(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】光反射微細構造、投影スクリーン及び投影システム
(51)【国際特許分類】
G03B 21/60 20140101AFI20220526BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20220526BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220526BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20220526BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20220526BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
G03B21/60
G02B5/00 B
G02B5/02 C
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N5/74 C
(21)【出願番号】P 2019503318
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(86)【国際出願番号】 CN2017082432
(87)【国際公開番号】W WO2018014619
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2019-01-21
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】201610575206.6
(32)【優先日】2016-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514090979
【氏名又は名称】深▲せん▼光峰科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APPOTRONICS CORPORATION LIMITED
【住所又は居所原語表記】20F-22F, High-Tech Zone Union Tower, No.63,Xuefu Road, Yuehai Street, Nanshan District, Shenzhen,Guangdong 518000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】周 宇軒
(72)【発明者】
【氏名】胡 飛
(72)【発明者】
【氏名】李 屹
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】濱野 隆
【審判官】清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0091365(US,A1)
【文献】特開平7-36118(JP,A)
【文献】特開2015-69150(JP,A)
【文献】米国特許第4991933(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入光面、光反射面、および、前記入光面と光反射面とを接続する吸光面を有する透明構造と、
前記吸光面に位置する光吸収構造と、
前記光反射面に位置する反射層と、を備え、
前記透明構造は、所定角度で前記入光面から入射した投影光を前記反射層へ屈折させ、他の角度で前記入光面から入射した迷光を前記光吸収構造へ屈折させ、
前記反射層は、前記投影光が前記透明構造による2回目の屈折を経た後で一定の角度で前記入光面から出射するように、前記投影光を反射し、
前記光吸収構造は、前記迷光を吸収
し、
前記透明構造は、第1部と、前記第1部の頂部に位置する第2部とを備え、
前記第1部は、断面が天面の辺長が底面の辺長より大きい四角形である構造をなし、前記第2部は、底面が平面、天面が曲面である構造をなし、且つ、前記第2部の天面が前記透明構造の前記入光面であり、前記第1部の底面が前記透明構造の前記光反射面であり、前記第1部の側面が前記透明構造の前記吸光面であり、
h<f、ここで、h:前記第1部の天面と底面の間の距離、f:前記第2部の天面の焦点距離であることを特徴とする光反射微細構造。
【請求項2】
前記曲面は、柱状、円弧状又は球状の曲面であることを特徴とする請求項
1に記載の光反射微細構造。
【請求項3】
前記透明構造による屈折を経た後で一定の角度で前記入光面から出射する投影光の出射角度は、前記第2部の天面の焦点距離と、前記第1部の天面と底面の間の距離と、前記第1部の天面の辺長とによって決定されることを特徴とする請求項
1に記載の光反射微細構造。
【請求項4】
f≦2h、且つtanα≦d/2h-d/2fであるとき、
を満たし、
f≦2h、且つtanα≧d/2h-d/2fであるとき、
を満たし、
f≦2hであるとき、
を満たし、
f>2hであるとき、
を満たし、
f>2hであるとき、
を満たすことを特徴とする請求項
3に記載の光反射微細構造。
ただし、
α:前記透明構造に進入する投影光の入射角度、
β:前記透明構造から出射する投影光の第1最大出射角、
γ:前記透明構造から出射する投影光の第2最大出射角、
前記第1最大出射角及び前記第2最大出射角:前記光反射微細構造の法線両側にそれぞれ位置する最大出射角、
d:前記第1部の天面の辺長
である。
【請求項5】
前記反射層の所在する平面と前記第1部の天面の所在する平面とは、平行し、または、互いに一定の夾角を有することを特徴とする請求項
1に記載の光反射微細構造。
【請求項6】
前記光吸収構造の材質は、色付きシリコンゴム、又はカーボン粉末がドーピングされた透明材料であることを特徴とする請求項1に記載の光反射微細構造。
【請求項7】
前記反射層は、金属層であることを特徴とする請求項1に記載の光反射微細構造。
【請求項8】
投影スクリーンであって、
前記投影スクリーンの表面に複数の光反射微細構造が設けられ、前記光反射微細構造が請求項1~
7の何れか一項に記載の光反射微細構造であることを特徴とする投影スクリーン。
【請求項9】
前記複数の光反射微細構造は、マトリクス配列の方式で前記投影スクリーンの表面に配置されていることを特徴とする請求項
8に記載の投影スクリーン。
【請求項10】
投影機器と、前記投影機器の投影光路に設けられる投影スクリーンとを備え、前記投影スクリーンが請求項
8又は
9に記載の投影スクリーンであることを特徴とする投影システム。
【請求項11】
前記投影スクリーンの異なる位置での光反射微細構造の反射層の所在する平面と前記投影スクリーンの所在する平面との夾角は、異なることを特徴とする請求項
10に記載の投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影技術分野に関し、より具体的に、光反射微細構造、投影スクリーン及び投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
投影システムでは、視聴者の位置が相対的に固定であるため、投影システムの効率が向上して視聴者から見るスクリーンにおける画像の輝度が高められるように、投影システムからスクリーンに投写する画像の投影光が視聴者領域のみへ反射されて他の無効領域へ反射されないことは、人々に望まれている。また、投影システムのコントラストが高められるように、スクリーンにおいて投影システム画像によって反射された反射光ではなく、迷光によって反射された反射光を視聴者に見られるチャンスが減少することは、人々に望まれている。
【0003】
従来技術では、スクリーンの表面に微細構造を追加する方式で上記2点の要求を満たすものが知られている。しかし、これらの微細構造は、何れも物理(例えば、ショットピーニング)又は化学(例えば、腐食)的な方法でスクリーンの表面にランダムな微細構造を形成し、特定の制御方法により、統計上で出射光に一定の出射角度を持たせるものである。当該微細構造によって迷光が視聴者領域に出射しないように制御できないため、投影スクリーンのコントラストは、低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明は、微細構造によって迷光が視聴者領域に出射しないように制御できないため、投影スクリーンのコントラストが低下してしまうという従来の問題を解決するために、光反射微細構造、投影スクリーン及び投影システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を果たすべく、本発明は、以下の解決手段を講じる。
光反射微細構造は、提供され、
入光面、光反射面、および、前記入光面と光反射面とを接続する吸光面を有する透明構造と、
前記吸光面に位置する光吸収構造と、
前記光反射面に位置する反射層と、を備え、
前記透明構造は、所定角度で前記入光面から入射した投影光を前記反射層へ屈折させ、他の角度で前記入光面から入射した迷光を前記光吸収構造へ屈折させ、
前記反射層は、前記投影光が前記透明構造による2回目の屈折を経た後で一定の角度で前記入光面から出射するように、前記投影光を反射し、
前記光吸収構造は、前記迷光を吸収する。
【0006】
好ましくは、前記透明構造は、第1部と、前記第1部の頂部に位置する第2部とを備え、
前記第1部は、断面が逆立ちした台形である構造をなし、前記第2部は、底面が平面、天面が曲面である構造をなし、且つ、前記第2部の天面が前記透明構造の前記入光面であり、前記第1部の底面が前記透明構造の前記光反射面であり、前記第1部の側面が前記透明構造の前記吸光面である。
【0007】
好ましくは、前記曲面は、柱状、円弧状又は球状の曲面である。
【0008】
好ましくは、前記透明構造による屈折を経た後で一定の角度で前記入光面から出射する投影光の出射角度は、前記第2部の天面の焦点距離と、前記第1部の天面と底面の間の距離と、前記第1部の天面の辺長とによって決定される。
【0009】
好ましくは、
f≦2h、且つtanα≦d/2h-d/2fであるとき、
を満たし、
f≦2h、且つtanα≧d/2h-d/2fであるとき、
を満たし、
f≦2hであるとき、
を満たし、
f>2hであるとき、
を満たし、
f>2hであるとき、
を満たす。
ただし、αは、前記透明構造に進入する投影光の入射角度であり、βは、前記透明構造から出射する投影光の第1最大出射角であり、γは、前記透明構造から出射する投影光の第2最大出射角であり、前記第1最大出射角及び前記第2最大出射角は、前記光反射微細構造の法線両側にそれぞれ位置する最大出射角であり、dは、前記第1部の天面の辺長であり、hは、前記第1部の天面と底面の間の距離であり、fは、前記第2部の天面の焦点距離である。
【0010】
好ましくは、前記反射層の所在する平面と前記第1部の天面の所在する平面とは、平行し、または、互いに一定の夾角を有する。
【0011】
好ましくは、前記光吸収構造の材質は、色付きシリコンゴム、又はカーボン粉末がドーピングされた透明材料である。
【0012】
好ましくは、前記反射層は、金属層である。
【0013】
投影スクリーンは、提供され、前記投影スクリーンの表面に複数の光反射微細構造が設けられ、前記光反射微細構造が、上記何れか一項に記載の光反射微細構造である。
【0014】
好ましくは、前記複数の光反射微細構造は、マトリクス配列の方式で前記投影スクリーンの表面に配置されている。
【0015】
投影システムは、提供され、投影機器と、前記投影機器の投影光路に設けられる投影スクリーンとを備え、前記投影スクリーンが上記何れか一項に記載の投影スクリーンである。
【0016】
好ましくは、前記投影スクリーンの異なる位置での光反射微細構造の反射層の所在する平面と前記投影スクリーンの所在する平面との夾角は、異なる。
【発明の効果】
【0017】
従来技術よりも、本発明の解決手段は、下記のメリットを有する。
本発明に供される光反射微細構造、投影スクリーン及び投影システムは、光反射微細構造が透明構造、光吸収構造及び反射層を備え、反射層が透明構造によって屈折された投影光を反射可能であり、且つ、投影光が透明構造による2回目の屈折を経た後で一定の角度で出射可能であるため、当該光反射微細構造が適用された投影スクリーンにより、スクリーンに投写した画像の投影光が視聴者領域のみへ反射可能であり、投影スクリーンの輝度及び投影システムの効率が高くなる。また、光吸収構造が透明構造によって屈折された迷光を吸収可能であるため、光反射微細構造による迷光の制御が不可能である従来の問題が解決され、投影スクリーンのコントラストが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例や従来技術における技術をより明瞭で説明するために、実施例や従来技術の記述に必要な図面を以下に簡単に紹介する。明らかに、以下に記述される図面は、単に本発明の幾つかの実施例であり、当業者であれば、進歩性に値する労働をせずにこれらの図面から他の図面を取得可能である。
【0019】
【
図1】本発明の実施例に係る光反射微細構造の断面構造の模式図である。
【
図2】本発明の実施例に係る光反射微細構造の平面視構造の模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係る透明構造の模式図である。
【
図4】本発明の実施例に係る透明構造の光路模式図である。
【
図5】本発明の実施例に係る別の透明構造の光路模式図である。
【
図6】本発明の実施例に係る別の透明構造の模式図である。
【
図7】本発明の実施例に係る投影スクリーンの表面における光反射微細構造の配置の模式図である。
【
図8】本発明の実施例に係る投影システムにおいて投影スクリーン、投影機器及び視聴者領域が水平方向における相対位置の関係図である。
【
図9】本発明の実施例に係る投影システムにおいて投影スクリーン、投影機器及び視聴者領域が鉛直方向における相対位置の関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施例における解決手段について、本発明の実施例における図面、解決手段を組み合わせて明瞭で完全に記述する。明らかに、記述される実施例は、単に本発明の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をせずになしたあらゆる他の実施例も、本発明の保護範囲に含まれる。
【0021】
本発明の実施例によれば、光反射微細構造が提供され、主に投影スクリーンに用いられ、投影スクリーンに投写した投影光の出射角度範囲を制御し、且つ、投影スクリーンに投写した大半の迷光を吸収する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、当該光反射微細構造は、透明構造101、光吸収構造102および反射層103を備える。当該透明構造101は、入光面101a、光反射面101b及び入光面101aと光反射面101bとを接続する吸光面101cを有する。光吸収構造102は、透明構造101の吸光面101cに位置し、反射層103は、透明構造101の光反射面101bに位置する。具体的に、反射層103は、透明構造101の光反射面101bに位置するだけではなく、光吸収構造102の底面にも位置する。
【0023】
透明構造101は、所定角度で入光面101aから入射した投影光λ0をその光反射面101bに位置する反射層103へ屈折させ、他の角度で入射した迷光λ1をその吸光面101cに位置する光吸収構造102へ屈折させる。反射層103は、投影光λ0が透明構造101による2回目の屈折を経た後に一定の角度で入光面101aから出射するように、透明構造101によってそれに屈折された投影光λ0を反射する。つまり、反射層103は、投影光λ0を透明構造101の入光面101aに反射し、投影光λ0は、入光面101aによる2回目の屈折を経た後で一定の角度で出射する。出射光は、例えば、λ2であり、光吸収構造102は、透明構造101によってそれに屈折された迷光λ1を吸収する。
【0024】
投影機器から投影スクリーンまでの距離が一定であるため、投影機器が投影スクリーンに投写した投影光λ0は、平行光であり、且つその入射角度(即ち、所定角度)が一定である。こうして、この入射角度に基づいて、透明構造101の形状、サイズ等を合理的に設計することにより、入射した投影光λ0は、全部屈折して底面の反射層103に集光され、且つ、反射層103による反射及び透明構造101による2回目の屈折を経た後、一定の角度で視聴者領域に出射する。ただし、本発明の実施例における投影光λ0の入射角度とは、入射光線と投影スクリーン平面に垂直な法線との間の夾角を指す。また、投影スクリーンに対して視聴者領域の位置が一定であるため、投影光λ0の視聴者領域に出射する角度範囲も一定である。こうして、この出射角度範囲に応じて透明構造101の形状、サイズ等を調整することにより、光反射微細構造から出射する投影光λ0が全部視聴者領域に投写可能である。
【0025】
本実施例では、
図3に示すように、透明構造101は、第1部1010と、第1部1010の頂部に位置する第2部1011とを備える。第1部1010は、断面が逆立ちした台形である構造をなす。即ち、第1部1010は、断面が台形である構造をなし、その断面図において、第1部1010の天面の辺長dが第1部1010の底面の辺長d
0より大きい。第2部1011の天面は、透明構造101の入光面101aであり、第1部1010の底面は、透明構造101の光反射面101bであり、第1部1010の側面は、透明構造101の吸光面101cである。
【0026】
好ましくは、第1部1010は、1つの正四角形の底面、1つの正四角形の天面及び4つの側面を含む。ただし、第1部1010の底面と天面が平行する。それらの中心の垂直線が同一の直線であり、且つ4つの側面の鉛直面に対する傾斜角度が何れもθである。第2部1011は、底面が平面、天面が曲面である構造をなす。当該曲面の曲率中心は、それの下方に位置する。つまり、当該曲面は、第1部1010から離間する方向へ突起する。好ましくは、第2部1011は、1つの平面が1つの球体のほんの一部を切り出して形成された球状構造である。つまり、第2部1011の天面は、球状の曲面であってもよい。無論、他の実施例では、第2部1011の天面は、柱状又は円弧状曲面等であってもよい。第2部1011の天面が曲面であるため、当該透明構造101は、入射した投影光λ0を良好に反射層103に集光可能である。
【0027】
透明構造101に入射した投影光λ0の角度をα、透明構造101の出射光の第1最大出射角をβ、第2最大出射角をγ、透明構造101の側面の傾斜角度(即ち、側面と垂直面との夾角)をθ、第2部1011の曲面焦点距離をfとし、入射した投影光λ0が当該曲面を通って合焦された虚像Aが焦平面に位置し、反射層103によって反射された投影光が点Bに集光され、点Bに集光された光線が第2部1011の曲面を通って外方へ出射する光線の逆方向延長線は、虚像Cに集まる。ただし、第1最大出射角β及び第2最大出射角γは、それぞれ光反射微細構造法線(即ち、投影スクリーン平面法線)両側に位置する最大出射角である。つまり、第1最大出射角βに対応する出射光線及び第2最大出射角γに対応する出射光線は、それぞれ投影スクリーン平面法線の両側に位置する。
【0028】
光線結像の対称原理によれば、
図4に示す光路図が得られる。
【0029】
図4に示すように、
h<f≦2h、且つ光線1が
第2部1011の縁部Lから入射
して、
第2部1011の縁部ではない部分から光線1’として出射する場合、即ち、
h<f≦2h、且つtanα≦d/2h-d/2fである時、例えば、光線1’が出射し、その際、tanγ=X/Yを満たす。ただし、X=EF、Y=CFである。
【0030】
凸レンズ結像条件式1/u+1/v=1/fによれば、1/(-Y)+1/(2h-f)=1/fが得られる。これで、Y=(2h-f)*f/(2f-2h)が分かる。
【0031】
結像原理から分かるように、虚像Cと投影光集光点Bの連結線とO軸との交点が必然として第2部1011の天面の辺長の中心点に位置する。△EBD∽△ELKから、(EO-f*tanα)/(2h-f)=(EO+d/2)/2hが分かる。△ELK∽△BLIから、(EO+d/2)/2h=(f*tanα+d/2)/fが分かる。そのため、(EO-f*tanα)/(2h-f)=(f*tanα+d/2)/fから、EO=2h*tanα+hd/f-d/2が得られる。同様に、△CLN∽△BMNから、CO/Y=f*tanα/(2h-f)が分かり、Y=(2h-f)*f/(2f-2h)を上式に代入すると、CO=f
2*tanα/(2f-2h)が得られる。
それをもとに、tanγ=X/Y=(EO-CO)/Y=
。
【0032】
h<f≦2h、且つ光線1が
第2部1011の縁部Lから入射して
、第2部1011の縁部Rから
光線1’’として出射する
場合、即ち、
h<f≦2h、且つtanα≧d/2h-d/2fである時、例えば、光線1’’が出射する。その際、EO=d/2、tanγ=X/Y=〔d/2-f
2*tanα/(2f-2h)〕/〔(2f-f)f/(2f-2h)〕=
。
【0033】
h<f≦2h、且つ光線2が
第2部1011の縁部Qから入射
して、光軸O及び光軸G軸の間のみから光線2’として出射する場合、C点及びB点の位置が既に特定されたため、光線2の出射光線2’が光軸O及び光軸G軸の間のみから出射し、
図4に示すように、光線2’が出射する。その際、△PRQ∽△PFCから、(PN+d/2)/2h=(PN+f*tanα)/(2h-f)が分かり、△PRQ∽△BSQから、(PN+d/2)/2h=(d/2-f*tanα)/fが分かる。こうして、(PN+d/2)/2h=(PN+f*tanα)/(2h-f)=(d/2-f*tanα)/fから、PN=hd/f-2h*tanα-d/2が得られる。
CO=f
2*tanα/(2f-2h)、Y=(2h-f)*f/(2f-2h)であるため、tanβ=(PN+CO)/Y=
。
【0034】
ただし、COとは、C点から光軸Oまでの垂直距離を指し、EOとは、E点から光軸Oまでの垂直距離を指す。
【0035】
f>2hである時、
図5に示すように、h
γ=FG、h
β=DGとし、
△BFI∽△BLKから分かるように、
(BJ-IJ)/FI=BK/LK、BJ=f*tanα、即ち、(f*tanα-h
γ)/(f-2h)=(d/2+f*tanα)/f、以下の条件式(1)が得られる。
h
γ=(hd+2fhtanα-df/2)f
2 式(1)
【0036】
また、△BDE∽△BNMから、以下の条件式が得られる。
DE/BE=NM/BM=(DG-EG)/BE=(NO-BJ)/BM、EG=BJ=f*tanα、即ち、(hβ-f*tanα)/(f-2h)=(d/2-f*tanα)/f、以下の条件式(2)が得られる。
hβ=d/2-hd/f+2h tanα式(2)
【0037】
同様に、凸レンズの結像式1/u+1/v=1/fから、1/Y+1/(2h-f)=1/fが得られるため、Y=(f-2h)*f/(2f-2h)が分かる。ただし、Y=CO 式(3)
【0038】
光軸のG点から出射する光線GCが必然としてB、C点を通過することをもとに、相似三角形定理に基づき、CP/PG=BJ/JG、及びCP/Y=f*tanα/(f-2h)が得られるため、
CP=f2*tanα/(2f-2h)=QG 式(4)
【0039】
tanβ=QD/CQ、即ち、tanβ=(CP-DG)/Y、また、h
β=DG、式(2)、(3)及び(4)を代入すると、tanβ=((f
2*tanα/2f-2h)-(d/2-hd/f+2h tanα))/(f-2h)*f/(2f-2h)が得られる。
は、計算により得られる。
【0040】
同様な理由で、
tanγ=(QG-FG)/CQ=(CP-FG)/CQ、またh
γ=FG、式(1)、(3)及び(4)を代入すると、
tanγ=((f
2*tanα/2f-2h)-(hd+2fhtanα-df/2)f
2)/(f-2h)*f/(2f-2h)が得られる。
は、計算により得られる。
【0041】
ただし、角度α、β、γは、投影機器、投影スクリーン及び視聴者領域の相対関係によって特定され、dは、第1部1010の天面の辺長のサイズであり、hは、第1部1010の天面と底面の間の距離である。
【0042】
これから分かるように、透明構造101によって屈折された後で一定の角度で出射する投影光の出射角度は、第2部1011の天面の焦点距離f、第1部1010の天面と底面の間の距離h及び第1部1010の天面の辺長dによって決定される。また、透明構造101の側面傾斜角度θは、実際の需要に応じて設定可能である。こうして、所定角度で入射した投影光は、反射層103に屈折し、他の角度で入射した迷光は、光吸収構造102に屈折する。
【0043】
投影光λ
0に基本的に損失が発生しない場合、角βの角度値が一般的に小さいが、実際の応用において角βの角度値を大きく要求される場合もあるため、その際、実際に出射する光線の角γが実際の需要を遥かに超えて、全投影システムの投影効率の低下を引き起こす。これに鑑みて、本発明の1つの実施例では、第1部1010の底面の所在する平面は、第1部1010の天面の所在する平面に対して一定の夾角を有するように構成される。こうして、第1部1010の底面上の反射層103の所在する平面と第1部1010の天面の所在する平面との間は、一定の夾角をなす。
図6に示すように、反射層103の所在する平面と第1部1010の天面の所在する平面との間の夾角がФである。これにより、夾角Фを制御することにより、出射光の角度β及びγを制御可能である。
【0044】
さらに、透明構造101の側面傾斜角度θ、第1部1010の天面と底面の間の距離h、第1部1010の天面の辺長d及び反射層103の傾斜角度Фを制御することにより、より大きな設計出射角β及びγの自由度が取得可能である。
【0045】
更に説明すべきことは、本実施例における光吸収構造102の材質が色付きシリコンゴム、又はカーボン粉末がドーピングされた透明材料である。無論、本発明は、これに限定されない。他の実施例では、光吸収構造102は、他の吸光材料であってもよい。また、本実施例における反射層103は、金属層、例えば、アルミニウム、銀等である。無論、本発明は、これに限定されない。他の実施例では、反射層103の材質は、他の反射率の高い反射材料であってもよい。
【0046】
本実施例に供される光反射微細構造は、透明構造、光吸収構造及び反射層を備え、反射層が透明構造によって屈折された投影光を反射可能であり、且つ、投影光が透明構造による2回目の屈折を経た後で一定の角度で出射可能であるため、当該光反射微細構造が適用された投影スクリーンにより、スクリーンに投写した画像の投影光が視聴者領域のみへ反射可能であり、投影スクリーンの輝度及び投影システムの効率が高くなる。また、光吸収構造が透明構造によって屈折された迷光を吸収可能であるため、光反射微細構造による迷光の制御が不可能である従来の問題が解決され、投影スクリーンのコントラストが向上する。
【0047】
本発明の実施例は、投影スクリーンを更に提供する。当該投影スクリーンは、従来の投影スクリーンの構造とは大体同じであり、相違点が、本実施例における投影スクリーンの表面に複数の光反射微細構造が設けられ、当該光反射微細構造が上記何れか1つの実施例に係る光反射微細構造であることにあり、ここで繰り返し説明しない。
【0048】
ただし、複数の光反射微細構造は、規則的に投影スクリーンの表面に配列されてもよく、不規則的に投影スクリーンの表面に配列されてもよい。好ましくは、
図7に示すように、複数の光反射微細構造10は、マトリクス配列の方式で当該投影スクリーンの表面に配置されている。
【0049】
平行する投影光が従来の普通スクリーンに入射したときに乱反射され、反射光が異なる角度で散乱して出射する。視聴者は、スクリーンでの散乱光を観察することで投影画像を鑑賞する。平行する投影光は、本実施例における投影スクリーンに入射した後、光反射微細構造10によって集光され、反射される。つまり、光反射微細構造10は、投影スクリーンの出射光を一定の角度内で規定し、一定の角度の入射光の反射光の固定角度範囲内での利得を実現する。
【0050】
単一の光反射微細構造10の出射光の逆方向の延長線が一点に集まる(即ち、一点の虚像を呈する)ため、視聴者にとって、見られる画像が1つの平面の反射光ではなく、投影スクリーンにおける1つ1つの発光点である。投影スクリーンの表面の光反射微細構造10が十分に小さいとき、発光点のサイズ、発光点と発光点のピッチも十分に小さくなる。これらのサイズが投影スクリーンで呈する角度は、人の目の最小識別角を遥かに下回る時、従来の普通スクリーン及び本実施例における投影スクリーンで呈する像に対して、人の目の視覚官能体験に差別がない。
【0051】
本実施例に供される投影スクリーンは、その表面の光反射微細構造が透明構造、光吸収構造及び反射層を備え、反射層が透明構造によって屈折された投影光を反射可能であり、且つ、投影光が透明構造による2回目の屈折を経た後で一定の角度で出射可能であるため、当該光反射微細構造が適用された投影スクリーンにより、スクリーンに投写した画像の投影光が視聴者領域のみへ反射可能であり、投影スクリーンの輝度及び投影システムの効率が高くなる。また、光吸収構造が透明構造によって屈折された迷光を吸収可能であるため、光反射微細構造による迷光の制御が不可能である従来の問題が解決され、投影スクリーンのコントラストが向上する。
【0052】
本発明の実施例は、投影システムを更に提供する。当該投影システムは、投影機器と、当該投影機器の光路に設けられる投影スクリーンとを備え、当該投影スクリーンが上記実施例に係る投影スクリーンである。本実施例における投影システムは、超短焦点投影システムであってもよく、他の投影システムであってもよいため、本発明においてそれが限定されてない。
【0053】
通常の場合、投影スクリーンと投影機器及び視聴者領域との相対位置関係は、
図8及び
図9に示される。
図8は、投影スクリーン60と投影機器61及び視聴者領域62との水平方向における相対位置関係を示し、
図9は、投影スクリーン60と投影機器61及び視聴者領域62との鉛直方向における相対位置関係を示す。
【0054】
図8に示すように、投影スクリーン60は、投影機器61に対して左右対称し、視聴者領域62も投影機器61に対して左右対称する。つまり、投影機器61は、投影スクリーン60及び視聴者領域62の中心線に位置する。投影スクリーン60の最大出射角が投影スクリーン60の一側のエッジから対応する視聴者領域62の一側の第1行第1位置までの角度ψであるため、本実施例では、角度ψを最大β角として光反射微細構造のサイズ等を設計し、同じ光反射微細構造を投影スクリーン60の表面へ遍在することができる。
【0055】
さらに、出射角度範囲を大きくするために、光反射微細構造の反射層が傾斜に設計されてもよい。即ち、
図6に示す投影スクリーンとは一定の夾角をなす反射層となる。また、反射層の傾斜角度は、投影スクリーン60の位置の相違とともに異なってもよい。即ち、投影スクリーン60の異なる位置での光反射微細構造の反射層の所在する平面と投影スクリーン60の所在する平面との夾角は、異なる。これにより、各光反射微細構造の出射角度は、所望角度にできるだけ近接するように制御可能であり、投影システムの効率が高くなる。
【0056】
本実施例の投影システム、投影スクリーンの表面の光反射微細構造は、透明構造、光吸収構造及び反射層を備え、反射層が透明構造によって屈折された投影光を反射可能であり、且つ、投影光が透明構造による2回目の屈折を経た後で一定の角度で出射可能であるため、当該光反射微細構造が適用された投影スクリーンにより、スクリーンに投写した画像の投影光が視聴者領域のみへ反射可能であり、投影スクリーンの輝度及び投影システムの効率が高くなる。また、光吸収構造が透明構造によって屈折された迷光を吸収可能であるため、光反射微細構造による迷光の制御が不可能である従来の問題が解決され、投影スクリーンのコントラストが向上する。
【0057】
本明細書における各実施例が漸進的に記述され、各実施例の説明は、他の実施例との相違点が重点に置かれ、各実施例間の同じや類似する部分は、互いに参照すればよい。開示される実施例の上記説明により、当業者は、本発明を実施や使用可能である。これらの実施例の複数種の変更が当業者にとって自明なことであり、本明細書で定義される一般的な原理は、本発明の精神又は範囲を逸脱しない限り、他の実施例で実現可能である。したがって、本発明は、本明細書に示されるそれらの実施例に限定されず、本明細書に開示される原理及び新規特点と一致する一番広い範囲に合致する。