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  • 特許-圧電振動片、圧電振動子、及び製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】圧電振動片、圧電振動子、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/19 20060101AFI20220526BHJP
   H03H 9/215 20060101ALI20220526BHJP
   H03H 3/04 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
H03H9/19 K
H03H9/215
H03H3/04 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018004658
(22)【出願日】2018-01-16
(65)【公開番号】P2019125896
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-11-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】713005174
【氏名又は名称】エスアイアイ・クリスタルテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096655
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100091225
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 均
(72)【発明者】
【氏名】市村 直也
(72)【発明者】
【氏名】小林 高志
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220118(JP,A)
【文献】国際公開第2011/043357(WO,A1)
【文献】特開2016-032195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 9/19
H03H 9/215
H03H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に実装部を備えたパッケージ内に実装される、水晶で音叉型に形成された圧電振動片であって、
基部と、
前記基部から並んで延設された1対の振動腕部と、
前記1対の振動腕部に形成された2系統の電極と、
前記振動腕部における先端部に金属で形成された周波数調整用の重り膜と、を備え、
前記重り膜は、前記振動腕部における主面と直交する先端面に形成され、隣接する2つの領域の厚さが異なることで段差が形成されている、
ことを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
前記重り膜は、前記振動腕部における先端部の少なくとも一方の主面に形成され、長さ方向で隣接する2つの領域の厚さが異なることで段差が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
【請求項3】
前記重り膜は、前記振動腕部の先端部側ほど薄く形成されている、
ことを特徴とする請求項に記載の圧電振動片。
【請求項4】
前記基部から前記振動腕部の外側に延出して形成された支持腕部で前記実装部に実装されるサイドアーム型、
前記基部から前記振動腕部の間に延出して形成された支持単腕部で前記実装部に実装されるセンターアーム型、又は、
前記基部が前記実装部に実装される片持ち型、
であることを特徴とする請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の圧電振動片。
【請求項5】
内側に実装部を備えたパッケージと、
前記実装部に実装された、請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の圧電振動片と、
前記実装部から前記パッケージの外部まで形成された外部電極部と、
を有することを特徴とする圧電振動子。
【請求項6】
少なくとも基部と前記基部から並んで延設された1対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片の外形を形成する外形形成工程と、
前記振動腕部に2系統の電極を形成する電極形成工程と、
前記振動腕部の先端側の主面と、前記主面と直行する先端面に周波数調整用の重り膜を形成する重り膜形成工程と、
前記重り膜を除去することで周波数を調整する周波数調整工程と、を備え、
前記周波数調整工程は、前記重り膜の厚さ方向の一部を除去することにより、長さ方向に3つ以上の領域を形成し、それぞれ異なる厚さにすることで前記主面に段差を形成し、隣接する2つの領域の厚さが異なる段差を前記先端面に形成する、
ことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項7】
前記周波数調整工程は、フェムト秒レーザを直接照射することで、前記重り膜の厚さ方向の一部を除去する、
ことを特徴とする請求項に記載の圧電振動片の製造方法。
【請求項8】
前記周波数調整工程は、前記振動腕部の先端側の第1領域に対して粗調整を行い、その後、前記第1領域よりも前記基部側の第2領域で微調整を行う、
ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の圧電振動片の製造方法。
【請求項9】
請求項、請求項、又は請求項の各工程により圧電振動片を製造する工程と、
前記圧電振動片を、パッケージ内に形成された実装部に実装する実装工程と、
前記パッケージを封止する封止工程と、
を有することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項10】
前記実装工程と封止工程の間に、前記実装した圧電振動片の前記重り膜に対してイオンリミングを行う最終周波数調整工程、
を有することを特徴とする請求項に記載の圧電振動子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片、圧電振動子、及び製造方法に係り、詳細には、音叉型水晶を用いた技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話や携帯情報端末機器等の電子機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等に用いられるデバイスとして音叉型に形成した圧電振動片を使用した圧電振動子が用いられる。
このような音叉型の圧電振動片では、振動腕部の先端部分に金属の重り膜を形成し、この膜をトリミングすることで周波数調整を行っている(例えば、特許文献1)。すなわち、パッケージにマウントした圧電振動片を発振させ、周波数を測定しながら、パルス幅がナノ~ピコ秒でレーザを照射して重り膜を溶融除去することで、その質量を減らすようにトリミングすることで、周波数調整を行っている(特許文献1)。
このレーザによりトリミングを行う場合、溶融させる重り膜の面を下向きにし、圧電振動片の上面側(重り膜と反対側)からレーザを当てることで溶融除去した重り膜をパッケージ底面に設けた凹み部分で受けるようにしている。
【0003】
図7は、従来のレーザにより重り膜を溶融除去した後の振動腕部先端の状態を表したものである。
従来のレーザによる周波数調整では、レーザLnを照射した領域の重り膜750全体が溶融除去されるため、さらなる周波数調整精度を向上させることはできなかった。
特に、3mm×2mm以下といった小型の圧電振動片の場合には、トリミング対象となる重り膜の面積が小さくなるため、より細かく精度が高いトリミングが周波数調整に必要とされている。
【0004】
また、従来の周波数調整では、図7に示すように、レーザLnにより重り膜750を溶融除去させているため、溶融除去後に残った重り膜750の周囲には、主面や側面にデブリ751、752が発生していた。
そして、例えば図7(a)に示すように、残った重り膜750の端面にデブリが発生する。このデブリの発生幅w1は、例えばレーザLnのスポット径が20μmであれば、ほぼ同程度のばらつき幅w1=20μmと大きいため、長手方向の中心線Pに対する左右のバランスが崩れる原因となっていた。図7(a)に示した例では、長手方向の中心線Pに対して、左側に発生したデブリ量が右側よりも多くなっている。
デブリ751、752は、振動腕部の中心線Pの左右だけでなく、両振動腕部での発生量が異なることで、振動腕のバランスが崩れてしまい、振動漏れによる悪影響を及ぼしてしまうという課題がある。
【0005】
更に、重り膜750が下向きの状態で溶融するため、図7(a)に示すように、主面に形成されたデブリ751はめくれた状態となり、振動により・がれ落ちる可能性があった。デブリが振動によって落ちると、振動腕部の左右のバランスが崩れると共に、重さの変化で周波数に影響する可能性がある。
一般に、圧電振動片が小型化するほど、重量を確保するために重り膜750を厚くする必要があるため、レーザLnで重り膜750を溶融除去した際によりデブリ751が発生し易くなる。このため小型の圧電振動片ほど、デブリによる左右バランスの崩れや振動漏れといった課題も大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-133879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、音叉型の圧電振動片において、より高い周波数精度を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
)請求項に記載の発明では、内側に実装部を備えたパッケージ内に実装される、水晶で音叉型に形成された圧電振動片であって、基部と、前記基部から並んで延設された1対の振動腕部と、前記1対の振動腕部に形成された2系統の電極と、前記振動腕部における先端部に金属で形成された周波数調整用の重り膜と、を備え、前記重り膜は、前記振動腕部における主面と直交する先端面に形成され、隣接する2つの領域の厚さが異なることで段差が形成されている、ことを特徴とする圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記重り膜は、前記振動腕部における先端部の少なくとも一方の主面に形成され、長さ方向で隣接する2つの領域の厚さが異なることで段差が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記重り膜は、前記振動腕部の先端部側ほど薄く形成されている、ことを特徴とする請求項に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記基部から前記振動腕部の外側に延出して形成された支持腕部で前記実装部に実装されるサイドアーム型、前記基部から前記振動腕部の間に延出して形成された支持単腕部で前記実装部に実装されるセンターアーム型、又は、前記基部が前記実装部に実装される片持ち型、であることを特徴とする請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の圧電振動片を提供する。
)請求項に記載の発明では、内側に実装部を備えたパッケージと、前記実装部に実装された、請求項1から請求項のうちの何れか1の請求項に記載の圧電振動片と、前記実装部から前記パッケージの外部まで形成された外部電極部と、を有することを特徴とする圧電振動子を提供する。
)請求項6に記載の発明では、少なくとも基部と前記基部から並んで延設された1対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片の外形を形成する外形形成工程と、前記振動腕部に2系統の電極を形成する電極形成工程と、前記振動腕部の先端側の主面と、前記主面と直行する先端面に周波数調整用の重り膜を形成する重り膜形成工程と、前記重り膜を除去することで周波数を調整する周波数調整工程と、を備え、前記周波数調整工程は、前記重り膜の厚さ方向の一部を除去することにより、長さ方向に3つ以上の領域を形成し、それぞれ異なる厚さにすることで前記主面に段差を形成し、隣接する2つの領域の厚さが異なる段差を前記先端面に形成する、ことを特徴とする圧電振動片の製造方法を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記周波数調整工程は、フェムト秒レーザを直接照射することで、前記重り膜の厚さ方向の一部を除去する、ことを特徴とする請求項に記載の圧電振動片の製造方法を提供する。
)請求項に記載の発明では、前記周波数調整工程は、前記振動腕部の先端側の第1領域に対して粗調整を行い、その後、前記第1領域よりも前記基部側の第2領域で微調整を行う、ことを特徴とする請求項又は請求項に記載の圧電振動片の製造方法を提供する。
)請求項に記載の発明では、請求項、請求項、又は請求項の各工程により圧電振動片を製造する工程と、前記圧電振動片を、パッケージ内に形成された実装部に実装する実装工程と、前記パッケージを封止する封止工程と、を有することを特徴とする圧電振動子の製造方法を提供する。
10)請求項10に記載の発明では、前記実装工程と封止工程の間に、前記実装した圧電振動片の前記重り膜に対してイオンリミングを行う最終周波数調整工程、を有することを特徴とする請求項に記載の圧電振動子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧電振動片の両振動腕部の先端部に形成した重り膜に、長さ方向の隣接する2つの領域の厚さが異なることで段差が形成されているので、より高い周波数精度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】振動腕部先端に形成した重り膜の段差を表した説明図である。
図2】フェムト秒レーザLfによる重り膜の削除方法についての説明図である。
図3】フェムト秒レーザLfにより重り膜の一部を除去した状態を表した説明図である。
図4】フェムト秒レーザLfによる重り膜除去の変形例について表したものである。
図5】圧電振動片を収容した圧電振動子の分解斜視図である。
図6】圧電振動片の他の形状についての説明図である。
図7】従来のレーザにより重り膜を溶融除去した後の振動腕部先端の状態を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、図1から図6を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態の圧電振動片は、振動腕部7(7a、7b)の先端部に設けた重り膜75の所定領域全体(全厚さ分)を溶融除去するのではなく、その長手方向に沿って段差が生じるように、重り膜75の表面側から厚さ方向の一部を薄く除去することにより、段差を設けるようにしたものである。
重り膜75の除去は、レーザによるが、従来のようにパルス幅がナノ~ピコ秒のレーザLnではなく、パルス幅がピコ~フェムト秒のフェムト秒レーザLfを、直接重り膜75に照射することで、非熱的加工を行う。このフェムト秒レーザLfにより、重り膜75の厚さNμmに対して、厚さnμm(n<N)を除去することで、重り膜75に段差が形成され、精度の高い周波数調整が可能になる。
振動腕部7の主面に形成した重り膜75に対し、長手方向にn箇所の領域(例えば、先端側からA、B、Cの3領域)に分け、各領域の面積や、加工厚(削る厚さ)を周波数の調整量に応じて調整することで、段差を設ける。この際、先端側の領域ほど薄くなるように段差を形成することで、より精度の高い圧電振動片6を得ることができる。
除去する厚さは、当該領域をフェムト秒レーザLfでスキャンする回数及び/又はパルス幅により調整する。
【0012】
このように、フェムト秒レーザLfを用いて非熱的加工により、周波数調整用の重り膜75の一部の厚さを薄くする加工をして段差を設けることで、圧電振動片6の周波数精度を高くすることができる。
また、非熱的加工をフェムト秒レーザLfにより行うので、溶融除去によるデブリの発生をなくすことができる。これにより、振動腕部7毎のバランスだけで無く、両振動腕部7a、7b間のバランスもとれた周波数調整を行うことができ、振動漏れを押さえることができる。
また、周波数調整後の重り膜75にデブリが存在しないため、振動によってデブリが取れて周波数が変化してしまう、ということが防止される。
【0013】
(2)実施形態の詳細
本実施形態は、水晶を使用した音叉型の圧電振動片6であり、その詳細は図5で後述するが、基部8から1対の振動腕部7(7a、7b)が延設されると共に、圧電振動片6をパッケージ2内で支持するための支持腕部9(9a、9b)が形成されている。
1対の振動腕部7の長手方向には、その主面(裏表面)に一定幅の溝部72が形成されている。振動腕部7の外周面を構成する側面と主面、溝部72内には、第1励振電極、第2励振電極として機能する、異なる2系統の励振電極91、92が形成されている。
そして、振動腕部7の長手方向の先端部(溝部72よりも先端側)には、周波数調整用の重り膜75が形成されている。
【0014】
図1は、本実施形態の圧電振動片における、振動腕部7の先端形状を表したものである。なお、図1~3では、1対の振動腕部7のうちの一方の先端部について表している。
図1(a)(b)に示すように、振動腕部7の先端部には、周波数調整用の重り膜75が主面全体に形成されている。この重り膜75は、Au等の金属材料が使用され、真空蒸着等の各種方法により形成される。なお、本実施形態では一方の主面だけに重り膜75が形成されているが、重り膜75に直接フェムト秒レーザLfを照射するので、両面や側面に形成することも可能である。
本実施形態による振動腕部7の先端の重り膜75は、図1(a)に示すように、長手方向に先端からA、B、Cの領域が形成されている。図1(a)では、A~Cの各領域は長さ方向に三等分されているが、実際には、周波数の調整量に対応して削除する体積(重量)により異なる。また、調整する周波数の状況に応じて、3以上の領域としてもよく、また2領域としてもよい。
【0015】
圧電振動子は各種サイズに形成されるが、特に、圧電振動片を収容する圧電振動子が、2.0mm×1.2mm、1.6mm×10mm、1.2mm×1.0mm、といった小型の圧電振動子ほど、本実施形態の効果が得られる。
そして、圧電振動片は圧電振動子のサイズに応じて形成されるが、例えば、1.6mm×10mmサイズの圧電振動子の場合、圧電振動片は、概略長さ1mm×幅0.5mm、厚さ0.1mに形成される。
一方、振動腕部7先端部には、フェムト秒レーザLfによる周波数調整前の状態では、重り膜75の厚さN=3μmに形成され、各領域に対する必要な調整量に応じて、削り取る重り膜75の面積と厚さが決められる。削り取る厚さについては、同一領域に対するスキャンの回数で調整される。
【0016】
音叉型の圧電振動片は、振動腕部7の根元側から先端側にいくにつれて周波数感度が大きくなる。
従って、周波数調整では、領域A、Bを対象として粗調整が、領域B、Cを対象として微調整が行われる。領域Bは、調整量に応じて粗調整、微調整の対象となる。
本実施形態では、各領域A~Cにおける重り膜75の厚さは、図1(b)に示すように、先端側の領域Aが最も薄く、一番手前側(基部8側)の領域Cが最も厚く、中間の領域Bはその間の厚さになっている。これにより、領域Aと領域Bの境界面と、領域Bと領域Cの境界面で段差が形成されている。具体的には、図1(b)に示した振動腕部7では、最先端の領域Aで粗調整量を多くし、中央の領域Bで微調整を少し行った状態で調整が完了した状態であり、領域Cは元の厚さのままの状態になっている。
【0017】
但し、各領域A~Cの領域内での削除量は各圧電振動片毎に、必要な周波数調整量に応じた削除面積と厚さが決められる。
このため、各領域A~Cは粗調整~微調整の目安範囲であり、同一領域内であっても、同一の粗、中、微調整内に収まった境界部分で段差が形成される場合もある。
従って、例えば図(c)~(e)に示すように、先端側よりも根元側の方が薄くなる場合もある。
例えば、図1(c)に示した振動腕部7では、比較的調整幅が小さかった場合で、最先端の領域Aは元の厚さのままで、領域Bに対して粗調整が行われ、C領域で微調整が行われた状態である。
図1(d)に示した振動腕部7も、比較的調整幅が小さかった場合で、A領域とB領域で粗調整を行い、更にB領域で微調整を行った状態で、領域Cは元の厚さのままである。
図1(e)に示した振動腕部7は、領域Aに対して粗調整を行い、C領域に対して微調整を行った状態で、領域Bは元の厚さのままである。
【0018】
次に、本実施形態による振動腕部7先端部の加工方法について説明する。
図2は、フェムト秒レーザLfによる重り膜の削除方法についての説明図である。
図2(a)、(b)に示すように、振動腕部7の先端部には、所定厚さN(=3μm)の重り膜75が形成される。なお、図2で示した本実施形態の重り膜75は、振動腕部7における一方の主面に形成されるが、両面に形成する場合や、側面を含めた全周囲に形成するようにしてもよい。
この重り膜75を上側に向け、図2(c)に示すように、フェムト秒レーザLfを重り膜75に直接(振動腕部7を透過させることなく)照射することで、非熱的加工により所定厚さ分の重り膜75を削り取る。
このトリミング加工では、各領域において、フェムト秒レーザLfをスキャンすることで、重り膜75の厚さNμmに対して、厚さnμm(n<N)だけ削り取ることで、周波数調整を行い、スキャンした領域の端部に段差が形成される。
【0019】
本実施形態で使用するフェムト秒レーザLfは、例えば、波長515nm、スポット径p1=10μm、パルス幅100fsである。
このフェムト秒レーザLfを、幅方向に往復方向及び長さ方向に、移動ピッチp2(例えば、p2=p1/2=5μm)でスキャンすることで、所定面積の重り膜75を除去する。
上述したように音叉型の圧電振動片は、振動腕部7の根元側から先端側にいくほど周波数感度が大きくなるので、先に先端側の領域から粗調整を行い、その後に根元側の領域で微調整を行う。すなわち、所望周波数(狙い周波数)からのズレ量が大きい場合には、先端側の領域(領域A、B)を削って粗調整を行う。粗調整によって狙い周波数に近づいた後は、根元に近い領域(領域B、C)を除去することで微調整を行い、これにより効果的かつ最終追い込みを精度良く調整することができる。
【0020】
粗調整、微調整は、周波数の調整幅に応じて、除去する領域や、除去する厚さを変更する。除去する厚さは、当該領域をフェムト秒レーザLfでスキャンする回数及び/又はパルス幅により調整する。
具体的には、圧電振動片の周波数を測定し、所望の周波数からのズレ量に応じて、フェムト秒レーザLfを重り膜75に照射することで、所定周波数内に合わせ込む。
フェムト秒レーザLfは、図2(c)に示すように、p1のスポットの一部が重なるように、移動ピッチp2で幅方向に往復移動しながら、長手方向に移動することで所定領域の重り膜75を除去する。
【0021】
図3は、フェムト秒レーザLfにより重り膜75の一部を除去した状態について、(a)は側断面を(b)は上面を表したものである。
従来のナノ~ピコ秒のパルス幅のレーザLnでは、照射領域の重り膜全体を熱により溶融除去しているため、図7に示すように、照射領域の境界面にデブリが発生し、より小型化した圧電振動片の周波数調整が困難であると共に、デブリによった振動腕間のバランスが崩れて振動漏れの可能性がある。
これに対して本実施形態によるフェムト秒レーザLfは、フェムト秒単位のパルスレーザを重り膜75表面に照射することで、固体構成物質が原子、分子、プラズマ状態となって爆発的に放出され(アブレーション)、非熱的加工により除去している。
これにより、図3(a)に示すように、フェムト秒レーザLfの照射領域において重り膜75の厚さ方向の一部を除去し、段差dを形成することが可能になる。その結果、より小型化した圧電振動片に対しても、精度の高い周波数調整が可能である。
【0022】
また、図3(b)に示すように、フェムト秒レーザLfの照射領域の境界におけるデブリの発生がないため、段差dを形成している幅方向の境界面の粗さ(中心線Pと直交する幅方向の仮想直線に対する、フェムト秒レーザLfの照射による加工端のばらつき幅)は、ほぼフェムト秒レーザLfのスポット径の1/2程度に抑制されている。
本実施形態では、上述したようにスポット径が10μmのフェムト秒レーザLfを使用しているため、実際の段差dでのばらつき幅w2=5μm程度に抑制され、図7で示した従来の幅w1=20μmに比べて大きく抑制されている。
このように、本実施形態によれば、デブリの発生をなくすと共に、振動腕部7の中心線Pに対する左右のバランスや、両振動腕部7のバランスを取ることができる。
この圧電振動片を使用することで、より振動漏れが小さい圧電振動子を形成することができる。
なお、境界面のばらつき幅は、フェムト秒レーザLfのスポット径や移動ピッチp2によるが、振動腕部7のバランス精度の向上や振動漏れの抑制の観点から、腹付き幅w2は10μm以下、好ましくは5μm以下とする。
【0023】
なお、本実施形態では、重り膜75を厚さ方向の一部を除去する(薄くする)が、フェムト秒レーザLfによるスキャンを複数回行うことで、厚さ方向の全体を除去し振動腕部7を露出させるようにしてもよい。
この場合、振動腕部7を露出させるので、異なる厚さを残すことで段差を形成することによる微細な除去量を調整することはできない。
しかし、隣接する領域間に重り膜75同士の段差は形成されないが、振動腕部7が露出した側の重り膜75の端面は、図3(b)に示すように、ほぼ直線状態であり、共感面の粗さはフェムト秒レーザLfのスポット径の1/2程度(=5μm程度)に抑制されている。従って、重り膜75を振動腕部7が露出するまで削除する場合であっても、デブリの発生をなくすと共に、振動腕部7の中心線Pに対する左右のバランスや、両振動腕部7のバランスを取ることができる。また、この圧電振動片を使用することで、より振動漏れが小さい圧電振動子を形成することができる。
【0024】
次に本実施形態の重り膜75の変形例について説明する。
図4は、フェムト秒レーザLfによる重り膜75を除去する変形例について表したものである。
図1~3で説明した実施形態では、振動腕部7の先端部の主面に形成した所定厚さの重り膜75の形成面に対し、直交する方向(上方)からフェムト秒レーザLfを照射することで異なる厚さに形成されている。
これに対してこの変形例では、図4(a)に示すように、振動腕部7の先端部に形成した重り膜75と連続して主面と直交する先端面にも重り膜76を形成したものである。
そして図4(b)に示すように、実施形態と同様に主面と直交する方向(上方)からフェムト秒レーザLfを照射するが、重り膜76は主面と直交する端面に形成されているため、フェムト秒レーザLfは圧電振動片6に対して平行に照射される。
これにより、圧電振動片6には、振動腕部7の厚さ方向の溝77と、この溝77による段差が形成される。
この図4(c)に示す例では、溝77が2本形成されているが、粗調整の必要量に応じて1本又は3本以上形成するようにしてもよい。但し、振動腕部7における長手方向にのびる中心線に対して左右対称になる位置に形成する。
この変形例においても、必要に応じ、主面に形成した重り膜75に実施形態で説明した段差を形成することで、更なる粗調整、微調整を行うようにしてもよい。
【0025】
以上、本実施形態、変形例における圧電振動片の先端に形成した重り膜75、76の形状とその形成について説明した。
次に、このように形成された圧電振動片、及び、圧電振動片を収容した圧電振動子について説明する。
図5は、圧電振動片を収容した圧電振動子の分解斜視図である。
図5に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、内部に気密封止されたキャビティCを有するパッケージ2と、キャビティC内に収容された圧電振動片6と、を備えたセラミックパッケージタイプの表面実装型振動子とされている。
なお、本実施形態の圧電振動子1は左右対称な構造となっているため、振動腕部7aと振動腕部7bというように、対称配置された両部分を同一の数字で表すと共に、両部分を区別するため、一方に区別符合a、A、他方に区別符合b、Bを付して説明する。ただし、区別符号を適宜省略して説明するが、この場合にはおのおのの部分を指しているものとする。
【0026】
圧電振動片6は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された、いわゆる音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。本実施形態では、圧電材料として水晶を使用して形成した圧電振動片のうちの、いわゆるサイドアーム型の圧電振動片6を例に説明する。
圧電振動片6は、基部8から平行に延びる振動腕部7a、7bと、この振動腕部7a、7bの外側に同方向に基部8から延びる支持腕部9a、9bを備え、この支持腕部9a、9bによりキャビティC内に保持される。
【0027】
一対の振動腕部7a、7bは、互いに平行となるように配置されており、基部8側の端部を固定端とし、先端が自由端として振動する。
一対の振動腕部7a、7bの先端側には、全長のほぼ中央部分よりも両側に広くなるように形成された拡幅部71a、71bを備えている。この振動腕部7a、7bに形成した拡幅部71a、71bは、振動腕部7a、7bの重量及び振動時の慣性モーメントを増大する機能を有している。これにより、振動腕部7a、7bは振動し易くなり、振動腕部7a、7bの長さを短くすることができ、小型化が図られている。
そして、この拡幅部71a、71b主面には、図1で説明した、厚さが異なる重り膜75が形成されている。
なお、本実施形態の圧電振動片6は、振動腕部7a、7bに拡幅部71a、71bを形成し、この拡幅部71a、71bに段差付きの重り膜75が形成されるが、振動腕部7の先端部の幅を略中央部分と同じ幅に形成した、拡幅部71a、71bがない圧電振動片を使用することも可能である。
【0028】
振動腕部7a、7bの両主面には、基部8側から拡幅部71a、71bの手前まで伸びる溝部72a、72bが形成されている。その結果、振動腕部7a、7bの断面形状やH型となっている。
一対の振動腕部7a、7bの外表面上(外周面)には、振動腕部7aの外側の両側面と、振動腕部7bの溝部72bに形成された第1系統と、振動腕部7bの外側の両側面と、振動腕部7aの溝部72aに形成された第2系統からなる、一対の(2系統の)励振電極(図示しない)が形成されている。
また図示しないが、第1系統の励振電極に接続する第1マウント電極が、基部8から支持腕部9aの外表面上(外周面)まで形成され、第2系統の励振電極に接続する第2マウント電極が、基部8から支持腕部9bの外表面上(外周面)まで形成されている。
なお、励振電極とマウント電極は、1層目のクロム(Cr)層と2層目の金(Au)層からなる積層膜で、電極スパッタ等で形成されている。
【0029】
パッケージ2は、概略直方体状に形成され、パッケージ本体3と、パッケージ本体3に対して接合されるとともに、パッケージ本体3との間にキャビティCを形成する封口板4と、を備えている。
パッケージ本体3は、互いに重ね合わされた状態で接合された第1ベース基板10および第2ベース基板11と、第2ベース基板11上に接合されたシールリング12と、を備えている。
【0030】
第1ベース基板10の上面は、キャビティCの底面に相当する。
第2ベース基板11は、第1ベース基板10に重ねられており、第1ベース基板10に対して焼結などにより結合されている。すなわち、第2ベース基板11は、第1ベース基板10と一体化されている。
なお、第1ベース基板10と第2ベース基板11の間には、両ベース基板10、11に挟まれた状態で接続電極(図示せず)が形成されている。
【0031】
第2ベース基板11には、キャビティCの側壁の一部を構成する貫通部11aが形成されている。
貫通部11aの短手方向で対向する両側の内側面には、内方に突出する実装部14A、14Bが設けられている。
この実装部14A、14Bの上面には、圧電振動片6との接続電極である一対の電極パッド(電極部)20A、20Bが形成されている。また、第1ベース基板10の下面には、一対の外部電極21A、21Bがパッケージ2の長手方向に間隔をあけて形成されている。電極パッド20A、20Bおよび外部電極21A、21Bは、例えば蒸着やスパッタ等で形成された単一金属による単層膜、または異なる金属が積層された積層膜である。
電極パッド20A、20Bと外部電極21A、21Bとは、第2ベース基板11の実装部14A、14Bに形成された第2貫通電極(図示せず)、第1ベース基板10と第2ベース基板11の間に形成された接続電極(図示せず)、及び、第1ベース基板10に形成された第1貫通電極(図示せず)を介して互いにそれぞれ導通している。
一方、電極パッド20A、20B上には、導電性接着剤51が塗布され、支持腕部9a、9bのマウント電極と接合している。
【0032】
シールリング12は、第1ベース基板10および第2ベース基板11の外形よりも一回り小さい導電性の枠状部材であり、第2ベース基板11の上面に接合されている。具体的には、シールリング12は、銀ロウ等のロウ材や半田材等による焼付けによって第2ベース基板11上に接合、あるいは、第2ベース基板11上に形成(例えば、電解メッキや無電解メッキの他、蒸着やスパッタ等により)された金属接合層に対する溶着等によって接合されている。
【0033】
封口板4は、シールリング12上に重ねられた導電性基板であり、シールリング12に対する接合によってパッケージ本体3に対して気密に接合されている。そして、封口板4、シールリング12、第2ベース基板11の貫通部11a、および第1ベース基板10の上面により画成された空間が、気密に封止されたキャビティCとして機能する。
【0034】
図1に示した圧電振動子1は次の各工程で形成される。
(1)圧電振動片6の製造
(a)外形形成工程では、水晶を使用して振動腕部を有する音叉型の圧電振動片の外形を形成する。
(b)電極形成工程では、2系統の励振電極とマウント電極を形成する。
(c)重り形成工程では、振動腕部7の先端側の主面に重り膜75を形成する。この重り形成工程は、電極形成工程の前後いずれでも、同時にでもよい。
(d)周波数調整工程では、フェムト秒レーザLfを重り膜75に直接照射し、周波数の調整幅に応じた領域と厚さ分を除去することで、段差を形成する。周波数調整工程では、先端側を除去する粗調整と、基部8側を除去する微調整を行う。
【0035】
(2)圧電振動子1の製造
(e)圧電振動片製造工程では、(1)の各工程により圧電振動片6を製造する。
(f)実装工程では、製造した圧電振動片6を、パッケージ本体3に形成された実装部14の電極パッド20に導電性接着剤51で支持腕部9を接着することで実装する。
(g)封止工程では、圧電振動片6を実装したパッケージ本体3に封口板4により封止する。
【0036】
なお、圧電振動子1を製造する場合、実装工程と封止工程の間に、最終周波数調整工程を行うようにしてもよい。
(f2)最終周波数調整では、実装した圧電振動片6の重り膜75に対してイオンリミングを行う。
すなわち、実装後の圧電振動片6の周波数を計測し、所望周波数となるように、段差が形成された重り膜75全体の表面をイオンリミングすることで周波数の最終調整を行う。
なお、イオンリミングでは、重り膜75以外の部分をマスクし、数KVに加速した収束させないアルゴンイオンを照射し、スパッタリング現象を利用して重り膜75の表面を研磨(薄く削除)する。
【0037】
本実施形態では、主面に形成した重り膜75を、厚さ方向の全体を溶融除去するのではなく、フェムト秒レーザLfを照射して厚さ方向の一部を薄く削除することで段差部を形成している。即ち、(c)重り形成工程で主面に形成した重り膜75は、その領域に応じて厚さが薄くなっているが、主面上における面積は同じである。
このため、イオンリミングにより研磨する対象面積が大きい(当所の形成面積のままである)ため、短い時間のイオンミリングにより、所定重量分の重り膜75を削除することが可能になる。
【0038】
以上、サイドアーム型の圧電振動片6と、この圧電振動片6を使用した圧電振動子1の構成について説明したが、音叉型であれば他の形式の圧電振動片に段差付きの重り膜75を形成することも可能である。
図6は他の型の圧電振動片について、(a)が片持ち型の圧電振動片61、(b)がセンターアーム型の圧電振動片62を表した説明図である。
図6(a)に示す圧電振動片61は、基部8から長手方向に平行に延出する振動腕部7a、7bが形成され、支持腕部は存在しない。一方、図6(b)に示す圧電振動片62は、基部8から長手方向に平行に延出する振動腕部7a、7bの間に、支持単腕部9cが形成されている。
【0039】
両圧電振動片61、62における、一対の振動腕部7a、7bの両主面には、図5で説明した圧電振動片6と同様に、溝部72a、72bが形成されている。
また振動腕部7aの外側の両側面と、振動腕部7bの溝部72bに形成された第1系統の励振電極92と、振動腕部7bの外側の両側面と、振動腕部7aの溝部72aに形成された第2系統の励振電極91が形成されている。
【0040】
そして、圧電振動片61は、図6(a)に示すように、第1系統の励振電極92に接続する第1マウント電極92mと、第2系統の励振電極91に接続する第2マウント電極91mが、基部8に形成されている。そして、この基部8に形成されたマウント電極92m、91mが形成されている。
一方、圧電振動片62は、図6(b)に示すように、第1系統の励振電極92に接続する第1マウント電極92mが基部8から支持単腕部9cの先端部まで形成され、第2系統の励振電極91に接続する第2マウント電極91mが基部8から支持単腕部9cの中央部まで形成されている。
【0041】
圧電振動片61、62は、共に、図3で説明した圧電振動片6と同様に、パッケージ2内に収容されることで、圧電振動子が構成される。
なお、この場合のパッケージ2には、圧電振動片61の場合には基部8の位置に、圧電振動片62の場合には支持単腕部9cの位置に、図3で説明した実装部14A、14Bに対応する実装部が形成され、この実装部に形成されている2系統の電極パットに導電性接着剤で接着、固定されている。
【0042】
そして、図6(a)の片持ち型の圧電振動片61では、振動腕部7の先端に拡幅部71が存在せず、(b)のセンターアーム方の圧電振動片62は、振動腕部71先端に振動腕部71が形成されている。いずれの圧電振動片61、62においても、振動腕部7の先端部には重り膜75が形成され、その長手方向に沿った断面は、図1で説明したように、フェムト秒レーザLfの照射により周波数帳性が行われる。これによって重り膜75は、領域によって異なる厚さに形成され、その結果段差が形成されている。
【0043】
以上説明した実施形態及び変形例から、以下の各構成を得ることもできる。
(1)構成201
少なくとも基部と前記基部から並んで延設された1対の振動腕部を有する音叉型の圧電振動片の外形を形成する外形形成工程と、
前記振動腕部に2系統の電極を形成する電極形成工程と、
前記振動腕部の先端側の主面に周波数調整用の重り膜を形成する重り膜形成工程と、
前記重り膜を除去することで周波数を調整する周波数調整工程と、を備え、
前記周波数調整工程は、前記重り膜の一部を非熱加工により除去する、
ことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
(2)構成202
前記周波数調整工程は、フェムト秒レーザを直接照射することで前記重り膜の一部を除去する、
ことを特徴とする構成201に記載の圧電振動片の製造方法。
(3)構成203
前記周波数調整工程は、前記振動腕部の先端側の第1領域に対して粗調整を行い、その後、前記第1領域よりも前記基部側の第2領域で微調整を行う、
ことを特徴とする構成201又は構成202に記載の圧電振動片の製造方法。
(4)構成204
前記外形形成工程は、
前記基部から前記振動腕部の外側に延出して形成された支持腕部で前記実装部に実装されるサイドアーム型、
前記基部から前記振動腕部の間に延出して形成された支持単腕部で前記実装部に実装されるセンターアーム型、又は、
前記基部が前記実装部に実装される片持ち型、
の圧電振動片の外形を形成する、
ことを特徴とする構成201から構成203のうちのいずれか1の構成に記載の圧電振動片の製造方法。
(5)構成205
構成201、構成202、構成203、又は構成204の各工程により圧電振動片を製造する工程と、
前記圧電振動片を、パッケージ内に形成された実装部に実装する実装工程と、
前記パッケージを封止する封止工程と、
を有することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
(6)構成206
内側に実装部を備えたパッケージ内に実装される、水晶で音叉型に形成された圧電振動片であって、
基部と、
前記基部から並んで延設された1対の振動腕部と、
前記1対の振動腕部に形成された2系統の電極と、
前記振動腕部における先端部に金属で形成された周波数調整用の重り膜と、を備え、
前記重り膜は、前記周波数調整による加工端には溶融によるデブリが存在しない、
ことを特徴とする圧電振動片。
(7)構成207
内側に実装部を備えたパッケージ内に実装される、水晶で音叉型に形成された圧電振動片であって、
基部と、
前記基部から並んで延設された1対の振動腕部と、
前記1対の振動腕部に形成された2系統の電極と、
前記振動腕部における先端部に金属で形成された周波数調整用の重り膜と、を備え、
前記重り膜は、前記振動腕の長手方向と直交する方向の仮想直線に対する、周波数調整による幅方向の加工端のばらつき幅が10μm以下である、
ことを特徴とする圧電振動片。
(8)構成208
前記幅方向の加工端のばらつき幅が5μm以下である、
ことを特徴とする構成207に記載の圧電振動片。
(9)構成209
内側に実装部を備えたパッケージと、
前記実装部に実装された、構成206、構成207、又は、構成208に記載の圧電振動片と、
前記実装部から前記パッケージの外部まで形成された外部電極部と、
を有することを特徴とする圧電振動子。
【符号の説明】
【0044】
1 圧電振動子
2 パッケージ
3 パッケージ本体
4 封口板
6 圧電振動片
7、7a、7b 振動腕部
8 基部
9、9a、9b 支持腕部
9c 支持単腕部
10 第1ベース基板
11 第2ベース基板
14、14A、14B 実装部
20、20A、20B 電極パッド
21、21A、21B 外部電極
51 導電性接着剤
61、62、 圧電振動片
72 溝部
75 重り膜
91、92 励振電極
91m、92m マウント電極
C キャビティ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7