(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】巻取装置及び該巻取装置を具備した開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/68 20060101AFI20220526BHJP
E05F 15/665 20150101ALI20220526BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E05F15/665
(21)【出願番号】P 2018117056
(22)【出願日】2018-06-20
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】小川 順也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-025583(JP,A)
【文献】特開2005-105762(JP,A)
【文献】特開2010-144444(JP,A)
【文献】特開2004-316148(JP,A)
【文献】特開2011-236684(JP,A)
【文献】特開2015-81494(JP,A)
【文献】特開平6-2355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00- 9/92
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取装置において、
制御情報の画像を表示する表示部と、この表示部に表示される前記画像の向きを反転する表示反転手段とを具備していることを特徴とする巻取装置。
【請求項2】
外部から操作された状態を機械的に自己保持する操作スイッチを備え、
前記表示反転手段は、前記操作スイッチの操作に応じて前記画像の向きを反転することを特徴とする請求項1記載の巻取装置。
【請求項3】
前記開閉体の上端側が止着される巻取体と、前記巻取体をその内側から回転可能に支持する固定軸と、前記固定軸に一体的に設けられて前記巻取体に回転力を伝達する開閉機と、前記固定軸に一体的に設けられて前記開閉機を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記表示反転手段として機能することを特徴とする請求項1又は2記載の巻取装置。
【請求項4】
前記巻取体は、その外周部に、径方向へ貫通する貫通部を有し、
前記表示部は、前記貫通部を介して前記巻取体の外部から視認されるように、前記巻取体内に配置されていることを特徴とする請求項3記載の巻取装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記巻取体内の空間に設けられ、前記固定軸の中心線を含む仮想平面を境にした一方側に位置する本体ケース部と、前記仮想平面を境にした他方側に位置し前記本体ケース部に接続された補助ケース部とを有するとともに、これら本体ケース部と補助ケース部によって前記固定軸の外周面の一部を周方向に覆っていることを特徴とする請求項3又は4記載の巻取装置。
【請求項6】
前記制御部には、コード読取り装置によって読取り可能なコード表示部が設けられ、このコード表示部に含まれる情報は、前記制御部に関する情報、又は前記制御部に関連付けされた情報であることを特徴とする請求項
3~5何れか1項記載の巻取装置。
【請求項7】
請求項1~6何れか1項記載の巻取装置を具備することを特徴とする開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシャッター装置やオーニング装置、ロールブラインド装置等に用いられる開閉体を巻き取る巻取装置、及び該巻取装置を具備した開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、この開閉体をその開放方向側で巻き取ったり繰り出したりする巻取体と、この巻取体内で該巻取体を駆動回転する回転駆動源と、前記巻取体内にて前記回転駆動源を制御する制御部と、これらを収納する収納ケースとを備え、前記回転駆動源及び前記制御部を開閉体幅方向の右寄り又は左寄りに偏って配置するようにした開閉装置がある。
このような開閉装置では、前記回転駆動源及び前記制御部を開閉体幅方向の右寄りに配置するか、あるは左寄りに配置するかは、設置現場の状況やメンテナンス性等を考慮して決められるのが一般的である。なお、前記右寄りの配置と前記左寄りの配置は、それぞれ、右勝手、左勝手と呼称される場合がある。
そして、例えば、右勝手の開閉装置を左勝手の開閉装置にする場合には、一体的に構成された巻取体、回転駆動源及び制御部等について、開閉体幅方向の略中心部を軸にして180度回転させて、これらの上下左右を入れ替えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-150262号公報(
図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記のような従来の開閉装置では、運転状態や、開閉動作回数、障害物感知の履歴等の各種制御情報を、わかり易く報知することが求められている。
そこで、例えば、制御部に、前記制御情報を表示するための表示部を設けることが考えられるが、このようにした場合には、前記のように右勝手と左勝手の場合で、前記表示部に表示される文字等が逆になるため、視認し難くなるおそれがある。
また、従来の開閉装置では、開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取装置を予め製造しておくことがあるが、その製造時点では、右勝手と左勝手のいずれで用いられるかが不明であることが多い。そこで、製造段階では左右勝手両者共通の仕様とし、製造後、受注時や開閉装置に取り付ける際等、左右勝手が判明した際に、その勝手に応じた構造を容易に適用できると便利である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取装置において、制御情報の画像を表示する表示部と、この表示部に表示される前記画像の向きを反転する表示反転手段とを具備していることを特徴とする巻取装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、制御情報の表示を、左右勝手に応じた見やすい表示にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図であり、収納部については内部構造を示している。
【
図2】
図1の(II)-(II)線に沿う断面図である。
【
図3】
図1の巻取装置について、制御部の要部を示す正面図である。
【
図4】同開閉装置の一例を示す正面図であり、収納部の内部構造について、巻取装置の上下左右を入れ替えた状態としている。
【
図5】
図4の(V)-(V)線に沿う断面図である。
【
図6】
図4の巻取装置について、制御部の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取装置において、制御情報の画像を表示する表示部と、この表示部に表示される前記画像の向きを反転する表示反転手段とを具備している。
ここで、前記制御情報の概念には、例えば、障害物感知装置の感度や、エラーコード、各種設定値、巻取体の回転速度等を含む。
また、前記表示反転手段は、具体例としては、7セグメントLEDや液晶パネルからなる表示装置や、この表示装置を制御する制御回路等を含む構成とすればよい。
前記構成によれば、巻取装置の上下左右を入れ替えた際に、表示部に表示される画像の向きを表示反転手段によって反転させることができる。
【0009】
第二の特徴は、外部から操作された状態を機械的に自己保持する操作スイッチを備え、前記表示反転手段は、前記操作スイッチの操作に応じて前記画像の向きを反転する。
この構成によれば、表示部に表示される画像の向きを、操作スイッチの状態に応じて機械的に保持することができる。
【0010】
第三の特徴として、前記開閉体の上端側が止着される巻取体と、前記巻取体をその内側から回転可能に支持する固定軸と、前記固定軸に一体的に設けられて前記巻取体に回転力を伝達する開閉機と、前記固定軸に一体的に設けられて前記開閉機を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記表示反転手段として機能する。
この構成によれば、好ましい具体的な態様として、巻取体内の制御部の指令によって表示部に表示される画像の向きを反転させることができる。
【0011】
第四の特徴として、前記巻取体は、その外周部に、径方向へ貫通する貫通部を有し、前記表示部は、前記貫通部を介して前記巻取体の外部から視認されるように、前記巻取体内に配置されている。
この構成によれば、貫通部によって表示部の視認性を向上することができる。
【0012】
第五の特徴として、前記制御部は、前記巻取体内の空間に設けられ、前記固定軸の中心線を含む仮想平面を境にした一方側に位置する本体ケース部と、前記仮想平面を境にした他方側に位置し前記本体ケース部に接続された補助ケース部とを有するとともに、これら本体ケース部と補助ケース部によって前記固定軸の外周面の一部を周方向に覆っている。
この構成によれば、巻取体内の空間を有効に利用することができる上、制御部を固定軸に対し頑強に保持させることができる。
【0013】
第六の特徴として、前記制御部には、コード読取り装置によって読取り可能なコード表示部が設けられ、このコード表示部に含まれる情報は、前記制御部に関する情報、又は前記制御部に関連付けされた情報である。
この構成によれば、制御部に関する多くの情報を、コード表示部及びコード読取り装置等によって、作業者等へ認識させることができる。
【0014】
また、第七の特徴は、上記巻取装置を具備して、開閉装置を構成した。
【0015】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、該開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0016】
図1は、本発明に係る巻取装置を備えた開閉装置の一例を示す。
この開閉装置Aは、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、この開閉体10を幅方向の両側で開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部30と、当該開閉装置Aを無線で遠隔操作するリモコン装置40とを備え、収納部30内の巻取装置50について上下左右を入れ替えて設置可能なシャッター装置を構成している。
図1の開閉装置Aでは、開閉機53及び制御部54等を右寄りに配置した右勝手に構成される。
【0017】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11を、上下に隣接する該スラット間で回動するように複数連接してなる開閉体本体10aと、この開閉体本体10aの閉鎖方向端部に接続されて全閉時の当接対象部位に当接する座板部材10bとを具備し、複数のスラット11の上端側を巻取体51の外周部に止着している。
【0018】
なお、開閉体10の他例としては、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ配設してなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等とすることが可能である
【0019】
ガイドレール20は、開閉体幅方向の両側にそれぞれ設けられ、開閉体10における全閉時の当接対象部位(例えば地面や床面)と、収納部30の間にわたる長尺状に形成される。各ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を横断面凹状に囲んで、開閉方向へ案内する。
【0020】
収納部30は、収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取装置50を具備している。
【0021】
収納ケース31は、開閉体幅方向へ長尺な中空箱状の部材であり、その下側壁面に開閉体幅方向へ長尺な開口部31aを有し、この開口部31aに、開閉体10を挿通させている。なお、この収納ケース31の他例としては、壁面を有さない枠状に形成することも可能である。
この収納ケース31の下部面には、蓋部材の着脱によって開閉される点検口31bも設けられている。この点検口31bは、制御部54の下方側に位置し、開閉機53及び制御部54等を通過可能であって、且つ表示部54b1を視認可能な大きさに形成され、開閉可能な扉体により閉鎖されている。
したがって、開閉体10をある程度繰り出した状態で、点検口31bを開放すれば、制御部54への操作や、開閉機53及び制御部54に対するメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
【0022】
巻取装置50は、開閉体10の上端側が止着される巻取体51と、巻取体51をその内側から回転可能に支持する固定軸52と、固定軸52に一体的に設けられて巻取体51に回転力を伝達する開閉機53と、固定軸52に一体的に設けられて開閉機53を制御する制御部54とを備える。
【0023】
巻取体51は、固定軸52の周囲で、周方向に間隔を置いて略平行に配設されて当該巻取体51の外周部を構成する複数の棒状部材51aと、これら棒状部材51aを外周部に支持するように開閉体幅方向に間隔を置いて設けられた複数の支持板51bとを備える。このような巻取体51の態様は、かご型と呼称される場合がある。
そして、この巻取体51は、周方向に隣接する二つの棒状部材51a,51aの間を、当該巻取体51の外周部を径方向へ貫通する貫通部51cにしている。この貫通部51cは、ユーザーインタフェース54bの目視や操作を可能にする。
【0024】
支持板51bは、外周部に棒状部材51aを嵌合して支持する略円盤状の部材であり、その中心部側がベアリング等を介して固定軸52に対し回転自在に支持されている。
【0025】
また、固定軸52は、金属等の硬質材料から長尺な円筒状又は円柱状に構成され、巻取体51の中心部に挿通され、その両端側が、図示しないブラケット等を介して収納ケース31に回転不能に固定されている。
【0026】
開閉機53は、直流又は交流の回転式電動機であり、その出力回転軸を固定軸52に略平行させて、固定軸52に固定支持されている。
この開閉機53の出力回転軸の回転力は、駆動回転部53aによって巻取体51へ伝達される。この開閉機53は、必要に応じて、回転速度を切替可能に構成される。
【0027】
駆動回転部53aは、外周部に棒状部材51aを嵌合する凹部を有する略円盤状の部材であり、その中心側が、ベアリング等を介して固定軸52に対し回転自在に支持されている。そして、この駆動回転部53aには、図示しない複数のギヤを介して、開閉機53の回転力が伝達される。
したがって、開閉機53の出力回転軸が回転すると、その回転力によって巻取体51が回転する。
【0028】
制御部54は、巻取体51内の空間に設けられ、ケース54a内に、マイコンやリレー、記憶装置、無線受信機等からなる制御回路を備える。
この制御部54は、ケース54aの開口部54a11を介して、ケース54a外に、ユーザーインタフェース54bを露出する。ケース54aを構成する蓋部材54a1の表面には、制御部54の設定内容や操作方法等を表示したラベル54dが貼着されている。
この制御部54は、前記制御回路を、予め記憶したプログラムにより動作させることで、ユーザーインタフェース54bの表示部54b1に制御情報の画像を表示するとともに、その画像の向きを、操作スイッチ54b2の操作に応じて反転する表示反転手段として機能する。
【0029】
より具体的に説明すれば、前記表示反転手段は、操作スイッチ54b2の操作に応じて、表示部54b1に表示される画像を略180度回転させて、その画像の上下左右を逆にする。
したがって、巻取装置50全体について、その上下左右を入れ替える際に操作スイッチ54b2を操作すれば、その入れ替えの前と後で、前記画像(例えば、「035」)が、何れも正向きに視認される(
図3及び
図6参照)。
【0030】
この制御部54、特に操作スイッチ54b2や表示部54b1は、メンテナンス性等の観点より、点検口31bの近傍にあることが望ましく、さらには、巻取体51の中心を通る水平断面を下方に投影した範囲内に位置することが好ましい。
【0031】
ケース54aは、
図2に示すように、径方向において開閉機53の逆側に位置し、開閉機53との間に固定軸52を挟むように設けられる。
このケース54aは、固定軸52の中心線を含む仮想平面Pを境にした一方側(
図2によれば左側)に位置する本体ケース部54a2と、前記仮想平面Pを境にした他方側(
図2によれば右側)に位置するとともに本体ケース部54a2に一体化された補助ケース部54a3と、本体ケース部54a2の前面側を覆う蓋部材54a1とを有し、前記本体ケース部54a2と補助ケース部54a3によって固定軸52の外周面の一部を周方向に覆っている。
【0032】
本体ケース部54a2及び補助ケース部54a3には、ユーザーインタフェース54bを有する制御回路等が装着される。
【0033】
蓋部材54a1は、貫通孔状の開口部54a11が設けられ、この開口部54a11を介して、表示部54b1を含むユーザーインタフェース54bを、外部へ露出させている。
【0034】
上記のようなケース構造によれば、例えば制御回路を構成するための部品等を補助ケース部54a3に収容して、巻取体51内の空間を有効に利用することができる。その上、制御部54全体を固定軸52に対し頑強に固定することができる。
【0035】
また、ユーザーインタフェース54bは、図示例によれば、ケース54aの上下方向の中央寄りに設けられる。なお、他例としては、このユーザーインタフェース54bをケース54aの上寄りや下寄りに設けることも可能である。
このユーザーインタフェース54bは、
図3に示すように、図示しない障害物感知装置の感度や、エラーコード、各種設定値、巻取体51の回転速度等を表示する表示部54b1と、外部から操作された状態を機械的に自己保持する操作スイッチ54b2とを備えている。
さらに、このユーザーインタフェース54bには、表示部54b1を介して外部から視認できるように、コード表示部54cが設けられている。
【0036】
表示部54b1は、図示例によれば7セグメントLEDであり、ケース54a内の図示しない制御回路に電気的に接続されている。この表示部54b1の他例としては、液晶ディスプレイや、その他の表示装置とすることも可能である。
そして、この表示部54b1は、巻取装置50と共に巻取体51内に位置し、周方向に隣接する棒状部材51a,51a間の貫通部51cを介して、巻取体51の外部から視認される。
【0037】
操作スイッチ54b2は、図示例によれば4ビットのディップスイッチであり、そのオンオフパターンに応じて、複数パターンの接点信号を出力し、その接点信号を、ケース54a内の図示しない制御回路へ入力する。
前記複数パターンの接点信号には、巻取装置50の上下左右の向きに応じて、表示部54b1に表示される画像の向きを正向き(
図3参照)又は逆向き(
図6参照)にする指令が含まれる。
【0038】
一例としては、操作スイッチ54b2を構成する四つのスイッチのうち、1ビット目のスイッチを、表示部54b1に表示される画像の向きを反転させて、その反転状態を機械的に自己保持するスイッチとし、他のビットの複数のスイッチを、開閉速度を変更するスイッチに用いる。
【0039】
なお、操作スイッチ54b2は、複数パターンの接点信号の出力状態を機械的に自己保持するものであればよく、他例としては、ロータリディップスイッチや、その他の単数もしくは複数の自己保持スイッチに置換することが可能である。
【0040】
また、コード表示部54cは、コード読取り装置によって読取り可能な画像であり、例えば、QRコードや、バーコード等とすることが可能である。このコード表示部54cの情報は、制御部54に関する情報、又は制御部54に関連付けされた情報である。
ここで、前記コード読取り装置は、コード表示部54cを読取ってその読取り情報を表示するものであればよく、例えば、専用プログラムをインストールした携帯端末(具体的にはスマートフォンや、腕時計型携帯端末等)、又はその他の携帯型読取り装置等とすればよい。
また、コード表示部54cに含まれる具体的な情報は、例えば、ラベル54dに記載の情報や、ラベル54dに記載されていない詳細情報等であって、当該開閉装置Aの操作方法や、各種エラーコードの説明等とすればよい。
【0041】
なお、本実施態様では、コード表示部54cに含まれる情報に、直接、制御部54に関する情報を含ませるようにしたが、他例としては、コード表示部54cに、前記携帯端末等によりアクセスされるサーバーコンピュータのアドレス等の情報を含ませ、前記サーバーコンピュータには制御部54に関連付けさた情報を保存し、前記携帯端末等が前記サーバーコンピュータから制御部54に関連付けされた情報を呼び込んで表示する態様とすることも可能である。
【0042】
また、リモコン装置40は、
図1に示すように、矩形状等のケース44の表面に、開閉体10を開放動作させるための開スイッチ41、開閉体10の動作を停止するための停止スイッチ42、開閉体10を閉鎖動作させるための閉スイッチ43等の操作スイッチを露出するとともに、ケース44内に、前記スイッチの操作に応じて開放指令、閉鎖指令、停止指令等の無線信号を、制御部54へ送信する制御回路及び送信機等を具備している。
【0043】
次に、上記構成の開閉装置Aにおいて、巻取装置50の上下左右を入れ替えた場合の作用効果について説明する(
図4~
図6参照)。
図4の開閉装置A’では、開閉機53及び制御部54等を左寄りに配置した左勝手の構成としている。
【0044】
巻取装置50の上下左右の入れ替えは、当該開閉装置A’の製造過程、又は、設置現場で行われる。
【0045】
具体的に説明すれば、巻取装置50は、
図1に示す態様に対し、上下左右を入れ替えた状態で、収納ケース31にセットされる(
図4及び
図5参照)。
この際、操作スイッチ54b2に対する手動操作により、表示部54b1に表示される画像の向きが、正向き(
図3参照)から逆向き(
図6参照)に変更される。
【0046】
そして、上下左右を入れ替えられた巻取体51に対し、開閉体10の上端側が止着される(
図5参照)。
【0047】
したがって、作業者等は、巻取装置50から開閉体10を繰り出した全閉状態において、点検口31bを開放すれば、表示部54b1に、上下の向きが正しい画像(
図6参照)を視認することができる。
このため、作業者等が表示部54b1に表示される画像(例えば、障害物感知装置の感度や、エラーコード、各種設定値、回転速度等)を見間違えるようなことを低減することができる。
しかも、表示部54b1に表示される画像の向きは、操作スイッチ54b2の機械的な位置によって保持されるため、電源遮断により消失することがない。
【0048】
また、作業者等は、コード読取り装置(例えば携帯端末等)によってコード表示部54cの読取りを行えば、制御部54に関する情報又は制御部54に関連付けされた情報を、前記コード読取り装置に表示させて視認することができる。
【0049】
さらに、作業者等は、蓋部材54a1を外せば、蓋部材54a1裏面のラベル54dに記載された情報を視認することができる。
【0050】
<制御部の操作について>
次に、制御部54の操作、具体的には操作スイッチ54b2の切り替え手順、操作等について、より詳細に説明する。
【0051】
この操作方法は、上記構成の開閉装置Aについて、巻取体51外周の貫通部51c(具体的には周方向に隣接する棒状部材51a,51a間の空間)を、開閉体10によって覆われていない露出状態にする工程と、この工程の後に、操作スイッチ54b2に対する操作を行う工程とを含む。
【0052】
すなわち、操作スイッチ54b2を操作するためには、操作スイッチ54b2を、外部から手等で操作可能な露出状態にしておく必要がある。操作スイッチ54b2が常に露出状態であったり、操作スイッチ54b2が、解放容易なケース等に収められている場合には、操作スイッチ54b2の操作を行うのは比較的容易である。
【0053】
一方、例えば、開閉体10の全開時や、ある程度の開放時等には、操作スイッチ54b2が、巻取体51に巻かれた開閉体10によって覆われた遮蔽状態になる。このような場合には、操作スイッチ54b2を露出状態にするのが面倒である。
したがって、操作スイッチ54b2の操作が必要な場合には、開閉体10を巻取体51に巻く前に、露出状態にある操作スイッチ54b2に対し、予め、切り替え作業等のスイッチ操作を行っておくことが好ましい。
【0054】
例えば、当該開閉装置Aの出荷前に、工場等にて開閉体10を巻取体51に巻く前に、望みの左右勝手になるように予め操作スイッチ54b2に対する設定作業(切り替え作業)を行い、その後、開閉体10を巻取体51に巻き取る作業(吊り込み作業を含む)を行えばよい。
このようにして操作された操作スイッチ54b2は、自己保持スイッチであるので、前記のようにして設定された状態を、巻取体51が開閉体10によって巻かれ覆われた遮蔽状態になった後も維持する。
【0055】
ところで、操作スイッチ54b2が巻取体51に巻かれた開閉体10によって遮蔽された状態のときに、この操作スイッチ54b2に対する切り替え操作を要する場合がある。
例えば、開閉装置Aが現場に設置された段階で左右勝手を誤って逆に設定していたことが判明した場合等がこれに相当する。このような場合には、開閉体10をある程度、例えば、半閉状態や全閉状態になるように繰り出した状態にして、操作スイッチ54b2を露出させて、この操作スイッチ54b2に対し切り替え操作を行い、この後に通常の開閉動作が行われるようにすればよい。
【0056】
なお、開閉装置Aによっては、開閉体10を全閉状態に繰り出しても未だ開閉体10の一部(例えば、可撓性シート等の柔軟な材質のように金属製スラットと異なる場合も含む)が、巻取体51の周囲に残っていて(いわゆる捨て巻き状態で)操作スイッチ54b2が遮蔽されている場合がある。このような場合には、全閉になってからも手動で又は強制閉鎖動作により開閉体10をさらに繰り出して、巻取体51周囲の開閉体10の一部を繰り出して、操作スイッチ54b2を露出させ、この操作スイッチ54b2に対し切り替え操作を行い、この後に元の通常開閉動作が可能な状態にすればよい。
【0057】
上述したように、操作スイッチ54b2が、巻取体51に巻かれた開閉体10によって遮蔽されていることは操作スイッチ54b2を切り替え操作する観点では不便な点であるが、一方、遮蔽されていることにより操作スイッチ54b2を塵埃や衝撃等から保護でき、さらに操作スイッチ54b2を、無意識または不当な故意による切り替え操作等からも保護することが期待できる。
【0058】
<他の変形例>
なお、上記実施態様によれば、表示部54b1の画像の向きを操作スイッチ54b2での手動操作により切り替えるようにしたが、他の好ましい一例としては、巻取装置50が正向きであるか逆向きであるかを感知する姿勢感知部(例えば姿勢センサや、リミットスイッチ等)を備え、この姿勢感知部の感知信号に応じて、制御部54が表示部54b1に表示される画像の向きを自動的に適正な向きにする態様することも可能である。
【0059】
また、上記実施態様によれば、表示部54b1の表示は、共通の画像を、反転前と反転後で逆さに表示するようにしたが、好ましい他例としては、反転前と反転後で前記画像自体の態様を異ならせるようにしてもよい。
例えば、前記画像が文字である場合に、反転前後で、斜字、太字、細字を変化させる等、字体や書体を変化させるようにしてもよい。さらに他例といては、反転の前後で、前記画像の表示色を変化させるようにしてもよい。
このようにすれば、その画像を視認した第三者に、表示反転手段の操作があったか否かを容易に認識させることができる。
【0060】
また、上記実施態様において、右勝手と左勝手を変更した場合、巻取装置50の上下左右を入れ替える以外、他の構成については何ら変更がなくそのまま共通に使用できることが好ましいが、必要に応じて、若干変更される要素があるようにしてもよい。例えば、固定軸52を受ける軸受けブラケット等が左右勝手で構造が異なる場合には、巻取装置50の端部構造を変更したり、開閉体10の取り付けのための穴位置や吊元等の部品を変更したり等してもよい。
【0061】
また、上記実施態様によれば、表示部54b1に表示される画像の向きを操作スイッチ54b2により設定するようにしたが、他例としては、リモコン装置40による指示や、図示しない有線での開閉停スイッチでの特殊操作(例えば多重押し操作等)による指示等により、前記画像の向きが設定されるようにしてもよい。
【0062】
上記実施の形態では、表示部54b1に表示される画像を二桁以上の数字とし、この二桁以上の数字全体について、その上下左右を反転(換言すれば全体を略180回転)させたが(
図3及び
図6参照)、前記画像は、反転した際に少なくともその一部を上下逆さまにして、反転前とは異なる表示形状になるものとするのが好ましい。言い換えれば、前記画像は、上下対称な表示形状のみからなる画像でないものが好ましい。
例えば、前記画像は、上下左右を反転した際に異なる表示形状になる一桁のみの数字とすることが可能である。
さらに、前記画像は、上下左右を反転した際に異なる表示形状になる二行以上の文字とすることも可能である。
【0063】
また、上記実施態様によれば、貫通部51cを周方向に隣接する棒状部材51a,51aの間の空間としたが、他例としては、巻取体を円筒状に形成するとともに該巻取体の周壁に形成した孔や切欠を前記貫通部とすることも可能である。
【0064】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0065】
10:開閉体
20:ガイドレール
30:収納部
40:リモコン装置
50:巻取装置
51:巻取体
51c:貫通部
52:固定軸
53:開閉機
54:制御部(表示反転手段)
54a:ケース
54a1:蓋部材
54a2:本体ケース部
54a3:補助ケース部
54b1:表示部
54c:コード表示部
54d:ラベル
54b2:操作スイッチ(表示反転手段)
A,A’:開閉装置
P:仮想平面