(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20220526BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20220526BHJP
G01S 3/28 20060101ALI20220526BHJP
G01S 5/14 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
E02F9/20 M
E02F9/26 B
G01S3/28
G01S5/14
(21)【出願番号】P 2019180069
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】398071668
【氏名又は名称】株式会社日立建機ティエラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩
(72)【発明者】
【氏名】湯川 弘
(72)【発明者】
【氏名】野村 沢哉
(72)【発明者】
【氏名】湯上 誠之
【審査官】三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0070197(KR,A)
【文献】特開平10-299033(JP,A)
【文献】特開平08-269998(JP,A)
【文献】特開2019-019532(JP,A)
【文献】特開平09-021605(JP,A)
【文献】特開2008-214997(JP,A)
【文献】特開2019-086413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00-9/28
G01S 3/28
G01S 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、前記下部走行体の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に連結された作業装置とを備えた建設機械において、
前記下部走行体に取り付けられ、電波信号を発信する発信器と、
前記上部旋回体に互いに離間して取り付けられ、前記発信器からの電波信号を受信する複数の受信器と、
前記発信器から前記複数の受信器のそれぞれが受信した電波信号の受信強度を示す受信強度情報に基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出する制御装置とを備え
、
前記制御装置は、前記受信強度情報から、前記複数の受信器のそれぞれと前記発信器の間における伝播距離を算出し、算出された複数の伝播距離と予め記憶された前記複数の受信器及び前記発信器の搭載位置情報とに基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出することを特徴とする建設機械。
【請求項2】
下部走行体と、前記下部走行体の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に連結された作業装置とを備えた建設機械において、
前記下部走行体に互いに離間して取り付けられ、電波信号をそれぞれ発信する複数の発信器と、
前記上部旋回体に取り付けられ、前記複数の発信器からの電波信号を受信する受信器と、
前記受信器が前記複数の発信器のそれぞれから受信した電波信号の受信強度を示す受信強度情報に基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出する制御装置とを備え
、
前記制御装置は、前記受信強度情報から、前記複数の発信器のそれぞれと前記受信器の間における伝播距離を算出し、算出された複数の伝播距離と予め記憶された前記複数の発信器及び前記受信器の搭載位置情報とに基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出することを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建設機械において、
前記発信器は、前記下部走行体の上面に取り付けられ、
前記受信器は、前記上部旋回体の下面に取り付けられたことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項3に記載の建設機械において、
前記上部旋回体は、旋回輪を介して前記下部走行体の上側に旋回可能に設けられており、
前記発信器及び前記受信器は、前記旋回輪の外側に位置することを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項
1に記載の建設機械において、
前記制御装置は、前記受信強度情報に基づいて、前記複数の受信器のうち前記受信強度が一番目及び二番目に大きな2つの受信器を選択すると共に、選択された前記2つの受信器のそれぞれと前記発信器の間における伝播距離を算出し、算出された2つの伝播距離と前記搭載位置情報とに基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出することを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項
2に記載の建設機械において、
前記制御装置は、前記受信強度情報に基づいて、前記複数の発信器のうち前記受信強度が一番目及び二番目に大きくなった電波信号を発信した2つの発信器を選択すると共に、選択された前記2つの発信器のそれぞれと前記受信器の間における伝播距離を算出し、算出された2つの伝播距離と前記搭載位置情報とに基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出することを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の一つである油圧ショベルは、下部走行体と、旋回輪を介して下部走行体の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体と、上部旋回体に連結された作業装置とを備える。作業装置は、例えば、ブームと、ブームの先端側に回動可能に連結されたアームと、アームの先端側に回動可能に連結されたバケットとを備える。
【0003】
特許文献1に記載の油圧ショベルは、下部走行体に対する上部旋回体の旋回角度を検出する旋回角度センサを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1には記載されていないものの、旋回角度センサは、上部旋回体の旋回中心位置であって、旋回輪の内側や旋回モータ等の機器に組込んだ上で上部旋回体に取り付けられる。そのため、製造中の油圧ショベルに対しては、旋回角度センサを容易に取り付けることができるものの、完成後の油圧ショベルに対しては、旋回角度センサを容易に取り付けることができない。詳細には、例えば、上部旋回体と下部走行体を分離し、クレーンを用いて上部旋回体を吊り上げなければ、旋回角度センサを後付けすることができないということもありうる。
【0006】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、下部走行体に対する上部旋回体の旋回角度を検出するための装置を容易に後付けすることができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、下部走行体と、前記下部走行体の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に連結された作業装置とを備えた建設機械において、前記下部走行体に取り付けられ、電波信号を発信する発信器と、前記上部旋回体に互いに離間して取り付けられ、前記発信器からの電波信号を受信する複数の受信器と、前記発信器から前記複数の受信器のそれぞれが受信した電波信号の受信強度を示す受信強度情報に基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記受信強度情報から、前記複数の受信器のそれぞれと前記発信器の間における伝播距離を算出し、算出された複数の伝播距離と予め記憶された前記複数の受信器及び前記発信器の搭載位置情報とに基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出する。
【0008】
上記目的を達成するために、第2の発明は、下部走行体と、前記下部走行体の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に連結された作業装置とを備えた建設機械において、前記下部走行体に互いに離間して取り付けられ、電波信号をそれぞれ発信する複数の発信器と、前記上部旋回体に取り付けられ、前記複数の発信器からの電波信号を受信する受信器と、前記受信器が前記複数の発信器のそれぞれから受信した電波信号の受信強度を示す受信強度情報に基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記受信強度情報から、前記複数の発信器のそれぞれと前記受信器の間における伝播距離を算出し、算出された複数の伝播距離と予め記憶された前記複数の発信器及び前記受信器の搭載位置情報とに基づいて、前記上部旋回体の旋回角度を算出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、下部走行体に対する上部旋回体の旋回角度を検出するための装置を容易に後付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態における油圧ショベルの構造を表す側面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態における送信器及び受信器の配置を油圧ショベルの構造と共に表す上面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態における送信器の配置をトラックフレームの構造と共に表す斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態における制御装置の機能的構成を発信器及び受信器と共に表すブロック図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態における送信器及び受信器の配置を油圧ショベルの構造と共に表す上面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態における送信器の配置をトラックフレームの構造と共に表す斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態における制御装置の機能的構成を発信器及び受信器と共に表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における油圧ショベルの構造を表す側面図である。
図2は、本実施形態における送信器及び受信器の配置を油圧ショベルの構造と共に表す上面図である。
図3は、本実施形態における送信器の配置をトラックフレームの構造と共に表す斜視図である。なお、以降、油圧ショベルが
図1で示す状態にて運転者が運転席に着座した場合における運転者の前側(
図1の右側)、後側(
図1の左側)、右側(
図1の紙面に対して手前側)、左側(
図1の紙面に対して奥側)を、単に前側、後側、右側、左側と称する。
【0013】
本実施形態の油圧ショベルは、下部走行体1と、旋回輪2を介して下部走行体1の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3に連結された作業装置4とを備える。
【0014】
作業装置4は、上部旋回体3(詳細には、後述する旋回フレーム)の前側に左右方向に回動可能に連結されたスイングポスト5と、スイングポスト5に上下方向に回動可能に連結されたブーム6と、ブーム6に上下方向に回動可能に連結されたアーム7と、アーム7に上下方向に回動可能に連結されたバケット8とを備える。スイングポスト5、ブーム6、アーム7、及びバケット8は、スイングシリンダ(図示せず)、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、及びバケットシリンダ11の駆動によってそれぞれ回動する。
【0015】
下部走行体1は、上方から見てH字状のトラックフレーム12を備える。トラックフレーム12は、左右方向に延在するセンタフレーム13と、センタフレーム13の右側に設けられ、前後方向に延在する右サイドフレーム14と、センタフレーム13の左側に設けられ、前後方向に延在する左サイドフレーム15とで構成されている。
【0016】
右サイドフレーム14の後端には駆動輪16が設けられ、右サイドフレーム14の前端には従動輪17が設けられ、これら右側の駆動輪16と従動輪17の間で右側の履帯18が掛けまわされている。右側の走行モータ19の駆動によって右側の駆動輪16が回転し、ひいては右側の履帯18が回転する。
【0017】
同様に、左サイドフレーム15の後端には駆動輪(図示せず)が設けられ、左サイドフレーム15の前端には従動輪(図示せず)が設けられ、これら左側の駆動輪と従動輪の間で左側の履帯(図示せず)が掛けまわされている。左側の走行モータ(図示せず)の駆動によって左側の駆動輪が回転し、ひいては左側の履帯が回転する。
【0018】
センタフレーム13の前側には、排土用のブレード20が上下動可能に設けられている。ブレード20は、ブレードシリンダ(図示せず)の駆動によって上下動する。
【0019】
上部旋回体3は、基礎構造体をなす旋回フレーム21と、旋回フレーム21の左側に設けられた運転室22と、旋回フレーム21の後端に設けられたカウンタウエイト23とを備える。旋回フレーム21は、旋回輪2を介してトラックフレーム12のセンタフレーム13の上側に連結されている。上部旋回体3は、旋回モータ(図示せず)の駆動によって旋回中心点Cを中心として旋回する。
【0020】
上部旋回体3には、図示しないものの、エンジンと、エンジンによって駆動される油圧ポンプと、油圧ポンプから複数の油圧アクチュエータ(詳細には、上述したスイングシリンダ、ブームシリンダ9、アームシリンダ10、バケットシリンダ11、右側走行モータ19、左側走行モータ、ブレードシリンダ、及び旋回モータ)への圧油の流れをそれぞれ制御する複数の制御弁とが搭載されている。
【0021】
上部旋回体3の運転室22には、運転者が着座する運転席24と、運転者が操作する複数の操作装置(詳細には、走行操作装置25A及び作業操作装置25B等)と、表示装置26(後述の
図4参照)と、制御装置27(後述の
図4参照)とが設けられている。上述した制御弁は、対応する操作装置の操作に応じて切換えられる。これにより、制御弁を介して油圧ポンプから油圧アクチュエータへ圧油が供給されて、油圧アクチュエータが駆動する。
【0022】
本実施形態の特徴として、下部走行体1の上面には(詳細には、トラックフレーム12のセンタフレーム13の上面であって、旋回輪2の外側位置には)、1つの発信器28が取り付けられている。上部旋回体3の下面には(詳細には、旋回フレーム21の下面であって、旋回輪2の外側位置には)、上部旋回体3の旋回方向に互いに離間するように、複数の受信器29が取り付けられている。発信器28は、予め設定された周期で、特定パターンの電波信号を発信する。複数の受信器29は、発信器28からの電波信号を受信し、受信情報として受信強度情報(詳細には、発信器28から複数の受信器29のそれぞれが受信した電波信号の強度を示す情報)を制御装置27へ出力する。
【0023】
なお、本実施形態では、電波信号が旋回輪2等で遮断されるか若しくは減衰されることを考慮して、旋回フレーム21の4つのコーナー部(詳細には、前右コーナー部、前左コーナー部、後右コーナー部、及び後左コーナー部)にそれぞれ位置するように、4つの受信器29が取り付けられている。
【0024】
制御装置27は、4つの受信器29からの受信強度情報に基づいて、下部走行体1に対する上部旋回体3の旋回角度(例えば、下部走行体1の任意の基準位置から上部旋回体3が何度旋回した所に位置するのかを示す状態量)を算出する機能を有する。この機能の詳細を、
図4を用いて説明する。なお、制御装置27は、プログラムに基づいて演算処理や制御処理を実行する演算制御部(例えばCPU)と、プログラムや演算処理の結果を記憶する記憶部(例えばROM、RAM)等を有するものである。
【0025】
図4は、本実施形態における制御装置の機能的構成を発信器及び受信器と共に表すブロック図である。
【0026】
本実施形態の制御装置27は、機能的構成として、受信器選択部30、伝播距離演算部31、及び旋回角度演算部32を有する。
【0027】
制御装置27の受信器選択部30は、予め設定された周期で、上述した受信強度情報に基づいて、4つの受信器29のうち、受信強度が一番目及び二番目に大きな2つの受信器29を選択する。制御装置27の伝播距離演算部31は、受信強度情報に基づいて(詳細には、例えば、電波信号の発信強度と受信強度との差分に基づいて)、受信器選択部30で選択された2つの受信器29のそれぞれと発信器28の間における伝播距離を算出する。
【0028】
制御装置27の旋回角度演算部32は、伝播距離演算部31で算出された2つの伝播距離と、それらに対応する2つの受信器29の搭載位置情報及び発信器28の搭載位置情報に基づいて、上部旋回体3の旋回角度を算出する。なお、例えば、発信器28及び受信器29を取り付けたときに、それらの搭載位置を制御装置27へ記憶させている。これにより、制御装置27は、下部走行体1における発信器28の搭載位置や上部旋回体3における4つの受信器29の搭載位置を予め記憶している。
【0029】
表示装置26は、制御装置27で算出された上部旋回体3の旋回角度を表示する。
【0030】
以上のように本実施形態では、下部走行体1の上面に発信器28を取り付け、上部旋回体3の下面に受信器29を取り付けている。そのため、組立完成後のショベルにおいても、容易に後付けすることができる。
【0031】
なお、第1の実施形態において、複数の受信器29は、受信情報として受信強度情報を出力し、制御装置27は、受信強度情報に基づいて、上部旋回体3の旋回角度を算出する場合を例にとって説明したが、これに限られない。複数の受信器29は、受信情報として受信時間情報(詳細には、発信器28から複数の受信器29のそれぞれが受信した電波信号の受信時間を示す情報)を出力してもよい。この第1の変形例の詳細を説明する。
【0032】
本変形例では、制御装置27の受信器選択部30は、予め設定された周期で、上述した受信時間情報に基づいて、4つの受信器29のうち、受信時間が一番目及び二番目に小さな2つの受信器29を選択する。制御装置27の伝播距離演算部31は、受信時間情報に基づいて、受信器選択部30で選択された2つの受信器29のそれぞれと発信器28の間における伝播距離を算出する。制御装置27の旋回角度演算部32は、伝播距離演算部31で算出された2つの伝播距離と、それらに対応する2つの受信器29の搭載位置情報及び発信器28の搭載位置情報に基づいて、上部旋回体3の旋回角度を算出する。本変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、第1の実施形態及び第1の変形例においては、4つの受信器29を取り付けた場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、3つの受信器、又は5つ以上の受信器を取り付けてもよい。あるいは、発信器が発信する電波信号の透過性が強ければ、例えば、2つの受信器を取り付けてもよい。
【0034】
本発明の第2の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜、説明を省略する。
【0035】
図5は、本実施形態における送信器及び受信器の配置を油圧ショベルの構造と共に表す上面図である。
図6は、本実施形態における送信器の配置をトラックフレームの構造と共に表す斜視図である。
【0036】
本実施形態では、下部走行体1の上面には(詳細には、トラックフレーム12のセンタフレーム13の上面であって、旋回輪2の外側位置には)、上部旋回体3の旋回方向に互いに離間するように、複数の発信器28Aが取り付けられている。上部旋回体3の下面には(詳細には、旋回フレーム21の下面であって、旋回輪2の外側位置には)、1つの受信器29Aが取り付けられている。複数の発信器28Aは、予め設定された周期であって、例えば周波数帯域が互いに異なる電波信号をそれぞれ発信する。受信器29Aは、複数の発信器28Aからの電波信号を受信し、受信情報として受信強度情報(詳細には、受信器29Aが複数の発信器28Aのそれぞれから受信した電波信号の受信強度を示す情報)を制御装置27Aへ出力する。
【0037】
なお、本実施形態では、電波信号が旋回輪2等で遮断されるか若しくは減衰されることを考慮して、トラックフレーム12のセンタフレーム13の4つのコーナー部(詳細には、前右コーナー部、前左コーナー部、後右コーナー部、及び後左コーナー部)にそれぞれ位置するように、4つの発信器28Aが取り付けられている。
【0038】
制御装置27Aは、1つの受信器29Aからの受信強度情報に基づいて、下部走行体1に対する上部旋回体3の旋回角度を算出する機能を有する。この機能の詳細を、
図7を用いて説明する。
【0039】
図7は、本実施形態における制御装置の機能的構成を発信器及び受信器と共に表すブロック図である。
【0040】
本実施形態の制御装置27Aは、機能的構成として、発信器選択部33、伝播距離演算部31、及び旋回角度演算部32を有する。
【0041】
制御装置27Aの発信器選択部33は、予め設定された周期で、上述した受信強度情報に基づいて、4つの発信器28Aのうち、受信強度が一番目及び二番目に大きな電波信号を発信した2つの発信器28Aを選択する。制御装置27Aの伝播距離演算部31は、受信強度情報に基づいて(詳細には、例えば、電波信号の発信強度と受信強度との差分に基づいて)、発信器選択部33で選択された2つの発信器28Aのそれぞれと受信器29Aの間における伝播距離を算出する。
【0042】
制御装置27Aの旋回角度演算部32は、伝播距離演算部31で算出された2つの伝播距離と、それらに対応する2つの発信器28Aの搭載位置情報及び受信器29Aの搭載位置情報に基づいて、上部旋回体3の旋回角度を算出する。なお、例えば、発信器28A及び受信器29Aを取り付けたときに、それらの搭載位置を制御装置27Aへ記憶させている。これにより、制御装置27Aは、下部走行体1における4つの発信器28Aの搭載位置や上部旋回体3における受信器29Aの搭載位置を予め記憶している。
【0043】
表示装置26は、制御装置27Aで算出された上部旋回体3の旋回角度を表示する。
【0044】
以上のように本実施形態では、下部走行体1の上面に発信器28Aを取り付け、上部旋回体3の下面に受信器29Aを取り付けている。そのため、組立完成後のショベルにおいても、容易に後付けすることができる。
【0045】
なお、第2の実施形態において、受信器29Aは、受信情報として受信強度情報を出力し、制御装置27Aは、受信強度情報に基づいて、上部旋回体3の旋回角度を算出する場合を例にとって説明したが、これに限られない。受信器29Aは、受信情報として受信時間情報(詳細には、受信器29Aが複数の発信器28Aのそれぞれから受信した電波信号の受信時間を示す情報)を出力してもよい。この第2の変形例の詳細を説明する。
【0046】
本変形例では、制御装置27Aの発信器選択部33は、予め設定された周期で、上述した受信時間情報に基づいて、4つの発信器28Aのうち、受信時間が一番目及び二番目に小さな電波信号を発信した2つの発信器28Aを選択する。制御装置27Aの伝播距離演算部31は、受信時間情報に基づいて、発信器選択部33で選択された2つの発信器28Aのそれぞれと受信器29Aの間における伝播距離を算出する。制御装置27Aの旋回角度演算部32は、伝播距離演算部31で算出された2つの伝播距離と、それらに対応する2つの発信器28Aの搭載位置情報及び受信器29Aの搭載位置情報に基づいて、上部旋回体3の旋回角度を算出する。本変形例においても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
また、第2の実施形態及び第2の変形例においては、4つの発信器28Aを取り付けた場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、3つの発信器、又は5つ以上の発信器を取り付けてもよい。あるいは、発信器が発信する電波信号の透過性が強ければ、例えば、2つの発信器を取り付けてもよい。
【0048】
また、第1及び第2の実施形態において、制御装置27又は27Aは、上部旋回体3の旋回角度を表示装置26に出力して表示させる場合を例にとって説明したが、これに限られない。制御装置は、例えば、上部旋回体3の旋回角度などを用いて作業装置の位置を算出し、作業装置が設定領域に侵入した場合に作業装置の動作を制限するが領域制限制御を行ってもよい。
【0049】
なお、以上においては、本発明の適用対象として油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、下部走行体と、下部走行体の上側に旋回可能に連結された上部旋回体と、上部旋回体に連結された作業装置とを備えていれば、油圧ショベル以外の他の建設機械(詳細には、例えば油圧クレーン等)であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 下部走行体
2 旋回輪
3 上部旋回体
4 作業装置
27,27A 制御装置
28,28A 発信器
29,29A 受信器