(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】圧着装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
G09F9/00 342
(21)【出願番号】P 2018066080
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 誠
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-039862(JP,A)
【文献】特開2006-066566(JP,A)
【文献】特開2006-058753(JP,A)
【文献】特開2010-256769(JP,A)
【文献】特開平08-097110(JP,A)
【文献】特開昭61-182239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0225385(US,A1)
【文献】国際公開第2014/021198(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/021192(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/008111(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面部分を有する板状の第1ワークに対して、前記第1ワークよりも小さい板状の第2ワークを複数貼り合わせる、圧着装置であって、
真空チャンバーと、
前記真空チャンバー内に配置され、前記第1ワークにおける前記曲面部分の第1面と重ね合わせて固定し、前記第1面に沿う形状を有するステージと、
内部の圧力により弾性を有するダイヤフラムを変形させて1つの前記第2ワークを前記第1ワークの第2面に圧着させる、貼付ユニットと、を備え、
複数の前記貼付ユニットが、1つの前記ステージに対し、対向配置されており、
前記第1ワークが複数の曲面部分を有し、各曲面部分の曲率が異なる、
圧着装置。
【請求項2】
前記第1ワークが複数の曲面部分を有し、前記曲面部分には、凹面の曲面部分と、凸面の曲面部分とを含む請求項1に記載の圧着装置。
【請求項3】
複数の前記貼付ユニットのダイヤフラムを1つずつ変形させて、前記第2ワークを前記第1ワークの第2面に圧着させる、請求項1
または2に記載の圧着装置。
【請求項4】
前記第1ワークは、透光性の前面板であり、前記第2ワークは、表示パネルである、請求項1から
3のいずれか1項に記載の圧着装置。
【請求項5】
曲面部分を有し、かつ透光性の前面板に対して、前記前面板よりも小さい表示パネルを複数貼り合わせる表示装置の製造方法であって、
弾性を有する複数のダイヤフラムのそれぞれに、前記表示パネルを取り付け、前記ダイヤフラムと対向するステージに前記前面板を取り付ける準備工程と、
前記準備工程の後で、複数の前記ダイヤフラムをそれぞれ独立した圧力によりそれぞれ変形させ、各前記表示パネルをそれぞれ前記前面板の異なる位置に圧着させる圧着工程と、を含む、表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記前面板の曲面部分の曲率が全面に亘って一定である、請求項
5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記前面板が複数の曲面部分を有し、各曲面部分の曲率が異なる、請求項
5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記前面板が複数の曲面部分を有し、前記曲面部分には、凹面の曲面部分と、凸面の曲面部分とを含む請求項
5に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
湾曲した表面を有する表示装置が知られている。例えば特許文献1には、表面が湾曲した前面板であるカバーガラスを採用した技術が記載されている。
【0003】
カバーガラスに表示パネルを貼り合わせる、貼り合わせ方式としては、特許文献2に示すローラー方式と特許文献3に示すダイヤフラム方式に大別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-92422号公報
【文献】特開2016-179600号公報
【文献】特開2015-79587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に示すローラー方式の技術は、1つの前面板に対して、複数の表示パネルを貼り合わせると、ローラーが表示パネルの端から湾曲した表面に押しつけられ、表示パネルに部分的な伸び量の差が起こることから、表示パネルの表示品質が低下する可能性がある。
【0006】
特許文献3に示すダイヤフラム方式の技術は、複数の表示パネルを取り付けたダイヤフラムを使って貼り合わせると、前面板の凸部又は凹部に対して中央に配置された表示パネルは、表示パネルの端から湾曲した表面に押しつけられることがない。しかしながら、前面板の凸部又は凹部の端側に対して対向する位置に配置された表示パネルは、表示パネルの端から湾曲した表面に押しつけられ、表示パネルに部分的な伸び量の差が起こることから、表示パネルの表示品質が低下する可能性がある。
【0007】
本発明は、曲面部分を有する板状の第1ワークに対して、この第1ワークよりも小さい板状の第2ワークを複数貼り合わせても、第2ワークに生じる部分的な伸び量の差を抑制する圧着装置、及び表示パネルの表示品質低下が抑制された表示装置の製造方法のうち少なくとも1つを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様の圧着装置は、曲面部分を有する板状の第1ワークに対して、前記第1ワークよりも小さい板状の第2ワークを複数貼り合わせる、圧着装置であって、真空チャンバーと、前記真空チャンバー内に配置され、前記第1ワークにおける前記曲面部分の第1面と重ね合わせて固定し、前記第1面に沿う形状を有するステージと、内部の圧力により弾性を有するダイヤフラムを変形させて1つの前記第2ワークを前記第1ワークの第2面に圧着させる、貼付ユニットと、を備え、複数の前記貼付ユニットが、1つの前記ステージに対し、対向配置されている。
【0009】
他の態様の圧着装置は、曲面部分を有する板状の第1ワーク及び前記第1ワークよりも小さい板状の第2ワークを複数貼り合わせる、圧着装置であって、真空チャンバーと、前記第1ワークの形状を規制する規制機構と、前記真空チャンバー内に配置され、平坦な表面を有し、前記規制機構により前記第1ワークが前記表面に押しつけられるステージと、内部の圧力により弾性を有するダイヤフラムを変形させて1つの前記第2ワークを前記第1ワークの第2面に圧着させる、貼付ユニットと、を備え、複数の前記貼付ユニットが、1つの前記ステージに対し、対向配置されている。
【0010】
一態様の表示装置の製造方法は、曲面部分を有し、かつ透光性の前面板に対して、前記前面板よりも小さい表示パネルを複数貼り合わせる表示装置の製造方法であって、弾性を有する複数のダイヤフラムのそれぞれに、前記表示パネルを取り付け、前記ダイヤフラムと対向するステージに前記前面板を取り付ける準備工程と、前記準備工程の後で、複数の前記ダイヤフラムをそれぞれ独立した圧力によりそれぞれ変形させ、各前記表示パネルをそれぞれ前記前面板の異なる位置に圧着させる圧着工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る表示装置の模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る表示装置の模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る圧着装置の構成図である。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
【
図5】
図5は、比較例に係る圧着装置のダイヤフラムを説明するための説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態1の変形例1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る表示装置の模式的な断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る表示装置が模式的な平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る圧着装置の構成図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
【
図11】
図11は、実施形態3に係る圧着装置の構成図である。
【
図12】
図12は、実施形態3に係る圧着装置の規制機構を説明するための模式的な断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態3に係る圧着装置の規制機構を説明するための模式的な平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態3に係る圧着装置の規制機構の動作を説明するための模式的な断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態3に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
【
図16】
図16は、実施形態3の変形例1に係る圧着装置の規制機構を説明するための模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る表示装置の模式的な断面図である。
図2は、実施形態1に係る表示装置の模式的な平面図である。
図1は、
図2におけるI-I’断面である。
図1に示すように、実施形態1に係る表示装置3は、前面板1と、3つの表示パネル2と、を備える。前面板1には、
図2に示す間隔ΔLをあけて、3つの表示パネル2が貼り合わされている。表示パネル2は、平面視でみると、前面板1よりも小さい。
【0014】
前面板1は、表示パネル2を保護するカバー部材である。表示パネル2は、前面板1の一方側に配置され、不図示の粘着層を介して前面板1に取り付けられる。前面板1は、
図2に示すように正面からみて矩形であるが、形状を限定するものではない。
【0015】
図1に示すように、前面板1は、曲率R1で、全体に湾曲している。前面板1は、透光性を有するガラス又は合成樹脂である。このため、表示パネル2からの光は、前面板1を透過する。そして、視認者からは前面板1の表面に沿った表示面に、映像が表示されているようにみえる。
【0016】
表示パネル2は、例えば液晶パネル又は有機発光ダイオードパネル(以下、OLEDパネルという)である。液晶パネル又はOLEDパネルには、タッチパネルを含んでいてもよい。表示パネル2が液晶パネルの場合、表示パネル2の裏側にはバックライトが設けられる。表示パネル2は、ガラス等で形成された第1基板及び第2基板と、第1基板及び第2基板に挟まれた液晶層と、を備える。
【0017】
例えば、表示パネル2は正面からみて矩形である。表示パネル2は、湾曲しており、視認者からみて、表示パネル2の一方向の両端が一方向の中央より手前に位置する。
【0018】
図1に示すように、前面板1は、曲面部分の曲率が全面に亘って一定である。表示パネル2の前面が、前面板1の第2面1Rに貼り付けられている。
【0019】
以上説明した表示装置3を製造するために、実施形態1において、圧着装置100が用意されている。
図3は、実施形態1に係る圧着装置の構成図である。
図4は、実施形態1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。圧着装置100は、真空チャンバー5と、真空源51と、圧力源34と、ステージ10と、貼付ユニット20A、20B、20Cと、可動台60と、制御弁31、32、33、配管36、35、52、53及び制御装置30を備える。
【0020】
真空チャンバー5は、ステージ10と、貼付ユニット20A、20B、20Cと、可動台60と、を収容する容器である。真空源51は、ポンプであって、配管52を介して真空チャンバー5内の空気を排出し、真空チャンバー5内の圧力を大気より減圧する。
【0021】
ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、前面板1を曲面部分の表面に沿った固定部11に密着した状態で固定するための治具である。可動台60は、貼付ユニット20A、20B、20Cの位置決めをするための治具である。ステージ10と、可動台60との間隔は、適宜変更が可能となっている。
【0022】
貼付ユニット20Aは、台座21と、封止部材6と、ダイヤフラム4とを備える。封止部材6は、ダイヤフラム4の周に設けられ、台座21と、ダイヤフラム4との間の空間91を封止する部材である。
【0023】
空間91は、台座21と、封止部材6と、ダイヤフラム4とで密閉された空間であり、空間91には、配管36が挿入されている。
【0024】
図3に示すように、ダイヤフラム4が取り付けられる台座21の取り付け面は、貼付ユニット20Aが最小距離で対向するステージ10の固定面11Fの接線に沿っている。
【0025】
ダイヤフラム4は、弾性部材である。この弾性部材は、無圧力印加時において、膜厚の均一なシート状の合成ゴム、エラストマーなどで形成されている。弾性部材は、天然ゴムであってもよい。
【0026】
貼付ユニット20Bは、台座22と、封止部材6と、ダイヤフラム4とを備える。貼付ユニット20Bは、台座22の形状が貼付ユニット20Aと異なっている。
図3に示すように、貼付ユニット20Bにおいて、ダイヤフラム4が取り付けられる台座22の取り付け面が傾斜しており、取り付け面の傾斜角度は、貼付ユニット20Bが最小距離で対向するステージ10の固定面11Fの接線に沿っている。貼付ユニット20Bの封止部材6及びダイヤフラム4は、貼付ユニット20Aと同じであるので、説明を省略する。
【0027】
空間92は、台座22と、封止部材6と、ダイヤフラム4とで密閉された空間であり、空間92には、配管36が挿入されている。
【0028】
貼付ユニット20Cは、台座23と、封止部材6と、ダイヤフラム4とを備える。貼付ユニット20Cは、台座23の形状が貼付ユニット20Aと異なっている。
図3に示すように、貼付ユニット20Cにおいて、ダイヤフラム4が取り付けられる台座23の取り付け面が傾斜しており、取り付け面の傾斜角度は、貼付ユニット20Cが最小距離で対向するステージ10の固定面11Fの接線に沿っている。貼付ユニット20Cの封止部材6及びダイヤフラム4は、貼付ユニット20Aと同じであるので、説明を省略する。
【0029】
空間93は、台座23と、封止部材6と、ダイヤフラム4とで密閉された空間であり、空間93には、配管36が挿入されている。
【0030】
また、ステージ10の固定面11Fにおける法線上において、貼付ユニット20A、20B、20Cの表示パネル2及び前面板1の最小法線距離はそれぞれ等しくなっている。
【0031】
圧力源34は、ポンプであり、配管35、36を介して、空間91、92、93に気体を供給する。気体は、空気であっても、窒素などの気体であってもよい。
【0032】
真空チャンバー5内の圧力が減圧されると、貼付ユニット20A、20B、20Cと、ステージ10との間の空間が少なくとも減圧されている状態となる。
【0033】
制御弁31、32、33は、ソレノイドを有する電磁弁であり、制御装置30の指令に基づいて、ソレノイドが動作し、減圧状態と加圧状態とを切り替える。制御弁31、32、33は、2位置3ポートの仕様であるが、この仕様に限られない。例えば、制御弁31、32、33は、減圧状態、閉止状態、加圧状態のうちどれかを選択する3位置3ポートの仕様であってもよい。
【0034】
制御弁31、32、33は、減圧状態において、真空源51と、空間91、92、93のそれぞれを配管36及び配管53を介して接続する。制御弁31、32、33は、減圧状態において、圧力源34から気体を空間91、92、93のそれぞれに供給しない。
【0035】
制御弁31、32、33は、加圧状態において、圧力源34と、空間91、92、93のそれぞれを配管36及び配管35を介して接続する。制御弁31、32、33は、加圧状態において、圧力源34から供給された気体を空間91、92、93のそれぞれに供給する。
【0036】
制御装置30は、例えば、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置であるメモリとを少なくとも備えたコンピュータである。制御装置30は、これらのハードウェア資源を用いてコンピュータプログラムを実行することによって各種の機能を実現することもできる。
【0037】
具体的には、制御装置30は、所定の記憶部(図示せず)に記憶されているコンピュータプログラムを読み出してメモリに展開し、メモリに展開されたプログラムに含まれる命令をCPUに実行させる。実施形態1において、制御装置30は、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。また、制御装置30は、制御弁31、32、33の動作を制御して、空間91、92、93内の圧力を制御する。
【0038】
次に、上述した圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。まず、準備工程において、
図3に示すように、真空チャンバー5内のダイヤフラム4のそれぞれに、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。このとき、表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、ダイヤフラム4側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0039】
さらに、準備工程において、前面板1を固定部11に密着した状態で固定し、前面板1がステージ10に粘着層を介して取り付けられる。前面板1のステージ10への取り付けは、表示パネル2のダイヤフラム4への取り付けの前後どちらでもよく、同時でもよい。
【0040】
準備工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、制御弁31、32、33を減圧状態とし、真空源51を駆動して、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0041】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。
図4に示すように、制御装置30は、制御弁31、32、33を加圧状態とし、空間91、92、93内の圧力をそれぞれ大きくする。圧着工程において、真空チャンバー5内の圧力と、空間91、92、93内の圧力とに圧力差が生じ、ダイヤフラム4がそれぞれ変形する。これにより、空間91、92、93の体積が大きくなる。
【0042】
その結果、ダイヤフラム4とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、ダイヤフラム4に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。
【0043】
図5は、比較例に係る圧着装置のダイヤフラムを説明するための説明図である。
図5に示すように、複数の表示パネル2を取り付けたダイヤフラム4を使って貼り合わせると、前面板1の凸部又は凹部に対して中央に配置された表示パネル2は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられることがない。しかしながら、前面板1の凸部又は凹部の端側に対して対向する位置に配置された表示パネル2は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられ、個々の表示パネル2の片側にギャップGが生じる。これにより、前面板1の凸部又は凹部の端側に対して対向する位置に配置された表示パネル2に部分的な伸び量の差が起こることから、当該表示パネル2の表示品質が低下する可能性がある。
【0044】
これに対して、
図4に示すように、実施形態1において、複数の表示パネル2(3つの表示パネル2)は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられることがない。表示パネル2の中央から両端に向かって、表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされていくことになる。これにより、表示パネル2に部分的な伸び量の差が、表示パネル2の中央を挟んで両側に生じて、相殺される。その結果、表示パネル2の表示品質低下が抑制される。
【0045】
圧着工程において、空間91、92、93がさらに膨張すると、前面板1と、3つの表示パネル2の全面が貼り合わされる。圧着工程の後、剥離工程において、ダイヤフラム4が表示パネル2から剥離されるように、制御弁31、32、33が、加圧状態から減圧状態に切り替えられる。真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻され、
図1及び
図2に示す表示装置3が取り出される。
【0046】
製造された表示装置3は、例えば、車両のダッシュボードに取り付けられる。表示装置3は、前面板1の表面が湾曲していることにより、車両の曲面状の内装と表示装置3の表面とが滑らかに繋がるという利点がある。表示パネル2には、例えば、ナビゲーション、スピードメーター、タコメーター、燃料計及び水温計等が表示される。
【0047】
なお、表示装置3は、必ずしも車両に搭載されなくてもよく、携帯端末等のその他の電子機器に適用されてもよい。また、表示装置3が車両に搭載される場合でも、表示装置3が表示する映像は車両の計器類に限らず、例えばカーナビゲーションの地図等であってもよい。
【0048】
なお、表示パネル2は、有機ELパネルであってもよい。表示パネル2が有機ELパネルである場合、バックライトは必要ない。また表示パネル2は、タッチ検出機能を有していてもよい。すなわち、表示パネル2の内部又は表示パネル2の表面上にタッチパネルが設けられてもよい。
【0049】
なお、前面板1は、必ずしもガラスで形成されていなくてもよい。前面板1は、例えば透光性の合成樹脂で形成されていてもよい。
【0050】
以上で説明したように、圧着装置100は、真空チャンバー5と、ステージ10と、貼付ユニット20A、20B、20Cと、を備える。複数の貼付ユニット20A、20B、20Cが、1つのステージ10に対し、対向配置されている。ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、前面板1における曲面部分の第1面1Fと重ね合わせて固定し、第1面1Fに沿う形状を有する。貼付ユニット20A、20B、20Cは、それぞれ内部の圧力により弾性を有するダイヤフラム4を変形させて、それぞれ1つの表示パネル2を前面板1の第2面1Rに圧着させる。
【0051】
これにより、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。また、圧着装置100は、曲面部分を有する板状の第1ワークとしての前面板1に対して、板状の第2ワークである表示パネル2を同時に複数貼り合わせることもできる。これにより、表示装置3の製造時間が短縮され、表示装置3のコストが低減される。
【0052】
また、以上説明した表示装置3の製造方法によれば、貼付ユニット20A、20B、20Cは、それぞれ表示パネル2を前面板1に貼り合わせるので、表示パネル2を前面板1に押し当てる圧力が十分加えることができる。その結果、表示パネル2と、前面板1とが貼り合わせられた状態が安定し、表示品質の低下が抑制される。また、前面板1から表示パネル2が脱落しにくくなる。
【0053】
また、表示パネル2が液晶パネルである場合、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制されるので、アレイ基板と対向基板とのずれが抑制される。その結果、表示品質低下が抑制される。
【0054】
(実施形態1の変形例1)
図6は、実施形態1の変形例1に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。実施形態1の変形例1の説明において、実施形態1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0055】
実施形態1に係る圧着装置と同様に、実施形態1の変形例1に係る圧着装置100は、ステージ10の固定面11Fが曲面部分を有している。実施形態1の変形例1のステージ10は、実施形態1で説明した固定部11を有している。
【0056】
実施形態1に係る圧着装置と異なり、実施形態1の変形例1に係る圧着装置100は、実施形態1における貼付ユニット20Aを1つ備える。貼付ユニット20Aは、可動台60に案内機構29を介して取り付けられている。案内機構29は、
図6に示す前面板1の長手方向に沿って、方向FLと、方向FLと反対の方向FRとに、貼付ユニット20Aを移動可能に支持する直動案内機構である。そして、貼付ユニット20Aにおける、ダイヤフラム4のそれぞれに、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。
【0057】
なお、マスク9は、複数の表示パネル2を前面板1に貼り合わせたときに、貼り合わせ終わった表示パネル2に貼付ユニット20Aが当たる力を抑制する緩衝材である。
【0058】
この構造によれば、実施形態1と同様の作用効果を奏する。さらに、実施形態1の変形例1に係る圧着装置100であれば、複数種類の前面板1の大きさに対応して、任意の位置に表示パネル2を貼り合わせることができる。
【0059】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係る表示装置の模式的な断面図である。
図8は、実施形態2に係る表示装置が模式的な平面図である。
図7は、
図8におけるVI-VI’断面図である。実施形態2の説明において、実施形態1と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0060】
実施形態2に係る前面板1は、
図7に示すように、曲率R2の曲面部分15と、曲率R2とは異なる曲率R3の曲面部分16と、曲面部分15と曲面部分16とを接続する連結部17とを有している。すなわち、表示パネル2側からみて曲面部分15を凸面とすると、曲面部分16は凹面であり、視認者側からみて、曲面部分15を凹面とすると、曲面部分16は凸面であるように湾曲している。このように、前面板1は、複数の曲面部分15、16を有し、各曲面部分15、16の曲率が異なる。
【0061】
図7及び
図8に示すように、表示パネル2は、湾曲している。視認者からみて、曲面部分15に貼り付けられた表示パネル2の一方向の両端が長手の中央より手前に位置する。また、視認者からみて、曲面部分16に貼り付けられた表示パネル2の一方向の両端が一方向の中央より後ろ側に位置する。
【0062】
図9は、実施形態2に係る圧着装置の構成図である。ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、前面板1を曲面部分15、16の第1面1Fに沿った固定部11、12に密着した状態で固定するための治具である。固定部11は、可動台60側が膨らむ凸形状であり、固定部12は、可動台60側が凹む凹形状である。
【0063】
貼付ユニット20Dは、台座24と、封止部材6と、ダイヤフラム4とを備える。貼付ユニット20Dは、台座24の形状が貼付ユニット20Aと異なっている。具体的には、台座24は、台座21よりも厚い。貼付ユニット20Dの封止部材6及びダイヤフラム4は、貼付ユニット20Aと同じであるので、説明を省略する。
【0064】
図9に示すように、ダイヤフラム4が取り付けられる台座24の取り付け面は、貼付ユニット20Dが最小距離で対向する固定部12の固定面12Fの接線に沿っている。固定面11Fの法線上における、貼付ユニット20Aの表示パネル2及び前面板1の最小法線距離は、固定面12Fの法線上における、貼付ユニット20Dの表示パネル2及び前面板1の最小法線距離に等しくなっている。
【0065】
空間94は、台座24と、封止部材6と、ダイヤフラム4とで密閉された空間であり、空間94には、配管36が挿入されている。
【0066】
次に、上述した圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。まず、準備工程において、
図9に示すように、真空チャンバー5内のダイヤフラム4のそれぞれに、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。このとき、表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、ダイヤフラム4側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0067】
さらに、準備工程において、前面板1を固定部11、12に密着した状態で固定し、前面板1がステージ10に粘着層を介して取り付けられる。前面板1のステージ10への取り付けは、表示パネル2のダイヤフラム4への取り付けの前後どちらでもよく、同時でもよい。
【0068】
準備工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、制御弁31、32を減圧状態とし、真空源51を駆動して、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0069】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。
図10に示すように、制御装置30は、制御弁31、32を加圧状態とし、空間91、94内の圧力をそれぞれ大きくする。圧着工程において、真空チャンバー5内の圧力と、空間91、94内の圧力とに圧力差が生じ、ダイヤフラム4がそれぞれ変形する。これにより、空間91、94の体積が大きくなる。
【0070】
その結果、ダイヤフラム4とステージ10の固定部11、12との距離が小さくなり、ダイヤフラム4に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。
【0071】
図10に示すように、実施形態2において、2つの表示パネル2は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられることがない。表示パネル2の中央から両端に向かって、表示パネル2と、前面板1とが貼り合わされていくことになる。これにより、表示パネル2に部分的な伸び量の差が、表示パネル2の中央を挟んで両側に生じて、相殺される。その結果、表示パネル2の表示品質低下が抑制される。
【0072】
圧着工程において、空間91、94がさらに膨張すると、前面板1と、2つの表示パネル2の全面が貼り合わされる。圧着工程の後、剥離工程において、ダイヤフラム4が表示パネル2から剥離されるように、制御弁31、32が、加圧状態から減圧状態に切り替えられる。ダイヤフラム4が表示パネル2から剥離された後、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻され、
図7及び
図8に示す表示装置3が取り出される。
【0073】
以上で説明したように、圧着装置100は、真空チャンバー5と、ステージ10と、貼付ユニット20A、20Dと、を備える。ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、前面板1の第1面1Fと重ね合わせて固定し、第1面1Fに沿う形状を有する。貼付ユニット20A、20Dは、それぞれ内部の圧力により弾性を有するダイヤフラム4を変形させて、それぞれ1つの表示パネル2を前面板1の第2面1Rに圧着させる。
【0074】
これにより、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。また、圧着装置100は、曲面部分を有する板状の第1ワークとしての前面板1に対して、板状の第2ワークである表示パネル2を同時に複数貼り合わせることもできる。これにより、表示装置3の製造時間が短縮され、表示装置3のコストが低減される。
【0075】
台座21と、台座24との厚みを変えることで、可動台60からの距離が異なる曲面部分15と、曲面部分16にもそれぞれ表示パネル2を押し当てる圧力を十分に加えることができる。その結果、凹凸のある形状の前面板1であっても、複数の表示パネル2を貼り付けることができる。また、前面板1から表示パネル2が脱落しにくくなる。
【0076】
(実施形態3)
図11は、実施形態3に係る圧着装置の構成図である。実施形態3の説明において、実施形態1又は実施形態2と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0077】
実施形態3に係る圧着装置は、ステージ10の表面10Fが平面である。実施形態3のステージ10は、実施形態1で説明した固定部11を有していない。
【0078】
圧着装置100は、真空チャンバー5と、真空源51と、圧力源34と、ステージ10と、3つの貼付ユニット20Fと、可動台60と、制御弁31、32、33、配管36、35、52、53、規制機構40、保持部材43及び制御装置30を備える。そして、貼付ユニット20Fにおける、ダイヤフラム4のそれぞれに、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。
【0079】
規制機構40は、前面板1の曲面を平面に変形させた状態に規制する。
図12は、実施形態3に係る圧着装置の規制機構を説明するための模式的な断面図である。
図13は、実施形態3に係る圧着装置の規制機構を説明するための模式的な平面図である。
図12は、
図13のXI-XI’断面である。
図14は、実施形態3に係る圧着装置の規制機構の動作を説明するための模式的な断面図である。
図15は、実施形態3に係る圧着装置の動作を説明するための構成図である。
【0080】
図12及び
図13に示すように、規制機構40は、支持棒42と、支持棒42の端部に取り付けられた爪部41とを備える。支持棒42は、ステージ10を貫通する貫通孔10H内に配置され、不図示のモータなどの駆動装置により上下に駆動される。爪部41は、平面視で支持棒42よりも張り出しており、前面板1の縁を引っ掛ける長さを有している。
【0081】
図12及び
図13に示すように、保持部材43は、輪状であり、合成ゴム、エラストマーなどで形成されている。保持部材43は、ステージ10を貫通する貫通孔10h内を通り、前面板1をステージ10側へ押すように、ステージ10に前面板1を保持する。
【0082】
次に、実施形態3の圧着装置100を用いた表示装置の製造方法について、説明する。
【0083】
制御弁31、32、33は、減圧状態において、圧力源34から配管35を介して供給された気体を配管36に供給しない。制御弁31、32、33は、減圧状態において、真空源51と、空間96のそれぞれを配管36及び配管53を介して接続する。制御弁31、32、33は、加圧状態において、圧力源34と、空間96のそれぞれを配管36及び配管35を介して接続する。制御弁31、32、33は、加圧状態において、圧力源34から供給された気体を空間96のそれぞれに供給する。
【0084】
まず、準備工程において、
図11に示すように、真空チャンバー5内のダイヤフラム4に、粘着層を介して、それぞれ1つの表示パネル2を取り付ける。このとき、表示パネル2には、前面板1と対向する側にも粘着層を貼っておくようにする。また、ダイヤフラム4側の粘着層は、前面板1と対向する側の粘着層よりも粘着力が小さくなっている。
【0085】
さらに、準備工程において、前面板1に規制機構40を上から当接させる。また、前面板1は、保持部材43とステージ10との間に挿入される。
【0086】
準備工程の後、平坦化工程において、
図14に示す爪部41がステージ10に近づくように、規制機構40が下方に移動する。ダイヤフラム4の変形前において、貼付ユニット20Fの第2ワークである表示パネル2は、第1ワークである前面板1に対して平行に配置されている。
【0087】
平坦化工程の後において、真空チャンバー5内の減圧を行う減圧工程を行う。制御装置30は、制御弁31、32、33を減圧状態とし、真空源51を駆動して、真空源51の動作を制御して、真空チャンバー5内の圧力を制御する。
【0088】
真空チャンバー5内の圧力が所定圧力となった後において、前面板1に表示パネル2を貼り合わせる圧着工程を行う。制御装置30は、制御弁31、32、33を加圧状態とし、空間96内の圧力をそれぞれ大きくする。圧着工程において、真空チャンバー5内の圧力と、空間96内の圧力とに圧力差が生じ、ダイヤフラム4が変形する。これにより、空間96の体積が大きくなる。
【0089】
その結果、ダイヤフラム4とステージ10の固定部11との距離が小さくなり、ダイヤフラム4に取り付けられた表示パネル2と、前面板1とが当接する。このとき、前面板1は、平坦な板状である。このため、
図15に示すように、複数の表示パネル2(3つの表示パネル2)は、表示パネル2の端から湾曲した表面に押しつけられることがない。圧着工程において、空間96がさらに膨張すると、前面板1と、3つの表示パネル2の全面が貼り合わされる。
【0090】
圧着工程の後、剥離工程において、ダイヤフラム4が表示パネル2から剥離されるように、制御弁31が、加圧状態から減圧状態に切り替えられる。ダイヤフラム4が表示パネル2から剥離された後、
図12に示すように、爪部41がステージ10から遠ざかるように、規制機構40が上方に移動する。これにより、前面板1が自身の弾性で形状を復元し、曲面部分が発現する。その結果、前面板1の曲面に応じ、前面板1の第2面1Rの形状に沿って表示パネル2が変形する。そして、真空チャンバー5内の圧力が大気圧に戻され、
図1及び
図2に示す表示装置3が取り出される。
【0091】
以上で説明したように、圧着装置100は、真空チャンバー5と、規制機構40と、ステージ10と、複数の貼付ユニット20Fと、を備える。規制機構40は、前面板1の形状を規制する。ステージ10は、真空チャンバー5内に配置され、平坦な表面10Fを有する。ステージ10は、規制機構40により、前面板1が押しつけられる。複数の貼付ユニット20Fは、それぞれ内部の圧力により弾性を有するダイヤフラム4を変形させて、3つの表示パネル2を前面板1の第2面1Rに圧着させる。1つのダイヤフラム4には、1つの第2ワークである表示パネル2が取り付けられ、貼付ユニット20Fが、ステージ10に対向して複数配置されている。
【0092】
これにより、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。また、圧着装置100は、曲面部分を有する板状の第1ワークとしての前面板1に対して、板状の第2ワークである表示パネル2を同時に複数貼り合わせる。これにより、表示装置3の製造時間が短縮され、表示装置3のコストが低減される。
【0093】
あるいは、複数の貼付ユニット20Fのダイヤフラム4を1つずつ変形させて、第2ワークである表示パネル2を第1ワークである前面板1の第2面1Rに圧着させることも可能である。
【0094】
これにより、複数のダイヤフラム4を1つずつ変形させることで、貼付位置精度を向上させ、表示品位の低下を抑制できる。そして、表示パネル2に生じる部分的な伸び量の差が抑制される。
【0095】
前面板1の曲面部分の曲率が全面に亘って一定である例について説明したが、実施形態2のように、前面板1の曲面部分が複数あってもよい。また、前面板1は、異なる曲率を有する曲面部分を有していてもよい。また、前面板1は、複数の曲面部分を有し、これら曲面部分には、凹面の曲面部分と、凸面の曲面部分とを含むようにしてもよい。
【0096】
以上説明したように、表示装置3の製造方法によれば、曲面部分を有し、かつ透光性の前面板1に対して、前面板1よりも小さい表示パネル2を複数貼り合わせることができる。表示装置3の製造方法は、準備工程と、平坦化工程と、圧着工程とを含む。準備工程は、弾性を有する少なくとも1つのダイヤフラム4に、表示パネル2を取り付け、ダイヤフラム4と対向する平坦なステージ10に前面板1を取り付ける。平坦化工程は、準備工程の前又は後で、前面板1を平坦な板状に変形させる。圧着工程は、平坦化工程の後で、ダイヤフラム4を圧力により変形させ、各表示パネル2をそれぞれ前面板1の異なる位置に圧着させる。
【0097】
これにより、前面板1の第2面1Rが平坦であるので、表示パネル2を前面板1に押し当てる圧力が面内で均一になり易い。その結果、表示パネル2の表示品質低下が抑制される。
【0098】
(実施形態3の変形例1)
図16は、実施形態3の変形例1に係る圧着装置の規制機構を説明するための模式的な平面図である。実施形態3の変形例1の説明において、実施形態1、実施形態1の変形例1、実施形態2又は実施形態3と同じ構成要素については、同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0099】
実施形態3に係る圧着装置と同様に、実施形態3の変形例1に係る圧着装置100は、ステージ10の表面10Fが平面である。実施形態3の変形例1のステージ10は、実施形態1で説明した固定部11を有していない。
【0100】
実施形態3に係る圧着装置と異なり、実施形態3の変形例1に係る圧着装置100は、実施形態1における貼付ユニット20Aと同じ構成の、貼付ユニット20Gを1つ備える。貼付ユニット20Gは、可動台60に案内機構29を介して取り付けられている。案内機構29は、
図16に示す前面板1の長手方向に沿って、方向FLと、方向FLと反対の方向FRとに、貼付ユニット20Gを移動可能に支持する直動案内機構である。そして、貼付ユニット20Gにおける、ダイヤフラム4のそれぞれに、粘着層を介して表示パネル2を取り付ける。
【0101】
この構造によれば、実施形態3と同様の作用効果を奏する。さらに、実施形態3の変形例1に係る圧着装置100であれば、複数種類の前面板1の大きさに対応して、任意の位置に表示パネル2を貼り合わせることができる。
【0102】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【0103】
以上説明した構成は、以下の態様をとることができる。
曲面部分を有し、かつ透光性の前面板に対して、前記前面板よりも小さい表示パネルを複数貼り合わせる表示装置の製造方法であって、
弾性を有する少なくとも1つのダイヤフラムに、前記表示パネルを取り付け、前記ダイヤフラムと対向する平坦なステージに前記前面板を取り付ける準備工程と、
前記準備工程の前又は後で、前記前面板を平坦な板状に変形させる平坦化工程と、
前記平坦化工程の後で、複数の前記ダイヤフラムをそれぞれ独立した圧力によりそれぞれ変形させ、各前記表示パネルをそれぞれ前記前面板の異なる位置に圧着させる圧着工程と、を有する、表示装置の製造方法。
【符号の説明】
【0104】
1 前面板
1F 第1面
1R 第2面
2 表示パネル
3 表示装置
4 ダイヤフラム
5 真空チャンバー
6 封止部材
9 マスク
10 ステージ
10H、10h 貫通孔
10F 表面
11 固定部
11F 固定面
12 固定部
12F 固定面
15 曲面部分
16 曲面部分
17 連結部
20A、20B、20C、20D、20F、20G 貼付ユニット
21、22、23、24 台座
29 案内機構
30 制御装置
31、32、33 制御弁
34 圧力源
35、36 配管
40 規制機構
41 爪部
42 支持棒
43 保持部材
51 真空源
52、53 配管
60 可動台
91、92、93、94、95、96 空間
100 圧着装置