(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-25
(45)【発行日】2022-06-02
(54)【発明の名称】リシルオキシダーゼ様2阻害剤の結晶形態および製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20220526BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220526BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220526BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/4439
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00
(21)【出願番号】P 2019512640
(86)(22)【出願日】2017-09-06
(86)【国際出願番号】 US2017050332
(87)【国際公開番号】W WO2018048943
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-09-03
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516079800
【氏名又は名称】ファーマケア,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ロナーガン,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ホルム,ケビン ロス
(72)【発明者】
【氏名】ローボトム,マーティン ダブリュー.
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6697809(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンの薬学的に許容可能な塩であって、前記薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、L-酒石酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、または酢酸塩である、薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
前記薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩であり、以下の化合物2の構造を有する、請求項1に記載の薬学的に許容可能な塩。
【化1】
【請求項3】
化合物2は、非晶質である、請求項2に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
化合物2は、結晶質である、請求項2に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
化合物2は、結晶質であり、以下の少なくとも1つの性質を有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩:
(a)13.6°2-シータ、16.9°2-シータ、19.4°2-シータ、20.1°2-シータ、20.3°2-シータ、20.6°2-シータ、23.1°2-シータ、および23.6°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)以下の
図1に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)231℃および236℃での吸熱を備えたDSCサーモグラム、
(d)以下の
図2に示されるものと同様のDSCサーモグラム、
(e)0から90%RHの間の2%w/wの可逆的な水の取り込み、または
(f)0から90%相対湿度(RH)の範囲の重量蒸気吸着(GVS)分析後の不変のXRPDパターン。
【請求項6】
化合物2は、結晶質であり、13.6°2-シータ、16.9°2-シータ、19.4°2-シータ、20.1°2-シータ、20.3°2-シータ、20.6°2-シータ、23.1°2-シータ、および23.6°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
化合物2は、結晶質であり、
図1に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項
5に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
化合物2は、結晶質であり、231℃および236℃での吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
化合物2は、結晶質であり、
図2に示されるものと同様のDSCサーモグラムを有する、請求項
5に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
化合物2は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩:
(a)2.6°2-シータ、3.2°2-シータ、6.3°2-シータ、9.4°2-シータ、15.7°2-シータ、および22.1°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン
、
(b)以下の
図3に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)121.7℃、231.1℃および236.1℃での3つの吸熱を備えたDSCサーモグラム、
(d)以下の
図4に示されるものと同様のDSCサーモグラム、
(e)無水物、
(f)150℃以上に加熱されると無水メシル酸塩である化合物2形態1に変化、
(g)0から90%相対湿度(RH)の範囲の重量蒸気吸着(GVS)分析後および40℃/75%RHで7日間の後、無水メシル酸塩である化合物2形態1に変化、または
(h)25℃/97%RHで7日間の後、無水メシル酸塩である化合物2形態1に変化。
【請求項11】
化合物2は、結晶質であり、2.6°2-シータ、3.2°2-シータ、6.3°2-シータ、9.4°2-シータ、15.7°2-シータ、および22.1°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
化合物2は、結晶質であり、
図3に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項
10に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
化合物2は、結晶質であり、121.7℃、231.1℃および236.1℃での3つの吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
化合物2は、結晶質であり、
図4に示されるものと同様のDSCサーモグラムを有する、請求項
10に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
化合物2は、結晶質であり、無水物である、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
化合物2は、結晶質であり、次の性質の少なくとも1つを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩:
(a)2.9°2-シータ、3.2°2-シータ、3.3°2-シータ、15.8°2-シータ、16.9°2-シータ、および20.2°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)以下の
図5に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)132.2℃および238.8℃での2つの吸熱を備えたDSCサーモグラム、
(d)以下の
図6に示されるものと同様のDSCサーモグラム、
(e)ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶媒和されている、
(f)130℃以上に加熱されると無水メシル酸塩である化合物2形態1に変化、
(g)0から90%相対湿度(RH)の範囲の重量蒸気吸着(GVS)分析後および40℃/75%RHで7日間の後、無水メシル酸塩である化合物2形態1に変化、または
(h)40℃および75%RHで7日間の後、無水メシル酸塩である化合物2形態1に変化。
【請求項17】
化合物2は、結晶質であり、2.9°2-シータ、3.2°2-シータ、3.3°2-シータ、15.8°2-シータ、16.9°2-シータ、および20.2°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
化合物2は、結晶質であり、
図5に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項
16に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
化合物2は、結晶質であり、132.2℃および238.8℃での2つの吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項20】
化合物2は、結晶質であり、
図6に示されるものと同様のDSCサーモグラムを有する、請求項
16に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項21】
化合物2は、結晶質であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶媒和されている、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
化合物2は、結晶質であり、次の性質の少なくとも1つを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩:
(a)13.9°2-シータ、16.6°2-シータ、18.8°2-シータ、19.1°2-シータ、19.7°2-シータ、19.9°2-シータ、20°2-シータ、21.2°2-シータ、22.3°2-シータ、22.7°2-シータ、23.4°2-シータ、および23.8°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン、
(b)以下の
図7に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターン、
(c)233℃の吸熱を備えるDSCサーモグラム、または
(d)以下の
図8に示されるものと同様のDSCサーモグラム。
【請求項23】
化合物2は、結晶質であり、13.9°2-シータ、16.6°2-シータ、18.8°2-シータ、19.1°2-シータ、19.7°2-シータ、19.9°2-シータ、20°2-シータ、21.2°2-シータ、22.3°2-シータ、22.7°2-シータ、23.4°2-シータ、および23.8°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項24】
化合物2は、結晶質であり、
図7に示されるものと同様のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項
22に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項25】
化合物2は、結晶質であり、233℃での吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する、請求項4に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項26】
化合物2は、結晶質であり、
図8に示されるものと同様のDSCサーモグラムを有する、請求項
22に記載の薬学的に許容可能な塩。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれか1項に記載の薬学的に許容可能な塩、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)阻害剤(3-(4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イルオキシ)フェニル)((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン )の結晶形態、その薬学的に許容可能な塩、それらの溶媒和物、ならびにそれらの医薬組成物、ならびにLOXL2活性に関連する疾患または状態の治療または予防におけるその使用方法が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
リシルオキシダーゼ様2(LOXL2)は細胞外マトリックスタンパク質の架橋を触媒するアミンオキシターゼ酵素である。LOXL2は、細胞の上皮間葉転換を媒介するような細胞内のプロセスにも関与する。LOXL2シグナル伝達は例えば、線維性疾患と癌に関係している。
【0003】
相互参照
本出願は、2016年9月7日に出願された「CRYSTALLINE FORMS OF A LYSYL OXIDASE-LIKE 2 INHIBITOR AND METHODS OF MAKING」という名称の米国仮特許出願第62 / 384,596号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン )の薬学的に許容可能な塩が明細書に開示され、薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩、塩酸塩、硫酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、L-酒石酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、または酢酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、硫酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、マレイン酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、リン酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、フマル酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、コハク酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である。
【0005】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩であり、化合物2の構造を有する。
【0006】
【0007】
幾つかの実施形態において、化合物2は、非晶質である。
【0008】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)13.6°2-シータ、16.9°2-シータ、19.4°2-シータ、20.1°2-シータ、20.3°2-シータ、20.6°2-シータ、23.1°2-シータ、および23.6°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約231℃および約236℃での吸熱を備えたDSCサーモグラム;または
(d)
図2に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム;
(e)0から90%RHの間の可逆的な水の取り込み(~2.1%w/w);
(f)GVS分析後の未変化のXRPD。
【0009】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、13.6°2-シータ、16.9°2-シータ、19.4°2-シータ、20.1°2-シータ、20.3°2-シータ、20.6°2-シータ、23.1°2-シータ、および23.6°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図1に示されるパターンと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約231℃および約236℃での吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図2に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0010】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)2.6°2-シータ、3.2°2-シータ、6.3°2-シータ、9.4°2-シータ、15.7°2-シータ、および22.1°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図3に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約121.7℃、231.1℃および236.1℃での3つの吸熱を備えたDSCサーモグラム;または
(d)
図4に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム;
(e)無水物である;
(f)150℃以上に加熱されると化合物2形態1に変化;
(g)GVS分析後および40℃/75%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化;
(h)25℃/97%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化。
【0011】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、2.6°2-シータ、3.2°2-シータ、6.3°2-シータ、9.4°2-シータ、15.7°2-シータ、および22.1°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図3に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約121.7℃、231.1℃および236.1℃での3つの吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図4に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、無水物である。
【0012】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)2.9°2-シータ、3.2°2-シータ、3.3°2-シータ、15.8°2-シータ、16.9°2-シータ、および20.2°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図5に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約132.2℃および238.8℃での2つの吸熱を備えたDSCサーモグラム;
(d)
図6に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム;
(e)ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶媒和されている;
(f)130℃以上に加熱されると化合物2形態1に変化;
(g)GVS分析後および40℃/75%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化;
(h)40℃および75%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化。
【0013】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、2.9°2-シータ、3.2°2-シータ、3.3°2-シータ、15.8°2-シータ、16.9°2-シータ、および20.2°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図5に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約132.2℃および238.8℃での2つの吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図6に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶媒和されている。
【0014】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)13.9°2-シータ、16.6°2-シータ、18.8°2-シータ、19.1°2-シータ、19.7°2-シータ、19.9°2-シータ、20°2-シータ、21.2°2-シータ、22.3°2-シータ、22.7°2-シータ、23.4°2-シータ、および23.8°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図7に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約233℃の吸熱を備えるDSCサーモグラム;または
(d)
図8に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム。
【0015】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、13.9°2-シータ、16.6°2-シータ、18.8°2-シータ、19.1°2-シータ、19.7°2-シータ、19.9°2-シータ、20°2-シータ、21.2°2-シータ、22.3°2-シータ、22.7°2-シータ、23.4°2-シータ、および23.8°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図7に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約233℃の吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図8に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0016】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩であり、化合物1の構造を有する。
【0017】
【0018】
幾つかの実施形態において、化合物1は、非晶質である。幾つかの実施形態において、化合物1は、40℃/75%RHで非晶質および潮解性である。
【0019】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物1は結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)5.5°2-シータ、7.5°2-シータ、18.5°2-シータ、19.4°2-シータ、21.8°2-シータ、および23.5°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図9に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約153℃での吸熱を備えるDSCサーモグラム; または
(d)
図10に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム。
【0020】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、5.5°2-シータ、7.5°2-シータ、18.5°2-シータ、19.4°2-シータ、21.8°2-シータ、および23.5°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図9に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、約153℃での吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図10に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、吸湿性の固体である。
【0021】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)6.6°2-シータ、13.2°2-シータ、19.7°2-シータ、22.3°2-シータ、22.5°2-シータ、23.7°2-シータ、24.5°2-シータ、および26.4°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図11に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約43℃および約119℃での吸熱を備えるDSCサーモグラム;または
(d)
図12に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム。
【0022】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、6.6°2-シータ、13.2°2-シータ、19.7°2-シータ、22.3°2-シータ、22.5°2-シータ、23.7°2-シータ、24.5°2-シータ、および26.4°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図11に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、約43℃および約119℃での吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図12に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0023】
一態様において、本明細書には、上記実施形態のいずれか1つの薬学的に許容可能な塩、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が開示される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、静脈内投与、皮下投与、経口投与、吸入、経鼻投与、皮膚投与、または経眼投与による哺乳動物への投与のために処方される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は経口投与によって哺乳動物への投与のために処方される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、懸濁液または溶液の形態で、経口投与によって哺乳動物への投与のために製剤される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、固体の医薬組成物の形態である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤、丸剤、またはカプセルの形態である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、約1mgから約2000mgの(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンを含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、錠剤の形態であり、1錠当たり、約50mgまたは約250mgの(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンを含む。
【0024】
他の態様において、(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物I)を提供するために、適切なニトリル還元条件下で以下の構造を有するニトリル化合物A-7を還元する工程を含む、(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物I)を合成するためのプロセスが記載される。
【0025】
【0026】
【0027】
幾つかの実施形態において、適切なニトリル還元条件は、接触水素化条件を含む。
【0028】
幾つかの実施形態において、接触水素化条件は、パラジウム触媒、白金触媒、鉄触媒、コバルト触媒、ニッケル触媒、ルテニウム触媒、ロジウム触媒、イリジウム触媒またはオスミウム触媒;および水素ガスを含む。幾つかの実施形態において、接触水素化条件は、活性炭、Al2O3、TiO2、ZrO2またはSiO2上で担持されるパラジウム触媒または白金触媒;および水素ガスを含む。幾つかの実施形態において、接触水素化条件は、酢酸;炭素上の水酸化パラジウム;および水素ガスを含む。
【0029】
幾つかの実施形態において、ニトリル化合物A-7は、適切なカップリング条件下において、安息香酸化合物A-6と(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールをカップリングすることにより調製される。
【0030】
【0031】
【0032】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、対応する塩化アシルへの安息香酸A-6の変換;および対応する安息香酸化合物A-6の塩化アシルと(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールをカップリングすることを含む。
【0033】
幾つかの実施形態において、対応する安息香酸化合物A-6の塩化アシルの変換は、塩化チオニル(SOCl2)、塩化オキサリル((COCl)2)、三塩化リン(PCl3)、オキシ塩化リン(POCl3)または五塩化リン(PCl5)で安息香酸Cを処理することを含む。
【0034】
幾つかの実施形態において、対応する安息香酸化合物A-6の塩化アシルと(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールカップリングすることは、非求核性三級アミン塩基を含む。幾つかの実施形態において、非求核性三級アミンは、トリエチルアミン(tritheylamine)、トリブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、N-メチルモルホリンまたはピリジンである。
【0035】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド・HCl(EDC HCl)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBOP)、ブロモ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBrOP)、7-アザ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyAOP)、エチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセタート-O2)-トリ-(1-ピロリジニル)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyOxim)、3-(ジエトキシ-ホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾ[d]トリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムテトラフルオロホウ酸/ヘキサフルオロリン酸(TBTU(BF4-))、2-(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HCTU)、N-[(5-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-ジメチルアミノ-モルホリノ]-ウロニウムヘキサフルオロリン酸N-オキシド(HDMC)、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)、1-[1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)-ジメチルアミノ-モルホリノ]-ウロニウムヘキサフルオロリン酸(COMU)、2-(1-オキシ-ピリジン-2-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソチオウロニウムテトラフルオロホウ酸(TOTT)、テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸(TFFH)、N-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、2-プロパンホスホン酸無水物(T3P)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム塩(DMTMM)、ビス-トリクロロメチルカルボナート(BTC)、または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)を含む。幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール-6-スルホンアミドメチルレジン・HCl(HOBt-6-スルホンアミドメチルレジン・HCl)、ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOOBt)、N-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、1-ヒドロキシ-7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール(HOAt)、エチル2-シアノ-2-(ニトロソ)酢酸塩、および4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)からなる群の選択された1以上の添加剤をさらに含む。
【0036】
幾つかの実施形態において、安息香酸A-6は、適切な反応条件下で、2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリルと3-ヒドロキシ安息香酸をカップリングすることにより調製される。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、芳香族求核置換(SNAr)反応条件を含む。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、適切な溶媒中の有機または無機の塩基を含む。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムとリン酸カリウムからなる群から選ばれた無機塩基;ならびにジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、テトラフロピラン、およびジオキサンからなる群の選択された適切な溶媒を含む。
【0041】
別の実施形態において、化合物2を提供するために、適切な溶媒中において、メタンスルホン酸で化合物Cを処理することを含む、(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン酸塩(化合物2)の合成プロセスが本明細書に開示される。
【0042】
【0043】
【0044】
幾つかの実施形態において、適切な溶媒は、ジクロロメタンである。
【0045】
幾つかの実施形態において、化合物Cは、適切なカップリング条件下において、安息香酸化合物Aと(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールの塩酸塩をカップリングすることにより調製される。
【0046】
【0047】
【0048】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、対応する塩化アシルへの安息香酸化合物Aの変換;および対応する安息香酸化合物Aの塩化アシルと(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールの塩酸塩をカップリングすることを含む。
【0049】
幾つかの実施形態において、対応する安息香酸化合物Aの塩化アシルの変換は、塩化チオニル(SOCl2)、塩化オキサリル((COCl)2)、三塩化リン(PCl3)、オキシ塩化リン(POCl3)または五塩化リン(PCl5)で安息香酸化合物Aを処理することを含む。
【0050】
幾つかの実施形態において、対応する安息香酸化合物Aの塩化アシルと(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールの塩酸塩カップリングすることは、非求核性三級アミン塩基を含む。幾つかの実施形態において、非求核性三級アミンは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、8-ジアザビシクロウンデカ-7-エン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、N-メチルモルホリンまたはピリジンである。
【0051】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド・HCl(EDC HCl)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBOP)、ブロモ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBrOP)、7-アザ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyAOP)、エチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセタート-O2)-トリ-(1-ピロリジニル)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyOxim)、3-(ジエトキシ-ホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾ[d]トリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムテトラフルオロホウ酸/ヘキサフルオロリン酸(TBTU(BF4-))、2-(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HCTU)、N-[(5-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-ジメチルアミノ-モルホリノ]-ウロニウムヘキサフルオロリン酸N-オキシド(HDMC)、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)、1-[1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)-ジメチルアミノ-モルホリノ]-ウロニウムヘキサフルオロリン酸(COMU)、2-(1-オキシ-ピリジン-2-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソチオウロニウムテトラフルオロホウ酸(TOTT)、テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸(TFFH)、N-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、2-プロパンホスホン酸無水物(T3P)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム塩(DMTMM)、ビス-トリクロロメチルカルボナート(BTC)、または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)の使用を含む。
【0052】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール-6-スルホンアミドメチルレジン・HCl(HOBt-6-スルホンアミドメチルレジン・HCl)、ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOOBt)、N-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、1-ヒドロキシ-7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール(HOAt)、エチル2-シアノ-2-(ニトロソ)酢酸塩、および4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)からなる群から選択される1以上の添加剤の使用をさらに含む。
【0053】
さらに別の態様において、(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物1)をアセトニトリル中の0.92eqのメタンスルホン酸で処理し、その後濾過により化合物2を単離し、真空乾燥する工程を含む、(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン酸塩(化合物2)の合成プロセスが本明細書に開示される。化合物Iをアセトニトリル中においてメタンスルホン酸で処理する工程はさらに、溶液を周囲温度で撹拌し、続いて溶液を還流する工程を含む。
【0054】
他の態様において、次の工程を含む(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールの塩酸塩の合成プロセスが本明細書に開示される:
a)((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(フェニル)メタノンを提供するために、ラセミ-(トランス-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(フェニル)メタノンを酵素バイオ触媒にさらすこと;および
b)(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールの塩酸塩を提供するために、((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(フェニル)メタノンのアミド結合を切断すること。
【0055】
幾つかの実施形態において、酵素バイオ触媒は、適切なリパーゼの使用を含む。幾つかの実施形態において、適切なリパーゼは、第2級アルコールのリパーゼ触媒エステル交換反応が可能である幾つかの実施形態において、適切なリパーゼは、真菌のリパーゼまたは細菌のリパーゼである。幾つかの実施形態において、真菌のリパーゼは、カンジダ・ルゴース(CRL)、カンジダ・アンタルクチカA(CAL - A)、カンジダ・アンタルクチカB(CAL -B)、サーモミセス・ラヌギノサス(TL IL)、またはリゾムコール・ミエヘイ(RL IM)に由来する。幾つかの実施形態において、細菌のリパーゼは、シュードモナス-フルオレッセンス(AK、PFL)、バークホリデリア・セパシア(PS)またはクロモバクテリウム・ビスコサム(CVL)に由来する。幾つかの実施形態において、適切なリパーゼは、Novozyme 435、Novocor AD LおよびLipozyme CALB Lである。幾つかの実施形態において、リパーゼ触媒エステル交換反応は、アシルドナーの存在下において実施される。幾つかの実施形態において、アシルドナーは、不可逆のアシルドナーである。幾つかの実施形態において、アシルドナーは、エノールエステルまたは無水物である。幾つかの実施形態において、エノールエステルは、ビニルエステル、イソプレニルエステルまたはエトキシビニルエステルである。幾つかの実施形態において、エノールエステルは、酢酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニルエステル、4-ペンテン酸ビニルエステル、クロトン酸ビニルエステル、メタクリル酸ビニルエステル、安息香酸ビニルエステル、桂皮酸ビニルエステル、N-Bocグリシン酸ビニルエステルおよびフェニル(チオ)酢酸ビニルエステルからなる群から選択されるビニルエステルである。幾つかの実施形態において、酵素バイオ触媒は、有機溶媒中で実施される。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ブタノール、ジエチルエーテル、TBME、DIPE、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタンである。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert-アミルアルコール、DIPEまたはトルエンである。
【0056】
幾つかの実施形態において、工程b)は、適切な溶媒中の酸で((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(フェニル)メタノンを処理する工程を含む。幾つかの実施形態において、酸は塩酸である。幾つかの実施形態において、適切な溶媒は、有機溶媒である。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、エーテル溶媒である。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジメトキシエタンまたはジエチルエーテルである。
【0057】
前述の態様のいずれかにおいて、本明細書に記載される化合物あるいはその薬学的に許容可能な塩の有効な量が、(a)哺乳動物に全身に投与され、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与され、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与され、および/または、(d)吸入によって投与され、および/または、(e)経鼻投与によって投与され、あるいは、および/または、(f)哺乳動物へ注入によって投与され、および/または、(g)哺乳動物に局所的に投与され、および/または、(h)点眼によって投与され、および/または、(i)哺乳動物に直腸で投与され、および/または、(j)哺乳動物に非全身的に、または局所的に投与される、さらなる実施形態がある。
【0058】
前述の態様のいずれかにおいて、有効な量の化合物の単回投与を含むさらなる実施形態は、化合物が哺乳動物へ一日に一度投与されるか、または化合物が1日のスパンにわたって哺乳動物に複数回投与されるさらなる実施形態を含む。幾つかの実施形態において、化合物は、連続的な投薬スケジュールで投与される。幾つかの実施形態において、化合物は、連続的な毎日の投薬スケジュールで投与される。
【0059】
疾患または疾病の処置に関する前述の態様のいずれかにおいて、本明細書に記載される式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の投与に加えて、少なくとも1つの追加の薬剤の投与を含む、さらなる実施形態がある。様々な実施形態において、それぞれの薬剤は同時を含む任意の順に投与される。
【0060】
本明細書に開示された実施形態のいずれかにおいて、哺乳動物はヒトである。
【0061】
幾つかの実施形態において、本明細書に提供される化合物はヒトに投与される。
【0062】
幾つかの実施形態において、本明細書に提供される化合物は経口で投与される。
【0063】
包装材料、包装材料内の本明細書に記載される化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、および化合物または組成物、あるいはその薬学的に許容可能な塩、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能なプロドラッグ、あるいは薬学的に許容可能な溶媒和物を含む製品が、LOXL2の活性を阻害するために、あるいはLOXL2活性の阻害または減少から利益を得ることになる疾患または疾病の1以上の症状の処置、予防、あるいは改善のために使用される。
【0064】
本明細書に記載の化合物、方法、および、組成物の他の目的、特徴、および、利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の精神と範囲内の様々な変化と修飾が詳細な記載から当業者に明らかとなるため、詳細な記載と特定の実施例は特定の実施形態を示しつつも一例として与えられるものに過ぎないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】化合物2の形態1のX線粉末回折パターンを示す。
【
図2】化合物2の形態1の代表的なDSCサーモグラムを示す。
【
図3】化合物2の形態2のX線粉末回折パターンを示す。
【
図4】化合物2の形態2の代表的なDSCサーモグラムを示す。
【
図5】化合物2の形態3のX線粉末回折パターンを示す。
【
図6】化合物2の形態3の代表的なDSCサーモグラムを示す。
【
図7】化合物2の形態4のX線粉末回折パターンを示す。
【
図8】化合物2の形態4の代表的なDSCサーモグラムを示す。
【
図9】化合物1の形態1のX線粉末回折パターンを示す。
【
図10】化合物1の形態1の代表的なDSCサーモグラムを示す。
【
図11】化合物1の形態2のX線粉末回折パターンを示す。
【
図12】化合物1の形態2の代表的なDSCサーモグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
リシルオキシダーゼ様-2(LOXL2)は、Cu2+とリシンチロシルキノン(tyrosylquinone)(LTQ)依存性のアミンオキシターゼを含むリシルオキシダーゼ(LOX)ファミリーのメンバーである。このファミリーは5つの遺伝子を含む:lox(LOX)、loxl1(リシルオキシダーゼ様-1、LOXL1)、loxl2(LOXL2)、loxl3(リシルオキシダーゼ様-3、LOXL3)、およびloxl4(リシルオキシダーゼ様-4、LOXL4)。LOXファミリーは、コラーゲンとエラスチン中のリジンとヒドロキシリシンのε-アミノ基の酸化的脱アミノを触媒して、これらの分子の架橋を促すことで知られている。コラーゲンとエラスチンの架橋は細胞外マトリックスの抗張力の維持にとって必要不可欠である。
【0067】
病理学的ストローマの発生は疾患において重要な役割を果たす。病理学的ストローマは、活性化されたストローマ細胞、コラーゲン性のマトリックス、成長因子と血管新生の構造からなる。線維形成などの病的状態の間、線維芽細胞が動員され活性化されて、線維症の発症をもたらす細胞外マトリックスタンパク質の合成および沈着の増加を促進する微小環境の生成をもたらす。
【0068】
線維症および癌における疾患関連線維芽細胞の活性化は、細胞外マトリックスのリモデリングをもたらし、それが最終的にコラーゲンIおよびIIIを含む細胞外マトリックスタンパク質の過剰な沈着、新たに沈着したコラーゲンの架橋の増加および組織剛性の増強をもたらす。さらに、活性化線維芽細胞は、多数の血管新生促進性、血管新生促進性、および増殖促進性の増殖因子、ならびにトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)などのサイトカイン、結合組織増殖因子(CTGF)、ストローマ細胞由来因子1(SDF - 1)、および血管内皮増殖因子(VEGF)を発現し、それによって疾患進行におけるパラクリンシグナル伝達において重要な役割を果たす。線維芽細胞の活性化および動員および/またはそれらのシグナル伝達経路の阻害を介してこの病的ストローマの発生を妨害することは、線維性疾患における新規の治療戦略を表す。
【0069】
同様の触媒活性にもかかわらず、リシルオキシダーゼ酵素はそれぞれ特有の発現と機能的な活性を有することが報告されている。LOXL2は、線維芽細胞を活性化して病理学的部位に動員することによって、線維性疾患における病理学的ストローマの発生において中心的な役割を果たす。
【0070】
LOXL2は細胞外マトリックスのリモデリングにおけるその役割に加えて細胞内機能を有することが実証されている。LOXL2は、上皮間葉転換(EMT)トランスデューサー(Snail1)の安定性と機能的な活性を促進することにより、Snail1を正に調節する。LOXL2は、接着斑キナーゼ(FAK)シグナル伝達経路の活性化に正に寄与し、接着斑複合体の組織化に関与する。LOXL2遺伝子のサイレンシングにより上皮細胞極性が再獲得され、乳腺細胞株の移動および侵襲能力が減少する。細胞接着と細胞極性の調節は細胞内のLOXL2によって媒介することが報告されている。LOXL2は、Snail1依存性のメカニズムとSnail1から独立したメカニズムによって、密着結合と細胞極性の遺伝子と同様に、転写的にE-カドヘリンを抑制する。LOXL2は最近では染色質に関連付けられると説明されており、LOXL2の触媒性ドメインに依存する機能であるヒストンH3トリメチル脱アミノに関与することが報告されている。
【0071】
LOXL2は繊維症のプロセスに関係する。繊維形成プロセスは、コラーゲンのような細胞外マトリックス成分の過剰な沈着を含み、これは、不完全な臓器機能と臓器不全をもたらす身体的、生化学的、および生体力学的なマトリックス特性を変える。組織線維症も細胞形質転換と転移を直接的に促すことによって癌の進行に関係している。腫瘍は一般に正常組織より堅く、腫瘍の硬さは腫瘍の転移に影響を及ぼす。
【0072】
過度のLOXL2酵素活性は、腫瘍の堅さの増大に関係している。LOXL2の上昇は、ウィルソン病、原発性胆汁性肝硬変およびNASHを患っている患者の肝臓からの線維性病変にも関連している。さらに、LOXL2に特異的なモノクローナル抗体AB0023の投与は、線維症のモデルにおいて疾患を減少させるのに効果的であった。AB0023は成長因子および架橋コラーゲンマトリックスとTGFベータのシグナル伝達の産生を阻害することが示された。
【0073】
LOXL2は、I型コラーゲン架橋を促進し、そして種々の病因および種々の臓器における線維形成のコアレギュレーターである。循環LOXL2のレベルは線維化段階と相関する。LOXL2は線維性疾患におけるコア経路標的である。Mehal et al. ”Expressway to the core of fibrosis,” Nat Med.2011.17:552-553。
【0074】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示されているのは、哺乳動物における線維症の治療または予防における、化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の使用である。
【0075】
「線維症」は、本明細書で使用されるように、外傷、炎症、組織修復、免疫反応、細胞過形成、および腫瘍形成後に生じる細胞外マトリックス成分の蓄積を指す。
【0076】
幾つかの実施形態において、線維症を減少させるかまたは阻害するのに十分な量の、本明細書に開示される化合物に線維症の細胞または組織を接触させる工程を含む、組織中の線維症を減少させる方法が本明細書で開示される。幾つかの実施形態において、線維症は線維性疾患を含む。
【0077】
幾つかの実施形態において、線維症は、肺線維症、肝線維症、腎線維症、心線維症、腹膜線維症、目の線維症、骨髄線維症または皮膚の線維症を含む。幾つかの実施形態において、線維症は肺線維症を含む。幾つかの実施形態において、線維症は肝線維症を含む。幾つかの実施形態において、線維症は腎線維症を含む。幾つかの実施形態において、線維症は心線維症を含む。幾つかの実施形態において、線維症は腹膜線維症を含む。幾つかの実施形態において、線維症は目の線維症を含む。幾つかの実施形態において、線維症は皮膚の線維症を含む。
【0078】
LOXL2発現の増加は、結腸、食道腫瘍、口腔扁平上皮細胞癌、喉頭扁平上皮細胞癌、および頭頸部扁平上皮癌を抱える患者の予後不良に関係している。LOXL2は乳癌、結腸癌、胃癌、頭頸部癌、肺癌、および黒色腫に関与すると提唱されている。
【0079】
幾つかの実施形態において、本明細書で開示される化合物を用いて癌を処置する方法が本明細書で開示される。
【0080】
本明細書で使用されるように、用語「癌」は、制御されない方法で増殖し、場合によっては転移する(拡散する)傾向がある細胞の異常増殖を指す。癌のタイプとしては、限定されないが、固形腫瘍(膀胱腫瘍、腸腫瘍、脳腫瘍、乳腫瘍、子宮内膜腫瘍、心臓腫瘍、腎臓腫瘍、肺腫瘍、肝臓腫瘍、子宮腫瘍、リンパ組織腫瘍(リンパ腫)、卵巣腫瘍、膵臓腫瘍、または他の内分泌器官(甲状腺)腫瘍、前立腺腫瘍、皮膚腫瘍(黒色腫または基底細胞癌)、または転移のあるまたは転移のない疾患の任意の段階の血液の腫瘍(白血病とリンパ腫など)が挙げられる。
【0081】
幾つかの実施形態において、本明細書には、必要とする哺乳動物に、化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)、あるいはその薬学的に許容可能な塩を含む、哺乳動物における慢性関節リウマチ、若年性特発性関節炎、変形性関節症、または強直性脊椎炎の治療方法が開示される。
【0082】
<(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物I)>
「化合物I」または「(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」または「(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)-ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」、あるいは他の同様の名前も、次の構造の化合物を指す。
【0083】
【0084】
幾つかの実施形態において、化合物Iは、(S,S)-異性体を実質的に含まない(すなわち、化合物Iは、「(S,S)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」または「(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)-ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」あるいは他の同様の名前を実質的に含まない)。
【0085】
エナンチオマーに関して「実質的に含まない」とは、言及されたエナンチオマーが存在しないか、または言及されたエナンチオマーga5%未満、4%未満、3%未満、2%未満もしくは1%未満存在することを意味する。
【0086】
「化合物Ent-I」または「(S,S)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」または「(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)-ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3S,4S)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」、あるいは他の同様の名前も、次の構造の化合物を指す。
【0087】
【0088】
幾つかの実施形態において、ラセミ-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンは、化合物Iの代わりに使用される。ラセミ化合物I(化合物Rac-I)は以下のように表される。
【0089】
【0090】
化合物Iは強力かつ機序に基づくLOXL2阻害剤である。化合物Iは、LOXL2の高親和性で、選択的で、偽不可逆で、小分子阻害剤である。幾つかの実施形態において、化合物Iのアミノメチルピリジン部分は、酵素活性部位と相互作用して時間依存性の擬似不可逆的阻害複合体を形成する。プロファイリング研究は、化合物Iの2つのエナンチオマー(すなわち(R,R)および(S,S))が薬理学的および薬物動態学的プロファイルにおいて互いにおよびラセミ化合物Iと非常に類似していることを示唆する。化合物Iは、インビトロのアッセイにおいて、(S,S)-異性体より強力だった。幾つかの実施形態において、化合物Iは、インビトロアッセイにおいて(S,S)-異性体よりも2倍未満強力であった。
【0091】
幾つかの実施形態において、化合物Iは、LOXL2を特異的に阻害および/または結合する。化合物Iは、LOXL2に特異的に阻害および/または結合し、他のいかなるリシルオキシダーゼも実質的に阻害および/または結合しない。他のリシルオキシダーゼはLOX、LOXLl、LOXL3およびLOXL4を含む。幾つかの実施形態において、化合物IはLOXL2に特異的である。幾つかの実施形態において、化合物Iは、LOXL2の活性を阻害し、実質的にLOXの活性を阻害しない。幾つかの実施形態において、化合物Iは、LOXL2の活性を阻害し、他のリシルオキシダーゼ様タンパク質の活性を実質的に阻害しない。
【0092】
本明細書で使用されるように、「選択的なLOXL2阻害剤」は、他のいかなるリシルオキシダーゼも実質的に阻害および/または結合しないLOXL2の小分子阻害剤をいう。他のリシルオキシダーゼはLOX、LOXLl、LOXL3およびLOXL4を含む。幾つかの実施形態において、選択的なLOXL2阻害剤は、LOXまたはLOXL3を実質的に阻害および/または結合しない。幾つかの実施形態において、選択的なLOXL2阻害剤は、LOXよりもLOXL2に対して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、 少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも120倍、少なくとも140倍、少なくとも160倍、少なくとも180倍、少なくとも200倍、少なくとも250倍、少なくとも300倍、少なくとも350倍、少なくとも400倍、少なくとも450倍、少なくとも500倍、少なくとも550倍、少なくとも600倍、少なくとも650倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍 、少なくとも900倍、または少なくとも1000倍選択的である。幾つかの実施形態において、選択的なLOXL2阻害剤は、LOXよりLOXL2に対して少なくとも400倍選択的である。幾つかの実施形態において、選択的なLOXL2阻害剤は、LOXL3よりもLOXL2に対して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、 少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、少なくとも100倍、少なくとも120倍、少なくとも140倍、少なくとも160倍、少なくとも180倍、少なくとも200倍、少なくとも250倍、少なくとも300倍、少なくとも350倍、少なくとも400倍、少なくとも450倍、少なくとも500倍、少なくとも550倍、少なくとも600倍、少なくとも650倍、少なくとも700倍、少なくとも800倍 、少なくとも900倍、または少なくとも1000倍選択的である。幾つかの実施形態において、選択的なLOXL2阻害剤は、LOXL3よりLOXL2に対して少なくとも5倍選択的である。
【0093】
幾つかの実施形態において、本明細書に開示される(方法、使用、製剤、併用療法等を含む)、化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物は:a)より低いキラル純度の化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物;b)「(S,S)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」または任意の光学純度のその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物;またはc)ラセミ-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンまたはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物に置き換えられる。
【0094】
化合物Iに関して「薬学的に許容可能な塩」という用語は、それが投与される哺乳動物に著しい刺激を引き起こさず、化合物の生物学的活性および性質を実質的に無効にしない化合物Iの塩を指す。Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use. International Union of Pure and Applied Chemistry, Wiley-VCH 2002. S.M. Berge, L.D. Bighley, D.C. Monkhouse, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19. P. H. Stahl and C. G. Wermuth, editors, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection and Use, Weinheim/Zurich: Wiley-VCH/VHCA, 2002。医薬品の塩は一般に、非イオン性の種よりも胃液と腸液で可溶性が強く、かつ迅速に溶解可能であり、したがって、固体の剤形に役立つ。さらに、その溶解度がしばしばpHに応じたものであるため、消化管の1つまたは別の部分における選択的な溶解が可能であり、こうした能力は遅延放出および徐放の挙動の1つの態様として操作可能である。さらに、塩成形分子が中性の形態と平衡状態にあり得るため、生体膜の通過を調節することができる。
【0095】
薬学的に許容可能な塩への言及は溶媒付加形態(溶媒和物)を含むことを理解すべきである。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含み、水、エタノール、メチルtert-ブチルエーテル、イソプロパノール、アセトニトリル、ヘプタンなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた生成物生成または分離のプロセス中に形成される。1つの態様において、溶媒和物は、限定されないが、クラス3の溶媒和物を用いて形成される。溶媒のカテゴリーは、例えば、「ヒト用医薬品登録のための技術的要件の調和に関する国際会議(ICH)」、「不純物:残留溶媒のガイドライン」、Q3C(R3)、(2005年11月)に定義されている。水和物は溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは溶媒がアルコールの際に形成される。1つの実施形態において、化合物Iの溶媒和物またはその薬学的に許容可能な塩は、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩を調製する過程で都合よく調製または形成される。さらに、化合物I、またはその医薬上許容される塩は、非溶媒和形態で存在する。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩は水和されている。
【0096】
多種多様な薬学的に許容可能な塩が化合物Iから形成され、それには以下のものが含まれる:
【0097】
-化合物I(つまり遊離塩基形態)が無機酸で処理される時に形成される塩。無機酸は、限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、およびメタリン酸を含む。
【0098】
-化合物I(つまり、遊離塩基形態)が有機酸で処理される時に形成される塩。有機酸は、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2,2-ジクロロ酢酸;2-ヒドロキシエタンスルホン酸;2-オキソグルタール酸;4-アセトアミド安息香酸;4-アミノサリチル酸;酢酸;アジピン酸;アスコルビン酸(L);アスパラギン酸(L);ベンゼンスルホン酸;安息香酸;樟脳酸(+);カンフル-10-スルホン酸(+);カプリン酸(デカン酸);カプロン酸(ヘキサン酸);カプリル酸(オクタン酸);炭酸;桂皮酸;クエン酸;シクラミン酸;ドデシル硫酸;エタン-1,2-二スルホン酸;エタンスルホン酸;ギ酸;フマル酸;ガラクタル酸;ゲンチジン酸;グルコヘプトン酸(D);グルコン酸(D);グルクロン酸(D);グルタミン酸;グルタル酸;グリセロリン酸;グリコール酸;馬尿酸;イソ酪酸;乳酸(DL);ラクトビオン酸;ラウリン酸;マレイン酸;リンゴ酸(-L);マロン酸;マンデル酸(DL);メタンスルホン酸;フマル酸モノメチル、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸;ナフタレン-2-スルホン酸;ニコチン酸;オレイン酸;シュウ酸;パルミチン酸;パモ酸;リン酸;プロピオン酸;ピログルタミン酸(-L);サリチル酸;セバシン酸;ステアリン酸;コハク酸;硫酸;酒石酸(+L);チオシアン酸;トルエンスルフォン酸(p);および、ウンデシレン酸を含む。
【0099】
化合物Iの薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、L-酒石酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、または酢酸塩を含む。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、硫酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、メシル酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、マレイン酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、リン酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、L-酒石酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、フマル酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、コハク酸塩である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である。
【0100】
幾つかの実施形態において、化合物Iは、対応する硫酸塩を形成するために溶媒中の硫酸で処理される。幾つかの実施形態において、化合物Iは、対応するリン酸塩を形成するために溶媒中のリン酸で処理される。幾つかの実施形態において、化合物Iは、対応するL-酒石酸塩を形成するために、溶媒中のL-酒石酸で処理される。幾つかの実施形態において、化合物Iは、対応するクエン酸塩を形成するために溶媒中のクエン酸で処理される。幾つかの実施形態において、溶媒は、アセトニトリルまたはエタノールである。
【0101】
幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は非晶質である。幾つかの実施形態において、薬学的に許容可能な塩は結晶質である。
【0102】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物Iは、塩化物塩、硫酸塩、臭化物塩、メシル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩として調製される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物Iは塩酸塩として調製される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の化合物Iはメシル酸塩として調製される。
【0103】
本明細書中で使用される「MsO-」は、メタンスルホン酸アニオン、CH3S(O)2O-の略語である。
【0104】
<(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンの塩酸塩(化合物1)>
「化合物1」または「(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンの塩酸塩」または「(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)-ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3R,4R)-(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンの塩酸塩」、あるいは他の類似の名称は、以下の構造を有する化合物を指す。
【0105】
【0106】
化合物1(化合物Ent-1)の(S,S)-エナンチオマーは、以下の構造を有する。
【0107】
【0108】
ラセミ化合物1(化合物Rac-1)は、以下のように示される。
【0109】
【0110】
<非晶質の化合物1>
幾つかの実施形態において、化合物1は、非晶質である。幾つかの実施形態において、化合物1の非晶質相は、結晶性の欠如を示すXRPDパターンを有する。
【0111】
非晶質の化合物1は、40℃/ 75%RHで潮解する。
【0112】
<化合物1の形態1>
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態1である。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)5.5°2-シータ、7.5°2-シータ、18.5°2-シータ、19.4°2-シータ、21.8°2-シータ、および23.5°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図9に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約153℃での吸熱を備えるDSCサーモグラム;または
(d)
図10に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム。
【0113】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態1であり、少なくとも(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群から選択される性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態1であり、少なくとも(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群から選択される3つの性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態1であり、(a)、(b)、(c)、および(d)の性質を有する。
【0114】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、5.5°2-シータ、7.5°2-シータ、18.5°2-シータ、19.4°2-シータ、21.8°2-シータ、および23.5°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0115】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図9に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0116】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、約153℃での吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。
【0117】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図10に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0118】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態1であり、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジメトキシエタンまたはテトラヒドロフラン/水(95:5)の溶液から得られる。
【0119】
形態1は、吸湿性の固体であり、40℃/ 75%RHで1週間貯蔵すると形態2に変化する。
【0120】
<化合物1の形態2>
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態2である。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)6.6°2-シータ、13.2°2-シータ、19.7°2-シータ、22.3°2-シータ、22.5°2-シータ、23.7°2-シータ、24.5°2-シータ、および26.4°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図11に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約43℃および約119℃での吸熱を備えるDSCサーモグラム;または
(d)
図12に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム。
【0121】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態2であり、少なくとも(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群から選択される性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態2であり、少なくとも(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群から選択される3つの性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、および(d)の性質を有する。
【0122】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、6.6°2-シータ、13.2°2-シータ、19.7°2-シータ、22.3°2-シータ、22.5°2-シータ、23.7°2-シータ、24.5°2-シータ、および26.4°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0123】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図11に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0124】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、約43℃および約119℃での吸熱を備えるDSCサーモグラムを有する。
【0125】
幾つかの実施形態において、化合物1は、結晶質であり、
図12に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0126】
形態2は熱により安定しているが、生産に適していない滑らかな固体に経時的な切り替える。
【0127】
<化合物1の合成>
幾つかの実施形態において、以下のスキームに従ってキラル分離を使用する合成経路を介して調製される。
【0128】
【0129】
上記のスキームで示されるように、幾つかの実施形態において、ラセミ-トランス-tert-ブチル((2-(3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバミン酸塩(化合物B)を提供するために、3-(4-((tert-ブトキシカルボニルアミノ)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イルオキシ)安息香酸(化合物A)は、適切なカップリング条件下で、ラセミ-トランス-4-フルオロ-3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩で処理される。
【0130】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、EDC、DCC、BOP、HATUなどの使用を含む。幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、塩基の使用を含む。幾つかの実施形態において、塩基は、有機塩基である。幾つかの実施形態において、塩基は、トリメチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEAまたはDIPEA)、N-メチルモルホリン、ピリジンなどのようなヒンダード塩基である。幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、溶媒の使用を含む。適切な溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどを含む。幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は室温でDCM / DMF中のHATUおよびDIEAを含む。幾つかの実施形態において、tert-ブチル(2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチルカルバミン酸塩(化合物C)を提供するために、ラセミ-トランス-tert-ブチル((2-(3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバミン酸塩(化合物B)は、適切なキラルHPLC法を用いて個々のエナンチオマーに分離される。(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンの塩酸塩(化合物1)を提供するために、tert-ブチル(2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチルカルバミン酸塩(化合物C)は、適切な溶媒中において適切な酸で処理される。幾つかの実施形態において、適切な酸は、塩酸(HCl)、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸またはトルエンスルホン酸である。幾つかの実施形態において、適切な酸は、塩酸(HCl)である。幾つかの実施形態において、適切な溶媒は、ジエチルエーテル(Et2O)である。
【0131】
幾つかの実施形態において、化合物1は、以下のスキームに従う合成経路によって調製される。
【0132】
【0133】
上記のスキームで示されるように、幾つかの実施形態において、メチル3-((4-シアノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-2)を提供するために、2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリル(化合物A-1)は、適切な反応条件の下にさらされる。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、芳香族求核置換(SNAr)反応条件を含む。芳香族求核置換は、芳香族環上で、求核分子がハロゲン化物などの良好な脱離基を置換する置換反応である。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、THF / DMF中のK2CO3を含む3-ヒドロキシ安息香酸メチルを含む。
【0134】
芳香族エーテルを形成する方法としては、本明細書に記載されているかまたは当技術分野に記載されているものが挙げられ、これらに限定されないが、Ulmanエーテル合成、Chan-Lamカップリング、およびBuchwald-Hartwig合成を含む(D. Ma, Q. Cai, Org. Lett., 2003, 5, 3799-3802; C. G. Bates, et al., Org. Lett., 2002, 4, 2803-2806; C. H. Burgos, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 4321-4326; C. H. Burgos, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 4321-4326; D. M. T. Chan, et al., Tetrahedron Lett., 1998, 39, 2933-2936; Z. Liu, R. C. Larock, J. Org. Chem., 2006, 71, 3198-3209; Y.-J. Chen, H.-H. Chen, Org. Lett., 2006, 8, 5609-5612; F. Li, Q. et al., Org. Lett., 2003, 5, 2169-2171; D. A. Evans, et al., Tetrahedron Letters, 1998, 39, 2937-2940; C.-E. Yeom, et al., Synlett, 2007, 146-150)。
【0135】
幾つかの実施形態において、メチル3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-3)を提供するために、メチル3-((4-シアノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-2)は、適切な反応条件下で、CoCl 2およびNaBH 4で処理される。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、0℃でTHF/MeOHを含む。幾つかの実施形態において、メチル3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-3)は、ジ-tert-ブチル重炭酸塩を用いて、メチル3-((4-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-4)に変換される。幾つかの実施形態において、メチル3-((4-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-4)は、LiOHを用いる処置によって、対応する酸である、メチル3-((4-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸(化合物A-5)に加水分解される。幾つかの実施形態において、tert-ブチル((2-(3-(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバミン酸塩(化合物C)を提供するために、メチル3-((4-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸(化合物A-5)は、適切な反応条件下において、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩で処理される。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、DCM/DMF中にHATUおよびDIPEAを含む。幾つかの実施形態において、(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル((3R,4R))-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンの塩酸塩(化合物1)を提供するために、tert-ブチル((2-(3-(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバミン酸塩(化合物C)は、適切な反応条件下において処理される。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、DCM中にHCl/MTBEを含む。
【0136】
幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、90%以上の純度である。幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、95%より高い純度、96%より高い純度、97%より高い純度、98%より高い純度、または99%より高い純度である。
【0137】
幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、90%を超えるキラル純度を有する。幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、95%より高い純度、96%より高い純度、97%より高い純度、98%より高い純度、または99%より高い純度を有する。
【0138】
幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、検出可能な量の化合物1の(S,S)-エナンチオマーを含む。
【0139】
幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、5%未満の(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを含有する。幾つかの実施形態において、化合物1のサンプルは、5%、4%、3%、2%、または1%未満の(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを含有する。
【0140】
<(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン酸塩(化合物2)>
「化合物2」または「(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン酸塩」または「(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)-ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン酸塩」、または他の類似の名称(例えば、化合物2、メシル酸塩)は、以下の構造を有する化合物を指す。
【0141】
【0142】
化合物2の(S,S)-エナンチオマー(化合物Ent-2)は以下の構造を有する。
【0143】
【0144】
ラセミ化合物2(化合物Rac-2)は以下のように示される。
【0145】
【0146】
<非晶質の化合物2>
幾つかの実施形態において、化合物2は、非晶質である。幾つかの実施形態において、化合物2の非晶質相は、結晶性の欠如を示すXRPDパターンを有する。
【0147】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態1である。幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態1であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)13.6°2-シータ、16.9°2-シータ、19.4°2-シータ、20.1°2-シータ、20.3°2-シータ、20.6°2-シータ、23.1°2-シータ、および23.6°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約231℃および約236℃での吸熱を備えたDSCサーモグラム;または
(d)
図2に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム;
(e)0から90%RHの間の約2%w/wの可逆的な水の取り込み;
(f)GVS分析後の不変のXRPDパターン。
【0148】
幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態1であり、少なくとも(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)からなる群から選択される性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態1であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)からなる群から選択される3つの性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態1であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)からなる群から選択される4つの性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態1であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)からなる群から選択される5つの性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態1であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)および(f)の性質を有する。
【0149】
幾つかの実施形態において、化合物2は結晶質であり、13.6°2-シータ、16.9°2-シータ、19.4°2-シータ、20.1°2-シータ、20.3°2-シータ、20.6°2-シータ、23.1°2-シータ、および23.6°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0150】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図1に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0151】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約231℃および約236℃での吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。
【0152】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図2に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0153】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、0から90%RHの間の可逆的な水の取り込み(~2.1%w/w)を有する。
【0154】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、GVS分析後の不変のXRPDを有する。
【0155】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態1であり、エタノールまたはアセトニトリルの溶液から得られる。
【0156】
<化合物2の形態2>
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態2である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態2であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)2.6°2-シータ、3.2°2-シータ、6.3°2-シータ、9.4°2-シータ、15.7°2-シータ、22.1°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図3に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約121.7℃、231.1℃および236.1℃での3つの吸熱を備えたDSCサーモグラム;
(d)
図4に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム;
(e)無水物である;
(f)150℃以上に加熱されると化合物2形態1に変化;
(g)GVS分析後および40℃/75%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化;
(h)25℃/97%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化。
【0157】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも2つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態2であり、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも3つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態2であり、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも4つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態2であり、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも5つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態2であり、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも6つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態2であり、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも7つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は結晶形態2であり、結晶形態2であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)の性質を有する。
【0158】
形態2は、湿気において形態1に変わる。
【0159】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、2.6°2-シータ、3.2°2-シータ、6.3°2-シータ、9.4°2-シータ、15.7°2-シータ、22.1°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0160】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図3に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0161】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約121.7℃、231.1℃および236.1℃での3つの吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。
【0162】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図4に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0163】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、無水物である。
【0164】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態2であり、エタノールおよびn-ヘプタンの溶液から得られる。
【0165】
<化合物2の形態3>
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)2.9°2-シータ、3.2°2-シータ、3.3°2-シータ、15.8°2-シータ、16.9°2-シータ、20.2°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図5に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約132.2℃および238.8℃での2つの吸熱を備えたDSCサーモグラム;
(d)
図6に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム;
(e)ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶媒和されている;
(f)130℃以上に加熱されると化合物2形態1に変化;
(g)GVS分析後および40℃/75%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化;
(h)40℃および75%RHで7日間の後、化合物2形態1に変化。
【0166】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも2つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも3つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも4つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも5つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも6つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)からなる群から選択される少なくとも7つの性質を有する。 幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、および(h)の性質を有する。
【0167】
形態3は、DMSO溶媒和物である。形態3を130℃に加熱し、そして貯蔵条件でXRPDは形態1に変化し、これは形態3が形態1に変換する準安定溶媒和物であることを示すことができる。
【0168】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、2.9°2-シータ、3.2°2-シータ、3.3°2-シータ、15.8°2-シータ、16.9°2-シータ、および20.2°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0169】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図5に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0170】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約132.2℃および238.8℃での2つの吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。
【0171】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図6に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0172】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)で溶媒和されている。
【0173】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態3であり、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびアセトニトリル(MeCN)の溶液から得られる。
【0174】
<化合物2の形態4>
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態4である。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態4であり、以下の性質の少なくとも1つを有する:
(a)13.9°2-シータ、16.6°2-シータ、18.8°2-シータ、19.1°2-シータ、19.7°2-シータ、19.9°2-シータ、20°2-シータ、21.2°2-シータ、22.3°2-シータ、22.7°2-シータ、23.4°2-シータ、および23.8°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターン;
(b)
図7に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターン;
(c)約233℃の吸熱を備えるDSCサーモグラム;または
(d)
図9に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラム。
【0175】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態4であり、少なくとも(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群から選択される性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態4であり、(a)、(b)、(c)、および(d)からなる群から選択される少なくとも3つの性質を有する。幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態4であり、(a)、(b)、(c)、および(d)の性質を有する。
【0176】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、13.9°2-シータ、16.6°2-シータ、18.8°2-シータ、19.1°2-シータ、19.7°2-シータ、19.9°2-シータ、20°2-シータ、21.2°2-シータ、22.3°2-シータ、22.7°2-シータ、23.4°2-シータ、および23.8°2-シータでの特徴的なピークを備えたX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0177】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図7に示されるものと実質的に同一のX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0178】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、約233℃での吸熱を備えたDSCサーモグラムを有する。
【0179】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶質であり、
図8に示されるものと実質的に同一のDSCサーモグラムを有する。
【0180】
幾つかの実施形態において、化合物2は、結晶形態4であり、アセトニトリル中の化合物2のスラリーから単離される。
【0181】
<化合物2の合成>
幾つかの実施形態において、化合物2は、以下のスキームに示されるような合成経路によって調製される。
【0182】
【0183】
上記のスキームで示されるように、3-((4-シアノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸(化合物A-6)を提供するために、適切な反応条件下で、2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリル(化合物A-1)および3-ヒドロキシ安息香酸を反応させる。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、芳香族求核置換(SNAr)反応条件を含む。芳香族求核置換は、芳香族環上で、求核分子がハロゲン化物などの良好な脱離基を置換する置換反応である。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、DMF中のCs2CO3の使用を含む。
【0184】
芳香族エーテルを形成する方法としては、本明細書に記載されているかまたは当技術分野に記載されているものが挙げられ、これらに限定されないが、Ulmanエーテル合成、Chan-Lamカップリング、およびBuchwald-Hartwig合成を含む(D. Ma, Q. Cai, Org. Lett., 2003, 5, 3799-3802; C. G. Bates, et al., Org. Lett., 2002, 4, 2803-2806; C. H. Burgos, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 4321-4326; C. H. Burgos, et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 4321-4326; D. M. T. Chan, et al., Tetrahedron Lett., 1998, 39, 2933-2936; Z. Liu, R. C. Larock, J. Org. Chem., 2006, 71, 3198-3209; Y.-J. Chen, H.-H. Chen, Org. Lett., 2006, 8, 5609-5612; F. Li, Q. et al., Org. Lett., 2003, 5, 2169-2171; D. A. Evans, et al., Tetrahedron Letters, 1998, 39, 2937-2940; C.-E. Yeom, et al., Synlett, 2007, 146-150)。
【0185】
幾つかの実施形態において、2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリル(化合物A-7)を提供するために、3-((4-シアノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸(化合物A-6)は、適切なカップリング条件下で、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩で処理される。
【0186】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、EDC、DCC、BOP、HATUなどの使用を含む。幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、塩基の使用を含む。幾つかの実施形態において、塩基は、有機塩基である。幾つかの実施形態において、塩基は、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)、N-メチルモルホリン、ピリジンなどのようなヒンダード塩基である。幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、溶媒の使用を含む。適切な溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどを含む。
【0187】
幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド・HCl(EDC HCl)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(BOP)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBOP)、ブロモ-トリピロリジノ-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyBrOP)、7-アザ-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyAOP)、エチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセタート-O2)-トリ-(1-ピロリジニル)-ホスホニウムヘキサフルオロリン酸(PyOxim)、3-(ジエトキシ-ホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾ[d]トリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムテトラフルオロホウ酸/ヘキサフルオロリン酸(TBTU(BF4-))、2-(6-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HCTU)、N-[(5-クロロ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-ジメチルアミノ-モルホリノ]-ウロニウムヘキサフルオロリン酸N-オキシド(HDMC)、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルアミニウムヘキサフルオロリン酸(HATU)、1-[1-(シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)-ジメチルアミノ-モルホリノ]-ウロニウムヘキサフルオロリン酸(COMU)、2-(1-オキシ-ピリジン-2-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソチオウロニウムテトラフルオロホウ酸(TOTT)、テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロリン酸(TFFH)、N-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン(EEDQ)、2-プロパンホスホン酸無水物(T3P)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウム塩(DMTMM)、ビス-トリクロロメチルカルボナート(BTC)、または1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)の使用を含む。
【0188】
幾つかの実施形態において、カップリング反応は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール-6-スルホンアミドメチルレジン・HCl(HOBt-6-スルホンアミドメチルレジン・HCl)、ヒドロキシ-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン(HOOBt)、N-ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、1-ヒドロキシ-7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール(HOAt)、エチル2-シアノ-2-(ニトロソ)酢酸塩、および4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)からなる群から選択される1以上の添加剤を含む。
【0189】
幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、最初に酸をハロゲン化アシルに変換し、続いて(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩とカップリングさせることを含む、2段階プロセスを含む。幾つかの実施形態において、酸をハロゲン化アシルに変換するための適切な試薬は、塩化チオニル(SOCl2)、塩化オキサリル((COCl)2)、三塩化リン(PCl3)、オキシ塩化リン(POCl3)、および五塩化リン(PCl5)の使用を含む。これらの反応は、しばしば触媒量のジメチルホルムアミド(DMF)の添加により促進される。
【0190】
酸をハロゲン化アシルに変換するための追加の適切な試薬は、トリメチルアミン、トリフェニルホスフィン(TPP)および塩化物の供給源(例えば、四塩化炭素、トリクロロアセトニトリル)、およびテトラメチル-α-クロロエナミンの存在下における塩化シアヌル(2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン)の使用を含む。
【0191】
塩化アシルを用いるカップリング反応は、形成されたHClを捕捉するために追加の塩基の使用を必要とする。カップリングは、通常、非求核性三級アミン(NEt3、iPr 2NEt [ヒューニッヒ塩基とも呼ばれる]、またはN-メチルモルホリン)の存在下で、不活性乾燥溶媒中で行われる。幾つかの実施形態において、カップリング反応は触媒量のピリジンまたはN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)で促進される。幾つかの実施形態において、ピリジンは、溶媒として使用される。幾つかの実施形態において、金属亜鉛の使用もまた室温でのカップリングを促進することができる。
【0192】
幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩を添加する前に、安息香酸Cを塩化オキサリルで前処理することを含む。
【0193】
幾つかの実施形態において、3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物I)を提供するために、2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリル(化合物A-7)は、適切な還元条件下にさらされる。ニトリルをアミンに還元するための適切なニトリル還元条件は公知である(Nishimura, Shigeo (2001). Handbook of Heterogeneous Catalytic Hydrogenation for Organic Synthesis (1st ed.). Wiley-Interscience. pp. 254*277; March, Jerry (1985), Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure (3rd ed.), Wiley)。
【0194】
幾つかの実施形態において、適切なニトリル還元条件には、ニトリルの接触水素化が含まれる(Karsten et al., (2000). ”Amines, Aliphatic”. Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry)。ニトリル官能基を対応するアミンに水素化するための触媒としては、限定されないが、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、イリジウム、またはオスミウムのような周期律表の遷移群の1以上の元素を含む触媒を使用することが可能である。触媒は、例えば、クロム、鉄、コバルト、マンガン、モリブデン、チタン、スズ、アルカリ金属族の金属、アルカリ土類金属族の金属および/またはリンを含む促進剤でドープすることができる。
【0195】
水素化活性金属とさらなる成分(例えば、アルミニウム)との合金を浸出(活性化)させることによって得られる骨格触媒(ラネー型、すなわちラネー触媒とも呼ばれる)も考えられる。そのような触媒は、ラネーニッケル触媒およびラネーコバルト触媒を含む。
【0196】
幾つかの実施形態において、触媒としては、担持パラジウムまたは白金触媒が使用される。幾つかの実施形態において、担体材料は、活性炭、Al2O3、TiO2、ZrO2、およびSiO2を含むが、これらに限定されない。
【0197】
幾つかの実施形態において、接触水素化触媒は、ラネーニッケル、パラジウムブラック、または二酸化白金の使用を含む。ホウ化コバルトのような他の触媒も考えられる。
【0198】
水素化の他の重要な要素には、溶媒の選択、溶液のpH、立体効果、温度、および水素化容器内の水素の圧力が含まれる。
【0199】
幾つかの実施形態において、適切な水素化条件は、5%のAcOH、Pd(OH)2 /C、およびH2を含む。
【0200】
幾つかの実施形態において、ニトリルをアミンに非触媒的に変換するための非触媒還元剤には、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素リチウム、ジボラン、またはアルコール溶媒中のナトリウム元素が含まれる。
【0201】
幾つかの実施形態において、(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン酸塩(化合物2)を提供するために、3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物I)は、適切な反応条件下で処理される。幾つかの実施形態において、適切な反応条件は、化合物IをACNで希釈すること、メタンスルホン酸(MSA)をゆっくり添加すること、およびHPLC純度によってMSA濃度を調整することを含む。幾つかの実施形態において、反応溶液は、約20±5℃で約1時間熟成させ、約2時間加熱還流された(約82~85℃)。幾つかの実施形態において、混合物は室温で一晩撹拌され、DSCが一致するまで加熱サイクルをさらに3回繰り返された。
【0202】
幾つかの実施形態において、化合物2は、以下のスキームに示されるような合成経路によって調製される。
【0203】
【0204】
上記のスキームに示されるように、幾つかの実施形態において、tert-ブチル((2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバミン酸塩(化合物C)を提供するために、(3-(4-((tert-ブトキシカルボニル)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イルオキシ)安息香酸)(化合物A)および((3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩((R,R)-FP)は、適切なカップリング条件下で反応される。適切なカップリング条件は上記で議論されている。幾つかの実施形態において、適切なカップリング条件は、HATU、DIPEAおよびDCM/DMFを含む。
【0205】
幾つかの実施形態において、(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン酸塩(化合物2)を提供するために、化合物Cは、適切な反応条件下において、メタンスルホン酸で処理される。幾つかの実施形態において、適切な反応条件には、化合物CをDCMに溶解すること、溶液をリアクターに移すこと、およびDCMで希釈することが含まれる。幾つかの実施形態において、メタンスルホン酸を仕込み、反応物を加熱還流し、完了したと見なされるまで一晩撹拌した。幾つかの実施形態において、得られた濃厚な白色スラリーをDCMで希釈し、冷却し、濾過し、メチル-tert-ブチル-エーテル(MTBE)ですすいだ。
【0206】
幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、90%より高い純度である。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、95%より高い純度、96%より高い純度、97%より高い純度、98%より高い純度、または99%より高い純度である。
【0207】
幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、検出可能な量の以下の化合物の少なくとも1つを含む。
【0208】
【0209】
幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、90%より高いキラル純度を有する。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、95%より高い純度、96%より高い純度、97%より高い純度、98%より高い純度、または99%より高いキラル純度を有する。
【0210】
幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、検出可能な量の化合物2の(S,S)-エナンチオマーを含む。
【0211】
幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、5%未満の(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを含有する。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、5%、4%、3%、2%、または1%未満の(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを含有する。
【0212】
<結晶形態の調製>
幾つかの実施形態において、「(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン」の薬学的に許容可能な塩の結晶形態(例えば、(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンの塩酸塩、または(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノンのメタンスルホン塩)は、実施例に概説されるように調製される。本明細書で提示される溶媒和物、温度、および他の反応条件は変わることがあることに留意する。
【0213】
<適切な溶媒>
ヒトのような哺乳動物に投与可能な治療薬は、以下の規制ガイドラインに従って調製されなければならない。こうした政府により規制されたガイドラインは、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則(GMP)と呼ばれる。GMPガイドラインは、例えば最終生産物中の残留溶媒の量などの活性な治療薬の許容可能な汚染レベルを概説したものである。好ましい溶媒は、GMP設備での使用に適しており、産業上の安全性に係る懸念に矛盾しない。溶媒の分類は、例えば、the International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use (ICH), ”Impurities: Guidelines for Residual Solvents, Q3C(R3), (November 2005)において定義されている。
【0214】
溶媒は3つのクラスへ分類される。クラス1の溶媒は毒性であり、避けるべきものとされている。クラス2の溶媒は治療薬の製造中の使用に制限された溶媒である。クラス3の溶媒は潜在的に低毒性あり、ヒトの健康に対するリスクが低い溶媒である。クラス3の溶媒のデータは、それが急性または短期の研究において毒性が低く、遺伝毒性試験でも陰性であることを示す。
【0215】
回避されるべきクラス1の溶媒は、ベンゼン;四塩化炭素;1,2-ジクロロエタン;1,1-ジクロロエテン;および1,1,1-トリクロロエタンを含む。
【0216】
クラス2の溶媒の例は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N-メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテン、およびキシレンである。
【0217】
低毒性を持つクラス3の溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル(MTBE)、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、イソブチルアセテート、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、およびテトラヒドロフランを含む。
【0218】
医薬品有効成分(API)中の残留溶媒は、APIの製造に由来する。場合によっては、溶媒は実際の製造技術によっては完全には取り除かれない。APIの合成のための溶媒の適切な選択により、収率が増強されることもあれば、結晶形、純度、および溶解性のような特性が決定されることもある。したがって、溶媒は合成プロセスでは重大な意味を持つパラメータである。
【0219】
幾つかの実施形態において、化合物Iの塩を含む組成物は、有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物Iの塩を含む組成物は、残留量の有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物Iの塩を含む組成物は、残留量のクラス2溶媒を含む。いくつかの実施形態において、クラス2溶媒は、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2-ジメトキシエタン、N.N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、1,2-エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2-メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N-メチルピロリジン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2-トリクロロエテンおよびキシレンから選択される。 幾つかの実施形態において、クラス2溶媒は、ジクロロメタン、アセトニトリルおよびN,N-ジメチルホルムアミドである。幾つかの実施形態において、化合物Iの塩を含む組成物は、残留量のクラス3溶媒を含む。幾つかの実施形態において、有機溶媒はクラス3溶媒である。幾つかの実施形態において、クラス3溶媒は、酢酸、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、tert-ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロパノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、およびテトラヒドロフランからなる群から選択される。幾つかの実施形態において、クラス3溶媒は、酢酸エチル、tert-ブチルメチルエーテル、ヘプタン、およびアセトンから選択される。
【0220】
幾つかの実施形態において、化合物Iの塩を含む組成物は、検出可能な量の有機溶媒を含む。幾つかの実施形態において、化合物Iの塩は、塩酸塩(すなわち、化合物1)である。幾つかの実施形態において、化合物Iの塩は、メシル酸塩(すなわち、化合物2)である。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、クラス2溶媒である。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、クラス3溶媒である。
【0221】
<(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール>
幾つかの実施形態において、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール-塩酸塩は、スキーム5に記載されるように調製される。
【0222】
【0223】
幾つかの実施形態において、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールは、酵素バイオ触媒の使用で、ラセミ(トランス-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(フェニル)メタノンから調製される。幾つかの実施形態において、酵素バイオ触媒は、適切なリパーゼの使用を含む。リパーゼは、バイオ触媒において最も一般的に用いられているクラスの酵素のうちの1つである。それらは様々な基質に使用されており、非常に広い基質特異性を示す。リパーゼは、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、グリセロールおよび遊離脂肪酸へのトリアシルグリセロールの加水分解を触媒する。反応は無水条件下で逆転し、酵素はエステル化、加アルコール分解およびエステル交換によって新しい分子を合成することができる。すべての反応は、温和な反応条件下で高い部位およびエナンチオ選択性で実施することができる。
【0224】
リパーゼの合成用途は、それらの化学選択性、位置選択性および立体選択性を利用する。リパーゼは、保護技術および脱保護技術を含む多官能性化合物の位置および化学選択的反応を触媒する。
【0225】
リパーゼ触媒エステル交換の立体選択性は、対応するラセミ体の速度論的分割によるエナンチオ純粋なアルコールの製造に使用される。リパーゼ触媒作用はヒドロキシル官能基について維持されているが、他の官能基がアルコール構造において認められている。第二級アルコールで得られるエナンチオ選択性は、第一級または第三級アルコールで観察されるものと比べてしばしば高い。二級アルコールのためのリパーゼ触媒作用は、不斉中心に直接結合したヒドロキシル官能基に向けられている。
【0226】
第二級アルコールおよびエステルの速度論的分割は、それぞれリパーゼ触媒アシル化およびアルコール分解によって有機溶媒中で行われる。 それはアルコールとしての一方のエナンチオマーおよびエステルとしての他方のエナンチオマーの形成をもたらす。 各エナンチオマーの最大理論収率は50%である。
【0227】
アルコールのリパーゼ触媒分割はアシルドナーの存在下で行われる。いくつかの実施形態において、アルコールのリパーゼ触媒分割は、準不可逆的または不可逆的アシルドナーの存在下で行われる。いくつかの実施形態において、アルコールのリパーゼ触媒分割は、不可逆的エステル交換試薬としてのエノールエステルの存在下で行われる。
【0228】
準不可逆的および不可逆的アシルドナーは活性化アシルドナーに属し、それらは酵素反応速度の増加に寄与する。準不可逆的アシルドナーとしては、2,2,2-トリフルオロエチルエステル、シアノメチルエステル、およびオキシムエステルが挙げられるが、これらに限定されない。不可逆的アシルドナーとしては、無水物およびエノールエステルが挙げられるが、これらに限定されない。エノールエステルとしては、ビニルエステル、イソプレニルエステル、およびエトキシビニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。ビニルエステルとしては、酢酸ビニルエステル、ピバリン酸ビニルエステル、4-ペンテン酸ビニルエステル、クロトン酸ビニルエステル、メタクリル酸塩ビニルエステル、安息香酸ビニルエステル、桂皮酸ビニルエステル、N-Bocグリシン酸ビニルエステル、およびフェニル(チオ)酢酸ビニルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
可逆的アシルドナー(アルキルエステルとチオエステル)がアシル化に使用される場合、過剰のアシルドナーを使用することによって、または反応混合物中に形成された生成物を除去することによって、熱力学的平衡を生成物形成に向かってシフトさせることができる。
【0230】
幾つかの実施形態において、酵素反応は、有機溶媒中で実施される。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ブタノール、ジエチルエーテル、TBME、DIPE、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタンである。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert-アミルアルコール、DIPEまたはトルエンである。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、アセトンである。
【0231】
合成反応に使用されるリパーゼは、一般に微生物由来のものである。真菌のリパーゼは、カンジダ・ルゴース(Candida rugose)(CRL)、カンジダ・アンタルクチカA(Candida antarctica A)(CAL-A)、カンジダ・アンタルクチカB(Candida antarctica B)(CAL-B)、サーモミセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)(TL IL)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)(RL IM)を含む。細菌のリパーゼは、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)(AK、PFL)、バークホリデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)(PS)、クロモバクテリウム・ビスコサム(Chromobacterium viscosum)(CVL)を含む。
【0232】
リパーゼは、カンジダ・アンタルクチカリパーゼB、バークホリデリア・セパシアリパーゼおよびサーモミセス・ラヌギノサスリパーゼを含む。酵母カンジダ・アンタルクチカは、2つの異なるリパーゼ、A(CAL-A)とB(CAL-B)を産生する。両方のリパーゼは精製され、特徴づけられ、固定化形態で利用可能である。CAL-Bは、33kDaの分子量および6.0のpIを有するタンパク質である。酵素は、pH範囲3.5-9.5の上の水性培地において安定である。変性温度は50-60℃の間にある。最も頻繁に使用されるCAL-B調製物は、開示されていないプロトコルに基づいて多孔質アクリルポリマー樹脂上に固定化された酵素を含むNovozyme 435である。CAL-Bを含む追加の酵素の調製物は、IMMCALB-T1-1500、IMMCALB-T2-150、IMMCALB-T2-350、IMMCALB-T3-150、IMMCALBY-T1-1500、IMMCALBY-T2-150、IMMCALBY-T2-350、IMMCALBY-T3-150が挙げられるが、これらに限定されない。固定化方法は、乾燥ポリプロピレンビーズへの吸着または乾燥もしくは湿潤アクリルビーズへの共有結合のいずれかである。ビーズのサイズは様々であり得る(150-300μm、350-700μm、<1500μm)。
【0233】
バークホリデリア・セパシアリパーゼ(以前はシュードモナス・セパシアと呼ばれていた)は細菌由来のものである。バークホリデリア・セパシアリパーゼは、320アミノ酸からなる分子量33kDaのタンパク質である。このリパーゼは、遊離型(リパーゼSLおよびリパーゼAH)で入手可能であり、珪藻土(PS-D)への吸着によって固定化されるか、またはセラミックToyonite 200(PS-C II)の強い吸着力によって固定化される。
【0234】
サーモミセス・ラヌギノサスリパーゼ(以前はHumicola lanuginosaと呼ばれていた)は真菌由来である。このタンパク質は、30kDaの分子量および269個のアミノ酸を有する。最適pHは11-12であり、熱安定性は55-60℃まで維持される。サーモミセス・ラヌギノサスリパーゼは、市販製剤Lipolase(登録商標)の活性成分である。サーモミセス・ラヌギノサス由来のリパーゼ調製物は、Lipozyme TL IM(シリカ上で固定化されたリパーゼ)、IMMTLL-T1-1500(ポリプロピレン上の吸着によって固定化されたリパーゼ)およびIMMTLL-T2-150(ポリアクリル酸ビーズ上で、共有結合で固定化されたリパーゼ)を含む。
【0235】
さらに、1つの哺乳動物リパーゼ(ブタ膵臓(PPL))が有用であることが証明されている。
【0236】
いくつかの実施形態では、本明細書での使用が企図されるリパーゼ酵素は、固定化リパーゼ酵素を含む。固体担体上へのリパーゼ酵素の固定化は、生体触媒作用に対して多くの利益をもたらす。固定化リパーゼ酵素の利点には、非水性溶媒中でのより優れた性能、反応生成物の効率的な回収および分離、コスト削減のためのリサイクル、生成物のタンパク質汚染の最小化、熱からの安定性の向上、有機溶媒または自己分解、コスト効率に対するより高い触媒生産性、および便利で安全な取り扱いが含まれる。
【0237】
固定化酵素は、エステルのエナンチオ選択的分割、エステルを形成するためのアルコールのアシル化、敏感な基質の穏やかな加水分解またはアシル化、ラセミアルコールのエステル交換による速度論的分割、ラセミエステルの加水分解による速度論的分割に有用である。
【0238】
有機溶媒中では、リパーゼは凍結乾燥により、およびますます固定化により得られる乾燥形態で使用される。固定化リパーゼを使用する利点は、容易な回収、再利用可能性、および連続プロセスを開発する可能性などの不均一系触媒作用に由来するものである。固定化は有機溶媒中での安定性を高めるために使用される。さらに、活性、基質特異性およびエナンチオ選択性は、固定化によって改善され得る。固定化に利用可能な方法は、担体への吸着および担体へのカプセル化または共有結合である。酵素の架橋は、担体を使用せずに共有結合を形成することに基づく固定化の特別な場合である。
【0239】
幾つかの実施形態において、Novozyme(登録商標)435は、ラセミアルコールC2のエステル交換反応による速度論的分割のためのリパーゼ酵素として使用される。Novozyme(登録商標)435は、疎水性担体(アクリル樹脂)に固定化されたCALBリパーゼである。ラセミアルコールC2の分割のために企図されるさらなるリパーゼ酵素としては、Novocor(登録商標)ADL(カンジダ・アンタルクチカA(CALA)由来)およびLipozyme(登録商標)CALB L(カンジダ・アンタルクチカB(CALB)由来)が挙げられる。
【0240】
幾つかの実施形態において、ラセミアルコールC2をアセトン中の酢酸ビニルおよびNovozyme(登録商標)435で処理して、未反応アルコールC 3およびエステルC 4を得る。アルコールC3とエステルC4は分離されている。 いくつかの実施形態において、アルコールC3およびエステルC4はカラムクロマトグラフィーによって分離される。
【0241】
幾つかの実施形態において、アルコールC3のキラル純度は、アルコールC3をアセトン中で2回目の酢酸ビニルおよびNovozyme(登録商標)435に供することによって高められる。反応が完了したとみなされた後、アルコールC3が精製される。幾つかの実施形態において、アルコールC3はカラムクロマトグラフィーによって精製される。
【0242】
化合物C3のアミドは、それから、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを提供するために、加水分解される。幾つかの実施形態において、化合物C3は、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを提供するために、適切な溶媒中の酸で処理される。幾つかの実施形態において、酸は、塩酸である。幾つかの実施形態において、適切な溶媒は、有機溶媒である。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、エーテル溶媒である。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジメトキシエタンまたはジエチルエーテルである。幾つかの実施形態において、有機溶媒は、1,4-ジオキサンである。
【0243】
<特定の化学用語>
他に明記のない限り、本出願で使用される以下の用語は、以下に与えられる定義を有する。用語「含む(including)」に加えて、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んだ(included)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみのためのものであり、記載される主題を制限すると解釈されるものではない。
【0244】
本明細書で使用されるような、製剤、組成物または成分に関する用語「許容可能な」は、処置されている被験体の健康状態に対して持続的な有害効果がないことを意味する。
【0245】
本明細書で使用されるような用語「調節する(modulate)」は、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を拡大することを含む、標的の活性を変更するように、直接的または間接的に標的と相互作用することを意味する。
【0246】
本明細書で使用されるような用語「モジュレーター」は、直接的または間接的に標的と相互作用する分子を指す。相互作用は、限定されないが、アゴニスト、部分アゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、分解剤(degrader)、またはそれらの組み合わせの相互作用を含む。幾つかの実施形態において、修飾物質はアンタゴニストである。幾つかの実施形態において、修飾物質は分解剤である。
【0247】
本明細書で使用されるような用語「投与する(administer)」、「投与する(administering)」、「投与(administration)」などは、生物学的作用の望ましい部位への化合物または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。これらの方法は、限定されないが、経口経路、十二指腸内経路、非経口注入(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内、または点滴を含む)、局所投与、および直腸投与を含む。当業者は、本明細書に記載される化合物および方法を用いて使用され得る投与技術に精通している。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物および組成物は、経口で投与される。
【0248】
用語「同時投与」などは、本明細書で使用されるように、1人の患者に対する選択された治療剤の投与を包含するように意図され、同じ又は異なる投与経路あるいは同じ又は異なる時間で薬剤が投与される処置レジメンを含むように意図されている。
【0249】
本明細書で使用されるような用語「有効な量」または「治療上効果的な量」は、処置されている疾患または疾病の症状の1つ以上をある程度まで軽減する、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生体系の他の所望の変化を含む。例えば、治療用途のための「有効な量」は、疾患症状の臨床的に有意な減少をもたらすのに必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。個々のケースでの適切な「有効な」量は、用量漸増試験などの技術を使用して随意に決定される。
【0250】
本明細書で使用されるような用語「増強する(enhance)」または「増強する(enhancing)」は、効能または持続時間のいずれかにおいて望ましい結果を増大させる又は延長することを意味する。従って、治療薬の効果を増強することに関して、用語「増強すること」は、効力または持続時間のいずれかで、系に対する他の治療薬の効果を増加または延長する能力を指す。「増強させる有効な量」は、本明細書で使用されるように、所望の系において別の治療薬の効果を増強するのに十分な量を指す。
【0251】
本明細書で使用されるような用語「医薬組成物(pharmaceutical combination)」は、1より多くの有効成分の混合または組み合わせから結果として生じる生成物を意味し、有効成分の固定した組み合わせ及び非固定の組み合わせの両方を含む。用語「固定された組み合わせ」は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、単一の実体または用量の形態で同時に患者に両方とも投与されることを意味する。用語「固定されていない組み合わせ」は、有効成分、例えば、本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および助剤が、特定の介在する時間制限なく、同時に、同時発生的に、また連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、こうした投与は、患者の身体に有効レベルの2つの化合物を提供する。後者の用語はカクテル療法、例えば、3以上の活性成分の投与にも当てはまる。
【0252】
用語「キット」および「製品」は、同義語として使用される。
【0253】
用語「被験体」または「患者」は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、哺乳動物のクラスの任意のメンバーを含んでいる:ヒト、チンパンジーのようなヒト以外の霊長類、および他の類人猿並びにサル類;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物;ラット、マウスおよびモルモットなどの、げっ歯類を含む実験動物を含む。1つの態様では、哺乳動物はヒトである。
【0254】
本明細書で使用されるような用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、予防的に及び/又は治療的に、疾患または疾病の少なくとも1つの症状を緩和、軽減、または改善すること、追加の症状を予防すること、疾患または疾病を阻害すること、例えば、疾患または疾病の進行を妨げること、疾患または疾病を軽減すること、疾患または疾病の退行を引き起こすこと、疾患または疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、あるいは疾患または疾病の症状を止めることを含む。
【0255】
<医薬組成物/製剤>
医薬組成物は、活性化合物を医薬的に使用され得る製剤へと処理するのを促進する賦形剤及び助剤を含む、1以上の生理学的に許容可能な担体を使用する従来の方法で製剤され得る。適切な技術、担体および賦形剤は例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)で見られるものを含み、これらの文献は、その全体を引用することで本明細書に組み込まれる。
【0256】
幾つかの実施形態において、経口投与のために、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)は、活性化合物と薬学的に許容可能な担体または賦形剤とを組み合わせることにより製剤される。このような担体は、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)が、処置される被験体による経口摂取のための、錠剤、粉末剤、丸剤、ドラゼー、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁液などのように製剤されることを可能にする。幾つかの実施形態において、経口投与のために、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)は、活性化合物と薬学的に許容可能な担体または賦形剤とを組み合わせずに製剤され、哺乳動物に投与するためのカプセルに直接入れられる。
【0257】
本明細書に記載される医薬組成物は、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、化合物1を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、非晶質の化合物1を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、結晶質の化合物1を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、化合物2を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、非晶質の化合物2を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、結晶質の化合物2を含む。
【0258】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は次のものを含む:(a)化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2);および下記の1つ以上:(b)結合剤:(c)崩壊剤;(d)充填剤(希釈剤);(e)潤滑剤;(f)流動促進剤(glidants)(流れ促進剤(flow enhancers));(g)圧縮補助剤(compression aids);(h)着色剤;(i)甘味料;(j)保存料;(k)懸濁剤(suspencing)/分散剤(l)塗膜形成剤/コーティング;(m)香料;(o) 印刷用インク;(p)可溶化剤 ;(q)酸中和剤 ;(r) 緩衝剤;(s) 抗酸化剤 ;(t)発泡剤(effervsescent agent)。
【0259】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は次のものを含む:(1)化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2);および(b)カプセルシェル。
【0260】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)に加えて、下記のI以上を含む:(a)ステアリン酸マグネシウム;(b)ラクトース;(c)微結晶性セルロース;(d)ケイ化した微結晶性セルロース;(E)マンニトール;(f)デンプン(トウモロコシ);(g)二酸化ケイ素;(h)二酸化チタン;(i)ステアリン酸;(j)デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate);(k)ゼラチン;(l)タルク;(m)サクロース;(n)アスパルテーム;(o)ステアリン酸カルシウム;(p)ポビドン;(q)α化デンプン;(r)ヒドロキシプロピルメチルセルロース;(s)OPA生成物(コーティング&インク);(t)クロスカルメロース;(u)ヒドロキシプロピルセルロース;(v)エチルセルロース;(w)リン酸カルシウム(二塩基);(x)クロスポビドン;(y)セラック(および、光滑剤);(z)炭酸ナトリウム;(aa)ハイプロメロース。
【0261】
1つの実施形態において、経口使用のための医薬調製物は、1もしくはそれより多い固体の賦形剤を、本明細書中に記載されている1もしくはそれより多い化合物と混合することによって得られ、必要に応じて、錠剤を得るために、結果的に得られた混合物を任意に粉砕し、適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理することで得られる。適切な賦形剤は、特に、ラクトーゼ、ショ糖、マンニトール、または、ソルビトールを含む砂糖などの充填剤;次のもののようなセルロース製剤:例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、じゃがいもデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの、セルロース調剤;又は、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)或いはリン酸カルシウムなどの他のものを含む。必要に応じて、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、または、アルギン酸、あるいは、アルギン酸ナトリウムなどのそれらの塩といった崩壊剤が加えられる。
【0262】
1つの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物は、水性の経口の分散液、固体経口剤形、速い溶解製剤、発泡性の製剤、凍結乾燥された製剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、制御放出製剤、脹溶錠、吸入された粉体、吸入された分散液、IV製剤を含むが、これらに限定されずに任意の適切な投与形態へ製剤される。
【0263】
更なる実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、圧縮錠剤、湿製錠剤、速溶錠剤、有核錠、または腸溶錠、糖衣錠剤、或いはフィルムコーティング錠剤として提供され得る。
【0264】
製薬の剤形は、様々な方法で製剤することができ、即時放出型、徐放型、および遅延放出型を含む様々な薬物放出特性を提供することができる。場合によっては、あらかじめ決められた時間、十分に連続的な放出をもたらすために(すなわち、徐放)、または、薬物投与後にすぐに放出をもたらすために投与(すなわち、即時放出)、特定の時間が過ぎるまで(持続放出)、薬物投与後の薬物の放出を防ぐことが望ましい。
【0265】
幾つかの実施形態において、製剤は、例えば、必要であれば、週に1回、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、1週間に1回、隔日に1回、1日に1回、1日に2回(t.i.d.)、または1日に3回(t.i.d.)の投与で、治療上有効量の化合物Iまたはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)を提供する。1つの実施形態において、製剤は、1日1回の投与を可能とする、有効な量の化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を提供する。
【0266】
1つの実施形態において、化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)は、1日1回投与を提供する即時放出形態に製剤される。一般的に言えば、治療効果を引き出すのに有効な時間で、インビボで効果的であると認められる濃度と釣り合う血漿レベルを達成するのに有効な量の化合物I、またはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)を投与することが望ましい。
【0267】
幾つかの実施形態において、化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)および1以上の賦形剤を乾式混合し、経口投与後、約10分以内、約15分以内、約20分以内、約25分以内、約30分以内、約35分以内、または約40分以内に実質的に崩壊し、よって化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)の製剤を胃腸液に放出する、医薬組成物を提供するのに十分な硬度を有する錠剤などの塊に圧縮する 。
【0268】
即時放出剤形で本明細書に提供される医薬組成物は、75%以上の治療活性成分または組合せを放出することができ、および/またはUSP XXII, 1990 (The United States Pharmacopeia.)で記載される錠剤のコアに含まれる特定の治療薬または組合せの即時放出錠剤の崩壊または溶解要件を満たすことができる。即時放出医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、経口の溶液、粉体、ビーズ、ペレット剤、粒子などを含む。
【0269】
医薬組成物に使用される賦形剤は、化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)との適合性および所望の剤形の放出プロファイル特性に基づいて選択されるべきである。例示的な賦形剤としては、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑剤、湿潤剤、希釈剤などが挙げられる。
【0270】
結合剤は、固体の経口剤形製剤に粘着性を不よする:粉末を充填されたカプセル製剤について、ソフトまたはハードシェルのカプセル剤へと充填される結合剤はプラグ形成を助け、および錠剤の製剤について、結合剤は圧縮後に錠剤を無傷のまま保ち、かつ圧縮または充填の工程の前に混合均一性を確保するのを助ける。
【0271】
幾つかの実施形態において、結合剤は、デンプン、糖、ポビドン、セルロース、または微結晶セルロースなどの変性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、またはキシリトール、ソルビトールまたはマルチトールなどの糖アルコールから選択される。幾つかの実施形態において、結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。幾つかの実施形態において、結合剤は、ヒプロメロース(例えばMethocel E5)である。
【0272】
一般に、粉末充填ゼラチンカプセル製剤では、20-70%の結合剤レベルが使用される。錠剤製剤における結合剤使用量レベルは、直接圧縮、湿式造粒、ローラー圧縮、またはそれ自体が中程度の結合剤として作用する充填剤などの他の賦形剤の使用によって異なる。
【0273】
分散剤および/または粘度調整剤は、液体培地あるいは造粒方法または配合方法によって薬物の拡散および均質性を制御する物質を含む。幾つかの実施形態において、これらの薬剤はまた、コーティングの効果又はマトリックスを腐食する効果を促進する。
【0274】
特定の実施形態において、希釈剤は組成物のかさ(bulk)を増やして圧縮を促すか、またはカプセル充填のための均質混合のために十分なかさを作り出す。
【0275】
用語「崩壊する」は、胃腸液と接触したときの剤形の溶解および分散の両方を含む。「崩壊剤(Disintegration agents or disintegrants)」は、物質の分解又は崩壊を促進する。幾つかの実施形態において、1つの態様では、固体経口剤形は、最大15%w / wの崩壊剤を含む。幾つかの実施形態において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。他の態様では、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムまたはクロスポビドンである。
【0276】
充填剤は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、α化デンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物を含む。
【0277】
一態様では、充填材はラクトース(例えば一水和物)である。他の態様では、充填材はマンニトール、またはリン酸二カルシウムである。他の態様では、充填材はマンニトール、微結晶性セルロース、リン酸二カルシウムまたはソルビトールである。
【0278】
胃腸液は、本明細書に記載の組成物の経口投与後の、被験体の胃液または被験体の唾液の液、またはそれらの等価物である。「胃分泌物の等価物」は、例えば、水中の1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液または0.1N HCl溶液のような胃液分泌物と同様の含有量および/またはpHを有するインビトロ液を含む。さらに、擬似腸液(USP)はpH6.8の水性リン酸緩衝液系である。
【0279】
潤滑剤および流動促進剤は、物質の接着または摩擦を防ぐ、低減する、または阻害する化合物である。一態様では、固体経口剤形は、約0.25%w / wから約2.5%w / wの滑滑剤を含む。他の態様では、固体経口剤形は、約0.5%w / wから約1.5%w / wの潤滑剤を含む。
【0280】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載された固体剤形は、錠剤(即時放出錠剤、徐放錠、持続放出性錠、腸溶錠、懸濁液錠剤、速い溶解の錠剤、咬傷崩壊錠剤、迅速な崩壊の錠剤、発泡錠あるいはカプレットを含む)、丸剤、散剤(滅菌包装散剤、調剤可能散剤、または発泡剤散剤を含む))、重要でない粉体、あるいは発泡粉末、カプセル剤(ソフトカプセルまたはハードカプセルの両方を含む、例えば動物由来のゼラチンまたは植物由来のHPMCから作製されたカプセル、または「スプリンクルカプセル」)である。 )、固体分散液、多微粒子の剤形、ペレット剤または顆粒の形態である。
【0281】
他の実施形態において、医薬製剤は、散剤の形態である。また他の実施形態において、医薬製剤は、即時放出錠剤を含むがこれに限定されない錠剤の形態である。さらに、本明細書に記載の医薬製剤は、単回投与または複数回投与で投与される。幾つかの実施形態において、医薬製剤は、2個、3個、または4個の錠剤で投与される。
【0282】
固体剤形、例えば錠剤、発泡錠、およびカプセル剤は、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を1種以上の医薬賦形剤と混合してバルクブレンド組成物を形成することによって調製される。これらのバルクブレンド組成物を参照する場合、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)粒子が組成物中に均一に分散され、その結果組成物は錠剤などの同等に有効なピル、またはカプセルなどの単位剤形に容易に細分され得る。 1つの実施形態において、個々の単位投与量はまた、経口摂取または希釈剤との接触後に崩壊する、フィルムコーティングを含み得る。1つの実施形態では、これらの製剤は従来の技術によって製造される。
【0283】
従来の技術は、含む、例えば、以下の方法の1つまたはそれらの組み合わせを含む:(1)乾燥混合、(2)直接圧縮、(3)ミリング、(4)乾燥または非水性の造粒、(5)湿式造粒法、または(6)融合。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照。他の方法は、例えば、噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒(melt granulation)、造粒、流動床噴霧乾燥またはコーティング(例えばウースターコーティング)、接点コーティング(tangential coating)、頂部噴霧(top spraying)、錠剤化、押し出しなどを含む。
【0284】
圧縮錠剤は、上記のバルクブレンド製剤を圧縮することによって調製された固形剤形である。様々な実施形態において、口の中で溶解するよう設計される圧縮錠剤は、1以上の香味料を含む。他の実施形態において、圧縮錠剤は、最終的な圧縮錠剤を囲むフィルムを含む。いくつかの実施形態において、フィルムコーティングは患者の服薬遵守を助ける(例えば、Opadry(登録商標)コーティングまたは糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは典型的に、約1%から約5%までの錠剤重量の範囲にある。他の実施形態において、圧縮錠剤は1以上の賦形剤を含む。
【0285】
本明細書で提供されるのは、有効成分、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの組み合わせを含む、フィルムコーティング剤形の医薬組成物;および従来の錠剤化方法を用いて錠剤コアを形成し、続いてコアをコーティングするための1種以上の錠剤賦形剤である。錠剤のコアは、従来の顆粒化方法、例えば、湿式または乾式の造粒法と、随意に顆粒の粉砕とその後の圧縮およびコーティングを用いて生成することができる。
【0286】
本明細書でさらに提供されるのは、有効成分、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの組み合わせを含む、腸溶コーティング剤形の医薬組成物;および腸溶コーティング剤形で使用するための1種以上の放出制御賦形剤である。医薬組成物は非放出制御型賦形剤をさらに含んでもよい。
【0287】
腸溶性コーティングは、胃酸の作用に抵抗するが腸内で溶解または崩壊するコーティングである。
【0288】
一態様では、本明細書に開示されている経口固体剤形は腸溶性コーティングを含む。腸溶性コーティングは、以下のうちの1つ以上を含む:酢酸フタル酸セルロース;アクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体;酢酸コハク酸セルロース;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロース酢酸コハク酸塩);酢酸ビニル樹脂フタル酸塩(PVAP);メタクリル酸メチル-メタクリル酸共重合体;メタクリル酸共重合体、酢酸セルロース(またそのコハク酸塩およびフタル酸塩説明);スチロールマレイン酸共重合体;ポリメタクリル酸/アクリル酸共重合体;ヒドロキシエチルエチルセルロースフタル酸塩;ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸コハク酸塩;酢酸セルローステトラヒドロフタレート;アクリル樹脂;セラック。
【0289】
腸溶性コーティングは、それが小腸に達するまで溶解しないように、錠剤、丸剤、カプセル剤、ペレット剤、ビーズ剤、顆粒剤、粒子剤などに塗布されるコーティング剤である。
【0290】
糖衣錠は糖衣で囲まれた圧縮錠であり、これは不快な味または臭いを覆い隠し、そして錠剤を酸化から保護するのに有益であり得る。
【0291】
フィルムコーティング錠は、水溶性材料の薄層またはフィルムで覆われている圧縮錠である。フィルムコーティングは限定されないが、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウム・カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000および酢酸フタル酸セルロースを含んでいる。フィルムコーティングは糖衣と同じ一般的特色を与える。多重圧縮錠剤は、層状錠剤、およびプレスコート錠またはドライコート錠を含む、2回以上の圧縮サイクルによって製造された圧縮錠である。幾つかの実施形態において、迅速な能動放出のための即時崩壊を可能にする水溶性のpH非依存性フィルムコーティングでコーティングされている(例えば、Opadry製品)。
【0292】
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は制御放出剤形の形態である。本明細書で使用されているように、用語「制御放出」は、経口で投与された時活性成分の放出の速度または場所が即時の剤形のそれとは異なる剤形を指す。制御放出剤形には、遅延放出、持続放出、持続放出、持続放出、パルス放出、調節放出、標的放出、プログラム放出が含まれる。制御放出剤形の医薬組成物は、マトリックス制御放出装置、浸透圧制御放出装置、多粒子制御放出装置、イオン交換樹脂、腸溶性コーティング、多層コーティング、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な調節放出装置および方法を用いて調製される。活性成分の放出速度は、粒径を変えることによっても変えることができる。
【0293】
即時放出組成物とは対照的に、制御放出組成物は、所定のプロファイルに従って長期間にわたる薬剤のヒトへの送達を可能にする。そのような遊離速度は長期間に治療上有効な値の剤を提供し、その結果として、薬理学の反応のより長い時間を提供することができる。そのようなより長い応答期間は、対応する即時放出調製物では達成されない多くの固有の利益を提供する。一態様では、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩の制御放出組成物は、長期間にわたって治療上有効なレベルの化合物Iを提供し、それによってより長期間の薬理学的応答を提供する。
【0294】
本明細書で使用されるように、遅延放出は、遅延放出の変化が存在しない場合に達成されるものよりも遠位の胃腸管にある、幾つかの一般的に予測可能な位置で、放出が達成され得るような送達を指す。幾つかの実施形態において、放出の遅延の方法は、コーティングである。コーティング全体が約5未満のpHで胃腸液に溶解しないが、約5以上のpHで溶解するように、いかなるコーティングも十分な厚さに塗布されるべきである。
【0295】
幾つかの実施形態において、本明細書で提供される医薬組成物は、マトリックス制御放出装置を使用して製造される放出調節剤形である(Takada et al in ”Encyclopedia of Controlled Drug Delivery,” Vol. 2, Mathiowitz ed., Wiley, 1999参照)。
【0296】
幾つかの実施形態において、本明細書において改変放出剤形で提供される医薬組成物は、合成ポリマーを含む水膨潤性、侵食性、または可溶性ポリマー、ならびに多糖類およびタンパク質などの天然ポリマーおよび誘導体である侵食性マトリックスデバイスを使用して製剤される。
【0297】
幾つかの実施形態において、マトリックス制御放出システムは、薬物が胃から放出されないように腸溶コーティングを含む。
【0298】
本明細書で提供される医薬組成物は、単位用量剤形または複数回用量剤形で提供されてもよい。本明細書で使用されているように、単位用量剤形は、ヒトと動物の被験体への投与に適した物理的に分離したユニットを指し、当該技術分野で知られているように個別に包装される。それぞれの単位用量剤形は、必要とされる医薬担体または賦形剤に伴って、所望の治療効果を生み出すのに十分な活性成分のあらかじめ決められた量を包含している。単位剤形の例としては、個々に包装された錠剤およびカプセルを含んでいる。単位剤形は分割してまたはその倍数単位で投与されてもよい。複数回単位剤形は、分離した単位剤形で投与される単一の容器に入れられた複数の同一の単位剤形である。複数回単位剤形の例としては、錠剤またはカプセルの瓶が挙げられる。
【0299】
他の実施形態において、本明細書に記載された、化合物Iあるいはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を含む粉体、あるいは製剤は、1つ以上の医薬品賦形剤および香料を含むように製剤化される。追加の実施形態はまた、懸濁剤および/または湿潤剤を含む。このバルク混合は、単位投与量パッケージ又は多重投与量パッケージのユニットへと均一に細分される。「均一」という用語は、バルクブレンドの均質性が包装工程中実質的に維持されることを意味する。
【0300】
さらに他の実施形態において、発泡散剤も調製される。発泡塩は、経口投与向けに水中で薬を分散させるために使用されてきた。発泡塩は、通常は重炭酸ナトリウム、クエン酸、および/または酒石酸で構成される、乾燥混合物中に薬剤を含む果粒剤または粗粉である。
【0301】
本明細書に記載の発泡性顆粒の調製方法は、以下の3つの基本的な方法を使用する:湿式造粒法、乾式造粒法および融合。融解法はほとんどの市販の発泡散剤の製造に使用される。これらの方法は顆粒の調製を意図しているが、1つの実施形態において、本明細書に記載の発泡性塩の製剤は、錠剤調製のための技術に従って錠剤としても調製されることに留意されたい。
【0302】
1つの実施形態において、経口的に使用される医薬製剤には、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の密封軟カプセルが含まれる。1つの実施形態において、プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および任意に安定剤と混合した活性成分を含む。1つの実施形態において、プッシュフィットカプセルは、追加の不活性成分なしで活性成分のみを含む。1つの実施形態において、ソフトカプセル中、活性化合物は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁される。加えて、幾つかの実施形態において、安定剤が添加される。他の実施形態では、製剤は、スプリンクル(sprinkle)カプセル剤に入れられ、該カプセル剤は、その全体が飲み込まれるか、または開けられて、食事前に食物の上に中身がふりかけられる(sprinkled)。
【0303】
経口投与用の全ての製剤は、そのような投与に適した投与量であるべきである。
【0304】
幾つかの実施形態において、対象への経口投与のための、化合物Iまたはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)および少なくとも1つの分散剤もしくは懸濁剤を含む医薬製剤が提供される。1つの実施形態において、製剤は、懸濁用の粉末および/または顆粒であり、水と混合すると実質的に均一な懸濁液が得られる。
【0305】
懸濁液がほとんど均一である場合、すなわち懸濁液中の任意の場所で、懸濁液がほぼ同じ濃度の化合物I、またはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)からなる場合、懸濁液は「実質的に均一」である (USP Chapter 905)。
【0306】
経口投与用の液体製剤剤形は、水性懸濁液あるいは非水性の懸濁液である。
【0307】
経口投与用の液体製剤剤形は、限定されないが、薬学的に許容可能な水性経口分散剤、乳剤、液剤およびシロップ剤から選択される水性懸濁液である。例えば、Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754-757 (2002)を参照。化合物I、またはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)を含むことに加えて、液体剤形は以下のような添加剤を含む:(a)崩壊剤;(b)分散剤;(c)湿潤剤;(j)保存料;(e)粘性促進剤;(f)甘味剤;(g)香料;可溶化剤(バイオアベイラビリティーエンハンサー)。
【0308】
1つの実施形態において、本明細書に記載されている水性懸濁液および分散液は、少なくとも4時間、USP Chapter 905により上に定義されているように、均質な状態にある。
【0309】
液体組成物は、例示的には、薬剤(例えば、化合物I、またはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2))が溶液中、懸濁液中または両方で存在する液体の形態をとる。1つの実施形態において、液体組成物は水性である。
【0310】
液体組成物は、例示的には、薬剤(例えば、化合物I、またはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2))が溶液中、懸濁液中または両方で存在する液体の形態をとる。1つの実施形態において、液体組成物は非水性である。
【0311】
1つの実施形態において、水性懸濁液は、懸濁剤として1種以上のポリマーも含有する。有用なポリマーは、セルロース酸ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、などの水溶性ポリマーと、架橋したカルボキシル含有ポリマーなどの不水溶性のポリマーを含む。1つの実施形態において、有用な組成物は、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウムおよびデキストランから選択される粘膜付着性ポリマーも含む。
【0312】
1つの実施形態において、医薬組成物はまた、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウムクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、およびトリスヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;ならびに、クエン酸塩/デキストロース、炭酸ナトリウム重炭酸ナトリウム、および塩化アンモニウムなどの緩衝剤、を含む1つ以上のpH調節剤または緩衝剤を含も含む。このような酸、塩基、および緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することに必要とされる量で含まれる。
【0313】
1つの実施形態において、液体医薬組成物はまた、組成物の浸透圧を許容範囲内にするのに必要な量の1つまたは複数の塩を含む。こうした塩は、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムのカチオン、ならびに塩化物、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、または重亜硫酸塩のアニオンを含み、適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、および、硫酸アンモニウムを含む。
【0314】
1つの実施形態において、医薬組成物はまた、微生物活性を阻害するための1つ以上の保存料を含む。
【0315】
さらに他の組成物は、物理的安定性を高めるために、または他の目的のために、1以上の界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油;および、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40などが挙げられる。
【0316】
さらに他の組成物は、必要に応じて化学的安定性を増強するために1以上の酸化防止剤を含む。適切な抗酸化剤としては、ほんの一例として、アスコルビン酸、トコフェロール、およびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0317】
1つの実施形態において、水性組成物は、単回投与の再密閉できない容器に包装されている。代替的に、複数回投与の再密閉可能な容器が使用され、その場合、典型的に、組成物に防腐剤が含まれる。
【0318】
幾つかの実施形態において、水性医薬組成物は保存料を含まず、調製後24時間以内に使用される。
【0319】
幾つかの実施形態において、水性医薬組成物は、活性医薬成分のバイオアベイラビリティーを高めるのを助ける1以上の可溶化剤を含む。幾つかの実施形態において、可溶化剤は、Labrasol、Lutrol(マクロゲル、ポロキサマー)、および当技術分野において公知の他のものから選択される。
【0320】
本明細書に記載の経口医薬溶液は、乳児(2歳未満)、10歳未満の子供、および固形経口剤形を飲み込むことまたは摂取することができないあらゆる患者群への投与に有益である。
【0321】
口腔内投与または舌下投与の場合、1つの実施形態において、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤、ロゼンジ、またはゲルの形態をとる(例えば、米国特許第4,229,447号;第4,596,795号;第4,755,386号;および5,739,136号を参照)。
【0322】
1つの実施形態において、糖衣錠コアは適切なコーティングを用いて調製される。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用され、これは随意に、アラビアゴム、滑石、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有する。1つの実施形態において、識別のため、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染料または顔料が錠剤または糖衣錠コーティングに添加される。
【0323】
同じ製剤内であっても、多くの担体および賦形剤がいくつかの機能を果たし得ることを理解されたい。
【0324】
幾つかの実施形態において、化合物I、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)は、吸入送達/経鼻送達に適した医薬組成物の形態で処方される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、溶液、懸濁液、乳濁液、コロイド分散液、スプレー、乾燥粉末、エアロゾル、またはそれらの組み合わせの形態である。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、経鼻/吸入用医薬組成物に一般的に使用される少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、アトマイザー、注入器、噴霧器、蒸発器あるいは定量吸入器を用いて投与される。幾つかの実施形態において、医薬組成物は、経鼻または経口で吸入される。幾つかの実施形態において、結晶性化合物1は、医薬組成物に使用される。幾つかの実施形態において、結晶性化合物2は、医薬組成物に使用される。幾つかの実施形態において、非晶質の化合物1は医薬組成物に使用される。幾つかの実施形態において、非晶質の化合物2は医薬組成物に使用される。
【0325】
代表的な経鼻/吸入製剤は、例えば、Ansel, H. C. et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Sixth Ed(1995); REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 21st edition, 2005で述べられている。
【0326】
幾つかの実施形態において、化合物I、またはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)は、鼻腔用スプレー、鼻用ミストなどの形態で製剤される。
【0327】
吸入による投与のために、化合物I、またはその薬学的に許容される塩(例えば、化合物1または化合物2)は、エアロゾル、ミストまたは粉末としての使用のために製剤される。
【0328】
幾つかの実施形態において、経鼻/吸入投与に適した医薬組成物は、適切な噴射剤を使用して、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で都合よく送達される。吸入器または吹送器で使用するためのカプセルおよびカートリッジは、本明細書に記載の化合物とラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有して製剤化することができる。
【0329】
幾つかの実施形態において、医薬組成物は、哺乳動物への経鼻/吸入送達用の粉末の形態である。幾つかの実施形態において、粉末は、凝集を防ぐより大きな担体粒子と混合された、化合物Iの微粉化粒子および/またはナノサイズ粒子、またはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を含む。例えば、1つの実施形態において、乾燥粉末製剤は以下のように調製される:化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)をジェットミリングする。乳糖をジェットミリングし、2つの成分を混合し、そして最終混合物を滅菌注入器中に包装する。いくつかの例において、本明細書に記載の粉末吸入可能製剤は、化合物1の結晶粒子を含む。いくつかの例において、本明細書に記載の粉末吸入可能製剤は、化合物2の結晶粒子を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の粉末吸入可能製剤は、化合物1の非晶質粒子を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載の粉末吸入可能製剤は、化合物2の非晶質粒子を含む。
【0330】
<投与量>
特定の実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)の有効量は、1用量あたり約1mgから約2.5g、1用量あたり1mgから約2g、1用量あたり約1mgから約1.5g、1用量あたり約1mgから約1.5g、1用量あたり約1g、1用量あたり約5mgから約600mgまたは1用量あたり約50mgから約250mgである。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)の有効量は、1日当たり約1mgから約5g、1日当たり約5mgから約2g、1日当たり約5mgから約1g、1日当たり約5mgから約0.6g、または1日当たり約5mgから約0.5gである。
【0331】
幾つかの実施形態において、化合物Iの有効量は、1用量あたり約50mg、1用量あたり約100mg、1用量あたり約150mg、1用量あたり約200mg、1用量あたり約250mg、1用量あたり約300mg、1用量あたり約350mg、1用量あたり約400mg、1用量あたり約450mg、1用量あたり約500mg、1用量あたり約550mg、1用量あたり約600mg、1用量あたり約650mg、1用量あたり約700mg、1用量あたり約750mg、1用量あたり約800mg、1用量あたり約850mg、1用量あたり約900mg、1用量あたり約950mg、 1用量当たり約1000mg、1用量当たり約1050mg、1用量当たり約1100mg、1用量当たり約1150mg、1用量当たり約1200mg、1用量当たり約1250mg、1用量当たり約1300mg、1用量当たり約1350mg、1用量当たり約1400mg、1用量当たり約1450mg、 1用量当たり約1500mg、1用量当たり約1550mg、1用量当たり約1600mg、1用量当たり約1650mg、1用量当たり約1700mg、1用量当たり約1750mg、1用量当たり約1800mg、1用量当たり約1850mg、1用量当たり約1900mg、1用量当たり約1950mg、 または1用量当たり約2000mgである。
【0332】
幾つかの実施形態において、経口の薬剤溶液は、約6mg/mLから約63mg/mLの化合物2を含む。幾つかの実施形態において、経口の薬剤溶液は、約1mg/mLから約100mg/mLの化合物2を含む。幾つかの実施形態において、経口の薬剤溶液は、約1mg/mLから約100mg/mLの化合物1を含む。
【0333】
1つの態様において、錠剤は、約5%w/wから約50%w/wの化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を含む。幾つかの実施形態において、即時放出錠剤は、約5%w/wから約40%w/wの化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を含む。幾つかの実施形態において、即時放出錠剤は、約5%w/w、約10%w/w、約15%w/w、約20%w/w、約25%w/w、約30%w/w、約33%w/w、約35%w/w、約40%w/wの化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)を含む。
【0334】
幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩(例えば、化合物1または化合物2)およびカプセルシェルのみを含む。
【0335】
<投薬方法と処置レジメン>
1つの実施形態において、化合物I、またはその医薬上許容可能な塩もしくは溶媒和物は、LOXL2活性の阻害または低下から利益を得るであろう哺乳動物における疾患または疾病の処置のための医薬の製造に使用される。そのような処置を必要としている哺乳動物において本明細書に記載される疾患または疾病のいずれかを処置する方法は、治療上有効な量で、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、活性代謝物、プロドラッグを含む医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
【0336】
ある実施形態において、本明細書に記載される化合物を含む組成物は、予防的なおよび/または治療的な処置のために投与される。特定の治療用途では、組成物は、疾患または疾病の症状の少なくとも1つを治癒するまたは少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で、疾患または疾病に既に苦しんでいる患者に投与される条件。この使用に有効な量は、疾患または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態、体重、および薬物に対する反応、並びに処置する医師の判断に依存する。治療上有効な量は、限定されないが、用量漸増および/または投与量決定の臨床試験を含む方法によって随意に決定される。
【0337】
予防的適用において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を含有する組成物は、特定の疾患、障害もしくは疾病に罹患しやすいか、そうでなければその危険性がある患者に投与される。このような量は、”予防に有効な量または用量”であると定義される。この用途では、正確な量は、また、患者の健康状態、体重などによって変わる。患者に使用される際、この使用のための有効な量は、疾患、障害、または疾病の重症度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する反応、並びに処置する医師の判断に依存する。1つの態様において、予防的処置は、疾患又は疾病の症状の再発を防ぐために、処置されている疾患の少なくとも1つの症状を以前に経験し且つ現在は寛解状態にある哺乳動物に、本明細書にされる化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を含む医薬組成物を投与することを含む。
【0338】
患者の状態が改善しない特定の実施形態において、医師の判断により、化合物Iまたはその製薬上許容可能な塩もしくは溶媒和物の投与は、慢性的に、すなわち、患者の疾患または状態の症状を改善または他の方法で制御または制限するための、患者の一生の期間を通してを含む、長期間にわたるものである。
【0339】
患者の状態が改善される特定の実施形態では、投与される薬物の用量は一時的に減少されるか、または一定期間一時的に中断される(すなわち、「休薬期間」)。特定の実施形態では、休薬期間の長さは、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、または28日以上を含む、2日から1年の間である。休薬期間中の用量減少は、ほんの一例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%を含む、ほんの一例として、10%-100%である。
【0340】
いったん患者の状態が改善すると、必要に応じて維持量が投与される。続いて、具体的な実施形態では、投与の用量または頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、改善された疾患、障害または疾病が保持されるレベルまで減少される。しかしながら、特定の実施形態では、患者は、症状の再発で長期間にわたって間欠処置を必要とする。
【0341】
一態様において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を用いた処置を必要とするヒトに毎日投与される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1日1回投与される。幾つかの実施形態において化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1日2回投与される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1日3回投与される。幾つかの実施形態において、、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1日おきに投与される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、週に2回投与される。
【0342】
一般的に、ヒトにおける本明細書に記載の疾患又は疾病の処置のために使用される、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の用量は、典型的に、1用量当たり約0.1mgから約10mg/kg体重の範囲である。1つの実施形態では、所望の投与量は、同時に(または短時間にわたって)、あるいは、1日当たり2、3、または4回以上のサブ用量(sub-dose)などのように適切な間隔を空けて投与される単回投与または分割投与で便利なように提示される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1日1回同時に(または、短期間にわたり)投与される分割量で、都合良く提供される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1日2回、均等な量で投与される分割量で、都合良く提供される。
【0343】
幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1用量当たり約0.1mgから約10mg/kg体重の範囲である。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、連続的な毎日の服薬スケジュールでヒトに投与される。
【0344】
用語「連続的な投薬スケジュール」は、規則的な間隔での特定の治療薬の投与を指す。幾つかの実施形態において、連続的な投薬スケジュールは、特定の治療薬の休薬期間を含まずに規則的な間隔を置いた特定の治療薬の投与を指す。幾つかの他の実施形態において、連続的な服薬スケジュールは、サイクルにおける特定の治療剤の投与を指す。幾つかの他の実施形態において、連続的な服薬スケジュールは、特定の治療剤から休薬期間(例えば、ウオッシュ・アウト期間、又は薬物が投与されない他のそのような期間)の後の、薬物投与のサイクルにおける特定の治療剤の投与を指す。例えば、幾つかの実施形態において、治療薬は、1日1回、1日2回日、1日3回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1週間に7回、1日おき、2日おき、3日おきに投与され、1週間毎日投与され、その後、1週間治療薬を投与されず、2週間毎日投与され、その後1または2週間治療薬を投与されず、3週間毎日投与され、その後1、2、または3週間治療薬を投与されず、4週間毎日投与され、その後1、2、3、または4週間治療薬を投与されず、治療薬を毎週投与され、その後の1週間治療薬を投与されず、あるいは、治療薬を週2回投与され、その後2週間治療薬を投与されない。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日1回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日2回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回より多い。
【0345】
用語「連続的な毎日の投薬スケジュール」とは、各日実質的に同一の時間に毎日の治療薬の投与を指す。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日1回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日2回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回である。幾つかの実施形態において、毎日の投与は1日3回より多い。
【0346】
幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の量は、1日1回投与される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の量は、1日2回投与される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の量は、1日3回投与される。
【0347】
ヒトの疾患または疾病の状態の改善が観察されない特定の実施形態では、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の1日量は増加する。幾つかの実施形態において、1日1回の投薬スケジュールは1日2回の投薬スケジュールに変更される。幾つかの実施形態において、投与される化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の量を増加させるために1日3回の投与スケジュールが採用される。幾つかの実施形態において、吸入による投与の頻度は、定期的に反復高Cmaxレベルを与えるために増やされる。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の維持されたまたはより定期的な曝露を提供するために、投与頻度が高められる。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物のより定期的に高いC maxレベルの反復、および維持されたまたはより定期的な曝露を提供するために、投与頻度は増加する。
【0348】
前述の態様のいずれかにおいて、更なる実施形態では、本明細書にされる有効な量の化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、(a)哺乳動物に全身に投与される、および/または、(b)哺乳動物に経口で投与される、および/または、(c)哺乳動物に静脈内投与される、および/または、(d)哺乳動物に注入によって投与される、および/または、(e)哺乳動物に局所的に投与される、および/または、(f)哺乳動物に非全身的または局所的に投与される。
【0349】
前述の態様のいずれかにおいて、有効量の化合物I、またはその医薬上許容される塩または溶媒和物の単回投与を含むさらなる実施形態があり、(i)化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は1日1回投与される;あるいは、(ii)化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、1日にわたって哺乳動物に複数回投与される。
【0350】
前述の態様のいずれかにおいて、有効量の化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の複数回投与を含むさらなる実施形態であり、(i)単回投与の場合と同様に、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物が連続的または断続的に投与される:(ii)複数回投与の間隔が6時間ごとである、(iii)化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、8時間ごとに哺乳動物に投与される;(iv)化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、12時間ごとに哺乳動物に投与される;(v)化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物は、24時間ごとに哺乳動物に投与される。さらなるまたは別の態様において、方法は休薬期間を含み、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物の投与は一時的に中断されるか、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の投与量は一時的に減少され、休薬日の終わりに、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の投与は再開される。1つの実施形態において、休薬期間の長さは2日から1年と様々である。
【0351】
一般に、成人のヒトの処置に使用される投与量は典型的には、1日当たり1mg-5000mgの範囲である。幾つかの実施形態において、、成人のヒトの処置に使用される投与量は、1日当たり約1mgから約4000mg、1日当たり約150mgから約4000mg、あるいは1日当たり約150mgから約2000mgである。幾つかの実施形態において、50mg 150mg 200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1050mg、1100mg、1150mg、1200mg、1250mg、1300mg、1350mg、1400mg、1450mg、1500mg、1550mg、1600mg、1650mg、1700mg、1750mg、1800mg、1850mg、1900mg、1950mg、あるいは2000mgの化合物Iが成人のヒトに投与される。幾つかの実施形態において、所望の投与量は、単回投与で、あるいは、同時にまたは適切な間隔で投与される分割量で、例えば、1日当たり2、3、4回またはそれ以上の分割用量として、好適に提供される。
【0352】
幾つかの実施形態において、剤形中の有効成分の毎日の投与量は、個々の処置レジメンに関する多くの変数に基づいて、本明細書に示される範囲より少なくなるかまたは高くなる。様々な実施形態において、毎日および単位投与量は、治療される疾患または状態、投与方法、個々の対象の必要条件、治療される疾患または状態の重症度、ヒトの身元(例えば、体重)、および投与される特定の追加の治療薬(該当する場合)、および施術者の判断を含むが、これらに限定されず、いくつかの変数に応じて変更される。
【0353】
こうした治療レジメンの毒性と治療の有効性は、限定されないが、LD50とED50の決定を含む、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順によって決定される。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これはLD50とED50との間の比率として表される。特定の実施形態では、細胞培養アッセイと動物研究から得られたデータは、ヒトを含む哺乳動物で使用するための治療上有効な毎日の投与量範囲および/または治療上有効な単位用量の製剤で使用される。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物の毎日の投与量は、最小の毒性でED50を含むある範囲の循環濃度内にある。ある実施形態では、毎日の投与量範囲および/または単位用量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動する。
【0354】
幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与したラットの7日間NOAELは、少なくとも約200、300、400、500、600、700、800、900、または1000mpkである。幾つかの実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を投与したラットの7日間NOAELは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300および500mpkである。
【0355】
<併用療法>
特定の事例では、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を、1以上の複数の他の治療薬と組み合わせて投与または処方することが適切である。
【0356】
<キットと製品>
本明細書には、前記個々の化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を投与することを含む、LOXL2活性に関連する疾病、疾患または障害を治療するためのキットが記載される。
【0357】
本明細書に記載される治療用途で使用するために、キットおよび製品も本明細書に記載されている。幾つかの実施形態において、そのようなキットは、バイアル、チューブなどの1つ以上の容器を受けるように区画されている、担体、パッケージ、または容器を含み、それらの容器の各々は、本明細書に記載される方法で使用される個別の要素の1つを含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管を含む。容器は、ガラスまたはプラスチックのような様々な材料から形成され得る。
【0358】
本明細書で提供される製品は、包装材料を含む。医薬包装材料の例としては、ブリスターパック、瓶、チューブ、吸入器、ポンプ、バッグ、バイアル、容器、注射器、瓶、および選択された製剤および意図された様式による投与や処置に適切な任意の包装材料が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に提供される化合物および組成物の広範な製剤は、LOXL2の阻害によって利益を得る、またはLOXL2が症状もしくは原因の媒介物質または寄与因子である任意の障害のための様々な治療として企図される。
【0359】
容器は随意に、無菌のアクセスポートを有する(例えば、容器は静脈内溶液バッグまたは皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有するバイアルである)。このようなキットは随意に、本明細書中に記載の方法での使用に関する、同定についての記載、ラベル、または取扱説明書とともに、化合物を含む。
【0360】
キットは、典型的に、本明細書に記載される化合物の使用のために商業的および使用者の観点から望ましい1つまたは複数の様々な材料(試薬など、任意に濃縮形態および/または装置など)を含む1つまたは複数の追加の容器を含む。こうした材料の非限定的な例としては、限定されないが、緩衝液、賦形剤、フィルタ、針、シリンジ;担体、包装、容器、バイアルおよび/または、内容物および/または使用の説明書を列挙したチューブラベルが挙げられる。1セットの説明書も典型的に含まれる。
【0361】
幾つかの実施形態において、ラベルは容器上にあるか、あるいは容器に付属している。ラベルを形成する文字、数字、または他の字が容器自体に結合しているか、成型されているか、または、エッチングされている場合、ラベルは容器上にあり得る;ラベルは、容器を保持する入れ物または運搬装置内に存在する場合、例えば、添付文書として容器に結び付けられる。ラベルは内容物が具体的な治療適用に使用されることを示すために使用され得る。ラベルはさらに、例えば、本明細書中に記載される方法で、内容物の使用のための指示を示すことができる。
【0362】
ある実施形態において、化合物Iまたはその薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物は、1以上の単位剤形を含むことができるパックまたはディスペンサー装置で提供される。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属ホイル又はプラスチックホイルを含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与説明書を添付することが可能である。パックまたはディスペンサに、製薬の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形式で包装容器に付随した通知が添えられることもある。その通知は、人間または獣医学の投与のため薬の形式の機関による承認を反映する。こうした通知書は、例えば、処方薬又は承認された生成物の挿入物に関して米国食品医薬品局により承認されたラベルである。適合性の薬学の担体において処方された、本明細書提供の化合物を含んでいる組成物はまた、適切な包装容器において調合、入れることができ、示された疾病の処置のためにラベル化される。
【0363】
本明細書中で使用される場合、本明細書中に記載される薬学的に許容される塩、例えば、溶液を含むと記載される医薬組成物は、会合型および/または解離型の塩を含む医薬組成物を包含する。したがって、例えば、化合物2の水溶液を含む本明細書に記載の医薬組成物は、(2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル) フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メタンアミニウムカチオンの集団およびメタンスルホン酸アニオンの集団を含む組成物を含む。
【実施例】
【0364】
以下の例は説明の目的のためにだけ提供され、本明細書で提供される請求項の範囲を限定するものではない。
実施例1:キラル分離による化合物1の調製
【0365】
化合物1および化合物Ent-1は下に示されるようなキラル分離によって調製された。
【0366】
【0367】
<工程1:ラセミ-トランス-tert-ブチル((2-(3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバマート(B)>
2つの別個の等しい反応バッチを以下のように設定した:DCM/DMF(3:1、11mL)混合液の化合物A(750mg、1.82mmol)の撹拌溶液に、HATU(1.0g、2.63mmol)を添加し、混合液を室温で20分撹拌した。ラセミ体のトランス-4-フルオロ-3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩(Synthonix; 304mg、2.14mmol)と、DIEA(938mg、7.27mmol)を添加し、混合液を室温で2.5時間撹拌した。この時点で、両方の反応バッチを組み合わせ、DCMを減圧下で蒸発させた。残りの反応混合物を、水(200mL)とEtOAc(200mL)に分割した。有機質層を分離させ、乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、その後、減圧下で濃縮した。粗製の残留物を精製し(シリカゲル;ヘキサン中10-100%のEtOAcで溶出する)、白色固形物として化合物B(1.58g、87%)を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ 7.60 (m,1H), 7.47-7.56 (m,2H), 7.36-7.44 (m,2H), 7.31 (m,1H), 7.14 (s,1H), 5.56 (m,1H), 4.93 (m,1H), 4.10-4.30 (m, 3H), 3.45-3.90 (m, 4H), 1.38 (s, 9H);LCMS Mass:522.0(M++Na)。
【0368】
<工程2:(R,R)-トランス-tert-ブチル((2-(3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバミン酸塩(C)、及び(S,S)-トランス-tert-ブチル((2-(3-(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバミン酸塩(D)>
化合物C(102mg)と化合物D(88mg)が共に、キラルHPLC分離(Chiral Pak ADH、250×20mm、5μmのカラム、10%のMeOH:イソプロパノール(1:1)及び90%のヘキサン(0.1%のDEAを含有する)により均一濃度で溶出し、流速18mL/min)を介して、化合物B(300mg、0.60mmol)から得られ、化合物Cが始めに溶出され、化合物Dが2番目に溶出された。
【0369】
化合物 C:1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 7.59 (m,1H), 7.47-7.56 (m,2H), 7.35-7.45 (m,2H), 7.31 (m,1H), 7.16 (s,1H), 5.56 (m,1H), 4.94 (m,1H), 4.25-4.30 (m,2H), 4.17 (m,1H), 3.45-3.90 (m,4H), 1.39 (s,9H);LCMS Mass:500.0(M++1)。キラルHPLC分析:Rt=11.84min(Chiral Pak ADH、250×4.6mm、5μmのカラム、25分にわたり10%のMeOH:EtOH(1:1)及び90%のヘキサン(0.1%のDEAを含有する)により均一濃度で溶出し;流速1.0mL/min)。
【0370】
化合物D:1H NMR(400 MHz, DMSO-d6):δ 7.59 (m,1H), 7.47-7.56 (m,2H), 7.35-7.45 (m,2H), 7.31 (m,1H), 7.16 (s,1H), 5.56 (m,1H), 4.95 (m,1H), 4.25-4.30 (m,2H), 4.17 (m,1H), 3.45-3.90 (m, 4H), 1.39 (s, 9H);LCMS Mass:500.0(M++1)。キラルHPLC分析:Rt=14.71min(Chiral Pak ADH、250×4.6mm、5μmのカラム、25分にわたり10%のMeOH:EtOH(1:1)及び90%のヘキサン(0.1%のDEAを含有する)により均一濃度で溶出し;流速1.0mL/min)。
【0371】
<工程3:(S,S)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン塩酸塩(化合物Ent-1)>
表題化合物(化合物Ent-1)(77mg、100%)は、室温でDCM(27 mL)に化合物Dを溶かすことにより調製された。Et2O(9.69mL、19.38mmol)中の2M HClを加え、混合物を更に2時間撹拌した。Et2O(9mL、18.0mmol)中の追加の2M HClを加え、混合物を更に2時間撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、表題化合物(88mg、0.176mmol)を与えた。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ 8.61 (brs,3H), 7.84 (s,1H), 7.51-7.57 (m,2H), 7.43 (m,1H), 7.28-7.37 (m,2H), 5.57 (brm,1H), 4.95 (m,1H), 4.12-4.30 (brm, 3H), 3.30-3.92 (m, 4H);LCMS Mass:400.0(M++1)。
【0372】
<工程4:(R,R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン塩酸塩(1)>
表題化合物(化合物1)(89mg、100%)は室温でDCM(27mL)に化合物Dを溶かすことにより調製された。Et2O(9.69mL、19.38mmol)中の2M HClを加え、混合物を更に18時間撹拌した。追加のEt2O(9mL、18.0mmol)中の2M HClを加え、混合物を更に2時間撹拌した。その混合物を減圧下で濃縮し、表題化合物(102mg、0.204mmol)を与えた。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ 8.61 (brs,3H), 7.84 (s,1H), 7.51-7.57 (m,2H), 7.43 (m,1H), 7.28-7.37 (m,2H), 5.62 (brm,1H), 4.95 (m,1H), 4.12-4.30 (brm, 3H), 3.30-3.92 (m, 4H);LCMS Mass:400.0(M++1)。
【0373】
<実施例2:鏡像異性的に純粋な(R、R)-4-フルオロ-3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩を用いる化合物1の調製>
化合物1は、下に示されるような鏡像異性的に純粋な(R、R)-4-フルオロ-3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩を使用して合成された。同じ方法を用いて、化合物Ent-1は(S、S)-4-フルオロ-3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩から調製された。
【0374】
【0375】
<工程1:メチル3-(4-シアノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-2)>
THF/DMF(4:1、55ml)の2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリル(化合物A-1)(4.0g、19.4mmol)とメチル3-ヒドロキシベンゾアート(3.24g、21.3mmol)の溶液に、K2CO3(8.0g、58mmol)を加えた。反応混合物を60℃で2時間加熱した。THFを減圧下で蒸発させ、残りの反応混合物を、水(200mL)とEtOAc(100mL)で分割した。
有機質層を分離し、水層をEtOAc(1×100ml)で再抽出した。混ぜ合わせた有機質層を乾燥させ(Na2SO4)、ろ過し、その後、減圧下で濃縮した。クルード残渣物を精製し(シリカゲル;ヘキサン中の0-50%のEtOAcで溶出する)、淡黄色個体(5.63g、91%)として化合物A-2を得た。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ 8.21(m,1H),8.07(m,1H),7.87(m,1H),7.77(m,1H),7.64(m,1H),7.55(m,1H),3.85 (s,3H);LCMS Mass:323.0(M++1)。
【0376】
<工程2:メチル3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-3)>
0℃でTHF/MeOH(1:1、140mL)中のメチル3-((4-シアノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-2)(1.5g、4.65mmol)の撹拌溶液に、CoCl2(1.8g、13.98mmol)、その後NaBH4(1.77g、46.5mmol)を一部ずつ加えた。反応混合物を0℃で20分間撹拌した。混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、セライトに通して濾過した。濾液を濃縮し、結果として生じる残渣物を水(200mL)とEtOAc(200mL)で分割した。水-有機層をセライトに通して濾過し、有機層を分離し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、更なる精製を必要としない琥珀油(1.38g、92%)として化合物A-3を得た。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ 7.83 (m,1H), 7.67 (m,1H), 7.65 (brm,1H), 7.60 (m,1H), 7.47 (m,1H), 7.33 (brm,1H), 3.80-3.83 (m,5H);LCMS Mass:327.0(M++1)。
【0377】
<工程3:メチル3-((4-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸塩(化合物A-4)>
0℃でTHF(25mL)中のエステル化合物A-3(1.38g、4.24mmol)の撹拌溶液に、ジ-tert-ブチルジカーボネート(1.29g、5.94mmol)とDIEA(2.21mL、12.74mmol)を加えた。混合物を室温に温め、更に4時間撹拌した。混合物を濃縮し、残渣物をEtOAc(50mL)と水(50mL)で分割した。有機層を分離し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空下で濃縮した。
残留物を精製し(シリカゲル;ヘキサン中0-60%のEtOAc)、コハク油(1.42g、78%)として化合物A-4を得た。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ 7.85 (m,1H), 7.69 (m,1H), 7.58-7.62 (m,2H), 7.48-7.51 (m,2H), 7.13 (brm,1H), 4.20 (m,2H), 3.84 (s,3H), 1.36 (s,9H);LCMS Mass:427.0 (M++1)。
【0378】
<工程4:3-((4-(((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸(化合物A-5)>
THF/H2O(6:1、21mL)の混合液中のエステル化合物A-4(1.42g、3.34mmol)の撹拌溶液に、4M LiOH水溶液(17mL、68mmol)を加えた。混合物を室温で16時間撹拌し、水(30ml)で希釈し、飽和クエン酸水溶液を使用してpH3-4に酸性化した。混合物をEtOAc(2×50mL)で抽出し、組み合わせた有機層を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、オフホワイト固体として化合物A-5を得た(1.2g、87%)。1H NMR(300MHz、DMSO-d6):δ 13.17 (brs,1H), 7.83 (m,1H), 7.66 (brm,1H), 7.53-7.62 (m,2H), 7.44-7.51 (m,2H), 7.12 (brm,1H), 4.25 (m,2H), 1.36 (s,9H);LCMS Mass:413.0 (M++1)。
【0379】
<工程5:tert-ブチル基((2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)メチル)カルバマート(化合物C)>
DCM(2.40L、15Vol)およびDMF(0.56L、3.5vol)混合液中の化合物A-5(160g、0.388mol、1.0 eq)に、HATU(177g、0.466mol、1.2eq)を添加した。その混合物を周囲温度で10分撹拌し、その後(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩(71.5g、0.466mol、1.3 eq)およびDIPEA(0.226 L、1.37mol、3.5 eq)を、前記溶液に加えた。結果として生じた混合物を、周囲温度で1.5時間撹拌した。HPLC解析により反応終了を確認した後、DCMを減圧下で取り除いた。
【0380】
残渣物を水(1.0 L)とEtOAc(1.0L)で分割した。組み合わせた有機層を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、ろ液を減圧下で濃縮した。クルード残渣物をクロマトグラフィー(シリカゲル:石油エーテルの20-50%EtOAcを用いて溶出する)によって精製した。溶出液を減圧下で蒸発させ、無色油を得た。その油をEtOAc(3.0L)で希釈し、その後、5%NaHCO3水溶液で洗浄した。その有機層を減圧下で濃縮し、白色固体として化合物C(160g)を得た。収率:82%、HPLC純度:95.1%エリア。
【0381】
<工程6:(3-(4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)(オキシ)フェニル(3R,4R))メタノン(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)、塩酸塩(化合物1)>
DCM(3.37L, 22 Vol)溶液中の化合物C(151g、0.3mol、1.0 eq)に、MTBE(695 mL、6.9mol、23 eq)の6.6N HClを添加した。反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。HPLC解析により反応終了を確認した後、混合物を減圧下で濃縮し、黄色固体を与えた。固体をMTBE(400 mL)のスラリーとし、濾過した。湿った濾過物をMTBEで洗浄し、乾燥し、黄色固体として化合物1(110g)を与えた。収率:83%、HPLC純度98.4%エリア、ee:100%。(DAICEL Chiralcel AD-Hカラム: 5μm x 4.6*150mm、0.1%DEAを用いた80%ヘキサン/10%MeOH/10%EtOH)。
【0382】
<実施例3:化合物2の調製>
いくつかの実施形態において、化合物2は、下記のように鏡像異性的に純粋なR,R-4-フルオロ-3-ヒドロキシピロリジン塩酸塩の使用により調製されている。
【0383】
【0384】
<工程1:3-((4-シアノ-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸(化合物A-6)>
20gの2-クロロ-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリル(化合物A-1)およびCs2CO3(78g、0.242mol、2.5 eq)を、リアクター中、80mLのDMFで懸濁した。3-ヒドロキシ安息香酸(13.4g、0.096mol、1.0 eq)のDMF40mL溶液を、30℃未満に維持してリアクターにゆっくり添加した。リアクターの内容物を30±5℃に加熱し、反応完了(69時間)まで置いた。その反応は化合物A-1=1%で終了したと認められた。反応混合物を1Lの精製水で希釈し、2x200mL EtOAcで洗浄した。水溶液のpHは~9で、温度を20±5℃で維持しながら、3M HCl(aq)97 mLを加えることによってpH ~3-4に調節した。水層を2x300mLのEtOAcで抽出し、混ぜ合わせた有機層を150mLの飽和食塩水で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濃縮して乾燥することで化合物A-6を与えた。外観:黄褐色固体。Mass=29.98g
【0385】
<工程2:2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)イソニコチノニトリル(化合物A-7)>
3-((4-シアノ-6-トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)安息香酸(化合物A-6)は、化合物A-6の理論収量に基づいて100mLまで濃縮することにより、工程1からDCMではめこんだ。温度を0±5℃に維持して、リアクターに塩化オキサリル(1.2 eq)を加え、1時間かけてゆっくり室温に昇温した。2時間後、転換は完了していると考えられた。(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩を150mLのDMFと350mLのDCMで混ぜた。温度を0±5℃で維持して、A-6の酸塩化物を、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩の溶液に加え、続けて3.5eqのDIPEAをゆっくり加えた。
【0386】
反応液を40mLのH2Oでクエンチし、DCMを留去し、化合物A-7のDMF/H2Oの混合液とした。この混合液を720mLのMTBEで希釈し、3×600mLのH2Oと1×400mLの飽和食塩水で洗浄して、乾燥し(Na2SO4)、100mlまで濃縮した。濃縮物を20時間かけて結晶化し、その後に15vヘプタンを追加し、さらに20時間放置した。その固体を濾過によって採取し、2×50mLのヘプタンですすぎ、45℃で乾燥して化合物A-7が一定重量得られた。外観=白色固体;Mass=16.5、理論値18.94g;HPLC=98%
【0387】
<工程3:3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物I)>
16gの化合物A-7、350mLのAcOH、5%Pd(OH)2/Cを脱ガス反応器の中で混ぜ合わせ、250PSI H2(g)で3時間加圧した。
その材料を磨き濾過し、0±5℃にて700mLのH2Oですすぎ、16.9vで使用される50%NaOH水溶液でpHを~11としてクエンチした。
2x20v EtOAcで抽出して2時間放置し、次いで層を切断し、25±5°に温めて(25℃より上では塩は溶液中にある)化合物Iを得た。HPLC=に91.1%, 7.026min;Mass=16.44g;収率=101%-定量的。
【0388】
<工程4:(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン、メタンスルホン酸塩(化合物2)>
8.0gの化合物Iを160mLのACNで希釈し、MSAをゆっくり加え、HPLC純度でMSA濃度を調節することにより、MSA塩(化合物2)に変換した。
その溶液を20±5℃で1時間放置し、2時間還流(~82-85℃)した。その混合液を室温で一晩撹拌し、DSCが一致するまで(全還流時間が10時間)、加熱サイクルを3回繰り返して化合物2を得た。HPLC=99.5%;Mass=7.36g;ee=99.7%(DAICEL Chiralcel OD-Hカラム:5μm x 4.6*150 mm、0.1%DEAを用いた90%ヘキサン/10%IPA)。
【0389】
<実施例4:(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール-塩酸塩(C6)の調製>
幾つかの実施形態において、化合物C6は下記のように調製される。
【0390】
【0391】
<工程1:((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(フェニル)メタノン(化合物C3)>
190.0kgのアセトンをリアクターに加え、続いて50kgの化合物C2を加えた。その反応混合物を20-25℃で15分撹拌した。15.6kgの酢酸ビニルと2kgのNovozyme(登録商標)435をリアクターに加え、反応混合液を20-25℃で37時間撹拌した。キラルHPLCにより化合物C3(ee%)が>95.0%となるまで反応進行をモニタリングした。混合物を濾過し、濾過物を10kgのアセトンで洗浄した。アセトンを40-50℃にて11時間かけて減圧下で取り除き、10.5kgのクルード化合物C3を得た。これをリアクターに加え、続いて16.0kgのシリカゲルと14.0kgのDCMを加え、そのスラリーを20-25℃で15分撹拌した。3.60kgのシリカゲルをクロマトグラフィーカラムにのせ、続いて6.3kgの石油エーテルを加えた。0.90kgのNa2SO4に続いて6.3kgの石油エーテルを30分間カラムにのせた。60LのDCM(70.2kg)およびEtOAc(5.34kg)混合溶液をカラムにのせた。2.9kgの化合物C3を蒸発の後に得た(ee%=94.9 DAICEL Chiralcel OD-Hカラム: 5μm x 4.6*150mm、0.1%のDEAを用いた90%のヘキサン/10% IPA)。
【0392】
<工程2:(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)(フェニル)メタノン(化合物C3)>
75kgのアセトンをリアクターに加え、続いて2.9kgの化合物C3を加えた。
反応混合物を20-25℃で15分撹拌した。6.0kgの酢酸ビニルおよび2.8kgのNovozyme(登録商標)435をリアクターに加え、反応混合物を20-25℃で54時間撹拌した。キラルHPLCにより化合物C3(ee%)が>95.0%となるまで反応進行をモニタリングした。混合物を濾過し、濾過物を5.5kgのアセトンで洗浄した。アセトンを40-50℃にて6時間かけて減圧下で取り除き、2.5kgのクルード化合物C3を得た。2.5kgの化合物C3をリアクターに加え、続いて3.8kgのシリカゲルおよび14.0kgのDCMを加え、スラリーを20-25℃で30分間撹拌した。3.60kgのシリカゲルをクロマトグラフィーカラムにのせ、続いて5.3kgの石油エーテルをのせた。0.50kgのNa2SO4に続いて6.3kgの石油エーテルを30分間カラムにのせた。60LのDCM(70.2kg)およびEtOAc(5.34kg)混合溶液をカラムにのせた(3回繰り返した)。2.0kgの化合物C3を蒸発の後に得た(ee%=99.1 DAICEL Chiralcel OD-Hカラム: 5μm x 4.6*150mm、0.1%のDEAを用いた90%のヘキサン/10% IPA)。
【0393】
<工程3:(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩(化合物C6)>
12.0kgの1,4-ジオキサンをリアクターに加え、続いて2.40kgの化合物C3を加えた。反応混合物を20-25℃で15分間撹拌し、12.0kgの濃塩酸をリアクターに加え、1,4-ジオキサンを65-75℃で5時間かけて減圧下で蒸発した。
リアクターに15.0kgのDCMを添加し、その反応液を20-25℃で15分間撹拌し、続いて減圧下で蒸発させた(4回繰り返した)。残留水を減圧下、65-75℃にて5時間で取り除いた。20.0kgのメチルベンゼンを回転蒸し容器に加え、減圧下にて40-50℃で6時間かけて取り除いた(ee%=99.1 DAICEL Chiralcel OD-Hカラム: 5μm x 4.6*150 mm、0.1%のDEAを用いる90%のヘキサン/10% IPA)。
【0394】
<実施例5:(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩(化合物C6)の絶対配置の決定:>いくつかの実施形態において、(R、R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩(化合物C6)の絶対配置は、C7のX線結晶解析によって決定された。
【0395】
【0396】
<工程1:ラセミ体-トランス-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン(rac-C6 FB)
EtOH(100 ml)のNaOH(2.83g、70.6のmmol)溶液に、ラセミ-トランス-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン塩酸塩(rac-C6)(10g、70.6mmol)を添加した。前記溶液を室温で1時間撹拌した。沈澱物を濾過し、濾液を濃縮することで茶色の液体(7.0g)として遊離塩基(rac-C6 FB)を与えた。
【0397】
<工程2:(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イウム(2S、3S)-2、3-ビス(ベンゾイルオキシ)-3-カルボキシプロパノアート塩 C7>
(3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イウム(2S、3S)-2、3-ビス(ベンゾイルオキシ)-3-カルボキシプロパノアート塩は、ラセミ-トランス-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン(rac-C6 FB)と(2S、3S)-2、3-ビス(ベンゾイルオキシ)-3-カルボキシプロパン酸とを、メタノールにより繰り返し再結晶することで化合物C6に対応するキラルHPLCにより実質的に純粋なエナンチオマーを得た。(94.4% eeDAICEL Chiralcel AD-Hカラム:5μm x 4.6*150 mm、0.1%のDEAを用いる90% ヘキサン/10% IPA。X線結晶解析で(R、R)配置を確認した。
【0398】
<実施例6:化合物2の代替合成法>
幾つかの実施形態において、化合物2は下記のように調製される。
【0399】
【0400】
3-(4-(tert-ブトキシカルボニル)メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イルオキシ)安息香酸(1.0 eq)(化合物A)、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール塩酸塩((R、R)-FP)(1.4 eq)、HATU(1.2 eq)、ジクロロメタン(DCM)(32kg)を混ぜ合わせた。ゆっくり撹拌している間、5.2kgのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)および3.5eq N、N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を添加した。反応が完了するまで、その反応を加熱して還流した。その後、DCMを真空下で取り除いた。DMF中の化合物CをEtOAcで希釈し、水と飽和食塩水で洗浄した。クルード化合物Cを濃縮して乾燥し、比率7:3 EtOAc/ヘプタンである最終溶出溶媒を用いてシリカによって精製した。化合物Cのフラクションを全て濃縮し、炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水を用いて洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥した。有機物の濃縮により、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)純度で98%の化合物Cを収率98.5%で与えた。
【0401】
tert-ブチル(2-(3-((3R,4R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-カルボニル)フェノキシ)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)カルバミン酸メチル(化合物C)をDCMに溶解し、リアクターに移して、DCMで希釈した。メタンスルホン酸(0.93 eq)をリアクターに加え、反応を加熱して還流し、反応が完了すると思われるまで一晩撹拌した。この時点で、濃厚な白いスラリーをDCMで希釈し、冷却して濾過し、メチル-tert-ブチル-エーテル(MTBE)ですすいだ。有機物の濃縮により、98.5%HPLC純度かつ収率91%で化合物Cを与えた。
【0402】
化合物2をアセトニトリル中で粉砕して約4時間加熱し、その後20℃に冷却した。
固体のサンプルを取り出し、乾燥させて、残留DCMおよび残留アセトニトリル(ACN)について試験した。その粉砕を、残留DCMおよび残留ACNがそれぞれ1200ppmおよび820ppmの限界を下回るまで繰り返した。化合物2の純度を、不純物形成を制御するためにHPLCによってモニタリングした。そのプロセスはHPLC純度99.3%および91%回収で化合物2を生成した。
【0403】
<実施例7:化学的純度の決定>
逆相HPLC方法を純度および関連物質を測定するために展開した。
【0404】
【0405】
化合物2のサンプルが、純度90%より高いことが分かった。幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、純度95%より高い、純度96%より高い、純度97%より高い、純度98%より高い、または純度99%より高いことが分かった。
【0406】
幾つかの実施形態において、化合物2のサンプルは、検出可能な量の以下の化合物のうちの少なくとも1つを含む:
【0407】
【0408】
いくつかの実施形態において、化合物2のサンプルは、検出可能な量の上記の化合物を含まない。
【0409】
<実施例8:キラル純度の決定>
キラルHPLCを、キラル純度を測定するために使用した。以下の条件を使用した。
【0410】
【0411】
キラル純度(面積%)は各エナンチオマーのピーク面積応答によって決定される。
【0412】
化合物2のサンプルは、鏡像異性体過剰率(e.e.)90%以上のキラル純度を有している。いくつかの実施形態において、化合物2のサンプルのキラル純度は95%より高い、96%より高い、97%より高い、98%より高い、または99%より高いe.e.を有する。いくつかの実施形態において、化合物2のサンプルは100%e.e.のキラルの純度を有している。
【0413】
いくつかの実施形態において、化合物2のサンプルは、化合物2の(S、S)-エナンチオマーを検出可能な量を含んでいる。いくつかの実施形態において、化合物2のサンプルは、化合物2の(S、S)-エナンチオマーを検出可能な量を含んでいない。
【0414】
<実施例9:残存(R、R)-FPの決定>
逆相HPLC方法を残存する(R、R)-FP[(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オール]を測定するために展開した。
【0415】
【0416】
化合物2のサンプルは、(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを5%未満含んでいる。いくつかの実施形態において、化合物2のサンプルは、5%、4%、3%、2%、または1%未満の(3R,4R)-4-フルオロピロリジン-3-オールを含んでいる。
【0417】
<実施例10:残留溶媒>
残留溶媒をフレームイオン化検出(FID)を用いるUSP G43キャピラリーカラムを使用して、ガスクロマトグラフィーにより決定した。試料溶液をNMP中10mg/mLで調製する。
【0418】
潜在的残留溶媒はメタノール、アセトン、イソプロパノール、アセトニトリル、ジクロロメタン、tert-ブチルメチルエーテル、ヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、ヘプタン、ジオキサン、イソブチルメチルケトン、トルエンとジメチルホルムアミドを含んでいる。
【0419】
幾つかの実施形態において、化合物2は、以下の検知可能な量の少なくとも1つを含む:ジクロロメタン、酢酸エチル、ヘプタン、tert-ブチルメチルエーテル、アセトン、ジメチルホルムアミドとアセトニトリル。
【0420】
<実施例11:化合物1の多形スクリーニング>
・予備溶解性評価
非晶質化合物1(30mg)を、化合物が完全に溶解するまで、もしくは最大100volを使用するまで、溶媒量を増やして処理した。溶媒をそれぞれ添加した後、系を50℃で10分間穏やかに振盪し、次いで新しい一定分量の溶媒を加える前に室温で5分間静置した。評価が終了した後、得られた懸濁液を成熟し、透明な溶液を5℃に冷却した。表4は、これらの試験の結果を示す。
【0421】
【0422】
・成熟
溶解性評価後に得られた懸濁液を、成熟チャンバー内で25-50℃(8時間サイクル)の間振盪した。3日後に固体を濾過し、空気で乾燥した。表5に示されるように、得られた固体をXRPDによって最初に分析した。
【0423】
【0424】
・冷却
溶解性評価後に得られた溶液を、冷蔵庫(5℃)で3日間置いた。その固体を空気で乾燥し、残留物を表7に示されるようなXRPDによって分析した。
【0425】
【0426】
・蒸発
成熟からの上清を、周囲条件でゆっくり蒸発させた。固体は回収されなかった。
【0427】
・結果の議論
溶解性評価中、いくつかのサンプルは溶媒の添加後に明らかな視覚的変化を示した(表4参照)。固体は溶解しなかったが、異なる質感を有していた。それゆえ、溶解性評価を続ける前に、少量の固体を回収し、XRPDによって分析した。全てのディフラクトグラムは、化合物1の形態1と名付けられた結晶パターンを示した。そのような状況における溶解性値は、mg / mlの絶対値とは相関しないが、むしろ結晶化が起こる体積と相関する。XRPD分析後、固体を40℃および75% RHで保存し、24時間後に溶解した。
【0428】
追加の結晶化の試みを、加熱/冷却サイクル、冷却およびゆっくりな蒸発を含むいくつかの手法を経由して行った。化合物1の形態1を、5℃での成熟によって得た。その上清を蒸発させた後は固体が回収されず、したがって、形成した化合物1の形態1はこれらの溶媒に不溶であることを示している。
【0429】
結晶化の試みから回収した固体を、全て40 ℃および75% RHで保存した。12日後、それらはいくつかの液滴に包まれたガラス質の固体に転換した。それらはXRPDにより結晶性のままであったが、化合物1の形態2である新しいパターンが表示された。
【0430】
化合物1の形態2は貯蔵条件で1週間放置した。それは変化しなかった。
【0431】
・新しい結晶形態のキャラクタリゼーション
新しい2つの結晶パターンである化合物1の形態1と形態2が、多形体スクリーン中で同定された。これらの2つの形態のキャラクタリゼーション結果は、非晶質形成に加え、表7に要約される。
【0432】
【0433】
1H-NMRは、研究した結晶性固体のいずれにおいても、溶媒の関連する量または分解を明らかにしなかった。この結果は、化合物1の形態1について観察されたDSCトレースによって裏付けられ、比較的高い融解(153.1℃)の前に重要な事象は観察されず、化合物1の形態1はおそらく無水形態である可能性が高いことを示している。
【0434】
化合物1の形態2の場合には、固体融解を表す118.9℃での吸熱の前に43℃で広い事象が見られた。これは、化合物1の形態2が水和物形態である可能性が高いことを示している。
【0435】
これらの結果に基づいて、化合物1の形態1は吸湿形態である。それは、化合物1の形態2にその構造を変更して、常水を適合するためにそれ自体を再整理する。これらの結果に基づいて、化合物1の形態1は吸湿性形態であり、それは水を収容するようにそれ自身が再配列し、化合物1の形態2にその構造を変化させる。一旦水が放出されると、DSCデータは化合物1の形態1にそれが戻らないことを示して、化合物1の形態1とは異なる融点をより低く示した。一旦水が放出されると、DSCデータは化合物1の形態1とは異なるより低い融点を示し、それは化合物1の形態1に戻らないことを示している。化合物1の形態2の脱水工程を経て、新しい無水形態を形成することができた。
【0436】
さらに、水中の化合物1の形態1の水溶解性を迅速に推定するために、簡単な溶解性評価を行った。形態1サンプルの混合物、常水のバイアルと一定分量を量り分けられた、表8に示されるような25 ℃で添加された。形態1のサンプルの混合物をバイアル中で秤量し、そして一定分量の水を表8に示すように25℃で添加した。
形態1は少なくとも1000mg/mLの溶解性を示した。
【0437】
【0438】
<実施例12:化合物Iの塩スクリーニング>
市販の化学物質及び溶媒をAldrichまたはFlukaから購入した。表9に示されるように、評価に使用する酸保存溶液を作成した。
【0439】
【0440】
<予備遊離塩基溶解性評価>
材料が完全に溶解するまで、もしくは最大50volを使用するまで、化合物I(10mg)を、溶媒量を増やして処理した。溶媒をそれぞれ添加した後、系を50℃で10分間穏やかに振盪し、次いで新しい一定分量の溶媒を加える前に室温で5分間静置した。
【0441】
評価が終了した後、系を50℃に加熱し、1.1 eqのHCl(1M THF中、27.5μL)で処理した。溶液/懸濁液を50℃で1時間静置し、その後0.1℃/minで5℃に冷却し、この温度で一晩撹拌した。回収した溶液を周囲条件で蒸発乾固した。
【0442】
表10は、溶解性評価の初期結果を示す。
【0443】
【0444】
初期実験のいずれからも結晶性物質は回収されなかった。追加の技術/手法は結晶性固体を回復するために実行され、今後記載されている。結晶性固体を回収するために追加の技術/手法を行ったが、この後に記載する。
【0445】
・超音波処理
ゴム質を超音波浴に置いた。1時間後、変化は見られなかった。各溶媒100μlを加え、それらを沈殿を促進するためにさらに1時間超音波浴に入れた。それらはゴム質として残留した。
【0446】
・成熟
超音波処理で回収したゴム質(100μlの溶媒を含む)を、12時間成熟した(25-50℃の間でサイクルする)。溶液を回収した。
【0447】
・冷却
成熟した後、溶液を冷凍装置(-20 ℃)に一晩置いた。沈澱は生じなかったが、ゴム質を回収した。
【0448】
・真空下乾燥
-20 ℃で得られた溶液とゴム質を、室温で乾燥し、それらを週末の間にオーブン(25 ℃/真空)に置いた。2つの固体をEtOHとACNのそれぞれから回収した。これらの固体は非晶質であり、遊離塩基に対するピークシフトが1H-NMRで観察され、これは塩の形成が起こったことを示している。これらの結果に基づいて、エタノールとアセトニトリルを塩評価に選択した。
【0449】
・一般的な手順(EtOH)
化合物I(15mg)を50 ℃でEtOHに溶かした。その溶液を選択された対イオンを用いて処理し、50 ℃で1時間撹拌した。その後、その溶液を0.1 ℃/minで5 ℃に冷却し、週末の間にこの温度で撹拌した。懸濁液を、室温で乾燥した。溶液を周囲条件で蒸発させ、回収した油をオーブン(室温/真空)に置いた。全ての固体をXRPDで分析した。表12は塩評価の結果を示す。
【0450】
【0451】
・一般的な手順(アセトニトリル)
化合物I(15mg)を50 ℃でアセトニトリルに溶解させた。その溶液を選択された対イオンを用いて処理した。その溶液を50℃で1時間撹拌し、0.1℃/minで5℃に冷却し、週末の間にこの温度で撹拌した。懸濁液を、室温で乾燥した。ゴム質を成熟チャンバー内に24時間置いて(25-50℃の間でサイクルする、8時間サイクル)、続いてオーブン(室温/真空)で乾燥した。溶液を周囲条件で蒸発させ、回収した油をオーブン(室温/真空)に置いた。全ての固体をXRPDで分析した。表12は塩評価の結果を示す。
【0452】
【0453】
<実施例13:化合物2の形態1の調製>
化合物I(500mg)アセトニトリル(3623μL)に溶解させた。1.1当量のメタンスルホン酸を、ぜん動ポンプ(Vt = 5mL、10vol)を通してゆっくり加えた(1380μL)。非常に濃厚な懸濁液を得たので、さらに5mLの溶媒を添加して攪拌した。懸濁液を1時間に25℃で撹拌し、サイクルを24時間にセットした:
- 0.2 ℃/minの5 ℃の傾斜
-2H 5 ℃
- 0.2 ℃/minの25 ℃の傾斜
-2H 25 ℃
【0454】
25 ℃で、白い懸濁液を回収した。それを濾過し(0.45μm)、週末の間に空気乾燥させた。471.6mgの化合物2の形態1が得られ(収率76%)、XRPD分析により確認した。
【0455】
別の実施形態では、1.0gの化合物2を10vのACNに溶解させ、24時間還流することで化合物2の形態1を得た。その溶液を冷却し、濾過し、真空下で乾燥させることで表題化合物を生成した。
【0456】
化合物2の結晶形態1の性質を表13に示す。
【0457】
【0458】
<実施例14:化合物2の結晶化試験>
化合物2(20mg)をバイアル中で秤量し、スラリーを得るために溶媒を添加した(100μL、5vol)。懸濁液を成熟チャンバー(25-50℃間でサイクル)に24時間置き、回収した固体を、XRPDによって分析した。表14は結晶化試験を要約する。
【0459】
【0460】
<実施例15:化合物Iの他の潜在的な塩の評価>
・他の塩を生成するための手順
化合物I(100/50mg)をアセトニトリル/エタノール(10vol)に溶解させた。1.1eqの対イオンをゆっくり添加し、懸濁液を25 ℃で1時間で撹拌した。
サイクルを24時間にセットした:
- 0.2 ℃/minの5 ℃の傾斜
-2H 5 ℃
- 0.2 ℃/minの25 ℃の傾斜
-2H 25 ℃
【0461】
25 ℃で、溶液、ゴム質および白色固体の混合物を回収し、それを室温で乾燥するとゴム質に変換した。ゴム質をオーブン(25 ℃/真空)に置くと、黄色の固体を回収し、XRPDで分析した。表15は、これらの塩を作成する手順を示す。
【0462】
【0463】
・他の塩での結晶化試験の手順
非晶質の塩を粉砕し、バイアル中で秤量し、溶媒は添加した(5vol)。懸濁液を成熟チャンバーに(25-50 ℃間でサイクル)24時間置いた。溶液を蒸発させたままにし、回収した固体をXRPDにより分析した。表16は、これら塩の作成結果を示す。
【0464】
【0465】
対イオンを添加した後、1つの白い濃厚な懸濁液のみ形成されたが(リン酸塩)、それは成熟の後にゴム質に変換した。酒石酸塩は成熟サイクル後に結晶化したが、乾燥するとゴム質になり、これは水を摂取する能力を示している。残りの塩は、溶液またはゴム質のいずれかであった。
【0466】
硫酸を化合物Iの硫酸塩を生成させるために使用した。化合物Iの硫酸塩の結晶化試験は、以下のような溶媒を用いて実行された:トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2-プロパノール、エタノール、酢酸エチル、ニトロメタン、アセトニトリル、1、2-ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフラン/水(95:5)。
油が得られた。
【0467】
リン酸を化合物Iのリン酸塩を生成させるために使用した。化合物Iのリン酸塩の結晶化試験は、以下のような溶媒を用いて実行された:トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2-プロパノール、エタノール、酢酸エチル、ニトロメタン、アセトニトリル、1、2-ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフラン/水(95:5)。非晶質化合物は、トルエンとジクロロメタンを用いた時に得られた;また、他の溶媒を用いると油が得られた。
【0468】
L-酒石酸を化合物Iの酒石酸塩を生成させるために使用した。化合物Iの酒石酸塩の結晶化試験は、以下のような溶媒を用いて実行された:トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2-プロパノール、エタノール、酢酸エチル、ニトロメタン、アセトニトリル、1、2-ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフラン/水(95:5)。エタノールとテトラヒドロフラン:水(95:5)からは油が得られ、一方で、他の溶媒では非晶質化合物が得られた。
【0469】
クエン酸をアセトニトリルから化合物Iのクエン酸塩を生成させるために使用した。化合物Iのクエン酸塩の結晶化試験は、以下のような溶媒を用いて実行された:トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2-プロパノール、エタノール、酢酸エチル、ニトロメタン、アセトニトリル、1、2-ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフラン/水(95:5)。トルエンとジクロロメタンからは非晶質化合物が得られたが、一方、他の溶媒からは油が得られた。
【0470】
クエン酸をエタノールから化合物Iのクエン酸塩を生成させるために使用した。化合物Iのクエン酸塩の結晶化試験は、以下のような溶媒を用いて実行された:トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、2-プロパノール、エタノール、酢酸エチル、ニトロメタン、アセトニトリル、1、2-ジメトキシエタン、およびテトラヒドロフラン/水(95:5)。油が得られた。
【0471】
<実施例16:化合物2の形態2の調製>
化合物2の形態2の結晶化を、50 ℃でEtOH(49 mL)に化合物2(700mg)を溶解させることで得た。その溶液を50℃で撹拌し、15分後に撹拌を止めた。n-ヘプタンを添加し(70 mL)、系をドライアイス/アセトン浴に2時間置いた。固体を濾過して、空気乾燥し、キャラクタライズした。
【0472】
<実施例17:化合物2の形態3の調製>
化合物2の形態3の結晶化を、50℃でDMSOに化合物2を溶解させることで得た。
その溶液を50℃で撹拌し、15分後に撹拌を止めた。MeCNを添加し、系を室温または5℃、またはドライアイス/アセトン浴で冷却した。
【0473】
<実施例18:化合物2の形態4の調製>
化合物2の形態4の結晶化を、160mLのACNと0.92eqのメタンスルホン酸中、8.0gの(R、R)-トランス-(3-((4-(アミノメチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)フェニル)(3-フルオロ-4-ヒドロキシピロリジン-1-イル)メタノン(化合物I)を処理することで得た。その溶液を、20±5℃で1時間放置し、次いで加熱して2時間還流(~82-85℃)し、室温で一晩撹拌し、DSCを確認するまでさらに3回加熱サイクルを繰り返し、全還流保持時間は10時間である。濾過し、真空下での乾燥により結晶性化合物を単離した。
【0474】
<実施例19:化合物2の形態1と4の混合物から化合物2の形態1への変換>
化合物2(形態1と4の混合物)を冷却したIPA:水(95:5; 1mL)で処理し、0.5℃/分の速度で-8から70℃に加熱した。その後、サンプルを同じ速度で70℃から-8 ℃に冷却した。加熱時の透明点(100%透過率)および再冷却時の曇り点(<100%透過率)をCrystal16装置を用いて記録し、データを表17に示す。冷却後に得たすべての固体についてXRPD分析を行った。分離した冷却後の固体のXRPD分析は、形態1が唯一の単離された形態であることを明らかにした。
【0475】
【0476】
<実施例20:安定性試験>
表18に示されるような条件で安定性試験を実施した。化合物を、外観、純度、関連物質、キラル純度、水分、DSC、およびXRPDにより測定した。
【0477】
<化合物1>
化合物1は、3ヶ月の促進条件(40*C/75% RH)において、純度または水分の吸収に有意な変化を示さなかった。
【0478】
<化合物2>
化合物2については、1年のICH試験および2年のICH試験の長期的・進行性の条件用の1ヶ月のデータが、顕著化学的なあるいは物理変化なしでテストされたすべての属性のための範囲内にある。化合物2については、1年間のICH試験および2年間のICH試験の長期および促進条件に関する1ヶ月のデータは、試験したすべての属性について範囲内であり、顕著な化学的または物理的変化はない。
【0479】
<実施例21:強制的分解試験>
化合物2に関する強制的な分解研究を、実施例7のHPLC化学的純度条件を使用して行った。
【0480】
<固体状態>
化合物2は、熱(100*C、24時間)および光(マキシマム365nm、24時間)に露出されても、固体として安定していた。
【0481】
<溶液状態>
溶液(24時間の50*C)を加熱した時でも、化合物2は安定していた。関連物質または純度の有意な変化は記録されなかった。
【0482】
<実施例22:X線粉末回折(XRPD)>
・Bruker AXS C2 GADDS
X線粉末回折パターンを、Cu Kα放射(40kV、40mA)を使用するBruker AXS C2 GADDS回折計、自動化したXYZステージ、自動サンプル配置に関するレーザービデオマイクロスコープおよびHiStar2次元領域検出器で収集した。X線光学は、0.3mmのピンホールコリメーターと連結された単一のゴベル多層ミラーから成る。認証された標準のNIST 1976 Corundum(平板)を使用して、毎週の性能検査を行う。
【0483】
ビーム発散、すなわちサンプル上のX線ビームの有効径は、約4mmであった。
θ―θの連続走査様式をサンプル-検出器間距離20cmで用い、これは3.2-29.7の効果的な2θ範囲を与える。
典型的には、サンプルを120秒間X線ビームにさらす。
データ収集に使用したソフトウェアはXP/2000 4.1.43用のGADDSであり、データを分析し、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を使用して示した。
【0484】
周囲条件下で実行したサンプルを、粉砕せずに受け取った粉末を使用して、平面プレートの試料として調製した。
およそ1-2mgのサンプルをスライドガラス上で軽く押して、平面のサンプルを得た。
【0485】
・Bruker AXS D8 Advance
X線粉末回折パターンを、Cu Ka放射(40kV、40mA)、θ-2θゴニオメーター、V4の発散、受光スリット(receiving slits)、Geモノクロメーター、およびLynxeye検出器を使用するBruker D8回折計上で集めた。機器の性能は、公認のコレンダム標準(NIST 1976)を使用して検査される。データ収集に使用したソフトウェアは、Diffrac Plus XRD Commander v2.6.1であり、データを解析し、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を使用して示した。
【0486】
サンプルは、受け取った粉末を用いて平面プレートの試料として周囲条件下で試験した。サンプルを、研磨されたゼロバックグラウンド(510)シリコンウェハに切断されたキャビティに静かに詰めた。分析中にサンプルをそれ自身の平面内で回転させた。データ収集の詳細は以下の通りである:
・角度範囲:2~42°2θ
・ステップサイズ:0.05°2θ
・収集時間:0.5s/ステップ
【0487】
<化合物1の形態1>
形態1のX線粉末回折を
図9に示す。特徴的なピークは、次の表に記載されているピークを含む:
【0488】
【0489】
<化合物1の形態2>
形態2のX線粉末回折を
図11に示す。特徴的なピークは、次の表に記載されているピークを含む:
【0490】
【0491】
図11は、40℃および75%RHで7日間保存した後の、形態2のX線粉末回折を示す。
【0492】
【0493】
<化合物2の形態1>
形態1のX線粉末回折を
図1に示す。特徴的なピークは、次の表に記載されているピークを含む。
【0494】
【0495】
<化合物2の形態2>
形態2のX線粉末回折を
図3に示す。特徴的なピークは、次の表に記載されているピークを含む。
【0496】
【0497】
<化合物2の形態3>
形態3のX線粉末回折を
図5に示す。特徴的なピークは、次の表に記載されているピークを含む。
【0498】
【0499】
<化合物2の形態4>
形態4のX線粉末回折を
図7に示す。特徴的なピークは、次の表に記載されているピークを含む:
【0500】
【0501】
<実施例23:示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TGA)>
DSCデータを、50位置の自動サンプラーを備えたTA Instruments Q2000で収集した。サファイアを使用して熱容量のキャリブレーションを行い、認証されたインジウムを使用してエネルギーと温度のキャリブレーションを行った。典型的には、0.5-3mgの各サンプルをピンホールのアルミニウムパンにおいて、25℃から300℃まで10℃/分で加熱した。50ml/分の乾燥窒素のパージを、サンプル上で維持した。
【0502】
機器制御のソフトウェアは、Advantage for Q Series v2.8.0.394およびThermal Advantage v5.5.3であり、データはUniversal Analysis v4.5Aを使用して分析した。
【0503】
TGAデータを、16位置の自動サンプラーを備えたTA Instruments Q500 TGAで収集した。認証されたアルメルおよびニッケルを使用して、機器の温度校正をした。典型的には、5-10mgの各サンプルを、予めタールを塗ったアルミニウムDSC上に乗せ、10℃/分で周囲温度から350℃まで加熱した。60ml/分の乾燥窒素のパージを、サンプル上で維持した。
【0504】
機器制御のソフトウェアは、Advantage for Q Series v2.5.0.256およびThermal Advantage v5.5.3であり、データはUniversal Analysis v4.5Aを使用して分析した。
【0505】
<非晶質化合物1>
約66.8 ℃での温度による吸熱が観測された。約200℃からスタートする広い吸熱が観測された。TGAは、25℃から130℃による計算上2%の重量減少を明らかにし、約280℃から分解を開始することが観測された。この現象は、DSCで観測した70℃での吸熱に相当する。有意な量の溶媒(0.02 eq未満のジエチルエーテル)は、1 H NMRによって明らかではなく、したがって、化合物1はTGA重量減少に基づく計算上0.5分子の水を含有する可能性が高いことを示している。
【0506】
<化合物1の形態1>
約153.1 ℃での温度による吸熱が観測され、比較的高い溶融の前には有意な事象は観測されなかった。これにより、形態1はおそらく無水物形態である可能性が高い。形態1の代表的なサーモグラムを
図10に示す。
【0507】
<化合物1の形態2>
118.9℃の前に見られる43.1 ℃での広い事象は、固体の融解を表している。これは、形態2がおそらく水和物形態である可能性が高いことを示す。形態2の代表的なサーモグラムを
図12に示す。
【0508】
<化合物2の形態1>
約230.5℃で、小さなショルダーの吸熱が観測された。形態1の代表的なサーモグラムを
図2に示す。TGA分析は、78℃から約243℃まで0.7%w / w /の損失を明らかにし、250℃を超える温度で分解が観察された。
【0509】
形態1は無水メシラート塩である。
【0510】
<化合物2の形態2>
3つの吸熱は、約121.7℃、231.1℃、および236.1℃であった。パターン4の代表的なサーモグラムを
図4に示す。
【0511】
形態2はおそらく無水メシル酸塩である可能性が高い。
【0512】
熱分析下では、3つの吸熱ピークを表示する:最初のピークは形態1と一致し、続いて掲示された2つのピークは溶解である。第2の吸熱は形態2の溶解であると考えられる。融解熱則は、形態1と形態2の間の互変型の系を指している。
【0513】
150℃を超えて加熱する場合、形態2は形態1に変換することができる。
【0514】
1H-NMRは計算上0.1当量のエタノールを示し、それはTGAによって観測された重量減少とだいたい一致する。第1現象はエタノールの脱溶媒和でありえる。
【0515】
<化合物2の形態3>
約132.2℃および238.8℃の2つの吸熱が観測された。形態3の代表的なサーモグラムを
図6に示す。
【0516】
形態3は、DMSO溶媒和物であると疑われる。サンプルを130 ℃に加熱し、および貯蔵条件で、形態1に変化したことがXRPDで観察され、それは、形態3が形態1に変換する準安定溶媒和物であることを示している。
【0517】
<化合物2の形態4>
約232.8℃で、小さなショルダーの吸熱が観測された。形態4の代表的なサーモグラムを
図8に示す。
【0518】
形態4は無水メシラート塩である。
【0519】
<実施例24:重量蒸気吸着(Gravimetric Vapour Sorption)(GVS)>
重量蒸気収着(GVS)等温線は、0-90%相対湿度(RH)の範囲にわたって、DVS内因性の制御ソフトウェアv1.0.1.2(またはv1.0.1.3)によって制御されるSMS DVSの内因性の吸湿性分析器を使用して得られた。
【0520】
<化合物2の形態1>
化合物2の形態1のテストは、0および90% RHの間での可逆的な水の取り込み(~2.1% w/w)を示した。GVS分析後もXRPDには変化がなかった。
【0521】
<化合物2の形態2>
GVS分析後、40℃/ 75% RHで7日で、形態2は形態1へと相転移する(完全には同一ではないが)。その変化は、25の℃/97% RHでも7日後に生じる。
【0522】
<実施例A-1:化合物1のカプセル剤>
化合物1を、サイズ9カプセル(Torpac, Inc., New Jersey)に直接添加した。
【0523】
<実施例Aー2:化合物2のタブレット剤>
2つの異なるタブレット製剤を、50mgおよび250mgの強度で製造した(化合物Iの量に基づいて)。タブレット剤を、標準的なタブレット化技術を使用して製造した。
【0524】
【0525】
【0526】
2つの異なるタブレット剤を、50mgおよび250mgの強度で製造した(化合物Iの量に基づいて)。タブレット製剤を、標準的なタブレット化技術を使用して製造し、20℃から25℃で保存した。タブレット剤を直接配合として形成し、900mgのカプセル形タブレット剤に圧縮した。
【0527】
【0528】
【0529】
簡潔に言うと、化合物2のタブレット剤バッチを以下の条件下で製造した:賦形剤(滑剤を除く)および化合物2をV-シェルブレンダーに添加する。添加の順序:増量剤の半分、超崩壊剤、乾燥結合剤、滑剤、化合物2、そして最後に残りの増量剤。10分間混ぜる。その後、50%の出力または毎分2000から3000回転(rpm)する813μmの丸形フラットスクリーンを通して共粉砕する。Vシェルブレンダーに共粉砕した混合物を戻し、さらに10分間混合する。ステアリン酸マグネシウムをふるいにかける。ふるいにかけたステアリン酸マグネシウムを混合物に加え、Vシェルブレンダーで2分間混合した。900mgのタブレット剤重量を面した、0.400”x 0.750”カプセルタブレット形を使用するツーリングを使用して、タブレット剤に圧縮する。タブレット剤をHDPEボトルに包装し、CRCで密封する。
【0530】
ステアリン酸マグネシウムを除いた混合物を、混合および粉砕した後、混合物の均一化を行った。混合物を調製した後、タブレット剤を適切な重量(900mg)と硬度(18 kp;15-21kp)で生成した。摩損度を測定し、1.0%以下だった。錠剤をランダムに±5%の許容差まで重量チェックした。各錠剤を、キャッピング、ひび割れ、または不格好などの欠陥について視覚的に検査し、欠陥が記録されたものについては破棄した。
【0531】
錠剤は、白からオフホワイトのカプセル形のタブレット剤を含む。
【0532】
<実施例B-1:濃縮調整培地(CCM)の調製>
細胞が約80%コンフルエントになるまで、ヒトLOXL2 / CHOおよびヒトLOX / HEK安定細胞株を15cm組織培養プレート中で通常の増殖条件下で培養した。次いで、細胞をPBSで洗浄した後、25-30mLの無血清培地(Phenol red-free DMEM/F12 mix w/glutamax containing pen/strep, 10-100 μM CuCl2 ± 0.1% BSA)を添加した。細胞を無血清培地中、37℃、5%CO 2で40-48時間インキュベートした後、調整培地を取り除き、2000rpmで、5分間4℃で遠心分離して細胞/細胞破片をペレット化した。製造者の説明書(EMD Millipore、マサチューセッツ州ビレリカ)に従って10-30MWCOセントリプレップカラムを用いて培地を10-20倍に濃縮した後、等分して、-80℃で保存した。
【0533】
<実施例B-2:ヒトLOXL2 CCMアッセイ>
LOXL2アミンオキシダーゼ活性を、ヒトLOXL2を安定に発現するCHO細胞から、10-20倍に濃縮した調整培地(BSA非含有)を用いてAmplex Red蛍光を測定することによって評価した。アミンオキシダーゼ活性を分析するために、10μLの濃縮した調整培地を、DMSO中の試験化合物2μLおよびアッセイ緩衝液73μL(50mMのホウ酸塩緩衝液、pH8)とで、37℃にて2時間インキュベートした。2時間インキュベーションした後、アッセイ緩衝液中に希釈した10mMの1,5-ジアミノペンタン(DAP)5μlおよび10μlのAmplex Red Mix(8.5μlのアッセイ緩衝液+10mMのAmplex Red0.5μl+500U/mlのホースラディッシュペルオキシダーゼ1μl)を加え、プレートを混合し、すぐに蛍光測定のためFlexStation上に置く。励起=544および発光=590にて、蛍光を0.5-1時間かけて2分ごとに速度論様式で読み取る。アミンオキシダーゼ活性を、曲線の直線部分の勾配から計算する。ビヒクル(DMSO)を含むウェルは最大活性を表し、0%阻害に設定し、100μMのβAPN(3-アミノプロピオニトリル)を含んでいるウェルは活性を示さず、100%阻害に設定した。
【0534】
【0535】
本明細書に記載される実施例と実施形態は説明の目的のためのものに過ぎず、当業者に示唆される様々な修飾や変化は、本明細書の精神と範囲、および添付の請求項の範囲内に含まれるものとする。