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特許7079771軟性点特徴部を使用して呼吸周期を予測し、端部位置合わせを改善する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】軟性点特徴部を使用して呼吸周期を予測し、端部位置合わせを改善する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20220526BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20220526BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220526BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220526BHJP
   A61B 1/267 20060101ALI20220526BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20220526BHJP
   A61B 17/295 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A61B6/03 370B
A61B6/03 377
A61B6/12
A61B6/03 360G
A61B6/03 360D
A61B1/00 552
A61B1/045 623
A61B1/267
A61B1/018 515
A61B17/295
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019508926
(86)(22)【出願日】2017-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-31
(86)【国際出願番号】 US2017045110
(87)【国際公開番号】W WO2018034845
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】15/238,905
(32)【優先日】2016-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】クリムスキー, ウィリアム エス.
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0182295(US,A1)
【文献】特開2008-194475(JP,A)
【文献】特表2005-514081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14、1/00-1/32、13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気道を前記気道のモデルに位置合わせするためのシステムであって、前記システムは、
前記気道内でナビゲートされることが可能である位置センサと、
前記位置センサが前記気道内でナビゲートされる際、前記位置センサの位置を検出するように構成された電磁場発生器と、
患者の胸部の外部の移動を視認および記録するように構成された光学カメラと、
局所的な位置合わせのためのデータ点として機能する軟性点内の前記位置センサの画像を表示することが可能なディスプレイと、
プロセッサとメモリとを含むコンピューティングデバイスであって、前記メモリは、命令を記憶する、コンピューティングデバイスと
を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記気道の画像に基づいて、前記患者の気道のモデルを生成し、前記モデル内で標的を決定することと、
前記標的および位置合わせ点への経路を生成することと、
前記位置センサが前記位置合わせ点への前記経路に沿ってナビゲートされる間に、前記位置センサの位置を追跡することと、
前記位置センサの追跡された位置が前記位置合わせ点に到達することに基づいて、前記気道のモデルを前記気道に位置合わせすることと、
前記気道内の第1の軟性点への第2の経路を生成することであって、前記第1の軟性点は、乳頭線、食道、肋骨の輪郭、中間幹分岐部から選択され、前記軟性点は、局所的な位置合わせのためのデータ点として機能する、ことと、
前記位置センサが、前記気道内の前記第1の軟性点への気道内で前記第2の経路に沿ってナビゲートされている間に、前記位置センサの位置を追跡することと、
前記センサが前記軟性点に位置している間に、前記気道内の前記位置センサの前記追跡された位置と前記患者の胸部の外部の移動とを比較することと、
呼吸周期にわたる患者の胸部の移動を撮像した前記光学カメラからのサンプルに基づいて、患者の1回換気量呼吸運動データを生成することと、
前記患者の1回換気量呼吸運動データを呼吸周期にわたる位置センサの移動に関連付けることと、
前記位置センサが前記第1の軟性点に近接しているか否かを決定することであって、前記位置センサが前記第1の軟性点に近接していると決定される場合には、前記位置センサの表象と、前記位置センサが位置する前記気道の表象と、前記位置センサを前記第1の軟性点へとナビゲートするためのガイダンスとが、前記ディスプレイ上に表示される、または、前記位置センサが前記第1の軟性点に近接していると決定される場合には、前記コンピューティングデバイスは、前記第1の軟性点における前記位置センサの前記追跡された位置に基づいて、かつ、前記患者の1回換気量呼吸運動データを呼吸周期にわたる位置センサの移動に関連付けることに基づいて、前記気道のモデルの前記気道への位置合わせを更新する、ことと、
前記位置合わせの更新が完了したか否かを決定することと、
前記位置合わせの更新が完了していないと決定される場合には、前記位置センサを次の軟性点へとナビゲートするためのガイダンスを表示することと
を前記コンピューティングデバイスに行わせる、システム。
【請求項2】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記患者上の既知の静的点を識別することであって、前記静的点は、患者の呼吸周期の間に最小限に移動する点である、ことと、
前記軟性点の位置と前記静的点とを比較することと
を前記コンピューティングデバイスにさらに行わせる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、
前記軟性点の前記追跡された位置と前記静的点との比較に基づいて、前記モデルの前記患者の気道への位置合わせを更新することを前記コンピューティングデバイスにさらに行わせる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記静的点は、椎体、気管分岐部、胸骨、甲状軟骨、肋骨、または、食道である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者の気道内の前記位置センサの比較された追跡位置および前記患者の胸部の外部の移動は、患者の特性に従って予測モデルを生成するようにデータベースに保存されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者の身体の関心領域による移動をモデル化することに関し、特に、呼吸周期にわたって、患者の実際の特徴部と、関心領域の3次元モデルを自動的に位置合わせ及び更新するためのデバイス、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の気道を検査するための共通のデバイスは、気管支鏡である。典型的には、気管支鏡は、患者の鼻又は口を通って患者の気道に挿入され、患者の肺の中に延在することができる。典型的な気管支鏡は、気管支鏡の先端より遠位の領域を照射する照明アセンブリを有する細長い可撓管と、気管支鏡の先端から映像を提供するための撮像アセンブリと、例えば、生検器具等の診断器具、治療器具などの器具を挿入可能なワーキングチャネルと、を備える。
【0003】
しかしながら、気管支鏡は、これらのサイズに起因して、気道を通って前進することができる距離が限定されている。気管支鏡が大き過ぎて、肺の深い標的位置に到達することができない場合、臨床医は、X線透視法などの特定のリアルタイム撮像モダリティを利用することができる。X線透視画像は、有用ではあるが、中実組織から管腔通路を区別することが困難である場合が多いため、ナビゲーションに関して特定の短所をもたらしている。更に、X線透視装置によって生成される画像は、2次元であるが、患者の気道をナビゲートすることは、3次元の操作能力を必要とする。
【0004】
これらの問題に対処するために、典型的には、一連のコンピュータ断層撮影(CT)画像から気道又は他の管腔ネットワークの三次元モデルを発現させることを可能にするシステムが開発されてきた。1つのそのようなシステムは、Medtronic PLCによって現在販売されている、ILOGIC(登録商標)ELECTROMAGNETIC NAVIGATION BRONCHOSCOPY(登録商標)(ENB(商標))システムの一部として開発されている。そのようなシステムの詳細は、全内容が参照により本明細書に援用されている、Gilboaによって2004年3月29日に出願された、発明の名称が「ENDOSCOPE STRUCTURES AND TECHNIQUES FOR NAVIGATING TO A TARGET IN BRANCHED STRUCTURE」である、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第7,233,820号及びBrownによる、発明の名称が「SYSTEM AND METHOD FOR NAVIGATING WITHIN THE LUNG」である、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許出願第13/836,203号に記載されている。
【0005】
米国特許第7,233,820号に記載されているようなシステムは、非常に有用であるが、そのようなシステムに対する改良及び補強の開発に対するニーズが常に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第7,233,820号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
関心領域を、関心領域の画像に位置合わせする方法が、本開示に従って提供される。本開示の態様において、方法は、関心領域の画像に基づいて、関心領域のモデルを生成することと、関心領域における軟性点(soft point)の位置を判定することと、位置センサが関心領域内でナビゲートされる間に、位置センサの位置を追跡することと、関心領域内の位置センサの追跡された位置を比較することと、位置センサを軟性点にナビゲートすることと、位置センサが軟性点に位置していることを確認することと、軟性点にある位置センサの追跡された位置に基づいて、モデルの、関心領域との位置合わせを更新することと、を含む。
【0008】
本開示の更なる態様では、方法は、関心領域内で位置センサをナビゲートするためのガイダンスを表示することを更に含む。
【0009】
本開示の追加の態様では、方法は、関心領域内で位置センサをナビゲートするためのガイダンスを表示することを更に含む。位置センサは、磁場を感知して、感知された磁場に反応して位置信号を生成するように構成された磁場センサを含む。
【0010】
本開示の別の態様では、位置センサが軟性点に位置していることを確認することは、CT、超音波又は弾性撮像法を用いて軟性点を撮像することを含む。
【0011】
本開示の更に別の態様では、方法は、患者の静的点(static point)を識別することと、軟性点の位置と患者上の静的点とを比較することと、追跡された軟性点の位置と静的点との比較に基づいて、モデルの、関心領域との位置合わせを更新することと、を更に含む。
【0012】
本開示の更なる態様では、静的点は、椎体、気管分岐部(main carina)、胸骨、甲状軟骨、肋骨又は食道である。
【0013】
本開示の別の態様では、関心領域は、患者の気道であり、モデルは、患者の気道のモデルである。
【0014】
本開示の更に別の態様では、方法は、患者の1回換気量呼吸運動データを生成することと、呼吸周期にわたる患者の1回換気量呼吸運動データを位置センサの動作と比較することと、呼吸周期にわたる患者の1回換気量呼吸運動データと位置センサとの比較に基づいて、モデルの、関心領域との位置合わせを更新して、センサ又はツールの位置合わせ及び位置特定並びに関心領域に対する位置を更に改善することと、を更に含む。
【0015】
本開示の更なる態様では、方法は、第2の位置センサを患者の胸部に配置し、第2のセンサの位置を経時的に追跡することを更に含む。
【0016】
本開示の別の態様では、方法は、患者の胸部を患者の乳頭線とほぼ平行な位置から撮像し、経時的に患者の胸部の縁部の位置を監視することを更に含む。
【0017】
本開示の別の態様において、位置センサは、管腔ネットワークを通ってナビゲートされる。
【0018】
本開示の更なる態様において、位置センサは、管腔ネットワークを通ってナビゲートされた後、管腔ネットワーク内の壁を通って更にナビゲートされる。
【0019】
本開示の更に別の態様では、位置センサは、軟性点に対して、関心領域内へかつ関心領域を通って経皮的にナビゲートされる。
【0020】
関心領域を、関心領域のモデルに対して位置合わせするためのシステムが本開示に従って提供される。本開示の一態様では、システムは、患者の体内の関心領域内でナビゲートされることが可能である位置センサと、位置センサが関心領域内でナビゲートされる際、位置センサの位置を検出するように構成された電磁場発生器と、外部患者動作を判定するように構成されたモニタと、軟性点内の位置センサの画像を表示することが可能なディスプレイと、プロセッサ及びメモリを含むコンピューティングデバイスと、を備える。メモリは、命令を記憶し、命令は、プロセッサによって実行されると、コンピューティングデバイスに、関心領域の画像に基づいて、関心領域のモデルを生成することと、関心領域のモデル内の軟性点を識別することと、関心領域内で位置センサをナビゲートするためのガイダンスを表示することと、位置センサが関心領域内でナビゲートされている間に、位置センサの位置を追跡することと、位置センサが軟性点に位置している間に、関心領域内の位置センサの追跡された位置と外部患者動作とを比較することと、位置センサが軟性点にある間に、位置センサの追跡された位置と、外部患者動作との比較に基づいて、モデルの、関心領域との位置合わせを更新することと、を行わせる。
【0021】
本開示の更なる態様では、関心領域は、患者の気道であり、モデルは、患者の気道のモデルである。
【0022】
本開示の更なる態様では、命令は、プロセッサによって実行されると、コンピューティングデバイスに、患者上の既知の静的点を識別することと、患者の胸部についての既知の軟性点の位置を既知の静的点と比較することと、軟性点の追跡された位置の、静的点に対する比較に基づいて、モデルの、関心領域との位置合わせを更新することと、を更に行わせる。
【0023】
本開示の別の態様では、静的点は、椎体、気管分岐部、肋骨、胸骨、甲状腺軟骨又は食道上にある。
【0024】
本開示の更に別の態様において、関心領域内の位置センサの比較された追跡位置及び外部患者動作は、データベースに保存されて、患者の特性に従って予測モデルを生成する。
【0025】
本開示の上記の態様及び実施形態のうちの任意のものを、本開示の範囲から逸脱することなく組み合わせ得る。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
関心領域を、前記関心領域のモデルに位置合わせするためのシステムであって、前記システムは、
患者の体内の前記関心領域内でナビゲートされることが可能である位置センサと、
前記位置センサが前記関心領域内でナビゲートされる際、前記位置センサの位置を検出するように構成された電磁場発生器と、
外部患者動作を判定するように構成されたモニタと、
軟性点内の前記位置センサの画像を表示することが可能なディスプレイと、
プロセッサと、命令を記憶するメモリと、を含む、コンピューティングデバイスであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
前記関心領域の画像に基づいて、前記関心領域のモデルを生成することと、
前記関心領域の前記モデル内の軟性点を識別することと、
前記関心領域内で前記位置センサをナビゲートするためのガイダンスを表示することと、
前記位置センサが前記関心領域内でナビゲートされている間に、前記位置センサの前記位置を追跡することと、
前記センサが前記軟性点に位置している間に、前記関心領域内の前記位置センサの前記追跡された位置と前記外部患者動作とを比較することと、
前記位置センサが前記軟性点にある間に、前記位置センサの前記追跡された位置と、前記外部患者動作との前記比較に基づいて、前記モデルの、前記関心領域との前記位置合わせを更新することと、を行わせる、コンピューティングデバイスと、を備える、システム。
(項目2)
前記関心領域は、患者の気道である、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記モデルは、前記患者の前記気道のモデルである、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
前記患者上の既知の静的点を識別することと、
前記軟性点の前記位置を、前記静的点と比較することと、を更に行わせる、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスに、
前記軟性点の前記追跡された位置の、前記静的点との前記比較に基づいて、前記モデルの、前記関心領域との前記位置合わせを更新することを更に行わせる、項目4に記載のシステム。
(項目6)
前記静的点は、椎体、気管分岐部、胸骨、甲状軟骨、肋骨又は食道である、項目4に記載のシステム。
(項目7)
前記関心領域内の前記位置センサの比較された追跡位置及び前記外部患者動作は、データベースに保存されて、患者の特性に従って予測モデルを生成する、項目1に記載のシステム。
【0026】
本開示の様々な態様及び機構を、図面を参照して本明細書で以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示に係る電磁ナビゲーションシステムの斜視図である。
図2】本開示の実施形態に従って提供される、軟性点を使用して、管腔ネットワークの、管腔ネットワークのモデルへの位置合わせを改善する方法を示すフロー図である。
図3】本開示の実施形態に従って提供される、軟性点及び1回換気量の算出を使用して、管腔ネットワークの、管腔ネットワークのモデルへの位置合わせを改善する方法を示すフロー図である。
図4】本開示の実施形態に従って提供される、軟性点及び静的点を使用して、管腔ネットワークの、管腔ネットワークのモデルへの位置合わせを改善する方法を示す更なるフロー図である。
図5A】本開示の実施形態に係る標的管理モードの図である。
図5B】aの後の本開示の実施形態に係る標的管理モードの後続図である。
図6】中心ナビゲーションタブを更に提示する、標的に対してナビゲーションを行うためのビューを提示する、図7のワークステーションのユーザインタフェースの図である。
図7図1のシステムと共に使用するために構成されたワークステーションの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示は、初期位置合わせを改善し、患者の呼吸による患者の気道及び肺の動きをより良く描写するために、気管支樹の局所的な位置合わせを行うためのデバイス、システム、及び方法に関する。本開示の局所的な位置合わせ方法は、センサを標的軟性点にナビゲートすることと、撮像システムでセンサの位置を確認することと、呼吸周期を含む期間などの期間にわたってセンサの位置を追跡するための追跡プロトコルを開始することと、を含む。経時的なセンサの追跡された位置により、以前撮像された、気管支樹の以前のモデルの位置合わせに対する様々な点の局所的な位置合わせが可能になる。
【0029】
図1を参照すると、電磁ナビゲーション(EMN)システム10が、本開示に従って提供される。とりわけ、EMNシステム10を使用して行われ得るタスクは、標的組織への経路を計画することと、標的組織にカテーテルアセンブリをナビゲートすることと、生検ツールを使用して標的組織から組織サンプルを採取するために、切除カテーテルなどの生検ツール又は治療ツールを標的組織へナビゲートすることと、組織サンプルが採取された位置をデジタル的に標識することと、1つ以上のエコー源性マーカーを標的に又はその周囲に配置することと、である。
【0030】
EMNシステム10は、患者を支持するように構成されている手術台40と、患者の口及び/又は鼻を介して患者の気道の中に挿入するように構成されている気管支鏡50と、気管支鏡50から受信したビデオ画像を表示するために気管支鏡50に連結された監視機器60と、追跡モジュール72、複数の基準センサ74、及び電磁場発生器76を含む追跡システム70と、経路計画、標的組織の特定、標的組織へのナビゲーション、及び生検位置のデジタル的な標識を容易にするために使用されるソフトウェア及び/又はハードウェアを含むワークステーション80と、を概ね備える。
【0031】
図1はまた、2種類のカテーテルガイドアセンブリ90、100を描写している。カテーテルガイドアセンブリ90、100の両方は、EMNシステム10と共に使用可能であって、いくつかの共通の構成要素を共用している。それぞれのカテーテルガイドアセンブリ90、100は、延在したワーキングチャネル(EWC)96に接続されるハンドル91を含む。EWC96は、気管支鏡50のワーキングチャネルの中に配置するようにサイズ決めされている。動作時、電磁(EM)センサ94を含む位置特定可能ガイド(LG)92が、EMセンサ94がEWC96の遠位先端93を越えて所望の距離だけ延在するように、EWC96の中に挿入され、定位置に係止される。電磁場発生器76によって生成される電磁場内のEMセンサ94の位置、すなわち、EWC96の遠位端の位置を、追跡モジュール72及びワークステーション80によって導出することができる。カテーテルガイドアセンブリ90、100は、異なる動作機構を有するが、それぞれ、回転及び加圧によって操作して、LG92の遠位先端93及びEWC96を操向できるハンドル91を備える。カテーテルガイドアセンブリ90は、現在、Covidien LPによってSUPERDIMENSION(登録商標)Procedure Kitsの名称で市販されている。同様に、カテーテルガイドアセンブリ100は、現在、Covidien LPによってEDGE(商標)Procedure Kitsの名称で販売されている。両キットは、ハンドル91、EWC96及びLG92を含む。カテーテルガイドアセンブリ90、100のより詳細な説明については、その全内容が参照により本明細書に援用されている、Ladtkow et al.による、2013年3月15日に出願され、発明の名称が「MICROWAVE ABLATION CATHETER AND METHOD OF UTILIZING THE SAME」である同一所有者の米国特許出願第13/836,203号を参照されたい。
【0032】
図1に示されるように、患者は、気管支鏡50が患者の口を通って患者の気道の中に挿入された状態で手術台40上に横たえられて示される。気管支鏡50は、照明源と、ビデオ撮像システム(明示的に図示せず)とを含み、気管支鏡50のビデオ撮像システムから受信したビデオ画像を表示するために、監視機器60、例えば、ビデオディスプレイに連結されている。
【0033】
LG92及びEWC96を含むカテーテルガイドアセンブリ90、100は、気管支鏡50のワーキングチャネルを通って患者の気道の中に挿入するように構成される(但し、カテーテルガイドアセンブリ90、100は、代替として、気管支鏡50を伴わずに使用されてもよい)。LG92及びEWC96は、係止機構99を介して互いに対して選択的に係止可能である。例えば、これらの各々の全内容が参照により本明細書に援用されている、GILBOAによって1998年12月14日に出願され、発明の名称が「WIRELESS SIX-DEGREE-OF-FREEDOM LOCATOR」である米国特許第6,188,355号並びにGILBOA ET AL.によって1999年7月7日に出願され、発明の名称が「INTRABODY NAVIGATION SYSTEM FOR MEDICAL APPLICATIONS」である国際公開第2000/10456号及びGILBOA ET AL.によって2001年9月3日に出願され、発明の名称が「OBJECT TRACKING USING A SINGLE SENSOR OR A PAIR OF SENSORS」である同第2001/67035号に開示されるものに類似する、6自由度電磁追跡システム70、又は任意の他の好適な位置計測システムがナビゲーションを行うために利用されるが、他の構成も想定される。追跡システム70は、以下に詳述されるように、カテーテルガイドアセンブリ90、100と共に使用し、EMセンサ94が患者の気道を通ってEWC96と共に移動するに伴い、EMセンサ94の位置を追跡するように構成されている。
【0034】
図1に示されるように、電磁場発生器76は、患者の下に位置付けられている。電磁場発生器76及び複数の基準センサ74は、それぞれの基準センサ74の位置を導出する追跡モジュール72と相互接続されている。基準センサ74のうちの1つ以上は、患者の胸部に取り付けられる。1つ以上の基準センサ74はまた、椎体、気管分岐部、胸骨、甲状腺軟骨、肋骨、食道などの静的点、又は乳頭線、食道、肋骨の輪郭、中間幹分岐部(secondary carina)などの軟性点における位置を含む複数の位置に取り付けられ得る。
基準センサ74の座標は、センサ74によって収集されたデータを使用して、基準の患者座標フレームを計算するアプリケーション81を含むワークステーション80に送信される。
【0035】
LG92の標的へのナビゲーション及び除去に続き、カテーテルガイドアセンブリ90、100の中に挿入可能であるカテーテル生検ツール102もまた図1に示される。生検ツール102を使用して、1つ以上の組織サンプルを標的組織から収集する。以下に詳述されるように、生検ツール102は、生検ツール102の、標的組織までのナビゲーションを容易にするために、追跡システム70に関連して使用することと、組織サンプルを採取するために標的組織に対して生検ツール102が操作されるときに生検ツール102の位置を追跡することと、及び/又は組織サンプルが採取される位置を標識することと、を行うように更に構成される。
【0036】
ナビゲーションは、LG92に含まれているEMセンサ94に関して上で詳述されたが、EMセンサ94はまた、生検ツール102内に埋め込まれるか又は組み込まれてもよく、生検ツール102が、代替として、LG92又はLG92の使用に要求される必須のツール交換を必要とせずに、ナビゲーションのために利用され得ることも想定される。様々な使用可能な生検ツールは、Costello et al.によって、2015年5月21日及び2015年9月24日にそれぞれ出願された、両方とも発明の名称が「DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR NAVIGATING A BIOPSY TOOL TO A TARGET LOCATION AND OBTAINING A TISSUE SAMPLE USING THE SAME」である米国特許出願公開第2015/0141869号及び同第2015/0265257号並びにCostello et al.によって2014年9月30日に出願された、同題を有する国際公開第2015076936号に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書中に援用され、本明細書に記載されたようにEMNシステム10と共に使用可能である。
【0037】
処置の計画中において、ワークステーション80は、患者の気道の3Dモデルを生成及び視認するためのコンピュータ断層撮影(CT)画像データを利用し、3Dモデル上での標的組織の特定を(自動で、半自動で又は手動で)可能にし、かつ患者の気道を通る標的組織への経路の選択を可能にする。より具体的には、CT走査は処理され、3D体積へとアセンブルされ、その後、これを利用して、患者の気道の3Dモデルを生成する。3Dモデルは、ワークステーション80に関連したディスプレイモニタ上に、又は、任意の他の好適な方法で提示され得る。臨床医は、ワークステーション80を使用して、3D体積の様々なスライス及び3Dモデルのビューを提示及び/又は操作することができ、標的にアクセスするために、患者の気道を通って標的の特定及び好適な経路の選択が容易になる。3Dモデルはまた、日付、時刻、及び採取された組織サンプルに関する他の識別情報を含む、以前の生検が行われた位置の標識を示すことができる。これらの標識はまた、経路を計画することができる標的として選択されてもよい。いったん選択されると、経路は、ナビゲーション手順中に使用するために保存される。好適な経路計画システム及び方法の例は、Bakerによって、全てが2014年3月15日に出願された、発明の名称が「PATHWAY PLANNING SYSTEM AND METHOD」である、米国特許出願公開第2014/0281961号、同第2014/0270441号、及び同第2014/0282216号に記載されており、これらのそれぞれの全内容は、参照により本明細書中に援用されている。ナビゲーション中、EMセンサ94又は生検ツール102が患者の気道を通って前進する際、追跡システム70と連携するEMセンサ94により、EMセンサ94及び/又は生検ツール102の追跡が可能となる。
【0038】
次に、図2を参照すると、3Dモデルの、患者の気道との位置合わせを更新する例示的な方法のフロー図が示される。上記のように、工程202では、例えば、患者の胸部及び肺などの関心領域が、例えば、CT走査などの撮像方法を使用して画像化される。工程204では、工程202で生成された画像において標的を特定する。標的が確立すると、工程206では、気道の分岐部を通る標的までの通路がCT画像データ内で生成される。経路計画が生成され、臨床医によって承認されると、EMNシステム10を使用するナビゲーション手順において経路計画を利用することができる。経路計画は、ワークステーション80上のアプリケーションにロードされ、表示される。そして、工程208において、アプリケーション81は、上述のように、CT走査の、患者の気道との位置合わせを行い、具体的には、その全内容が参照により本明細書中に援用されている、Brown et al.による、2015年7月2日に出願された、は、「REAL TIME AUTOMATIC REGISTRATION FEEDBACK」である、同時係属中の米国特許出願第14/790,581号に記載されているとおりである。位置合わせ中に、患者の気道内にあるEMセンサ94の位置が追跡され、EM発生器76によって発生されたEM場内のEMセンサ94の位置を示す複数の点が生成される。十分な点が収集されると、アプリケーション81は、これらの点の位置を3Dモデルと比較し、3Dモデルの管腔内の全ての点をあてはめるよう務める。あてはめが確定し、全てではないが、大多数の点が気道の3Dモデルによって画定された領域内にあてはめられたことが示されると、患者と3Dモデルとが互いに位置合わせされている。その結果、患者の体内のEMセンサ94の検出動作は、3Dモデルを横断するセンサ94又は3Dモデルが生成された2D画像としてワークステーション80のディスプレイに正確に描画することができる。
【0039】
工程210では、医師又はアプリケーション81は、例えば、乳頭線、食道、肋骨の輪郭、中間幹分岐部などの1つ以上の標的軟性点を識別することができる。軟性点が確立されると、工程212では、標的への経路がアプリケーション81によってCT画像データ内に生成される。経路は、肺の気管支ネットワークを通って、軟性点に対する又はその近くへのEMセンサのナビゲーションのためのガイダンスを提供することができる。次いで、EMセンサが、軟性点の近くの位置から肺の気管支壁を通って気管支樹の外側ではあるが近くの軟性点まで誘導されるように更に経路を提供することができる。代替的に、経路は、気管支樹を介する追加のガイダンスの有無にかかわらず、EMセンサが患者の皮膚を通って軟性点の位置まで経皮的に挿入されるためのガイダンスを提供することができる。経路計画が生成され、臨床医によって承認された後、EMNシステム10を使用するナビゲーション手順において経路計画を利用することができる。アプリケーション81は、EMセンサ94の位置を追跡する間に、工程214で、標的軟性点、つまり、乳頭線、食道、肋骨の輪郭、中間幹分岐部等に近接するEMセンサをナビゲートするためのガイダンスを表示することにより、ナビゲーションプロセスを開始する。代替的に、EMセンサ94に近接して位置するカメラ(例えば、気管支鏡内)からのライブ映像フィードを見ることにより、臨床医は、標的軟性点を視覚的に検出することができる。その後、工程216において、臨床医又はアプリケーション81は、センサが、判定された標的軟性点に近接して位置しているかどうかを判定することができる。臨床医又はアプリケーション81が、EMセンサ94が標的軟性点に近接していると判定しなかった場合、処理は、更なるガイダンスが表示される工程214に戻る。
【0040】
工程218では、EMセンサ94が軟性点に近接して位置している間に、例えば、CT撮像法、コーンビームCT撮像法、又は超音波撮像法を使用して、標的軟性点が撮像される。工程218で生成された画像を用いて、工程220において、臨床医又はアプリケーション81は、軟性点におけるEMセンサ94の位置を確認する。EMセンサ94が標的軟性点にないと判定された場合には、処理は、更なるガイダンスが表示される工程214に戻る。EMセンサ94が軟性点の近位にあることが確認された場合、処理は、工程222へ進む。
【0041】
工程222では、アプリケーション81は、EMセンサ94の位置を示す記憶された点を使用して、局所的な位置合わせを行って、標的軟性点に近接した患者の気道により3Dモデルの更新を行う。例えば、局所的な位置合わせは、薄板スプライン(TPS)補間などの一連の補間手法に基づいて行われてもよい。実施形態では、TPS補間は、3Dモデルとの自動位置合わせ中に記憶されたEM生成器76によって生成されたEM場内のEMセンサ94の位置を示す点を、非剛体位置合わせするために使用されてもよく、局所的な位置合わせ中に記憶された追加点によって増強されてもよい。
【0042】
工程224で、局所的な位置合わせが行われる標的軟性点が残っていない場合、アプリケーション81又は臨床医は、位置合わせの更新が完了していると判定する。位置合わせの更新が完了していない場合、処理は、工程214に戻り、アプリケーション81は、次の標的軟性点に近接しているEMセンサ94をナビゲートするためのガイダンスを表示する。位置合わせの更新が完了すると、処理は終了する。
【0043】
図3を参照すると、3Dモデルの、患者の気道との位置合わせを更新する例示的な方法の別のフロー図が示されている。工程302では、アプリケーション81は、EMセンサ94の位置を追跡する間に、標的軟性点、すなわち、治療標的の近くの乳頭線、食道、肋骨の輪郭、中間幹分岐部などに近接するEM94センサを、管腔ネットワークを通って、管腔ネットワークの壁を通って、又は患者の皮膚を経皮的に通って、ナビゲートするためのガイダンスを表示する。代替的に、EMセンサ94に近接して位置するカメラ(例えば、気管支鏡内)からのライブ映像フィードを見ることにより、臨床医は、標的軟性点を視覚的に検出することができる。その後、工程304では、臨床医又はアプリケーション81は、EMセンサ94が標的軟性点に近位であるかどうかを判定する。「いいえ」である場合、処理は、工程302に戻り、アプリケーション81は、標的軟性点に近接するEMセンサ94をナビゲートするためのガイダンスを表示することを再開する。「はい」である場合、処理は、工程306に進む。
【0044】
工程306では、EMセンサ94が軟性点に近接して位置している間に、例えば、CT撮像法、コーンビームCT撮像法、又は超音波撮像法を使用して、標的軟性点が撮像される。工程306で生成された画像を用いて、工程308において、臨床医又はアプリケーション81は、軟性点におけるEMセンサ94の位置を確認することができる。EMセンサ94が軟性点に位置しているか否かを確認する際には、工程406で生成した画像をディスプレイ706に表示してもよい(図7)。EMセンサ94が標的軟性点にないと判定された場合には、処理は、更なるガイダンスが表示される工程302に戻る。EMセンサ94が軟性点に近接していることが確認されると、処理は、工程310に進む。
【0045】
工程310で、1回換気量呼吸に起因する患者の胸部の動きが、患者の呼吸周期の1つ以上の周期にわたってサンプリングされる。1回換気量呼吸に起因する動きは、患者の胸部の動きを視認及び記録するために位置付けられた1つ以上の光学カメラを用いてサンプリングされてもよい。患者の胸部の動きを使用して、安静換気(tidal breathing)に起因する動きを推定することができる。代替的には、センサ74をサンプリングして、患者の安静換気中の患者の胸部の動きを判定することができる。同様に、センサ74を使用して感知された患者の胸部の動きを使用して、安静換気に起因する動きを推定することができる。
【0046】
工程312において、アプリケーション81は、EMセンサ94から患者の1回換気量運動データ及び位置データを受信し、データセットを相関させる。データセットを相関させることにより、本開示は、観察された胸部運動をEMセンサ94の動きに分配するようにする。つまり、胸部が一方向の(例えば、脊椎の長手方向軸線に対して垂直に)ある距離を移動して観察される場合、EMセンサ94に近接する肺の気道において観察されることができると考えられる移動の程度に関する判定を行うことができる。アプリケーション81は、データを保存し、データポイントが受信された時間に従って、患者の1回換気量呼吸運動データ及びEMセンサ94からの位置データを相関させる。
【0047】
保存されたデータは、より大きなデータベースに移行及び保存され、将来の処置において利用されるために他の患者からの同様の保存されたデータと集合され得る。データベースはまた、身長、体重、性別、性、最大呼気流量、及び努力性肺活量などのそれぞれの患者の付加因子を含む。データベースに保存された多くの患者の保存データを分析することによって、予測モデルが生成されて、肺の中の標的の潜在的な位置を判定するか、又は侵襲的処置を行わずに患者の肺のモデルを更新することができる。予測モデルは、呼吸周期にわたる総合的な動きの推定を生成するための付加因子を更に組み込んでもよい。
【0048】
実務において、医師は、患者の肺に対するCT走査を行い、モデルを生成する。その後、医師は、1回換気量呼吸に起因する動きを、例えば、患者の胸部の動きを視認及び記録するために位置付けられた1つ以上の光学カメラを使用して測定し、データを生成する。最終的に、肺の中の予測推定点を生成するために、又は呼吸周期にわたってCT走査で生成されたモデルを改善するために、測定された運動データ及び患者の付加因子が予測モデルに入力される。
【0049】
工程314では、アプリケーション81は、相関された1回換気量運動データ及びEMセンサ94の位置データを使用して、局所的な位置合わせを行って、標的軟性点に近接する患者の気道により3Dモデルを更新する。例えば、局所的な位置合わせは、薄板スプライン(TPS)補間などの一連の補間手法に基づいて行われてもよい。実施形態では、TPS補間は、3Dモデルとの自動位置合わせ中に記憶されたEM生成器76によって生成されたEM場内のEMセンサ94の位置を示す点を、非剛体位置合わせするために使用されてもよく、局所的な位置合わせ中に記憶された追加点によって増強されてもよい。工程312における相関及び工程314における位置合わせの更新の結果として、静的CT画像の表示上に描かれると考えられるEMセンサ94の検出された動き、又はそれから導出された3Dモデルは、EMセンサ94の位置及びそれが患者の気道内で動作可能に接続されている任意のツールをより正確に表示するように修正される。このような相関及び局所的な位置合わせがない場合、検出されたEMセンサ94の位置は、患者の呼吸周期の特定の部分の間、患者の気道の外側にあるように見える場合がある。
【0050】
工程316では、更新された位置合わせがモデルに組み込まれ、医師を治療標的にナビゲートすることができるようにガイダンスが表示される。治療標的に到達すると、工程318において、処置が行われる。更新された位置合わせにより、治療標的の位置をより正確に表すことができる。ユーザは、更新された位置合わせの結果だけを見る一方、位置合わせに対する全更新は、バックグラウンドのプロセスとして行われている。
【0051】
工程320では、アプリケーション81又は臨床医は、追加の治療標的があるかどうかを判定する。治療標的が残っている場合、処理は、工程302に戻り、アプリケーション81は、EMセンサ94を次の治療標的の近くの次の軟性点に近接してナビゲートするためのガイダンスを表示する。治療標的が残っていなければ、プロセスは完了し、処理を終了する。
【0052】
次に、図4を参照して、3Dモデルの、患者の気道との位置合わせを更新する例示的な方法のフロー図が示される。上記のように、工程502では、例えば、患者の胸部及び肺などの関心領域は、例えば、CT走査などの撮像法を使用して撮像される。工程404では、アプリケーション81は、上述するように、患者の気道とCスキャンの位置合わせを行うためのガイダンスを表示する。位置合わせ中に、患者の気道内にあるEMセンサ94の位置が追跡され、EM発生器76によって発生されたEM場内のEMセンサ94の位置を示す複数の点が記憶される。
【0053】
工程406では、医師又はアプリケーション81は、1つ以上の標的軟性点、例えば、すなわち、乳頭線、食道、肋骨の輪郭、中間幹分岐部等を識別することができる。アプリケーション81は、EMセンサ94の位置を追跡している間に、管腔ネットワークを通って、管腔ネットワークの壁を通って、又は患者の皮膚を経皮的に通って、標的軟性点、例えば、すなわち、乳頭線、食道、肋骨の輪郭、中間幹分岐部などに近接しているEMセンサ94をナビゲートするためのガイダンスを表示することによって局所的な位置合わせプロセスを開始する。代替的に、EMセンサ94に近接して位置するカメラ(例えば、気管支鏡内)からのライブ映像フィードを見ることにより、臨床医は、標的軟性点を視覚的に検出することができる。その後、工程408において、臨床医又はアプリケーション81は、センサが判定された標的軟性点に近接して位置しているかどうかを判定し得る。臨床医又はアプリケーション81が、EMセンサ94が標的軟性点に近接していないと判定すると、処理は、更なるガイダンスが表示される工程406に戻る。
【0054】
工程410では、EMセンサ94が軟性点に近接して位置している間に、例えば、CT撮像法、コーンビームCT撮像法、又は超音波撮像法を使用して、標的軟性点が撮像される。工程410で生成された画像を用いて、工程412では、臨床医又はアプリケーション81は、軟性点におけるEMセンサ94の位置を確認することができる。EMセンサ94が標的軟性点にないと判定された場合には、処理は、更なるガイダンスが表示される工程406に戻る。EMセンサ94が軟性点に近接していることが確認されると、処理は、工程414に進む。
【0055】
工程414において、1回換気量呼吸に起因する患者の胸部の動きが、患者の呼吸周期の1つ以上の周期にわたってサンプリングされる。1回換気量呼吸に起因する動きは、患者の胸部の動きを視認及び記録するために位置付けられた1つ以上の光学カメラを用いてサンプリングされてもよい。患者の胸部の動きを使用して、安静換気に起因する動きを推定することができる。代替的には、センサ74をサンプリングして、患者の安静換気中の患者の胸部の動きを判定することができる。同様に、センサ74を使用して感知された患者の胸部の動きを使用して、安静換気に起因する動きを推定することができる。
工程416では、臨床医又はアプリケーション81は、静的点、例えば、椎体、気管分岐部、甲状腺軟骨、又は食道など、患者の呼吸周期中に最小限に動く点を識別することができる。これらの静的点の多くが現れることとなり、初期のCT走査及び3D生成モデルで認識及び測定可能となる。他のものは、識別された静的点上又はその近くに配置されたセンサ74で監視されてもよい。工程418では、患者の1回換気量運動データが、患者の呼吸周期の1つ以上の周期にわたってサンプリングされる。
【0056】
工程420では、アプリケーション81は、患者の呼吸周期にわたってEMセンサ94から位置データを受信する。患者の呼吸周期は、工程414で起動され、工程418でサンプリングされた換気量モニタを使用して判定及び監視される。EMセンサ94からの位置データは、3Dモデル内の位置データへと変換され、アプリケーション81によって識別された静的点の位置と比較されて、呼吸周期にわたって静的点に対する軟性点の位置を判定する。静的点の相対位置は、例えば、三角測量を使用して判定されてもよい。三角測量の潜在的な方法としては、例えば、直接線形変換、ユークリッド距離の中点判定、基本的な行列変換、及びユークリッド平面内の点の集合から様々な潜在的三角形の最小重みを判定することによって行われる最適三角測量が挙げられる。相対的な軟性点の位置は、EMセンサ94の位置を示す軟性点データとして記憶される。
【0057】
工程422では、アプリケーション81は、EMセンサ94の位置を示す軟性点位置データを使用して、局所的な位置合わせを行って、3Dモデルを標的軟性点に近接する患者の気道により更新する。例えば、局所的な位置合わせは、薄板スプライン(TPS)補間などの一連の補間手法に基づいて行われてもよい。実施形態では、TPS補間は、3Dモデルとの自動位置合わせ中に記憶されたEM生成器76によって生成されたEM場内のEMセンサ94の位置を示す点を、非剛体位置合わせするために使用されてもよく、局所的な位置合わせ中に記憶された追加点によって増強されてもよい。
【0058】
工程424では、局所的な位置合わせが行われていない標的軟性点が残っていない場合、アプリケーション81又は臨床医は、位置合わせの更新が完了していると判定する。位置合わせの更新が完了していない場合、処理は、工程406に戻り、アプリケーション81は、次の標的軟性点に近接しているEMセンサ94をナビゲートするためのガイダンスを表示する。位置合わせの更新が完了すると、局所的な位置合わせの更新処理が終了する。
【0059】
図5A及び図5Bは、ユーザインタフェース716が本開示の実施形態に係るディスプレイ706(図7)に提示できる様々なウィンドウを示す。ディスプレイ706は、例えば、標的管理モード、経路計画モード、及びナビゲーションモードなどの内視鏡ナビゲーションシステム10の動作のモードに基づいて特定のウィンドウを提示することができる。
【0060】
図5A及び図5Bはまた、本開示の実施形態に係る標的管理モードを示す。標的が識別された後、臨床医は、それぞれの標的の位置又は寸法を優先順位をつけるか又は確認するようにレビュー及び管理することができる。標的管理モードは、3Dマップウィンドウ510並びに軸線ビューウィンドウ530、冠状ビューウィンドウ550、及び矢状ビューウィンドウ570を含む3つのウィンドウを含んでもよい。3Dマップウィンドウ510は、左側に位置し、標的215を示してもよい。標的の位置に基づいてウィンドウ530、550、及び570の3つのウィンドウが選択される。
【0061】
図5Aは、初期位置合わせ後の可能なインタフェースディスプレイを示す。初期位置合わせにより、医師は、治療標的の近くの軟性スポットにナビゲートするためのナビゲーション計画を作成することが可能になる。軟性スポットに到達し、部位において図2図4に説明される局所的な位置合わせ法のいずれかを行うと、3Dマップビュー510、軸線ビューウィンドウ530、冠状ビューウィンドウ550、及び矢状ビューウィンドウ570が自動的に更新される。図5Bは、局所的な位置合わせ後の更新されたディスプレイを示す(図5A及び図5Bは、単に説明の目的のために全く対照的に示されている)。医師が2D又は3Dディスプレイ510、530、550、及び570のいずれかを使用してナビゲートする際、ディスプレイは、患者の胸部が呼吸周期の間、動くにつれて、安定した画像を提示するために更に自動的に更新される。医師の視点から見て、ディスプレイの更新は不変となるので、医師は、安定した正確なビューでナビゲートされ、治療を適用することが可能となる。
【0062】
ナビゲーション中、ユーザインタフェース716(図7)はまた、例えば、図6に示されるようなビュー650を医師に提示してもよい。ビュー650は、中心ナビゲーションタブ654、周辺ナビゲーションタブ656、及び標的整列タブ658を含む、標的軟性点又は治療標的などの標的にナビゲートするためのユーザインタフェースを臨床医に提供する。中心ナビゲーションタブ654は、主に、気管支鏡50を患者の気管支樹を通ってガイドするために使用される。周辺ナビゲーションタブ456は、主に、EWC96、EMセンサ94、及びLG92を標的軟性点及び治療標的を含む標的に向かってガイドするために使用される。標的整列タブ658は、主に、周辺ナビゲーションタブ656を使用してLG92が標的にナビゲートされた後に、LG92が標的と整列していることを検証するために使用される。ビュー650はまた、臨床医が標的選択ボタン660を起動させることによって、ナビゲートする標的652を選択することを可能にする。
【0063】
それぞれのタブ654、656、及び658は、臨床医を標的軟性点までナビゲートすることを補助するいくつかのウィンドウ662を含む。提示されるウィンドウ662の数及び設定は、「オプション」ボタン664の起動によって、ナビゲーションの前又は最中に臨床医によって設定可能である。それぞれのウィンドウ662において表示されるビューはまた、それぞれのウィンドウ662のディスプレイボタン666を起動させることで臨床医によって設定可能である。例えば、ディスプレイボタン666を起動させることにより、気管支鏡ビュー670、仮想気管支鏡ビュー672、3Dマップ動的ビュー682、MIPビュー(図示せず)、3Dマップ静止ビュー(図示せず)、矢状CTビュー(図示せず)、軸線CTビュー(図示せず)、冠状CTビュー(図示せず)、先端ビュー(図示せず)、3DCTビュー(図示せず)、及び整列ビュー(図示せず)を含む、臨床医による選択のためのビューのリストが臨床医に提示される。
【0064】
気管支鏡ビュー670は、例えば、図6に示されるように、気管支鏡50から受信したリアルタイムの画像を臨床医に提示する。気管支鏡ビュー670により、気管支鏡50が患者の気道を通って標的に向かってナビゲートされる際、臨床医が患者の気道をリアルタイムで視覚的に観察することが可能になる。
【0065】
仮想気管支鏡ビュー672は、例えば、図6に示されるように、ロードされたナビゲーション計画の3D体積から生成された患者の気道壁の3Dレンダリング674を臨床医に提示する。仮想気管支鏡ビュー672はまた、方向の指標を提供するナビゲーション経路676を臨床医に提示し、その方向に沿って、臨床医は、標的に到達するために、移動する必要がある。臨床医が進むべき所望の経路を容易に判定し得るように、ナビゲーション経路476は、3Dレンダリング674と対照的な色又は形状で提示されてもよい。
【0066】
3Dマップ動的ビュー682は、ロードされたナビゲーション計画の3D体積から生成された患者の気道の動的な3Dモデル684を提示する。動的3Dモデル684は、臨床医が標的に到達するために移動する必要がある気道を示す強調表示部分686を含む。動的3Dモデル684の配向は、患者の気道内のEMセンサ94の動きに基づいて自動的に更新されて、臨床医に、標的への経路上にはない気道分岐によって、比較的閉塞されていない動的3Dモデル684のビューを提供する。3Dマップ動的ビュー682はまた、上述のように仮想プローブ679を臨床医に提示し、臨床医が、対応する患者の気道を通ってLG92を前進させるにつれて、仮想プローブ679は、動的3Dモデル684に提示された気道を通って回転及び移動する。
【0067】
図2図4に示す位置合わせ更新方法のいずれかを行った後、プログラム81は、呼吸周期にわたって更新された位置合わせに従って気管支鏡ビュー670、仮想気管支鏡ビュー672、3Dマップ動的ビュー682を制御する。患者の胸部が呼吸周期中に動くと、安定した気管支鏡ビュー670、仮想気管支鏡ビュー672、及び3Dマップ動的ビュー682を示すために、更新された位置合わせにより、動作が説明される。安定したビューにより、臨床医は、不安定なビューとなる胸部の動きを継続的に中断することなく、治療標的又は追加の位置合わせ標的に向かって、EWC96、EMセンサ94及びLG92をナビゲートすることが可能となる。よって、臨床医は、より多く制御され、ユーザ経験が簡易である、EWC96、EMセンサ94、及びLG92の治療標的までのナビゲートが提供される。
【0068】
治療標的に到達すると、治療標的において治療を提供することができるように、EWC96及びLG92を通って、カテーテル生検ツール102を誘導することができる。標的では、改良された局所的な位置合わせにより、呼吸周期にわたって標的をより正確かつリアルタイムに追跡することが可能になる。処置を実行する際、更新された位置合わせにより、医師は、治療標的における治療を維持し、悪影響を受ける可能性のある健康組織に不要な処置を施すことを回避することができる。
【0069】
改良された局所的な位置合わせにより、気道外の治療標的に対する治療の適用を更に改善することができる。EWC96又はLG92を通って、治療標的又は生検標的の近くにある位置へアクセスツールを誘導することができる。治療標的の近くにいる間、改良された局所的な位置合わせにより、呼吸周期にわたって、リアルタイムに、気管及び気管支壁の壁を通ってより正確に標的を追跡することができる。標的の追跡の改善により、アクセスツールが、気管及び気管支壁を穿刺して、治療標的へアクセスする際、気管支樹への損傷の増加のリスクを低減することができる。
【0070】
改良された局所的な位置合わせにより、経皮的ナビゲーション及びアプローチの計画策定が更に補助される。改良された局所的な位置合わせにより、呼吸周期にわたって、標的の位置並びに他の体内の身体的特徴部の位置を知ることができる。次いで、医師又はアプリケーション81は、呼吸周期にわたって治療を適用するために、治療標的への正確な経路を生成しながら、体内の身体的特徴部を穿刺することを回避するように経皮針を誘導するための経路を判定することができる。
【0071】
ここで図7に戻ると、ワークステーション80のシステム図が示されている。ワークステーション80は、メモリ702、プロセッサ704、ディスプレイ706、ネットワークインタフェース708、入力デバイス710、及び/又は出力モジュール712を含み得る。
【0072】
メモリ702は、プロセッサ704によって実行可能であり、ワークステーション80の動作を制御するデータ及び/又はソフトウェアを記憶する任意の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含む。一実施形態では、メモリ702としては、フラッシュメモリチップなどの1つ以上のソリッドステート記憶デバイスを挙げることができる。代替的に、又は、1つ以上のソリッドステート記憶デバイスに加えて、メモリ702としては、大容量記憶制御デバイス(図示せず)及び通信バス(図示せず)を介してプロセッサ704に接続された1つ以上の大容量記憶デバイスを挙げることができる。本明細書で記載するコンピュータ可読媒体の説明はソリッドステートストレージを指すが、当業者は、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ704がアクセスすることができる任意の利用可能な媒体とすることができることを理解するであろう。すなわち、コンピュータ可読記憶媒体としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータなどの情報の記憶のために任意の方法又は技術で実行される非一過性、揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不能媒体が挙げられる。例えば、コンピュータ可読記憶媒体としては、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のソリッドステートメモリ技術、CD-ROM、DVD、Blu-Ray又は他の光学ストレージデバイス、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ、又は、他の磁気ストレージデバイス、又は、所望の情報を記憶するために使用することができ、ワークステーション80がアクセスすることができる任意の他の媒体が挙げられる。
【0073】
メモリ702は、アプリケーション81及び/又はCTデータ214を記憶し得る。アプリケーション81は、プロセッサ704によって実行されると、ディスプレイ706にユーザインタフェース716を提示させ得る。ネットワークインタフェース708は、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークからなるローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、無線携帯電話ネットワーク、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、及び/又は、インターネットなどのネットワークに接続するように構成され得る。入力デバイス710は、例えば、マウス、キーボード、フットペダル、タッチスクリーン、及び/又は、音声インタフェースなど、臨床医がワークステーション80と相互作用することができる任意のデバイスであり得る。出力モジュール712としては、例えば、パラレルポート、シリアルポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)、又は、当業者に知られている任意の他の同様の接続ポートなど任意の接続ポート又はバスを挙げ得る。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態を図面で示してきたが、それによって本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示が当該技術分野で可能な限り広い範囲を対象とすること、及び本明細書も同様に解釈されることが意図されている。したがって、上述の説明は、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきであり、限定するものとして解釈すべきではない。本明細書に添付の請求項の範囲及び趣旨を逸脱しない他の修正は、当業者ならば想到するであろう。
【0075】
このようなデバイスの詳細な実施形態、当該のデバイスを組み込むシステム、及び当該システムを使用する方法が上述されている。しかしながら、これらの詳細な実施形態は、単に本開示の実施例であり、本開示は、様々な形態で具現化され得る。したがって、本明細書で開示する特定の構造的及び機能的な詳細は、制限的と解釈されず、単に請求項の基盤として、及び、事実上いずれの当業者が本開示を適切に詳説した構造で様々に採用することを可能にする代表的な基盤として解釈されるべきである。上述する例示的実施形態は、患者の気道の気管支鏡検査法を対象としているが、当業者は、同一又は類似のデバイス、システム、及び方法が、例えば、血管網、リンパ系ネットワーク、及び/又は消化管ネットワークなど、他の管腔ネットワーク内でも使用され得ると理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7