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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】カラオケシステム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20220526BHJP
【FI】
G10K15/04 302D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018086658
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019191473
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀久
【審査官】辻 勇貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198923(JP,A)
【文献】特表2007-535700(JP,A)
【文献】特開2015-118243(JP,A)
【文献】特開2016-071087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者で利用するカラオケシステムであって、
一の利用者間のカラオケ歌唱の評価結果を共有する、特定の他の利用者の識別情報を共有情報として記憶する情報記憶部と、
前記複数の利用者が前記カラオケシステムにログインする処理を行うログイン処理部と、
前記ログインを行ったある利用者がカラオケ歌唱を行う場合、前記カラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の識別情報である共有情報を取得する取得部と、
前記ある利用者のカラオケ歌唱により得られる歌唱音声信号を分析して、評価結果を取得する歌唱評価部と、
取得した前記共有情報に基づいて、前記ログインを行った利用者のうち、前記評価結果を通知する他の利用者を決定する決定部と、
前記ある利用者、及び決定された前記他の利用者が所有する携帯端末に対し、前記評価結果を通知する通知部と、
を有するカラオケシステム。
【請求項2】
前記通知部は、取得した前記共有情報が、前記ログインを行った他の利用者全ての利用者IDを含む場合、前記携帯端末に対して前記評価結果を通知する代わりに、ログインを行った前記複数の利用者が視認可能な表示装置に前記評価結果を表示させることを特徴とする請求項1記載のカラオケシステム。
【請求項3】
前記情報記憶部は、利用者から投稿された歌唱動画を他の特定の利用者にのみ閲覧可能とするための登録情報に基づいて、歌唱動画を投稿した利用者のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の識別情報を共有情報として記憶することを特徴とする請求項1または2に記載のカラオケシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケ装置は、利用者のカラオケ歌唱により得られた歌唱音声信号を分析し、歌唱評価を行う機能を有する。カラオケ装置は、利用者に対し、評価結果(採点値、歌唱分析の結果、評価コメント等)を通知する。評価結果の通知は、一般的に、カラオケ歌唱の終了後、カラオケ装置の表示装置に表示することにより行われる。
【0003】
ところで、複数人でカラオケ装置を利用する際、カラオケ装置の表示装置に評価結果が表示されると、ある利用者の評価結果が他の利用者全てに知られてしまう。そのため、利用者によっては恥ずかしい思いをすることがある。或いは、会社の上司と部下のようなお互いに気を遣う者同士でカラオケ歌唱を行った際に、部下に比べて上司の評価結果が低いこともあり得る。そのような評価結果がカラオケ装置の表示装置に表示されてしまうと、場の雰囲気が気まずくなり、お互いにカラオケ歌唱を楽しむことができない可能性がある。
【0004】
そこで、特許文献1には、利用者の携帯電話機を用い、評価対象である利用者(カラオケ歌唱を行う利用者)に対し、個別に演奏評価結果を通知するカラオケ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-85481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、カラオケ歌唱の評価結果を他の利用者に開示したいかどうかは、他の利用者との関係によるところが大きい。すなわち、会社の上司と部下のような関係や余り親しくない相手であれば評価結果を見られたくないと考える利用者がいる一方、会社の同期や親しい友人同士であれば、評価結果を見られても構わないと考える利用者も多くいる。
【0007】
本発明の目的は、カラオケ歌唱を行う利用者が自己の採点結果を知らせても構わない相手に対してのみ当該評価結果を通知することが可能なカラオケシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、複数の利用者で利用するカラオケシステムであって、一の利用者のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の識別情報を共有情報として記憶する情報記憶部と、前記複数の利用者が前記カラオケシステムにログインする処理を行うログイン処理部と、前記ログインを行ったある利用者がカラオケ歌唱を行う場合、前記カラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の識別情報である共有情報を取得する取得部と、前記ある利用者のカラオケ歌唱により得られる歌唱音声信号を分析して、評価結果を取得する歌唱評価部と、取得した前記共有情報に基づいて、前記評価結果を通知する前記他の利用者を決定する決定部と、前記ある利用者、及び決定された前記他の利用者が所有する携帯端末に対し、前記評価結果を通知する通知部と、を有するカラオケシステムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カラオケ歌唱を行う利用者が自己の採点結果を知らせても構わない相手に対してのみ当該評価結果を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るカラオケシステムの概略を示す図である。
図2】実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】サーバ装置で記憶される共有情報の例を示す図である。
図4】実施形態に係るカラオケ装置のハードウェア構成例を示す図である。
図5】実施形態に係るカラオケ装置のソフトウェア構成例を示す図である。
図6】実施形態に係るカラオケシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
図1図6を参照して、実施形態に係るカラオケシステムについて説明する。
【0012】
==カラオケシステム==
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1は、カラオケ装置K、及びサーバ装置Sを備える。カラオケ装置Kとサーバ装置Sとは、ネットワークNを介して通信可能となっている。ネットワークNは、たとえば公衆電話回線網やインターネット回線等の伝送路である。また、カラオケ装置Kは、利用者が所有する携帯端末と通信可能となっている。
【0013】
本実施形態において、利用者U1~利用者U5は、携帯端末M1~携帯端末M5を所有している。携帯端末は、一般的なスマートフォンやタブレット端末である。携帯端末には、カラオケ装置Kを利用する際に使用する専用アプリケーションソフトウェア(以下、「カラオケアプリ」)がインストールされている。カラオケアプリは、サーバ装置Sや、サーバ装置Sが提供するWebサイトからダウンロードすることで入手できる。
【0014】
携帯端末とカラオケ装置Kは、ペアリングされることで互いに通信可能となる。ペアリングは公知の手法を利用することができる。ペアリングは、たとえば、カラオケ装置Kが設置されたカラオケルームへの入室後、カラオケアプリを起動させた場合に実行される。ペアリングされた後、利用者は、カラオケアプリを利用して、たとえばカラオケ装置Kに付属するリモコン装置と同様の操作(楽曲の予約等)を行うことができる。
【0015】
==サーバ装置==
サーバ装置Sは、カラオケ装置Kに関する各種情報を管理したり、カラオケ装置Kから送信される情報の処理を行うコンピュータである。図2はサーバ装置Sのハードウェア構成例を示す図である。サーバ装置Sは、記憶部10、通信部20、及び制御部30を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0016】
記憶部10は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置である。本実施形態に係る記憶部10の記憶領域の一部は、情報記憶部10aとして機能する。
【0017】
情報記憶部10aは、共有情報を記憶する。共有情報は、利用者が使用している各種サービスやSNSの登録情報に基づいて設定される。たとえば、ある利用者がカラオケ歌唱を撮影して投稿した歌唱動画を、他の特定の利用者のみ閲覧可能とするサービスが存在する(「DAM★とも」が提供する「ともだち」サービス(株式会社第一興商)。http://www.clubdam.com/app/damtomo/common/support.do?type=damtomo&source=mypage#friends&subType=support)。サーバ装置Sは、このサービスの登録情報に基づき、ある利用者の歌唱動画を閲覧できる他の利用者については、当該ある利用者のカラオケ歌唱の評価結果を共有する利用者として判断し、その旨を共有情報として情報記憶部10aに記憶させる。
【0018】
なお、カラオケ歌唱の評価結果は、ある利用者がカラオケ歌唱した際にカラオケ装置Kで得られる採点値、歌唱分析の結果(たとえば、音程の正確性、安定性、歌唱技法等の歌唱表現力の評価)、評価コメント等である。
【0019】
ここで、たとえば、利用者U2、利用者U3、利用者U5、利用者Ux、利用者Uy、及び利用者Uzは、いずれも利用者U1の歌唱動画を閲覧できる利用者であるとする。この場合、情報記憶部10aは、各利用者が利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果を共有する利用者である旨を共有情報として記憶する。
【0020】
図3は、情報記憶部10aに記憶される利用者U1の共有情報を示した図である。共有情報は、各利用者の識別情報(利用者ID)により管理される。この例では、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果が、利用者U2、利用者U3、利用者U5、利用者Ux、利用者Uy、及び利用者Uzとの間で共有されている。すなわち、利用者U1は、利用者U2、利用者U3、利用者U5、利用者Ux、利用者Uy、及び利用者Uzには評価結果を知られても構わないと考えている。一方、利用者U1は、それ以外の利用者には評価結果を知られたくないと考えている。
【0021】
なお、共有情報は、利用者がカラオケ装置Kを利用する前に予め設定してもよい。たとえば、利用者U1は、携帯端末M1を利用してサーバ装置Sが提供する専用のWebサイトにアクセスし、当該Webサイト上で評価結果を共有する利用者の設定を行う。サーバ装置Sは、利用者U1により設定された情報を共有情報として情報記憶部10aに記憶させる。
【0022】
通信部20は、サーバ装置Sとカラオケ装置Kまたは各携帯端末とを接続するためのインターフェースを提供する。制御部30は、サーバ装置Sにおける各種の制御を行う。制御部30は、CPUおよびメモリ(いずれも図示なし)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0023】
たとえば、制御部30は、カラオケ装置Kからの要求に基づいて、ログインを行ったある利用者がカラオケ歌唱を行う場合、当該ある利用者のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の利用者IDのうち、ログインを行った利用者の利用者IDを共有情報として送信する(詳細は後述)。
【0024】
==カラオケ装置==
[ハードウェア構成]
カラオケ装置Kは、楽曲のカラオケ演奏、及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
【0025】
図4に示すように、カラオケ装置Kは、カラオケ本体40、スピーカ50、表示装置60、マイク70、及びリモコン装置80を備える。
【0026】
スピーカ50はカラオケ本体40からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置60はカラオケ本体40からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク70は利用者の歌唱音声(マイク70への入力音声)をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体40に入力するための構成である。リモコン装置80は、カラオケ本体40に対する各種操作をおこなうための装置である。利用者はリモコン装置80を用いてカラオケ歌唱を希望する楽曲の検索や選曲(予約)等を行うことができる。リモコン装置80の表示画面には各種操作の指示入力を行うためのアイコン等が表示される。
【0027】
カラオケ本体40は、選曲された楽曲のカラオケ演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク70を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。図4に示すように、カラオケ本体40は、制御部41、通信部42、記憶部43、音響処理部44、表示処理部45、及び操作部46を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0028】
制御部41は、CPUおよびメモリ(いずれも図示なし)を備える。CPUは、メモリに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリは、CPUに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。
【0029】
通信部42は、ルーター(図示なし)を介してカラオケ本体40を通信回線に接続するためのインターフェースを提供する。
【0030】
記憶部43は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。たとえば、記憶部43は、カラオケ装置Kにおいてカラオケ演奏を行うための複数の楽曲(楽曲データ)を記憶する。
【0031】
音響処理部44は、制御部41の制御に基づき、楽曲に対するカラオケ演奏の制御およびマイク70を通じて入力された歌唱音声信号の処理を行う。表示処理部45は、制御部41の制御に基づき、表示装置60やリモコン装置80における各種表示に関する処理を行う。たとえば、表示処理部45は、カラオケ演奏時における背景映像に歌詞テロップや各種アイコンが重ねられた映像を表示装置60に表示させる。或いは、表示処理部45は、リモコン装置80の表示画面に操作入力用の各種アイコンを表示させる。
【0032】
操作部46は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路などからなり、利用者によるカラオケ装置Kのパネルスイッチあるいはリモコン装置80の操作に応じて選曲信号、演奏中止信号などの操作信号を制御部41に対して出力する。制御部41は、操作部46からの操作信号を検出し、対応する処理を実行する。
【0033】
[ソフトウェア構成]
図5はカラオケ本体40のソフトウェア構成例を示す図である。カラオケ本体40は、ログイン処理部100、取得部200、歌唱評価部300、決定部400、及び通知部500を備える。ログイン処理部100、取得部200、歌唱評価部300、決定部400、及び通知部500は、CPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
【0034】
(ログイン処理部)
ログイン処理部100は、複数の利用者がカラオケシステム1にログインする処理を行う。
【0035】
利用者は、カラオケシステム1の利用にあたって、最初にログイン操作(自己の利用者IDやパスワードの入力)を行なう。具体的に、利用者は、自己の携帯端末でカラオケアプリを起動させてペアリングが完了した後、利用者ID及びパスワードを入力する。携帯端末は、入力された利用者ID及びパスワードをカラオケ装置Kに送信する。ログイン処理部100は、受信した利用者ID及びパスワードに基づいて当該利用者IDに対応する利用者がカラオケシステム1にログインする処理を行う。ログイン処理を行うことにより、カラオケシステム1は、現在、カラオケ装置Kを利用している利用者を特定することができる。複数の利用者でカラオケシステム1を利用する場合、利用者毎にログイン操作を行う。なお、利用者は、リモコン装置80を用いてログイン操作を行ってもよい。
【0036】
(取得部)
取得部200は、ログインを行ったある利用者がカラオケ歌唱を行う場合、当該ある利用者のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の利用者IDのうち、ログインを行った利用者の利用者IDを共有情報として取得する。
【0037】
たとえば、利用者U1~利用者U5がログイン操作を行ったとする。その後、利用者U1がカラオケ歌唱を行ったとする。また、サーバ装置S(情報記憶部10a)には図3に示した共有情報が記憶されているとする。
【0038】
この場合、取得部200は、利用者U1~利用者U5の利用者IDをカラオケ装置Kの装置識別IDと併せてサーバ装置Sに送信し、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果を共有する利用者の利用者IDを共有情報として要求する。なお、取得部200は、カラオケ歌唱を行う利用者U1と他の利用者U2~U5とを区別できるよう利用者IDを送信する。
【0039】
サーバ装置Sの制御部30は、情報記憶部10aを参照し、取得部200からの要求に対応する共有情報を抽出する。ここで、図3の例によれば、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果を共有する利用者は、利用者U2、利用者U3、利用者U5、利用者Ux、利用者Uy、及び利用者Uzである。一方、カラオケ装置Kから送信されたのは、利用者U2、利用者U3、利用者U4、及び利用者U5の利用者IDである。従って、制御部30は、利用者U2、利用者U3、及び利用者U5の利用者IDを共有情報として装置識別IDが示すカラオケ装置Kに送信する。このようにして、取得部200は共有情報を取得することができる。利用者U1は「ある利用者」の一例であり、利用者U2~利用者U5は「他の利用者」の一例である。
【0040】
(歌唱評価部)
歌唱評価部300は、ある利用者のカラオケ歌唱により得られる歌唱音声信号を分析して、評価結果を取得する。
【0041】
カラオケ歌唱に基づく評価結果の取得は、公知の手法を用いることができる。たとえば、歌唱評価部300は、マイク70で入力された歌唱音声信号から、ピッチ(音高)データ、音量データ等の歌唱音声データを抽出し、楽曲のリファレンスデータと比較することにより、採点値を得ることができる。
【0042】
また、歌唱評価部300は、音程の正確性、安定性、歌唱技法等の歌唱表現力の評価を行うこともできる。歌唱評価部300は、歌唱音声信号から歌唱音声のタイミング(リズム)、音高、音量などのパターンを検出することで歌唱表現力の評価を行うことができる。
【0043】
(決定部)
決定部400は、取得した共有情報に基づいて、評価結果を通知する他の利用者を決定する。
【0044】
上記例によれば、取得部200は、利用者U1の共有情報である利用者U2、利用者U3、及び利用者U5の利用者IDを取得する。この共有情報によれば、利用者U1は、一緒にカラオケ装置Kを利用している利用者U2~利用者U5のうち、利用者U2、利用者U3、及び利用者U5に対しては自己の評価結果を知らせてもよいと考えていることとなる。従って、決定部400は、評価結果を通知する他の利用者として利用者U2、利用者U3、及び利用者U5を決定する。決定部400は、利用者U2、利用者U3、及び利用者U5それぞれの利用者IDを通知部500に出力する。
【0045】
(通知部)
通知部500は、ある利用者、及び決定された他の利用者が所有する携帯端末に対し、評価結果を通知する。
【0046】
たとえば、評価結果を通知する他の利用者として利用者U2、利用者U3、及び利用者U5が決定されたとする。この場合、通知部500は、カラオケ装置Kとペアリングされている携帯端末M1(利用者U1が所有)、携帯端末M2(利用者U2が所有)、携帯端末M3(利用者U3が所有)、及び携帯端末M5(利用者U5が所有)に対し、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果を送信する。各利用者は、自己の携帯端末で利用者U1の評価結果を確認できる。一方、通知部500は、利用者U1が評価結果を共有したいとは考えていない利用者U4(携帯端末M4)に対しては評価結果の送信を行わない。従って、利用者U1は、利用者U4に自己の評価結果を知られることは無い。
【0047】
なお、取得部200で取得した共有情報が、ログインを行った他の利用者全ての利用者IDを含むこともありうる。
【0048】
上記例であれば、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果が、利用者U2~利用者U5全員との間で共有される場合である。すなわち、利用者U1は、カラオケ装置Kを利用している利用者全てに対して自己の評価結果を知られても構わないと考えていることとなる。
【0049】
従って、通知部500は、携帯端末に対して評価結果を通知する代わりに、ログインを行った複数の利用者が視認可能な表示装置(たとえば、カラオケ装置Kが備える表示装置60)に評価結果を表示させることができる。
【0050】
==カラオケシステムにおける処理について==
次に、図6を参照して本実施形態に係るカラオケシステム1における処理の具体例について述べる。図6は、カラオケシステム1における処理例を示すフローチャートである。この例では、利用者U1~利用者U5がカラオケ装置Kを利用する。また、サーバ装置Sの情報記憶部10aは、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の利用者IDを利用者U1の共有情報として記憶しているとする。
【0051】
各利用者は、自己の携帯端末においてカラオケアプリを起動させ、カラオケ装置Kとペアリングを行い、且つカラオケシステム1に対してログイン操作を行う。
【0052】
ログイン処理部100は、利用者U1~利用者U5がカラオケシステム1にログインする処理を行う(ログイン処理。ステップ10)。
【0053】
その後、利用者U1がカラオケ歌唱を開始したとする。
【0054】
この場合、取得部200は、カラオケ歌唱を行う利用者U1と他の利用者U2~利用者U5の利用者IDを区別できるようにサーバ装置Sに送信する(各利用者の利用者IDを送信。ステップ11)。
【0055】
サーバ装置S(制御部30)は、ステップ11で送信された利用者IDに基づいて、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果を共有する利用者の利用者IDを、利用者U1の共有情報としてカラオケ装置Kに送信する(評価結果を共有する利用者IDを共有情報として送信。ステップ12)。
【0056】
取得部200は、ステップ12で送信された共有情報を取得する(共有情報の取得。ステップ13)。
【0057】
歌唱評価部300は、利用者U1のカラオケ歌唱により得られる歌唱音声信号を分析して、評価結果を取得する(評価結果の取得。ステップ14)。
【0058】
決定部400は、ステップ13で取得した共有情報に基づいて、評価結果を通知する利用者を決定する(評価結果を通知する利用者の決定。ステップ15)。なお、ステップ14とステップ15は逆の順番で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0059】
ここで、ステップ13で取得した共有情報が、利用者U1とステップ10でログインを行った全ての他の利用者(利用者U2~利用者U5)の利用者IDを含まない場合(ステップ16でNの場合)、通知部500は、利用者U1、及びステップ15で決定された利用者が所有する携帯端末に対し、評価結果を通知する(一部の利用者に対して評価結果を通知。ステップ17)。
【0060】
一方、ステップ13で取得した共有情報が、ステップ10でログインを行った全ての他の利用者(利用者U2~利用者U5)の利用者IDを含む場合(ステップ16でYの場合)、通知部500は、携帯端末に対して評価結果を通知する代わりに、表示装置60に評価結果を表示させる(表示装置に評価結果を表示。ステップ18)。
【0061】
このように、本実施形態に係るカラオケシステム1は複数の利用者で利用する。カラオケシステム1は、サーバ装置S及びカラオケ装置Kを有する。サーバ装置Sは、ある利用者のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の識別情報を共有情報として記憶する情報記憶部10aを有する。カラオケ装置Kは、ログイン処理部100、取得部200、歌唱評価部300、決定部400、及び通知部500を有する。ログイン処理部100は、複数の利用者がカラオケシステム1にログインする処理を行う。取得部200は、ログインを行った利用者U1がカラオケ歌唱を行う場合、利用者U1のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者の識別情報である共有情報を取得する。歌唱評価部300は、利用者U1のカラオケ歌唱により得られる歌唱音声信号を分析して、評価結果を取得する。決定部400は、取得した共有情報に基づいて、評価結果を通知する他の利用者を決定する。通知部500は、利用者U1、及び決定された他の利用者が所有する携帯端末に対し、評価結果を通知する。
【0062】
このようなカラオケシステム1によれば、カラオケ歌唱を行う利用者のカラオケ歌唱の評価結果を共有する他の利用者を示す共有情報に基づいて、評価結果を通知する利用者を決定できる。従って、各利用者は、一緒にカラオケ装置Kを利用する利用者が誰かに関わらず、カラオケ歌唱の評価結果を知らせても構わない利用者に対してのみこれを提供できる。すなわち、本実施形態に係るカラオケシステム1によれば、カラオケ歌唱を行う利用者が自己の評価結果を知らせても構わない相手に対してのみ当該評価結果を通知することができる。
【0063】
また、通知部500は、取得した共有情報が、ログインを行った他の利用者全ての識別情報を含む場合、携帯端末に対して評価結果を通知する代わりに、ログインを行った複数の利用者が視認可能な表示装置60に評価結果を表示させることができる。このように表示装置60に評価結果を表示させることにより、カラオケ装置Kを利用する全ての利用者がカラオケ歌唱を行った利用者の評価結果を容易に確認することができる。
【0064】
なお、本実施形態のカラオケ装置Kの取得部200は、カラオケ歌唱を行う利用者U1と他の利用者U2~U5とを区別できるよう利用者IDを送信し、サーバ装置Sの制御部30は、カラオケ装置Kからの要求に基づいて、利用者U1の共有情報として利用者U2、利用者U3、及び利用者U5の利用者IDを送信するが、これに限られない。たとえば、取得部200は利用者U1の利用者IDのみを送信し、制御部30は利用者U1の共有情報として利用者U2、利用者U3、利用者U5、利用者Ux、利用者Uy、及び利用者Uzの全ての利用者IDを送信し、それらの中からカラオケ装置Kの決定部400が、ログイン中の利用者U2、利用者U3、及び利用者U5のみを、評価結果を通知する利用者として決定してもよい。
【0065】
<その他>
上記実施形態では、サーバ装置S及びカラオケ装置Kを含むカラオケシステム1について説明した。一方、カラオケ装置Kのみでカラオケシステムを構成することも可能である。
【0066】
この場合、カラオケ装置Kが備える記憶部43の記憶領域の一部が情報記憶部10aとして機能する。また、取得部200は、情報記憶部10aを参照し、カラオケ歌唱の評価結果を共有する利用者の識別情報である共有情報を取得する。
【0067】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 カラオケシステム
10a 情報記憶部
100 ログイン処理部
200 取得部
300 歌唱評価部
400 決定部
500 通知部
K カラオケ装置
M1~M5 携帯端末
S サーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6