
【0060】
アクチュエータレバー4は、さらに、アクチュエータ軸40に関して駆動構造43aと反対の側に、第2のロック構造41aを有している。把持部材3は、把持軸30に関して従動構造33aと反対の側に、第1のロック構造31aを有している。
【0061】
2つのロック構造は、把持部材が、作動位置から開位置に変位するときに、アクチュエータレバーが、基準位置に向かう方向に駆動されて、保持手段を押し、その結果、基準位置に保持されるように、第1のロック構造31aが、第2のロック構造41aを駆動する構成となっている。
【0062】
図11および図12は、第2の実施形態の車両用ドアハンドルの組み立て方を示している。この車両用ドアハンドルは、把持部分31と把持レバー32aとを、それぞれ個別に備えている。把持レバー32aが、車両用ドアハンドルのブラケットを付けて製造され、次いで、把持部分31が、好ましくは矢印70aに沿って外側パネル10の外から、把持レバー32a上に取り付けられる。次いで、把持部分31が、例えばねじ70によって、把持レバー32aに固定される。
【0063】
次に動作を説明する。把持部材3が平面位置にあるときに、ユーザが、対応する車両ドアを開けようとして、把持部分31を押すと、従動構造33aが駆動構造43aを駆動し、それによって双安定ばね機構である保持手段5aが押される。そうすると、アクチュエータレバー4が基準位置から解放され、アクチュエータばね42が、アクチュエータレバー4を駆動し、したがって、把持部材3が作動位置に向かう方向に駆動される。これは、駆動構造43aが従動構造33aによって駆動され、アクチュエータばね42の力が、把持部ばね32の力に打ち勝つために可能になる。
【0064】
把持部材3が作動位置にあると、ユーザは、把持部分31を、開位置に向かうように開方向(矢印11)に沿って引くことができる。その結果、第1のロック構造31aが第2のロック構造41aを駆動し、それによって、アクチュエータレバーが、基準位置に向かうように駆動されて、保持手段5aを押し、保持手段5aによって基準位置に保持される。こうした動きが、図10に示されている。
【0065】
アクチュエータレバーが基準位置に保持されると、把持部材3は、把持部材復帰手段32によって、平面位置に自由に復帰する。
【0066】
図13図17に示す本発明の第3の実施形態による車両用ドアハンドルは、第2の実施形態による車両用ドアハンドルと類似している。
【0067】
把持部材3は、次に詳述する柱体34および第1のロック構造31aなどの突出物を備えており、平坦形状を呈している。
【0068】
この第3の実施形態では、平面位置は図14Aおよび図14Bに示されており、作動位置は図15に示されており、また図16において通常線で示されている。開位置は、図16において符号3bで示されており、また図17において示されている。
【0069】
第3の実施形態において、アクチュエータレバー4は、把持部材3の、平面位置からの変位を阻止するように、把持部材3と組み合う。これを可能にするために、把持部材3は、第1のロック構造31aを有しており、アクチュエータレバー4は、第1のロック構造31aと組み合う第2のロック構造41aを有している。
【0070】
アクチュエータレバー4は、ロック位置とロック解除位置との間で変異可能に取り付けられている。
【0071】
ロック位置において、アクチュエータレバー4は、第2のロック構造41aが第1のロック構造31aと組み合うことによって、把持部材3を平面位置に留めている。
【0072】
ロック解除位置において、アクチュエータレバー4は、把持部材3が作動位置に向かう方向に変位することを可能にする。
【0073】
アクチュエータ復帰手段であるアクチュエータばね42は、アクチュエータレバー4を、ロック位置に向かう方向に駆動するように構成されている。
【0074】
保持手段5bは、アクチュエータレバー4を、ロック位置に保持するように構成されている。
【0075】
より具体的には、把持部材3が、平面位置から作動位置に変位するときに、第1のロック構造31aは、第1の軌道Tをたどる。アクチュエータレバー4がロック位置にあるとき、第2のロック構造41aは、把持部材3を平面位置に留めておくために、第1のロック構造31aを押さえ付けている。
【0076】
アクチュエータレバー4が、ロック解除位置に変位すると、第2のロック構造41aは、第1のロック構造31aの第1の軌道Tから外れるように変位する。
【0077】
図14Aに示すように、把持部材は、さらに、駆動構造33を有しており、アクチュエータレバー4は、駆動構造33と組み合う従動構造43を有している。アクチュエータレバーの反対側の端には、双安定ばねが設けられている。駆動構造体33および従動構造体43は突出体である。
【0078】
双安定ばね構造体は、車両用ドアハンドルの第1の部分に直線ばね51を、第2の部分に保持経路54を有している。図14Bに示すように、直線ばね51は、車両用ドアハンドルのブラケット1に取り付けられている場合があり、保持経路54は、アクチュエータレバー4上に設けられている場合がある。それに替えて、図14Cに示されているように、逆の配置が用いられる場合がある。すなわち、図14Cに示されているように、直線ばね51は、アクチュエータレバー4に取り付けられており、保持経路54は、車両用ドアハンドルのブラケット1内に設けられている場合がある。
【0079】
直線ばね51は、上述の第1の部分と第2の部分とのうちの一方が他方に押し付けられたときに、保持経路54内の2つの位置の間を変位するように駆動される。
【0080】
より具体的には、把持部材3が平面位置にあるときに、把持部分がドアの外側から押されると、アクチュエータレバー4が、保持手段5bを押し、それによって、アクチュエータレバー4がロック位置から解放されるように、突出体である駆動構造33が、突出体である従動構造43を駆動する。この動きが、図14Aに示されている。これにより、 図15および図16に示すように、把持部材3は、作動位置に向かって変位する。
【0081】
把持部材が作動位置にあるときに、開位置に向かう方向に変位すると、第1のロック構造31aが、第2のロック構造41aと組み合うことによって、アクチュエータレバー4が、第2の軌道Tに沿って駆動されて、保持手段5bを押し、それによって、アクチュエータレバー4が、ロック解除位置から解放される。
【0082】
アクチュエータレバー4は、アクチュエータ軸40のまわりに回転可能に取り付けられているシャフトを有しており、把持部材は、アクチュエータ軸40に実質的に平行な把持軸30のまわりに回転可能に取り付けられている。
【0083】
把持部材3は、作動位置に向かう方向にばね付勢されている。把持部ばね32は、把持部材3の一端に設けられている。
【0084】
第3の実施形態において、アクチュエータばね42は、アクチュエータレバー4を、ロック位置に向かう方向に駆動する。アクチュエータばね42は、把持部ばね32の作用に打ち勝って、把持部材を平面位置に留めておく力を有している。
【0085】
次に、動作について説明する。ユーザが、把持部材3および双安定ばね機構を押すと、ユーザは、アクチュエータばね42の及ぼす力に打ち勝って、アクチュエータレバー4をロック位置からロック解除位置に変位させることができる。そうすると、 アクチュエータレバーは、保持手段5bによってロック解除位置に保持される。この保持は、アクチュエータばね42の及ぼす力に打ち勝って維持される。
【0086】
アクチュエータレバー4が、ロック解除位置に保持されると、第2のロック構造41aは、第1のロック構造31aの第1の軌道T外に外れるように変位する。したがって、 第1のロック構造は、第1の軌道Tに沿って変位することができるようになり、その結果、把持部材は、把持部材復帰手段である把持部ばね32の作用によって、平面位置から作動位置に変位する。
【0087】
把持部材3が作動位置にあると、ユーザは、把持部分31を、開方向(矢印11)に沿って開位置に向かって引くことができる。それによって、突出体である第1のロック構造31aが、突出体である第2のロック構造41aを、第2の軌道Tに沿って変位するように駆動し、その結果、アクチュエータレバー4が、双安定ばね機構を押す。それによって、アクチュエータレバー4は解放され、アクチュエータばね42の作用を受けて、ロック位置に向かって変位する。この動きが図16に示されている。具体的には、把持部材3の開位置が符号3bによって、アクチュエータレバー4のロック位置が符号4dによって示されている。
【0088】
アクチュエータばね42の力が、把持部ばね32の力より強いから、把持部材3も平面位置に向かって変位する。
【0089】
把持部材3が作動位置にあると、ユーザは、把持部分31を、平面位置に向かって押すこともできる。それによって、突出体である駆動構造体33が、突出体である従動構造43を駆動し、アクチュエータレバー4が、双安定ばね機構を押す。その結果、アクチュエータレバー4は解放され、アクチュエータばね42の作用を受けて、ロック位置に向かって変位する。この動きが図17に、具体的には変位IおよびIによって示されている。
【0090】
アクチュエータばね42の力が、把持部ばね32の力より強いから、把持部材3は平面位置に維持される。
【0091】
本発明を、いくつかの実施形態を用いて上述したが、これらは、請求項に定義されている本発明の一般的発明概念を制限しようとするものではない。
【0092】
当業者であれば、単に例示の目的で示され、請求項のみによって限定されることのない本発明の範囲を制限しようとするものではない、上述した実施形態を参照することによって、多数の変更例および変形例を思い浮かべることができると思う。
【0093】
第1の部分の突起が、第2の部分のリセスと組み合って、一方が他方を駆動する構成は、一代替実施形態として、異なる構成とされる場合がある、すなわち、適用可能であれば、1つ以上の突起および/または1つ以上のリセスが、互いに組み合う構成とされる場合がある。
【0094】
請求項において、「備えて(有して)いる」という表現は、他の要素やステップの存在を排除するものではなく、形容詞「1つの」は、複数の存在を排除するものではない。相異なる複数の従属請求項に、相異なる特徴が設けられているからといって、それらの特徴の組み合わせを効果的に用いてはならないということはない。また、請求項における、いかなる符号も、本発明の範囲を限定するためのものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0095】
1 車両用ドアハンドルのブラケット
2 作動部材
2a ラッチ
3 把持部材
3b 開位置
4 アクチュエータレバー
4b 非駆動位置
4c 変位
4d ロック位置
5 モー
5a、5b 保持手段
10 外側パネル
11 矢印
20 作動軸
23b 突出部
30 把持軸
31 把持部分
31a 第1のロック構造
32 把持部ばね
32a 把持レバー
33 駆動構造体
33a アーム、従動構造体
33b カム面
34 柱体
34a アーム
34b 位置
40 アクチュエータ軸
40a 中央シャフト
41a 駆動シャフト、第2のロック構造
42 アクチュエータばね
42a 従動シャフト
43 従動構造体
43a 駆動構造体
50 モータシャフト
51 直線ばね
54 保持経路
60 作動指示スイッチ
60a~60c スイッチ構成要素
70 ねじ
70a 矢印
、I 変位
第1の軌道
第2の軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17