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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】リニア振動モータ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20220526BHJP
   H02K 33/16 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
B06B1/04 S
H02K33/16 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017224513
(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公開番号】P2019093336
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】片田 好紀
(72)【発明者】
【氏名】福田 大祐
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0288521(US,A1)
【文献】特開2015-057041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0082546(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錘体及びコイルを一体的に有する可動子と、前記可動子を振動可能に支持する板バネと、前記可動子の振動方向に対する交差方向の一方側で前記コイルに対向する第一のマグネットと、同交差方向の他方側で前記コイルに対向する第二のマグネットと、各マグネットを固定する磁性部材と、前記コイルに電力を供給する可撓性の給電配線とを具備し、
前記給電配線は、前記板バネに沿って設けられており、前記可動子の振動に伴い撓むように、一端側端子が前記コイルに電気的に接続されるとともに、他端側端子が外部に露出され、
前記コイルに通電した際に生じる磁気力により前記可動子を振動させるようにしたリニア振動モータ。
【請求項2】
錘体及びコイルを一体的に有する可動子と、前記可動子を振動可能に支持する板バネと、前記可動子の振動方向に対する交差方向の一方側で前記コイルに対向する第一のマグネットと、同交差方向の他方側で前記コイルに対向する第二のマグネットと、各マグネットを固定する磁性部材と、前記コイルに電力を供給する可撓性の給電配線とを具備し、
前記給電配線は、前記錐体の厚み方向にずれた位置で前記板バネに沿って設けられており、前記可動子の振動に伴い撓むように、一端側端子が前記コイルに電気的に接続されるとともに、他端側端子が外部に露出され、
前記コイルに通電した際に生じる磁気力により前記可動子を振動させるようにしたリニア振動モータ。
【請求項3】
前記磁性部材は、前記交差方向において前記第一及び第二のマグネットを間に置いた両側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のリニア振動モータ。
【請求項4】
前記コイルは、空芯部を挟む片半部側と他半部側を、前記振動方向の両側に配設した空芯コイルであり、
前記第一のマグネットと前記第二のマグネットの各々は、一方の磁極を前記片半部側に対向させるとともに、反対向きの磁極を前記他半部側に対向させていることを特徴とする請求項1~3何れか1記載のリニア振動モータ。
【請求項5】
前記錘体には、前記交差方向の一方側と他方側を開口した中空部が設けられ、
前記中空部は、一方側の開口に前記第一のマグネットを挿入するとともに他方側の開口に前記第二のマグネットを挿入し、これら第一のマグネット及び第二のマグネットの周囲に、前記錘体を振動させるための空間を確保していることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載のリニア振動モータ。
【請求項6】
請求項1~5何れか1項記載のリニア振動モータを備えた電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニア振動モータ、及びこのリニア振動モータを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
振動モータ(或いは振動アクチュエータ)は、携帯電子機器に内蔵され、着信やアラームなどの信号発生等を振動によって携帯者に伝える装置として広く普及しており、携帯者が身につけて持ち運ぶウエアラブル電子機器においては、不可欠な装置になっている。また、振動モータは、タッチパネルなどのヒューマン・インターフェイスにおけるハプティクス(皮膚感覚フィードバック)を実現する装置である。
【0003】
このような振動モータについて各種の形態が開発されている中で、可動子の直線的な往復振動によって比較的大きな振動を発生させることができるリニア振動モータが注目されている。
従来のリニア振動モータには、例えば特許文献1に記載されるように、錘体及び二つのマグネットを一体的に備えた可動子と、この可動子を振動可能に支持する板バネと、可動子の振動方向に対する交差方向の一方側でマグネットに対向するコイルとを具備し、コイルに通電した際のローレンツ力により、可動子を往復振動させるようにしたものがある。前記二つのマグネットは、扁平な直方体状に形成され、その一方のマグネットの平面側がN極であるのに対し、他方のマグネットの同平面側がS極になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-18958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のリニア振動モータでは、可動子と一体のマグネットの磁束が、ケース外に漏れて、外部の機器(例えば送受信機やSIMカード)等に悪影響を与える可能性がある。そこで、ケースを磁性材にして磁気シールドすることが考えられるが、このようにした場合には、マグネットがケースに磁気吸引されて、可動子が所望とする振動方向に対し交差方向へ振れて、当接音や振動音の原因となる場合がある。
また、上記従来のリニア振動モータでは、振動に伴う可動子の移動によりマグネットがコイルに対し偏った位置になると、コイルの電流方向に対し、この電流方向に直交するマグネットの磁力線方向が変わるため、振動方向に対する交差方向のローレンツ力が発生し、このローレンツ力により可動子が前記交差方向へ振れて、静音性や耐久性を損ねてしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために、本発明は以下の構成を具備するものである。
錘体及びコイルを一体的に有する可動子と、前記可動子を振動可能に支持する板バネと、前記可動子の振動方向に対する交差方向の一方側で前記コイルに対向する第一のマグネットと、同交差方向の他方側で前記コイルに対向する第二のマグネットと、各マグネットを固定する磁性部材と、前記コイルに電力を供給する可撓性の給電配線とを具備し、前記給電配線は、前記板バネに沿って設けられており、前記可動子の振動に伴い撓むように、一端側端子が前記コイルに電気的に接続されるとともに、他端側端子が外部に露出され、前記コイルに通電した際に生じる磁気力により前記可動子を振動させるようにしたリニア振動モータ。
または、錘体及びコイルを一体的に有する可動子と、前記可動子を振動可能に支持する板バネと、前記可動子の振動方向に対する交差方向の一方側で前記コイルに対向する第一のマグネットと、同交差方向の他方側で前記コイルに対向する第二のマグネットと、各マグネットを固定する磁性部材と、前記コイルに電力を供給する可撓性の給電配線とを具備し、前記給電配線は、前記錐体の厚み方向にずれた位置で前記板バネに沿って設けられており、前記可動子の振動に伴い撓むように、一端側端子が前記コイルに電気的に接続されるとともに、他端側端子が外部に露出され、前記コイルに通電した際に生じる磁気力により前記可動子を振動させるようにしたリニア振動モータ。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るリニア振動モータの一例を示す分解斜視図である。
図2】同リニア振動モータを短手方向の中央部で切断した縦断面図である。
図3】同リニア振動モータを長手方向の中央部で切断した縦断面図である。
図4】同リニア振動モータについてカバー部材及び磁性部材を外した状態を示す平面図である。
図5】同リニア振動モータについてカバー部材及び磁性部材を外した状態を示す斜視図である。
図6】同リニア振動モータの作用を示す模式図であり、(a)は初期状態を示し、(b)は可動子(コイル)が移動した状態を示す。
図7】電子機器の一例を示す斜視図である。
図8】本発明に係るリニア振動モータの他例について、作用を示す模式図であり、(a)は初期状態を示し、(b)は可動子(コイル)が移動した状態を示す。
図9】本発明に係るリニア振動モータの他例についてカバー部材及び磁性部材を外した状態を示す斜視図である。
図10】本発明に係るリニア振動モータの他例についてカバー部材及び磁性部材を外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明で異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
リニア振動モータ1は、図1図6に示すように、錘体11及びコイル12を一体的に有する可動子10と、可動子10を振動可能に支持する弾性体20と、可動子10の振動方向(図示例によればX方向)に対する直交方向(図示例によればZ方向)の一方側でコイル12端面に対向する第一のマグネット30と、同直交方向の他方側でコイル12端面に対向する第二のマグネット40と、前記直交方向において第一及び第二のマグネット30,40を間に置いてその両側から固定する磁性部材51,52と、コイル12に電力を供給する可撓性の給電配線60と、これらの部材を覆うカバー部材70とを具備し、コイル12に通電した際に生じる磁気力により可動子10を一軸方向へ直線的に往復振動させる。
【0010】
可動子10は、錘体11にコイル12を一体的に固定してなる。
【0011】
錘体11は、比重の高い金属材料(例えば、タングステン)からなり、図示例によれば振動方向へ長尺な枠状に形成される。そして、この錘体11の平面視中央側には、振動方向に直交する厚み方向の一方側と他方側を開口した中空部11aが設けられる。また、錘体11を構成する両側の側壁には、コイル固定部11bが形成される。
【0012】
中空部11aは、一方側の開口に第一のマグネット30を挿入するとともに他方側の開口に第二のマグネット40を挿入し、これら第一のマグネット30及び第二のマグネット40の周囲に、錘体11を振動させるための空間を確保している(図2図4参照)。
第一のマグネット30及び第二のマグネット40は、中空部11a内に、振動方向の遊びを有する非接触状態で挿入される。
【0013】
コイル固定部11bは、錘体11の一方と他方の側壁にそれぞれ位置するように、二つ設けられる。各コイル固定部11bは、錘体11の側壁に形成された凹状に切欠部であり、コイル12の側端側を載置している。
【0014】
コイル12は、空芯部を挟む片半部側12aと他半部側12bを、振動方向の両側に配設した扁平状の空芯コイルであり、その中心軸を錘体11の厚み方向に略一致させて、錘体11の振動方向及び厚み方向の中央寄りに止着固定されている。
詳細に説明すれば、コイル12は、中空部11aを跨る架橋状に設けられるとともに、その一端側と他端側が、それぞれ、錘体11の各コイル固定部11bに嵌め合わせられ接着固定される。
【0015】
弾性体20は、可動子10の振動方向の一端側と他端側に、平面視上において点対称に二つ設けられる。
各弾性体20は、弾性的に撓み可能な板材を所定の曲げ形状に形成した板バネであり、図4に示す一例によれば、錘体11の振動方向端部寄りの外側面に止着された止着片部21と、カバー部材70の側壁部72(又は73)内面に止着された止着片部22と、これら止着片部21,22の一端側を連結する連結片部23とを有し、錘体11の振動方向の端部側に沿う平面視コ字状に形成されている。
この弾性体20は、止着片部21と連結片部23の間の曲げ部分、及び連結片部23と止着片部22の間の曲げ部分を、弾性的に撓ませて変形する。
【0016】
第一のマグネット30は、一方の磁極(例えばN極)を、コイル12の片半部側12a(図2によれば左半部側)に対向させたマグネット片31と、反対向きの他方の磁極(例えばS極)をコイル12の他半部側12b(図2によれば右半部側)に対向させたマグネット片32とから構成される。
二つのマグネット片31,32は、同形状かつ同材質の永久磁石であり、振動方向に間隔を置いて、上記のように磁極が逆向きになるように配設される。そして、これらマグネット片31,32は、コイル12の端面との間に所定のクリアランスを確保して、磁性部材51のコイル側面に接着固定されている。
【0017】
また、第二のマグネット40は、振動方向に対する交差方向(図示例によれば錘体11の厚み方向)において、第一のマグネット30に対し磁極の向きを逆にするように点対象に配設された二つのマグネット片41,42から構成される(図2参照)。
これらマグネット片41,42は、マグネット片31,32と同部材であり、コイル12との間に所定のクリアランスを確保して、磁性部材52のコイル側面に接着固定されている。
【0018】
磁性部材51,52は、それぞれ、第一のマグネット30と第二のマグネット40の反コイル側(換言すれば、コイル側に対する反対側)の面を覆う平板状の磁性材(鉄や磁性ステンレス等)であり、各マグネット30,40の磁力を増大するとともに、磁束が反コイル側へ漏洩するのを阻む。
一方の磁性部材51は、その反コイル側の面がカバー部材70の内面に接着固定されている。
他方の磁性部材52は、カバー部材70の開口部を覆って固定され、ケース部材としても機能する。
【0019】
また、給電配線60は、コイル12に電力を供給する可撓性の電気配線材であり、本実施の形態の好ましい一例によれば、テープ状のフレキシブル配線用基板(TAB(Tape Automated Bonding)と呼称される場合がある。)を用いている。
この給電配線60は、可動子10の振動に伴い撓むように、一方の弾性体20(板バネ)に沿って設けられる。図4及び図5に示す一例によれば、給電配線60は、弾性体20の止着片部21及び連結片部23の外面に略L字状に重ね合わせられ、その一端側端子がコイル12に電気的に接続されるとともに、他端側端子が、カバー部51と基部52の間から外部に露出される。
【0020】
カバー部材70は、下方を開口した箱状に形成され、矩形状の天壁部71と、この天壁部71の両側端から下方へ突出する側壁部72,73と、天壁部71の前後端部から下方へ突出する前壁部74及び後壁部75とを有する。
このカバー部材70は、上述した各部材を覆うようにして、磁性部材52の周端部に接続されている。
【0021】
次に上記構成のリニア振動モータ1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、コイル12が通電されていない初期状態では、可動子10は、両側の弾性体20により略均等に付勢され、カバー部材70内の略中央に位置する。このため、図6(a)に示すように、第一のマグネット30のマグネット片31と第二のマグネット40のマグネット片42の間には、コイル12の片半部側12aが位置し、第一のマグネット30のマグネット片32と第二のマグネット40のマグネット片41の間には、同コイル12の他半部側12bが位置する。
【0022】
前記初期状態において、コイル12に交流電力が供給されると、コイル12と第一のマグネット30及び第二のマグネット40との間の磁気作用により、可動子10がX方向と反X方向へ往復振動する。
この往復振動中に発生する磁束は、磁性部材51,52により磁気シールドされ、外部へは漏洩し難い。
【0023】
詳細に説明すれば、図6(a)に示すように、コイル12に一方向の電流が流れた際、コイル12の片半部側12aの電流の向き(反Y方向)と、マグネット片31とマグネット片42の間の磁力線M1の向きとの関係、及びコイル12の他半部側12bの電流の向き(Y方向)と、マグネット片32とマグネット片41の間の磁力線M2の向きとの関係により、コイル12にX方向のローレンツ力が発生し、可動子10がX方向へ移動する。コイル12に逆方向の電流が流れた際には、可動子10の移動方向が逆になる。
【0024】
前述したコイル12の一方向への移動中、図6(b)に示すように、コイル12の片半部側12aが、振動方向の一方のマグネット片31,42と他方のマグネット片32,41との間に位置すると、この片半部側12aを流れる電流の向き(反Y方向)に対し、第一のマグネット30の両側のマグネット片31,32間の磁力線M3の向きがX方向であるため、片半部側12aにはZ方向のローレンツ力が発生するが、第二のマグネット40の両側のマグネット片41,42間の磁力線M4の向きが反X方向であるため、同片半部側12aには反Z方向のローレンツ力も発生し、これら二つの逆向きのローレンツ力が相殺される。したがって、可動子10が、前記一方向への移動中にZ方向又は反Z方向へ振れるのを防ぐことができる。
【0025】
よって、上記構成のリニア振動モータ1によれば、漏洩磁束を低減することができ、その上、可動子10が所望とする振動方向に対し交差する方向へ振れるのを抑制して、可動子10をスムーズに直線状に往復振動させることができ、ひいては、可動子10の動作を安定させて、静音化することができる。
【0026】
次に、リニア振動モータ1を備えた電子機器について説明する。
図7は、本発明の実施形態に係るリニア振動モータ1を備えた電子機器として、携帯情報端末100を例示している。
この携帯情報端末100は、外部信号の受信や、タッチ操作パネル(タッチディスプレイを含む)のタッチ操作等に応じてリニア振動モータ1を振動させるように構成され、リニア振動モータ1からの磁束漏洩による送受機やSIMカードへの悪影響を軽減することができる上、リニア振動モータ1の振動時のノイズや騒音等を低減することができる。
【0027】
なお、リニア振動モータ1が搭載される電子機器の他例としては、ウェアラブルコンピュータや、タブレットパソコン、ゲーム機等、図示例以外のものとすることも可能である。
【0028】
また、上記構成のリニア振動モータ1では、第一のマグネット30と第二のマグネット40の各々を、二つのマグネット片により構成したが、他例としては、図8に示すリニア振動モータ2のように、第一のマグネット30と第二のマグネット40を、それぞれ、単一のマグネット片からなる第一のマグネット30’と第二のマグネット40’に置換することも可能である。
【0029】
第一のマグネット30’は、振動方向の一端側にN極を有するとともに他端側にS極を有する一体状の永久磁石であり、コイル12の端面との間に所定のクリアランスを確保して、磁性部材51に接着固定されている。
また、第二のマグネット40’は、第一のマグネット30’と同形状かつ同材質の永久磁石であり、第一のマグネット30’に対し磁極の向きを逆にするように点対称に配設され、コイル12との間に所定のクリアランスを確保して、磁性部材52に接着固定されている。
【0030】
よって、リニア振動モータ2によれば、リニア振動モータ1と同様に、磁性部材51,52によって磁束漏洩を低減できる上、図8(a)(b)に示すように、Z方向と反Z方向のローレンツ力を相殺して、可動子10をスムーズに直線状に往復振動させることができる。
【0031】
また、上記構成のリニア振動モータ1では、給電配線60を弾性体20に重ね合わせたが、他例としては、図9に示すリニア振動モータ3や、図10に示すリニア振動モータ4のように、給電配線を構成することが可能である。
【0032】
図9に示すリニア振動モータ3は、リニア振動モータ1における給電配線60を給電配線60’に置換したものである。
給電配線60’は、上記給電配線60と同様のL字状のフレキシブル配線用基板(TAB)であり、一方の弾性体20に対し、錘体11の厚み方向(図9によれば反Z方向)へずれた位置で撓み変形するように設けられる。
よって、リニア振動モータ3によれば、給電配線60’が弾性体20に干渉するのを低減し、静音性及び耐久性等を向上することができる。
【0033】
また、図10に示すリニア振動モータ4は、リニア振動モータ1における給電配線60を給電配線60”に置換したものである。
給電配線60”は、フレキシブル配線用基板(TAB)から形成され、錘体11の側面に沿うとともにその一端側がコイル12に電気的に接続された接続片部61”と、接続片部61”の他端側に略L字状に曲げられて延設された第一の延設片部62”と、さらに第一の延設片部62”に対し略V字状に曲げられて延設された第二の延設片部63”とを備える。
そして、この給電配線60”は、一方の弾性体20に対し、錘体11の厚み方向(図10によれば反Z方向)へずれた位置で撓み変形するように設けられ、第二の延設片部63”の端側の端子を外部に露出している。
よって、リニア振動モータ3によれば、給電配線60”が弾性体20に干渉するのを低減できる上、給電配線60”を第一の延設片部62”及び第二の延設片部63”等でより柔軟に撓ませることができ、ひいては、静音性及び耐久性等をより向上することができる。
【0034】
なお、上記実施の形態では、特に好ましい態様として、弾性体20を板バネとしたが、この弾性体20の他例としては、ゴムや、コイルスプリング等を用いることも可能である。
【0035】
また、上記実施の形態では、第一のマグネット30側の磁性部材51を平板状に形成したが、他例としては、この磁性部材51を省いて、カバー部材70を磁性材料から形成し、このカバー部材70の天壁部71の内面に第一のマグネット30を接着固定した態様とすることも可能である。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。また、上述の各実施の形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1,2,3,4:リニア振動モータ
10:可動子
11:錘体
11a:中空部
12:コイル
12a:片半部側
12b:他半部側
20:弾性体
30,30’:第一のマグネット
40,40’:第二のマグネット
51,52:磁性部材
60,60’,60”:給電配線
70:カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10