(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】発電装置および発電方法
(51)【国際特許分類】
F01K 25/06 20060101AFI20220526BHJP
F01K 25/10 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
F01K25/06
F01K25/10 S
(21)【出願番号】P 2018127615
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】小川 斗
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭明
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-080696(JP,A)
【文献】特開2012-102626(JP,A)
【文献】特開昭58-008209(JP,A)
【文献】特開昭60-259802(JP,A)
【文献】特開2002-195615(JP,A)
【文献】特開2016-097348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/00-27/02
F01K 1/00-21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素ガスが溶解
しておりアミン化合物と水とを含むCO
2
リッチ液体からなる循環媒体を
加熱して、
前記二酸化炭素ガスと水蒸気とが混合した二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体と、
前記アミン化合物と前記水とを主成分とするCO
2
リーン液体とを排出する放出部と、
前記放出部から排出された
前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体により駆動されて発電し、
発電に供された後の前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体を排出する発電部と、
収容部、第1噴出部、および第2噴出部を有する凝縮吸収部と、
を備え、
前記収容部は、前記発電部から排出された
発電に供された後の前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体を収容
し、
前記第1噴出部は、前記放出部から排出された
前記CO
2
リーン液体を前記収容部内に下向きに噴出して、
噴出された前記CO
2
リーン液体に、前記発電部から排出された発電に供された後の前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体を接触
させて前記CO
2
リーン液体に前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体のうちの二酸化炭素ガスを吸収させるとともに、前記水蒸気を水へと凝縮させて前記CO
2
リッチ液体を生成し、
前記第2噴出部は、前記CO
2
リッチ液体を前記凝縮吸収部の外部に排出し、前記二酸化炭素ガスを前記CO
2
リッチ液体に吸収する飽和温度よりも低い温度に前記外部で冷却された前記CO
2
リッチ液体を、前記第1噴出部に向かい合うよう前記収容部内
の位置に上向きに噴出して、
前記収容部内の前記二酸化炭素ガスを前記CO
2
リッチ液体に吸収させて前記CO
2
リッチ液体からなる循環媒体を再生する、
発電装置。
【請求項2】
前記第2噴出部は、
前記CO
2
リッチ液体を上向きに噴霧するノズルを含む、請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記第2噴出部は、
前記CO
2
リッチ液体を遠心力により上昇させて上向きに噴出する遠心揚液機を含む、請求項1または2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記凝縮吸収部から前記放出部に向かう
前記CO
2
リッチ液体と、前記放出部から前記凝縮吸収部に向かう
前記CO
2
リーン液体との間で熱交換を行う熱交換器を備える、請求項1から
3のいずれか1項に記載の発電装置。
【請求項5】
二酸化炭素ガスが溶解
しておりアミン化合物と水とを含むCO
2
リッチ液体からなる循環媒体を放出部内で
加熱して、
前記二酸化炭素ガスと水蒸気とが混合した二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体と、
前記アミン化合物と前記水とを主成分とするCO
2
リーン液体とを前記放出部から排出し、
前記放出部から排出された
前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体により発電部が駆動されて発電し、
発電に供された後の前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体を前記発電部から排出し、
前記発電部から排出された
発電に供された後の前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体を
凝縮吸収部の収容部内に収容し
、
前記放出部から排出された
前記CO
2
リーン液体を
前記凝縮吸収部の第1噴出部から前記収容部内に下向きに噴出して、
噴出された前記CO
2
リーン液体に、前記発電部から排出された発電に供された後の前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体を接触
させて前記CO
2
リーン液体に前記二酸化炭素ガス-水蒸気混合気体のうちの二酸化炭素ガスを吸収させるとともに、前記水蒸気を水へと凝縮させて前記CO
2
リッチ液体を生成し、
前記CO
2
リッチ液体を前記凝縮吸収部の外部に排出し、前記二酸化炭素ガスを前記CO
2
リッチ液体に吸収する飽和温度よりも低い温度に前記外部で冷却された前記CO
2
リッチ液体を、前記第1噴出部に向かい合うよう前記凝縮吸収部の第2噴出部から前記収容部内
の位置に上向きに噴出して、
前記収容部内の前記二酸化炭素ガスを前記CO
2
リッチ液体に吸収させて前記CO
2
リッチ液体からなる循環媒体を再生する、
ことを含む発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電装置および発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、蒸気発電サイクルでは、水から発生した水蒸気によりタービンを駆動し、復水器により水蒸気を水へと凝縮させる。また、カリーナサイクルでは、アンモニア水溶液から発生したアンモニアガスによりタービンを駆動し、吸収器によりアンモニアガスを水に吸収させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の発電サイクルに加えて、二酸化炭素(CO2)が溶解したアミン水溶液を用いた発電サイクルが提案されている。この発電サイクルでは、アミン水溶液から発生した水蒸気とCO2ガスによりタービンを駆動する。そのため、この発電サイクルでは、上記の復水器や吸収器のような機器により、水蒸気を水へと凝縮させ、かつCO2ガスをアミン水溶液に吸収させる必要があり、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収とを両立させる必要がある。これは、水蒸気以外の蒸気とCO2ガス以外のガスによりタービンを駆動する発電サイクルでも同様である。
【0005】
そこで、本発明の実施形態は、蒸気とガスとを用いた発電サイクルにおいて、蒸気の凝縮とガスの吸収とを両立することが可能な発電装置および発電方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一の実施形態によれば、発電装置は、ガスが溶解した液体から、前記ガスと前記液体の蒸気とを放出させ、前記ガスと、前記蒸気と、前記ガスおよび前記蒸気を放出した前記液体とを排出する放出部を備える。前記装置はさらに、前記放出部から排出された前記ガスおよび前記蒸気により駆動されて発電し、前記ガスおよび前記蒸気を排出する発電部を備える。前記装置はさらに、前記発電部から排出された前記ガスおよび前記蒸気を収容する収容部と、前記放出部から排出された前記液体を前記収容部内に下向きに噴出して、前記ガスおよび前記蒸気に接触させる第1噴出部と、前記放出部から排出された前記液体を前記収容部内に上向きに噴出して、前記ガスおよび前記蒸気に接触させる第2噴出部とを有し、前記蒸気を前記液体へと凝縮させ、かつ前記ガスを前記液体に吸収させる凝縮吸収部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、蒸気とガスとを用いた発電サイクルにおいて、蒸気の凝縮とガスの吸収とを両立することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態の凝縮吸収部の構成を示す模式図である。
【
図3】第2実施形態の凝縮吸収部の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1~
図3において、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の発電装置の構成を示す模式図である。
【0011】
図1の発電装置は、CO
2が溶解したアミン水溶液を用いた発電サイクルにより発電を行う。具体的には、アミン水溶液から水蒸気とCO
2ガスを発生させ、水蒸気とCO
2ガスを発電に利用する。ただし、以下の説明は、CO
2ガス以外のガス、アミン水溶液以外の液体、水蒸気以外の蒸気を用いる場合にも適用可能である。
【0012】
図1の発電装置は、凝縮吸収部1と、循環ポンプ2と、中間熱交換器3と、沸騰気化器4と、気水分離器5と、タービン6と、発電機7と、制御部8と、第1バルブ11と、第2バルブ12と、第3バルブ13とを備えている。沸騰気化器4および気水分離器5は、放出部の一例である。タービン6および発電機7は、発電部の一例である。
【0013】
図1は、凝縮吸収部1の設置面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、凝縮吸収部1の設置面に垂直なZ方向を示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱うが、-Z方向は、重力方向と一致していても一致していなくてもよい。本実施形態の-Z方向は、重力方向とほぼ一致している。本明細書では、凝縮吸収部1などの上下方向や水平方向を、これらX方向、Y方向、およびZ方向を用いて規定する。
【0014】
凝縮吸収部1は、水蒸気、CO2ガス、およびアミン水溶液を受け取り、水蒸気を水へと凝縮させ、かつCO2ガスをアミン水溶液に吸収(溶解)させる。その結果、符号S1で示すように、CO2ガスを吸収したアミン水溶液(リッチ液)が、凝縮吸収部1の底部に溜まる。また、水蒸気から凝縮した水は、このアミン水溶液に混入する。凝縮吸収部1の底部に溜まったアミン水溶液は、流路P1に排出される。
【0015】
流路P1に排出されたアミン水溶液は、循環ポンプ2により、中間熱交換器3を介して沸騰気化器4に移送される。符号S2は、沸騰気化器4により用いられる熱源を示している。沸騰気化器4は、流路P1から導入されたアミン水溶液をこの熱源により加熱して、アミン水溶液からCO2ガスと水蒸気を放出させる。これらのCO2ガス、水蒸気、およびアミン水溶液は、気水分離器5に流入する。
【0016】
気水分離器5は、CO2ガス、水蒸気、およびアミン水溶液を、CO2ガスおよび水蒸気を含む混合ガスと、CO2ガスおよび水蒸気を放出したアミン水溶液(リーン液)とに分離する。その結果、このアミン水溶液が流路P2に排出され、この混合ガスが流路P3に排出される。
【0017】
流路P2に排出されたアミン水溶液は、中間熱交換器3を介して凝縮吸収部1に移送される。中間熱交換器3は、凝縮吸収部1から沸騰気化器4に向かう液体(リッチ液)と、気水分離器5から凝縮吸収部1に向かう液体(リーン液)との間で熱交換を行う。リーン液は沸騰気化器4内で加熱されたため、リッチ液より高温である。よって、リッチ液は熱交換により加熱され、リーン液は熱交換により冷却される。リッチ液は、高濃度のCO2を含有するCO2-アミン水溶液であり、リーン液は、低濃度のCO2を含有するCO2-アミン水溶液(またはCO2を含有しないアミン水溶液)である。
【0018】
一方、流路P3に排出された混合ガスは、タービン6に流入する。タービン6は、この混合ガスにより駆動されて回転軸を回転させる。発電機7は、この回転軸を介してタービン6により駆動されて発電する。こうして、混合ガスのエネルギーが電気エネルギーに変換される。タービン6を通過した混合ガスは、流路P4に排出される。
【0019】
流路P4に排出された混合ガスは、流路P2に排出されたアミン水溶液と同様に、凝縮吸収部1に移送される。よって、凝縮吸収部1は、水蒸気、CO2ガス、およびアミン水溶液を再び受け取り、水蒸気を水へと凝縮させ、かつCO2ガスをアミン水溶液に吸収させる。
【0020】
制御部8は、発電装置の種々の動作を制御する。例えば、制御部8は、凝縮吸収部1の動作、循環ポンプ2の回転数、タービン6の動作、発電機7の出力、第1から第3バルブ11~13の開閉および開度などを制御する。制御部8の例は、プロセッサ、電気回路、コンピュータなどである。
【0021】
第1バルブ11は、流路P1に設けられており、具体的には中間熱交換器3と沸騰気化器4との間に配置されている。第2バルブ12は、流路P2に設けられており、具体的には中間熱交換器3と凝縮吸収部1との間に配置されている。第3バルブ13は、流路P3に設けられており、具体的にはタービン6と凝縮吸収部1との間に配置されている。
【0022】
なお、沸騰気化器4や気水分離器5は、リッチ液からCO2ガスと水蒸気を放出させることが可能なその他の構造(例えば蒸気ドラム)に置き換えてもよい。また、タービン6は、混合ガスの膨張などにより混合ガスから動力を得ることが可能なその他の構造(例えばエネルギー変換器)に置き換えてもよい。
【0023】
図2は、第1実施形態の凝縮吸収部1の構成を示す模式図である。
【0024】
本実施形態の凝縮吸収部1は、
図2に示すように、収容部1aと、第1噴出部の一例である上部ノズル1bと、第2噴出部の一例である下部ノズル1cとを備えている。
図2はさらに、本実施形態の発電装置を構成する循環ポンプ21、冷却器22、温度計23、および流路P5を示している。流路P5は、循環流路の一例である。
【0025】
収容部1aは、タービン6から流路P4に排出された混合ガス(CO2ガスおよび水蒸気)と、気水分離器5から流路P2に排出されたアミン水溶液を収容する。具体的には、アミン水溶液は、符号A1と符号A2で示すように、上部ノズル1bと下部ノズル1cから収容部1a内に噴出されることで収容部1a内に収容される。
【0026】
ただし、上部ノズル1bは、流路P2からアミン水溶液を直接受け取り、アミン水溶液を下向きに噴出する。その結果、上部ノズル1bから噴出されたアミン水溶液が落下し、収容部1a内に溜まる。収容部1a内に溜まったアミン水溶液の一部は、流路P5に排出され、流路P5から下部ノズル1cに移送される。そして、下部ノズル1bは、流路P5からアミン水溶液を受け取り、アミン水溶液を上向きに噴出する。その結果、下部ノズル1cから噴出されたアミン水溶液が上昇後に落下し、収容部1a内に溜まる。このようにして、流路P2から収容部1a内に流入したアミン水溶液が、収容部1aと流路P5との間を循環する。
【0027】
なお、上部ノズル1bは、アミン水溶液を真下に噴出してもよいし、斜下に噴出してもよい。同様に、下部ノズル1cは、アミン水溶液を真上に噴出してもよいし、斜上に噴出してもよい。
【0028】
アミン水溶液は、上部ノズル1bと下部ノズル1cから収容部1a内に噴出されることで、収容部1a内のCO2ガスおよび水蒸気と接触する。水蒸気が、噴出されたアミン水溶液と接触することで、水蒸気の凝縮が促進される。また、CO2ガスが、噴出されたアミン水溶液と接触することで、CO2ガスの吸収が促進される。このように、本実施形態によれば、アミン水溶液を収容部1a内に噴出してCO2ガスおよび水蒸気に接触させることで、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収を促進することができる。CO2ガスを吸収したアミン水溶液は、符号S1で示すように、収容部1a内に溜まる。また、水蒸気から凝縮した水は、このアミン水溶液に混入する。
【0029】
アミン水溶液を噴出することには、例えば、アミン水溶液の表面積を増大でき、CO2ガスおよび水蒸気との接触面積を増大できるという利点がある。また、本実施形態の凝縮吸収部1は、上部ノズル1bによりCO2ガスおよび水蒸気の上部からアミン水溶液を下向きに噴出するだけでなく、下部ノズル1cによりCO2ガスおよび水蒸気の下部からアミン水溶液を上向きに噴出することで、接触面積をさらに増大することができる。本実施形態によれば、アミン水溶液とCO2ガスおよび水蒸気との接触面積を増大させることで、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収をより促進することが可能となる。
【0030】
この接触面積をさらに増大させるために、上部ノズル1bと下部ノズル1cはアミン水溶液を噴霧することが望ましい。これにより、アミン水溶液が液滴となって噴出され、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収がより促進されることとなる。
【0031】
なお、上部ノズル1bは流路P2からのアミン水溶液を噴出し、下部ノズル1cは流路P5からのアミン水溶液を噴出しているが、上部ノズル1bの役割と下部ノズル1cの役割は入れ替えてもよい。すなわち、上部ノズル1bが流路P5からのアミン水溶液を噴出し、下部ノズル1cが流路P2からのアミン水溶液を噴出することにしてもよい。
【0032】
以下、流路P5の詳細を説明する。
【0033】
流路P5に排出されたアミン水溶液は、循環ポンプ21により、冷却器22を介して下部ノズル1cに移送される。水蒸気の凝縮反応とCO2ガスの吸収反応は発熱反応であるため、流路P5に排出されたアミン水溶液は、これらの発熱反応に起因する熱を保持している。そのため、冷却器22は、このアミン水溶液を冷却して、アミン水溶液から熱を除去する。本実施形態の冷却器22は、符号S3で示す冷媒(例えば冷却水や冷却ガス)によりアミン水溶液を冷却する。
【0034】
温度計23は、流路P5に設けられており、流路P5を流れるアミン水溶液の温度を測定する。本実施形態の温度計23は、冷却器22と下部ノズル1cとの間に設けられており、冷却器22により冷却されたアミン水溶液の温度を測定する。温度計23により測定されたアミン水溶液の温度は、
図1に示す制御部8に出力される。
【0035】
制御部8は、温度計23によるアミン水溶液の温度の測定結果に基づいて、流路P5を流れるアミン水溶液の温度を制御する。本実施形態の制御部8は、アミン水溶液の設定温度を保持しており、温度計23の測定温度が設定温度より低く維持されるよう冷却器22の動作を制御する。これにより、冷却器22と下部ノズル1cとの間を流れるアミン水溶液の温度を、設定温度より低く維持することが可能となる。この設定温度の例は、アミン水溶液によるCO2ガスの吸収の飽和温度である。なお、この飽和温度を定める圧力は、例えば収容部1a内の内部圧力であり、これは、内部圧力の定格値でもよいし測定値でもよい。
【0036】
なお、制御部8は、本実施形態では温度計23の測定温度を用いてアミン水溶液の温度を制御しているが、温度計23の測定温度を用いずにアミン水溶液の温度を制御してもよい。また、制御部8は、本実施形態では冷却器22を用いてアミン水溶液の温度を制御しているが、冷却器22を用いずにアミン水溶液の温度を制御してもよい。例えば、制御部8は、ポンプなどによりアミン水溶液の流量を制御することで、アミン水溶液の温度を制御してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、中間熱交換器3と凝縮吸収部1との間にて流路P2に冷却器を設けて、流路P2を流れるアミン水溶液をこの冷却器により冷却してもよい。この場合、この冷却器と上部ノズル1bとの間を流れるアミン水溶液の温度は、上記の飽和温度より低く維持することが望ましい。この冷却器の制御は、冷却器22の制御と同様に、制御部8により行うことが可能である。
【0038】
また、本実施形態では、冷却器22により冷却されたアミン水溶液の一部を、上部ノズル1bに供給してもよい。この場合、流路P2から上部ノズル1bに到達したアミン水溶液は、冷却器22からのアミン水溶液と合流して、上部ノズル1bから噴出される。これにより、流路P2からのアミン水溶液を、冷却器22からのアミン水溶液により冷却することが可能となる。
【0039】
以上のように、本実施形態の凝縮吸収部1は、上部ノズル1bから収容部1a内にアミン水溶液を下向きに噴出し、下部ノズル1cから収容部1a内にアミン水溶液を上向きに噴出することで、アミン水溶液をCO2ガスおよび水蒸気に接触させる。よって、本実施形態によれば、アミン水溶液とCO2ガスおよび水蒸気との接触面積を増大させることが可能となり、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収のいずれも効果的に促進することが可能となる。このように、本実施形態によれば、水蒸気とCOガス2とを用いた発電サイクルにおいて、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収とを両立することが可能となる。
【0040】
ここで、水蒸気の凝縮反応とCO2ガスの吸収反応により生じる熱は、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収との両立の妨げとなり得る。そこで、本実施形態の発電装置は、凝縮吸収部1から下部ノズル1cに向かうアミン水溶液を冷却器22により冷却し、冷却されたアミン水溶液を下部ノズル1cから収容部1a内に噴出する。よって、本実施形態によれば、上記の熱の問題に対処することが可能となり、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収とを適切に両立することが可能となる。
【0041】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態の凝縮吸収部1の構成を示す模式図である。
【0042】
本実施形態の凝縮吸収部1は、下部ノズル1cに代えて遠心揚液機1dを備えている。遠心揚液機1dは、第2噴出部の一例である。
【0043】
遠心揚液機1dは、上端の直径が下端の直径より大きい筒状の形状を有しており、収容部1aの底部のアミン水溶液に浸る位置に配置されている。矢印A3で示すように遠心揚液機1dがZ軸を中心に回転すると、遠心揚液機1dの内壁面に接するアミン水溶液に遠心力が作用し、遠心揚液機1dの内壁面に沿ってアミン水溶液が上昇する。その結果、矢印A4で示すように、遠心揚液機1dの内壁面に沿って上昇したアミン水溶液が、遠心揚液機1dから収容部1a内に上向きに噴出される。噴出されたアミン水溶液は上昇後に落下し、収容部1aの底部に再び溜まる。
【0044】
アミン水溶液は、上部ノズル1bと遠心揚液機1dから収容部1a内に噴出されることで、収容部1a内のCO2ガスおよび水蒸気と接触する。本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、アミン水溶液を収容部1a内に噴出してCO2ガスおよび水蒸気に接触させることで、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収を促進することができる。また、本実施形態によれば、水蒸気の凝縮により生じた水を、遠心揚液機1dによりアミン水溶液と撹拌することができる。
【0045】
以上のように、本実施形態の凝縮吸収部1は、上部ノズル1bから収容部1a内にアミン水溶液を下向きに噴出し、遠心揚液機1dから収容部1a内にアミン水溶液を上向きに噴出することで、アミン水溶液をCO2ガスおよび水蒸気に接触させる。よって、本実施形態によれば、アミン水溶液とCO2ガスおよび水蒸気との接触面積を増大させることが可能となり、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収のいずれも効果的に促進することが可能となる。このように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、水蒸気とCOガス2とを用いた発電サイクルにおいて、水蒸気の凝縮とCO2ガスの吸収とを両立することが可能となる。
【0046】
なお、第1実施形態の凝縮吸収部1は、複数の上部ノズル1bを備えていてもよいし、かつ/または、複数の下部ノズル1cを備えていてもよい。また、第2実施形態の凝縮吸収部1は、複数の上部ノズル1bを備えていてもよいし、かつ/または、複数の遠心揚液機1dを備えていてもよい。さらに、第1または第2実施形態の凝縮吸収部1は、下部ノズル1cと遠心揚液機1dの両方を備えていてもよい。
【0047】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0048】
1:凝縮吸収部、1a:収容部、1b:上部ノズル、1c:下部ノズル、
1d:遠心揚液機、2:循環ポンプ、3:中間熱交換器、4:沸騰気化器、
5:気水分離器、6:タービン、7:発電機、8:制御部、
11:第1バルブ、12:第2バルブ、13:第3バルブ、
21:循環ポンプ、22:冷却器、23:温度計