(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】口腔用組成物及びコラーゲン合成促進剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20220526BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20220526BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20220526BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/49
A61K8/9789
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2017230678
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 苗穂
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/025468(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/052674(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/67
A61K 8/49
A61K 8/9789
A61Q 11/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:アスコルビン酸リン酸エステル
マグネシウムと、
(B)成分:カテキンと、を含有
し、
前記(A)成分の含有量が0.001~5質量%であり、
前記(B)成分の含有量が0.0005~5質量%であり、
前記(A)成分と前記(B)成分の含有割合((A)/(B))が、5~60である、コラーゲン合成促進用口腔用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分と前記(B)成分の含有割合((A)/(B))が、
5~30である請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の含有量が、
0.03~4質量%である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量が、
0.001~1質量%である請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
前記(B)成分が、茶抽出物由来物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物及びコラーゲン合成促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周病は、口腔内の細菌の感染などにより、歯を支持している歯周組織(歯肉、セメント質、歯根膜、及び歯槽骨)に起こる炎症性疾患である。歯周病の主な症状として、歯肉炎や歯周炎に加えて、歯肉のコラーゲン(特に、I型及びIII型)の破壊が挙げられる。
【0003】
歯肉炎、歯周炎の予防・改善効果を期待して、アスコルビン酸リン酸エステル塩を含有する、練歯磨剤やトローチ等の口腔用組成物が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アスコルビン酸リン酸エステルは、歯肉のコラーゲン合成を促進することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Journal of Periodontal Research,2012,47,263-271
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歯科疾患実態調査によると、歯周病は罹患者が国民の8割と高いことが指摘されており、歯周病予防効果のさらなる向上を可能にする口腔用組成物の開発が望まれている。
本発明の課題は、歯肉のコラーゲン合成、特にI型コラーゲン合成を促進し得る口腔用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩とカテキンを併用することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔6〕を提供する。
〔1〕(A)成分:アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩と、(B)成分:カテキンと、を含有する口腔用組成物。
〔2〕前記(A)成分と前記(B)成分の含有割合((A)/(B))が、0.2~60である上記〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕前記(A)成分の含有量が、0.001~5質量%である上記〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕前記(B)成分の含有量が、0.0005~5質量%である上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕前記(B)成分が、茶抽出物由来物である、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕(A)成分:アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩と、(B)成分:カテキンと、を含有するコラーゲン合成促進剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、歯肉のコラーゲン合成、特にI型コラーゲン合成を促進し得る口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
なお、本明細書中、別途記載がない限り、各成分の含有量は、組成物の調製に使用した各成分の使用量である。
【0010】
[1.口腔用組成物]
本発明の口腔用組成物は、(A)成分:アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩と、(B)成分:カテキンと、を含有する。本発明の口腔用組成物は、(A)成分を含有するので、コラーゲン合成活性を生じ得る。また、本発明の口腔用組成物は、(B)成分を含有するので、コラーゲン合成活性を促進し得る。
以下、各成分について記載する。
【0011】
[1-1.(A)成分]
(A)成分は、アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩である。アスコルビン酸リン酸エステルは、アスコルビン酸の2、3、5、6位のいずれかの水酸基の1つ又は2つ以上がリン酸、ポリリン酸等の化合物のエステルとなったものである。例えば、アスコルビン酸-2-リン酸エステル、アスコルビン酸-3-リン酸エステル、アスコルビン酸-6-リン酸エステル、アスコルビン酸-2-ポリリン酸エステル等が挙げられる。
また、その塩類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。特に口腔用として用いるものであり、歯肉炎予防効果の点から、アスコルビン酸リン酸エステルのマグネシウム塩やナトリウム塩が好適に用いられる。
【0012】
(A)成分としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、昭和電工社製、和光純薬工業社製等のアスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、和光純薬工業社製、DSMニュートリションジャパン社製、BASFジャパン社製等のアスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウムが挙げられる。
【0013】
本発明の口腔用組成物中、(A)成分の含有量の下限値は、0.001質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。また、その上限値は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。含有量が、0.001質量%以上であると、コラーゲン合成の効果を発揮し得る。一方、含有量が5質量%以下であると、製剤の安定性を確保し得る。
(A)成分の含有量の一実施形態は、0.001~5質量%が好ましく、0.03~4質量%がより好ましい。
【0014】
[1-2.(B)成分]
(B)成分は、カテキンである。カテキンは、フラボノイドの一種(C15H14O6)及びその誘導体の総称である。カテキンの例としては、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等が挙げられる。
カテキンは、これらの1種単独であってもよいし、2種類以上の併用であってもよい。
【0015】
カテキンの由来は特に限定されず、植物(例えば、茶等)に由来していてもよいし、人工的な合成品であってもよい。中でも、カテキンは、植物に由来するカテキンが好ましく、茶抽出物由来物がより好ましく、緑茶抽出物由来物がさらに好ましい。
【0016】
茶抽出物由来物の場合、茶からのカテキンの抽出方法は特に限定されない。例えば、茶葉を破砕し、公知の抽出方法にて溶媒抽出することにより調製したものを使用し得る。溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級1価アルコール;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等多価アルコール;これらの混合物が挙げられる。
【0017】
カテキンとしては、溶媒抽出物をそのまま使用することも可能であるが、溶媒を溜去し濃縮して得られる濃縮物を使用してもよい。溶媒抽出物又は濃縮物を乾燥(例えば、凍結乾燥)により溶媒を除去して得られる粉体を使用してもよく、賦形剤等を加えてもよい。さらには、凍結乾燥品等の粉体を、溶媒に再溶解させ適宜濃度に調整したものを使用してもよい。
なお、カテキンは単離成分として使用してもよく、他の成分との混合物として使用してもよい。
【0018】
カテキンとしては、市販品を使用してもよい。例えば、太陽化学社製のサンフェノンEGCG、サンフェノン90Sを使用し得る。サンフェノンEGCGは、緑茶の抽出生成物で、エピガロカテキンガレートを高純度で含む、白色~淡灰色の粉末である(サンフェノンEGCG中のエピガロカテキンガレート濃度は95%)。サンフェノン90Sも緑茶の抽出精製物であり、淡黄色~赤褐色の粉末である(サンフェノン90S中のカテキン濃度(種々のカテキンの合計濃度)は70%)。
【0019】
本発明の口腔用組成物中、(B)成分の含有量の下限値は、0.0005質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。また、その上限値は、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。含有量が、0.0005質量%以上であると、コラーゲン合成促進の効果を発揮し得る。一方、含有量が5質量%以下であると、苦みを抑制しつつ、着色(黄色)防止等の製剤の安定性を確保し得る。
(B)成分の含有量の一実施形態は、0.0005~5質量%が好ましく、0.001~1質量%がより好ましい。
【0020】
[1-3.含有割合]
本発明の口腔用組成物中、(A)成分と(B)成分の含有割合((A)/(B))の下限値は、0.2以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。また、その上限値は、60以下が好ましく、50以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。
(A)成分と(B)成分の含有割合((A)/(B))の一実施形態は、0.2~60が好ましく、3~50がより好ましく、5~30がさらに好ましい。
【0021】
[1-4.任意成分]
本発明の口腔用組成物は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて、組成物に必要な任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、着色抑制剤、研磨剤、界面活性剤、粘結剤、湿潤剤(粘稠剤)、甘味剤、防腐剤、香料、薬効成分、水等の溶剤が挙げられる。任意成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の安定性、コラーゲン合成促進効果や練歯磨とした際の押し出し性等の使用性を損なわない範囲で配合し得る。
以下に任意成分を例示する。なお、同一の成分が異なる任意成分に挙げられる場合、これらは用途としての表現を区別するものである。すなわち、一の成分が異なる任意成分として記載されている場合、複数の用途として利用され得る。
【0022】
[着色抑制剤]
着色抑制剤の種類としては、例えば、シリカ、ポリリン酸塩が挙げられる。本発明の口腔用組成物が着色抑制剤を含有すると、(A)成分及び(B)成分による組成物の着色を防止し得るので好ましい。
【0023】
シリカとしては、沈降性シリカ、シリカゲル、チタニウムシリケート、ジルコニウム結合ケイ酸塩、ゲルマニウム結合ケイ酸塩、その他Al、Mg、Cu、Zn等を無水ケイ酸と結合させたものなどが挙げられる。
本発明の口腔用組成物がシリカを含有する場合、その含有量は、好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは5~25質量%である。
【0024】
ポリリン酸塩としては、例えば、下記一般式(1)で表される直鎖状の水溶性ポリリン酸塩が挙げられる。
一般式(1):Mn+2PnO3n+1
(一般式(1)中、Mは、Na原子又はK原子を示し、nは、2又は3の整数である。)
【0025】
ポリリン酸塩としては、重合度n=2のピロリン酸ナトリウムやピロリン酸カリウム、n=3のトリポリリン酸ナトリウム等を用いることができる。中でも、トリポリリン酸ナトリウムがより好ましい。ポリリン酸塩は市販品を用いてもよい。トリポリリン酸ナトリウムの市販品として、太平化学産業社製等の市販品が挙げられる。
本発明の口腔用組成物がポリリン酸塩を含有する場合、その含有量は、好ましくは0.01~5質量%であり、より好ましくは0.1~3質量%である。
【0026】
[研磨剤]
研磨剤の種類としては、例えば、酸化チタン、無水ケイ酸(以下、研磨剤としての無水ケイ酸を「研磨性シリカ」又は「無水ケイ酸(研磨性)」ともいう)、結晶性シリカ、非晶性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート等のシリカ系研磨剤、ゼオライト、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤が挙げられる。
【0027】
研磨性シリカの吸液量は、通常、0.5~2.0mL/gであり、好ましくは0.7~1.5mL/gである。
なお、吸液量は、以下の方法により測定した値である。即ち、試料1gをガラス板上に量りとり、ビュレットを用いて42.5質量%グリセリン水溶液を滴下しながらヘラで液が均一になるように混合する。試料が1つの塊となり、ヘラでガラス板よりきれいにはがれるようになったときを終点とし、試料1.0gに対して要したグリセリン水溶液量を吸液量(mL/g)として表す。
【0028】
研磨剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。研磨剤を含有する場合、その含有量は、組成物全体の2~40質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましい。
【0029】
[界面活性剤]
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N-アシルアミノ酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルキロールアミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩等のイミダゾリン型が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
口腔用組成物が界面活性剤を含有する場合、その含有量は、口腔用組成物の全量に対して、通常、0.2~15質量%であり、0.5~10質量%が好ましい。
【0031】
[粘結剤]
粘結剤としては、有機系粘結剤、無機系粘結剤が例示される。なお、粘結剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
有機系粘結剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系粘結剤;カラギーナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム等のガム類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシビニルポリマー等の有機粘結剤;プルラン、ゼラチンが挙げられる。
無機系粘結剤としては、例えば、ゲル化性シリカ、ゲル化性アルミニウムシリカ等の無水ケイ酸(以下、粘結剤としての無水ケイ酸を「増粘性シリカ」又は「無水ケイ酸(増粘性)」ともいう)やベントナイトが挙げられる。中でも、無水ケイ酸が好ましい。
【0033】
増粘性シリカの吸液量は、2.1mL/g以上が好ましく、2.1~5mL/gであることがより好ましい。
【0034】
有機系粘結剤、無機粘結剤は、各々、1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。また、粘結剤は、有機系粘結剤及び無機系粘結剤の組み合わせであってもよい。
【0035】
口腔用組成物が粘結剤を含有する場合、その含有量は、通常、口腔用組成物の全量に対して、通常、有機系粘結剤は0.01~2質量%、無機系粘結剤は0.1~10質量%である。
【0036】
[湿潤剤]
湿潤剤(粘稠剤)としては、例えば、ソルビトール(ソルビット)、キシリトール、エリスリトール、還元でんぷん糖化物等の糖アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、平均分子量200~6,000(医薬部外品原料規格記載の平均分子量)のポリエチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられる。
湿潤剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
口腔用組成物が粘稠剤を含有する場合、その含有量は、本発明の効果を妨げない範囲で定めることができる。例えば、口腔用組成物の全量に対して、通常、1~60質量%、好ましくは2~45質量%である。
【0038】
[甘味剤]
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジンヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p-メトキシシンナミックアルデヒド、ソーマチン、パラチノース、マルチトール、キシリトール、アラビトール、エリスリトール等が挙げられる。
甘味剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0039】
口腔用組成物が甘味剤を含有する場合、その含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
【0040】
[防腐剤]
防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル等が挙げられる。
防腐剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0041】
口腔用組成物が防腐剤を含有する場合、その含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜定めることができる。
【0042】
[香料]
香料としては、例えば、ミント系(ペパーミント系、スペアミント系)、フルーツ系、ハーブ系、スパイス系、お茶系や、それらの混合フレーバーが挙げられる。好ましいフレーバーは、お茶系フレーバー、或いはお茶系と他の混合フレーバーである。香料成分としては、特に制限はなく、例えば、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、n-デシルアルコール、シトロネロール、α-テルピネオール、シトロネリルアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、桂葉油、シソ油、冬緑油、丁字油、ユーカリ油等の口腔用組成物用の香料を使用することができ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0043】
香料の形態は限定されず、精油、抽出物、固形物、及びこれらのいずれかを噴霧乾燥した粉体のいずれでも構わない。
口腔用組成物が香料を含有する場合、その含有量は、口腔用組成物全量に対して、0.000001~1質量%が好ましい。また、上記香料を使用した賦香用香料を含有する場合、その含有量は、口腔用組成物全量に対して、0.1~2.0質量%が好ましい。
【0044】
[薬効成分]
薬効成分としては、例えば、フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ)等のう蝕予防剤;イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、クロロヘキシジン、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛等の非イオン性やカチオン性の殺菌又は抗菌剤;縮合リン酸塩、エタンヒドロキシジホスフォネート等の歯石予防剤;トラネキサム酸、グリチルリチン2カリウム塩、ε-アミノカプロン酸、オウバクエキス等の抗炎症剤;デキストラナーゼ、ムタナーゼ等の酵素剤;ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド等のコーティング剤;アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ビタミンC、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム等の収斂剤;塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等の知覚過敏抑制剤を挙げられる。
【0045】
口腔用組成物が薬効成分を含有する場合、その含有量は、それぞれの薬効成分について薬剤学的に許容できる範囲で適宜設定すればよい。
【0046】
[溶剤]
溶剤としては、例えば、水、アルコール(例えば、エタノール等の低級一価アルコール)が挙げられ、好ましくは水である。
口腔用組成物が水を含有する場合、その含有量は、組成物全量に対して、通常、60質量%以上である。口腔用組成物が低級一価アルコールを含有する場合、その含有量は、通常、30質量%以下であり、好ましくは20質量%以下である。
【0047】
[1-5.剤形]
口腔用組成物の剤形及び形状は特に制限されない。例えば、液体(溶液、乳液、懸濁液、シロップ等)、半固体(ゲル、クリーム、ペースト等)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体、ソフトカプセル剤等)が挙げられる。好ましくは、液体、半固体である。
固体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、トローチ、グミ、ガム、タブレット、キャンディ、歯磨粉が挙げられる。半固体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、練歯磨剤、ジェル状歯磨剤が挙げられる。液体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、洗口剤、液体歯磨剤、口中清涼剤(スプレー等)が挙げられる。これらのうち、有効性及び安定性の観点から、歯磨剤及び洗口剤が好ましい。
【0048】
[pH]
口腔用組成物のpHは、通常、5~9であり、7~9が好ましい。これにより有効性及び安定性を保持し得る。
pHは、口腔用組成物を調製直後に、東亜電波工業社製のpHメーター(型番Hm-30S)を用いて、25℃、3分後に測定することができる。
【0049】
pH調整の必要に応じて、口腔用組成物はpH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、例えば、リン酸及びその塩(例えば、リン酸ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸二水素一ナトリウム)、クエン酸及びその塩(例えば、クエン酸ナトリウム)、リンゴ酸及びその塩、グルコン酸及びその塩、マレイン酸及びその塩、コハク酸及びその塩、グルタミン酸及びその塩、乳酸及びその塩、塩酸、酢酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
口腔用組成物がpH調整剤を含有する場合、その含有量は、必要に応じて(例えば本発明の効果を損なわない範囲で)適宜決定すればよい。
【0050】
[2.コラーゲン合成促進剤]
本発明のコラーゲン合成促進剤は、(A)成分:アスコルビン酸リン酸エステル又はその塩と、(B)成分:カテキンと、を含有する。
詳細は、上記の口腔用組成物に記載した内容と同一である。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を好適に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0052】
歯肉線維芽細胞を定法にしたがって培養後、3×105/ウェルとなるように6穴プレートに播種し、表1に記載の量の成分を添加して、48時間刺激した。
刺激後に培養上清を回収し、I型コラーゲン産生量をELISAキット(ACBio社製)で測定した。
なお、表1中、アスコルビン酸リン酸エステルは、和光純薬工業製の生化学用を使用し、カテキンは、太陽化学社製の「サンフェノン90S」を使用した。
【0053】
【0054】
表1からわかるように、(A)成分がコラーゲン合成活性を有することがわかる(比較例1~3参照)。しかしながら、(B)成分にはコラーゲン合成活性能がほとんど認められない(比較例4~6参照)。これに対し、(A)成分と(B)成分を併用した場合、(A)成分単独でのコラーゲン合成活性量が向上することがわかる(比較例1と実施例1、比較例2と実施例2~5、比較例3と実施例6参照)。また、(A)成分に代えて、アスコルビン酸を使用した場合、細胞死となり、評価し得なかった(比較例7参照)。
従って、コラーゲン合成活性能がほとんど認められない(B)成分を(A)成分と併用することで、(A)成分のコラーゲン合成促進効果が認められる。
【0055】
以下、本発明の口腔用組成物を用いた処方例を示す。なお、リン酸L―アスコルビルマグネシウムと茶カテキンは、上記の製品と同一である。
【0056】
処方例1:歯磨剤
リン酸L-アスコルビルマグネシウム 0.3%
茶カテキン 0.05%
キサンタンガム 0.8%
ソルビット液(70%) 40%
無水ケイ酸 12%
サッカリンナトリウム 0.2%
増粘性シリカ 6%
酸化チタン 0.5%
プロピレングリコール 3%
クエン酸 0.1%
水酸化ナトリウム 0.1%
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5%
香料 0.8%
精製水 バランス
【0057】
処方例2:洗口剤
リン酸L-アスコルビルマグネシウム 0.3%
茶カテキン 0.05%
キサンタンガム 0.1%
プロピレングリコール 3%
グリセリン(85%) 6%
キシリトール 3%
エタノール 2%
クエン酸 0.015%
クエン酸ナトリウム 0.12%
リン酸一水素二ナトリウム 0.1%
香料 0.2%
精製水 バランス
【0058】
処方例3:口中剤
リン酸L-アスコルビルマグネシウム 0.3%
茶カテキン 0.05%
濃グリセリン 10%
プロピレングリコール 2%
エタノール 15%
キシリトール 2%
塩化セチルピリジニウム 0.05%
クエン酸 0.05%
クエン酸ナトリウム 3.95%
香料 0.10%
精製水 バランス