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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】充填包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/087 20120101AFI20220526BHJP
【FI】
B65B9/087
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018095106
(22)【出願日】2018-05-17
(65)【公開番号】P2019199283
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】シブヤパッケージングシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】砂田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】沢田 清
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0168119(US,A1)
【文献】特開2004-244085(JP,A)
【文献】国際公開第2011/04853(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内袋用ウエブを搬送する内袋用ウエブ搬送手段と、
前記内袋用ウエブを二つ折りにする内袋二つ折り手段と、
二つ折りされた前記内袋ウエブを搬送方向の所定間隔で内袋の側方をシールする内袋サイドシール手段と、
二つ折りされた内袋用ウエブの上方から製品を充填する製品充填手段と、
製品が充填された前記内袋用ウエブの上方をシールする内袋トップシール手段と、
前記内袋用ウエブのサイドシールされた箇所を切断する内袋切断手段と、
外袋用ウエブを搬送する外袋用ウエブ搬送手段と、
前記外袋用ウエブを二つ折りにする外袋二つ折り手段と、
二つ折りにされた前記外袋用ウエブを搬送方向の所定間隔で外袋の側方をシールする外袋サイドシール手段と、
二つ折りにされた前記外袋用ウエブの上方から切断された内袋を充填する内袋充填手段と、
内袋が充填された前記外袋用ウエブの上方をシールする外袋トップシール手段とを備え、
前記内袋充填手段は、内袋を保持する複数の保持部と、前記保持部を外袋に追従して搬送する保持部搬送手段と、前記保持部を昇降させる保持部昇降手段とを有し、
前記保持部は、前記内袋切断手段によって切断される前の内袋を保持しつつ搬送するとともに、内袋が切断された後は外袋と追従しながら下降することにより、内袋を外袋に充填することを特徴とする充填包装機。
【請求項2】
前記保持部搬送手段は、前記保持部のピッチを拡開するピッチ拡開機構を備え、
前記保持部は、内袋が切断された後に外袋と同じピッチとなるようにピッチを拡開することを特徴とする請求項1に記載の充填包装機。
【請求項3】
前記外袋包装機が、前記外袋サイドシール手段と前記内袋充填手段とを周囲に配置した回転体を備え、
前記内袋用ウエブ搬送手段は、切断前の内袋用ウエブを前記回転体の接線方向に向けて搬送するとともに、前記内袋用ウエブと前記回転体の接点に前記内袋切断手段を配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3方シールで成形された内袋を3方シールで成形された外袋に収容する充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ティーバッグなどの商品では、茶葉等が充填されたメッシュ状の内袋を、気密的な外袋で個別包装を行うものが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の充填包装装置では、長手方向に二つ折りにした長尺の内袋用包装材を下方に向けて搬送しながら、その側辺部をシール(サイドシール)することで内袋用包装材を筒状にし、筒状とされた長尺の内袋用包装材を一定の間隔で横シールするとともに、その間に茶葉を投入し、切り離することでティーバッグを形成している。切り離され、落下するティーバッグは、その下方において、二つ折りの状態で水平方向に間欠搬送される外袋用の長尺の包装材の間に投入され、外袋用包装材の上部および両側がシールされ、両側シール部が切断されることでティーバッグは、外袋により個別的に包装され、茶葉は内袋と外袋により2重包装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5230659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の構成では、内袋と外袋の搬送方向が直交するため内袋を外袋内に適正に投入するには間欠搬送を行う必要があり、処理能力を高めることは困難である。
【0005】
本発明は、3方シールで成形された内袋を高速で3方シールで成形された外袋に投入可能な充填包装機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明である充填包装機は、内袋用ウエブを搬送する内袋用ウエブ搬送手段と、前記内袋用ウエブを二つ折りにする内袋二つ折り手段と、二つ折りされた前記内袋ウエブを搬送方向の所定間隔で内袋の側方をシールする内袋サイドシール手段と、二つ折りされた内袋用ウエブの上方から製品を充填する製品充填手段と、製品が充填された前記内袋用ウエブの上方をシールする内袋トップシール手段と、前記内袋用ウエブのサイドシールされた箇所を切断する内袋切断手段と、外袋用ウエブを搬送する外袋用ウエブ搬送手段と、前記外袋用ウエブを二つ折りにする外袋二つ折り手段と、二つ折りにされた前記外袋用ウエブを搬送方向の所定間隔で外袋の側方をシールする外袋サイドシール手段と、二つ折りにされた前記外袋用ウエブの上方から切断された内袋を充填する内袋充填手段と、内袋が充填された前記外袋用ウエブの上方をシールする外袋トップシール手段とを備え、前記内袋充填手段は、内袋を保持する複数の保持部と、前記保持部を外袋に追従して搬送する保持部搬送手段と、前記保持部を昇降させる保持部昇降手段とを有し、前記保持部は、前記内袋切断手段によって切断される前の内袋を保持しつつ搬送するとともに、内袋が切断された後は外袋と追従しながら下降することにより、内袋を外袋に充填することを特徴としている。
【0007】
本発明の第2の発明である充填包装機は、第1の発明において、前記保持部搬送手段は、前記保持部のピッチを拡開するピッチ拡開機構を備え、前記保持部は、内袋が切断された後に外袋と同じピッチとなるようにピッチを拡開することを特徴としている。
【0008】
本発明の第3の発明である充填包装機は、第1または第2の発明において、前記外袋包装機が、前記外袋サイドシール手段と前記内袋充填手段とを周囲に配置した回転体を備え、前記内袋用ウエブ搬送手段は、切断前の内袋用ウエブを前記回転体の接線方向に向けて搬送するとともに、前記内袋用ウエブと前記回転体の接点に前記内袋切断手段を配置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、3方シールで成形された内袋を高速で3方シールで成形された外袋に投入可能な充填包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である充填包装機の斜視図である。
図2図1の充填包装機の平面図である。
図3】製品充填機の部分側断面図である。
図4】内袋充填機のサイドシール区間から投入区間の前半までの区間の動作を径方向外側に視た展開図である。
図5図4の区間A3(図2参照)の拡大図である。
図6】内袋充填機の部分側断面図である。
図7】グリッパ開閉機構内部の構成を示す。
図8】リンク機構の平面図である。
図9】リンク機構の接点P周辺での動きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である充填包装機の斜視図であり、図2は平面図である。
【0012】
本実施形態の充填包装機10は、内袋包装機12と外袋包装機14を備える。内袋包装機12では、内袋繰り出し部16から長尺帯状の内袋ウエブ(帯状フィルム)S1が繰り出され、製品充填機(製品充填手段)18に供給される。内袋ウエブS1は内袋繰り出し部16に設置される原反ロール16Aから繰り出され、案内ローラ16Bにおいて水平にされるとともに、長手方向に沿って上向きに二つ折りにされて製品充填機18へと供給される(内袋二つ折り手段)。
【0013】
製品充填機18は、鉛直軸周りに回転する回転体18Aを備え、二つ折りにされた内袋ウエブS1は、回転体18Aの外周縁に沿って、回転体18Aの回転と同期して走行される。回転体18Aに巻き付けられた二つ折りにされた内袋ウエブS1には、上流区間(サイドシール区間)A1において、長手方向に沿って一定間隔で鉛直方向にシールが施され(サイドシール)、上方が開口とされた袋状に成形される(内袋サイドシール手段)。
【0014】
回転体18Aの外周上方には、サイドシールにより形成された内袋ウエブS1の各内袋B1に対応して、ホッパ18Bが配置される。ホッパ18Bは、上流区間A1に続く下流区間(充填区間)A2において、下降されて対応する内袋B1の内側に挿入され、内袋B1に充填される内容物が上方から各内袋B1内へと投入される。充填が完了するとホッパ18Bは上昇され、サイドシールにより長手方向に多数の内袋B1に区分けされ、内容物が投入された内袋ウエブS1は、回転体18Aから離脱され、案内ローラ20を介して外袋包装機14へ向けて送り出される。
【0015】
案内ローラ20を介した内袋ウエブS1は、外袋包装機14へ向けて直線的に送り出され、予熱装置22、トップシール装置(内袋トップシール手段)24を通して、二つ折り内袋ウエブS1の上辺、すなわち、各内袋B1の開口部が形成された部分が長手方向に沿って予熱され、トップシール装置24において、開口部が完全に密閉される。これにより、内袋ウエブS1に形成された各内袋B1に投入された内容物は、内袋B1内に密封される。
【0016】
内袋ウエブS1の下流端には、外袋包装機14の隣接する位置にカッタ(内袋切断手段)26が配置される。内容物が充填・密封された内袋ウエブS1の各内袋B1は、下流端においてカッタ26によりサイドシール位置で各々切断され、個別の内袋B1に分離される。内袋ウエブS1から分離された各内袋B1は、後述するように、外袋包装機14に設けられた機構により保持され、外袋B2内に各々投入される。
【0017】
外袋包装機14では、外袋繰り出し部28から長尺帯状の外袋ウエブS2が繰り出され、内袋充填機(内袋充填手段)30に供給される。外袋ウエブS2は外袋繰り出し部28に設置される原反ロール28Aから繰り出され、案内ローラ28Bにおいて水平にされるとともに、長手方向に沿って上向きに二つ折りにされて内袋充填機30へと供給される(外袋二つ折り手段)。
【0018】
内袋充填機30は、鉛直軸周りに回転する回転体30Aを備え、二つ折りにされた外袋ウエブS2は、回転体30Aの外周縁に沿って、回転体30Aの回転と同期して走行される。回転体30Aに巻き付けられた二つ折りにされた外袋ウエブS2には、上流区間(サイドシール区間)A3において、長手方向に沿って一定間隔で鉛直方向にシールが施され(サイドシール)、上方が開口とされた袋状に成形される(外袋サイドシール手段)。
【0019】
案内ローラ20により外袋包装機14に向けて直線的に送り出される内袋ウエブS1は、内袋充填機30の回転体30Aの1つの外周接線にほぼ一致するように配置される。また、カッタ26は、ほぼ回転体30Aとの接点Pに対応する位置で内袋ウエブS1を切断するように配置される。回転体30Aの外周上方には、外袋B2の各々に対応して、外袋B2内に挿入されて内袋B1を外袋B2内へと案内するホッパ30Bと、切断された内袋B1を保持し、対応するホッパ30B内へ投入する内袋保持装置32(図4図6図7参照)が各々昇降自在に配置される。
【0020】
カッタ26により切断され、内袋充填機30の内袋保持装置(保持部搬送手段)32により保持された各内袋B1は、後述するように下流区間(投入区間)A4において、上流区間(サイドシール区間)A3において形成された外袋B2内の各々にホッパ30Bを通して投入される。内袋B1投入後、ホッパ30Bは上昇され外袋B2から退避されると、外袋ウエブS2は、案内ローラ34を介してその向きが変更され、内袋ウエブS1と同様に、予熱部36、トップシール装置(外袋トップシール手段)38を介してその上部開口が密閉され、内袋B1が外袋B2内に各々密封される。密封が完了した外袋ウエブS2は、カッタ40によりサイドシール位置で切断され、内袋B1の外袋B2による個別包装が完了する。
【0021】
次に図3の製品充填機18の側断面図を参照して、製品充填機18の構成についてより詳細に説明する。
【0022】
製品充填機18の回転体18Aは、円盤状のベース盤180を備え、ベアリング181を介して固定軸182周りに回転自在に取り付けられる。ベース盤180は、図示しない駆動機構により、内袋ウエブS1の搬送速度に同期して回転される。ベース盤180の周囲には、その外周に沿って二つ折りにされた内袋ウエブS1が掛けられる複数のサイドシール部184が一定の間隔で外周に沿って配置される。
【0023】
サイドシール部184は、ベース盤180から上向きに直立する固定シールバー184Aと、固定シールバー184Aの外側に位置し、その基端部がベース盤180の外周縁に軸支される揺動シールバー184Bとを備える。揺動シールバー184Bは、その先端を径方向外側に向けた横臥状態と、上向きに直立して固定シールバー184Aに押し当てられる起立状態との間で揺動可能である。揺動シールバー184Bの基端部を中心とする回動は、揺動シールバー184Bを回動するための回動レバー184Eの先端に設けられたカムフォロワ184Dとカム溝184Cとの係合により制御される。
【0024】
内袋ウエブS1は、固定シールバー184Aに押し当てられた状態で走行され、揺動シールバー184Bが起立して、内袋ウエブS1を挟んで固定シールバー184Aに押し当てられると、二つ折りにより重ねられた内袋ウエブS1は、固定シールバー184Aと揺動シールバー184Bの間に挟まれて溶着され、サイドシールが施される。図3では、左側に横臥状態の揺動シールバー184Bが示され、右側には起立状態の揺動シールバー184Bが示される。
【0025】
サイドシール部184の上方にあって、2つのサイドシール部184の間には、それぞれホッパ18Bが配置される。ホッパ18Bは、各々ホッパ昇降機構186によって支持される。ホッパ18Bは、ホッパ昇降機構186の鉛直方向に延在する昇降シャフト186Aの上端に支持される。昇降シャフト186Aは、ベース盤180に対して昇降自在に支持され、昇降シャフト186Aの下端に設けられたカムフォロワ186Bとカム186Cとの係合により昇降する。図3では、左側にホッパ18Bが上昇された状態が示され、右側にはホッパ18Bが下降され、その先端がサイドシールにより形成された内袋ウエブS1の内袋B1内に挿入された状態が示される。
【0026】
回転体18Aの上方には、内袋B1内に充填される内容物が貯留されるタンク188が配置され、各ホッパ18Bの上方にはタンク188内の内容物をホッパ18Bへと案内する充填ノズル188Aが設けられる。充填区間A2において、タンク188内の内容物は、充填ノズル188A、ホッパ18Bを通して落下し、内袋B1内へと投入される。
【0027】
次に、図4、5を参照して、内袋充填機30における外袋B2への内袋B1の投入動作について説明する。図4は、内袋充填機30のサイドシール区間(上流区間)A3から投入区間(下流区間)A4の前半までの区間の動作を径方向外側に視て平面に展開したものでり、図5は、図4の区間A4の拡大図である。
【0028】
図4に示されるように、二つ折りにされた外袋ウエブS2の間には上方から、ホッパ30Bが順次挿入される。サイドシール区間(上流区間)A3において、ホッパ30Bは、1つ前に挿入されたホッパ30Bの後縁側サイドシールLに沿って、上方から外袋ウエブS2の間に挿入される。その後、新たに挿入されたホッパ30Bの後縁側がサイドシールされ、このサイドシールLに沿って次のホッパ30Bが同様に外袋ウエブS2の間に挿入される。
【0029】
ホッパ30Bが挿入され、サイドシールLにより個別の外袋B2に区分けされた外袋ウエブS2の上方には、内袋充填機30の外周の接線方向から内袋B1に区分され密封された内袋ウエブS1が搬送されてくる。内袋ウエブS1は、内袋充填機30の外周と内袋ウエブS1の直線的な軌道が接する接点Pの手前で各内袋B1の上部が順次内袋保持装置32のグリッパ(保持部)32Aにより把持され、接点P付近でカッタ26により先端の外袋S1が内袋ウエブS1から切断される。このときグリッパ32Aは、後述するリンク機構により、接点Pの手前で接線方向に沿って移動する内袋B1を各々保持するために、内袋充填機30の外周から径方向外側に突き出されるとともに、接線方向に平行になるように回転される。
【0030】
また、内袋B1を保持してから内袋B1が切断されるまで間、各グリッパ32Aは、内袋ウエブS1に形成された内袋B1のピッチD1に合わせたピッチとされるが、切断後は、外袋ウエブS2に形成される外袋B2のピッチD2、すなわちホッパ30Bのピッチに合わせられる。その後、各グリッパ32Aは、径方向内側に引っ込められるとともに、内袋充填機30の外周に沿った向きに回転され、元の位置・向きに戻される。すなわち、各グリッパ32Aは、内袋充填機30の外周に沿ってホッパ30B、すなわち外袋B2とともに移動する。
【0031】
内袋充填機30の外周に沿って移動を開始した各グリッパ32Aは下降され、保持する内袋B1の少なくとも一部を直下に位置するホッパ30B内に挿入してリリースする。これにより内袋B1は、ホッパ30Bの中を通って落下し、ホッパ30Bが挿入された外袋B2に投入される。
【0032】
また、各ホッパ30Bには、窒素ガスなどの不活性ガスを外袋B2内にチューブ30Cが設けられ、ホッパ30Bが外袋B2内に挿入されている間に、窒素ガスを外袋B2内に注入する。ホッパ30Bは、外装フィルムS2が案内ローラ34に達する前に上昇され外袋B2から抜き出される。その後、ホッパ30Bおよびグリッパ32Aは、内袋充填機30の外周に沿って移動され、上述の接点Pの手前に達すると同様の動作を繰り返す。
【0033】
図6は、本実施形態の内袋充填機30の部分側断面図である。内袋充填機30は、回転軸300Aを含む固定部300と、回転軸300Aの周りをベアリング301を介して回転する回転部302とを備える。回転部302は、サイドシール部304およびホッパ30Bを保持するホッパ昇降機構306が外周に沿って配置されるベース盤308と内袋保持装置32を支持する保持装置支持部310とを備える。
【0034】
回転部302には、図示しない駆動機構により、外袋ウエブS2の搬送速度に同期して回転される。ベース盤308の周囲には、その外周に沿って二つ折りにされた外袋ウエブS2が掛けられる複数のサイドシール部304が一定の間隔で外周に沿って配置される。サイドシール部304は、ベース盤308から上向きに直立する固定シールバー304Aと、固定シールバー304Aの外側に位置し、その基端部がベース盤308の外周縁に軸支される揺動シールバー304Bとを備える。
【0035】
揺動シールバー304Bは、その先端を径方向外側に向けた横臥状態と、上向きに直立して固定シールバー304Aに押し当てられる起立状態との間で揺動可能である。揺動シールバー304Bの基端部を中心とする回動は、揺動シールバー304Bを回動するための回動レバー304Eの先端に設けられたカムフォロワ304Dとカム溝304Cとの係合により制御される。
【0036】
外袋ウエブS2は、固定シールバー304Aに押し当てられた状態で走行され、揺動シールバー304Bが起立して、外袋ウエブS2を挟んで固定シールバー304Aに押し当てられると、二つ折りにより重ねられた外袋ウエブS2は、固定シールバー304Aと揺動シールバー304Bの間に挟まれて溶着され、サイドシールが施される。図6では、横臥状態の揺動シールバー304Bが示される。
【0037】
サイドシール部304の上方にあって、2つのサイドシール部304の間には、それぞれホッパ30Bが配置される。ホッパ30Bは、各々ホッパ昇降機構306によって支持される。ホッパ30Bは、ホッパ昇降機構306の鉛直方向に延在する昇降シャフト306Aの上端に支持される。昇降シャフト306Aは、ベース盤308に対して昇降自在に支持され、昇降シャフト306Aの下端に設けられたカムフォロワ306Bとカム306Cとの係合により昇降する。図6では、ホッパ30Bが下降され、その先端が外袋ウエブS2に形成された外袋B2内に挿入された状態が示される。
【0038】
各ホッパ30Bの上方には、内袋保持装置32が配置され、保持装置支持部310に支持される。内袋保持装置32は、グリッパ32Aの開閉を行うグリッパ開閉機構320を備え、グリッパ開閉機構320は、鉛直に延在するスライド軸322の下端に取り付けられる。スライド軸322は、ブロック324に対して昇降自在であり、ブロック324は、後述するリンク機構(ピッチ拡開機構)42を内装し、保持装置支持部310に保持するリンクボックス326によって支持される。なお、リンク機構42は、リンク機構42に接続される3つのカムフォロワ42A、42B、42Cと固定部300において全周に沿って設けられたカム溝42D、42E、42Fとの係合により駆動され、ブロック324、すなわちスライド軸322の位置および向きを制御する。
【0039】
スライド軸322は例えばその上端近くに、カムフォロワ322Aが設けられ、カムフォロワ322Aは、固定部300の外周に沿って設けられるグリッパ昇降カム300Bに係合される。すなわち、スライド軸322は、回転部302が回転され、カムフォロワ322Aがグリッパ昇降カム300Bの形状に沿って移動することでブロック324に対して昇降する(保持部昇降手段)。
【0040】
また、スライド軸322は中空構造とされ、その中にはグリッパ32Aの開閉操作を行う昇降軸328が挿通する。昇降軸328の上端にはカムフォロワ328Aが設けられ、固定部300の外周に沿って設けられるグリッパ開閉カム300cに係合される。すなわち、昇降軸328は、回転部302が回転され、カムフォロワ328Aがグリッパ開閉カム300cの形状に沿って移動することでスライド軸322内を昇降する。昇降軸328の下端は、後述するように、グリッパ開閉機構320に接続され、グリッパ32Aの開閉は、昇降軸328の上下運動で操作される。
【0041】
図7を参照して、グリッパ32Aの開閉動作について説明する。図7は、グリッパ開閉機構320内部の構成を示す。図7(a)は、グリッパ開閉機構320の中身を内袋充填機30の径方向内側から視た側面図であり、図7(b)は、図6に示される方向からのグリッパ開閉機構320の中身を示す側面図である。
【0042】
グリッパ開閉機構320はカバー320Aに覆われ、カバー320Aはスライド軸322の下端部に固定される。スライド軸322の下端部において昇降軸328の外周面とスライド軸322の内周面の間にはブッシュ322Bが介装される。昇降軸328の下端にはベース部材328Bが固定され、ベース部材328Bには昇降軸328と平行な案内ロッド328Cが設けられる。案内ロッド328Cは、カバー320Aに一体的に設けられたボア328D内に、ブッシュ328Eを介して挿通され、昇降軸328によるベース部材328Bの昇降を案内する。
【0043】
ベース部材328Bの下側には、下に向けて突出する開閉カム328Fが設けられ、開閉カム328Fは、グリッパ32Aを構成する一対のグリッパ片320B、320Cと係合する。グリッパ片320B、320Cは、カバー320Aに水平に固定される回転軸320Dの周りにブッシュ320Eを介して軸支され、図示しない付勢部材により、両者は閉じられる方向に付勢される。グリッパ片320B、320Cの基部側の端部(上端部)には、カムフォロワ320F、320Gがそれぞれ設けられる。
【0044】
開閉カム328Fは、カムフォロワ320F、320Gの間に挿入されており、昇降軸328によりベース部材328Bが下降されると、カムフォロワ320F、320Gが付勢部材の付勢力に抗して押し広げられ、グリップ片320B、320Cが開かれる。この状態から、昇降軸328が上昇されると、ベース部材328Bが上昇され、カムフォロワ320F、320Gは付勢力により接近し、グリップ片320B、320Cは閉じられる。
【0045】
次に図8図9を参照して、ブロック324内のリンク機構42の構造および動作について説明する。図8は、1つのリンク機構42の平面図であり、図9は、リンク機構42の接点P周辺での動きを示す図である。
【0046】
スライド軸322は、ブロック324に対して、上下位方向には摺動自在であるが、回転方向には供回りする構成とされる。ブロック324は、第1リンク421、第2リンク422、第3リンク423を備える。各リンク421、422、423は、それぞれ一対の第1、第2レバー(421A、421B)、(422A、422B)、(423A、423B)で構成される。各リンク421、422、423の第1レバー421A、422A、423Aの一端は、それぞれ固定軸421C、422C、423Cによりリンク機構42の筐体に回転自在に軸支される。
【0047】
第1リンク421の第2レバー421Bの一端と、第2リンク422の第2レバー422Bの一端は、軸421D、422Dを介してブロック324に回転自在に取り付けられる。一方、第3リンク423の第2レバー423Bの一端は、軸423Dを介して第2リンク422の第2レバー422Bに軸支される。更に第1レバー421A、422A、423Aの他端と第2レバー421B、422B、423Bの他端は、それぞれ水平面内に移動可能な軸421E、422E、423Eによって回転自在連結される。なお、図8において点Qは、グリッパ32Aの中心位置に対応する基準点を示す。
【0048】
固定軸421C、422C、423Cには、それぞれ一体的に操作レバー425、426、427が設けられ(図6図9参照)、各操作レバー425、426、427の先端には、カムフォロワ42A、42B、42Cがそれぞれ設けられる(図6図9参照)。回転部302の回転にともなって、カムフォロワ42A、42B、42Cが、カム溝42D、42E、42Fに沿ってそれぞれ移動すると、固定軸421C、422C、423Cが各々回転されて第1リンク421、第2リンク422、第3リンク423が各々駆動される。
【0049】
固定軸421C、422Cの回転により、ブロック324、すなわち基準点Qは主として回転体302の径方向(矢印A)に進退され、固定軸423Cの回転によりブロック324、すなわちグリッパ32Aの径方向(接線方向)に対する角度が主として調整される(矢印B)。
【0050】
図9の平面図には、接点P近傍における4つのリンク機構42の配置が示される(実線と2点鎖線で交互に描かれる)。図9において、矢印Cは、内袋ウエブS1の走行位置および走行方向を示し、矢印Dは回転体302の回転方向を示す。図9に示されるように、位置(a)にあるリンク機構42は、対応するグリッパ32Aが矢印C方向に直線的に搬送される内袋ウエブS1を把持できるように、ブロック324を径方向外側へ押し出すとともに、その向きを反時計回りに回転させる。
【0051】
位置(b)、(c)にあるリンク機構42に接続されたグリッパ32Aは、ピッチD1で内袋ウエブS1の内袋B1の上を各々把持し、その向きを変えることなく矢印C方向に沿って直線的に移動する。すなわち、位置(b)、(c)のリンク機構42は、グリッパ32Aの位置および向きがこのように変位するように駆動される。
【0052】
カッタ26により内袋B1が内袋ウエブS1から切り離されると、リンク機構42は、基準となる位置、向きにグリッパ32Aを戻す。すなわち、基準点QのピッチはD2にまで広げられ、グリッパ32Aは、回転体302の外周位置に維持される。また、グリッパ32Aの向きは、把持する内袋B1が回転体302の周方向(接線方向)に沿うように維持される。グリッパ32Aの位置および向きは、グリッパ32Aが再び位置(a)付近に到るまでリンク機構42により維持される。
【0053】
内袋B1を把持したグリッパ32Aは、位置(d)の下流側では、外袋B2に挿入されたホッパ30Bに追従しながら下降され、グリッパ32Aから内袋B1を解放すると、内袋B1は下方に位置するホッパ30Bを通して外袋B2内に投入される。その後、グリッパ32Aは、ホッパ30Bとともに元の高さまで上昇され、回転体302の回転とともに位置(a)に向けて移動される。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、内袋と内袋充填機の内袋保持装置(グリッパ)とを並走される区間を設けることができるので、製品充填機から内袋充填機への内袋の受け渡しを連続で高速に行なえる。これにより内袋を高速で外袋に投入できる。
【0055】
なお、本実施形態において、製品充填機、内袋充填機は、何れも円形を呈した回転循環型であったが、内袋と内袋充填機の内袋保持部とが並走される区間が設けられる循環型であれば円形に限定されるものではない。また、本実施形態では、内袋保持装置にグリッパを適用したが、保持部は吸着式であってもよい。
【0056】
なお、内袋に充填される内容物の例としては、粉末の出汁や茶葉などが挙げられる。その場合内袋ウエブには注出可能な素材からなり、外袋ウエブは内袋を密封する気密性を備えた素材からなる。しかし、内容物や内袋ウエブ、外袋ウエブの素材は、これらに限定されるものではなく、3方シールで成形された内袋、外袋を用いて2重包装を行うものであれば本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0057】
10 充填包装機
12 内袋包装機
14 外袋包装機
18 製品充填機(製品充填手段)
18B、30B ホッパ
24 トップシール装置(内袋トップシール手段)
26 カッタ(内袋切断手段)
30 内袋充填機(内袋充填手段)
32 内袋保持装置(保持部搬送手段)
32A グリッパ(保持部)
38 トップシール装置(外袋トップシール手段)
40 カッタ(外袋切断手段)
42 リンク機構(ピッチ拡開機構)
184、304 サイドシール部
302 回転体
A1、A3 上流区間(サイドシール区間)
A2 下流区間(充填区間)
A4 下流区間(投入区間)
B1 内袋
B2 外袋
S1 内袋ウエブ(帯状フィルム)
S2 外袋ウエブ(帯状フィルム)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9