IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

特許7079762不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
<>
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図1
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図2
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図3
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図4
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図5
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図6
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図7
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図8
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図9
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図10
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図11
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図12
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図13
  • 特許-不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20220526BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20220526BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20220526BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20220526BHJP
【FI】
H01L29/78 371
H01L27/11582
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019194915
(22)【出願日】2019-10-28
(62)【分割の表示】P 2016048788の分割
【原出願日】2016-03-11
(65)【公開番号】P2020074392
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2019-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】高島 章
(72)【発明者】
【氏名】虎谷 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 正幸
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-222875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0246078(US,A1)
【文献】特開2012-222364(JP,A)
【文献】特開2005-328029(JP,A)
【文献】特開2016-034045(JP,A)
【文献】特開2008-218482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 27/11582
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
第1電極と、
前記半導体層と前記第1電極との間に設けられたトンネル絶縁層と、
前記トンネル絶縁層と前記第1電極との間に設けられた電荷蓄積層であって、前記電荷蓄積層の伝導帯端の第2エネルギーは、前記トンネル絶縁層の伝導帯端の第1エネルギーよりも低く、前記電荷蓄積層は第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域は前記トンネル絶縁層と前記第2領域との間に設けられた、前記電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層と前記第1電極との間に設けられたブロック絶縁層であって、前記ブロック絶縁層の伝導帯端の第3エネルギーは、前記第2エネルギーよりも高い、前記ブロック絶縁層と、
前記第1領域と前記第2領域との間、または、前記電荷蓄積層と前記ブロック絶縁層との間、に設けられ窒化物分子を含む複数の窒化物部と、
を備え、
前記窒化物分子は、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN、WN、BN、AlN、GaN及びInNの少なくとも1つを含み、
前記複数の窒化物部の、前記半導体層から前記第1電極に向かう第1方向の長さは、前記窒化物分子の大きさの最大値以下であり、
前記複数の窒化物部は、前記半導体層の前記トンネル絶縁層に対向する第1面に沿って並ぶ、不揮発性半導体記憶装置。
【請求項2】
半導体層と、
第1電極と、
前記半導体層と前記第1電極との間に設けられたトンネル絶縁層と、
前記トンネル絶縁層と前記第1電極との間に設けられた電荷蓄積層であって、前記電荷蓄積層の伝導帯端の第2エネルギーは、前記トンネル絶縁層の伝導帯端の第1エネルギーよりも低く、前記電荷蓄積層は第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域は前記トンネル絶縁層と前記第2領域との間に設けられた、前記電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層と前記第1電極との間に設けられたブロック絶縁層であって、前記ブロック絶縁層の伝導帯端の第3エネルギーは、前記第2エネルギーよりも高い、前記ブロック絶縁層と、
前記第1領域と前記第2領域との間、前記トンネル絶縁層と前記電荷蓄積層との間、及び、前記電荷蓄積層と前記ブロック絶縁層との間に設けられ窒化物分子を含む複数の窒化物部と、
を備え、
前記窒化物分子は、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN、WN、BN、AlN、GaN及びInNの少なくとも1つを含み、
前記複数の窒化物部の、前記半導体層から前記第1電極に向かう第1方向の長さは、前記窒化物分子の大きさの最大値以下であり、
前記複数の窒化物部は、前記第1電極の前記ブロック絶縁層に対向する第2面に沿って並ぶ、不揮発性半導体記憶装置。
【請求項3】
前記窒化物分子は、4族、5族、6族及び13族のいずれかの第1元素と、窒素と、を含み、
前記複数の窒化物部の、前記第1方向と交差する面における密度は、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下である、請求項1または2に記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項4】
半導体層と、
第1電極と、
前記半導体層と前記第1電極との間に設けられたトンネル絶縁層と、
前記トンネル絶縁層と前記第1電極との間に設けられた電荷蓄積層であって、前記電荷蓄積層の伝導帯端の第2エネルギーは、前記トンネル絶縁層の伝導帯端の第1エネルギーよりも低く、前記電荷蓄積層は第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域は前記トンネル絶縁層と前記第2領域との間に設けられた、前記電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層と前記第1電極との間に設けられたブロック絶縁層であって、前記ブロック絶縁層の伝導帯端の第3エネルギーは、前記第2エネルギーよりも高い、前記ブロック絶縁層と、
前記第1領域と前記第2領域との間、または、前記電荷蓄積層と前記ブロック絶縁層との間、に設けられ窒化物分子を含む複数の窒化物部と、
を備え、
前記窒化物分子は、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN、WN、BN、AlN、GaN及びInNの少なくとも1つを含み、
前記複数の窒化物部の、前記半導体層から前記第1電極に向かう第1方向の長さは、前記窒化物分子の大きさの最大値以下であり、
前記複数の窒化物部は、第1元素の粒子をさらに含む、不揮発性半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数の窒化物部の、前記第1方向に対して垂直な面における密度は、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下である、請求項1、2及び4のいずれか1つに記載の不揮発性半導体記憶装置。
【請求項6】
前記窒化物分子は、4族、5族、6族及び13族のいずれかの前記第1元素と、窒素と、を含み、
前記複数の窒化物部の、前記第1方向と交差する面における密度は、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下である、請求項4記載の不揮発性半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性半導体記憶装置において記憶密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-135561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記憶密度が向上できる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、不揮発性半導体記憶装置は、半導体層と、第1電極と、第1~第3層と、窒化物分子の複数の窒化物部と、を含む。前記第1層は、前記半導体層と前記第1電極との間に設けられる。前記第2層は、前記第1層と前記第1電極との間に設けられる。前記第2層の伝導帯端の第2エネルギーは、前記第1層の伝導帯端の第1エネルギーよりも低い。前記第2層は、前記第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域は前記第1層と前記第2領域との間に設けられる。前記第3層は、前記第2層と前記第1電極との間に設けられる。前記第3層の伝導帯端の第3エネルギーは、前記第2エネルギーよりも高い。前記複数の窒化物部は、前記第1領域と前記第2領域との間、前記第1層と前記第2層との間、及び、前記第2層と前記第3層との間、のいずれかに設けられる。前記第1層は、トンネル絶縁膜であり、前記第2層は、電荷蓄積膜であり、前記第3層は、ブロック絶縁層である。前記窒化物分子は、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN、WN、BN、AlN、GaN及びInNの少なくとも1つを含む。前記複数の窒化物部の、前記半導体層から前記第1電極に向かう第1方向の長さは、前記窒化物分子の大きさの最大値以下である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)~図1(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式図である。
図2図2(a)~図2(c)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式図である。
図4図4(a)及び図4(b)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図5図5(a)~図5(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図6図6(a)~図6(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図8図8(a)~図8(d)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図9図9(a)~図9(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図11図11(a)~図11(d)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図12図12(a)~図12(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図13】第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図14図14(a)~図14(c)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1(a)~図1(c)は、第1の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式図である。
図1(a)は、断面図である。図1(b)は、エネルギーバンド図である。図1(c)は、不揮発性半導体記憶装置に含まれる分子を示す模式図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置111は、半導体層20と、第1電極41と、第1層31と、第2層32と、第3層33と、複数の窒化物部35と、を含む。
【0010】
第1層31は、半導体層20と第1電極41との間に設けられる。第2層32は、第1層31と第1電極41との間に設けられる。第3層33は、第2層32と第1電極41との間に設けられる。
【0011】
この例では、複数の窒化物部35は、第1層31と第2層32との間に設けられる。後述するように、複数の窒化物部35は、第2層32と第3層33との間に設けられても良く、第2層32の中に設けられても良い。
【0012】
複数の窒化物部35は、窒化物分子である。窒化物分子は、4族(IVB族)、5族(VB族)、6族(VIB族)及び13族(IIIA族)のいずれかの元素(第1元素)と、窒素と、を含む。
【0013】
半導体層20から第1電極41に向かう方向を第1方向とする。第1方向をX軸方向とする。X軸方向に対して垂直な1つの軸をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。後述するように、半導体層20はピラー状でも良く、この場合は、半導体層20から第1電極41に向かう方向は、ピラーの延在方向に対して交差する任意の方向に対応する。
【0014】
半導体層20は、第1層31に対向する面(第1面20a)を有する。例えば、複数の窒化物部35は、半導体層20の第1面20aに沿って並ぶ。例えば、複数の窒化物部35は、半導体層20の第1面20aに対して平行な面内で、並ぶ。
【0015】
第1電極41は、第3層33に対向する面(第2面41a)を有する。例えば、複数の窒化物部35は、第1電極41の第2面41aに沿って並ぶ。例えば、複数の窒化物部35は、第1電極41の第2面41aに対して平行な面内で、並ぶ。
【0016】
例えば、複数の窒化物部35は、第1方向(X軸方向)に対して垂直な面に沿って並んでも良い。
【0017】
図1(b)には、伝導帯端Bc及び価電子帯端Bvの例が示されている。本明細書において、バンドアライメント、伝導帯バリアハイト及び価電子帯バリアハイトは、シリコンの伝導帯端のエネルギーを基準にしている。
【0018】
例えば、第1層31の伝導帯端Bcの第1エネルギーE1は、半導体層20の伝導帯端BcのエネルギーEsよりも高い。第1層31は、例えば、絶縁性の材料を含む。第1層31は、例えば、トンネル絶縁膜に対応する。
【0019】
例えば、第2層32の伝導帯端Bcの第2エネルギーE2は、半導体層20の伝導帯端BcのエネルギーEsよりも高い。第2層32は、例えば、絶縁性の材料を含む。
【0020】
例えば、第3層33の伝導帯端Bcの第3エネルギーE3は、半導体層20の伝導帯端BcのエネルギーEsよりも高い。第3層33は、例えば、絶縁性の材料を含む。第3層33は、例えば、ブロック絶縁膜に対応する。
【0021】
第2層32の伝導帯端Bcの第2エネルギーE2は、第1層31の伝導帯端Bcの第1エネルギーE1よりも低い。第2層32の伝導帯端Bcの第2エネルギーE2は、第3層33の伝導帯端Bcの第3エネルギーE3よりも低い。すなわち、第3層33の第3エネルギーE3は、第2エネルギーE2よりも高い。第2層3は、例えば、電荷蓄積膜として機能する。
【0022】
例えば、第1層31は、酸化シリコンを含む。例えば、第2層32は、窒化シリコンを含む。例えば、第3層33は、酸化シリコンを含む。
【0023】
不揮発性半導体記憶装置111において、例えば、半導体層20の電位(電圧)を基準とする。例えば、正の電圧が第1電極41に印加されると、電荷(電子)が半導体層20から第1層31(トンネル絶縁膜)を通過して、第2層32(電荷蓄積膜)に注入される。注入された電荷は、第3層33(ブロック絶縁膜)により、第1電極41に移動することが抑制される。第2層32に注入された電荷は、第2層32にトラップされ、第2層32に蓄積される。第2層32中の電荷の有無(多寡)により、半導体層20に流れる電流のしきい値が変化する。この動作(例えば書き込み動作)により、第1状態が形成される。半導体層20と第1電極41との間に、上記の電圧とは逆極性の電圧を印加することで、第2層32に蓄積された電荷は、半導体層20に移動する。この動作(例えば消去動作)により、第2状態が形成される。第1状態及び第2状態におけるしきい値を検出することで、記憶された状態の読み出し動作が行われる。
【0024】
第1~第3層31~33及び複数の窒化物部35は、メモリ膜MFに含まれる。半導体層20、第1電極41及びメモリ膜MFが、1つのメモリセル(第1メモリセル)に対応する。半導体層20は、チャネルボディに対応する。
【0025】
実施形態において、複数の窒化物部35の窒化物分子は、例えば、BN、AlN、GaN及びInNの少なくとも1つを含む。
【0026】
図1(c)に示すように、窒化物分子35Mは、第1元素35p(第1原子)と、窒素原子35qと、を含む。第1元素35pは、4族(IVB族)、5族(VB族)、6族(VIB族)及び13族(IIIA族)のいずれかの元素である。第1元素35pは、例えば、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びインジウム(In)のいずれかである。
【0027】
窒化物分子35Mの形状は、球形ではない。図1(c)に示すように、窒化物分子35Mの大きさの最大値35Lは、例えば、第1元素35pと窒素原子35qとを結ぶ方向に沿った窒化物分子35Mに長さに対応する。
【0028】
複数の窒化物部35の、第1方向(半導体層20から第1電極41に向かう方向)の長さ35d(厚さ、図1(a)参照)は、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L以下である。
【0029】
例えば、複数の窒化物部35は、窒化物分子35Mの単分子の状態で、分散されている。複数の窒化物部35が設けられている領域の厚さは、実質的に、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L程度以下である。
【0030】
不揮発性半導体記憶装置111においては、電界(電圧)の印加により、電荷は、半導体層20から第1層31(トンネル絶縁膜)を通過した後に、第2層32(電荷蓄積膜)に移動する。例えば、複数の窒化物部35のバリアハイトにより、第2層32に移動した電荷が第1層31に向かって透過する確率が低下する。これにより、例えば、第2層32において、電荷が捕獲される確率が高まる。電荷の蓄積効率が高まるため、例えば、とり得るしきい値電圧の幅が拡大する。
【0031】
例えば、第1層31と第2層32との間の界面F1に、トラップサイトを形成しつつ、第2層32のトラップサイトの捕獲効率が向上できる。これにより、とり得るしきい値電圧の幅が拡大できる。
【0032】
例えば、窒化物の層(例えば3nmの厚さ)をトンネル絶縁膜と電荷蓄積膜との間に設ける第1参考例がある。第1参考例においては、窒化物の層は、金属ドットのような結晶構造体を含む。結晶構造体の大きさは、窒化物の分子の大きさよりも著しく大きい。第1参考例においては、窒化物と半導体層との間の距離は、窒化物の層の厚さ(例えば3nm)の中で変動する。金属酸化物と半導体層との間の距離が変動すると、しきい値が変動する。このため、第1参考例においては、しきい値の安定は、不十分である。
【0033】
これに対して、本実施形態においては、複数の窒化物部35の長さ35d(厚さ)は、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L以下である。複数の窒化物部35は、窒化物分子35Mの単分子の状態で、分散されている。窒化物部35と半導体層20との間の距離は、実質的に一定である。このため、しきい値の変動が小さい。
【0034】
一方、メモリ膜MF中(シリコン酸化膜とシリコン窒化膜との間、または、シリコン窒化膜中)に金属の粒子を設ける第2参考例がある。第2参考例においては、電荷のトラップ性が低い。さらに、第2参考例においては、金属の不完全な酸化により、制御されていない結合が形成されやすい。このため、例えば、金属粒子に基づくトラップサイトの位置の制御が困難である。例えば、複数のトラップサイトが過度に近づきやすい。このため、データ保持特性が悪化する。
【0035】
これに対して、実施形態においては、窒化物分子35Mの複数の窒化物部35が設けられる。窒化物分子35MがBN、AlN、GaN及びInNである場合、例えば、捕獲断面積の異なるトラップが形成される。これにより、捕獲効率を向上できる。窒化物分子35Mが用いられるため、金属酸化物などが制御されずに形成されることが抑制される。複数の窒化物部35(窒化物分子35M)が、面(この例では、第1層31と第2層32との間の界面F1)に沿って(2次元状に)、分散して配置される。複数の窒化物部35により、膜厚方向(第1方向)の所望の位置に、離散トラップが形成される。良好なデータ保持特性が得られる。
【0036】
実施形態において、複数の窒化物部35の密度(面密度)は、例えば、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下である。この密度は、第1方向(半導体層20から第1電極41に向かう方向)と交差する面における密度(面密度)である。第1方向と交差する面は、例えば、第1方向に対して垂直な面である。
【0037】
例えば、2つの窒化物分子35Mどうしの間の距離が3nm未満になると、トラップされた電荷が、近接トラップへ直接トンネリングによって移動しやすくなる。2つの窒化物分子35Mどうしの間の距離は、3nm以上であることが好ましい。これにより、直接トンネルが抑制でき、電荷のホッピングが抑制できる。例えば、複数の窒化物分子35Mを、直径が3nmの円として最密充填(1.156倍に対応)することを仮定する。さらに、立方体の8つの頂点に1つの窒化物分子35Mが配置されることを仮定する。この場合において、1cm×1cmの領域に設けられる窒化物分子35Mの数は、1cm×1cm×1、156×8/(3nm×3nm)であり、約1.03×1015cm-2となる。
【0038】
複数の窒化物部35の密度を1×1015cm-2以下とすることで、例えば、直接トンネルが抑制でき、良好なリテンション特性が得られる。複数の窒化物部35の密度を1×1013cm-2以上とすることで、例えば、窒化物部35を設けることによるとり得るしきい値電圧の幅の拡大が効果的に行われる。
【0039】
不揮発性半導体記憶装置111において、複数の窒化物部35の窒化物分子35Mは、例えば、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN及びWNの少なくとも1つを含んでも良い。第1元素35p(第1原子)は、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)の1つでも良い。
【0040】
例えば、Tiの仕事関数は4.1eVであり、TiNの仕事関数は4.6eVである。金属の粒子における電荷の捕獲性は、窒化物における電荷の捕獲性よりも低い。このため、金属の粒子を用いる上記の第2参考例においては、例えば、データ保持特性が不十分である。
【0041】
これに対して、実施形態において、複数の窒化物部35がTiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN及びWNなどの分子である場合、電荷の高い捕獲性が得られる。そして、複数の窒化物部35の、第1方向の長さ35d(厚さ)は、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L以下であり、複数の窒化物部35は、窒化物分子35Mの単分子の状態で、分散されている。これにより、実施形態においては、例えば、良好なデータ保持特性が得られる。
【0042】
窒化物においては、仕事関数が大きいため、深い準位のトラップが形成される。これにより、トラップされた電荷が抜け難くなる。その結果、例えば、データ保持特性が向上する。さらに、電荷が抜けにくくなることは、書き込み中においても、トラップされた電荷が抜けにくくなることを意味する。これにより、書き込み効率が向上したように見える。例えば、書き込み中に高電界が加わっているので、トラップの準位が浅い場合には、書き込み時間中にトラップされた電荷がこの高電界により抜ける。これに対して、トラップの準位が深い場合には、これが抑制される。このため、書き込み効率が向上したように見える。
【0043】
このように、実施形態においては、メモリ膜MFの複数の窒化物部35において、第1元素35pと窒素原子35qとの間の安定な結合が形成される。窒化物分子35Mを用いることで、例えば、仕事関数が大きくなり、深い準位が得られる。複数の窒化物部35を用いることで、電荷のトラップ量を増加できる。窒化物分子35Mの複数の窒化物部35が膜厚方向と交差する面内に沿って配置される。これにより、安定したしきい値が得られる。書き込み電圧及び消去電圧の許容範囲が拡大できる。
【0044】
例えば、メモリセルのサイズを小さくしても安定した動作が得られる。その結果、例えば、記憶密度が向上できる。
【0045】
複数の窒化物部35の面密度を、例えば、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下とすることで、電荷の横方向(第1方向と交差する方向)の拡散を抑制できる。これにより、良好なリテンションが得られる。
【0046】
不揮発性半導体記憶装置111において、窒化物分子35Mに含まれる第1元素35pの第1元素の粒子36がさらに設けられても良い(図1(a)参照)。第1元素の粒子36は、複数の窒化物部35とともに設けられる。この図1(a)の例では、第1元素の粒子36は、第1層31と第2層32との間に設けられる。
【0047】
この場合、複数の窒化物部35と、第1元素の粒子36と、を含む領域における平均の窒素濃度は、窒化物分子35Mの化学量論比の窒素濃度よりも低い。このように、この領域において、化学量論比から、窒素が欠損していても良い。これにより、例えば、この領域におけるバンドギャップ中に、欠陥準位が形成される。例えば、窒化アルミニウムの場合、バンドギャップの中央付近に欠陥準位が形成される。この欠陥準位は、伝導帯端Bcから2.9eV近傍であり、深い。これにより形成されるトラップサイトにおいては、電荷は、非常に動きにくい。これにより、データ保持特性が向上できる。さらに、とり得るしきい値電圧の幅を拡大できる。
【0048】
図1(a)に示すように、不揮発性半導体記憶装置111において、第2電極42及び層間絶縁膜45iが設けられている。このように、不揮発性半導体記憶装置111は、複数の電極40を含んでも良い。第1電極41及び第2電極42は、複数の電極40に含まれる。第2電極42は、第1方向(X軸方向)と交差する第2方向(例えばZ軸方向)において、第1電極41と並ぶ。複数の電極40の間に、層間絶縁膜45iが設けられる。
【0049】
第1層31は、第2電極42と半導体層20との間にさらに設けられる。第2層32は、第2電極42と第1層31との間にさらに設けられる。第3層33は、第2電極42と第2層32との間にさらに設けられる。
【0050】
半導体層20、第2電極42及びメモリ膜MFが、別の1つのメモリセル(第2メモリセル)に対応する。第2メモリセルにおいても、しきい値の変動が小さく、とり得るしきい値電圧の幅が拡大できる。例えば、第1電極41と第2電極42との間の距離を短くできる。記憶密度が向上できる。
【0051】
実施形態において、第1層31の厚さt1(第1方向に沿った長さ、図1(a)参照)は、例えば、2ナノメートル以上8ナノメートル以下である。第2層32の厚さt2(第1方向に沿った長さ、図1(a)参照)は、例えば、2ナノメートル以上8ナノメートル以下である。第3層33の厚さt3(第1方向に沿った長さ、図1(a)参照)は、例えば、3ナノメートル以上10ナノメートル以下である。
【0052】
(第2の実施形態)
図2(a)~図2(c)は、第2の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式図である。
図2(a)は、断面図である。図2(b)は、エネルギーバンド図である。図2(c)は、不揮発性半導体記憶装置に含まれる分子を示す模式図である。
【0053】
図2(a)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置112においても、半導体層20、第1電極41、第1~第3層31~33、及び、複数の窒化物部35が設けられる。半導体層20、第1電極41及び第1~第3層31~33については、不揮発性半導体記憶装置111と同様なので説明を省略する。
【0054】
以下、不揮発性半導体記憶装置112における複数の窒化物部35について説明する。
【0055】
不揮発性半導体記憶装置112においては、窒化物分子35Mの複数の窒化物部35は、第2層32と第3層33との間に設けられる。複数の窒化物部35は、第2層32と第3層33との間の界面F2に沿って設けられる。この例においても、複数の窒化物部35の、第1方向(半導体層20から第1電極41に向かう方向)の長さ35d(厚さ)は、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L(図2(c)参照)以下である。例えば、複数の窒化物部35は、窒化物分子35Mの単分子の状態で、分散されている。
【0056】
例えば、複数の窒化物部35は、半導体層20の第1面20aに沿って並ぶ。例えば、複数の窒化物部35は、第1電極41の第2面41aに沿って並ぶ。
【0057】
不揮発性半導体記憶装置112において、複数の窒化物部35の窒化物分子35M(図2(c)参照)は、例えば、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN及びWNの少なくとも1つを含む。
【0058】
第1元素35p(第1原子)は、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)の1つである。
【0059】
図2(b)に示すように、不揮発性半導体記憶装置112においても、第2層32の伝導帯端Bcの第2エネルギーE2は、第1層31の伝導帯端Bcの第1エネルギーE1よりも低く、第3層33の伝導帯端Bcの第3エネルギーE3よりも低い。例えば、第1層31は、酸化シリコンを含む。例えば、第2層32は、窒化シリコンを含む。例えば、第3層33は、酸化シリコンを含む。
【0060】
電界印加により、電荷が、半導体層20から、第1層31(例えばトンネル絶縁膜)及び第2層32(電荷蓄積膜)を通過して、窒化物部35に到達する。窒化物部35は、トラップサイトとして機能する。
【0061】
例えば、窒化物部35が、窒化チタンである。窒化チタンの仕事関数は、4.5eVである。窒化チタンにより、第2層32(電荷蓄積膜、例えば、シリコン窒化膜)のバンドギャップの中央付近の、深い準位が形成される。これにより、良好なデータ保持特性が得られる。とり得るしきい値電圧の幅を拡大できる。
【0062】
不揮発性半導体記憶装置112においては、第2層32(例えば電荷蓄積膜)と第3層33(例えばブロック絶縁膜)との間の界面F2おけるトラップサイトを増加できる。さらに、界面F2付近のトラップサイトにおける捕獲効率を向上できる。これにより、とり得るしきい値電圧の幅を拡大できる。
【0063】
例えば、窒化物部35と半導体層20との間の距離は、実質的に一定である。このため、しきい値の変動が小さい。
【0064】
本実施形態において、例えば、メモリセルのサイズを小さくしても安定した動作が得られる。その結果、例えば、記憶密度が向上できる。
【0065】
不揮発性半導体記憶装置112において、複数の窒化物部35の密度は、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下でも良い。例えば、直接トンネルが抑制でき、良好なリテンション特性が得られる。複数の窒化物部35の密度を1×1013cm-2以上とすることで、例えば、とり得るしきい値電圧の幅の拡大が効果的に行われる。
【0066】
不揮発性半導体記憶装置112において、窒化物分子35Mに含まれる第1元素35pの粒子36がさらに設けられても良い(図2(a)参照)。この例では、第1元素35pの粒子36は、第2層32と第3層33との間に設けられる。これにより、データ保持特性が向上できる。さらに、とり得るしきい値電圧の幅を拡大できる。
【0067】
(第3の実施形態)
図3(a)及び図3(b)は、第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式図である。
図3(a)は、断面図である。図3(b)は、エネルギーバンド図である。
【0068】
図3(a)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置113おいても、半導体層20、第1電極41、第1~第3層31~33、及び、複数の窒化物部35が設けられる。半導体層20、第1電極41、第1層31及び第3層33については、不揮発性半導体記憶装置111と同様なので説明を省略する。
【0069】
以下、不揮発性半導体記憶装置113における、第2層32及び複数の窒化物部35について説明する。
【0070】
不揮発性半導体記憶装置113においては、窒化物分子35Mの複数の窒化物部35は、第2層32中に設けられる。
【0071】
図3(a)に示すように、第2層32は、第1領域32a及び第2領域32bを含む。第1領域32aは、第1層31と第2領域32bとの間に設けられる。第1領域32aは、第1層31側の領域である。第2領域32bは、第3層33側の領域である。
【0072】
複数の窒化物部35は、第1領域32aと第2領域32bとの間に設けられる。
【0073】
この例においても、複数の窒化物部35の、第1方向(半導体層20から第1電極41に向かう方向)の長さ35d(厚さ)は、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L(図2(c)と同様)以下である。例えば、複数の窒化物部35は、窒化物分子35Mの単分子の状態で、分散されている。
【0074】
例えば、複数の窒化物部35は、半導体層20の第1面20aに沿って並ぶ。例えば、複数の窒化物部35は、第1電極41の第2面41aに沿って並ぶ。
【0075】
不揮発性半導体記憶装置113おいて、複数の窒化物部35の窒化物分子35M(図2(c)と同様)は、例えば、TiN、ZrN、HfN、VN、NbN、TaN、CrN、MoN及びWNの少なくとも1つを含む。第1元素35p(第1原子)は、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)の1つである。
【0076】
図3(b)に示すように、不揮発性半導体記憶装置113においても、第2層32の伝導帯端Bcの第2エネルギーE2は、第1層31の伝導帯端Bcの第1エネルギーE1よりも低く、第3層33の伝導帯端Bcの第3エネルギーE3よりも低い。例えば、第1層31は、酸化シリコンを含む。例えば、第2層32は、窒化シリコンを含む。例えば、第3層33は、酸化シリコンを含む。
【0077】
電界の印加により、電荷は、半導体層20から、第1層31(例えばトンネル絶縁膜)、及び、第2層32の第1領域32aを通過し、複数の窒化物部35に到達する。複数の窒化物部35は、トラップサイトとなる。例えば、窒化物部35は、窒化タングステンの分子である。窒化タングステンの仕事関数は、4.6eVである。窒化タングステンにより、第2層32(例えば、シリコン窒化物)のバンドギャップの中央付近の、深い準位が形成できる。これにより、良好なデータ保持特性が得られる。さらに、とり得るしきい値電圧の幅を拡大できる。
【0078】
例えば、第2層32の第1領域32a及び第2領域32bにおいて、離散的なトラップサイトが形成される。トラップサイトの捕獲効率を向上できる。これにより、とり得るしきい値電圧の幅を拡大できる。
【0079】
例えば、窒化物部35と半導体層20との間の距離は、実質的に一定である。このため、しきい値の変動が小さい。
【0080】
本実施形態において、例えば、メモリセルのサイズを小さくしても安定した動作が得られる。その結果、例えば、記憶密度が向上できる。
【0081】
不揮発性半導体記憶装置113において、複数の窒化物部35の密度は、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下でも良い。例えば、直接トンネルが抑制でき、良好なリテンション特性が得られる。複数の窒化物部35の密度を1×1013cm-2以上とすることで、例えば、とり得るしきい値電圧の幅の拡大が効果的に行われる。
【0082】
不揮発性半導体記憶装置113の第2層32において、第1領域32aの厚さt2aは、第2領域32bの厚さt2bと実質的に同じでも良い。例えば、第1領域32aの厚さt2aは、第2領域32bの厚さt2bの0.5倍以上1.5倍以下である。
【0083】
不揮発性半導体記憶装置113において、窒化物分子35Mに含まれる第1元素35pの粒子36がさらに設けられても良い(図3(a)参照)。この例では、第1元素の粒子36は、第1領域32aと第2領域32bとの間に設けられる。これにより、データ保持特性が向上できる。さらに、とり得るしきい値電圧の幅を拡大できる。
【0084】
不揮発性半導体記憶装置112及び113において、複数の窒化物部35の窒化物分子は、例えば、BN、AlN、GaN及びInNの少なくとも1つを含んでも良い。窒化物分子35Mは、第1元素35p(第1原子)と、窒素原子35qと、を含む(例えば図2(c)参照)。第1元素35pは、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)及びインジウム(In)のいずれかでも良い。この場合も、例えば、メモリセルのサイズを小さくしても安定した動作が得られる。その結果、例えば、記憶密度が向上できる。
【0085】
上記の第1~第3の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置111~113において、複数の窒化物部35の状態の少なくとも一部に関する情報は、例えば、TEM-EELS(Transmission Electron Microscope-electron energy loss spectroscopy)により得られる。複数の窒化物部35の状態の少なくとも一部に関する情報は、例えば、SIMS( Secondary Mass Spectrometry)により得られる。複数の窒化物部35の状態の少なくとも一部に関する情報は、例えば、3次元アトムプローブを用いた分析に得られる。3次元アトムプローブとして、例えばLEAP4000(CAMECA社)などを用いることができる。
【0086】
(第4の実施形態)
第4の実施形態においては、半導体層20はピラー状である。
図4(a)及び図4(b)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図4(b)は、図4(a)のA1-A2線断面図である。
【0087】
図4(a)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置121においては、半導体層20、第1電極41、第2電極42、層間絶縁膜45i、第1~第3層31~33、及び、複数の窒化物部35が設けられる。
【0088】
第2電極42は、第1方向(半導体層20から第1電極41に向かう方向を)と交差する第2方向(例えばZ軸方向)において、第1電極41と並ぶ。複数の電極40の間に、層間絶縁膜45iが設けられる。以下、不揮発性半導体記憶装置121について、不揮発性半導体記憶装置111とは異なる部分について説明する。
【0089】
第1電極41、層間絶縁膜45i及び第2電極42は、積層体SBに含まれる。半導体層20は、積層体SBの中を第2方向(Z軸方向)に沿って延びる。
【0090】
この例では、コアピラー20cが設けられている。コアピラー20cは、積層体SB中をZ軸方向に延びる。コアピラー20cは、例えば絶縁性である。
【0091】
図4(a)及び図4(b)に示すように、コアピラー20cの周りに半導体層20が設けられる。半導体層20は、例えば管状である。半導体層20の周りに、第1層31が設けられる。第1層31の周りに、第2層32が設けられる。第2層32の周りに第3層33が設けられる。第1~第3層31~33は、管状である。第3層33の周りに、電極40(第1電極41及び第2電極42など)が設けられる。
【0092】
不揮発性半導体記憶装置121においては、窒化物分子35Mの複数の窒化物部35は、第1層31と第2層32との間に設けられる。不揮発性半導体記憶装置121においても、例えば、メモリセルのサイズを小さくしても安定した動作が得られる。その結果、例えば、記憶密度が向上できる。
【0093】
以下、不揮発性半導体記憶装置121の製造方法の例について説明する。
本製造方法は、半導体層20と、第1電極41と、半導体層20と第1電極41との間に設けられた第1層31と、第1層31と第1電極41との間に設けられた第2層32と、第2層32と第1電極41との間に設けられた第3層33と、を含む不揮発性半導体記憶装置121の製造方法である。既に説明したように、第2層32の伝導帯端Bcの第2エネルギーE2は、第1層31の伝導帯端Bcの第1エネルギーE1よりも低い。第3層33の伝導帯端Bcの第3エネルギーE3は、第2エネルギーE2よりも高い。本製造方法は、第1層31の形成、第2層32の形成、第3層33の形成、及び、複数の窒化物部35の形成を含む。
【0094】
図5(a)~図5(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図5(a)に示すように、基体10の上に、電極40となる導電層40fと、層間絶縁膜45iとなる絶縁層45ifと、を交互に積層する。導電層40fは、例えばタングステンである。絶縁層45ifは、例えば、酸化シリコンである。積層体SBが形成される。積層方向が、Z軸方向に対応する。
【0095】
図5(b)に示すように、積層体SBに孔SBhを形成する。孔SBhは、Z軸方向に延びる。
【0096】
図5(c)に示すように、孔SBhの側壁に、第3層33を形成し、その上に、第2層32を形成する。第2層32の表面に、複数の窒化物部35を形成する。
【0097】
複数の窒化物部35の形成においては、例えば、第1元素35pを含むガス(例えば、塩化チタンなど)と、窒素原子35qを含むガス(例えばアンモニア)と、を用いた原子層堆積(ALD、Atomic Layer Deposition)が行われる。例えば、ALDにおけるサイクル数、ALDにおける雰囲気(例えばアンモニアガスの圧力など)、及び、ALDにおける温度などが制御される。これにより、第2層32の表面に、窒化物分子35Mの複数の窒化物部35が形成される。複数の窒化物部35の、第1方向(Z軸方向と交差する方向であり、半導体層20から第1電極41に向かう方向に対応する)の長さ35dは、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L以下である。
【0098】
図5(d)に示すように、第2層32の表面の一部、及び、複数の窒化物部35の上に、第1層31を形成する。
【0099】
さらに、第1層31の表面に半導体層20を形成し、さらに、残余の空間に絶縁材料を埋め込んでコアピラー20cを形成することで、不揮発性半導体記憶装置121が形成できる。
【0100】
この例では、第3層33の形成の後に、第2層32の形成を実施する。そして、第2層32の形成の後に、複数の窒化物部35の形成を実施する。そして、複数の窒化物部35の形成の後に、第1層31の形成を実施する。
【0101】
本実施形態において、複数の窒化物部35の、第1方向(Z軸方向)と交差する面(第2層32と第3層33との間の筒状の面)における密度は、例えば、1×1013cm-2以上1×1015cm-2以下である。
【0102】
以下、不揮発性半導体記憶装置121の製造方法の別の例について説明する。この方法においては、リプレイス法が用いられる。
【0103】
図6(a)~図6(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図6(a)に示すように、基体10の上に、複数の第1膜61及び複数の第2膜62を交互に積層する。第1膜61は、例えば、犠牲層である。第2膜62は、例えば、層間絶縁膜45iとなる。第1膜61は、例えばシリコン窒化膜である。第2膜62は、例えばシリコン酸化膜である。これにより、積層体SB0が形成される。
【0104】
さらに、積層体SB0に孔を形成し、この孔に、第3層33、第2層32、複数の窒化物部35、第1層31、半導体層20及びコアピラー20cを順次形成する。これにより、第3層33、第2層32、複数の窒化物部35、第1層31、半導体層20及びコアピラー20cを含むピラー部PPが形成される。
【0105】
図6(b)に示すように、積層体SB0にスリットST(孔でも良い)を形成する。
図6(c)に示すように、スリットSTを介して、第1膜61を除去する。
図6(d)に示すように、第1膜61が除去されて形成された空間に導電材料を埋め込んで電極40を形成する。残っている第2膜62が、層間絶縁膜45iとなる。
これにより、不揮発性半導体記憶装置121が形成される。
【0106】
このように、本製造方法においては、犠牲層(第1膜61)を形成することと、犠牲層を除去することと、第1電極41(電極40)を形成すること、を含む。
【0107】
第3層33の形成は、犠牲層(第1膜61)の面の上に第3層33を形成することを含む。第1層31の形成の後に半導体層20を形成する。半導体層20の形成の後に(この例では、コアピラー20cの形成の後に)、犠牲層の除去を実施する。第1電極41の形成は、犠牲層の除去により露出した第3層33の面の上に第1電極41を形成することを含む。このように、リプレイス法により不揮発性半導体記憶装置121を製造しても良い。
【0108】
図7(a)及び図7(b)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図7(b)は、図7(a)のA1-A2線断面図である。
【0109】
図7(a)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置122においても、半導体層20、第1電極41、第2電極42、層間絶縁膜45i、第1~第3層31~33、及び、複数の窒化物部35が設けられる。複数の窒化物部35は、第2層32と第3層33との間に設けられる。これ以外は、不揮発性半導体記憶装置121と同様である。
【0110】
不揮発性半導体記憶装置122においては、半導体層20は積層体SBの中を第2方向(Z軸方向)に沿って延びる。これ以外は、不揮発性半導体記憶装置112と同様である。不揮発性半導体記憶装置122においても、例えば、メモリセルのサイズを小さくしても安定した動作が得られる。その結果、例えば、記憶密度が向上できる。
【0111】
以下、不揮発性半導体記憶装置122の製造方法の例について説明する。
図8(a)~図8(d)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図8(a)及び図8(b)に示すように、基体10の上に、電極40となる導電層40fと、層間絶縁膜45iとなる絶縁層45ifと、を交互に積層して積層体SBを形成し、さらに、積層体SBに孔SBhを形成する。
【0112】
図8(c)に示すように、孔SBhの側壁に、第3層33を形成し、その上に、複数の窒化物部35を形成する。複数の窒化物部35の形成において、図5(c)に関して説明した処理が行われる。
【0113】
図8(d)に示すように、第3層33の表面の一部、及び、複数の窒化物部35の上に、第2層32を形成し、さらに、第2層32の表面に第1層31を形成する。
【0114】
さらに、第1層31の表面に半導体層20を形成し、さらに、残余の空間に絶縁材料を埋め込んでコアピラー20cを形成することで、不揮発性半導体記憶装置122が形成できる。
【0115】
この例では、第3層33の形成の後に複数の窒化物部35の形成を実施する。複数の窒化物部35の形成の後に第2層32の形成を実施する。第2層32の形成の後に第1層31の形成を実施する。
【0116】
図9(a)~図9(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図9(a)に示すように、基体10の上に、積層体SB0を形成し、積層体SB0にピラー部PPを形成する。ピラー部PPにおいては、複数の窒化物部35は、第3層33と第2層32との間に設けられる。
【0117】
図9(b)~図9(d)に示すように、積層体SB0にスリットST(孔でも良い)を形成し、スリットSTを介して第1膜61を除去し、第1膜61が除去されて形成された空間に導電材料を埋め込んで電極40を形成する。残っている第2膜62が、層間絶縁膜45iとなる。これにより、不揮発性半導体記憶装置122が形成される。
【0118】
図10(a)及び図10(b)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図10(b)は、図10(a)のA1-A2線断面図である。
【0119】
図10(a)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置123においても、半導体層20、第1電極41、第2電極42、層間絶縁膜45i、第1~第3層31~33、及び、複数の窒化物部35が設けられる。複数の窒化物部35は、第2層32の第1領域32aと第2領域32bとの間に設けられる。これ以外は、不揮発性半導体記憶装置121と同様である。
【0120】
不揮発性半導体記憶装置123においては、半導体層20は積層体SBの中を第2方向(Z軸方向)に沿って延びる。これ以外は、不揮発性半導体記憶装置113と同様である。不揮発性半導体記憶装置123においても、例えば、メモリセルのサイズを小さくしても安定した動作が得られる。その結果、例えば、記憶密度が向上できる。
【0121】
以下、不揮発性半導体記憶装置123の製造方法の例について説明する。
図11(a)~図11(d)は、第4の実施形態に係る別の不揮発性半導体記憶装置の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図11(a)及び図11(b)に示すように、基体10の上に、電極40となる導電層40fと、層間絶縁膜45iとなる絶縁層45ifと、を交互に積層して積層体SBを形成し、さらに、積層体SBに孔SBhを形成する。
【0122】
図11(c)に示すように、孔SBhの側壁に、第3層33を形成し、その上に、第2層32の一部(第2領域32b)を形成する。さらに、その表面に、複数の窒化物部35を形成する。複数の窒化物部35の形成において、図5(c)に関して説明した処理が行われる。
【0123】
図11(d)に示すように、第2領域32bの表面の一部、及び、複数の窒化物部35の上に、第2層32の別の一部(第1領域32a)を形成し、さらに、第1領域32aの表面に第1層31を形成する。
【0124】
さらに、第1層31の表面に半導体層20を形成し、さらに、残余の空間に絶縁材料を埋め込んでコアピラー20cを形成することで、不揮発性半導体記憶装置123が形成できる。
【0125】
この例では、第3層33の形成の後に第2層32の一部(第2領域32b)を形成し、第2層32のこの一部(第2領域32b)の形成の後に複数の窒化物部35の形成を実施する。複数の窒化物部35の形成の後に第2層32の他の一部(第1領域32a)を形成する。第2層32の上記の他の一部(第1領域32a)の形成の後に、第1層31の形成を実施する。
【0126】
図12(a)~図12(d)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の別の製造方法を例示する工程順模式的断面図である。
図12(a)に示すように、基体10の上に、積層体SB0を形成し、積層体SB0にピラー部PPを形成する。ピラー部PPにおいては、複数の窒化物部35は、第2層32の第1領域32aと第2領域32bとの間に設けられる。
【0127】
図12(b)~図12(d)に示すように、積層体SB0にスリットST(孔でも良い)を形成し、スリットSTを介して第1膜61を除去し、第1膜61が除去されて形成された空間に導電材料を埋め込んで電極40を形成する。残っている第2膜62が、層間絶縁膜45iとなる。これにより、不揮発性半導体記憶装置123が形成される。
【0128】
図5(a)~図5(d)、図8(a)~図8(d)、及び、図11(a)~図11(d)に関して説明した製造方法においては、第3層33の形成の前に、積層体SBが形成される。すなわち、第3層33の形成の前に第1電極41が形成される。そして、第1層31の形成の後に、半導体層20が形成される。
【0129】
これに対して、図6(a)~図6(d)、図9(a)~図9(d)、及び、図12(a)~図12(d)に関して説明した製造方法においては、第1層31~第3層33、複数の窒化物部35及び半導体層20が形成された後に、電極40(第1電極41及び第2電極42など)が形成される。
【0130】
図13は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的斜視図である。
図13においては、図を見易くするために、絶縁部分の少なくとも一部が省略されている。
【0131】
図13に示す不揮発性半導体記憶装置131は、上記の不揮発性半導体記憶装置121~131の構成を有する。不揮発性半導体記憶装置131においては、メモリセルが、3次元的に配置される。
【0132】
不揮発性半導体記憶装置131において、基体10の上に、バックゲートBGが設けられる。この上に、積層体SBが設けられる。積層体SBは、交互に設けられた複数の導電層WL及び複数の絶縁層(図示せず、例えば層間絶縁膜45iに対応する)を含む。積層体SBにおける積層方向がZ軸方向に対応する。
【0133】
基体10は、例えば半導体基板(シリコン基板など)である。バックゲートBGは、例えば不純物を含むシリコンを含む。導電層WLは、例えば、金属(例えばタングステンなど)または半導体(例えば不純物を含むシリコンなど)を含む。導電層WLは、例えば、ワード線となる。
【0134】
不揮発性半導体記憶装置131において、複数のメモリストリングMSを含む。1つのメモリストリングMSは、ピラー部PPを含む。この例では、1つのメモリストリングMSは、2つのピラー部PPと、連結部JPと、を含む。連結部JPは、2つのピラー部PPのそれぞれの下端を連結する。メモリストリングMSは、例えば、U字状である。
【0135】
ピラー部PPは、例えば柱状(円柱状、偏平円柱状など)である。ピラー部PPは、積層体SBのなかをZ軸方向に延びる。ピラー部PPの1つの上端部に、ドレイン側選択ゲートSGDが設けられる。ピラー部PPの別の1つの上端部に、ソース側選択ゲートSGSが設けられている。ドレイン側選択ゲートSGD及びソース側選択ゲートSGSは、例えば、上部選択ゲートとなる。ドレイン側選択ゲートSGD及びソース側選択ゲートSGSは、例えば、最上層の導電層WL上に絶縁層を介して設けられる。ドレイン側選択ゲートSGD及びソース側選択ゲートSGSは、例えば、不純物を含むシリコンを含む。ドレイン側選択ゲートSGDとソース側選択ゲートSGSとの間に絶縁分離膜(図示しない)が設けられる。これらのゲートは、Y軸方向に沿って延びる。
【0136】
ドレイン側選択ゲートSGDの下の積層体SBと、ソース側選択ゲートSGSの下の積層体SBも、絶縁分離膜によって分離されている。積層体SBは、Y軸方向に延びる。
【0137】
ソース側選択ゲートSGS上に、絶縁層を介して、ソース線SL(例えば金属膜)が設けられる。ドレイン側選択ゲートSGD上及びソース線SLの上に、絶縁層を介して、複数のビット線BL(例えば金属膜)が設けられている。複数のビット線BLのそれぞれは、X軸方向に延びる。
【0138】
複数の導電層WLは、複数の電極40に対応する。複数の導電層WLのそれぞれは、複数のメモリセルのそれぞれに対応する。
【0139】
ピラー部PPの1つの上端部に、ドレイン側選択トランジスタSTDが設けられる。ピラー部PPの別の1つの上端部に、ソース側選択トランジスタSTSが設けられる。メモリセル、ドレイン側選択トランジスタSTD及びソース側選択トランジスタSTSは、縦型トランジスタである。これらのトランジスタにおいては、Z軸方向に沿って電流が流れる。
【0140】
ドレイン側選択ゲートSGDは、ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート電極(コントロールゲート)として機能する。ドレイン側選択ゲートSGDと半導体層20との間には、絶縁膜(図示せず)が設けられる。この絶縁膜は、ドレイン側選択トランジスタSTDのゲート絶縁膜として機能する。ドレイン側選択トランジスタSTDのチャネルボディ(半導体層20)は、ドレイン側選択ゲートSGDの上方で、ビット線BLと接続されている。
【0141】
ソース側選択ゲートSGSは、ソース側選択トランジスタSTSのゲート電極(コントロールゲート)として機能する。ソース側選択ゲートSGSと半導体層20との間には、絶縁膜(図示せず)が設けられている。この絶縁膜は、ソース側選択トランジスタSTSのゲート絶縁膜として機能する。ソース側選択トランジスタSTSのチャネルボディ(半導体層20)は、ソース側選択ゲートSGSの上方で、ソース線SLと接続されている。
【0142】
メモリストリングMSの連結部JPには、バックゲートトランジスタBGTが設けられる。バックゲートBGは、バックゲートトランジスタBGTのゲート電極(コントロールゲート)として機能する。
【0143】
ピラー部PPに設けられるメモリ膜MFは、バックゲートBG内にも設けられても良い。このメモリ膜MFは、バックゲートトランジスタBGTのゲート絶縁膜として機能する。
【0144】
ドレイン側選択トランジスタSTDとバックゲートトランジスタBGTとの間には、複数のメモリセルが設けられる。バックゲートトランジスタBGTとソース側選択トランジスタSTSの間にも、複数のメモリセルが設けられる。複数のメモリセルのそれぞれは、複数の導電層WLのそれぞれをコントロールゲートとする。
【0145】
複数のメモリセル、ドレイン側選択トランジスタSTD、バックゲートトランジスタBGTおよびソース側選択トランジスタSTSは、半導体層20を通じて、直列接続される。これにより、U字状の1つのメモリストリングMSが形成される。複数のメモリストリングMSが、X軸方向及びY軸方向に配列される。複数のメモリセルがX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に、3次元的に設けられる。
【0146】
実施形態において、2つのピラー部PPが連結されなくても良い。1つのピラー部PPの下端部が例えばソース線SLと接続され、上端部が例えばビット線BLと接続されても良い。
【0147】
(第5の実施形態)
第5の実施形態においては、半導体層20は基板状である。
図14(a)~図14(c)は、第4の実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置を例示する模式的断面図である。
図14(a)~図14(c)に示すように、本実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置151~153は、半導体層20と、第1電極41と、第1層31と、第2層32と、第3層33と、複数の窒化物部35と、を含む。
【0148】
半導体層20として、例えば、半導体基板(例えばシリコン基板など)が用いられる。半導体層20は、例えば、SOI構造を有しても良い。これ以外は、不揮発性半導体記憶装置111~113と同様である。
【0149】
不揮発性半導体記憶装置151~153は、例えば、以下のようにして製造される。
半導体層20の上に第1層31を形成する。第1層31の形成の後に第2層32を形成する。第2層32の形成の後に第3層32を形成する。第3層33の形成の後に第1電極41(及び第2電極42など)を形成する。
【0150】
第1層31の形成と第3層33の形成との間に、複数の窒化物部35の形成が実施される。
【0151】
例えば、第1層31の形成と第2層32の形成の間に、複数の窒化物部35の形成が行われる。これにより不揮発性半導体記憶装置151が形成される。例えば、第2層32の形成と第3層33の形成の間に、複数の窒化物部35の形成が行われる。これにより不揮発性半導体記憶装置152が形成される。例えば、第2層32の一部(第1領域32a)形成と、第2層32の別の一部(第2領域32b)の形成の間に、複数の窒化物部35の形成が行われる。これにより不揮発性半導体記憶装置153が形成される。
【0152】
例えば、不揮発性半導体記憶装置のフラッシュメモリとして、3次元メモリが開発されている。3次元メモリにおいては、例えば、MONOSメモリセルが設けられる。MONOSメモリセルにおいて、電荷蓄積膜中の離散的な欠陥に、電荷が蓄積される。欠陥の密度が高いと多くの電荷を蓄積でき、とり得るしきい値電圧の幅が拡大する。一方、欠陥の密度が高く、欠陥どうしの間の距離が短くなると、欠陥間を電荷が移動し易くなり、データ保持特性が劣化する。メモリセルが微細化されると電荷蓄積膜の厚さが薄くされる。薄くされると、電荷蓄積量が減少する。このため、書き込み電圧及び消去電圧の許容範囲が縮小する。
【0153】
実施形態においては、窒化物分子35Mの複数の窒化物部35をメモリ膜MFに設ける。複数の窒化物部35は、離散的に配置される。複数の窒化物部35の長さ35d(サイズ)は、窒化物分子35Mの大きさの最大値35L以下である。これにより、電荷の蓄積量を増加させる。蓄積した電荷を抜け難くする。これにより、書き込み電圧及び消去電圧の許容範囲が拡大する。良好なデータ保持特性が得られる。これにより、メモリセルのサイズを縮小しても適正な動作が行われる。
【0154】
実施形態によれば記憶密度が向上できる不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を提供できる。
【0155】
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
【0156】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明の実施形態は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、不揮発性半導体記憶装置に含まれる半導体層、電極、第1~第3層及び窒化物部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0157】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0158】
その他、本発明の実施の形態として上述した不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての不揮発性半導体記憶装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0159】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0161】
10…基体、 20…半導体層、 20a…第1面、 20c…コアピラー、 31…第1層、 32…第2層、 32a…第1領域、 32b…第2領域、 33…第3層、 35…窒化物部、 35L…最大値、 35M…窒化物分子、 35d…長さ、 35p…第1元素、 35q…窒素原子、 36…粒子、 40…電極、 40f…導電層、 41…第1電極、 41a…第2面、 42…第2電極、 45i…層間絶縁膜、 45if…絶縁層、 61…第1膜、 62…第2膜、 111~113、121~123、131、151~153…不揮発性半導体記憶装置、 BG…バックゲート、 BGT…バックゲートトランジスタ、 BL…ビット線、 Bc…伝導帯端、 Bv…価電子帯端、 E1~E3…第1~第3エネルギー、 F1、F2…界面、 JP…連結部、 MF…メモリ膜、 MS…メモリストリング、 PP…ピラー部、 SB…積層体、 SB0…積層体、 SBh…孔、 SGD…ドレイン側選択ゲート、 SGS…ソース側選択ゲート、 SL…ソース線、 ST…スリット、 STD…ドレイン側選択トランジスタ、 STS…ソース側選択トランジスタ、 WL…導電層、 t1、t2、t2a、t2b、t3…厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14