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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】ボールコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 13/00 20060101AFI20220526BHJP
   B65G 39/02 20060101ALI20220526BHJP
   B21D 43/00 20060101ALN20220526BHJP
【FI】
B65G13/00 B
B65G39/02 B
B21D43/00 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018232335
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2020093887
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】518441841
【氏名又は名称】JFEアーバンリサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【弁理士】
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】迎里 広夢
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3205902(JP,U)
【文献】特開平11-347655(JP,A)
【文献】実開昭50-12459(JP,U)
【文献】特開平9-2635(JP,A)
【文献】特開2013-56738(JP,A)
【文献】特開平7-164078(JP,A)
【文献】実開昭63-126308(JP,U)
【文献】特開2001-73967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/00
B65G 39/02
B21D 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに固定され、内面がフラットな枠と、
前記枠に出し入れ可能であり、前記枠に入れた状態で前記枠に対して水平方向に実質的に移動不可能なボールトランスファと、を備えるボールコンベヤ。
【請求項2】
前記枠が四角状であることを特徴とする請求項1に記載のボールコンベヤ。
【請求項3】
前記枠がJIS規格品の角形鋼管であることを特徴とする請求項2に記載のボールコンベヤ。
【請求項4】
前記ボールトランスファが前記枠に入れられるフランジを有し、
前記ボールトランスファの前記フランジが前記枠の対角の角部に係合することを特徴とする請求項2又は3に記載のボールコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールトランスファを備え、ボールを用いて荷を動かすボールコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールコンベヤは、ベースと、ベースに取り付けられるボールトランスファと、を備える。ボールトランスファは回転可能なボールを有する。ボールトランスファのボールに荷が載せられる。荷を動かすと、ボールが転がるので、荷をスムーズに動かすことができる。また、ボールコンベヤには、荷を直線的にしか動かすことができないローラコンベヤに比較して、荷を四方八方に動かすことができるという特徴がある。このため、ボールコンベヤは、例えば荷を方向転換させるテーブル、荷の姿勢を修正するテーブル等に使用されている。
【0003】
ところで、ボールコンベヤを長期に亘って使用すると、ボールトランスファにごみが入り、ボールの回転が悪くなる。このため、ベース上のボールトランスファを定期的に交換する必要がある。
【0004】
しかしながら、図7(a)に示すように、従来のボールコンベヤにおいては、ボールトランスファ21の1個につき2本のリベット又はボルト22を用いて、ボールトランスファ21をベース23に固定している。1つのベース23に多数のボールトランスファ21が存在するので、ベース23へのボールトランスファ21の取付け及び取外しに多大な工数を必要とするという課題がある。具体的には、ボールトランスファ21の取付けの際のリベット止め、ボルト締め、取外しの際のリベットの切断(図7(b)参照)、ボルト緩め等に多大な工数を必要とする。
【0005】
この課題を解決するために、特許文献1には、ベースに円筒状のナットを溶接し、ボールトランスファの外周に雄ねじを形成し、ボールトランスファをナットに螺合させたボールベアリングが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-347655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のボールコンベヤにおいても、ボールトランスファをナットに螺合させる必要があるので、ベースへのボールトランスファの取付け及び取外しに手間がかかるという課題がある。また、ボールトランスファの外周に雄ねじを形成する必要があるので、ボールトランスファの加工にも手間がかかるという課題がある。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、ベースへのボールトランスファの取付け及び取外しの工数を大幅に削減できるボールコンベヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ベースと、前記ベースに固定され、内面がフラットな枠と、前記枠に出し入れ可能であり、前記枠に入れた状態で前記枠に対して水平方向に実質的に移動不可能なボールトランスファと、を備えるボールコンベヤである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボールトランスファを枠に出し入れするだけで、ボールトランスファをベースに取付け及び取外しすることができる。このため、ベースへのボールトランスファの取付け及び取外しの工数を大幅に削減できる。また、枠とボールトランスファとの隙間が小さいこと、荷の移動中にボールトランスファに上方への引抜き荷重が発生しないので、ボールトランスファが枠から抜け出ることがない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態のボールコンベヤを示す図(図1(a)は平面図、図1(b)は側面図)である。
図2】本実施形態のボールコンベヤを、方向転換用のテーブルとして使用した例を示すボールコンベヤとローラコンベヤの平面図である。
図3】枠の詳細図(図3(a)は平面図、図3(b)は側面図)である。
図4】ボールトランスファの詳細図(図4(a)は平面図、図4(b)は側面図)である。
図5】枠にボールトランスファを入れた状態を示す枠とボールトランスファの詳細図(図5(a)は平面図、図5(b)は側面図)である。
図6】枠にボールトランスファを出し入れする工程を示す図である。
図7】従来のボールトランスファの取付け方法を示す図である(図7(a)はボルト又はリベットによってボールトランスファをベースに取り付けた状態を示し、図7(b)はグラインダでボルト又はリベットを切断する工程を示す)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態のボールコンベヤを詳細に説明する。ただし、本発明のボールコンベヤは、種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明の範囲を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態のボールコンベヤを示す。図1(a)はボールコンベヤ1の平面図であり、図1(b)はボールコンベヤ1の側面図である。2はフレーム、3はベース、4は枠、5はボールトランスファである。ベース3上には、縦横に多数のボールトランスファ5が配置される。ボールトランスファ5には、図示しない荷が載せられる。ボールトランスファ5は、荷を水平面内のいずれの方向にも移動可能にする。
【0014】
本実施形態のボールコンベヤ1は、例えば荷を方向転換させるテーブル、荷の姿勢を修正するテーブル等に使用される。図2は、ボールコンベヤ1を、荷を方向転換させるテーブルとして使用した例を示し、ボールコンベヤ1とローラコンベヤ7a~7dの平面図を示す。荷を直線的にしか移動させることができないローラコンベヤ7a~7d間で荷を乗り移らせるために、荷を方向転換させるボールコンベヤ1が必要になる。
【0015】
図1に示すように、ボールコンベヤ1は、フレーム2と、ベース3と、枠4と、ボールトランスファ5と、を備える。以下に、ボールコンベヤ1の各部の構成を順番に説明する。
【0016】
フレーム2は、テーブル状のフレーム本体2aと、フレーム本体2aを支持する複数の脚部6と、を備える。脚部6の下部には、ベース3の高さを調節するためのアジャスタ8が設けられる。この実施形態のボールコンベヤ1は、固定式であるが、キャスタ、台車等により移動式とすることもできる。
【0017】
フレーム本体2aの上には、ベース3が固定される。ベース3は、四角形の板状である。ベース3の上面は、水平である。ベース3の上面には、多数の枠4が縦横に所定のピッチで並べられる。
【0018】
図3は、枠4の詳細図を示す。図3(a)は枠4の平面図、図3(b)は枠4の側面図である。図3(a)に示すように、枠4は平面視で四角状である。枠4はJIS規格品の角形鋼管を輪切りにしてなる。枠4の内面4aはフラットであり、枠4の内面4aにはねじが形成されていない。枠4の高さは、枠4に入れたボールトランスファ5が枠4から上方に突出するように設定される(図5(b)参照)。枠4は、溶接、リベット止め、ねじ締め等の固定手段によって、ベース3の上面に固定される。
【0019】
図4は、ボールトランスファ5の詳細図を示す。図4(a)はボールトランスファ5の平面図、図4(b)はボールトランスファ5の側面図である。ボールトランスファ5は、市販品である。ボールトランスファ5は、荷が載せられるボール11と、球面状に窪む座面を有し、ボール11を回転可能に支持する本体12と、本体12に取り付けられて、本体12からボール11が抜けるのを防止するカバー13と、を備える。カバー13は本体12を覆っていて、外観上はカバー13のみが見えるように構成される。本体12とカバー13の下面がベース3の上面に接触する。ボール11と本体12の座面との間には、図示しない複数の小ボールが転動可能に介在する。カバー13には、平面視で菱形状のフランジ13aが一体に形成される。
【0020】
フランジ13aには、リベット又はボルト(以下、締結部材という)の通し穴14が形成される。従来のボールコンンベヤでは、フランジ13aの通し穴14に締結部材を通し、締結部材によってボールトランスファ5をベース3に固定している。他方、本実施形態では、ボールトランスファ5を枠4に入れるだけであり、締結部材によってボールトランスファ5をベース3に固定することはない。また、ボールトランスファ5の外周にねじを形成し、ボールトランスファ5を枠4に螺合させることもない。
【0021】
図5は、ボールトランスファ5を枠4に入れた状態を示す。ボールトランスファ5を枠4に入れた状態で、ボールトランスファ5は枠4にぴったり嵌まり、ボールトランスファ5は枠4に対して水平方向に実質的に移動不可能である。ボールトランスファ5のフランジ13aは、枠4の対角の角部4bに係合する。ただし、枠4とボールトランスファ5との間には、枠4にボールトランスファ5を出し入れできる程度の小さな隙間は存在する。
【0022】
図6は、枠4にボールトランスファ5を出し入れする工程を示す。図6(a)に示すように、ボールトランスファ5を手で掴み、図6(b)に示すように、ボールトランスファ5を枠4に入れる。図6(c)に示すように、ボールトランスファ5を枠4に入れるだけで、ボールトランスファ5をベース3に取り付けることができる。枠4とボールトランスファ5との間の隙間が小さいこと、また、荷の移動中にボールトランスファ5に上方への引抜き荷重が発生しないことから、締結部材によってボールトランスファ5をベース3に固定しなくても、ボールトランスファ5は枠4から抜け出ることがない。
【0023】
枠4からボールトランスファ5を出すときは、上記と逆の作業を行なえばよい。すなわち、図6(b)に示すように、枠4内のボールトランスファ5を手で掴み、図6(a)に示すように、枠4から取り出せばよい。
【0024】
以上に本実施形態のボールコンベヤ1の構成を説明した。本実施形態のボールコンベヤ1によれば以下の効果を奏する。
【0025】
枠4にボールトランスファ5を出し入れするだけで、ボールトランスファ5をベース3に取付け及び取外しすることができる。このため、ボールトランスファ5の取付け及び取外しの工数を大幅に削減できる。
【0026】
枠4が四角状であるので、枠4内のボールトランスファ5の位置及び姿勢を安定さることができる。これに対して、枠4が円状の場合、枠4内のボールトランスファ5が横ずれするおそれがある。
【0027】
枠4がJIS規格品の角形鋼管であるので、枠4の入手が容易であり、枠4を低コストで導入できる。
【0028】
ボールトランスファ5のフランジ13aが枠4の対角の角部4bに係合するので、枠4内のボールトランスファ5の位置及び姿勢をより安定させることができる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態に具現化されるのに限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態に変更可能である。
【0030】
上記実施形態では、ボールトランスファを荷の方向転換用のテーブルに用いる例を説明したが、これに限られることはなく、ボールトランスファを例えば荷の姿勢修正用のテーブル、荷の搬送用のテーブル、プレス等の加工機用のテーブル等に用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
3…ベース
4…枠
4a…枠の内面
4b…枠の対角の角部
5…ボールトランスファ
13a…ボールトランスファのフランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7