(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】天井パネル取付治具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/22 20060101AFI20220526BHJP
E04B 9/06 20060101ALI20220526BHJP
E04B 9/24 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
E04B9/22 C
E04B9/06 B
E04B9/24 C
(21)【出願番号】P 2018131203
(22)【出願日】2018-07-11
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517228559
【氏名又は名称】野原ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西田 勇人
(72)【発明者】
【氏名】元村 浩士
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-105113(JP,A)
【文献】特開2018-016942(JP,A)
【文献】特開2014-114611(JP,A)
【文献】特開平04-153442(JP,A)
【文献】特開2015-212472(JP,A)
【文献】特開平11-217919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/06,9/18-9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に間隔をあけて設けられる複数の支持フレームの間に板状の天井パネルを取り付ける天井パネル取付治具であって、
前記天井パネルに固定されるとともに、前記支持フレームの上側に配置される第一部材と、
前記支持フレームの下側に配置される第二部材と、
前記第一部材と前記第二部材とを結合する結合部材と、を備え、
前記第二部材は、前記支持フレームを挟んで前記第一部材に対向する位置と、前記支持フレームを挟んで前記第一部材に対向する位置から退避した位置との間で、移動可能に設けられて
おり、
前記結合部材は、前記第一部材および前記第二部材の一方に固定された磁石であり、
前記第一部材および前記第二部材の他方は磁性材料からなる、
ことを特徴とする天井パネル取付治具。
【請求項2】
前記第二部材は、前記支持フレームを挟んで前記第一部材と対向する平面部と、前記支持フレームの下面に形成された溝部に挿入される挿入片とを一体に備えることを特徴とする請求項
1に記載の天井パネル取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井パネル取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルディング等の建物の天井として、支持フレームと、支持フレームに支持された天井パネルと、を備えたシステム天井が用いられている。支持フレームは、水平方向に延び、断面略逆T字状をなしている。このような支持フレームは、水平方向に間隔をあけて互いに平行に複数本が設けられている。天井パネルは、その両端部が、支持フレーム上に載置されることで、互いに隣り合う支持フレーム間に設けられている。
このようなシステム天井において、システム天井の上方の天井裏スペースに設置された設備等を点検するため、点検口を設ける場合がある。このため、システム天井を構成する天井パネルを開閉可能とすることが望まれる。
【0003】
例えば特許文献1には、天井パネルの一端部を、支持フレームに回動可能に支持する構成が開示されている。この構成において、天井パネルの一端部の両側に位置する支持フレームには、それぞれ支持金具が設けられている。支持金具には、支持フレームと直交する方向に向けて突出する支持棒が設けられている。両側の支持金具間には、断面略逆T字状の受け金具が設けられ、受け金具の両端が、支持棒に回動可能に支持されている。天井パネルの一端部は、この受け金具に係合されている。天井パネルの他端部は、隣接する他の天井パネルの一端部が係合した受け金具に載置されている。このような構成によれば、天井パネルは、支持棒を中心として回動することで、開閉可能となっている。
しかし、特許文献1に開示されたような構成では、システム天井の施工に際し、支持フレームへの支持金具の装着、受け金具の天井パネルへの係合、受け金具の支持棒への係合等の作業が必要であり、施工に手間がかかる。
【0004】
また、特許文献2には、システム天井を構成する複数枚の天井パネルを、可動パネルと固定パネルの2種類から構成する点が開示されている。この構成において、可動パネルは、支持フレームに固定されておらず、単に支持フレーム上に載置されている。これにより、可動パネルは、天井パネルの下方の室内スペース側から押し上げることで、容易に開閉することができる。
しかし、このような構成では、地震時等に支持フレームの変形、位置ずれ等が生じると、可動パネルが落下してしまう場合がある。また、システム天井の上方の天井裏スペースの圧力をシステム天井の下方の室内スペースの圧力よりも低くすることで、空気調和や排煙等を行う場合、室内スペースと天井裏スペースとの圧力差によって可動パネルが浮き上がってしまう場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平7-29125号公報
【文献】特開2000-204710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成でありながら、天井パネルを確実に固定しつつ、容易に開閉可能とする、天井パネル取付治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の天井パネル取付治具は、水平方向に間隔をあけて設けられる複数の支持フレームの間に板状の天井パネルを取り付ける天井パネル取付治具であって、前記天井パネルに固定されるとともに、前記支持フレームの上側に配置される第一部材と、前記支持フレームの下側に配置される第二部材と、前記第一部材と前記第二部材とを結合する結合部材と、を備え、前記第二部材は、前記支持フレームを挟んで前記第一部材に対向する位置と、前記支持フレームを挟んで前記第一部材に対向する位置から退避した位置との間で、移動可能に設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、第一部材を支持フレームの上側に配置し、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置に第二部材を配置し、結合部材で第一部材と第二部材とを結合する。これにより、天井パネルは、支持フレームを挟み込む第一部材と第二部材とによって確実に固定される。また、第二部材を、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置から退避した位置に移動させることで、天井パネルは、第一部材と第二部材とによって支持フレームを挟み込んだ状態から解除される。これにより、天井パネルを支持フレームから取り外して、支持フレームの間に開口を形成し、点検口等として用いることができる。このようにして、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置から第二部材を退避させるのみで、天井パネルを容易に開閉することができる。また、第一部材と第二部材とを結合部材で結合するのみなので、簡易な構成である。したがって、簡易な構成でありながら、天井パネルを確実に固定しつつ、容易に開閉することができる。
【0009】
本発明の一態様において、本発明の天井パネル取付治具は、前記結合部材が、前記第一部材および前記第二部材の一方に固定された磁石であり、前記第一部材および前記第二部材の他方は磁性材料からなる。
【0010】
このような構成によれば、第一部材および第二部材の一方に固定した磁石を、第一部材および第二部材の他方に磁着させることができる。これにより、支持フレームの上側に配置した第一部材と、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置に配置した第二部材とを結合し、天井パネルを確実に固定することができる。また、第一部材および第二部材の他方を、磁石から引き離すことによって、第二部材を、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置から退避した位置に移動させることができる。これにより、天井パネルは、第一部材と第二部材とによって支持フレームを挟み込んだ状態から解除され、天井パネルを容易に開閉することができる。
【0011】
本発明の一態様において、本発明の天井パネル取付治具は、前記結合部材が、前記天井パネルを貫通して前記第一部材と前記第二部材とを結合するネジ部材であり、前記第二部材は、前記ネジ部材に対し、前記天井パネルの下面に沿ってスライド可能に設けられている。
【0012】
このような構成によれば、第二部材を、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置に配置した状態で、第一部材と第二部材とをネジ部材によって締結する。これにより、支持フレームの上側に配置した第一部材と、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置に配置した第二部材とを結合し、天井パネルを確実に固定することができる。また、ネジ部材を緩めた状態で、第二部材をネジ部材に対して天井の下面に沿ってスライドさせ、支持フレームを挟んで第一部材に対向する位置から退避した位置に移動させることができる。これにより、天井パネルは、第一部材と第二部材とによって支持フレームを挟み込んだ状態から解除され、天井パネルを容易に開閉することができる。
【0013】
本発明の一態様においては、本発明の天井パネル取付治具は、前記第二部材が、前記支持フレームを挟んで前記第一部材と対向する平面部と、前記支持フレームの下面に形成された溝部に挿入される挿入片とを一体に備える。
【0014】
このような構成によれば、第二部材の挿入片を支持フレームの溝部に挿入すると、第二部材が、溝部が連続する方向に交差する方向に移動するのを抑えることができる。これにより、第二部材が支持フレームからずれてしまうのを抑えることができ、天井パネルを確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成でありながら、天井パネルを確実に固定しつつ、容易に開閉可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る天井システムを、斜め下方から見た斜視図である。
【
図2】
図1の天井システムにおいて、天井パネルを取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の天井システムにおける、天井パネル取付治具による天井パネルの取付構造を示す断面図である。
【
図4】
図1の天井システムにおける、天井パネル取付治具の一部を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第二実施形態に係る天井システムを、斜め上方から見た斜視展開図である。
【
図6】
図5の天井システムにおける、天井パネル取付治具による天井パネルの取付構造を示す断面図である。
【
図7】
図5の天井システムにおける、天井パネル取付治具を示す斜視展開図である。
【
図8】
図5の天井システムにおいて、天井パネル取付治具の下部プレートをスライドさせた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明による天井パネル取付治具を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態に係る天井システムを、斜め下方から見た斜視図を
図1に示す。
図1の天井システムにおいて、天井パネルを取り外した状態を示す斜視図を
図2に示す。
図1の天井システムにおける、天井パネル取付治具による天井パネルの取付構造を示す断面図を
図3に示す。
図1の天井システムにおける、天井パネル取付治具の一部を示す斜視図を
図4に示す。
【0018】
図1、
図2、
図3に示されるように、天井システム1Aは、支持フレーム2と、天井パネル10Aと、天井パネル取付治具20Aとを備えている。
支持フレーム2は、建物躯体の一部を構成する天井スラブ(図示無し)に吊金具3(
図3参照)を介して吊り下げて設けられている。支持フレーム2は、水平方向に延びている。このような支持フレーム2は、支持フレーム2の延伸方向に直交する水平方向に間隔をあけて、互いに平行に配置されている。また、本実施形態において、支持フレーム2は、水平面内で互いに交差する2方向に沿って延びるように設けられ、下方から見ると格子状に配置されている。
図3に示されるように、支持フレーム2は、その延伸方向に沿った所定間隔毎に支持部材4を備えている。支持部材4は、支持フレーム2から鉛直上方に延びるシャフト部4aと、シャフト部4aの上端部に設けられ、吊金具3に連結される連結部4bと、を備える。
支持フレーム2は、シャフト部4aに直交する基板部2aと、基板部2aの幅方向両側からそれぞれ鉛直下方に延びる一対の側壁部2bと、一対の側壁部2bの下端から支持フレーム2の幅方向内側に延びる折返し部2cと、を一体に有する。支持フレーム2の下面には、幅方向両側の折返し部2cの間に、支持フレーム2の延伸方向に連続する溝部5が形成されている。
【0019】
図1、
図2に示されるように、天井パネル10Aは、平面視矩形状(正方形状)で、所定の板厚を有している。天井パネル10Aは、例えば、ガラス繊維とパルプを主原料としたガラス繊維パルプ混抄シート(例えば、「カールトン(商品名:野原産業株式会社製)」等により形成されている。天井パネル10Aは、水平方向で互いに隣り合う支持フレーム2間に設けられている。本実施形態において、格子状に設けられた四方の支持フレーム2に、天井パネル10Aは、その四辺の端部を基板部2a上に載置して設けられている。
【0020】
天井パネル取付治具20Aは、天井パネル10Aを、支持フレーム2に着脱可能に取り付ける。天井パネル取付治具20Aは、平面視矩形状の天井パネル10Aにおいて、少なくとも2つの角部に設けられている。本実施形態において、天井パネル取付治具20Aは、天井パネル10Aにおいて対角線状に位置する二つの角部に設けられている。天井パネル取付治具20Aは、天井パネル10Aの3つ以上の角部に設けてもよい。
図3に示されるように、天井パネル取付治具20Aは、上部プレート(第一部材)21Aと、下部プレート(第二部材)22Aと、磁石(結合部材)23と、を備えている。
【0021】
上部プレート21Aは、天井パネル10Aの角部に設けられている。上部プレート21Aは、平面視五角形状で、天井パネル10Aの下面10bに、接着剤等により固定されている。上部プレート21Aは、直交する二辺の下面が、支持フレーム2の基板部2aの上面に接している。これにより、上部プレート21Aは、支持フレーム2の上側に配置されている。上部プレート21Aは、鉄系材料等の磁性材料からなる。
図3に示されるように、下部プレート22Aは、支持フレーム2の下側に配置されている。
図4に示されるように、下部プレート22Aは、平面視五角形状の平面部22pと、平面部22pの一方の側において互いに直交する二辺から平面部22pに直交して起立する挿入片22sと、平面部22pの他方の側から挿入片22sと同方向に起立するカバー片22tと、を一体に備えている。カバー片22tは、支持フレーム2とほぼ同じ高さを有している。
磁石23は、下部プレート22Aの平面部22pの上側に、接着剤等によって固定されている。磁石23は、平面部22pに対し、平面部22pから挿入片22sが起立する側に設けられている。磁石23は、支持フレーム2とほぼ同じ高さを有している。
【0022】
図3に示されるように、このような下部プレート22Aは、平面部22pを支持フレーム2の下面の折返し部2cに突き当て、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aと上下方向に間隔をあけて対向するよう設けられる。この状態で、磁石23は、磁性材料からなる上部プレート21Aに磁着する。この磁石23を介し、上部プレート21Aと下部プレート22Aとは結合される。また、下部プレート22Aの二辺に形成された挿入片22sは、互いに直交する二つの支持フレーム2の下面に形成された溝部5に挿入される。下部プレート22Aのカバー片22tは、平面部22pと上部プレート21Aとの間を塞ぐように配置され、磁石23を覆い、磁石23の露出を抑える。
下部プレート22Aは、磁石23によって上部プレート21Aに磁着しているので、上部プレート21Aに対して着脱可能である。これにより、下部プレート22Aは、
図3中に二点鎖線で示すように、下部プレート22A及び磁石23を下方に移動させ、磁石23を上部プレート21Aから引き離すことで、下部プレート22Aと上部プレート21Aとの結合が解除される。すなわち、下部プレート22Aは、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1と、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1から退避した位置P2との間で、移動可能に設けられている。
【0023】
さらに、
図2に示されるように、天井パネル10Aの外周部には、上側プレート21Aが設けられた部分を除いて周方向に連続する磁気テープ29が設けられている。磁気テープ29は、支持フレーム2の上面に磁着される。これにより、天井パネル10Aは、磁気テープ29によっても支持フレーム2に固定される。
【0024】
図3に示されるように、天井パネル10Aを取り付けるには、まず、上部プレート21Aを一体に備えた天井パネル10Aを、支持フレーム2上に載置する。このとき、磁気テープ29(
図2参照)を支持フレーム2に磁着させることで、天井パネル10Aが支持フレーム2に仮固定される。次いで、支持フレーム2の下側において、上部プレート21Aと対向する位置に下部プレート22Aを近づける。すると、下部プレート22Aと一体に設けられた磁石23が、上部プレート21Aに磁着する。これにより、下部プレート22Aと上部プレート21Aとが、支持フレーム2を挟んで結合される。この状態で、天井パネル10Aが、天井パネル取付治具20Aによって、支持フレーム2に固定される。
また、天井パネル10Aを取り外すときには、天井パネル10Aの下方から、下部プレート22Aを下方に引っ張る。すると、磁石23と上部プレート21Aとの磁着が解除され、下部プレート22Aと上部プレート21Aとの結合が解除される。このようにして上部プレート21Aから下部プレート22Aを取り外すことにより、天井パネル10Aを上方に移動させることが可能となる。これによって、
図2に示されるように、天井パネル10Aが取り付けられていた位置に、開口Kが形成され、点検口等として利用することが可能となる。
なお、取り外した上部プレート21Aは、支持フレーム2が磁性材料から形成されているのであれば、磁石23の磁力により、開口Kの周囲の支持フレーム2等に磁着させておいてもよい。
【0025】
上述したような天井パネル取付治具20Aによれば、水平方向に間隔をあけて設けられる複数の支持フレーム2の間に板状の天井パネル10Aを取り付ける天井パネル取付治具20Aであって、支持フレーム2の上側に配置される上部プレート21Aと、支持フレーム2の下側に配置される下部プレート22Aと、上部プレート21Aと下部プレート22Aとを結合する磁石23と、を備え、下部プレート22Aは、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1と、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1から退避した位置P2との間で、移動可能に設けられている。
このような構成によれば、天井パネル10Aに固定された上部プレート21Aを支持フレーム2の上側に配置し、下部プレート22Aを、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1に配置することで、天井パネル10Aは、支持フレーム2を挟み込む上部プレート21Aと下部プレート22Aとによって確実に固定される。また、下部プレート22Aを、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1から退避した位置P2に移動させることで、天井パネル10Aは、上部プレート21Aと下部プレート22Aとによって支持フレーム2を挟み込んだ状態から解除される。これにより、天井パネル10Aを支持フレーム2から取り外して開口Kを形成することができる。このようにして、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1から下部プレート22Aを退避させるのみで、天井パネル10Aを容易に開閉することができる。また、天井パネル取付治具20Aは、上部プレート21Aと下部プレート22Aとを磁石23で結合するのみなので、簡易な構成である。したがって、天井パネル取付治具20Aによれば、天井パネル10Aを、簡易な構成でありながら、確実に固定しつつ、容易に開閉することが可能となる。
【0026】
また、下部プレート22Aに磁石23が固定され、上部プレート21Aは磁性材料からなる。このような構成によれば、下部プレート22Aに固定した磁石23を、上部プレート21Aに磁着させることができる。これにより、支持フレーム2の上側に配置した上部プレート21Aと、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1に配置した下部プレート22Aとを結合し、天井パネル10Aを確実に固定することができる。また、下部プレート22Aおよび磁石23を、上部プレート21Aから引き離すことによって、下部プレート22Aを、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aに対向する位置P1から退避した位置P2に移動させることができる。これにより、天井パネル10Aは、上部プレート21Aと下部プレート22Aとによって支持フレーム2を挟み込んだ状態から解除され、天井パネル10Aを容易に開閉することが可能となる。
【0027】
また、下部プレート22Aは、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Aと対向する平面部22pと、支持フレーム2の下面に形成された溝部5に挿入される挿入片22sとを一体に備える。
このような構成によれば、下部プレート22Aの挿入片22sを支持フレーム2の溝部5に挿入することによって、下部プレート22Aが、溝部5が連続する方向に交差する水平方向に移動するのを抑えることができる。これにより、下部プレート22Aが支持フレーム2から不用意にずれてしまうのを抑えることができ、天井パネル10Aを確実に固定することができる。
【0028】
(第一実施形態の変形例)
なお、本発明の天井パネル取付治具は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、磁石23を下部プレート22Aに設けるようにしたが、磁石23を上部プレート21Aに固定し、下部プレート22Aを磁石23が磁着する磁性材料から形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、上部プレート21Aを、天井パネル10Aの下面10bに設けるようにしたが、磁石23の磁力によって磁石23を上部プレート21Aに磁着させることができるのであれば、上部プレート21Aを天井パネル10Aの上面に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、天井パネル10Aを、例えば、ガラス繊維とパルプを主原料としたガラス繊維パルプ混抄シート等により形成したが、これ以外にも、例えば、石膏系材料(例えば石膏ボード)、ロックウール、金属系材料(例えばスパンドレル)等で天井パネル10Aを形成することもできる。
【0029】
(第二実施形態)
次に、本発明による天井パネル取付治具を実施するための第二実施形態について説明する。なお、以下に説明する第二実施形態は、第一実施形態に対して天井パネル取付治具20Bの構成が異なるのみで、支持フレーム2等の他の構成については第一実施形態で示した構成と共通である。したがって、以下においては、上記第一実施形態と異なる部分についてのみ説明し、第一実施形態と共通する構成については、図中に同符号を付してその説明を省略する。
本発明の第二実施形態に係る天井システムを、斜め上方から見た斜視展開図を
図5に示す。
図5の天井システムにおける、天井パネル取付治具による天井パネルの取付構造を示す断面図を
図6に示す。
図5の天井システムにおける、天井パネル取付治具を示す斜視展開図を
図7に示す。
図5の天井システムにおいて、天井パネル取付治具の下部プレートをスライドさせた状態を示す断面図を
図8に示す。
【0030】
図5、
図6に示されるように、天井システム1Bは、支持フレーム2と、天井パネル10Bと、天井パネル取付治具20Bと、を備えている。
天井パネル10Bは、平面視矩形状(正方形状)で、所定の板厚を有している。天井パネル10Bは、例えば、石膏系材料(例えば石膏ボード)、ロックウール、金属系材料(例えばスパンドレル)により形成されている。天井パネル10Bは、水平方向で互いに隣り合う支持フレーム2間に設けられている。
図6に示されるように、天井パネル10Bの外周部は、下面10b側に対し、上面10a側が外側に張り出すよう、張り出し部11が形成されている。張り出し部11の下側には、支持フレーム2の基板部2aの上面に支持される被支持面11fが形成されている。天井パネル10Bは、被支持面11fが基板部2a上に支持された状態で、下面10b側が、格子状に設けられた四方の支持フレーム2の内側に配置されている。
【0031】
天井パネル取付治具20Bは、天井パネル10Bを支持フレーム2に着脱可能に取り付ける。天井パネル取付治具20Bは、平面視矩形状の天井パネル10Bにおいて、少なくとも2つの角部に設けられている。本実施形態において、天井パネル取付治具20Bは、天井パネル10Bにおいて対角線状に位置する二つの角部に設けられている。天井パネル取付治具20Bは、天井パネル10Bの3つ以上の角部に設けてもよい。
図6、
図7に示されるように、天井パネル取付治具20Bは、上部プレート(第一部材)21Bと、下部プレート(第二部材)22Bと、ネジ部材(結合部材)24と、を備えている。
【0032】
上部プレート21Bは、天井パネル10Bの角部に設けられている。上部プレート21Bは、平面視五角形で、天井パネル10Bの上面10aに沿って接着剤等によって固定されている。上部プレート21Bには、ネジ部材24がねじ込まれる雌ネジ孔21hが形成されている。上部プレート21Bは、支持フレーム2の上側に配置されている。
下部プレート22Bは、支持フレーム2の下側に配置されている。下部プレート22Bは、平面視五角形状の平面部22qと、平面部22qにおいて互いに直交する二辺から平面部22qに直交して起立する挿入片22rと、を一体に備えている。下部プレート22Bの平面部22qには、長孔22hが形成されている。
【0033】
上部プレート21Bと下部プレート22Bとは、ネジ部材24によって結合されている。ネジ部材24は、外周面に雄ネジ溝を有する軸部24bと、軸部24bの下端部に設けられた頭部24aと、を備えている。軸部24bは、天井パネル10Bの下方から上方に向かって、下部プレート22Bの長孔22h、天井パネル10Bを貫通し、上部プレート21Bの雌ネジ孔21hにねじ込まれている。ネジ部材24の頭部24aは、長孔22hの幅よりも大きな外径を有している。この頭部24aにより、下部プレート22Bは、下方への移動が拘束されている。
図8に示されるように、ネジ部材24を緩め、頭部24aを天井パネル10Bの下面10bから下方に移動させると、下部プレート22Bは、ネジ部材24が挿通された長孔22hの延伸方向にスライド可能となる。下部プレート22Bは、長孔22hの延伸方向にスライドさせることで、挿入片22rが、天井パネル10Bの角部から、下面10bに沿った方向に出没可能となっている。
【0034】
図6に示されるように、下部プレート22Bは、挿入片22rを天井パネル10Bの角部から外側に突出させた位置P11において、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bに対向する。この位置P11で、下部プレート22Bは、平面部22qが支持フレーム2の下面の折返し部2cに突き当たり、天井パネル10Bの被支持面11fと下部プレート22Bとで支持フレーム2を上下から挟み込む。この状態で、下部プレート22Bの二辺に形成された挿入片22rは、互いに直交する二つの支持フレーム2の下面に形成された溝部5に挿入される。
また、
図8に示されるように、下部プレート22Bは、ネジ部材24を緩めて平面部22qを下方に移動させ、挿入片22rを溝部5から引き抜いた後、長孔22hに沿って天井パネル10Bの角部の内側に向かってスライドさせる。これにより、下部プレート22Bは、上部プレート21Bに対向する位置P11から退避した位置P12に移動する。これにより、天井パネル10Bは、上部プレート21Bと下部プレート22Bとによって支持フレーム2を挟み込んだ状態から解除される。これにより、天井パネル10Bを支持フレーム2から上方に取り外すことで、点検口等として用いられる開口Kを形成することができる。
【0035】
上述したような天井パネル取付治具20Bによれば、水平方向に間隔をあけて設けられる複数の支持フレーム2の間に板状の天井パネル10Bを取り付ける天井パネル取付治具20Bであって、支持フレーム2の上側に配置される上部プレート21Bと、支持フレーム2の下側に配置される下部プレート22Bと、上部プレート21Bと下部プレート22Bとを結合するネジ部材24と、を備え、下部プレート22Bは、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bに対向する位置P11と、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bに対向する位置P11から退避した位置P12との間で、移動可能に設けられている。
このような構成によれば、天井パネル10Bに固定された上部プレート21Bを支持フレーム2の上側に配置し、下部プレート22Bを、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bに対向する位置P11に配置した状態で、ネジ部材24で締結する。これにより、天井パネル10Bは、支持フレーム2を挟み込む上部プレート21Bと下部プレート22Bとによって確実に固定される。また、下部プレート22Bを、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bに対向する位置P11から退避した位置P12に移動させることで、天井パネル10Bは、上部プレート21Bと下部プレート22Bとによって支持フレーム2を挟み込んだ状態から解除される。これにより、天井パネル10Bを支持フレーム2から取り外すことで開口Kを形成することができる。このようにして、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bに対向する位置P11から下部プレート22Bを退避させるのみで、天井パネル10Bを容易に開閉することができる。また、天井パネル取付治具20Bは、上部プレート21Bと下部プレート22Bとをネジ部材24で結合するのみなので、簡易な構成である。したがって、天井パネル取付治具20Bによれば、天井パネル10Bを、簡易な構成でありながら、確実に固定しつつ、容易に開閉することが可能となる。
【0036】
また、ネジ部材24は、天井パネル10Bを貫通して上部プレート21Bと下部プレート22Bとを結合し、下部プレート22Bは、ネジ部材24に対し、天井パネル10Bの下面10bに沿ってスライド可能に設けられている。
このような構成によれば、下部プレート22Bをネジ部材24に対して天井パネル10Bの下面10bに沿ってスライドさせることで、下部プレート22Bを、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bに対向する位置P11と、位置P11から退避した位置P12との間で、容易に移動させることができる。これにより、天井パネル10Bを容易に開閉することができる。
【0037】
また、下部プレート22Bは、支持フレーム2を挟んで上部プレート21Bと対向する平面部22qと、支持フレーム2の下面に形成された溝部5に挿入される挿入片22rとを一体に備える。
このような構成によれば、下部プレート22Bの挿入片22rを支持フレーム2の溝部5に挿入すると、下部プレート22Bが、溝部5が連続する方向に交差する水平方向に移動するのを抑えることができる。これにより、下部プレート22Bが支持フレーム2から不用意にずれてしまうのを抑えることができ、天井パネル10Bを確実に固定することができる。
【0038】
(第二実施形態の変形例)
なお、上記第二実施形態では、天井パネル10Bの上面10a側に、外側に張り出す張り出し部11を形成し、張り出し部11の被支持面11fを支持フレーム2上に載せるようにしたが、これに限らない。例えば、上部プレート21Bの端部を、天井パネル10Bの角部から外側に突出させて、支持フレーム2上に載せるようにしてもよい。
【0039】
(その他の変形例)
上記各実施形態およびその変形例では、支持フレーム2を格子状に形成し、矩形状の天井パネル10A、10Bを、四方の支持フレーム2の内側に設けるようにしたが、これに限らない。例えば、水平面内で一方向に延びる複数本の支持フレーム2を互いに平行に設置し、互いに隣り合う支持フレーム2間に天井パネル10A、10Bを設けるようにしてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0040】
2 支持フレーム 22A、22B 下部プレート(第二部材)
10A、10B 天井パネル 22p、22q 平面部
10b 下面 22r、22s 挿入片
20A、20B 天井パネル取付治具 23 磁石(結合部材)
21A、21B 上部プレート(第一部材) 24 ネジ部材(結合部材)