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特許7079705物品移動具、物品移動具用のローラー、物品移動具用のローラー支持部材、物品移動具用のローラー保持部材、陳列棚
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】物品移動具、物品移動具用のローラー、物品移動具用のローラー支持部材、物品移動具用のローラー保持部材、陳列棚
(51)【国際特許分類】
   A47F 1/12 20060101AFI20220526BHJP
   A47F 3/08 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A47F1/12
A47F3/08
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018182082
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020048937
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子
(72)【発明者】
【氏名】冨塚 曜
(72)【発明者】
【氏名】櫛間 信彦
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-029186(JP,A)
【文献】国際公開第2016/052650(WO,A1)
【文献】特開2014-188218(JP,A)
【文献】特開2000-287795(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0217212(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/084827(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/12
A47F 3/02-3/08
A47F 5/00
B65G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラーと、
前記ローラーの一部を突出させて前記ローラーを回転自在に収容するローラー収容部材と、
前記ローラー収容部材において前記一部が突出している物品移動領域を区切るように前記ローラー収容部材に立てられる仕切り板と、
を備え、
前記物品移動領域内には前記仕切り板を案内する仕切り板ガイド部が形成され
前記ローラー収容部材は、
前記ローラーを収容するローラー収容空間が形成されたローラー支持部材と、
前記ローラー支持部材に取り付け可能且つ前記ローラー支持部材から取り外し可能であって、前記ローラーの一部を前記ローラー収容部材から突出させた状態で前記ローラーを保持するローラー保持部材と、
を備え、
前記ローラー保持部材には前記ローラーの一部が貫通するローラー貫通孔が形成されており、
1つの前記ローラー貫通孔には1つの前記ローラーの一部が貫通し、
前記ローラー保持部材は前記仕切り板の長手方向で前記ローラー貫通孔を区画するローラー区画壁を有し、
前記仕切り板ガイド部は、前記長手方向に沿って前記ローラー区画壁に形成された第1の溝である
物品移動具。
【請求項2】
前記第の溝の幅は前記仕切り板の下部の幅と同じである、
請求項に記載の物品移動具。
【請求項3】
前記ローラーは中心軸に沿って間隔をあけて配置可能な複数の小ローラー部を備え、
前記小ローラー部同士の間に前記仕切り板ガイド部が形成され、
前記小ローラー部同士の間の中心と前記第1の溝の中心とが前記中心軸に沿った方向で重なっている、
請求項1又は2に記載の物品移動具。
【請求項4】
前記仕切り板ガイド部は、前記ローラーの全周にわたって径方向の内側に凹む第の溝である、
請求項1から3の何れか一項に記載の物品移動具。
【請求項5】
前記仕切り板ガイド部は前記仕切り板の下部を受け入れて前記仕切り板を案内する、
請求項1からの何れか一項に記載の物品移動具。
【請求項6】
前記仕切り板ガイド部が仕切り板ガイド補助部として前記ローラー収容部材に形成されている、
請求項1からの何れか一項に記載の物品移動具。
【請求項7】
一部を突出させてローラー収容部材に回転自在に収容され、前記一部が前記ローラー収容部材から突出している物品移動領域を区切るように前記ローラー収容部材に仕切り板が立てられている物品移動具に用いられる物品移動具用のローラーであって、
全周にわたって径方向の内側に凹む溝が形成され、
記溝は前記仕切り板の下部を受け入れ可能である物品移動具用のローラー。
【請求項8】
ローラーの一部を突出させて前記ローラーを回転自在に収容するローラー収容部材を構成し、前記一部が前記ローラー収容部材から突出している物品移動領域を区切るように前記ローラー収容部材に仕切り板が立てられている物品移動具に用いられる物品移動具用のローラー保持部材であって、
前記ローラーを収容するローラー収容空間が形成されたローラー支持部材に取り付け可能且つ前記ローラー支持部材から取り外し可能であり、
前記ローラーの一部が貫通するローラー貫通孔が形成されており、
1つの前記ローラー貫通孔には1つの前記ローラーの一部が貫通可能であり、
前記仕切り板の長手方向で前記ローラー貫通孔を区画するローラー区画壁を有し、
前記長手方向に沿って前記ローラー区画壁に前記仕切り板を案内する仕切り板ガイド部が形成されている、
物品移動具用のローラー保持部材。
【請求項9】
請求項1からの何れか一項に記載の物品移動具を一以上備えている陳列棚。
【請求項10】
請求項に記載の物品移動具用のローラーを一以上備えている陳列棚。
【請求項11】
請求項に記載の物品移動具用のローラー保持部材を一以上備えている陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品移動具、物品移動具用のローラー、物品移動具用のローラー支持部材、物品移動具用のローラー保持部材、陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアーやスーパー等の店舗では、複数の商品等の物品を陳列して販売する際に、複数のローラーを備えた物品移動具や、物品移動具を備えた陳列棚が使用されている。複数の物品は、物品移動具において購入者に近い前側から購入者から遠い後側に向かって、列を作り、並べられる。物品移動具は、前側に移動するにしたがって下降するように、適度に傾斜した状態で陳列棚に設けられている。購入者が前側に載置された物品を物品移動具から取り除くと、物品が取り除かれたことによって生じる空間に、後側の別の物品が複数のローラーの周面上をすべりながら自然に移動する。
【0003】
複数の物品を前後方向に沿って整列させるために、物品移動具や陳列棚では仕切り板が用いられている。特に物品の種類が複数ある場合は、互いに異なる種類の物品同士の間に仕切り板が設けられている。このような仕切り板の前側の端部及び後側の端部には、下側に突出する突起が設けられている。物品移動具の前側の端部及び後側の端部には、仕切り板の突起を挿入可能な穴或いは溝が左右方向に沿って複数形成されている。物品移動具の前側の穴とその穴に対応する後側の穴に、仕切り板の前側の突起と後側の突起を挿入することによって、物品移動具において物品を並べる空間を所望のように仕切ることができる。
【0004】
例えば、特許文献1には、仕切り板の突起を挿入可能な係合穴部(穴)が前側の端部及び後側の端部に互いに間隔をあけて複数形成されている商品陳列ユニット(物品移動具)が開示されている。特許文献1の商品陳列ユニットでは、商品陳列ユニットの前側及び後側のそれぞれの端部において、隣り合う係合穴部の前後方向の位置が互いに異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3126947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の商品陳列ユニットでは、隣り合う係合穴部の前後方向の位置が異なることによって、仕切り板の掛け違えを防止できる。仕切り板の掛け違えとは、例えば仕切り板の突起を物品移動具の前側及び後側で互いに左右方向にずれた穴に挿入してしまい、所望の位置とは異なる位置に仕切り板が立つ事態をいう。
ところが、近年、店舗の作業員の補充作業の頻度を減らし、且つ欠品の発生を防止するために、奥行きの大きい物品移動具及び陳列棚が求められている。物品移動具及び陳列棚の奥行きが数メートル(m)オーダーまで大きくなると、特許文献1の商品陳列ユニットを用いても、仕切り板の掛け違えを防止できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、奥行きが大きくても仕切り板の掛け違えを防止可能な物品移動具及び陳列棚を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品移動具は、ローラーと、前記ローラーの一部を突出させて前記ローラーを回転自在に収容するローラー収容部材と、前記ローラー収容部材において前記一部が突出している物品移動領域を区切るように前記ローラー収容部材に立てられる仕切り板と、を備え、前記物品移動領域内には前記仕切り板を案内する仕切り板ガイド部が形成され、前記ローラー収容部材は、前記ローラーを収容するローラー収容空間が形成されたローラー支持部材と、前記ローラー支持部材に取り付け可能且つ前記ローラー支持部材から取り外し可能であって、前記ローラーの一部を前記ローラー収容部材から突出させた状態で前記ローラーを保持するローラー保持部材と、を備える。前記ローラー保持部材には前記ローラーの一部が貫通するローラー貫通穴が形成されており、1つの前記ローラー貫通孔には1つの前記ローラーの一部が貫通し、前記ローラー保持部材は前記仕切り板の長手方向で前記ローラー貫通孔を区画するローラー区画壁を有し、前記仕切り板ガイド部は、前記長手方向に沿って前記ローラー区画壁に形成された第1の溝である
本発明の物品移動具では、前記第1の溝の幅は前記仕切り板の下部の幅と同じであってもよい。
【0009】
上述の物品移動具によれば、仕切り板の下部が物品移動領域内で仕切り板ガイド部に案内されるので、仕切り板ガイド部を経由して物品移動領域を区切るように仕切り板を立てられる。このことによって、物品移動具の奥行きが大きくなっても、仕切り板を所望の位置に間違いなく立てることができる。仕切り板の前側及び後側の端部に挿入部が設けられ、物品移動領域の前方及び後方のローラー収容部材に挿入部を挿入可能な穴等が複数形成されている場合は、物品移動具の奥行きが大きくなると、1つの仕切り板の挿入部を挿入すべき2つの穴が一目で分かりにくい。上述の物品移動具によれば、物品移動領域の前方及び後方のうち一方のローラー収容部材の穴に仕切り板の一方の挿入部を挿入し、仕切り板の下部を所定の仕切り板ガイド部に配置することによって所定の位置に案内し、物品移動領域の前方及び後方のうち他方のローラー収容部材の穴に仕切り板の他方の挿入部を挿入できる。このように仕切り板を立てることによって、仕切り板の掛け違えを防止できる。
また、上述の物品移動具によれば、仕切り板の下部が第1の溝に挿入されることによって、仕切り板ガイド部を経由して物品移動領域の所望の位置に仕切り板を安定させて立てられるので、仕切り板の掛け違えを容易に防止できる。ローラー収容部材の形状に合わせて第1の溝の長さを調整すれば、経由する仕切り板ガイド部の長さを変えられるので、仕切り板の掛け違えを防止しやすくなる。
【0010】
本発明の物品移動具では、前記ローラーは中心軸に沿って間隔をあけて配置可能な複数の小ローラー部を備え、前記小ローラー部同士の間に前記仕切り板ガイド部が形成され、前記小ローラー部同士の間の中心と前記第1の溝の中心とが前記中心軸に沿った方向で重なっていてもよい。
【0011】
上述の物品移動具によれば、ローラーを製造しやすくなり、小ローラー部同士の間隔を変更して、仕切り板ガイド部の幅を容易に微調整できる。
【0012】
本発明の物品移動具では、前記仕切り板ガイド部は、前記ローラーの全周にわたって径方向の内側に凹む第の溝であってもよい。
【0013】
上述の物品移動具によれば、仕切り板の下部が第1の溝に挿入されることによって、仕切り板ガイド部を経由し、物品移動領域の所望の位置に間違いなく仕切り板を立てられるので、仕切り板の掛け違えを容易に防止できる。
【0014】
本発明の物品移動具では、前記仕切り板ガイド部は前記仕切り板の下部を受け入れて前記仕切り板を案内するものであってもよい。
【0015】
上述の物品移動具によれば、物品移動具の奥行きが大きくなっても、仕切り板の下部が物品移動領域の前後方向にわたって仕切り板ガイド部に受け入れられて配置される。このことによって、仕切り板が前後方向に対して所定の位置から外れにくく、曲がりにくくなるので、仕切り板の前後方向の撓みを抑えることができる。
【0016】
本発明の物品移動具では、前記仕切り板ガイド部が仕切り板ガイド補助部として前記ローラー収容部材に形成されていてもよい
【0017】
上述の物品移動具によれば、ローラー収容部材に仕切り板が案内及び/又は挿入されることによって、物品移動領域の所望の位置に間違いなく仕切り板を立てられるので、仕切り板の掛け違えを防止できる。
【0022】
本発明の物品移動具用のローラーは、一部を突出させてローラー収容部材に回転自在に収容され、前記一部が前記ローラー収容部材から突出している物品移動領域を区切るように前記ローラー収容部材に仕切り板が立てられている物品移動具に用いられる物品移動具用のローラーであって、全周にわたって径方向の内側に凹む溝が形成され、前記溝は前記仕切り板の下部を受け入れ可能である。
【0023】
上述の物品移動具用のローラーによれば、ローラーをローラー収容部材に収容した状態で、第1の溝に仕切り板の下部を挿入して仕切り板を案内することができる。このことによって、仕切り板ガイド部を経由して物品移動領域の所望の位置に間違いなく仕切り板を立てられるので、仕切り板の掛け違えを容易に防止できる。
【0024】
本発明の物品移動具用のローラー保持部材は、ローラーの一部を突出させて前記ローラーを回転自在に収容するローラー収容部材を構成し、前記一部が前記ローラー収容部材から突出している物品移動領域を区切るように前記ローラー収容部材に仕切り板が立てられている物品移動具に用いられる物品移動具用のローラー保持部材であって、前記ローラーを収容するローラー収容空間が形成されたローラー支持部材に取り付け可能且つ前記ローラー支持部材から取り外し可能であり、前記ローラーの一部が貫通するローラー貫通孔が形成されており、1つの前記ローラー貫通孔には1つの前記ローラーの一部が貫通可能であり、前記仕切り板の長手方向で前記ローラー貫通孔を区画するローラー区画壁を有し、前記長手方向に沿って前記ローラー区画壁に前記仕切り板を案内する仕切り板ガイド部が形成されている。
【0026】
本発明の陳列棚は、上述の物品移動具を一以上備えている。
本発明の陳列棚は、上述の物品移動具用のローラー、ローラー保持部材の何れかを一以上備えている。
【0027】
上述の陳列棚によれば、上述の物品移動具や物品移動具用のローラー、ローラー支持部材、ローラー保持部材の何れかを備えることによって、仕切り板ガイド部或いは第1の溝、第2の溝に仕切り板の下部を挿入して仕切り板を案内することができる。このことによって、物品移動領域の所望の位置に間違いなく仕切り板を立てられるので、仕切り板の掛け違えを容易に防止できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、奥行きが大きくても仕切り板の掛け違えを防止可能な物品移動具、物品移動具用のローラー、物品移動具用のローラー支持部材、物品移動具用のローラー保持部材、陳列棚が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態の物品移動具の斜視図である。
図2図1に示す物品移動具のローラーの斜視図である。
図3図1に示す物品移動具のローラー保持部材の平面図である。
図4図1に示す物品移動具のA-A線で矢視した断面図である。
図5図4に示す物品移動具の微小領域Xの拡大図である。
図6図1に示す物品移動具のB-B線で矢視した断面図である。
図7】本発明の一実施形態の陳列棚の斜視図である。
図8図7に示す陳列棚の前側の一部の側面図である。
図9図2に示すローラーの変形例を示す斜視図である。
図10図1に示す物品移動具の変形例において図6に示すB-B線で矢視した断面図に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の物品移動具及び陳列棚の好ましい実施形態について、図面を参照し、説明する。
【0031】
先ず、本発明の一実施形態の物品移動具及び陳列棚について説明する。
【0032】
[物品移動具]
図1は、本実施形態の物品移動具1の斜視図である。物品移動具1は、複数のローラー(物品移動具用のローラー)10と、ローラー収容部材3と、仕切り板55と、を備える。図1では、わかりやすくするために、物品移動具1の主要な構成を分解して示している。
【0033】
以下、不図示の購入者が物品移動具1に向かい合った際に、購入者に近い側を前側、使用者から遠い側を後側とし、前側と後側とを結ぶ方向を前後方向D1とする。物品移動具1を前側から見たときの左側と右側とを結ぶ方向を左右方向D2とする。前後方向D1及び左右方向D2に直交し、上側と下側とを結ぶ方向を上下方向D3とする。
【0034】
図2は、ローラー10の斜視図である。図2に示すように、ローラー10は、円柱状の本体11と、軸12とを有する。軸12は、本体11の底面の中心から中心軸140に沿って延びている。本体11の直径は、特定の値に限定されず、本体11の周面13上をすべる物品の重量や底面積等を勘案して適切に設定されている。軸12の直径は、少なくとも本体11の直径より小さく、ローラー支持部材5の形状等を勘案して適切に設定されている。
【0035】
本体11の長さ、即ち本体11の中心軸140に沿った方向の大きさは、物品50を前後方向D1に沿って円滑に移動させるために最低限必要とされる周面13の左右方向D2の幅を満たし、前述の最低限必要とされる周面13の幅の100%以上200%以下であることが好ましい。
【0036】
周面13には、径方向の内側に凹む溝(第1の溝、溝)15が複数形成されている。図2では、3つの溝15が例示されている。それぞれの溝15は、中心軸140に沿って幅W15を有し、本体11の全周にわたって形成されている。複数の溝15は、中心軸140に沿って、互いに所定の間隔G15をあけて形成されている。
【0037】
ローラー10の素材としては、例えばポリアセタール樹脂(POM)が挙げられる。但し、ローラー10の素材は、物品が周面13上で止まらずに滑らかに移動できれば、POMに限定されない。ローラー10の摩擦特性を向上させるために、ローラー10には、シリコーン等の潤滑性を付与するための添加剤等が添加されていてもよい。本体11を円滑に回転させるために、軸12の静摩擦係数は、ローラー支持部材5及びローラー保持部材20の素材の静摩擦係数に対して0.1以上0.5以下程度であることが好ましい。静摩擦係数は、ISO 8295で測定した値を示す。
【0038】
ローラー収容部材3は、ローラー10の上端部(一部)を突出させ、ローラー10が回転自在となるようにローラー10を収容する。ローラー収容部材3は、ローラー支持部材(物品移動具用のローラー支持部材)5と、ローラー保持部材(物品移動具用のローラー保持部材)20と、を備える。ローラー支持部材5には、ローラー10を収容するローラー収容空間8が形成されている。ローラー保持部材20は、ローラー10の上端部をローラー収容空間8から突出させた状態でローラー10を保持する。ローラー保持部材20は、ローラー支持部材5に取り付け可能、且つローラー支持部材5から取り外し可能である。
【0039】
図1に示すように、ローラー支持部材5は、基板6と、側壁7と、前側仕切り板挿入部16と、後側仕切り板挿入部17と、を備える。基板6は、板状に形成され、物品移動具1の大きさに合わせて前後方向D1及び左右方向D2に拡がっている。側壁7,7は、基板6の左側及び右側のそれぞれの周縁から上側に立ち上がり、前後方向D1に沿って延びている。前側仕切り板挿入部16は、基板6の前側の周縁から上側に立ち上がり、左右方向D2に沿って延びている。後側仕切り板挿入部17は、基板6の後側の周縁から上側に立ち上がり、左右方向D2に沿って延びている。前側仕切り板挿入部16及び後側仕切り板挿入部17は、前後方向D1において後に説明する穴18,19を形成可能な長さを有する。
【0040】
基板6、側壁7、前側仕切り板挿入部16及び後側仕切り板挿入部17に囲まれた開口部9は、複数の区画90に分割されている。1つの区画90に、1つのローラー保持部材20が割り当てられる。開口部9が複数の区画90に分割されることによって、複数のローラー10やローラー保持部材20のローラー支持部材5への設置や取り外しを区画90毎に行うことができ、物品移動具1の取り扱いが容易になる。
【0041】
開口部9は、後述するように物品が周面13上を滑りながら移動可能な物品移動領域88の少なくとも一部を構成し、区画壁62と区画壁63によって8つの区画90に分割されている。区画壁62は、基板6の上側の表面61に設けられ、略左右方向D2に沿って延びている。基板6の上側の表面61に設けられ、前後方向D1に沿って延びている。開口部9には、前後方向D1方向に4つの区画90があり、左右方向D2に2つの区画90がある。
【0042】
区画壁62には、前後方向D1に沿う溝77が形成されている。溝77は、後述するように左右方向D2の所定の幅を有し、左右方向D2において所定の間隔をあけて形成されている。図1では、8つの区画90のうちの1つの区画90に取り付け可能なローラー保持部材20と、複数のローラー10のうち2本のローラー10とを例示し、その他のローラー保持部材20及びローラー10は省略されている。
【0043】
それぞれの区画90は、3つの小区画壁64によって、4つの列に分割されている。3つの小区画壁64は、左右方向D2においてローラー10の長さと略同じ間隔をあけて設けられている。それぞれの列は、ローラー区画壁(小区画壁)65によって、複数のローラー収容空間8に分割されている。1つのローラー収容空間8に対して、1つのローラー10が収容されている。つまり、少なくとも左右方向(所定の方向)D2において、物品移動領域88は、区画壁63及び小区画壁64によって、複数のローラー収容空間8に区画されている。本実施形態では、前後方向D1においても、物品移動領域88は、区画壁62及びローラー区画壁65によって、複数のローラー収容空間8に区画されている。各々のローラー収容空間8は、中心軸140に沿った方向のローラー10の大きさと同じ大きさ及び中心軸140に沿った方向に直交する方向のローラー10の大きさと同じ大きさを有する。
【0044】
ローラー収容空間8には、基板6を貫通する貫通孔68が形成されている。ローラー収容空間8の左右方向D2の両端には、軸支持部66が設けられている。ローラー収容空間8にローラー10が収容されると、周面13が軸支持部66の上側の表面に接した状態で軸12が軸支持部66に支持され、本体11の軸12より下側が貫通孔68に露出する。
【0045】
区画壁62と前側仕切り板挿入部16及び後側仕切り板挿入部17において、各区画90に露出する壁面には、各区画90から突出する側に凹む凹部32が形成されている。凹部32の凹む方向の先端には、上側に向かってさらに凹む凹部34が形成されている。
【0046】
側壁7は、前後方向D1に沿って前側仕切り板挿入部16と後側仕切り板挿入部17とを接続することによって、梁材の機能を有する。つまり、側壁7は、ローラー支持部材5の自重による撓み等で生じる曲げ応力を負担する。例えば、側壁7の一方の端部を水平な台等に載せた際の自重による他方の端部の撓みが抑えられる。梁材としての機能を発揮させるために、側壁7の左右方向D2の大きさは、区画壁62の前後方向D1の大きさ、又は前側仕切り板挿入部16と後側仕切り板挿入部17の前後方向D1の大きさよりも大きいことが好ましい。側壁7の高さは、側壁7の上側の表面がローラー収容空間8に収容されたローラー10の本体11の最上端より低くなるように、適切に設定されている。
【0047】
一方の側壁7において物品移動具1の外周側の表面には、左右方向D2に沿って突出する連結部38が設けられている。連結部38の先端部には、先端部から上側に向けて突出する爪部が設けられている。他方の側壁7において物品移動具1の外周側の表面には、左右方向D2に凹む被連結部39が形成されている。被連結部39は、別の物品移動具の連結部38を嵌めて物品移動具同士を接続できるように、連結部38の形状に合わせて形成されている。
【0048】
前側仕切り板挿入部16の上側の表面には、左右方向D2に沿って、所定の間隔G18をあけて、穴18が複数形成されている。穴18は、前後方向D1に沿って、所定の長さL18にわたって形成されている。前側仕切り板挿入部16の下側の表面には、上側に凹むように切欠49が形成されている。
【0049】
後側仕切り板挿入部17の上側の表面には、左右方向D2に沿って、穴18と同じ間隔G18をあけて、穴19が複数形成されている。穴19は、前後方向D1に沿って、所定の長さL19にわたって形成されている。1つの穴18に対して、左右方向D2において重なる1つの穴19が存在する。
【0050】
図3は、ローラー保持部材20の平面図である。ローラー保持部材20は、図1に示す区画90と同様の平面視形状及び大きさを有する本体21で構成されている。ローラー保持部材20には、区画90に収容されるローラー10の数と同数のローラー貫通穴28が形成されている。図1に示すように、ローラー貫通穴28は、ローラー保持部材20をローラー支持部材5に取り付けた状態で、平面視において、ローラー収容空間8と重なる位置に形成されている。つまり、ローラー保持部材20は、区画90の輪郭と同様の平面視形状及び大きさを有する枠部41と、枠部41内の開口部42を4つの空間列に分割する3つの小区画壁44と、それぞれの空間列をローラー貫通穴28に分割する複数のローラー区画壁48と、を備える。ローラー保持部材20が区画90に取り付けられると、平面視において、小区画壁44,64は互いに重なり、ローラー区画壁48,68は互いに重なる。
【0051】
枠部41のうち左右方向D2に沿って延びる枠部51と複数のローラー区画壁48は、前側から後側に向かうに従って一旦上側に向かって凸となるように湾曲し、その後湾曲したままで下降する。枠部41のうち前後方向Dに沿って延びる枠部52は、ローラー収容空間8に遠い側から近い側に向かうに従って一旦上側に向かって凸となるように湾曲し、その後湾曲したままで下降する。枠部41やローラー区画壁48が前述のように湾曲形状を有することによって、区画90にローラー10及びローラー保持部材20を取り付けた状態でローラー10をすべる物品に当たる枠部41やローラー区画壁48の面積が最小限に抑えられる。このことによって、物品が列の途中で止まりにくくなる。
【0052】
枠部51には、溝75が形成されている。ローラー区画壁48には、溝(第2の溝)76が形成されている。左右方向D2において、溝75,76,77の中心は、ローラー収容空間8に収容されたローラー10の溝15の中心と重なる位置に形成されている。左右方向D2において、溝75,76は後述するように所定の幅を有し、複数の溝75,76は互いに所定の間隔G15をあけて形成されている。
【0053】
枠部51には、前側又は後側に突出する突起22が設けられている。突起22の先端には、上側に立ち上がる爪24が設けられている。
【0054】
図4は、物品移動具1の区画90の範囲をA-A線で矢視した断面図である。ローラー保持部材20の最上端と、区画壁62の上側の表面、側壁7と前側仕切り板挿入部16及び後側仕切り板挿入部17のそれぞれの上側の表面は、略同じ高さになっている。図4に示すように、ローラー10がローラー収容空間8に収容され、ローラー保持部材20が区画90に取り付けられると、本体11の軸12より上側がローラー貫通穴28を貫通する。中心軸140に沿って本体11を側面視(即ち、底面視)すると、本体11の上端部は、ローラー保持部材20の上方に突出する。ローラー10のローラー保持部材20からの突出量は、物品移動具1に載置された物品を後側から前側に向かって円滑に移動できれば、特に制限されない。ローラー保持部材20からのローラー10の突出高さは、例えば、本体11の直径の1.5%以上15.0%以下であることが好ましく、ローラー収容空間8の深さやローラー保持部材20の厚み等を制御することによって調整されている。
【0055】
図5は、図4に示す微小領域Xの拡大図である。図5に示すように、突起22が凹部32に挿入され、さらに爪24が凹部34に引っかかることによって、ローラー保持部材20がローラー支持部材5の区画90に取り付けられている。爪24の側面25が凹部34の側壁35に接しているので、ローラー保持部材20がローラー支持部材5から外れにくい。ローラー保持部材20がローラー支持部材5に取り付けられた状態で、物品移動具1が前後方向D1において湾曲するように撓んでも、側面25が接点Cで側壁35に押し付けられ、爪24が凹部34から外れにくくなる。このように爪24が凹部34から外れないことによって、ローラー保持部材20がローラー支持部材5に取り付けられた状態が確実に保たれ、ローラー10の散在が防止される。
【0056】
図1及び図7に示すように、ローラー保持部材20からローラー10が突出している領域は、物品移動領域88になっている。物品移動領域88は、ローラー10が突出している局所部分のみを意味しておらず、局所部分も含めて、物品が周面13上を滑りながら移動可能な領域全体を意味する。物品移動領域88は、ローラー10の上方、ローラー10が突出している局所部分の間や周囲のローラー保持部材20の上方、区画壁62,63の上方、側壁7の上方をすべて含む。
【0057】
ローラー支持部材5及びローラー保持部材20の素材としては、例えばPOM、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、高衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。ローラー支持部材5及びローラー保持部材20の素材は、物品移動具1を薄型化でき、前後方向D1や左右方向D2における撓みに対して強く、且つローラー10を円滑に回転できれば、前述の樹脂以外の素材であってもよく、POM等に限定されない。
【0058】
仕切り板55は、前後方向D1に沿って穴18から穴19に達する長尺な板状部材である。仕切り板55の前側の端部には、下側に突出する前側挿入部56が設けられている。前側挿入部56は、前後方向D1において穴18と同程度又は穴18より短く形成され、穴18に挿入可能である。仕切り板55の後側の端部には、下側に突出する後側挿入部57が設けられている。後側挿入部57は、前後方向D1において穴19と同程度又は穴19より短く形成され、穴19に挿入可能である。
【0059】
図1に示すように、前側挿入部56と後側挿入部57との間の仕切り板55の長手方向の中央下端部には、補助挿通部(下部)58が設けられている。図6に示すように、補助挿通部58の左右方向D2の幅は、補助挿通部58より上側の仕切り板55の左右方向D2の幅より小さい。穴18及び穴19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入した状態において、補助挿通部58が溝15,75,76,77の内部に位置している。
【0060】
仕切り板55の厚み、即ち、仕切り板55の左右方向D2の厚みは、例えば1.0mm以上2.0mm以下であることが好ましい。仕切り板55の素材としては、例えばアルミ、アクリル、プラスチック等が挙げられる。補助挿通部58の左右方向D2の幅は、補助挿通部58より上側の仕切り板55の厚みの20%以上45%以下、0.3mm以上0.8mm以下であることが好ましい。
【0061】
上述の各構成を備えた物品移動具1は、図1に示すように前後方向D1にわって長尺に形成され、500mm以上700mm以下の長さL1を有する。前後方向D1において、穴18,19の間の物品移動具1には、仕切り板55の下部を受け入れて案内する仕切り板ガイド部95が形成されている。本実施形態の物品移動具1では、仕切り板ガイド部95が溝15,75,76,77で構成され、補助挿通部58が溝15の内部に位置している。
【0062】
幅W15は、仕切り板55の厚みの25%以上50%以下、0.5mm以上1.0mm以下であることが好ましい。幅W15は、補助挿通部58の左右方向D2の幅W58より大きいことが好ましく、幅W58の100%より大きく120%以下であることが好ましい。幅W15が幅W58の100%より大きいことによって、補助挿通部58の側面158が溝15の側面151から離れ、本体11が円滑に回転する。幅W58に対して幅W15が大きくなる程、溝15によって補助挿通部58を案内する精度が低下するが、幅W15が幅W58の120%以下であることによって、前述の精度の低下が抑えられ、且つ物品移動領域88において仕切り板55が安定して立つ。また、幅W15が幅W58の120%以下であることによって、仕切り板55が左側又は右側に撓みかけても、側面158が側面151に当たり、仕切り板55の大きな撓みが防止される。
【0063】
幅W15は、周面13に接する物品の表面に突出する部分がある場合、幅W15は、前述の突出部分の幅より小さいことが好ましい。例えば、後に説明する物品50が飲料用の缶であれば、図7に示すように、物品50には下側に突出する突出部分53がある。突出部分53は、前後方向D1や左右方向D2において1mm程度の大きさを有する。その場合、幅W15は、突出部分53の前後方向D1や左右方向D2の大きさより小さいことが好ましい。穴18,19のそれぞれの左右方向D2の幅は、幅W15と同程度であることが好ましい。
【0064】
溝15の周面13からの径方向の深さE15は、穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入した状態で、補助挿通部58の下面159が溝15の下面152から離れるように、補助挿通部58の上下方向D3の高さに合わせて適宜設定されている。幅W15及び深さE15が前述のように設定されることによって、穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入した状態で、補助挿通部58の側面158が溝15の側面151から離れ、且つ下面159が下面152から離れるので、本体11が円滑に回転する。但し、下面159が下面152に接していても本体11の回転が妨げられない場合は、下面159が下面152に接していてもよい。その場合は、上下方向D3において仕切り板55が下面152で支持され、仕切り板55の前後方向D1における撓みが防止される。
【0065】
溝75,76,77の左右方向D2の幅は、少なくとも幅W15以下であり、幅W58と略同じであることが好ましい。少なくとも、溝77の左右方向D2の幅は、幅W58と略同じであることが好ましい。溝75,76,77の幅が幅W58より大きく幅W15以下であれば、少なくとも溝15,75,76,77の内部に補助挿通部58を位置させることができ、溝75,76,77の案内機能が発揮される。溝75,76,77の幅が幅W58と同じであれば、穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入した状態で、補助挿通部58が溝75,76,77に嵌まる。このことによって、図6に示すように、仕切り板55が溝75,76,77に案内されることに加え、溝75,76,77に支持されるので、仕切り板55が安定して物品移動領域88に立ち、前後方向D1における撓みが良好に抑えられる。
【0066】
間隔G15は、1mm以上12mm以下であることが好ましい。穴18,19のそれぞれの左右方向D2の間隔は、間隔G15と同程度である。左右方向D2において重なる穴18,19を前後方向に沿って結ぶ直線と溝15,75,76,77は、互いに重なっている。言い換えれば、溝15,75,76は、左右方向D2で重なる穴18,19を前後方向に沿って結ぶ直線と平面視において重なっている。左右方向D2で重なる穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入すると、複数の溝15,75,76,77のうちの1つの溝15,75,76が仕切り板55と平面視において重なり、仕切り板55の長手方向に沿って、補助挿通部58が1つの溝15,75,76,77に受け入れられる。
【0067】
[陳列棚]
図7は、本発明の一実施形態の陳列棚80の斜視図である。図7に示すように、陳列棚80は、上下方向D3において所定の間隔をあけて配置された複数の棚60に、複数の物品移動具1を備える。図7では、左右方向D2において2つの物品移動具1が連結され、棚60に置かれた陳列棚80を示している。1つの棚60において互いに連結させる物品移動具1の数、及び、棚60の数は、物品50の総量、陳列棚80の全体の大きさ、形状、陳列棚を収容する冷蔵庫の大きさ等を勘案して適切に設定されている。
【0068】
物品50は、例えば清涼飲料水等の液体を収容した缶であるが、缶に限定されず、ペットボトルやラッピングされた食品等、陳列可能なものを広く含む。
【0069】
物品50を物品移動領域88で円滑に移動させるために、棚60は、前側に移動するにしたがって下降するように、適度に傾斜している。前側の物品50が物品移動具1から取り除かれると、物品50が取り除かれたことによって生じる空間に、図7の矢印で示すように、後側の別の物品50が複数のローラー10をすべりながら自然に移動する。
【0070】
図8は、陳列棚80の前側の一部の側面図である。図8に示すように、陳列棚80の前側の端部には、ストッパー72が設けられている。ストッパー72は、差し部73と止め部74とを備える。差し部73は、切欠49に挿入され、棚60とローラー支持部材5との間に挟まれている。止め部74は、差し部73の前側の端部から、上側且つ差し部73に対して略垂直に立ち上がっている。止め部74は、最も前側にある物品50が物品移動具1より前側に落ちないようにするためのストッパーであり、物品50の種類や価格を提示するプレートの取り付け部材としても機能する。
【0071】
以上説明した本実施形態の物品移動具1は、ローラー10と、ローラー収容部材3と、仕切り板55と、を備える。物品移動具1では、物品移動領域88内に仕切り板ガイド部95が形成されている。
物品移動具1によれば、左右方向D2で重なる穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入する際に、補助挿通部58が物品移動領域88において仕切り板ガイド部95に案内され、複数の溝15,75,76,77のうちの1つの溝15,75,76,77と補助挿通部58が少なくとも左右方向D2において重なっている。実際には、左右方向D2で重なる穴18,19の一方に、前側挿入部56及び後側挿入部57の一方を挿入し、穴18,19の一方と左右方向D2で重なる複数の溝15,75,76,77を任意の順になぞるように仕切り板55の位置を合わせ、左右方向D2で重なる穴18,19の他方に、前側挿入部56及び後側挿入部57の他方を挿入できる。このようにすれば、左右方向D2における所望の位置で物品移動領域88を区切るように、仕切り板55を掛け違えることなく前後方向D1に沿って真っ直ぐに立てることができる。物品移動具の奥行きが大きくなると、左右方向D2において重なる穴18,19を一目で判別しにくくなるが、穴18,19の一方から仕切り板55を立てるべき位置にある溝15,75,76,77を経由しつつ、穴18,19の他方に至ることによって、仕切り板55の掛け違いを防止できる。
【0072】
本実施形態の物品移動具1及びローラー10では、ローラー10に溝15が形成されているので、補助挿通部58を溝15に位置させつつ、物品移動領域88の所望の位置に間違いなく仕切り板55を立てて、仕切り板55の掛け違えを容易に防止できる。本実施形態では、複数のローラー10が前後方向D1に沿って物品移動領域88に隣接しているので、補助挿通部58が多数の溝15に案内され、仕切り板55の掛け違い及び前後方向D1の撓みを確実に防止できる。
【0073】
本実施形態の物品移動具1では、幅W15が幅W58の100%より大きく、120%以下であるため、側面158が側面151から離れ、本体11を補助挿通部58に接触させずに円滑に回転させることができる。また、幅W15が幅W58の120%以下であることによって、幅W15,W58の差を幅W58の20%以下に抑え、補助挿通部58を所定の位置に案内する精度を高く保ち、仕切り板55の掛け違いを防止すると共に、所定の位置からの仕切り板55のずれを抑えることができる。また、幅W15,W58の差を幅W58の20%以下に抑えることによって、仕切り板55を安定して立たせ、仕切り板55が左側又は右側に撓みかけても、その際に側面158が初めて接触する側面151によって仕切り板55の撓みを止めることができ、仕切り板55の前後方向D1における大きな撓みを防止できる。
【0074】
本実施形態の物品移動具1では、仕切り板ガイド部95は補助挿通部58を受け入れて仕切り板55を案内する。溝15,75,76,77に補助挿通部58が受け入れられることによって、仕切り板55が物品移動領域88において左右方向D2に倒れかける、あるいは物品50等に押されて撓みかけたときに溝15,75,76,77の内側に当たって溝15,75,76,77に支えられる。このことによって、前後方向D1において仕切り板55の撓みを防止し、仕切り板55で所定の通りに仕切られた物品移動領域88において物品50を円滑に移動させ、物品50の列を保つことができる。
【0075】
本実施形態の物品移動具1では、溝75,76,77が仕切り板ガイド補助部としてローラー収容部材に形成されていてもよい。その場合、溝75,76,77の大きさや深さを調節して仕切り板55を案内する機能に加えて支持する機能等を付与でき、溝15には仕切り板55の案内する機能を発揮させつつローラー10の回転を円滑にできる。
【0076】
本実施形態の物品移動具1では、ローラー収容部材3は、ローラー10を収容可能なローラー支持部材5と、ローラー支持部材5に取り付けられてローラー10がローラー支持部材5に収容され且つ支持された状態を保持するローラー保持部材20と、を備える。ローラー支持部材5及びローラー保持部材20には、仕切り板ガイド部95が形成されている。物品移動具1、ローラー支持部材5及びローラー保持部材20によれば、補助挿通部58を仕切り板ガイド部95に位置させつつ、物品移動領域88の所望の位置に間違いなく仕切り板55を立てて、仕切り板55の掛け違えを容易に防止できる。
【0077】
本実施形態の物品移動具1では、仕切り板ガイド部95として、ローラー支持部材5に溝77が形成され、ローラー保持部材20に溝75,76が形成されている。したがって、補助挿通部58を溝75,76,77に位置させつつ、物品移動領域88の所望の位置に間違いなく仕切り板55を立てて、仕切り板55の掛け違えを容易に防止できる。
【0078】
本実施形態の物品移動具1では、溝75,76,77の左右方向D2の幅が幅W58と同じである場合、穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入した状態で、補助挿通部58を溝75,76,77に嵌めることができる。このことによって、図6に示すように、補助挿通部58が溝75,76,77に案内されることに加え、溝75,76,77に支持されるので、仕切り板55を安定して物品移動領域88に立てて、前後方向D1における仕切り板55の撓みを良好に抑えることができる。上述のように幅W15が幅W58の100%より大きく120%以下であれば、図6に示すように、本体11の回転を妨げることなく、補助挿通部58を溝75,76,77において支持できる。
【0079】
本実施形態の物品移動具1では、ローラー支持部材5には小区画壁64が設けられ、左右方向D2において1つのローラー収容空間8には1つのローラー10が収容されている。1つのローラー収容空間8に対して1つのローラー10が収容されるので、左右方向D2におけるローラーの収容位置を安定させることができる。そのことによって、左右方向D2における仕切り板ガイド部95の位置のずれがなく、仕切り板ガイド部95による仕切り板55の案内の精度を高めることができる。
【0080】
本実施形態のローラー10、ローラー支持部材5及びローラー保持部材20では、上述の物品移動具1と同様に、補助挿通部58が物品移動領域88において仕切り板ガイド部95に案内され、具体的には溝15,75,76,77の内部に補助挿通部58が位置している。このことによって、仕切り板55の掛け違い及び前後方向D1における仕切り板55の撓みを防止できる。
【0081】
本実施形態の陳列棚80は、物品移動具1を備えているので、上述したように補助挿通部58を仕切り板ガイド部95に位置させつつ、物品移動領域88の所望の位置に間違いなく仕切り板55を立てて、仕切り板55の掛け違えを容易に防止できる。また、本実施形態のように穴18,19の一方から溝15,75,76,77を経由しつつ、補助挿通部58をこれらの溝の内部に配置して穴18,19の他方に至ることによって、仕切り板55の掛け違いを防止できる。
【0082】
本実施形態の上述した補助挿通部58は仕切り板55の前後方向D1の中央部に1つ設けたものであるが、前後方向D1の長さは溝15,75,76に架かる程度であればよく、溝15,75,76,77の何れかのみに架かる長さであってもよい。また、補助挿通部58は本実施形態では1つのみ設けられているが、前側挿入部56と後側挿入部57との間に複数、独立して設けられてもよく、前側挿入部56と後側挿入部57との間に連続して設けられてもよい。補助挿通部58が設けられる位置は、仕切り板55の前後方向D1の中央部でなくてもよい。
【0083】
<その他の実施形態>
図9は、ローラー10の変形例であるローラー110の斜視図である。上述の実施形態の物品移動具1は、図2に示すローラー10に替えて、図9に示すローラー110を備えていてもよい。ローラー110においてローラー10と同様に作用する構成、溝及び寸法には、ローラー10の各構成、溝及び寸法と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
ローラー110は、中心軸140に沿って間隔をあけて配置可能な複数の小ローラー部120を備える。小ローラー部120は、本体11と同程度の直径を有し、中心軸140に沿って間隔G15と同程度の長さを有する。小ローラー部120の周面は、周面13を構成する。複数の小ローラー部120同士の間には、仕切り板ガイド部95として溝15が形成されている。即ち、中心軸140に沿う方向において、小ローラー部120同士の間隔は、幅W15と同じである。
【0085】
複数の小ローラー部120のうち、一部の小ローラー部120のみが中心軸140に沿う軸方向に移動可能であってもよい。図9では、4つの小ローラー部120のうち、2つの小ローラー部150が軸方向に移動可能である。
【0086】
小ローラー部120は、本体121と、軸114と、軸受部116と、を備える。本体121は、軸114は、軸14と同程度の直径を有し、本体121の一方の底面126の中心から中心軸140に沿って軸14と同程度の長さで延びている。軸受部116は、軸14より大きく、且つ本体121より小さい直径を有し、本体121の他方の底面127の中心から中心軸140に沿って幅W14と同程度の長さで延びている。本体121の直径と軸受部116の直径との差は、ローラー10の溝15の周面13からの径方向の深さに相当する。軸受部116の先端面117には、軸受部116の内部を貫通して本体121の内部に到達する凹部128が形成されている。凹部128には、別の小ローラー部120の軸114が挿入可能である。但し、中心軸140の周方向に回転可能な小ローラー部150においては、軸114の直径は別の小ローラー部120の凹部128の内径より小さく、軸114を別の小ローラー部120の凹部128に挿入しても軸114及び本体121が周方向に回転可能になっている。凹部128の深さは、軸114の長さと同程度である。
【0087】
1つの小ローラー部120の凹部128に、別の小ローラー部120の軸114を完全に挿入し、先端面117に底面126が当たっている状態にすると、中心軸140に沿って底面126,127の間に溝15が形成される。このようにして複数の小ローラー部120を中心軸140に沿って連結し、開放されている凹部128に軸129を挿入すると、ローラー10と同様の形状を有するローラー110になる。つまり、ローラー110は、中心軸140に沿う方向において小ローラー部120に分解できる。なお、中心軸140の軸方向に移動しない小ローラー部120は、分解不能であってもよく、図9に示すように1つの小ローラー部120の凹部128(図示略)に別の小ローラー部の軸114(図示略)が挿入された状態と同様の形状で一体的に予め構成されていてもよい。
【0088】
上述の変形例のように、複数の小ローラー部120を備えるローラー110によれば、ローラー110を中心軸140に沿って少なくとも部分的に分解することができ、小ローラー部120同士の間隔を変更して幅W15を容易に微調整できる。
【0089】
即ち、ローラー110は、軸方向に移動できる小ローラー部を有していればよい。
さらに他の実施例として、1本の軸に回転自在に複数個の小ローラー部を回転自在に設けてもよい。これにより、補助挿通部58が小ローラー部に接触して1個又は2個の小ローラー部の回転を妨げた場合であっても、同一の軸に設けられた他の小ローラー部は回転することができる。そのため、物品移動領域88の補助挿通部58が設けられた左右方向D2の領域においてローラーが回転しない、又はローラーを設けない領域を少なくすることができる。
【0090】
ローラー110において、小ローラー部150の数は、物品50の左右方向D2の大きさを勘案し、物品50を前後方向D1に沿って円滑に移動させるために最低限必要とされる周面13の幅を満たす数以上であればよい。ローラー110において、全ての小ローラー部150が中心軸140の周方向に回転可能であっても構わない。
【0091】
ローラー110において、周方向に回転しない小ローラー部120同士の間の溝15では、図10に示すように、溝15の周面13からの径方向の深さE15は、穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入した状態で、補助挿通部58の下面159が溝15の下面152に接するように、補助挿通部58の上下方向D3の高さに合わせて適宜設定されていることが好ましい。幅W15が幅W58の100%より大きく120%以下であって、深さE15が前述のように設定されることによって、穴18,19に前側挿入部56及び後側挿入部57を挿入した状態で、側面158が溝15における底面126,127から離れ、且つ下面159が下面152に接する。このことによって、本体11が円滑に回転する。但し、下面159が下面152に接していても本体121の回転が妨げられない場合は、回転可能な小ローラー部120の下面152に下面159が接していてもよい。下面159が下面152に接することによって、上下方向D3において仕切り板55が下面152で支持され、仕切り板55の前後方向D1における撓みが防止される。
【0092】
上述の実施形態では、ローラー10、ローラー支持部材5及びローラー保持部材20の全てに仕切り板ガイド部95が形成されている。上述の実施形態の別の変形例として、例えば、仕切り板55を立てる位置に合わせてローラー支持部材5に区画壁63が設けられ、区画壁63に前後方向D1に沿って溝が形成されていてもよい。このような構成においても、穴18,19の一方から区画壁63に形成された溝を経由しつつ、仕切り板55の補助挿通部58をこの溝に挿入して穴18,19の他方に至ることによって、仕切り板55の掛け違いを防止できる。
【0093】
また、ローラー10、ローラー支持部材5及びローラー保持部材20のうちの1つの部材のみに仕切り板ガイド部95が形成されていてもよい。ローラー10に仕切り板ガイド部95が形成されていることによって仕切り板55の掛け違いを防止できる効果が高め、ローラー支持部材5及びローラー保持部材20からなるローラー収容部材3に仕切り板支持補助部として仕切り板ガイド部95が形成されていることによって仕切り板55の掛け違いを防止できる効果がより一層高めることができる。
【0094】
以上では、本発明の実施形態の物品移動具、物品移動具用のローラー、物品移動具用のローラー支持部材、物品移動具用のローラー保持部材、陳列棚について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、変更可能である。また、上述の実施形態及び変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0095】
例えば、複数のローラー10及びローラー収容部材3の取り扱いが容易、且つ物品移動具1の組み立てが容易で特に問題がなければ、開口部9に対して、1つの区画90及び1つのローラー保持部材20が配されていてもよく、9以上のローラー保持部材20が配されていてもよい。即ち、1つのローラー支持部材5に対して配されるローラー保持部材20の数は特に限定されず、物品移動具1の製造条件、陳列棚80の大きさ、形状等を勘案して適切に設定されればよい。
【0096】
また、上述の各実施形態では、仕切り板ガイド部95や仕切り板ガイド補助部として、ローラー10,110、ローラー収容部材3に溝が形成されていることを説明したが、本発明の仕切り板ガイド部は掛け違い防止の目印としてのガイドの機能を発揮できればよく、仕切板に補助挿通部58が設けられない場合であってもよい。さらに好ましくは、仕切り板ガイド部は、仕切り板の下部を受け入れ可能に形成されていればよく、溝に限定されず、仕切り板を案内するものを全て含む。例えば、仕切り板ガイド補助部として、ローラー収容部材3に孔が形成され、仕切り板55の下部に下側に突出する突起が形成され、孔が突起を受け入れてもよい。
【0097】
さらに、仕切り板の下部を受け入れ可能に形成され、仕切り板を支持できれば、仕切り板ガイド部の形状や大きさは適宜変更できる。例えば、上述の実施形態では、仕切り板55の下部に補助挿通部58が設けられていたが、仕切り板の上部の左右方向D2の厚みが十分に薄く、0.3mm以上0.8mm以下程度であれば、仕切り板の左右方向D2の幅は上下方向D3に沿って均一であってもよい。そのような仕切り板の下部が仕切り板ガイド部に案内されることによって、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0098】
1…物品移動具
8…ローラー収容空間
10,110…ローラー
3…ローラー収容部材
5…ローラー支持部材
15…溝(第の溝、溝
20…ローラー保持部材
58…補助挿通部(下部)
75,77…溝
76…溝(第2の溝)
95…仕切り板ガイド部
98…挿通部(下部)
120,150…小ローラー部
140…中心軸
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