(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/249 20180101AFI20220526BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20220526BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20220526BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220526BHJP
F21S 43/239 20180101ALI20220526BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20220526BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220526BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20220526BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20220526BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20220526BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220526BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220526BHJP
【FI】
F21S43/249
F21S41/141
F21S41/24
F21S43/14
F21S43/239
F21S43/245
F21V8/00 320
F21S41/16
F21W102:00
F21W103:00
F21Y115:10 500
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2018095192
(22)【出願日】2018-05-17
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】古林 和也
(72)【発明者】
【氏名】草野 匠
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014205994(DE,A1)
【文献】特開2002-365439(JP,A)
【文献】特開2017-183287(JP,A)
【文献】特開2012-119277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21S 41/00
F21V 8/00
F21W 102/00
F21W 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向した状態で配置された第1の光源及び第2の光源と、
前記第1の光源
と前記第2の光源
との互いに対向する間に配置された導光体とを備え、
前記導光体は、前記第1の光源
に対向して配置されて、前記第1の光
源から出射された光が入射する第1の入射
部と、
前記第2の光源に対向して配置されて、前記第2の光源から出射された光が入射する第2の入射部と、
前記第1の入射部と前記第2の入射部との間に位置して互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面と、前記一対の傾斜面が突き合わされた突合部とを含み、前記第1の入射部及び前記第2の入射部から入射した光を前記一対の傾斜面により互いに同一方向に向けて反射する反射部と、
前記反射部で反射された光を導光させる導光部とを有し、
前記第1の光源と前記第2の光源との何れか一方の光源から出射された光の一部が、前記第1の入射部と前記第2の入射部との何れか一方の入射部から入射し、前記突合部よりも前記導光部側を通過して、何れか他方の入射部から何れか他方の光源に向けて出射された後、前記他方の光源で反射されることによって、前記他方の光源で反射された光の一部が、前記他方の入射部から入射した後、前記傾斜面により前記導光部側へと反射されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記突合部は、前記第1の光源及び前記第2の光源から出射される光の光軸よりも前記導光部側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第1の入射部及び前記第2の入射部は、前記第1の光源及び前記第2の光源から放射状に出射された光を平行化又は集光しながら、前記導光体の内部へと入射することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記導光体は、前記反射部で反射された光を前記導光部の内部で導光しながら、前記導光部の背面側に設けられた複数の反射カットにより反射された光を前記導光部の正面側から外部へと出射することによって、前記導光部の正面側に設けられた発光部を発光させることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1の光源及び前記第2の光源は、前記反射部から前記導光部に向けて反射される光の進行方向とは交差する方向に互いに対向した状態で複数並んで設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1の光源と前記第2の光源とは、互いに異なる色光を出射することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、棒状や板状などの導光体とを組み合わせたものがある(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の基端側から入射し、導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットにより反射された光を導光体の正面側から出射することによって、導光体の正面側を発光させる。
【0003】
また、近年の車両用灯具では、デザインの多様化によって、導光体を色光の異なる光源からの光により相互に発光させることが行われている。このような車両用灯具の組み合わせとしては、例えば、車両の前端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)と、橙色発光する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたものや、車両の後端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、赤色発光する尾灯(テールランプ)と、橙色発光する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-4004号公報
【文献】特開2014-75331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した導光体を色光の異なる光源からの光により発光させる場合、色光の異なる光源を別々に配置し、それぞれの光源からの光を導光体の異なる位置から入射させた後、互いに同一方向に向けて導光させる必要がある。しかしながら、この場合、各光源から出射された光が入射する位置(入射部)の構造が複雑化するだけでなく、導光体の大型化を招く虞れがある。
【0006】
また、互いに異なる位置(入射部)から光を入射させた場合、それぞれの入射部から入射する光の光路の違いによって、それぞれの光路の違いに応じた導光体の設計が必要となる。例えば、互いに対向する光源から出射された光を導光体の厚み方向の両側に設けられた入射部から入射し、互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面により互いに同一方向に向けて反射させた場合、一対の傾斜面により反射された光は、導光体の厚み方向において異なる光路で導光されることになる。この場合、導光体の厚みを増加(具体的には2倍に)しなければならず、導光体の大型化を招くことになる。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光体の薄型化を図りつつ、互いに異なる位置から入射した光を同一の光路で効率良く導光させることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 互いに対向した状態で配置された第1の光源及び第2の光源と、
前記第1の光源と前記第2の光源との互いに対向する間に配置された導光体とを備え、
前記導光体は、前記第1の光源に対向して配置されて、前記第1の光源から出射された光が入射する第1の入射部と、
前記第2の光源に対向して配置されて、前記第2の光源から出射された光が入射する第2の入射部と、
前記第1の入射部と前記第2の入射部との間に位置して互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面と、前記一対の傾斜面が突き合わされた突合部とを含み、前記第1の入射部及び前記第2の入射部から入射した光を前記一対の傾斜面により互いに同一方向に向けて反射する反射部と、
前記反射部で反射された光を導光させる導光部とを有し、
前記第1の光源と前記第2の光源との何れか一方の光源から出射された光の一部が、前記第1の入射部と前記第2の入射部との何れか一方の入射部から入射し、前記突合部よりも前記導光部側を通過して、何れか他方の入射部から何れか他方の光源に向けて出射された後、前記他方の光源で反射されることによって、前記他方の光源で反射された光の一部が、前記他方の入射部から入射した後、前記傾斜面により前記導光部側へと反射されることを特徴とする車両用灯具。
〔2〕 前記突合部は、前記第1の光源及び前記第2の光源から出射される光の光軸よりも前記導光部側に位置することを特徴とする前記〔1〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 前記第1の入射部及び前記第2の入射部は、前記第1の光源及び前記第2の光源から放射状に出射された光を平行化又は集光しながら、前記導光体の内部へと入射することを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の車両用灯具。
〔4〕 前記導光体は、前記反射部で反射された光を前記導光部の内部で導光しながら、前記導光部の背面側に設けられた複数の反射カットにより反射された光を前記導光部の正面側から外部へと出射することによって、前記導光部の正面側に設けられた発光部を発光させることを特徴とする前記〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第1の光源及び前記第2の光源は、前記反射部から前記導光部に向けて反射される光の進行方向とは交差する方向に互いに対向した状態で複数並んで設けられていることを特徴とする前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔6〕 前記第1の光源と前記第2の光源とは、互いに異なる色光を出射することを特徴とする前記〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、導光体の薄型化を図りつつ、互いに異なる位置から入射した光を同一の光路で効率良く導光させることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す車両用灯具の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図2に示す車両用灯具が備える灯具ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図4】
図3に示す灯具ユニットが備える導光体の構成を示す上面図である。
【
図5】
図3に示す灯具ユニットが備える導光体の構成を示す正面図である。
【
図6】
図5中に示す線分A-Aによる導光体の断面図である。
【
図7】
図6中に示す囲み部分Bを拡大した導光体の断面図である。
【
図8】
図4中に示す線分C-Cによる導光体の断面図である。
【
図9】
図4中に示す線分D-Dによる導光体の断面図である。
【
図10】
図8に示す方向から見た第1の光源から出射された光の光路を示す断面図である。
【
図11】
図9に示す方向から見た第1の光源から出射された光の光路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0012】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図11に示す車両用灯具1について説明する。
なお、
図1は、車両用灯具1の構成を示す斜視図である。
図2は、車両用灯具1の構成を示す分解斜視図である。
図3は、車両用灯具1が備える灯具ユニット2の構成を示す分解斜視図である。
図4は、灯具ユニット2が備える導光体9の構成を示す上面図である。
図5は、灯具ユニット2が備える導光体9の構成を示す正面図である。
図6は、
図5中に示す線分A-Aによる導光体9の断面図である。
図7は、
図6中に示す囲み部分Bを拡大した導光体9の断面図である。
図8は、
図4中に示す線分C-Cによる導光体9の断面図である。
図9は、
図4中に示す線分D-Dによる導光体9の断面図である。
図10は、
図8に示す方向から見た第1の光源7Aから出射された光Lの光路を示す断面図である。
図11は、
図9に示す方向から見た第1の光源7Aから出射された光Lの光路を示す断面図である。
【0013】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0014】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部(本実施形態では左前端側のコーナー部)に搭載されるものであり、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)と、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたポジションランプ兼ターンランプからなる。
【0015】
具体的に、本実施形態の車両用灯具1は、
図1及び
図2に示すように、ポジションランプ兼ターンランプとして機能する灯具ユニット2を備えている。灯具ユニット2は、前面(正面)が開口したハウジング3と、このハウジング3の前面側を閉塞すると共に、灯具ユニット2に対応した開口部4aを有するレンズカバー4とにより構成される灯体5の内側に配置されている。また、レンズカバー4の開口部4aには、透明なアウターレンズ6が取り付けられている。
【0016】
灯具ユニット2は、
図2及び
図3に示すように、複数(本実施形態では3つ)の第1の光源7A及び複数(本実施形態では3つ)の第2の光源7Bと、第1の回路基板8A及び第2の回路基板8Bと、導光体9と、ブラケット10とを備えている。
【0017】
複数の第1の光源7Aは、ポジションランプ用光源として、白色光(以下、単に光という。)を発するLEDからなる。また、LEDには、車両照明用の高出力(高輝度)タイプのもの(例えばSMD LEDなど。)を使用している。複数の第1の光源7Aは、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた第1の回路基板8Aの下面側に、前後方向に等間隔に並んで実装されている。これにより、複数の第1の光源7Aは、光を下方に向けて放射状に出射する。
【0018】
複数の第2の光源7Bは、ターンランプ用光源として、橙色光(以下、単に光という。)を発するLEDからなる。また、LEDには、車両照明用の高出力(高輝度)タイプのもの(例えばSMD LEDなど。)を使用している。複数の第2の光源7Bは、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた第2の回路基板8Bの上面側に、前後方向に等間隔に並んで実装されている。これにより、複数の第2の光源7Bは、光を上方に向けて放射状に出射する。
【0019】
第1の回路基板8Aと第2の回路基板8Bとは、複数の第1の光源7Aと複数の第2の光源7Bとが各々対向するように、導光体9を挟んで互いに対向した状態で配置されている。すなわち、複数の第1の光源7Aと複数の第2の光源7Bとは、後述する導光体9の反射部12から導光部13に向けて反射される光の進行方向とは交差する方向に互いに対向した状態で並んで設けられている。
【0020】
導光体9は、
図4~
図9に示すように、インナーレンズとして、全体として略三角平板状に形成されて、その主面が水平方向に対して平行となる向きで配置されている。なお、導光体9には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の各光源7A,7Bが発する光に対して透明な樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
【0021】
導光体9は、複数(本実施形態では3つ)の第1の入射部11A及び複数(本実施形態では3つ)の第2の入射部11Bと、反射部12と、導光部13とを有している。
【0022】
複数の第1の入射部11Aは、複数の第1の光源7Aに各々対向するように、導光体9の上面における基端側の端部に沿って前後方向に等間隔に並んで設けられている。第1の入射部11Aは、第1の光源7Aと対向する部分の中央に位置して、第1の光源7Aから出射された光Lの一部が入射する凸面状の第1の集光入射面14aと、第1の集光入射面14aの周囲を囲む位置から第1の光源7A側に突出した突出部15の内周側に位置して、第1の光源7Aから出射された光Lの一部が入射する第2の集光入射面14bと、突出部15の外周側に位置して、第2の集光入射面14bから入射した光Lを反射部12に向けて反射する集光反射面14cとを有している。
【0023】
複数の第2の入射部11Bは、複数の第2の光源7Bに各々対向するように、導光体9の下面における基端側の端部に沿って前後方向に等間隔に並んで設けられている。第2の入射部11Bは、第1の入射部11Aと同じ構成(形状)を有している。
【0024】
すなわち、この第2の入射部11Bは、第2の光源7Bと対向する部分の中央に位置して、第2の光源7Bから出射された光Lの一部が入射する凸面状の第1の集光入射面14aと、第1の集光入射面14aの周囲を囲む位置から第2の光源7B側に突出した突出部15の内周側に位置して、第2の光源7Bから出射された光Lの一部が入射する第2の集光入射面14bと、突出部15の外周側に位置して、第2の集光入射面14bから入射した光Lを反射部12に向けて反射する集光反射面14cとを有している。
【0025】
各第1の入射部11A及び各第2の入射部11Bでは、
図10に示すように、各第1の光源7A及び各第2の光源7Bから出射された光Lのうち、第1の集光入射面14aから入射した光L1を光軸寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面14bから入射した光L2を集光反射面14cで反射(全反射)させることによって光軸寄りに集光させる。
【0026】
これにより、各第1の入射部11A及び各第2の入射部11Bでは、各第1の光源7A及び各第2の光源7Bから放射状に出射された光L(L1,L2)を平行化又は集光しながら、突出部15(導光体9)の内部へと入射することができる。
【0027】
反射部12は、
図9に示すように、複数の第1の入射部11Aと複数の第2の入射部11Bとの間、すなわち、導光体9の基端側の端部に位置している。反射部12は、互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面16a,16bと、一対の傾斜面16a,16bが突き合わされた突合部16cとを有している。
【0028】
一対の傾斜面16a,16bは、各第1の光源7A及び各第2の光源7Bから出射された光Lの光軸AXに対して45°の角度で導光部13側に向けて互いに逆向きに傾斜して設けられている。これにより、一対の傾斜面16a,16bは、導光体9の基端側の端部を前後方向に切り欠くV字状の溝部16を構成している。
【0029】
突合部16cは、この溝部16の底部に位置している。また、突合部16は、各第1の光源7A及び各第2の光源7Bから出射される光Lの光軸AXよりも導光部13側に位置している。
【0030】
本実施形態では、
図11に示すように、光Lの光軸AXと導光部13の中心軸ラインとが交差する位置を点Oとし、突合部16cの位置を点Pとし、導光部13の主面(上面及び下面)に沿った水平ラインと傾斜面16a,16bとが交差する位置を点Qとし、点Qを通る光Lの光軸AXと平行な鉛直ラインと導光部13の中心軸ラインとが交差する位置を点Rとしたときに、線分OPと線分ORとが等しくなっている(OP=OR)。
【0031】
また、点Oから導光部13側へと偏倚した点P(突合部16c)の位置は、第1の集光入射面14aと第2の集光入射面14bとの境界から光軸AXと平行な鉛直ラインと導光部13の中心軸ラインとが交差する位置(点Pege)までとすればよい。さらに、線分OPは、OP=ORとなるときを1としたときに、0.8~1.2の範囲とすることが好ましい。
【0032】
なお、突合部16cの形状ついては、一対の傾斜面16a,16bが鋭角(直角)に付き合わされた尖形状に限らず、一対の傾斜面16a,16bの突き合わせ部分が平坦化された平面形状や、一対の傾斜面16a,16bの突き合わせ部分が丸みを帯びた曲面形状であってもよい。
【0033】
反射部12では、各第1の入射部11A及び各第2の入射部11Bから入射した光Lを一対の傾斜面16a,16bにより導光部13側へと互いに同一方向に向けて反射する。
【0034】
導光部13は、導光体9の基端側から先端側に向かって、その背面13a側が正面13b側へと傾斜することによって、背面13aと正面13bとが先端側で付き合わされた略三角平板状を有している。
【0035】
導光体9では、反射部12で反射された光Lを導光部13の内部で導光しながら、導光部の背面13a側に設けられた複数の反射カット17により反射された光Lを導光部13の正面13b側から外部へと出射することによって、導光部13の正面側に設けられた発光部18を発光させる。
【0036】
複数の反射カット17は、導光部13の背面13aに入射した光を導光部13の正面13bに対して臨界角未満となる角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態の反射カット17は、
図7に拡大して示すように、導光部13の背面13aを上下方向に切り欠く略V字状の溝部17aが周期的に並ぶことによって構成されている。
【0037】
発光部18は、
図4~
図6に示すように、導光部13の正面13b側において、複数の反射カット17に対応した位置に発光面18aを有している。発光部18では、複数の反射カット17で反射された光によって発光面18aを略均一に発光させることができる。
【0038】
ブラケット10は、
図2及び
図3に示すように、前面(正面)側が開口した上側ケース10aと下側ケース10bとにより構成されている。ブラケット10は、上側ケース10aに第1の回路基板8Aが取り付けられ、下側ケース10bに第2の回路基板8Bが取り付けられた状態で、導光体9を上下方向で挟み込むように、これら上側ケース10aと下側ケース10bとを突き合わせることによって構成されている。灯具ユニット2は、このブラケット10を介してハウジング3の内側にネジ止めにより取り付けられる。
【0039】
なお、ブラケット10の内側には、導光部13の背面13aと対向するリフレクター(図示せず。)を設けた構成としてもよい。これにより、導光部13の背面13aから外部へと出射された光をリフレクターにより反射して、再び導光部13の背面13aから内部へと入射させることが可能である。
【0040】
ところで、本実施形態の車両用灯具1では、
図11に示すように、第1の光源7Aと第2の光源7Bとの何れか一方の光源(第1の光源7A)から出射された光Lが、第1の入射部11Aと第2の入射部11Bとの何れか一方の入射部(第1の入射部11A)から入射する。
【0041】
第1の入射部11Aから入射した光Lのうち、一部の光L3は、傾斜面16aにより導光部13側へと反射される。また、第1の入射部11Aから入射した光Lのうち、一部の光L4は、突合部16cよりも導光部13側を通過して、何れか他方の入射部(第2の入射部11B)から何れか他方の光源(第2の光源7B)に向けて出射された後、第2の光源7Bで反射される。
【0042】
ここで、第1の光源7A及び第2の光源7Bを構成するLEDの表面は、このLEDの表面に入射した光L4を拡散しながら反射する拡散反射面を構成している。これにより、第2の光源7Bで反射された光L4の一部は、第2の入射部11Bから入射した後、傾斜面16bにより導光部13側へと反射される。これにより、第1の光源7Aから出射された光L(L3,L4)は、導光部13の厚み方向の全域に亘って導光されることになる。
【0043】
同様に、本実施形態の車両用灯具1では、図示を省略するものの、第2の光源7Bから出射された光Lのうち、一部の光L3が、第2の入射部11Bから入射し、傾斜面16bにより導光部13側へと反射される。また、第2の光源7Bから出射された光Lのうち、一部の光L4が、第2の入射部11Bから入射し、突合部16cよりも導光部13側を通過して、第2の入射部11Bから第1の光源7Aに向けて出射された後、第1の光源7Aで反射されることによって、第1の光源7Aで反射された光L4の一部が、第1の入射部11Aから入射した後、傾斜面16bにより導光部13側へと反射される。これにより、第2の光源7Bから出射された光L(L3,L4)は、第1の光源7Aから出射された光L(L3,L4)と同様に、導光部13の厚み方向の全域に亘って導光されることになる。
【0044】
以上のように、本実施形態の車両用灯具1では、第1の光源7A及び第2の光源7Bから出射された光Lを、導光部13(導光体9)の厚みを増加させることなく、この導光部13(導光体9)の厚み方向において同一の光路で導光させることが可能である。
【0045】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、導光体9の薄型化を図りつつ、互いに異なる位置(第1の入射部11A及び第2の入射部11B)から入射した光を同一の光路で効率良く導光させることが可能である。
【0046】
また、本実施形態の車両用灯具1では、導光体9の発光部18を色光の異なる第1の光源7A及び第2の光源7Bからの光により発光させる場合でも、第1の入射部11A及び第2の入射部11Bの構成(形状)を複雑化することなく、導光体9の小型化を図ることが可能である。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、車両の前端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具1として、白色発光する車幅灯(ポジションランプ)と、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたポジションランプ兼ターンランプからなるものを例示しているが、車両の後端側の両コーナー部に搭載される車両用灯具として、赤色発光する尾灯(テールランプ)と、橙色発光で点滅する方向指示器(ターンランプ)とを組み合わせたテールランプ兼ターンランプからなるものに本発明を適用することも可能である。
【0048】
なお、各国の法規に応じて、ターンランプの点滅(点灯)中は、ポジションランプ又はテールランプを点灯させたままとしたり、ポジションランプ又はテールランプを消灯させたりすることが可能である。
【0049】
また、上記実施形態では、複数の第1の光源7Aが白色光を出射し、複数の第2の光源7Bが橙色光を出射する構成となっているが、このような構成に必ずしも限定されるものではない。例えば、複数の第1の光源7Aの中で、白色光を発する第1の光源7Aと、橙色光を発する第1の光源7Aとを交互に並べて配置し、複数の第1の光源7Bの中で、白色光を発する第2の光源7Bと、橙色光を発する第2の光源7Bとを交互に並べて配置した構成としてもよい。さらに、互いに対向した状態で配置される第1の光源7Aと第2の光源7Bとが発する色光を異ならせた構成とすることも可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、色光の異なる第1の光源7A及び第2の光源7Bを用いた場合を例示しているが、色光の同じ第1の光源7A及び第2の光源7Bを用いた車両用灯具に対しても本発明を適用することが可能である。この場合、導光体9の薄型化を図りつつ、大光量での発光が可能となる。
【0051】
また、本発明が適用可能な車両用灯具については、色光の同じ第1の光源7A及び第2の光源7Bを用いた場合、例えば、車両用前照灯(ヘッドランプ)、車幅灯(ポジションランプ)、補助前照灯(サブヘッドランプ)、前部(後部)霧灯(フォグランプ)、昼間点灯ランプ(DRL)、リッドランプ、尾灯(テールランプ)、ブレーキランプ(ストップランプ)、バックランプ、方向指示器(ウィンカーランプ)などの車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。
【0052】
また、上記第1の光源7A及び第2の光源7Bについては、光を放射状に出射するものであればよく、上述したLED以外にも、例えばレーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いることができる。また、発光素子が発する光の色についても、白色光や赤色光、橙色光など、その用途に応じて適宜変更することも可能である。
【0053】
また、上記車両用灯具1では、上述した略三角板状の導光体9を用いた場合を例示しているが、実際の車両のデザイン等に合わせて、上記導光体9の形状などを適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…車両用灯具 2…灯具ユニット 3…ハウジング 4…レンズカバー 5…灯体 6…アウターレンズ 7A…第1の光源 7B…第2の光源 8A…第1の回路基板 8B…第2の回路基板 9…導光体 10…ブラケット 11A…第1の入射部 11B…第2の入射部 12…反射部 13…導光部 14a…第1の集光入射面 14b…第2の集光入射面 14c…集光反射面 15…突出部 16…溝部 16a,16b…傾斜面 16c…突合部 17…反射カット 18…発光部